(第1実施形態)以下、図1〜図4に基づいて、本発明を車両用のヘッドアップディスプレイ装置に適用した一実施形態を説明する。
ヘッドアップディスプレイ装置は、図1に示すように車両10のインパネ11内部に配設された表示ユニットである表示装置12が投射する表示光Lを投影部材である車両10のフロントガラス13で車両10の運転者(利用者)14の方向に反射させ、虚像Vの表示を行うものである。換言すれば、車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、表示装置12の後述する表示器から発せられる表示光Lをフロントガラス13(前記投影部材)に照射(投射)し、この照射によって得られた虚像(表示像)Vを運転者14に視認させるものである。これにより運転者14は、運転席の正面前方に表示される虚像Vを風景と重畳させて観察することができる。
表示装置12は、図2に示すように照明装置である表示器20と、反射器30と、ハウジング40とから主に構成されている。
表示器20は、図3に詳しく示すように、基板である回路基板21上に複数個(例えば2個)の光源22が実装(配設)された光源ユニット23と、各光源22からの照明光により透過照明される被照明部材である液晶表示パネル24と、光源ユニット23と液晶表示パネル24との間に配置される拡散部材25と、この拡散部材25と液晶表示パネル24との間に位置するレンズ部材26と、各光源22を包囲するように回路基板21と拡散部材25(液晶表示パネル24)との間に配置されるケース体27と、これら各部を保持して収容する筐体28とを備えてなる。
回路基板21は、例えば所定の配線パターンが施された熱伝導性の高いアルミ基板からなり、前記配線パターン上に各光源22が搭載されている。なお、21a、21bは、ケース体27に設けられる後述する第1、第2の貫通孔とそれぞれ連通するように設けられる略円形の第1、第2の孔部であり、これら孔部21a、21bは、回路基板21の両端側にそれぞれ形成されている(図4参照)。
光源22は、例えば適宜色を発するチップ型発光ダイオードからなり、拡散部材25(液晶表示パネル24)に照明光を供給する発光体である。
液晶表示パネル24は、例えば一対の透光性基板に液晶を封入した液晶セルの前後面に偏光膜を各々設けたTFT(薄膜トランジスタ)型の液晶表示素子からなり、各光源22からの照明光(換言すればレンズ部材26から出射される平行出射光)を透過して表示光Lを形成するように光源ユニット23(レンズ部材26)の前方側に配置されている。
かかる液晶表示パネル24は、車両10に設けられる車速センサやエンジン回転センサからの出力信号に基づいて車速,エンジン回転数を計測する演算回路(図示せず)並びにこの演算結果に基づいて前記液晶を駆動するパネル駆動回路(後述する)によって、車両10の速度またはエンジン回転数の計測値を数値として表示することができる。
なお、液晶表示パネル24によって表示される表示情報は、車速やエンジン回転数に限らず任意であり、例えば走行距離情報、ナビゲーション情報、外気温情報であってもよい。
拡散部材25は、例えば乳白色を有する光透過性の合成樹脂からなり、略平板状に形成され、ケース体27に設けられる後述する空洞部を塞ぐようにケース体27上に載置されている。かかる拡散部材25は、各光源22から発せられ、レンズ部材26側へと向かう照明光を略均一に拡散させるための光拡散板としての機能を有してなる。
レンズ部材26は、透光性合成樹脂からなり、背面側(拡散部材25側)が平坦面であるとともに前面側(液晶表示パネル24側)が凸面である凸レンズからなり、拡散部材25から出射される拡散出射光を集光させる集光部材としての機能を有している。つまり、レンズ部材26は、前記拡散出射光に対し所望の屈折を与え、略平行光束化された平行出射光を液晶表示パネル24側に向けて出射するようになっている。
ケース体27は、合成樹脂材料からなり、略枠形状に形成され、各光源22からの照明光が導入される空洞部50と、この空洞部50を取り囲むように設けられる本体部60とを備えている。
空洞部50は、各光源22に対応するように設けられ、各光源22から発せられる照明光を拡散部材25側(つまり液晶表示パネル24側)へと導く照明空間として形成されている。
