以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(接続構造体)
図1は本発明に係る接続構造体を適用した液晶表示装置を示す模式図である。まず、図1を用いて本発明に係る接続構造体の適用例を説明する。
図1において符号1は液晶表示装置であり、この液晶表示装置1は、液晶パネル2と、回路基板3とを有して構成されている。なお、この液晶表示装置1には、図示しないものの、偏光板、反射シート、バックライト等の付帯部材が、必要に応じて適宜設けられるものとする。
液晶パネル2は、ガラスや合成樹脂からなる接続基板10及び対向基板20を備えて構成されたものである。接続基板10と対向基板20とは、それぞれ平面視矩形であり相互に対向配置され、図示しないシール材によって相互に貼り合わされている。接続基板10と対向基板20の間には、電気光学物質である液晶(図示略)が封入されている。接続基板10の内面上には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料からなる第1電極(図示略)が形成されている。対向基板20の内面上には前記第1電極に対向配置される第2電極(図示略)が形成されている。
接続基板10及び対向基板20が対向する対向領域の中央部には表示領域Adが設けられている。表示領域Adには、X方向に延びる複数の走査線12とY方向に延びる複数のデータ線11とが平面視格子状に設けられている。走査線12とデータ線11との交差部には、赤色、緑色又は青色のいずれかの色に対応したサブ画素が設けられている。接続基板10上には、このようなサブ画素がマトリクス状に配置されており、これら複数のサブ画素によって全体としての表示領域Adが形成されている。それぞれのサブ画素にはTFT(Thin Film Transistor)等の画素スイッチング素子が設けられているが、図1ではそれらの図示は省略している。
接続基板10には、その端部において対向基板20の外形よりも外側へ張り出された部分である張出し部10cが設けられている。張出し部10cには、不図示の引き回し配線を介して走査線12及びデータ線11と電気的に接続された複数の第2端子19が設けられている。
張出し部10c上には、絶縁性の接着部材35を介して、本発明に係る回路基板3が接続されている。張出し部10c上の複数の第2端子19は、回路基板3のベース基板30に設けられた、それぞれに対応する第1端子40に導電接続されている。本発明では、張出し部10cとベース基板30との間には従来技術のように異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)が介在しておらず、第2端子19と第1端子40とが直接導電接触している。これにより、接続基板10上に回路基板3が接続されてなる、本発明の接続構造体が形成されている。
接着部材35の種類としては、反応性硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤(紫外線硬化型接着剤)、嫌気硬化型接着剤、その他の各種硬化型接着剤を用いることができる。具体的には、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、天然ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリアミド系接着剤等を用いることができる。また、これらを目的に合わせて変性する等しても良い。
回路基板3には、外部から制御信号、映像信号、電源電位などが供給されるようになっている。回路基板3に供給された制御信号、映像信号、電源電位などは、回路基板3に実装された不図示の電子部品(例えば液晶パネル2を駆動する液晶駆動用ICチップ)に入力され、ここで液晶駆動用の駆動信号が生成されて、第1端子40及び第2端子19を介して液晶パネル2に供給されるようになっている。
なお、回路基板3は、例えばフレキシブル基板(以下、FPCという)である。FPCは、ポリイミドや液晶ポリマー等可撓性を有する有機基板であり、その基板上に銅やアルミニウムで回路パターンおよび第1端子40が形成されている。
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、回路基板3を介して第1電極と第2電極との間に適宜の電圧が印加されることにより、両電極が対向配置される部分に構成される各画素に独立して光を変調させることができる。これによって、液晶パネル2の表示領域Adに所望の画像を形成することができる。
次に、前記液晶表示装置1に適用された、本発明の回路基板3の実施形態について説明する。
図2は、液晶表示装置1における回路基板3を拡大して示す要部拡大図である。図2(a)は、液晶表示装置1における回路基板3を拡大して示す要部拡大平面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A線矢視断面図である。なお、図2(a)においては、便宜上、第1端子40の本体部の一部(2段形状の部分)がメッキ層44から露出している状態を示している。
