JP2011147973A - 加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】別途冷却治具を設ける必要がなく、また、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造と同様に、簡素な設備構成で、金型のキャビティに半凝固金属を充填することができ、鋳造品の歩留まりを向上させることができる加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法を提供する。
【解決手段】金型12のキャビティ22内に半凝固金属スラリー62を射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造装置10において、金型12に取り付けられ、供給された溶湯60から半凝固金属スラリー62を得る射出スリーブ24と、射出スリーブ24内に挿通され、半凝固金属スラリー62を金型12のキャビティ22に射出するためのプランジャ26とを有し、射出スリーブ24は、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】金型12のキャビティ22内に半凝固金属スラリー62を射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造装置10において、金型12に取り付けられ、供給された溶湯60から半凝固金属スラリー62を得る射出スリーブ24と、射出スリーブ24内に挿通され、半凝固金属スラリー62を金型12のキャビティ22に射出するためのプランジャ26とを有し、射出スリーブ24は、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、射出スリーブ内に供給した半凝固金属を、金型のキャビティに射出する加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法に関する。
一般に、射出スリーブ内に供給した金属溶湯をプランジャの前進により金型のキャビティに射出する加圧鋳造方法として、例えば特許文献1及び2記載の方法がある。
特許文献1記載の方法は、溶融金属を冷却治具に接触させた後、該溶融金属を直接ダイキャスト用スリーブに注いで、該溶融金属の液相線温度に対する過熱度が25℃未満の液体、あるいは、該溶融金属の液相線温度よりも低く固相率が15%未満の半液体を得た後、直ちに射出し、加圧成形することで、微細な金属組織を有する偏析の発生が少ない成形体を短時間に鋳造、凝固させるようにしている。
特許文献2記載の方法は、金型のキャビティに連通する金型の湯道に最初に到達する溶湯流の先端部が所定の固相率になるように、該溶湯流の先端部を強制冷却することで、空気の巻込みに起因するガス欠陥、粘性不足に起因する湯境欠陥の発生を抑制するようにしている。
上述した特許文献1記載の方法は、冷却治具に溶湯を接触させて半凝固金属を得て射出成形を行っている。しかしながら、この方法では、冷却治具に溶湯を接触し供給する機構を設ける必要があり、冷却治具への溶湯供給機構が複雑になる。例えば冷却板を使用すると、冷却板上に生成される凝固片を除去しなければならないという問題への対応が必要になる。
一方、特許文献2記載の方法では、溶湯は、スリーブ内では溶融状態であるが、溶湯の先端部を冷却して、半凝固化させるようにしている。半凝固させるためには、溶湯から抜熱する時間が必要であり、射出時間に制限を与えるという問題がある。金型のキャビティに半凝固金属を充填させるためには、射出速度の調整が重要であるが、上述のように、溶湯の先端部の半凝固のために、射出時間に制限を与えることは、射出時間の調整に制限が加わることになり、望ましくない。例えば射出時間に制限が加わると、金型のキャビティの形状を変更せざるを得なくなり、鋳造品の形状への影響が大きくなるという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、別途冷却治具を設ける必要がなく、また、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造と同様に、簡素な設備構成で、金型のキャビティに半凝固金属を充填することができ、鋳造品の歩留まりを向上させることができる加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法を提供することを目的とする。
