JP2011146092A - 光学ドライブ装置、信号処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録層ごとに層識別情報が記録されない場合であっても、フォーカスサーボの対象としている層が所望の層であるか否かを判定可能とする。
【解決手段】フォーカスサーボ制御がオンの状態にて得られるフォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて得られるフォーカスエラー信号とに基づいて、上記フォーカスアクチュエータが上記光の合焦位置を変化させるために駆動するレンズ(フォーカス用レンズ)のフォーカス方向における変位量を表す変位信号を生成し、該変位信号の低域成分を抽出する。上記変位信号の低域成分を抽出することによって、層選択に伴うフォーカス用レンズのオフセット量を求めることができ、当該変位信号の低域成分に基づき、フォーカスサーボの対象とされている層が所望の層(例えば記録又は再生の対象とする層)であるか否かを判定することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、光記録媒体に対する光照射を行って記録及び/又は再生を行う光学ドライブ装置とその信号処理方法とに関する。
特開2008−103039号公報
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体が普及している。
これら光ディスク記録媒体の大記録容量化を図るにあたり、記録層を多層化するということが行われている。
しかしながら、記録層を多層化した場合には、光ディスク記録媒体の製造コストの増加が問題となる。
記録層の多層化によるコスト増を抑制するために、次の図14に示されるような多層光ディスク記録媒体の構造が提案されている。
具体的に、この図14に示す多層記録媒体100は、その一方の面に案内溝(ピット列やウォブリンググルーブ)の形成に伴う凹凸断面形状が与えられたカバー層102を有する。図示するようにこのカバー層102の上記案内溝が形成された面側に対し、選択反射膜103が成膜された上で、当該選択反射膜103に対しては中間層104としての例えば紫外線硬化樹脂などを介して半透明記録膜105aが形成されている。半透明記録膜105aは、記録及び/又は再生のためのレーザ光(録再用レーザ光と称する)が照射された部分で他の部分との反射率差が生じるようにその物性が変化する記録材料と、上記録再用レーザ光の一部を透過(一部を反射)する半透明材料とが積層されて形成されるものとなる。
以降、中間層104と半透明記録膜105aとが所定回数繰り返して積層された後、その下層に対し、さらに中間層104を介して記録膜105bが形成されている。記録膜105bは、上記録再用レーザ光が照射された部分で他の部分との反射率差が生じるようにその物性が変化する記録材料と、上記録再用レーザ光を略全反射する反射材料とが積層されて形成されたものである。
さらに記録膜105bの下層には、例えば樹脂などによる基板106が形成される。
なお確認のため述べておくと、この多層記録媒体100に対しては、カバー装置102側からレーザ光が入射するものとなる(図15を参照)。
ここで、この図14に示すような多層記録媒体100は、半透明記録膜105に対するマーク記録/再生を行うための録再用レーザ光のみでなく、上記案内溝を利用してトラッキングやフォーカスなどの制御を行うための光(サーボ用レーザ光と称する)を別途に照射するシステムで用いられることを前提としたものとなる。
具体的に、多層記録媒体100について記録再生を行うシステムでは、次の図15に示すような光学系を備える。
図15において、先ずポイントとなるのは、上記録再用レーザ光と上記サーボ用レーザ光とを、共通の対物レンズを介して多層記録媒体100に照射するという点と、図中のフォーカス機構(エキスパンダ)により、上記共通の対物レンズを介して照射される上記サーボ用レーザ光の合焦位置を上記録再用レーザ光の合焦位置とは異なる位置に調整するという点である。
またこの場合は、サーボ用レーザ光として、録再用レーザ光とは波長帯の異なる光を用いている。先の図14において、案内溝の形成される反射膜として通常の反射膜でなく選択反射膜103が用いられているのは、サーボ用レーザ光が記録膜105aや105bに到達してマーク記録/再生に悪影響を与えてしまうことの防止を図るためである。つまり選択反射膜103は、録再用レーザ光と同波長帯の光は透過し、それ以外の波長による光は反射するように構成されている。
図15において、サーボ用レーザ光は、図示するように上記フォーカス機構を介し、ダイクロイックプリズムを透過した後、対物レンズを介して多層記録媒体100に照射される。
また録再用レーザ光は、図中のミラーにてその光軸が90度折り曲げられるようにして反射された後、上記ダイクロイックプリズムにて再度その光軸が90度折り曲げられるようにして反射されて、対物レンズに対して導かれる。
ここで、上記ダイクロイックプリズムは、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光の波長の違いを利用して、往路においては、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを同一光軸上に合成する機能を担い、復路においては、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光の反射光を分光してそれぞれ別々の受光素子で受光できるようにする機能を担う。
この図15に示す光学系において、対物レンズの位置制御(サーボ制御)は、次のようにして行われる。
すなわち、フォーカス方向の位置制御としては、図中の2軸アクチュエータ(フォーカスアクチュエータ)を、録再用レーザ光の記録膜105からの反射光に基づき駆動することで行う。具体的には、録再用レーザ光が記録又は再生の対象とする記録膜105に合焦するように2軸アクチュエータを駆動するものである。
一方、対物レンズのトラッキング方向の位置制御は、記録時と再生時とで異なる手法を採ることとなる。すなわち、未だ記録膜105に対するマーク記録の行われていない記録時には、記録膜105からトラッキングエラー信号を得ることはできないため、2軸アクチュエータ(トラッキングアクチュエータ)を、サーボ用レーザ光の選択反射膜103からの反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が選択反射膜103に形成された案内溝を追従するように駆動することとなる。
これによると、同じ対物レンズを介して照射される録再用レーザ光のトラッキング方向における位置としても、そのトラッキング方向における位置は、自動的に案内溝に沿った位置に制御されることとなる。つまりこの結果、各記録膜105に案内溝を形成しておかずとも、録再用レーザ光のスポット位置(記録位置)が、所要の記録膜105上の所定位置を追従するように制御することができるものである。
既にマーク記録が行われた再生時には、記録膜105に形成されたマーク列に基づくトラッキングサーボが可能となるので、2軸アクチュエータは、録再用レーザ光の反射光に基づき、当該録再用レーザ光のスポット位置が記録膜105に形成されたマーク列を追従するように駆動することとなる。
ここで、サーボ用レーザ光は、選択反射膜103に形成された案内溝に基づくトラッキングエラー信号の生成や該選択反射膜103に記録された位置情報の読み出しのために、その合焦位置は、選択反射膜103に合致するようにされる必要がある。
図15に示す光学系においては、図中のフォーカス機構により、このようなサーボ用レーザ光についてのフォーカス制御を行うようにされている。
図示するように当該フォーカス機構は、入射光軸に平行な方向に可動レンズを駆動するレンズ駆動部を有しており、該レンズ駆動部によって対物レンズに入射するサーボ用レーザ光のコリメーションを変化させることで、サーボ用レーザ光の合焦位置を録再用レーザ光とは独立して変化させることができるように構成されている。
このようなフォーカス機構により、サーボ用レーザ光の合焦位置は、録再用レーザ光の合焦位置とは異なる位置に制御することができ、その結果、上記の録再用レーザ光に基づく対物レンズのフォーカス方向位置制御(対象とする記録膜105への合焦位置制御)が行われる下で、サーボ用レーザ光の合焦位置を選択反射膜103上に合焦させることができる。
なお上記による説明からも理解されるように、多層記録媒体100に形成される選択反射膜103は、記録膜105に対し録再用レーザ光によるマーク記録/再生を行うにあたっての基準となる面となる。この意味で図14や図15においては、選択反射膜103を基準面Refとも表記している。
上記のようにして案内溝の形成された基準面Refを有する多層記録媒体100の構造とすれば、例えば図15にて説明したようなサーボ制御手法を採ることにより、各記録膜105に案内溝を形成しなくとも、録再用レーザ光のスポット位置(記録位置)が所要の記録膜105上の所定位置を追従するように制御を行うことができる。
このとき、多層記録媒体100としては、その製造にあたり各記録膜105ごとの案内溝の形成プロセスが省略されるので、その分、製造コストの削減が図られる。
しかしながら、当該多層記録媒体100のように各記録膜105に案内溝を形成しない、ひいては案内溝の形成による情報記録を行わない構造とした場合には、各記録膜105(記録層)を識別するための情報を予め書き込んでおくということができず、従って或る記録層にフォーカスオンしたときに、どの記録層にフォーカスオンしたかを確認することができなくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明では上記のような問題点に鑑み、光学ドライブ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、光源から出射され光記録媒体に対して照射される光の合焦位置を変化させるフォーカスアクチュエータを備える。
また、上記光記録媒体からの反射光を受光する受光部を備える。
また、上記受光部による上記反射光の受光結果に基づきフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部を備える。
また、上記フォーカスエラー信号に基づき上記フォーカスアクチュエータを駆動することで上記光についてのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部を備える。
また、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスサーボ制御部により得られる上記フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、上記フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスエラー信号生成部により得られるフォーカスエラー信号とに基づいて、上記フォーカスアクチュエータが上記光の合焦位置を変化させるために駆動するレンズの変位量を表す変位信号を生成する変位信号生成部を備える。
さらに、上記変位信号の低域成分を抽出する変位信号低域成分抽出部を備えるようにした。
後述もするように、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスサーボ制御部により得られる上記フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、上記フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスエラー信号生成部により得られるフォーカスエラー信号とに基づいては、上記フォーカスアクチュエータが上記光の合焦位置を変化させるために駆動するレンズ(フォーカス用レンズと称する)のフォーカス方向における変位量を表す変位信号を得ることができる。
このとき、或る層を対象としたフォーカスサーボが行われている状態において得られる上記変位信号は、面ブレ等への追従に伴う高域成分(AC成分)と、層選択に伴うフォーカス用レンズのオフセット量を表す低域成分(DC成分)とから成るものと捉えることができる。従って上記本発明のように上記変位信号の低域成分を抽出することによっては、層選択に伴うフォーカス用レンズのオフセット量を求めることができ、当該変位信号の低域成分に基づき、フォーカスサーボの対象とされている層が所望の層(例えば記録又は再生の対象とする層)であるか否かの判定を行うことができる。
この結果、上記本発明によれば、光記録媒体の各層にその層を識別するための情報が記録されていない場合においても、フォーカスサーボを掛けた層が所望の層であるか否かを確認することができる。
上記のように本発明によれば、フォーカス駆動信号成分とフォーカスアクチュエータの伝達特性とフォーカスエラー信号とに基づき、層選択に伴うフォーカス用レンズのオフセット量を求めることができる。つまりこれにより、光記録媒体の各層にその層を識別するための情報が記録されていない場合にも、フォーカスサーボの対象とされている層に関してその層の別を識別したり、またその層が所望の層であるか否かの判定を行うことができる。
この結果、上記本発明によれば、多層光記録媒体の製造にあたり各層ごとに案内溝(凹凸断面形状)の転写プロセスを施す必要はないものとでき、それにより光記録媒体の製造工程の簡素化や製造コストの削減を図ることができる。
また仮に、各層に案内溝の形成によって層の識別情報が記録されている場合であっても、本発明を適用すれば、層識別情報の読み出しにあたってのアクセス処理を不要とすることができる。つまりこの場合には、層の識別や所望層であるか否かの判定に要する処理負担の軽減や処理時間の短縮化が図られるようにすることができる。
実施の形態で記録/再生対象とする多層記録媒体の断面構造を示した図である。 実施の形態としての光学ドライブ装置の内部構成を示した図である。 層選択に伴う対物レンズのオフセット量について説明するための図である。 フォーカスサーボ制御系のモデルを示した図である。 層選択に伴う対物レンズのオフセット量を求めるための具体的な手法について説明するための図である。 層選択に伴う対物レンズのオフセット量を求めるための具体的な構成例を示した図である。 層選択に伴う対物レンズのオフセット量と合焦層との対応関係を表すテーブル情報の構造例を示した図である。 実施の形態としての層判定手法を実現するための具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 変形例1で記録/再生の対象とするバルク型記録媒体の断面構造を示した図である。 変形例1における記録時のサーボ制御手法について説明するための図である。 変形例1における光学ドライブ装置の構成について説明するための図である。 変形例1における再生時のサーボ制御手法について説明するための図である。 凹凸付き多層記録媒体の断面構造を示した図である。 記録層ごとの案内溝を形成しない多層記録媒体の断面構造を示した図である。 図14に示す多層記録媒体に対応して記録再生を行うための光学系の構成について説明するための図である。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.光記録媒体の構造とドライブ装置の構成>
[1-1.実施の形態で記録再生対象とする光記録媒体]
[1-2.実施の形態としての光学ドライブ装置の構成]
<2.層判定手法>
[2-1.層選択に伴う対物レンズのオフセット量の算出]
[2-2.算出した対物レンズオフセット量に基づく層判定手法]
<3.処理手順>
<4.実施の形態のまとめ>
<5.変形例>
[5-1.変形例1]
[5-2.変形例2]
[5-3.その他の変形例]
<1.光記録媒体の構造とドライブ装置の構成>
[1-1.実施の形態で記録再生対象とする光記録媒体]