ところで、接続時の端子間の接触不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図るために、一対の、複数の導体を略平らな部材に整列配置してなる平面多導体の重ね合わせ領域において、導体どうしが金属結合で接合されているとともにその周囲が熱硬化性接着剤で接合されている構造がある。また、接着剤の層内を貫通可能とするように平面多導体の導体の上面に凹凸が形成されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、一対の導体を直接圧接させる場合、導体どうしの接点となる箇所の判別が難しく、製造工程での目視等による接続状態の良否判定が困難となっていた。
そこで、本願発明者は、特許文献1及び2に示す構造に対して、ベース基板30の上に、
後述する2段形状を有する第1端子40を設けることで、当該第1端子40と接続基板10上の第2端子19との接点となる箇所の判別を容易にし、製造工程での目視等による接続状態の良否判定を可能としている。以下、本実施形態の回路基板3について、一例を挙げて説明する。
図2に示すように、第1端子40は、2段形状を有しており、ベース基板30の上に配置された端子本体41と、端子本体41の上に配置された第1の段42と、第1の段42の上に配置されるとともに平面視において第1の段42よりも面積が小さくかつ先鋭な突出形状の第2の段43と、を有するものである。また、第1の段42の側端部及び第2の段43の側端部は、ベース基板30の面内に平行な面で切断した第1端子40の断面積がベース基板30の表面から離れるに従って小さくなるように連続したテーパ形状に形成されている。この第1端子40は、ベース基板30の面内に平行に複数設けられており、互いに間隔を空けて配置されている。この第1端子40の幅(短手方向の長さ)は、例えば20〜30μmになっている。
また、第1端子40は平面視においてY方向に延在している。具体的には、平面視において、端子本体41がY方向に延在しており、端子本体41の短手方向(X方向)における両端部、第1の段42のX方向における両端部、及び第2の段43のX方向における両端部が互いに接して形成されている。
これにより、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、接続基板10の第2端子19に最も近接する第2の段43に荷重が集中することになる。このため、回路基板3と接続基板10との接続時において、第2の段43が潰れた状態になり、第1端子40と第2端子19とが直接導電接触するようになる。このとき、第2の段43は先鋭な突出形状であるため、端子(第1端子40と第2端子19の少なくとも一方)の厚みにばらつきがあっても、第1端子40と第2端子19との接続時の加圧力を、特許文献1及び2に示す構造に比較して低減することができる。
また、回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧し、その後、互いに離間する方向に分離して、第2の段43が潰れた状態であるか否かを判定することができる。ここで、第2の段43が潰れた状態であるか否かの判定は、第1の段42の上面における光の散乱の有無によって認定できる。具体的には、第2の段43が潰れていない場合は、潰れていない第2の段43の突起(凸)と隣り合う突起どうしの隙間(凹)とからなる凹凸により光の散乱量が多くなって第1の段42の上面がくすんで見える。一方、第2の段43が潰れている場合は、表面が略平らになることにより光の反射量が多くなって第1の段42の上面が光って見える。このように、第1の段42の上面を例えば目視で確認することにより第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を行うことができる。
また、第1端子40は、本体部と、該本体部の表面に設けられるとともに前記本体部と異なる材料からなるメッキ層44とを有して構成されている。本体部は、端子本体41、第1の段42、及び第2の段43が一体に形成された、第1端子40の本体に相当するものである。
なお、本実施形態では、端子本体41、第1の段42、及び第2の段43の全てを一体として本体部とし、本体部表面の露出する部位全体にメッキ層44が形成されているが、これに限らない。例えば、第1端子40のうち第2の段43のみが、本体部とメッキ層とを有していてもよい。すなわち、第1端子40のうち少なくとも第2の段43が、本体部とメッキ層とを有していればよい。
メッキ層44は、Au、Sn、TiW、Cu、Cr、Ni、Ti、W、NiV、Al、Pd、鉛フリーハンダ等の金属や合金からなるものである。また、メッキ層44は、これら金属(合金)の単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。また、このようなメッキ層44は、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後、本体部の形状に倣ってパターニングしたものであってもよく、無電解メッキによって選択的に形成したものであってもよい。または、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成し、その後電解メッキによって下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により、メッキ層44を形成してもよい。なお、金属(合金)の種類や層構造、膜厚、被覆領域については、本体部の形状や大きさによって適宜に選択・設計される。本実施形態では、銅からなる本体部が形成され、その表面に金からなるメッキ層44が形成されている。