[1] 第1の本発明に係る加圧鋳造装置は、金型のキャビティ内に半凝固金属スラリーを射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造装置において、前記金型に取り付けられ、供給された溶湯から前記半凝固金属スラリーを得る射出スリーブと、前記射出スリーブ内に挿通され、前記半凝固金属スラリーを前記金型の前記キャビティに射出するためのプランジャとを有し、前記射出スリーブは、前記金型側に保温部が設けられ、前記プランジャ側に冷却部が設けられていることを特徴とする。
これにより、溶湯(液相線温度より高い温度の溶湯)を、直接射出スリーブ内に供給することで、溶湯は、冷却部によって熱を奪われ、温度が低下し、これにより、溶湯の一部、もしくは全体が半凝固状態となる。すなわち、射出スリーブ内において半凝固金属スラリーが得られることとなる。このため、別途冷却治具を設ける必要がなくなり、冷却体を使用することによる欠点事項である凝固金属片の発生の心配もない。従って、別途冷却治具を設ける必要がなく、また、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造と同様に、簡素な設備構成で、金型のキャビティに半凝固金属を充填することができ、鋳造品の歩留まりを向上させることができる。
[2] 第1の本発明において、前記射出スリーブは、前記溶湯が供給される給湯口を有し、前記保温部は、前記射出スリーブの外壁内のうち、前記金型寄りの部分に配管され、且つ、高温媒体が供給される保温回路を有し、前記冷却部は、前記射出スリーブの外壁内のうち、前記給湯口直下の部分を含む後端部寄りの部分に配管された冷却回路を有することを特徴とする。
これにより、溶湯を射出スリーブ内に供給した際に、溶湯は、射出スリーブのうち、給湯口直下の部分を含む後端部寄りの部分に供給されることになるが、この部分には、冷却部の冷却回路が配管されていることから、効率よく溶湯を冷却することが可能となり、短時間に半凝固金属スラリーを得ることができる。その結果、溶湯を供給してから、ほとんど時間をおかずにプランジャで半凝固金属スラリーを金型側に移動させることができる。このとき、半凝固金属スラリーは、射出スリーブのうち、前記金型寄りの部分に位置することになるが、この部分は、保温部の保温回路が配管されていることから、保温部において半凝固金属スラリーの固相率の調整を行うことができる。
[3] 第1の本発明において、前記保温回路は、前記射出スリーブの外壁のうち、前記保温部に対応する外壁内を、供給端から排出端に向かって、且つ、前記保温部の全周にわたってジグザグ状に配管されて構成されていることを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記保温部は、前記プランジャを前進させて、前記半凝固金属スラリーを前記保温部側に集めた際に、前記半凝固金属スラリーの充填率が80%以上となっている部分が前記保温部内に収まるように設定されていることを特徴とする。これにより、効率的に半凝固金属スラリーの初晶粒の球状化が促進される。
[5] 第2の本発明に係る加圧鋳造方法において、金型のキャビティ内に半凝固金属スラリーを射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造方法において、前記金型に取り付けられ、供給された溶湯から前記半凝固金属スラリーを得る射出スリーブと、前記射出スリーブ内に挿通され、前記半凝固金属スラリーを前記金型の前記キャビティに射出するためのプランジャとを有し、前記射出スリーブが、前記金型側に保温部が設けられ、前記プランジャ側に冷却部が設けられた加圧鋳造装置を使用し、前記射出スリーブ内に前記溶湯を供給して、前記半凝固金属スラリーを得る工程と、前記プランジャを前進させて、前記半凝固金属スラリーを前記保温部側に集め、前記半凝固金属スラリーの充填率が80%以上となっている部分が形成された段階で、一旦、前記プランジャの前進を減速又は停止して、前記半凝固金属スラリーの初晶粒を球状化させる工程と、再度、前記プランジャを前進させ、前記金型の前記キャビティ内に前記半凝固金属スラリーを充填する工程とを有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法によれば、別途冷却治具を設ける必要がなく、また、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造と同様に、簡素な設備構成で、金型のキャビティに半凝固金属を充填することができ、鋳造品の歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明に係る加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法の実施の形態例を図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る加圧鋳造装置10は、図1に示すように、金型12と、金型駆動部14と、射出機構16とを有する。