図1は、実施の形態で記録再生対象とする光記録媒体の断面構造図を示している。
実施の形態で記録再生対象とする光記録媒体の構造は、先の図14にて説明した多層記録媒体100と同様となる。以下、実施の形態で記録再生対象とする光記録媒体については、多層記録媒体1と称する。
多層記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体であり、回転駆動される多層記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動される多層記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録や再生が行われる記録媒体を総称したものである。
図1に示されるように、多層記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する実施の形態としての光学ドライブ装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
また、以下では「深さ方向」という語を用いることがあるが、この「深さ方向」とは、上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち光学ドライブ装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
多層記録媒体1において、上記カバー層2は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための案内溝の形成に伴う凹凸の断面形状が与えられている。
上記案内溝としては、連続溝(グルーブ)、又はピット列で形成される。例えば案内溝がピット列で形成される場合、ピットとランドの長さの組み合わせにより位置情報(絶対位置情報:例えば回転角度情報や半径位置情報など)が記録される。或いは、案内溝がグルーブとされる場合、当該グルーブを周期的に蛇行(ウォブル)させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報の記録が行われる。
カバー層2は、このような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
また、上記案内溝が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
ここで、前述もした通り、案内溝等の位置案内子が形成されていない多層光記録媒体に対しては、所望の記録膜に対してマーク記録/再生を行うための光(録再用レーザ光)とは別途に、上記のような位置案内子に基づき主にトラッキング方向の位置制御を行うための光(サーボ用レーザ光)を別途に照射するものとされている。
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光が後述する記録膜5(5a,5b)に到達してしまうと、マーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという選択性を有する反射膜が必要とされている。先に述べたように、従来では録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なるレーザ光を用いるようにされており、これに対応すべく、上記選択反射膜3としては、録再用レーザ光と同波長帯の光は透過し、それ以外の波長による光は反射するという、波長選択性を有する選択反射膜が用いられる。
上記選択反射膜3の下層側には、例えば紫外線硬化樹脂で構成された中間層4を介して、記録層としての半透明記録膜5aと中間層4とが所定回数繰り返し積層されている。さらにその下層側には、記録膜5bが形成され、さらにその下層に対し、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成された基板6が形成されている。
半透明記録膜5aは、図14における半透明記録膜105aと同様、録再用レーザ光が照射された部分で他の部分との反射率差が生じるようにその物性が変化する記録材料と、上記録再用レーザ光の一部を透過(一部を反射)する半透明材料とが積層されて形成されるものとなる。
また記録膜5bは、記録膜105bと同様、録再用レーザ光が照射された部分で他の部分との反射率差が生じるようにその物性が変化する記録材料と、上記録再用レーザ光を略全反射する反射材料とが積層されて形成されたものとなる。
図示するように本例の多層記録媒体1においては、半透明記録膜5aが4つと記録膜5bが1つの合計5つの記録膜(記録層)5が形成されており、以下、これらの記録層については、上層側から順に記録層L0,L1,L2,L3,L4とも称する。
ここで、前述の案内溝の形成に伴い凹凸断面形状パターンの与えられた選択反射膜3は、後述もするようにサーボ用レーザ光に基づく録再用レーザ光の照射位置制御を行うにあたっての基準となる反射面となる。この意味で、選択反射膜3が形成された面を以下、基準面Refと称する。
[1-2.実施の形態としての光学ドライブ装置の構成]