これにより、第2の段43が潰れた状態であるか否かを確実に容易に判定することができる。具体的には、本実施形態では、本体部の形成材料が銅、メッキ層44の形成材料が金であるため、それぞれの金属光沢の色が異なるとともに光の散乱の度合いも異なる。つまり、第2の段43が潰れていない場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れていない状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出していない状態)であり、金の金属光沢が見えることになる。一方、第2の段43が潰れている場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れた状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出している状態)であり、銅の金属光沢が見えることになる。また、金と銅との間で光の散乱の度合いが異なるため、メッキ層44を設けていない場合に比較して、第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を確実に容易に行うことができる。
図3は、本発明に係る接続構造体の一例である液晶表示装置1の要部断面図である。なお、図3においては、便宜上、液晶パネル2を構成する対向基板20の図示を省略し、接続基板10の端部(第2端子19が設けられた張出し部10cの一部)及び回路基板3の端部(第1端子40が設けられたベース基板30の一部)を示している。
図3に示すように、液晶表示装置1は、上述した回路基板3と、接続基板10と、回路基板3と接続基板10との間に設けられ、第1端子40と第2端子19とが導電接触している状態を保持する絶縁性の接着部材35と、を有して構成されている。また、第1端子40のうち第2の段43が潰れた状態になっている。
このように、第2の段43が潰れた状態になることによって、第1端子40と第2端子19とが直接接触して電気的に接続される。また、第2の段43が潰れた状態において、第2の段43の本体部がメッキ層44から露出して剥き出しになっている。つまり、第2の段43が潰れた状態になることによって、メッキ層44から露出した第2の段43の本体部と第2端子19とが直接導通されることになる。
また、本実施形態では回路基板3と接続基板10とを接続する際に上述したアクリル系接着剤などからなる接着部材35を用いており、従来技術のように回路基板と接続基板との間に異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)を介在させていない。このため、ACFやACPによる接続のように、樹脂内の導電性粒子で導通を得る必要がなく、回路基板に配置される第1端子40を細くすることができる。
また、液晶表示装置1において、接着部材35が潰れた状態の第2の段43を除いた領域における端子本体41と第2端子19との間に配置されている。具体的には、接着部材35は、回路基板3上の第1端子40を構成する端子本体41及び第1の段42の露出する部位全体を覆って配置されている。つまり、接着部材35は、第1端子40のうち潰れた状態の第2の段43を除いた領域における回路基板3の端部と、潰れた状態の第2の段43と第2端子19の接触部を除いた領域における接続基板10の端部と、の間に配置されている。
これにより、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合に比較して、回路基板3と接続基板10との接合強度を大きくすることができる。具体的には、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合の回路基板3と接続基板10との接着面積は、回路基板3の接続側の面において第1端子40が形成されていない領域及び接続基板10の接続側の面において第2端子19が形成されていない領域となる。これに対して、本実施形態では、第1端子40のうち潰れた状態の第2の段43を除いた領域及び潰れた状態の第2の段43と第2端子19の接触部を除いた領域においても接着部材35が配置されている。つまり、この部分において、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合よりも回路基板3と接続基板10との接着面積が大きくなる。
(接続構造体の製造方法)
以下、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。図4は液晶表示装置の製造方法の工程を示すフローチャートであり、図5及び図6は、液晶表示装置1の製造方法を順に示す工程図である。