金型12は、可動型18と固定型20とからなる。可動型18は、金型駆動部14によって駆動され、固定型20に対して進退方向に移動するようになっており、固定型20と合わさることで(型閉じ状態)、固定型20と間に鋳造空間としてのキャビティ22が区画形成される。
射出機構16は、射出スリーブ24とプランジャ26と射出駆動部28とを有する。射出スリーブ24は、中空部30を有する筒状に形成され、その先端部が固定型20に挿入されて、中空部30と金型のキャビティ22とが、可動型18に設けられた分流子32及び固定型20に設けられたランナー33を介して連通するようになされている。射出スリーブ24の後端部は開口34が形成され、この開口34を通じてプランジャ26が挿入されるようになっている。また、射出スリーブ24の後端部寄りには、溶湯(例えばアルミニウム)を中空部30に供給するための給湯口36が設けられている。
プランジャ26は、射出駆動部28によって駆動され、射出スリーブ24の中空部30内を固定型20に対して進退方向に移動するようになっている。
そして、本実施の形態に係る加圧鋳造装置の射出スリーブ24は、図2にも示すように、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられている。換言すれば、本実施の形態に係る加圧鋳造装置10は、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられた射出スリーブ24を備える。
具体的には、図2に示すように、保温部38は、射出スリーブ24の外壁42内のうち、金型12寄りの部分に配管された保温回路44を有し、冷却部40は、射出スリーブ24の外壁42内のうち、給湯口直下の部分を含む後端部寄りの部分に配管された冷却回路46を有する。保温回路44は高温媒体が流通する管にて構成され、冷却回路46は冷却媒体が流通する管にて構成されているが、図2では、図示を簡単化するために、それぞれ配管経路を一点鎖線にて示してある。
保温回路44は、射出スリーブ24の外壁42のうち、保温部38に対応する外壁42内を、一方の端部(保温供給端48a)から他方の端部(保温排出端48b)に向かって、且つ、保温部38の全周にわたってジグザグ状に配管されて構成されている。保温供給端48a及び保温排出端48bは、高温媒体供給部50に接続され、該高温媒体供給部50から保温回路44に向かって高温媒体が循環供給されるようになっている。高温媒体としては、温度100℃〜300℃、好ましくは温度200℃〜250℃のオイル(例えばバーレルサーム400(松村石油株式会社製))等を使用することができる。
冷却回路46は、射出スリーブ24の外壁42のうち、冷却部40に対応する外壁42内を、一方の端部(冷却供給端52a)から他方の端部(冷却排出端52b)に向かって、且つ、少なくとも冷却部40のうち、溶湯が接触する部分にわたってジグザグ状に配管されて構成されている。冷却供給端52a及び冷却排出端52bは、低温媒体供給部54に接続され、該低温媒体供給部54から冷却回路46に向かって低温媒体が循環供給されるようになっている。冷却媒体としては、温度0℃〜100℃、好ましくは温度20℃〜60℃の水を使用することができる。冷却回路46は、上述の構成のほか、例えば図3に示すように、冷却部40に対応する外壁42のうち、給湯口36よりも下方の部分であって、且つ、溶湯60が接触する部分にわたってジグザグ状に配管するようにしてもよい。
従って、例えば図4Aに示すように、溶湯60(液相線温度より高い温度の溶湯)を、給湯口36から直接射出スリーブ24内に供給することで、溶湯60は、冷却部40によって熱を奪われ、温度が低下し、これにより、溶湯60の一部、もしくは全体が半凝固状態となる。すなわち、半凝固金属スラリー62が得られることとなる。
また、射出スリーブ24内の保温部38と冷却部40の割合、すなわち、射出スリーブ24全体に対する保温部38の占有率と冷却部40の占有率は、溶湯60の供給量と溶湯60の温度(供給温度)、射出スリーブ24の容積と温度等によって任意に変えてよいが、主に、金型12のキャビティ22に供給する直前の目標とする半凝固金属スラリー62の温度(固相率)によって決めることが好ましい。本実施の形態で得られる半凝固金属スラリー62の固相率は80%以下が好ましく、さらに好ましくは、キャビティに供給された後の流動性の確保の理由から15%以下である。