図2は、図1に示した多層記録媒体1に対する記録/再生を行う実施の形態としての光学ドライブ装置(以下、記録再生装置10と称する)の内部構成を示している。
図2において、記録再生装置10に装填された多層記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図示は省略したスピンドルモータによる回転駆動が可能な状態に保持される。
そして、記録再生装置10には、上記スピンドルモータにより回転駆動される多層記録媒体1に対して録再用レーザ光、サーボ用レーザ光を照射するための光学ピックアップ(光学ヘッド)OPが設けられる。
光学ピックアップOP内には、マークによる情報記録、及びマークにより記録された情報の再生を行うための録再用レーザ光の光源である録再用レーザ11と、基準面Refに形成された案内溝を利用した位置制御を行うための光であるサーボ用レーザ光の光源であるサーボ用レーザ22とが設けられる。
ここで、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長が異なる。本例の場合、録再用レーザ光の波長はおよそ405nm程度(いわゆる青紫色レーザ光)、サーボ用レーザ光の波長はおよそ650nm程度(赤色レーザ光)とされる。
また、光学ピックアップOP内には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光の多層記録媒体1への出力端となる対物レンズ18が設けられる。
さらには、上記録再用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための録再光用受光部21と、サーボ用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するためのサーボ光用受光部30とが設けられる。
その上で、光学ピックアップOP内においては、録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光を対物レンズ18に導くと共に、対物レンズ18に入射した上記多層記録媒体1からの録再用レーザ光の反射光を上記録再光用受光部21に導くための光学系が形成される。
具体的に、録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光は、コリメーションレンズ12を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13は、このように録再用レーザ11側から入射した録再用レーザ光については透過するように構成されている。
上記偏光ビームスプリッタ13を透過した録再用レーザ光は、球面収差を補正するための液晶素子14を介した後、ミラー15にてその光軸が90°折り曲げられるようにして反射され、1/4波長板16を介してダイクロイックプリズム17に入射する。
ダイクロイックプリズム17は、その選択反射面が、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した録再用レーザ光は、ダイクロイックプリズム17にて反射される。
ダイクロイックプリズム17で反射された録再用レーザ光は、図示するようにして対物レンズ18を介して多層記録媒体1に対して照射される。
対物レンズ18に対しては、当該対物レンズ18をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:多層記録媒体1の半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ19が設けられる。
2軸アクチュエータ19には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号が与えられることで、対物レンズ18をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
ここで、再生時においては、上記のようにして多層記録媒体1に対して録再用レーザ光が照射されることに応じて、多層記録媒体1(再生対象の記録膜5)より上記録再用レーザ光の反射光が得られる。このように得られた録再用レーザ光の反射光は、対物レンズ18を介してダイクロイックプリズム17に導かれ、当該ダイクロイックプリズム17にて反射される。
ダイクロイックプリズム17で反射された録再用レーザ光の反射光は、1/4波長板16→ミラー15→液晶素子14を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する録再用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板16による作用と記録膜5での反射の作用とにより、録再用レーザ11側から偏光ビームスプリッタ13に入射した録再用レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90°異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射した録再用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された録再用レーザ光の反射光は、集光レンズ20を介して録再光用受光部21の検出面上に集光する。
また、光学ピックアップOP内には、上記により説明した録再用レーザ光についての光学系の構成に加えて、サーボ用レーザ22より出射されたサーボ用レーザ光を対物レンズ18に導き且つ、上記対物レンズ18に入射した多層記録媒体1(基準面Ref)からのサーボ用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部30に導くための光学系が形成される。
図示するようにサーボ用レーザ22より出射されたサーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ23を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ24に入射する。偏光ビームスプリッタ24は、このようにサーボ用レーザ22側から入射したサーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
上記偏光ビームスプリッタ24を透過したサーボ用レーザ光は、固定レンズ25、可動レンズ26、及びレンズ駆動部27から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、光源であるサーボ用レーザ22に近い側が固定レンズ25とされ、サーボ用レーザ22に遠い側に可動レンズ26が配置され、レンズ駆動部27によって上記可動レンズ26がサーボ用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、サーボ用レーザ光について独立したフォーカス制御を行う。以下、このエキスパンダについては、サーボ光用フォーカス機構とも呼ぶこととする。
上記サーボ光用フォーカス機構を介したサーボ用レーザ光は、1/4波長板28を介してダイクロイックプリズム17に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム17は、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム17を透過し、対物レンズ18を介して多層記録媒体1に照射される。
また、このように多層記録媒体1にサーボ用レーザ光が照射されたことに応じて得られる当該サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ18を介した後ダイクロイックプリズム17を透過し、1/4波長板28→可動レンズ26→固定レンズ25を介して偏光ビームスプリッタ24に入射する。
先の録再用レーザ光の場合と同様に、このように多層記録媒体1側から入射したサーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板28の作用と多層記録媒体1(基準面Ref)での反射の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90°異なるものとされ、従って復路光としてのサーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ24にて反射される。
このように偏光ビームスプリッタ24にて反射されたサーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ29を介してサーボ光用受光部30の検出面上に集光する。
ここで、図示による説明は省略するが、実際において記録再生装置10には、上記により説明した光学ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部が設けられ、当該スライド駆動部による光学ピックアップOPの駆動により、レーザ光の照射位置を広範囲に変位させることができるようにされている。
また、記録再生装置10には、上記により説明した光学ピックアップOPと共に、記録処理部31、録再光用マトリクス回路32、再生処理部33、録再光用サーボ回路34、サーボ光用マトリクス回路35、位置情報検出部36、サーボ光用サーボ回路37、及びコントローラ38が設けられる。
先ず、記録処理部31には、多層記録媒体1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部31は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化を施すなどして、バルク型記録媒体1に実際に記録される「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。
記録処理部31は、コントローラ38からの指示に応じて、このように生成した記録変調データ列に基づく録再用レーザ11の発光駆動を行う。
録再光用マトリクス回路32は、前述した録再光用受光部21としての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、上述した記録変調データ列を再生した再生信号に相当する高周波信号(以降、再生信号RFと称する)、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号TE-rpを生成する。
録再光用マトリクス回路32にて生成された上記再生信号RFは、再生処理部33に供給される。
また、上記フォーカスエラー信号FE-rp、上記トラッキングエラー信号TE-rpは、録再光用サーボ回路34に対して供給される。
上記再生処理部33は、上記再生信号RFについて、2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを再生した再生データを得る。
また、録再光用サーボ回路34は、録再光用マトリクス回路32から供給されるフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpに基づきフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpをそれぞれ生成し、これらフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpに基づくフォーカスドライブ信号FD-rp、トラッキングドライブ信号TD-rpに基づき、2軸アクチュエータ19のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行う。
なお先の説明からも理解されるように、録再用レーザ光の反射光に基づく2軸アクチュエータ19(対物レンズ18)のフォーカスサーボ制御は、記録時と再生時の双方において行われるものである。
一方、録再用レーザ光の反射光に基づく対物レンズ18のトラッキングサーボ制御は、再生時においてのみ行われるものである。
また、録再光用サーボ回路34は、コントローラ38からの指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして上記トラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、フォーカスサーボの引き込み制御も行う。
また録再光用サーボ回路34は、コントローラ38から指示される球面収差補正値に基づき前述した液晶素子14を駆動することで、録再用レーザ光についての球面収差補正を実行させる。
ここで本実施の形態の場合、録再光用サーボ回路34は、フォーカスサーボ制御がオンの状態における対物レンズ18の変位量を表す変位信号(d_i+α_i)やそのDC成分を抽出して得られる対物レンズ18のオフセット量(α_i)の算出も行うが、そのための構成については後に改めて説明する。
また、サーボ用レーザ光側に関して、サーボ光用マトリクス回路35は、上述したサーボ光用受光部30における複数の受光素子からの受光信号に基づき、必要な信号を生成する。
具体的にサーボ光用マトリクス回路35は、フォーカス/トラッキングの各サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また、基準面Refにおいて記録された絶対位置情報の検出を行うための位置情報検出用信号Dpsを生成する。
上記位置情報検出用信号Dpsは、図示するようにして位置情報検出部36に供給される。位置情報検出部36は、上記位置情報検出用信号Dpsに基づき基準面Refに記録された絶対位置情報を検出する。検出された絶対位置情報はコントローラ38に対して供給される。
また、上記サーボ光用マトリクス回路35にて生成されたフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svは、サーボ光用サーボ回路37に対して供給される。
サーボ光用サーボ回路37は、上記フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに基づきフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svをそれぞれ生成する。
そして、記録時には、コントローラ38からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-svに基づき生成したフォーカスドライブ信号FD-svに基づいて、前述したサーボ光用フォーカス機構におけるレンズ駆動部27を駆動することで、サーボ用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御(基準面Refに対する)を行う。また記録時には、コントローラ38からの指示に応じて、上記トラッキングサーボ信号TS-svに基づき生成したトラッキングドライブ信号TD-svに基づいて、2軸アクチュエータ19のトラッキングコイルを駆動することで、サーボ用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御(基準面Refの案内溝に対する)を行う。
一方、再生時においては、コントローラ38からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-svに基づき生成したフォーカスドライブ信号FD-svに基づいて、レンズ駆動部27を駆動することで、サーボ用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御(基準面Refに対する)を行う。
また、サーボ光用サーボ回路37は、コントローラ38から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして2軸アクチュエータ19のトラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。
また、コントローラ38からの指示に応じてフォーカスサーボの引き込み制御(基準面Refに対する)も行う。
コントローラ38は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
具体的にコントローラ38は、記録時には、録再光用サーボ回路34に対して対物レンズ18のフォーカスサーボ制御を実行するように指示を行うと共に、サーボ光用サーボ回路37に対して対物レンズ18のトラッキングサーボ制御、及びサーボ光用フォーカス機構(レンズ駆動部27)についてのフォーカスサーボ制御を実行するように指示を行う。
一方、再生時には、録再光用サーボ回路36に対して対物レンズ18についてのフォーカスサーボ制御・トラッキングサーボ制御を実行するように指示を行うと共に、サーボ光用サーボ回路37に対し、サーボ光用フォーカス機構(レンズ駆動部29)についてのフォーカスサーボ制御を実行するように指示を行う。
また特に本実施の形態の場合、コントローラ38は、録再光用サーボ回路34にて算出される対物レンズ18のオフセット量(α_i)の値に基づき、録再用レーザ光が合焦している記録層が、所望の記録層(記録/再生の対象としている記録層)であるか否かについての判定を行うことになるが、この点については後に改めて説明する。
<2.層判定手法>
[2-1.層選択に伴う対物レンズのオフセット量の算出]