先ず、図5(a)に示すように、従来と同様の手法により製造されたベース基板30を用意する。ベース基板30としては、例えば、ポリイミドや液晶ポリマー等可撓性を有する有機基板を用いることができる。
次に、ベース基板30の接続側に、導電材料(本実施形態では銅)からなる導電層41Aを、公知のリソグラーフィー技術やエッチング技術により、所定の形状に形成する。ここでは、ベース基板30の面内に平行に複数の導電層41A形成し、互いに間隔を空けて配置する(図4のステップS1)。
次に、前記導電層41Aに対して、第1のプレス型50を押圧して2段形状の本体部を形成する(図4のステップS2)。ここでは、連続したテーパ形状を有するテーパ部51が形成された第1のプレス型50を用いる。
この第1のプレス型50を用いて、導電層41Aに対してテーパ部51が押し付けられることにより、上述した端子本体41と、端子本体41に配置される第1の段42と、第1の段42の上に配置されるとともに平面視において第1の段42よりも面積が小さくかつ先鋭な突出形状の第2の段43と、をベース基板30の上にこの順に備えてなるとともに、第1の段42の側端部及び第2の段43の側端部が、ベース基板30の面内に平行な面で切断した第1端子40の断面積がベース基板30の表面から離れるに従って小さくなるような連続したテーパ形状に形成する。その結果、銅からなる2段形状の本体部が形成される(図5(b)参照)。
このように、連続したテーパ形状を有するテーパ部51が形成された第1のプレス型50を用いることで、端子本体41、第1の段42、及び第2の段43が一括して形成されるので、端子本体41、第1の段42、及び第2の段43をそれぞれ分けて形成するよりも生産効率に優れる。
次に、図5(c)に示すように、ベース基板30上に形成された本体部の上に、上述したメッキ層44を、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後、本体部の形状に倣ってパターニングしたり、無電解メッキによって選択的に配置したりすることによって形成する。または、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成し、その後電解メッキによって下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により、メッキ層44を形成してもよい。これにより、本体部と、該本体部の表面に設けられたメッキ層44とを有する第1端子40が形成される(図4のステップS3)。ここでは、メッキ層44の形成材料として金を用いる。
次に、図6(a)に示すように、従来と同様の手法により製造された接続基板10を用意する。接続基板10上には第1端子40に対応する位置に第2端子19が設けられている。次に、接続基板10上に上述した接着部材35を配置する(図4のステップS4)。このとき、接着部材35は未硬化もしくは半硬化の状態(完全に硬化する前の状態)であり第1端子40に比べて十分に軟らかくなっている。次に、回路基板3と接続基板10とを、互いの第1端子40と第2端子19とが対向するように位置決めする。
次に、図6(b)に示すように、位置決めされた状態で、第1端子40と第2端子19とが導電接触するように回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧する(図4のステップS5、第1の加圧工程)。このとき、加圧条件は第2の段43が潰れた状態になるまで回路基板3と接続基板10とを加圧するように設定する。すると、未硬化もしくは半硬化の接着部材35(以下、柔軟な接着部材という)は、第2端子19に比べて十分に軟らかいため、加圧されたことで第2の段43の先鋭な突出形状によって押し退けられるとともに連続したテーパ形状に形成された第1の段42の側端部及び第2の段43の側端部に沿って排出される(図6(b)に示す矢印方向)。つまり、第2の段は平面視において第1の段よりも面積が小さく、接続基板の側に突出していることから、柔軟な接着部材35を貫通して第2端子に直接接触する。これにより、第1の段42と第2端子19との間には接着部材35が介在しないようになっている。
ここで、加圧条件の設定方法について説明する。先ず、第1の加圧工程を経た後、回路基板3と接続基板10とを互いに離間する方向に分離させる(図4のステップS6)。次に、第2の段43が潰れた状態であるか否かを判定する(図4のステップS7)。この判定は、第1の段42の上面における光の散乱の有無によって認定できる。具体的には、第2の段43が潰れていない場合は、表面の凹凸により光の散乱量が多くなるため第1の段42の上面がくすんで見える。一方、第2の段43が潰れている場合は、表面が略平らになることにより光の反射量が多くなるため第1の段42の上面が光って見える(図4のステップS8)。このように、第1の段42の上面を、例えば目視によって確認することにより第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を行うことができる。ここで、第2の段43が潰れた状態でないときは、再度、第1の加圧工程からやり直す。