最終的に目標とする固相率への温度調整は、保温部38で調整するため、保温部38は、少なくとも半凝固金属スラリー62の充填率80%以上をカバーできる長さを確保することが好ましい。すなわち、プランジャ26を前進させて半凝固金属スラリー62を保温部38側に集めた際に、射出スリーブ24の内壁全周に半凝固金属スラリー62が接触している部分が、半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となっている部分である。そして、本実施の形態では、この部分(充填率80%以上の部分)が保温部38内に収まるように、保温部38の設置長さを設定している。ここで、充填率とは、射出スリーブ24の内壁とプランジャ26の先端面にて区画される空間の体積(容積)に対する半凝固金属スラリー62の体積の比の百分率を示す。また、後述する射出スリーブ24の全長とは、射出スリーブ24の内壁と初期段階におけるプランジャ26の先端面にて区画される空間の軸方向(射出スリーブ24の軸方向)の長さをいう。
具体的には、例えば射出スリーブ24全体に対して半凝固金属スラリー62(もしくは溶湯60)の充填率が20%のときは、射出スリーブ24の全長の1/4を保温部38とし、残りの3/4を冷却部40とする。この割合で構成することで、プランジャ26を前進させて(射出スリーブ24の先端部に向けて移動させる)、射出スリーブ24の後端部から全長の3/4まで移動させたとき、保温部38での半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となる。同様に、射出スリーブ24全体に対して半凝固金属スラリー62(もしくは溶湯60)の充填率が40%のときは、射出スリーブ24の全長の1/2を保温部38とし、残りの1/2を冷却部40とする。この割合で構成することで、プランジャ26を前進させて、射出スリーブ24の後端部から全長の1/2まで移動させたとき、保温部38での半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となる。
従って、保温部38に移動した半凝固金属スラリー62は、保温部38の全周にわたって配管された保温回路44(図2参照)を通じて保温されることから、半凝固金属スラリー62の球状化(スラリー組織における初晶粒の球状化)が促進される。
このように、本実施の形態に係る加圧鋳造装置10は、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられた射出スリーブ24を備えるため、別途冷却治具を設ける必要がなく、また、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造と同様に、簡素な設備構成で、金型12のキャビティ22に目標とする固相率の半凝固金属スラリー62を充填することができる。しかも、冷却板を使用した際に生じていた凝固金属(片)の発生がないため、鋳造品の歩留まりを向上させることができる。
また、射出スリーブ24は、溶湯60が供給される給湯口36を有し、保温部38は、射出スリーブ24の外壁42内のうち、金型12寄りの部分に配管され、且つ、高温媒体が供給される保温回路44を有し、冷却部40は、射出スリーブ24の外壁42内のうち、給湯口36直下の部分を含む後端部寄りの部分に配管された冷却回路46を有する。
これにより、溶湯60を射出スリーブ24内に供給した際に、溶湯60は、射出スリーブ24のうち、給湯口36直下の部分を含む後端部寄りの部分に供給されることになるが、この部分は、冷却部40の冷却回路46が配管されていることから、効率よく溶湯を冷却することが可能となり、短時間に半凝固金属スラリー62を得ることができる。その結果、溶湯60を供給してから、ほとんど時間をおかずにプランジャ26で半凝固金属スラリー62を金型12側に移動させることができる。このとき、半凝固金属スラリー62は、射出スリーブ24の外壁42のうち、金型12寄りの部分に位置することになるが、この部分は、保温部38の保温回路44が配管されていることから、保温部38において半凝固金属スラリー62の固相率の調整を行うことができる。
ここで、本実施の形態に係る加圧鋳造装置10を使用した加圧鋳造方法について図5の工程ブロック図も参照しながら説明する。
先ず、図5のステップS1において、低温媒体供給部54は、射出スリーブ24内に設けられた冷却部40の冷却回路46に低温媒体を循環供給(常時供給)する。
ステップS2において、高温媒体供給部50は、射出スリーブ24内に設けられた保温部38の保温回路44に高温媒体を循環供給(常時供給)する。
その後、ステップS3において、金型駆動部14は、可動型18を駆動して可動型18と固定型20とを合わせる(型閉め)。このとき、金型12にキャビティ22が区画形成される。