ここで、先の図1に示した多層記録媒体1において、録再用レーザ光によるマーク記録を行うための各記録層(記録膜5)は、単にその成膜材料を均一に塗布するなどして形成されたものであり、特段の情報記録は行われていないものとなっている。このような多層記録媒体1については、録再用レーザ光の反射光情報から、単に録再用レーザ光が記録層に合焦しているか否かについては判定することはできるが、合焦している記録層が所望の記録層であるか(或いは何れの記録層であるか)ということまでは特定することができない。
そこでこの点に鑑み、本実施の形態では、複数の記録層を有する多層光記録媒体について、記録層ごとの層識別情報が記録されていない場合にも、録再用レーザ光が所望の記録層に対して正しく合焦しているか否かを確認することのできる手法を提案する。
ここで、或る記録層に対しフォーカスサーボの引き込み(つまりフォーカスオン)を行い、記録/再生の対象とする層を選択した状態では、対物レンズ18は、次の図3に示すように駆動されていることとなる。
図3は、層選択に伴う対物レンズ18のオフセット量αについて説明するための図であり、具体的には、多層記録媒体1における記録層L0を選択した状態と、その2層分下層に位置する記録層L2を選択した状態とを対比して示している。
先ず前提として、本例においては、対物レンズ18の基準位置(ここでは簡単のため該基準位置はフォーカスドライブ信号FD-rpのレベルが0レベルの状態であるとする)は、記録層L0を選択する位置に設定されているものとする(図中左側の状態を参照)。換言すれば、この場合の光学系は、対物レンズ18がその基準位置にある状態において、録再用レーザ光の合焦位置が記録層L0に一致するように設計されているものである。
この前提を踏まえた上で、図中の右側に示すように記録層L2を選択した状態では、対物レンズ18は、記録層L0から記録層L2までの距離に応じたオフセット量αの分だけシフトした位置に駆動されていることとなる。
つまりこのことからも理解されるように、何れの記録層を選択しているかは、対物レンズ18(つまり録再用レーザ光の合焦位置を変化させるためのレンズ=フォーカス用レンズ)の基準位置からのオフセット量αを求めることで知ることができる。
このような対物レンズ18のオフセット量αの値は、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボループ内にて得れる信号を用いて逆算して求めることができる。以下、そのための具体的な手法について説明する。
図4は、フォーカスサーボ制御系のモデルを示している。
図4において、図中の「r」はフォーカスサーボ制御を行うにあたっての制御目標値であり、この場合はr=0である。また、図中の「e」はフォーカスエラー信号FE-rpの値を表す。
また、図中の「C」はフォーカスサーボ演算(制御演算)に相当する伝達関数をブロック化して示したもので、以下、ブロックCと称する。
また図中の「P」は2軸アクチュエータ19の応答特性に相当する伝達関数をブロック化したもので、以下、ブロックPと称する。
また「y」は、フォーカスサーボ制御系の出力を表す。当該出力yは、図2に示した録再光用受光部21の出力に相当するものである。
また、「d+α」は、フォーカスサーボ制御系に与えられる外乱成分を表す。
ここで、フォーカスサーボ制御を実行している状態において、フォーカスサーボ制御系に与えられる外乱成分は、対物レンズ18の基準位置からの変位量であると捉えることができる。
この外乱成分(変位量)は、或る記録層を選択したフォーカスサーボ制御が行われている状態においては、多層記録媒体1の面ブレ等に起因した高域成分(AC成分)と、層選択に伴う対物レンズ18のオフセット量としての低域成分(DC成分)とから成る。このため図4では、外乱成分に関しそのAC成分dとDC成分αとを分けて示している。
この図4に示すモデルを参照して理解されるように、フォーカスサーボ制御系において、出力yとフォーカスエラー信号FE-rpの値eは、次の式で表されるものとなる。