本体部60は、図4に示すように対をなすように2つに分割形成された構成となっている。具体的には、本体部60は、図4中、左方に位置する第1の基部61と、図4中、右方に位置する第2の基部62とに分割された構成となっている。つまり、この場合、本体部60は、空洞部50を介して一対の基部61、62を有するように分割形成された構成となっている。
また、この場合、第1の基部61と第2の基部62とは、幾何学的に言うと、液晶表示パネル24側からケース体27を正視したときに、仮想中心点である図4中、回路基板21の中心点C(もしくは詳細図示は省略するが各基部61、62を組み合わせた外形形状と略同一の外形形状を有する拡散部材25の中心点)を中心として点対称な形状となっている。すなわち、中心点Cを中心として第1の基部61を180度だけ回転すると、第1の基部61が第2の基部62に完全に重なる形状となっている。
第1の基部61は、第2の基部62の後述する第3の対向壁部と対向する立壁部からなる第1の対向壁部61aと、第2の基部62の後述する第4の対向壁部と対向する立壁部からなる第2の対向壁部61bと、第1の対向壁部61aの下端側から回路基板21と平行状態をなすように図4中、矢印X方向に延在する平板状の第1の鍔部61cとが一体形成された構成となっている。
そして、空洞部50と第1の基部61(本体部60)との境界部分となる第1の対向壁部61aの内壁部並びに空洞部50と第1の基部61(本体部60)との境界部分となる第2の対向壁部61bの内壁部(内壁面)には、アルミ蒸着やクロムメッキ等によって鏡面状態となる鏡面層63が形成される。
なお、詳細図示は省略するが、図4において、第4の対向壁部62bと対向する第1の対向壁部61a箇所には、鏡面層63が形成されないようになっている。また、第1の鍔部61cには、回路基板21に設けられた第1の孔部21aと連通するように設けられ、ネジSのネジ部が貫通する第1の貫通孔61dが形成されている。
また同様に、第2の基部62は、第1の対向壁部61aと対向する立壁部からなる第3の対向壁部62aと、第2の対向壁部61bと対向する立壁部からなる第4の対向壁部62bと、第3の対向壁部62aの下端側から回路基板21と平行状態をなすように図4中、矢印X方向とは反対方向に延在する平板状の第2の鍔部62cとが一体形成された構成となっている。
そして、空洞部50と第2の基部62(本体部60)との境界部分となる第3の対向壁部62aの内壁部並びに空洞部50と第2の基部62(本体部60)との境界部分となる第4の対向壁部62bの内壁部には、アルミ蒸着やクロムメッキ等によって鏡面状態となる前述した鏡面層63が形成される。
なお、詳細図示は省略するが、図4において、第2の対向壁部61bと対向する第3の対向壁部62a箇所には、鏡面層63が形成されないようになっている。また、第2の鍔部62cには、回路基板21に設けられた第2の孔部21bと連通するように設けられ、ネジSのネジ部が貫通する第2の貫通孔62dが形成されている。
筐体28は、合成樹脂材料からなり、略箱形状にて形成され、光源ユニット23、液晶表示パネル24、拡散部材25、レンズ部材26並びにケース体27を収納する収納部材としての機能を有しており、液晶表示パネル24の表示エリア(図示せず)を臨ませるための開口部28aを備えている。
次に、回路基板21とケース体27とに着目し、これら両者を組み付けるための組み付け例を説明する。まず、第1の対向壁部61aの内壁部と第3の対向壁部62aの内壁部、及び第2の対向壁部61bの内壁部と第4の対向壁部62bの内壁部とがそれぞれ向かい合うように第1の基部61と第2の基部62とを位置合わせする。
次に、第3の対向壁部62aに対応する第2の対向壁部61b箇所となる第1の側面部R1並びに第1の対向壁部61aに対応する第4の対向壁部62b箇所となる第2の側面部R2に両面テープ(図示せず)を貼り付ける。そして、この状態から第2の基部62を矢印X方向に沿うように平行移動させることで、第1の側面部R1がこれに対向する第3の対向壁部62a箇所に接合されると同時に第2の側面部R2がこれに対向する第1の対向壁部61a箇所に接合される。すると、第1の基部61と第2の基部62とで囲まれる空間領域に前記照明空間である空洞部50が形成されるとともに、各光源22に対応するように設けられる空洞部50の周囲は全て鏡面層63によって囲まれた状態となる。