その後、ステップS4において、ダイカスト鋳造法と同様に、ラドル56を用いて溶湯60(液相線温度より高い温度の溶湯)を、給湯口36から直接射出スリーブ24内に供給する。このとき、射出スリーブ24内に供給された溶湯60は、冷却部40によって熱を奪われ、温度が低下する。これにより、溶湯60の一部、もしくは全体が半凝固状態となる。すなわち、溶湯60を、給湯口36から直接射出スリーブ24内に供給することで、半凝固金属スラリー62が得られることとなる。
その後、ステップS5において、射出駆動部28は、プランジャ26を射出スリーブ24の先端部(金型12側)に向けて駆動移動(前進)させる。これにより、保温部38での半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となる。
この段階で、一旦、プランジャ26の前進を減速又は停止し、保温部38において、半凝固金属スラリー62の温度が調節、すなわち、固相率の調整が行われる(ステップS6)、半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となっている部分が保温部38内に収まる形態となるため、効率よくスラリー組織における初晶粒を球状化させることができる。
半凝固金属スラリー62の固相率が目的の固相率に調整された段階で、ステップS7において、射出駆動部28は、プランジャ26を射出スリーブ24の先端部に向けてさらに駆動移動(前進)させ、半凝固金属スラリー62を金型12のキャビティ22内に供給する。
このように、本実施の形態に係る加圧鋳造方法は、金型12側に保温部38が設けられ、プランジャ26側に冷却部40が設けられた射出スリーブ24を使用して、射出スリーブ24内に溶湯60を供給して、半凝固金属スラリー62を得る工程と、プランジャ26を前進させて、半凝固金属スラリー62を保温部38側に集め、半凝固金属スラリー62の充填率が80%以上となっている部分が形成された段階で、一旦、プランジャ26の前進を減速又は停止して、半凝固金属スラリー62の初晶粒を球状化させる工程と、再度、プランジャ26を前進させ、金型12のキャビティ22内に半凝固金属スラリー62を充填する工程とを有するようにしたので、射出時間に制限を与えることもなく、自由に設定でき、通常のダイキャスト鋳造法と同様に、簡素な設備構成で、金型のキャビティに半凝固金属スラリーを充填することができる。しかも、冷却板を使用した際に生じていた凝固金属(片)の発生がないため、鋳造品の歩留まりを向上させることができる。
上述の例では、冷却回路46に低温媒体を常時供給し、保温回路44に高温媒体を常時供給するようにしたが、冷却部40を一定の温度に保ち、保温部38を一定の温度に保つために、低温媒体の供給/供給停止を適宜調整したり、高温媒体の供給/供給停止を適宜調整するようにしてもよい。
また、上述の例では、保温部38として、射出スリーブ24の外壁42内に、高温媒体が流通する保温回路44を設けた例を示したが、その他、以下の構成を採用するようにしてもよい。すなわち、射出スリーブ24のうち、保温部38に対応する部分を、例えばセラミックス等の断熱素材で構成する。あるいは、保温部38に対応する部分に粉体断熱材を塗布する。又は、これら(保温回路44、断熱素材、粉体断熱材)のいずれかを組み合わせるようにしてもよい。さらに、保温効果を高めるために、分流子32のうち、射出スリーブ24内に溶湯60を供給し終わった段階で溶湯60(又は半凝固金属スラリー62)が接触する部位(例えば分流子32の下半分等)を断熱素材にて構成する、あるいは該部位に粉体断熱材を塗布するようにしてもよい。
本実施の形態に係る加圧鋳造装置10を用いて、射出スリーブ24内で半凝固金属スラリー62を生成し、加圧鋳造を行った。
射出スリーブ24として、内径(中空部30の径)が160mm、全長が1200mmのスリーブを使用した。保温部38の長さは455mmとした。
射出スリーブ24に供給する溶湯60として、25kgのアルミニウム合金(AC2B系合金)を使用し、溶湯60を射出スリーブ24に注湯する際の温度を、溶湯60の液相線温度+10〜+20℃とし、そのときの所望の固相率を5%とした。
このような構成において、25kgの溶湯60の量では、保温部38(長さが455mm)の部分で、半凝固金属スラリー62の充填率80%以上を達成することができた。
なお、本発明に係る加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…加圧鋳造装置 12…金型
22…キャビティ 24…射出スリーブ