本実施形態では、本体部の形成材料が銅、メッキ層44の形成材料が金であるため、それぞれの金属光沢の色が異なるとともに光の散乱の度合いも異なる。つまり、第2の段43が潰れていない場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れていない状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出していない状態)であり、金の金属光沢が見える。一方、第2の段43が潰れている場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れた状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出している状態)であり、銅の金属光沢が見える。また、金と銅との間で光の散乱の度合いが異なるため、メッキ層44を設けていない場合に比較して、第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を確実に容易に行うことができる。
このように、対向する第1端子40と第2端子19とを直接圧接させる場合、第1の段42の上面における光の散乱の有無によって第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を行うことができるので、特許文献1及び2のように、端子どうしの接点となる箇所の判別が難しく、製造工程での目視等による接続状態の良否判定が困難となることがない。
そして、所定のN数で判定をした後(図4のステップS9)、第2の段43が潰れた状態になるとき及び第2の段43が潰れた状態にならないときの加圧条件(例えば、加圧力、加圧時間、加圧雰囲気など)のデータを記憶装置(図示略)に記憶する(図4のステップS10)。ここで、判定回数が所定のN数に満たないときは、データの信頼性を確保する上で、再度、第1の加圧工程からやり直す。なお、第2の段43が潰れた状態になるときのレベル(第2の段43の一部が潰れた状態もしくは第2の段43が完全に潰れた状態)に応じて、加圧条件のデータを記憶しておくとよい。
次に、記憶装置に記憶された加圧条件の各種データに基づいて、不図示の演算装置により加圧条件が調整される(図4のステップS11)。そして、演算装置で調整された加圧条件に基づいて、不図示の制御装置により第2の段43が潰れた状態になるときの加圧条件の制御信号が算出される。
このようにして算出された制御信号は、回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧する不図示の加圧装置に送信される。そして、第2の段43が潰れた状態になるときの加圧条件に基づいて、回路基板3と接続基板10とを柔軟な接着部材35を介して互いに接合する(図4のステップS12、第2の加圧工程)。
そして、第2の段43が潰れた状態になるときの加圧条件で加圧した状態のもとで、すなわち、第1端子40と第2端子19とが導電接触した状態で、上述した接着部材35を完全に硬化させる(図4のステップS13)。以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置1が得られる(図6(c)参照)。
本発明に係る回路基板3によれば、第1の段42の側端部及び第2の段43の側端部が、ベース基板30の面内に平行な面で切断した第1端子40の断面積がベース基板30から離れるに従って小さくなるような連続したテーパ形状に形成されているので、回路基板3を第1端子40に対応する第2端子19を有する接続基板10と接続する場合、良好な電気的接続が可能となる。具体的には、回路基板3を柔軟な接着部材35を介して接続基板10と接続する場合を考える。すると、柔軟な接着部材35が第1端子40に比べて十分に軟らかいため、加圧されたことで第2の段43の先鋭な突出形状によって押し退けられるとともに前記テーパ形状に沿って排出される。すると、第2の段43は平面視において第1の段42よりも面積が小さく、接続基板10の側に突出していることから、柔軟な接着部材35を貫通して第2端子19に直接接触する。これにより、第2の段43と第2端子19との間に接着部材35が介在することなく、良好な電気的接続が得られるようになっている。また、回路基板3を接続基板10と接続する際、接続基板10の第2端子19に最も近接する第2の段43に荷重が集中する。このため、回路基板3と接続基板10との接続時において、第2の段43が潰れた状態になり、第1端子40と第2端子19とが直接導電接触するようになる。このとき、第2の段43は先鋭な突出形状であるため、端子40の厚みにばらつきがあっても、第1端子40と第2端子19との接続時の加圧力を、特許文献1及び2に示す構造に比較して低減することができる。また、回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧し、その後、互いに離間する方向に分離して、第2の段43が潰れた状態であるか否かを判定することができる。したがって、接続時の端子間の接触不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化や省スペース化を図ることができ、端子の厚みのばらつきを吸収する際に加圧力を大きくする必要がなく成形性に優れ、さらに第1端子40と第2端子19との接点となる箇所が容易に判別可能な回路基板3が提供できる。