次に、第1の鍔部61cの第1の貫通孔61dが回路基板21の第1の孔部21aに連通し、且つ第2の鍔部62cの第2の貫通孔62dが回路基板21の第2の孔部21bに連通するように、回路基板21上にケース体27を載置する。最後に、ネジSのネジ部を第1、第2の鍔部61c、61dの前面側から第1、第2の貫通孔61d、62d及び第1、第2の孔部21a、21bに各々貫通させ、回路基板21の背後に突出してなる前記ネジ部の下端部にナットNを螺合させることで、回路基板21とケース体27の組み付けが完了する。
従って、各光源22から発せられる照明光は、ケース体27に形成された空洞部50を通過してケース体27(基部60)上に載置された拡散部材25へと導かれる。この際、各光源22の放射角(光照射領域角度)が大きいことに起因して、例えば図3中、上方に位置する光源22から発せられる照明光の一部が、本体部60の第2の基部62の内壁部にあたって反射したり、あるいは図3中、下方に位置する光源22から発せられる照明光の一部が、本体部60の第1の基部61の内壁部にあたって反射したりすることが考えられる。そして、従来のように本体部(本体部内壁部)が白色樹脂で形成されている構成では、内壁部反射時の光量損失が生じ、被照明部材である液晶表示パネルに至る照明光の光量が不足するという問題が生じる。
ところが、本実施形態では、この内壁部反射時の光量損失を最小限とすべく、空洞部50周囲となる各基部61、62の内壁部には光反射率の高い鏡面層63が形成された構成となっている(換言すれば空洞部50と本体部60との境界部分となる本体部60の内壁部が鏡面状態となっている)ことで、第1、第2の基部61、62の内壁部にあたって反射される光源22からの照明光の一部は、減衰されることなく拡散部材25側へと導かれる。換言すれば、本体部60の内壁部を鏡面状態とすることで、前述した内壁部反射時の光量損失が十分に抑制され、これにより各光源22からの照明光がロスなく拡散部材25側に導かれるため、光源22から拡散部材25に至る照明光の照明効率(導光効率)の低下を防止(抑制)することができる。
そして、拡散部材25から出射される前記拡散出射光は、その光量がロスすることなく、レンズ部材26を通過した後、前記平行出射光としてレンズ部材26から出射される。このレンズ部材26から出射される前記平行出射光によって液晶表示パネル24は透過照明され、これにより液晶表示パネル24から表示光Lが発せられる。かかる液晶表示パネル24から発せられる表示光Lは、その光量がロスすることなく(つまり前述した照明効率の低下が抑制された状態にて)、筐体28の開口部28aを通過して反射器30側に導かれる。
反射器30は、液晶表示パネル24から発せられた表示光Lを反射させる凹面鏡(反射部材)31と、この凹面鏡31を保持する合成樹脂からなるミラーホルダ32とを備えてなる。
凹面鏡31は、凹面を有するポリカーボネートからなる樹脂基板に反射層31aを蒸着形成してなるものである。かかる凹面鏡31は、その反射層31aが液晶表示パネル24並びにハウジング40の後述する透光性カバーに対向し、前記透光性カバーから臨める位置に傾斜状態にて配設される。
また凹面鏡31は、表示器20からの表示光Lを拡大しつつ、前記透光性カバー(車両10のフロントガラス13)側へ反射させるものである。このことは、凹面鏡31が、表示器20から発せられる表示光Lを拡大し、この拡大された表示光Lを前記透光性カバーを通じてフロントガラス13に投射することを意味している。なお、凹面鏡31は、ミラーホルダ32に両面粘着テープにより接着されている。
ハウジング40は、例えば黒色の遮光性合成樹脂材料からなり、略箱型形状に形成され、その内部空間である空間部41に表示器20及び反射器30を保持して収容するものであり、反射器30における凹面鏡31の配設位置の上部(フロントガラス13側)が開口する開口窓部42を備えてなる。
またハウジング40には、開口窓部42を塞ぐように出射部である透光性カバー43が配設されてなる。かかる透光性カバー43は、透光性の合成樹脂材料(例えばアクリル樹脂)からなり、凹面鏡31で反射された表示光Lが透過(通過)する光透過性部材としての機能を有している。つまり、凹面鏡31によって反射された表示光Lは、ハウジング40に形成された透光性カバー43を通じてフロントガラス13に照射され、この照射によって得られた虚像Vを運転者14が視認することになる。