−eCP+(d+α)=y ・・・[式1]

e=y−r ・・・[式2]
ここで、これら[式1][式2]によると、下記[式3]の関係が成り立つ。

−eCP+(d+α)=e+r ・・・[式3]

上記[式3]によると、外乱成分d+αは、

d+α=e+r+eCP ・・・[式4]

と表せる。
このとき、前述のようにr=0であることより、外乱成分d+αは、

d+α=e+eCP ・・・[式5]

と表せる。
このように外乱成分(変位量)d+αの値は、フォーカスエラー信号FE-rp(e)にブロックCの伝達関数とブロックPの伝達関数とを乗じて得られる「eCP」という値に対し、フォーカスエラー信号FE-rpの値eを加算することで求めることができる。
但し、実際の構成において、2軸アクチュエータ19の応答特性に相当するブロックPの出力は数値として得られるものではないので、次の図5のモデルに示すように、「d+α」の値は、2軸アクチュエータ19の同定モデルP_iを用いて、推定量d_i+α_iとして求める。
すなわち、この図5に示されるように、外乱成分d+αの推定量d_i+α_iは、

d_i+α_i=eCP_i+e ・・・[式6]

により求める。
ここで、2軸アクチュエータ19の同定モデルP_i(伝達関数)は、2軸アクチュエータ19(フォーカスアクチュエータ)の伝達関数ついて予め実験を行って求めておくものである。
その上で、層選択に伴う対物レンズ18のオフセット量α_i(オフセット量αの推定量)については、上記[式6]により求まった推定量d_i+α_i(対物レンズ18の変位量を表す変位信号)の低域成分を抽出することで求める。すなわち図5に示されるように、上記推定量d_i+α_iに相当する信号をローパスフィルタにかけてその低域成分を抽出し、上記推定量α_iを求めるものである。
図6は、上記のような手法によってオフセット量α_iを求めるための実際の構成例について説明するための図であり、図2に示した録再光用サーボ回路34の内部構成のうち、フォーカスサーボ信号FS-rpの生成系とオフセット量α_iの算出系の構成を抽出して示している。
この図6に示されるように、録再光用サーボ回路34内には、図2に示した録再光用マトリクス回路32からのフォーカスエラー信号FE-rpに対してサーボ演算(位相補償やループゲイン付与など)処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-rpを生成するサーボ演算部40が設けられる。
そして、録再光用サーボ回路34には、オフセット量α_iの算出系の構成として、アクチュエータ特性付与フィルタ41、加算部42、及びローパスフィルタ43が設けられる。
図示するようにアクチュエータ特性付与フィルタ41は、サーボ演算部40から出力されるフォーカスサーボ信号FS-rpを入力し、当該フォーカスサーボ信号FS-rpに対して2軸アクチュエータ19の応答特性を付与する。具体的に、当該アクチュエータ特性付与フィルタ41には、前述の同定モデルP_iとしての伝達関数に相当するフィルタ特性(周波数特性)が設定されており、当該フィルタ特性によりフォーカスサーボ信号FS-rpに対するフィルタ処理を施すことで、2軸アクチュエータ19の応答特性を付与するようにされる。
加算部42は、このようにアクチュエータ特性付与フィルタ41で特性付与されたフォーカスサーボ信号FS-rpと、フォーカスエラー信号FE-rpとを加算する。
これにより、先ずは「d_i+α_i」としての変位信号が得られる。
上記加算部42により得られた変位信号(d_i+α_i)は、ローパスフィルタ43に供給される。ローパスフィルタ43は、上記変位信号の低域成分を抽出し(つまりAC成分である「d_i」の成分を除去し)、オフセット量α_iを得る。
このように算出されたオフセット量α_iの値は、図2に示したコントローラ38に対して供給される。
[2-2.算出した対物レンズオフセット量に基づく層判定手法]

本実施の形態では、上記のようにして算出されたオフセット量α_iの値に基づき、現在選択中の記録層(フォーカスサーボの対象とされている記録層)が、記録/再生の対象とする所望の記録層であるか否かの判定を行う。
ここで、前提として、このようなオフセット値α_iの値に基づく実施の形態としての層判定は、例えばスタートアップ動作時において所望の記録層に初回にフォーカスサーボ引き込みを行ったときや、何らかの要因でフォーカスサーボ外れが生じた後に再度所望の記録層にフォーカスサーボ引き込みを行ったときなどに、実際に引き込みの行われた記録層が所望の記録層であるかを確認するために実行されるものとなる。
図2に示したコントローラ38は、上記のようにスタートアップ時やフォーカスサーボ外れ後における所望の記録層へのフォーカスサーボ引き込みが実行されたことに応じて、録再光用サーボ回路34によるオフセット量α_iの算出処理を実行させ、算出されたオフセット量α_iの値を取得する。
そして、このように取得したオフセット量α_iの値に基づき、以下のようにしてフォーカスサーボの対象とされている記録層が所望の記録層であるか否かの判定を行う。
本実施の形態では、このようなオフセット量α_iの値に基づく層判定は、次の図7に示されるようなテーブル情報を用いて行う。
具体的には、図7に示すように予め各記録層とその記録層に対応したオフセット量α_iの範囲情報とを1対1で対応づけたテーブル情報を用いるものである。
先の図3での説明からも理解されるように、選択する記録層の深さとオフセット量α_iの値とは比例する関係となる。具体的に、2軸アクチュエータ19のフォーカス感度をA(mm/V)、記録層の深さ(記録層L0からの厚み)をt(μm)とすると、層選択に伴う対物レンズ18のオフセット量(推定量)α_i(V)は、

α_i=A/t×10-3(V)

と表される。
図7に示すテーブル情報は、予め各記録層ごとに、その記録層を選択した際にオフセット量α_iが取り得る値の範囲を実験的に求めておき、その対応関係を示すように生成しておく。
コントローラ38は、上記テーブル情報を用いて、取得したオフセット量α_iの値からフォーカスサーボの対象とされている記録層(現在選択中の記録層)が所望の記録層であるか否かを判定する。具体的には、取得したオフセット量α_iの値が、上記テーブル情報における所望の記録層に対応づけられた範囲情報が表すオフセット量α_iの値の範囲内に収まるものであるか否かを判定するものである。
ここで、図7に示すテーブル情報は、例えばコントローラ38が備えるメモリに対して予め格納されている。コントローラ38は該メモリに格納されたテーブル情報を用いて上記の判定処理を実行する。
上記判定処理の結果、フォーカスサーボの対象とされている記録層が所望の記録層でないとされた場合は、所望の記録層へのフォーカスサーボ引き込みをリトライする。すなわち、所望の記録層へのフォーカスサーボ引き込みを、フォーカスサーチ動作からやり直させるものである。
また、フォーカスサーボの対象とされている記録層が所望の記録層であるとされた場合は、予め定められた次処理を実行する。例えば、トラッキングサーボの引き込みを実行させるための処理を実行する。
ここで、上記のような所望層を対象としたフォーカスサーボ引き込みから層判定までの一連の動作に関して、球面収差補正が行われていない状態では、適正なフォーカスエラー信号FE-rpを得ることができず、フォーカスサーボの引き込みやオフセット量α_iの算出を適正に行うことができない虞がある。
この点に鑑み本実施の形態では、フォーカスサーボの引き込みからオフセット量α_iの算出による層判定までの動作を、球面収差補正を実行させた状態において実行するものとしている。
具体的にコントローラ38は、例えば記録層ごとに最適とされる球面収差補正値が対応づけられたテーブル情報を用いて、これからフォーカスサーボをかけようとする所望の記録層に対応する球面収差補正値を録再光用サーボ回路34に指示し、液晶素子14による録再用レーザ光の球面収差補正を実行させる。その状態において、フォーカスサーチ動作及び所望記録層へのフォーカスサーボ引き込みを実行させ、該フォーカスサーボの引き込みが完了した状態において取得した推定量α_iの値に基づき、上記の層判定処理を行う。
<3.処理手順>