また、本発明に係る回路基板3によれば、第1端子40のうち少なくとも第2の段43が、本体部と、該本体部と異なる材料からなるメッキ層44とを有するので、第2の段43が潰れた状態であるか否かを確実に容易に判定することができる。具体的には、本実施形態では、本体部の形成材料が銅、メッキ層44の形成材料が金であるため、それぞれの金属光沢の色が異なるとともに光の散乱の度合いも異なる。つまり、第2の段43が潰れていない場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れていない状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出していない状態)であり、金の金属光沢が見えることになる。一方、第2の段43が潰れている場合は、第1の段42の上面においてメッキ層44が破れた状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出している状態)であり、銅の金属光沢が見えることになる。また、金と銅との間で光の散乱の度合いが異なるため、メッキ層44を設けていない場合に比較して、第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を確実に容易に行うことができる。
また、本発明に係る液晶表示装置1によれば、第1端子40のうち少なくとも第2の段43が潰れた状態になっているため、第1端子40と第2端子19とが直接導電接触している。また、第1端子40と第2端子19とが導電接触している状態が絶縁性の接着部材35によって保持されるため、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態が確保されている。また、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、従来技術のように回路基板3と接続基板10との間にACFやACPを介在させていない。このため、ACFやACPによる接続のように、樹脂内の導電性粒子で導通を得る必要がなく、回路基板3に配置される第1端子40を細くすることができる。また、回路基板3と接続基板10とを互いに離間する方向に分離して、第2の段43が潰れた状態であるか否かを判定することができる。したがって、接続時の端子間の接触不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図ることができ、端子の厚みのばらつきを吸収する際に加圧力を大きくする必要がなく成形性に優れ、さらに第1端子40と第2端子19との接点となる箇所が容易に判別可能な液晶表示装置1が提供できる。
また、本発明に係る液晶表示装置1によれば、接着部材35が少なくとも潰れた状態の第2の段43を除いた領域における第1の段42と第2端子19との間に配置されているので、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合に比較して、回路基板3と接続基板10との接合強度を大きくすることができる。具体的には、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合の回路基板3と接続基板10との接着面積は、回路基板3の接続側の面において第1端子40が形成されていない領域及び接続基板10の接続側の面において第2端子19が形成されていない領域となる。これに対して、本実施形態では、第1端子40のうち潰れた状態の第2の段43を除いた領域及び潰れた状態の第2の段43と第2端子19の接触部を除いた領域においても接着部材35が配置されている。つまり、この部分において、接着部材35が第1端子40と第2端子19の間に配置されていない場合よりも回路基板3と接続基板10との接着面積が大きくなる。したがって、回路基板3と接続基板10とを強固に接合することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、第1の工程によって、第1の段42と第1の段42よりも平面視において面積が小さくかつ先鋭な突出形状の第2の段43を有するとともに第1の段42の側端部及び第2の段43の側端部がベース基板30の面内に平行な面で切断した断面積がベース基板30から離れるに従って小さくなるような連続したテーパ形状を有する第1端子40が形成されるので、回路基板3を接続基板10と接続する場合、良好な電気的接続が可能となる。また、回路基板3を接続基板10と接続する際、接続基板10の第2端子19に最も近接する第2の段43に荷重が集中する。このため、回路基板3と接続基板10との接続時において、第2の段43が潰れた状態になり、第1端子40と第2端子19とが直接導電接触するようになる。このとき、第2の段43は先鋭な突出形状であるため、端子の厚みにばらつきがあっても、第1端子40と第2端子19との接続時の加圧力を、特許文献1及び2に示す構造に比較して低減することができる。