以上のように本実施形態では、回路基板(基板)21に光源22が実装(配設)された光源ユニット23と、この光源ユニット23の前方側に配置され、光源22からの照明光により照明される液晶表示パネル24と、回路基板21と液晶表示パネル24との間に配置されるケース体27とを備え、このケース体27には、光源22に対応するように設けられる空洞部50と、この空洞部50を取り囲む本体部60とが形成されてなる照明装置20において、空洞部50と本体部60との境界部分となる本体部60の内壁部を鏡面状態としたことにより、本体部60(各基部61、62)の内壁部にあたって反射される光源22からの照明光の一部が減衰されることなく拡散部材25側(液晶表示パネル24側)へと導かれることで、各光源22から被照明部材である液晶表示パネル24に至る照明光の照明効率(導光効率)の低下を抑制することができる。
また本実施形態では、本体部60が、空洞部50を介して第1の基部61と第2の基部62とを有するように分割形成されていることにより、第1の基部61における各対向壁部61a、61bの内壁部並びに第2の基部62における各対向壁部62a、62bの内壁部に鏡面層63を容易に形成することができる。
また本実施形態では、各基部61、62の内壁部に鏡面層63が形成されている例について説明したが、例えば鏡面層63に傷等が付かないように、鏡面層63内周面に必要に応じて鏡面層63を保護する透明なオーバーコート層からなる保護層を積層形成してもよい。
また本実施形態では、回路基板21上に2個の光源22が実装されている例について説明したが、回路基板21上に実装される光源22の個数は、1個でもよいし3個以上であってもよい。
また本実施形態では、第1の側面部R1とこれに対向する第3の対向壁部62a箇所とが両面テープにより接合されるとともに第2の側面部R2とこれに対向する第1の対向壁部61a箇所とが両面テープにより接合されることで、第1の基部61が第2の基部62に組み付けられる例について説明したが、例えば本第1実施形態の変形例として図5(a)、(b)に示すごとく第1の基部61と第2の基部62とを部分的に凹凸結合させる構成としてもよい。
具体的には、図4中、上方側となる第2の対向壁部61bと第3の対向壁部62aとの連結箇所付近である図5(a)に示すように、第2の対向壁部61bに第3の対向壁部62a側に向けて突出する薄板状の凸部(突起部)からなる第1の位置決め部T1を設けるとともに第3の対向壁部62aに第1の位置決め部T1が位置決めされる凹部(溝)形状からなる第1の被位置決め部T2を設け、また図4中、上方側となる第1の対向壁部61aと第4の対向壁部62bとの連結箇所付近である図5(b)に示すように、第4の対向壁部62bに第1の対向壁部61a側に向けて突出する薄板状の凸部(突起部)からなる第2の位置決め部T3を設けるとともに第1の対向壁部61aに第2の位置決め部T3が位置決めされる凹部(溝)形状からなる第2の被位置決め部T4を設けた構成となっている。
そして、第1の位置決め部T1が第1の被位置決め部T2に位置決めされ、第2の位置決め部T3が第2の被位置決め部T4に位置決めされることで、第1の基部61と第2の基部62とを部分的に凹凸結合させ、この凹凸結合により連結固定された状態の本体部60と回路基板21とがネジS、ナットNを用いてに固定される構成となる。
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図6に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態が、前記第1実施形態と異なる点は、第1の基部61がさらに2つに分割形成され、且つ第2の基部62もさらに2つに分割形成されている点にある。換言すれば、本第2実施形態によれば、前記第1実施形態にて採用したケース体27の主要部を構成する本体部60が第1の基部61と第2の基部62とに2つに分割された構成ではなく、4つに分割された構成となっている。
つまり、本第2実施形態におけるケース体27は、合成樹脂材料からなり、略枠形状に形成され、図6に示すように各光源22からの照明光が導入される空洞部50と、この空洞部50を取り囲むように設けられる本体部70とを備え、この本体部70が、4つに分割形成された構成となっている。