図8のフローチャートは、上記により説明した実施の形態としての層判定手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
なお図8においては、実施の形態としての層判定手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を、図2に示したコントローラ38が例えば内蔵するROM等に格納されたプログラムに従って実行する処理の手順として示している。
図8においては、スタートアップ時に対応して実行されるべき処理の手順を示している。
図8において、先ずステップS101においては、対象層に応じた補正値による球面収差補正を実行させる。すなわち、記録層ごとに最適とされる球面収差補正値が対応づけられたテーブル情報を用いて、これからフォーカスサーボをかけようとする所望の記録層に対応する球面収差補正値を録再光用サーボ回路34に指示し、液晶素子14による録再用レーザ光の球面収差補正を実行させる。
続くステップS102においては、フォーカスサーチ及び対象層へのフォーカスサーボ引き込みの実行指示を行う。すなわち、録再光用サーボ回路34に対し、フォーカスサーチ及び対象とする所望の記録層へのフォーカスサーボの引き込み動作の実行指示を行う。
次のステップS103においては、引き込みが成功したか否かを判別する。
録再光用サーボ回路34よりフォーカスサーボの引き込みに失敗した旨の通知があり、引き込みが成功しなかったとの否定結果が得られた場合は、図示するようにリトライ処理に移行する。本例の場合このリトライ処理としては、所望の記録層へのフォーカスサーボ引き込みを、フォーカスサーチ動作からやり直させる処理を実行する。具体的には、ステップS102に戻るようにすればよい。
一方上記ステップS103において、録再光用サーボ回路34よりフォーカスサーボの引き込みに成功した旨の通知があり、肯定結果が得られた場合は、ステップS104に進み、オフセット量α_iを取得するための処理を実行する。すなわち、録再光用サーボ回路34によるオフセット量α_iの算出処理を実行させ、算出されたオフセット量α_iの値を取得する。
続くステップS105では、対象層であるか否かを判別(判定)する。つまり、ステップS104にて取得したオフセット量α_iの値と、先の図7に示したテーブル情報の情報内容とに基づき、実際にフォーカスサーボの引き込みが行われた記録層が所望の記録層であるか否かを判別する。具体的には、上記取得したオフセット量α_iの値が、上記テーブル情報における所望の記録層(サーボの引き込み対象とした記録層)に対応づけられた範囲情報が表すオフセット量α_iの値の範囲内に収まるものであるか否かを判定するものである。
ステップS105において、取得したオフセット量α_iの値が所望の記録層に対応づけられた範囲情報が表すオフセット量α_iの値の範囲内に収まるものではなく、対象層ではないとの否定結果が得られた場合は、前述したリトライ処理に移行する。
一方ステップS105において、取得したオフセット量α_iの値が所望の記録層に対応づけられた範囲情報が表すオフセット量α_iの範囲内に収まっており、対象層であるとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す層判定のための処理は終了となる。
なお図8では、スタートアップ時に対応して実行されるべき一連の処理を示したが、フォーカスサーボ外れに応じて所望記録層への再度のフォーカスサーボ引き込みを行う際にも層判定が行われるようにするためには、この図8に示す処理の実行後において、図中のステップS103以降の処理を行うようにすればよい。
また、図8に示すスタートアップ動作時に対応した処理の実行後に再度のフォーカスサーボ引き込みを行う場合としては、別の記録層への層間ジャンプを行う場合を挙げることができる。図示による説明は省略したが、このように層間ジャンプを行う際には、新たな記録層を対象としたフォーカスサーボ引き込みを行う前に、該新たな記録層に応じた適切な補正値を録再光用サーボ回路34に指示して球面収差補正を実行させる。これにより以降、該新たな記録層を対象として再度のフォーカスサーボ引き込みや層判定の動作が行われる場合にも、適正な補正値による球面収差補正が行われている状態とすることができ、フォーカスエラー信号FE-rpの劣化が防止されて、フォーカスサーボ引き込みや層判定の精度の向上が図られるようにすることができる。
<4.実施の形態のまとめ>

上記により説明したように、本実施の形態では、フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、フォーカスアクチュエータの伝達特性と、フォーカスエラー信号FE-rpと基づき、層選択に伴う対物レンズ18のオフセット量(α_i)を求めるものとしている。
このようなオフセット量α_iが求まれば、その値から、現在選択中の記録層が所望の記録層であるか否かの判定を行うことができる。
ここで、上記のように本実施の形態によれば、現在選択中の記録層が所望の記録層であるか否かの判定は、フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、フォーカスアクチュエータの伝達特性と、フォーカスエラー信号FE-rpとに基づき行うことができる。
このことからも理解されるように本実施の形態によれば、現在選択中の記録層の判定にあたっては、各記録層にその別を識別するための情報(層識別情報)を記録しておく必要はないものとでき、その分、記録媒体の製造プロセスの削減を図ることができ、記録媒体の製造コスト削減が図られる。
また、本実施の形態では、所望の記録層であるかの判定は、その記録層に対応した球面収差補正が実行されている状態にて行われるようにしている。これにより、所望の記録層であるかの判定精度を向上させることができる。
また実施の形態では、所望の記録層を対象としたフォーカスサーボ引き込みについても球面収差補正が実行されている状態で行われるようにしているが、このことで、フォーカスサーボの引き込み精度についての向上も図ることができる。
<5.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
[5-1.変形例1]

例えばこれまでの説明では、本発明で対象とする光記録媒体が、複数の記録膜5を有する多層記録媒体1とされる場合を例示したが、本発明としては、例えば次の図9に示されるようないわゆるバルク型の光記録媒体(バルク型記録媒体45とする)を対象とする場合にも好適に適用できる。
図9は、バルク型記録媒体45の断面構造を示している。
バルク型記録媒体45には、多層記録媒体1と同様に上層側からカバー層2、選択反射膜3、中間層4が形成された上で、その下層側に、バルク層46が形成されている。バルク層45には、例えば下記の参考文献に開示されるようなボイド(空孔)による記録マークを形成することのできる、例えば光重合型フォトポリマなどの記録材料が選定される。
このようなバルク層46に対し、比較的高パワーでレーザ光照射を行って空孔を記録することで、該空孔部分は他の部分と屈折率が異なる部分となり、それらの境界部分で光の反射率が高められることになる。従って上記空孔部分は記録マークとして機能し、これによって空孔マークの形成による情報記録が実現される。