また、回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧し、その後、互いに離間する方向に分離して、第2の段43が潰れた状態であるか否かを判定することができる。したがって、接続時の端子間の接触不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図ることができ、端子の厚みのばらつきを吸収する際に加圧力を大きくする必要がなく成形性に優れ、さらに第1端子40と第2端子19との接点となる箇所が容易に判別可能な液晶表示装置の製造方法が提供できる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、第3の工程によって第2の段43が潰れた状態であるか否かを確実に容易に判定することができる。具体的には、本体部の形成材料が銅、メッキ層の形成材料が金の場合、それぞれの金属光沢の色が異なるとともに光の散乱の度合いも異なる。つまり、第2の段43が潰れていない場合は、第1の段42の上面においてメッキ層が破れていない状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出していない状態)であり、金の金属光沢が見えることになる。一方、第2の段43が潰れている場合は、第1の段42の上面においてメッキ層が破れた状態(少なくとも第2の段43の本体部が露出している状態)であり、銅の金属光沢が見えることになる。また、金と銅との間で光の散乱の度合いが異なるため、メッキ層を設けていない場合に比較して、第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を確実に容易に行うことができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、第1の工程において、導電層41Aに対して第1のプレス型50を押圧することによって、第1の段42及び第2の段43が一括して形成されるので、第1の段42及び第2の段43をそれぞれ分けて形成するよりも生産効率の向上を図ることができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、第3の工程における第2の段が潰れた状態であるか否かの判定は、光の散乱の有無に基づいて行っている。このため、第2の段が潰れた状態であるか否かの判定は、第1の段42の上面における光の散乱の有無によって認定できる。具体的には、第2の段43が潰れていない場合は、潰れていない第2の段43の突起(凸)と隣り合う突起どうしの隙間(凹)とからなる凹凸により光の散乱量が多くなって第1の段42の上面がくすんで見える。一方、第2の段43が潰れている場合は、表面が略平らになることにより光の反射量が多くなって第1の段42の上面が光って見える。したがって、第1端子40と第2端子19との接点となる箇所が容易に判別可能となる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、第3の工程における第2の段43が潰れた状態であるか否かの判定は、目視により行っている。このため、第1の段42の上面を目視で確認することによって認定できる。したがって、顕微鏡などの観察装置を用いることなく、簡易な方法で第1端子40と第2端子19との接点となる箇所の判別を行うことができる。
なお、本実施形態では、第1端子40が端子本体41、第1の段42、及び第2の段43からなる本体部を有して構成されているが、これに限らない。例えば、第1端子が端子本体41を含まず第1の段42及び第2の段43からなる本体部を有して構成されていてもよい。このような構成においても本発明の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態では、第1端子40に2段形状が2箇所のみ形成されているが、これに限らず、第1端子40に2段形状を1箇所のみ形成してもよいし、3個所以上形成してもよい。第1端子40に2段形状を3箇所以上形成することにより、接続状態の良否判断が複数の2段形状を視認してできるので、より信頼性の高いものが得られる。
また、本実施形態の液晶表示装置の製造方法においては、第1の工程において、連続したテーパ形状を有するテーパ部51が形成された第1のプレス型50を用いているが、これに限らない。例えば、図7に示すように、平滑面を有する平滑部51Aが形成された第2のプレス型50A、可撓性を有するベース基板60を用いてもよい。
具体的には、第1の工程において、可撓性を有するベース基板60の上に前記導電層41Aを配置し、この導電層41Aに対して、平滑面を有する平滑部51Aが形成された第2のプレス型50Aを用い、導電層41Aが内側に圧縮するように平滑部51Aをベース基板60の面内に平行な方向に押し当てるとともにベース基板60を撓ませて、第1の段42及び第2の段43を一括して形成する。これにより、第1の段42及び第2の段43が一括して形成されるので、第1の段42及び第2の段43をそれぞれ分けて形成するよりも生産効率の向上を図ることができる。