具体的には、本体部70は、図6中、左側に位置する第1の基部71と、この第1の基部71と向かい合うように図6中、右側に位置する第2の基部72と、図6中、上側に位置する第3の基部73と、この第3の基部73と向かい合うように図6中、下側に位置する第4の基部74とでなる4つの分割体に分割された構成となっている。
第1の基部71は、第2の基部72の後述する第2の対向壁部と対向する立壁部からなる第1の対向壁部71aと、この第1の対向壁部71aの下端側から回路基板21と平行状態をなすように図6中、矢印X方向に沿い延在する平板状の第1の鍔部71bとが一体形成された構成となっており、空洞部50と第1の基部71との境界部分となる第1の対向壁部71aの内壁部(内壁面)には、アルミ蒸着等によって鏡面状態となる鏡面層75が形成されている。
なお、詳細図示は省略するが、図6において、第3、第4の基部73、74の左側壁部P1、P2と対向する第1の対向壁部71a箇所には、鏡面層75が形成されないようになっている。また、第1の鍔部71bには、回路基板21に設けられた第1の孔部21aと連通するように設けられ、ネジSのネジ部が貫通する第1の貫通孔71cが形成されている。
また同様に、第2の基部72は、第1の対向壁部71aと対向する立壁部からなる第2の対向壁部72aと、この第2の対向壁部72aの下端側から回路基板21と平行状態をなすように図6中、矢印X方向に沿い延在する平板状の第2の鍔部72bとが一体形成された構成となっており、空洞部50と第2の基部72との境界部分となる第2の対向壁部72aの内壁部(内壁面)には、アルミ蒸着等によって鏡面状態となる鏡面層75が形成されている。
なお、詳細図示は省略するが、図6において、第3、第4の基部73、74の右側壁部P3、P4と対向する第2の対向壁部72a箇所には、鏡面層75が形成されないようになっている。また、第2の鍔部72bには、回路基板21に設けられた第2の孔部21bと連通するように設けられ、ネジSのネジ部が貫通する第2の貫通孔72cが形成されている。
第3の基部73は、図6中、上側に位置する第1の対向壁部71aの一方の端部と図6中、上側に位置する第2の対向壁部72aの一方の端部との間を塞ぐように設けられた平板状の立壁部からなり、第4の基部74と対向するように配設され、その内壁部(内壁面)には鏡面層75が形成されている。
また、第4の基部74は、図6中、下側に位置する第1の対向壁部71aの他方の端部と図6中、下側に位置する第2の対向壁部72aの他方の端部との間を塞ぐように設けられた平板状の立壁部からなり、第3の基部73と対向するように配設され、その内壁部(内壁面)には鏡面層75が形成されている。
ここで、相対する第1の基部71と第2の基部72を一方の一対の基部K1と定義し、また相対する第3の基部73と第4の基部74を他方の一対の基部K2と定義した場合、本第2実施形態における本体部70は、空洞部50を介して対向する2組の一対の基部K1、K2を有するように4つに分割形成された構成であると言える。
そして、例えば第3、第4の基部73、74の左側壁部P1、P2並びに第3、第4の基部73、74の右側壁部P3、P4に両面テープを貼り付け、左側壁部P1とこれに対向する第1の対向壁部71a箇所、左側壁部P2とこれに対向する第1の対向壁部71a箇所、右側壁部P3とこれに対向する第2の対向壁部72a箇所及び右側壁部P4とこれに対向する第2の対向壁部72a箇所を全て接合させることで、各基部71〜74にて囲まれる空間領域に空洞部50が形成されるとともに、各光源22に対応するように設けられる空洞部50の周囲は全て鏡面層75によって囲まれた状態となる。
従って、かかる第2実施形態においても、本体部70の内壁部を鏡面状態としたことで、本体部70(各基部71〜74)の内壁部にあたって反射される光源22からの照明光の一部が減衰されることなく拡散部材25側(液晶表示パネル24側)へと導かれるため、各光源22から液晶表示パネル24に至る照明光の照明効率低下を抑制することができる。
また本第2実施形態では、第3、第4の基部73、74(他方の一対の基部K2)が、ともに合成樹脂によって形成されている例について説明したが、例えば第3の基部73と第4の基部74のうち少なくとも一方を合成樹脂ではなくガラス等のアクリル樹脂によって形成してもよい。