参考文献・・・特開2008−176902号公報
このようなバルク型記録媒体45に対するマーク記録時の動作について、次の図10を参照して説明する。
先ず、記録膜(反射膜)の形成されていないバルク層46に対して多層記録を行うとしたときには、バルク層46内の深さ方向において、マークを記録する層位置を何れの位置とするかを予め設定しておくことになる。図中では、バルク層46内においてマークを形成する層位置(マーク形成層位置:情報記録層位置とも呼ぶ)として、第1情報記録層位置L0〜第5情報記録層位置L4の計5つの情報記録層位置Lが設定された場合を例示している。図示するように第1情報記録層位置L0は、案内溝が形成された基準面Refからフォーカス方向(深さ方向)に第1オフセットof-L0分だけ離間した位置として設定される。また、第2情報記録層位置L1、第3情報記録層位置L2、第4情報記録層位置L3、第5情報記録層位置L4は、それぞれ基準面Refから第2オフセットof-L1分、第3オフセットof-L2分、第4オフセットof-L3分、第5オフセットof-L4分だけ離間した位置として設定される。
マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の反射光に基づいてバルク層46内の所要の層位置を対象としたフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うことはできない。従って、記録時における対物レンズ18のフォーカスサーボ制御、及びトラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光の合焦位置(スポット位置)が基準面Ref上において案内溝に追従するようにして行うことになる。
但し、録再用レーザ光は、マーク記録のために、基準面Refよりも下層側に形成されたバルク層46に到達させる必要がある。このため、この場合の光学系には、次の図11に示されるような録再光用フォーカス機構50を、録再用レーザ光の光路中に別途挿入しておく必要がある。
図11は、変形例1の場合における光学ドライブ装置(記録再生装置)の内部構成(特に光学系の構成を抽出)を示している。
この図11に示されるように、録再光用フォーカス機構50は、固定レンズ51、可動レンズ52、及びレンズ駆動部53を有する。可動レンズ52は、レンズ駆動部53により入射光軸に平行な方向に変位可能に保持されており、これにより上記レンズ駆動部53を駆動することで、録再用レーザ光の合焦位置をサーボ用レーザ光とは独立して変化させることができるようになっている。
バルク型記録媒体45に対する記録時には、対物レンズ18のフォーカスサーボ制御は、サーボ用レーザ光の合焦位置が基準面Refに一致するように2軸アクチュエータを駆動することで行う。その一方で、録再用レーザ光の合焦位置は、先の図10に示したオフセットofの値に応じた分だけレンズ駆動部53を駆動することで、所望の情報記録層位置Lに一致させる。つまり、レンズ駆動部53の駆動により、記録層位置の選択を行うものである。
なお、この場合も記録時のトラッキングサーボは、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Ref上の案内溝に追従するように2軸アクチュエータ19を駆動することで行う。
図12は、バルク型記録媒体45に対する再生時のサーボ制御について説明するための図である。
既にバルク層46内に対するマーク記録が行われた再生時には、記録済みマーク列により、バルク層46内にマーク形成層(情報記録層)が形成された状態となる(図中のL0〜L5)。従ってバルク型記録媒体45の再生時には、多層記録媒体1の再生時と同様の手法でサーボ制御を行うことになる。
具体的に、再生時においては、対物レンズ18のフォーカスサーボ制御は、録再用レーザ光の反射光に基づき、該録再用レーザ光の合焦位置が所望の情報記録層Lに一致するように2軸アクチュエータ19を駆動することで行い、対物レンズ18のトラッキングサーボ制御は、録再用レーザ光の反射光に基づき、該録再用レーザ光のスポット位置が記録済みマーク列を追従するように2軸アクチュエータ19を駆動することで行う。
また再生時には、サーボ用レーザ光の反射光に基づきレンズ駆動部27を制御することで、該サーボ用レーザ光の合焦位置を基準面Refに対して一致させるためのフォーカスサーボ制御を行う。
上記説明からも理解されるように、バルク型記録媒体45を対象とする変形例1の場合には、再生時において、多層記録媒体1を対象とした場合と同様の問題、すなわちフォーカスサーボの対象としている層が何れの層であるかを識別することができない、という問題が生じることとなる。
従って当該変形例1の場合は、再生時においてのみ、先に説明した実施の形態としての手法による層判定を行う。すなわち、再生時においてのみ、録再光用サーボ回路34にて得られるフォーカスアクチュエータ(2軸アクチュエータ19のフォーカスコイル)の駆動信号成分と、該フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスエラー信号FE-rpとに基づくオフセット量α_iの算出と、該オフセット量α_iに基づく層判定を行うものである。
ところで、この変形例1の場合には、記録時において各層位置に層識別情報を記録しておくということが可能である。
但し、このように記録した層識別情報に基づき層判定を行うとしたときには、該層識別情報の記録位置にアクセスするという処理が別途に必要となる。このため、層判定にあたっての処理負担の増大化や処理時間の増加が問題となる。
上記のようにして実施の形態としての手法による層判定を行うものとすれば、層判定にあたりこのように所定位置にアクセスする処理は不要とすることができる。つまりその分、層判定にあたっての処理負担の軽減、及び処理時間の短縮化が図られる。
ここで、上記変形例1のように、録再用レーザ光について独立してフォーカス制御を行う録再光用フォーカス機構50を設ける場合には、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボは2軸アクチュエータ19ではなく当該録再光用フォーカス機構50を駆動することで行うことができる。つまりこの場合、対物レンズ18のフォーカスサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、該サーボ用レーザ光の合焦位置が基準面Refに一致するように2軸アクチュエータ19を駆動することで行うこととなる。
このようにサーボ用レーザ光のフォーカスサーボを対物レンズ18を駆動して行い、録再用レーザ光のフォーカスサーボを録再光用フォーカス機構50を駆動して行うとした場合は、録再光用フォーカス機構50における可動レンズ52について、層選択に伴うオフセット量α_iを求めることになる。
但し、オフセット量α_iを求めるための構成自体については、録再光用レーザ光のフォーカスサーボを対物レンズ18を駆動して行う図2の場合と同様であり、具体的に、この場合もオフセット量α_iとしては、録再用レーザ光の反射光を受光して得られるフォーカスエラー信号FE-rpに基づき生成されるフォーカスアクチュエータ(この場合はレンズ駆動部53となる)の駆動信号成分と、該フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスエラー信号FE-rpとに基づき、先に説明した実施の形態の手法と同様の手法により算出することができる。
またこのことは、図1に示した多層記録媒体1を対象とする場合にも当てはまる。
多層記録媒体1についての記録再生を行う記録再生装置10の場合も、図11に示したような録再光用フォーカス機構50を設けて、該録再光用フォーカス機構50を駆動することで録再用レーザ光のフォーカスサーボを行うように構成することができる。先の説明からも理解されるように、多層記録媒体1を対象とする場合は、再生時のみでなく記録時においても記録層からの反射光を得ることができるので、この場合においては、記録時と再生時の双方において、サーボ用レーザ光のフォーカスサーボを対物レンズ18(2軸アクチュエータ19)を駆動して行い、録再用レーザ光のフォーカスサーボを録再光用フォーカス機構50を駆動して行うこととなる。
このような構成とした場合も、層判定にあたっては録再光用フォーカス機構50における可動レンズ52についてのオフセット量α_iを求めることになるが、その算出手法自体は、実施の形態にて説明したものと同様となる。すなわち、この場合としてもオフセット量α_iは、録再用レーザ光の反射光を受光して得られるフォーカスエラー信号FE-rpに基づき生成されるフォーカスアクチュエータ(この場合はレンズ駆動部53となる)の駆動信号成分と、該フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスエラー信号FE-rpとに基づき、先の実施の形態の手法と同様の手法で算出することができる。
[5-2.変形例2]

また、本発明は、図13に示すような凹凸付き多層記録媒体60を対象とする場合にも好適に適用できる。
この凹凸付き多層記録媒体60は、記録層ごとにグルーブ及び/又はピット列による案内溝が形成された多層光記録媒体となる。
図示するようにこの場合の凹凸付き多層記録媒体60は、最上層にカバー層2が形成され、その下層側においては半透明記録膜61aと中間層62とが所定回数繰り返し積層される。さらにその下層には記録膜61bが形成され、該記録膜61bの下層に基板63が形成されている。この場合、半透明記録膜61a、記録膜61bの形成材料は、多層記録媒体1における半透明記録膜5a、記録膜5bとそれぞれ同じであるとする。
記録膜61bは、案内溝が形成された基板63上に成膜されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられる。
このように成膜された記録膜61b上に対し、例えば紫外線硬化樹脂とされる中間層62の形成材料をスピンコート法などで塗布し、そこにスタンパを押し当てた状態で紫外線照射を行うことで、案内溝が転写された中間層62を積層する。半透明記録膜61aは、このように積層された中間層62上に成膜されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられることとなる。
以降、このような中間層62の積層、中間層62上への半透明記録膜61aの成膜を所定回数繰り返した上で、最上層にカバー層2を積層することで、図のような断面形状を有する凹凸付き多層記録媒体60が生成される。
このような凹凸付き多層記録媒体60を対象として記録再生を行う記録再生装置としては、多層記録媒体1やバルク型記録媒体45を対象とする記録再生装置のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを別々に照射する構成を採る必要性はなく、録再用レーザ光についての光学系のみを備えるものとすればよい。
このような凹凸付き多層記録媒体60を対象とする記録再生装置においても、先に説明した実施の形態と同様の手法により対物レンズ18の層選択に伴うオフセット量α_iの算出と該オフセット量α_iに基づく層判定とを行うことができる。凹凸付き多層記録媒体60を対象とした場合にこのようなオフセット量α_iの算出結果に基づく層判定を行うことによっては、各層に予め記録された層識別情報を読み出して層判定を行う場合との比較では、層判定にあたり層識別情報の記録位置にアクセスする処理を不要とすることができ、その分の処理負担の軽減、及び処理時間の短縮化が図られる。
[5-3.その他の変形例]