26…プランジャ 36…給湯口
38…保温部 40…冷却部
44…保温回路 46…冷却回路
60…溶湯 62…半凝固金属スラリー
22…キャビティ 24…射出スリーブ
26…プランジャ 36…給湯口
38…保温部 40…冷却部
44…保温回路 46…冷却回路
60…溶湯 62…半凝固金属スラリー
Claims (5)
- 金型のキャビティ内に半凝固金属スラリーを射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造装置において、
前記金型に取り付けられ、供給された溶湯から前記半凝固金属スラリーを得る射出スリーブと、
前記射出スリーブ内に挿通され、前記半凝固金属スラリーを前記金型の前記キャビティに射出するためのプランジャとを有し、
前記射出スリーブは、前記金型側に保温部が設けられ、前記プランジャ側に冷却部が設けられていることを特徴とする加圧鋳造装置。 - 請求項1記載の加圧鋳造装置において、
前記射出スリーブは、前記溶湯が供給される給湯口を有し、
前記保温部は、前記射出スリーブの外壁内のうち、前記金型寄りの部分に配管され、且つ、高温媒体が供給される保温回路を有し、
前記冷却部は、前記射出スリーブの外壁内のうち、前記給湯口直下の部分を含む後端部寄りの部分に配管された冷却回路を有することを特徴とする加圧鋳造装置。 - 請求項2記載の加圧鋳造装置において、
前記保温回路は、前記射出スリーブの外壁のうち、前記保温部に対応する外壁内を、供給端から排出端に向かって、且つ、前記保温部の全周にわたってジグザグ状に配管されて構成されていることを特徴とする加圧鋳造装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の加圧鋳造装置において、
前記保温部は、前記プランジャを前進させて、前記半凝固金属スラリーを前記保温部側に集めた際に、前記半凝固金属スラリーの充填率が80%以上となっている部分が前記保温部内に収まるように設定されていることを特徴とする加圧鋳造装置。 - 金型のキャビティ内に半凝固金属スラリーを射出成形することで、鋳造品を成形する加圧鋳造方法において、
前記金型に取り付けられ、供給された溶湯から前記半凝固金属スラリーを得る射出スリーブと、前記射出スリーブ内に挿通され、前記半凝固金属スラリーを前記金型の前記キャビティに射出するためのプランジャとを有し、前記射出スリーブが、前記金型側に保温部が設けられ、前記プランジャ側に冷却部が設けられた加圧鋳造装置を使用し、
前記射出スリーブ内に前記溶湯を供給して、前記半凝固金属スラリーを得る工程と、
前記プランジャを前進させて、前記半凝固金属スラリーを前記保温部側に集め、前記半凝固金属スラリーの充填率が80%以上となっている部分が形成された段階で、一旦、前記プランジャの前進を減速又は停止して、前記半凝固金属スラリーの初晶粒を球状化させる工程と、
再度、前記プランジャを前進させ、前記金型の前記キャビティ内に前記半凝固金属スラリーを充填する工程とを有することを特徴とする加圧鋳造方法。
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CN107790669A (zh) * | 2017-12-12 | 2018-03-13 | 慈溪阿尔特新材料有限公司 | 一种半固态浆料制备和压铸一体化的流变压铸方法 |
KR101861956B1 (ko) * | 2016-05-10 | 2018-05-28 | 도시바 기카이 가부시키가이샤 | 다이캐스트 머신 및 고액 공존 금속의 성형 방법 |
CN109986045A (zh) * | 2017-12-29 | 2019-07-09 | 北京有色金属研究总院 | 一种用于半固态压铸成形的开口式料筒及热平衡温控方法 |
CN109986044A (zh) * | 2017-12-29 | 2019-07-09 | 北京有色金属研究总院 | 一种用于半固态压铸成形开口式料筒的热平衡温控方法 |
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2010
- 2010-01-22 JP JP2010011748A patent/JP2011147973A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101861956B1 (ko) * | 2016-05-10 | 2018-05-28 | 도시바 기카이 가부시키가이샤 | 다이캐스트 머신 및 고액 공존 금속의 성형 방법 |
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