また本第2実施形態では、第3の基部73(両側壁部P1、P3)と第1、第2の基部71、72並びに第4の基部74(両側壁部P2、P4)と第1、第2の基部71、72が両面テープによって接合されている例について説明したが、例えば本第2実施形態の変形例として図7に示すごとく第3の基部73(両側壁部P1、P3)と第1、第2の基部71、72並びに第4の基部74(両側壁部P2、P4)と第1、第2の基部71、72を部分的に凹凸結合させる構成としてもよい。
具体的には、図6中、各対向壁部71a、72a並びに第3、第4の基部73、74を通る横断面図である図7に示すように、第1の対向壁部71aの前記一方の端部に第3の基部73の左側壁部P1がガイドされる凹部(溝)形状からなる第1の被案内部Y1を設けるとともに第1の対向壁部71aの前記他方の端部に第4の基部74の左側壁部P2がガイドされる凹部(溝)形状からなる第2の被案内部Y2を設け、また第2の対向壁部72aの前記一方の端部に第3の基部73の右側壁部P3がガイドされる凹部(溝)形状からなる第3の被案内部Y3を設けるとともに第2の対向壁部72aの前記他方の端部に第4の基部74の右側壁部P4がガイドされる凹部(溝)形状からなる第4の被案内部Y4を設けた構成となっている。
そして、第3の基部73の左側壁部P1が第1の被案内部Y1にガイドされ、第4の基部74の左側壁部P2が第2の被案内部Y2にガイドされ、第3の基部73の右側壁部P3が第3の被案内部Y3にガイドされ、第4の基部74の右側壁部P4が第4の被案内部Y4にガイドされることで、第3の基部73と第1の基部71、第3の基部73と第2の基部72、第4の基部74と第1の基部71並びに第4の基部74と第2の基部72とを凹凸結合させ、この凹凸結合により連結固定された状態の本体部70と回路基板21とがネジS、ナットNを用いてに固定される構成となる。
なお、図7に示された凹凸結合を採用するにあたっては、各対向壁部71a、72aにおける長手方向全体に各被案内部Y1〜Y4を設けてもよいが、前記長手方向全体に各被案内部Y1〜Y4を設けると、本体部70と回路基板21とがネジS、ナットNを用いてに固定された状態にてケース体27を逆さまに(つまり上下反転)したとき第3、第4の基部73、74が脱落する虞があるので、第3、第4の基部73、74が脱落しないように図6中、上方端部側となる各対向壁部71a、72a箇所には被案内部Y1〜Y4を形成せず、それ以外の箇所(つまり前記上方端部側以外となる各対向壁部71a、72a箇所)に被案内部Y1〜Y4を形成することが望ましい。
(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態を図8〜図10に基づいて説明するが、前述の第1、第2実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第3実施形態が前記第1実施形態と異なる点は、回路基板21上に実装された2個の光源22が緑色光(第1の有色光)を発する緑色LEDである第1の発光素子22aと前記緑色光とは異なる赤色光(第2の有色光)を発する赤色LEDである第2の発光素子22bとで構成されている点、並びに第1、第2の発光素子22a、22bが後述する制御手段からの制御信号により選択的にオン/オフ駆動する点である。
図8は、本第3実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の電気的構成を示すブロック図であり、図8中、81は車速検出手段、82は制御手段、24は液晶表示パネル、22aは第1の発光素子、22bは第2の発光素子である。
なお、この場合、被照明部材である液晶表示パネル24は、カラーフィルタが搭載されていないモノクロの表示パネルであって、その略中央部に所定情報(例えば車速情報)を表示する表示部24aを有しており、また第1、第2の発光素子22a、22bは互いに隣接するように、回路基板21の略中央部(表示部24aに対応する回路基板21の表面箇所)に実装されている(図9参照)。
車速検出手段81は、車両の速度を検出するための車速センサからなり、車両の運転状態に応じた車速検出信号を検出し制御手段82に出力するものである。
制御手段82は、処理動作のプログラムが記憶されたROMや演算値を一時的に記憶するRAM、前記プログラムを実行するためのCPU等を有するマイクロコンピュータからなり、この場合、ハウジング40の空間部41に配設固定された図示しない配線基板に実装されている。