また、これまでの説明では、オフセット量(推定量)α_iの算出にあたって必要とされるフォーカスアクチュエータの駆動信号成分に該当する信号として、フォーカスサーボ信号FS-rpを用いる場合を例示したが、これに代えて、フォーカスドライブ信号FD-rpを用いることもできる。
また、これまでの説明では、オフセット量α_iを算出し、該オフセット量α_iの値がテーブル情報における所望の記録層と対応づけられた範囲情報が示す範囲内に収まっているか否かを判定することで、現在選択中の記録層が所望の記録層であるか否かを判定するという手法を採るものとしたが、これに代えて、取得したオフセット量α_iの値から、現在選択中の記録層を特定(識別)し、該特定した記録層が所望の記録層であるか否かを判定するという手法を採ることもできる。
具体的には、テーブル情報に格納される各範囲情報のうちで、取得したオフセット量α_iの値を含んでいる範囲情報を特定することで現在選択中の記録層を特定し、このように特定した記録層が、所望の記録層と一致するか否かを判定することで、現在選択中の記録層が所望の記録層であるか否かを判定するものである。
また、これまでの説明では、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のそれぞれの反射光を装置側で独立して受光するにあたり、ダイクロイックプリズム17を設けて、それぞれの光の波長の違いを利用して分光を行う手法を例示したが、これに代えて、例えばp偏光/s偏光などの偏光方向の違いを利用した分光を行う構成を採るなど、他の手法により分光を行うようにすることもできる。
例えば上記のように偏光を利用した分光を行う場合、録再光用レーザ光とサーボ用レーザ光とは同波長の光を用いることも可能であり、さらに言えば、録再用レーザとサーボ用レーザとを別々に設ける必要性はなく、光源を1つに共通化することもできる。
またこれまでの説明では、光ディスク記録媒体の基準面に対する位置案内子の形成が、グルーブやピット列などの凹凸断面形状パターンの付与により行われる場合を例示したが、本発明における光記録媒体が有する位置案内子は、例えばマーク列の記録などの他の手法により形成されたものであってもよい。
またこれまでの説明では、位置案内子が形成された基準面が、複数の記録膜が形成された領域よりも上層側に形成される場合を例示したが、逆に下層側に形成される場合にも本発明は好適に適用できる。
またこれまでの説明では、本発明が光記録媒体に対する記録及び再生の双方を行う記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明は光記録媒体に対する記録のみが可能とされた記録専用装置(記録装置)や再生のみが可能とされた再生専用装置(再生装置)にも好適に適用することができる。
1 多層記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、4,62 中間層、5a,61a 半透明記録膜、5b,61b 記録膜、6 基板、10 記録再生装置、11 録再用レーザ、12,23 コリメーションレンズ、13,24 偏光ビームスプリッタ、14 液晶素子、15 ミラー、16,28 1/4波長板、17 ダイクロイックプリズム、18 対物レンズ、19 2軸アクチュエータ、20,29 集光レンズ、21 録再光用受光部、22 サーボ用レーザ、25,51 固定レンズ、26,52 可動レンズ、27,53 レンズ駆動部、30 サーボ光用受光部、31 記録処理部、32 録再光用マトリクス回路、33 再生処理部、34 録再光用サーボ回路、35 サーボ光用マトリクス回路、36 位置情報検出部、37 サーボ光用サーボ回路、38 コントローラ、41 アクチュエータ特性付与フィルタ、42 加算部、43 ローパスフィルタ(LPF)、45 バルク型記録媒体、46 バルク層、50 録再光用フォーカス機構、60 凹凸付き多層記録媒体

Claims (8)

  1. 光源から出射され光記録媒体に対して照射される光の合焦位置を変化させるフォーカスアクチュエータと、
    上記光記録媒体からの反射光を受光する受光部と、
    上記受光部による上記反射光の受光結果に基づきフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、
    上記フォーカスエラー信号に基づき上記フォーカスアクチュエータを駆動することで上記光についてのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部と、
    フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスサーボ制御部により得られる上記フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、上記フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスエラー信号生成部により得られるフォーカスエラー信号とに基づいて、上記フォーカスアクチュエータが上記光の合焦位置を変化させるために駆動するレンズの変位量を表す変位信号を生成する変位信号生成部と、
    上記変位信号の低域成分を抽出する変位信号低域成分抽出部と
    を備える光学ドライブ装置。
  2. 上記変位信号生成部は、
    上記フォーカスアクチュエータの駆動信号成分に上記フォーカスアクチュエータの伝達関数に基づくフィルタ処理を施して得た信号成分に対し、上記フォーカスエラー信号を加算して上記変位信号を生成する
    請求項1に記載の光学ドライブ装置。
  3. 上記変位信号の低域成分の値に基づいて、フォーカスサーボの対象とされている層が所望の層であるか否かを判定する判定部を備える
    請求項2に記載の光学ドライブ装置。
  4. 上記判定部は、
    上記フォーカスサーボ制御部によるフォーカスサーボの引き込みが成功したことに応じてフォーカスサーボの対象とされている層が上記所望の層であるか否かの判定を行う
    請求項3に記載の光学ドライブ装置。
  5. 上記光についての球面収差補正を行う球面収差補正部を備えており、
    上記判定部は、
    上記球面収差補正部による球面収差補正が行われている状態にて得られた上記変位信号の低域成分の値に基づいてフォーカスサーボの対象とされている層が上記所望の層であるか否かの判定を行う
    請求項4に記載の光学ドライブ装置。
  6. 上記判定部は、
    各層に対応する上記変位信号の低域成分の値の範囲情報が各層ごとに対応づけられたテーブル情報を用いてフォーカスサーボの対象とされている層が上記所望の層であるか否かの判定を行う
    請求項5に記載の光学ドライブ装置。
  7. 上記変位信号の低域成分の値に基づき、フォーカスサーボの対象とされている層が何れの層であるかを識別する識別部を備える
    請求項2に記載の光学ドライブ装置。
  8. 光源から出射され光記録媒体に対して照射される光の合焦位置を変化させるフォーカスアクチュエータと、上記光記録媒体からの反射光を受光する受光部と、上記受光部による上記反射光の受光結果に基づきフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、上記フォーカスエラー信号に基づき上記フォーカスアクチュエータを駆動することで上記光についてのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部とを備えた光学ドライブ装置における信号処理方法であって、
    フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスサーボ制御部により得られる上記フォーカスアクチュエータの駆動信号成分と、上記フォーカスアクチュエータの伝達関数と、フォーカスサーボ制御がオンの状態にて上記フォーカスエラー信号生成部により得られるフォーカスエラー信号とに基づいて、上記フォーカスアクチュエータが上記光の合焦位置を変化させるために駆動するレンズの変位量を表す変位信号を生成する変位信号生成ステップと、
    上記変位信号の低域成分を抽出する変位信号低域成分抽出ステップと
    を有する信号処理方法。
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