以下、本第3実施形態における制御手段82の処理動作について説明する。この場合、制御手段82は、前記車速検出信号に基づいて、液晶表示パネル24と第1、第2の発光素子22a、22bの動作を制御する制御信号を出力してなる。制御手段82の出力する制御信号は、液晶表示パネル24と第1の発光素子22aと第2の発光素子22bに対応する個々のドライバ類(駆動回路)に入力され、これらドライバ類は、その信号入力に応じて液晶表示パネル24、第1の発光素子22a、第2の発光素子22bを動作させる。
具体的には、制御手段82は、液晶表示パネル24を駆動させるための指令信号をパネル駆動回路83に出力し、この指令信号を受けてパネル駆動回路83が液晶表示パネル24を駆動し、液晶表示パネル24に車両10の速度(車速)をデジタル表示させる。これと同時に、制御手段82は、前記車速の値が所定の閾値(例えば時速100キロメートル)未満の場合、第1の発光素子22aを点灯(オン)動作させるための指令信号を第1のLED駆動回路84に出力し、この指令信号を受けて第1のLED駆動回路84が緑色LEDである第1の発光素子22aを点灯動作させる。このとき、第2のLED駆動回路85は制御手段82からの指令信号を受信しないので第2の発光素子22bはオフ状態である。
そして、第1の発光素子22aから発せられる緑色光は、前述した第1実施形態と同様に拡散部材25、レンズ部材26を経て液晶表示パネル24から緑色の表示光Lとして発せられ、その後、かかる緑色の表示光Lは凹面鏡31によって反射され、透光性カバー43を通じてフロントガラス13に照射されることで、運転者14は図10(a)に示すような緑色の車速表示像からなる虚像V1を視認することになる。
また、制御手段82は、前記車速の値が前記閾値(時速100キロメートル)を超えたタイミングにて、第2の発光素子22bを点灯(オン)動作させるための指令信号を第2のLED駆動回路85に出力し、この指令信号を受けて第2のLED駆動回路85が赤色LEDである第2の発光素子22bを点灯動作させる。このとき、第1のLED駆動回路84は制御手段82からの指令信号を受信しないので第1の発光素子22aはオフ状態である。
第2の発光素子22bから発せられる赤色光は、拡散部材25、レンズ部材26を経て液晶表示パネル24から赤色の表示光Lとして発せられ、その後、かかる赤色の表示光Lは凹面鏡31によって反射され、透光性カバー43を通じてフロントガラス13に照射されることで、運転者14は図10(b)に示すような赤色の車速表示像からなる虚像V2を視認することになる。
つまり、制御手段82は、前記車速の値が前記閾値を超えたタイミングにて、液晶表示パネル24の発光色(つまり前記車速表示像の発光色)が緑色から赤色に変化するように第1、第2の発光素子22a、22bをオン/オフ動作させる制御を行うものである。このように液晶表示パネル24(前記車速表示像)の発光色が、前記閾値である時速100キロメートルを境界として異色となるように点灯制御され、前記車速が時速100キロメートルに到達するまでは前記車速表示像は緑色に発光し、時速100キロメートルに到達した後はそれまで緑色に発光していた前記車速表示像が赤色に発光するため、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができ、且つ、運転者14に対し速度の出し過ぎを注意喚起することができる。
また、この場合、互いに異なる色で表示される緑色の前記車速表示像(つまり虚像V1)と赤色の前記車速表示像(つまり虚像V2)とがフロントガラス13の略同一領域に表示されることから、車両運転中における運転者14の視線移動を極力抑制することが可能となる。
また本第3実施形態では、液晶表示パネル24に車速情報を表示する表示部24aが表示されている例について説明したが、例えば本第3実施形態の変形例として図11(a)、図11(b)に示すように液晶表示パネル24が、表示部24aとこの表示部24aとは異なる他の表示部である報知部24b(例えば運転者14がシートベルトを装着していないことを報知する報知部24b)とを択一的(選択的)に表示させる構成としてもよい。
この場合、制御手段82は、前記車速検出信号に加えて運転者14がシートベルトを装着しているか否かを示す信号を受信可能に設けられ、運転者14がシートベルトを装着していることを示す信号を受信した場合には、液晶表示パネル24の上方に車速情報に関する表示部24aのみを表示させるべくパネル駆動回路83に第1指令信号を出力すると同時に第1の発光素子22aをオン動作させるべく第1のLED駆動回路84に第2指令信号を出力する。
また制御手段82は、運転者14がシートベルトを装着していないことを示す信号を受信した場合には、液晶表示パネル24の下方にシートベルト未装着警報に関する報知部24bのみを表示させるべくパネル駆動回路83に第3指令信号を出力すると同時に第2の発光素子22bをオン動作させるべく第2のLED駆動回路85に第4指令信号を出力する。
そして、運転者14がシートベルトを装着しているとき、パネル駆動回路83は、前記第1指令信号を受けて液晶表示パネル24に表示部24aを表示させるべく液晶表示パネル24を駆動し、これにより液晶表示パネル24の上方には表示部24aのみがデジタル表示され(図11(a)参照)、これと同時に第1のLED駆動回路84は前記第2指令信号を受けて第1の発光素子22aを点灯動作させる。第1の発光素子22aの点灯に伴い、第1の発光素子22aから発せられる緑色光は、拡散部材25、レンズ部材26、液晶表示パネル24(表示部24a)へと至り、液晶表示パネル24からは緑色の車速表示光からなる表示光Lが発せられる。かかる緑色の車速表示光からなる表示光Lは、凹面鏡31、透光性カバー43、フロントガラス13を経て運転者14側に反射され、運転者14は、前述した緑色の車速表示像を視認することができる。
一方、運転者がシートベルトを装着していないとき、パネル駆動回路83は、前記第3指令信号を受けて表示部24aに代えて報知部24bを表示させるべく液晶表示パネル24を駆動し、これにより液晶表示パネル24の下方にはシートベルト未装着警報表示からなる報知部24bのみが表示され(図11(b)参照)、これと同時に第2のLED駆動回路85は前記第4指令信号を受けて第2の発光素子22bを点灯動作させる。第2の発光素子22bの点灯に伴い、第2の発光素子22bから発せられる赤色光は、拡散部材25、レンズ部材26、液晶表示パネル24(報知部24b)へと至り、液晶表示パネル24からはシートベルト未装着警報に関する赤色の表示光Lが発せられる。かかるシートベルト未装着警報に関する赤色の表示光Lは、凹面鏡31、透光性カバー43、フロントガラス13を経て運転者14側に反射され、運転者14は、シートベルト未装着警報に関する赤色の警報表示像(図示省略)を視認することができる。
このように本第3実施形態の変形例によれば、制御手段82は、液晶表示パネル24に表示部24aが表示された際に両発光素子22a、22bのうち第1の発光素子22aをオン動作させ、液晶表示パネル24に表示部24aに代えて報知部24bが切替表示された際に両発光素子22a、22bのうち第2の発光素子22bをオン動作させる制御を行うことから、運転者14はシートベルト装着時には前述した緑色の車速表示像を視認するとともに、シートベルトの装着を未装着状態とした後はそれまで表示されていた前記緑色の車速表示像が前述したシートベルト未装着警報に関する赤色の警報表示像に切り替わり、運転者14は前記赤色の警報表示像を視認するため、運転者14に対しシートベルトが装着されていないことを注意喚起することができる。
また本第3実施形態では、第1の発光素子22aが緑色LEDからなるとともに第2の発光素子22bが赤色LEDからなる例について説明したが第1、第2の発光素子22a、22bの発光色は互いに異なる発光色であればよい。
また本第3実施形態では、表示部24aが車両情報を表示する車速表示部からなるとともに表示部24aとは異なる他の表示部24bがシートベルト未装着状態を報知する報知部からなる例について説明したが、表示部24aと他の表示部24bとは互いに異なる種類の表示部であれば、あらゆる表示形態のものを採用することができることは言うまでもない。
なお前記各実施形態では、液晶表示パネル24から発せられる表示光Lが、フロントガラス13に投射される例について説明したが、例えばフロントガラス13に表示光Lを良好に運転者14方向に反射させるコンバイナフィルムを設けてもよいし、あるいはフロントガラス13とは別の専用の反射体に表示光Lを投射する構成としてもよい。