JP2011145209A - 地絡継電器試験装置および地絡継電器試験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ωC測定部11は、分散リアクトル接地系統に接続された接地用変圧器1の中性点接地抵抗の抵抗分ngrを接地形計器用変圧器3のGPT三次制限抵抗R1とアドミッタンスωCを計算する零相等価回路上で別要素にするとともに、分散リアクトル接地系統に接続された複数個の線路用リアクトル21〜2nの抵抗分の合成抵抗をGPT三次制限抵抗R1とこの零相等価回路上で別要素にして、切替スイッチSWの切替前後の接地形計器用変圧器3の三次電圧V3に基づいて対地静電容量Cを求める。母線地絡特性演算部12は、ωC測定部11によって求められた対地静電容量に基づいて母線地絡特性を求める。
【選択図】図1
Description
しかしながら、人工地絡試験では、以下に示すような問題が生じていた。
(1)人工地絡試験は活線作業であるため、作業員の危険を伴う。
(2)人工地絡試験は大掛かりな作業であるため、費用が高い。
(3)人工地絡試験を行うと電力系統全体に地絡の影響が及ぶため、電力系統に接続された顧客に継電器のロックをしてもらう必要がある。
対地静電容量の計算過程において接地形計器用変圧器の零相内部インピーダンスおよび制限抵抗の値から測定原理に起因する誤差を補正する方法について提案されているが、実際の電力系統にはこれら以外にも多様なインピーダンスが存在し、特に、対地間抵抗の小さい、たとえば分散リアクトル接地系統や集中リアクトル接地系統などの中性点を接地用変圧器を介して接地した電力系統および線路に中性点接地リアクトルのみを複数台設置した電力系統などで三線一括の対地静電容量を測定する場合には、この対地間抵抗が計算結果に対して実用上無視できない影響を与えるが、これに対する計算ができない。
母線地絡特性が得られないことで次のような問題がある。
(1)実際の電力系統では三相それぞれに母線地絡特性のばらつきがあるが、このばらつきの範囲や程度が把握できないため、地絡継電器の動作電圧の設定を適確に行うことが、特に三相一括で設定する場合には非常に困難で労力を要す。
(2)複数の地絡継電器(地絡過電圧継電器や地絡方向継電器など)相互の動作電圧および地絡抵抗の協調を考慮して適確に設定することが非常に困難で労力を要す。
ここで、前記接地形計器用変圧器以外の他の接地形計器用変圧器が前記電力系統に存在する場合には、前記ωC測定部が、該他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗も前記GPT三次制限抵抗と前記零相等価回路上で別要素にして前記対地静電容量を求めてもよい。
前記ωC測定部が、前記零相等価回路の3線一括対地アドミッタンス(Y00)において前記複数個の線路用リアクトルの合成リアクトル分(L’)と該複数個の線路用リアクトルの合成抵抗分、前記中性点接地抵抗の抵抗分および前記他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗の合成抵抗(R3)とを前記対地静電容量と並列に接続したときに、前記切替スイッチの切替前後に前記接地形計器用変圧器の前記三次側に生じる残留零相電圧(Vn0,Vn1)の位相差(φn2)に基づいて、前記対地静電容量を求めてもよい。
前記ωC測定部が、前記接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗を“R1”、前記測定用抵抗を“R2”、前記接地形計器用変圧器の零相内部インピーダンスを“R0+jωL”、前記複数個の線路用リアクトルの合成リアクトル分を“L’”、前記複数個の線路用リアクトルの合成抵抗分、前記中性点接地抵抗の抵抗分および前記他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗の合成抵抗を“R3”とすると、以下の方程式を用いて、
tanφn2・(ωC’)2+{A−B+(D+E)・tanφn2}・ωC’+(A・B+D・E)・tanφn2+A・E−B・D=0
ここで、ωC’=ωC−1/ωL’
A=(R01/a)+(1/R3)
B=(R02/b)+(1/R3)
D=−(ωL/a)
E=−(ωL/b)
a=R01 2+(ωL)2
b=R02 2+(ωL)2
R01=R0+R1
R02=R0+(R1・R2)/(R1+R2)
前記対地静電容量を求めてもよい。
前記母線地絡特性演算部が、一線地絡時の零相電圧(V0s)を表す式を複素数形式に変形した改良式を用いて、前記母線地絡特性を算出してもよい。
前記母線地絡特性演算部が、相電圧を“E”、地絡抵抗を“Rg”、前記接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗と前記中性点接地抵抗の抵抗分と前記複数個の線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗分を“Ro”としたときに、前記一線地絡時の零相電圧を表す式を以下に示す式のように変形して、
V0s=E/[jωC・Rg+{1+(Rg/Ro)}]
=x+jy
以下に示す改良式を用いて、
θ=tan-1(y/x)
前記母線地絡特性を算出してもよい。
地絡継電器試験を行う際に、前記切替スイッチを切替制御し、前記ωC測定部に対地静電容量を求めるように制御するとともに、前記母線地絡特性演算部に母線地絡特性を求めるように制御する制御部(14)をさらに具備してもよい。
前記制御部が、複数回ほど前記切替スイッチを切替制御するとともに、前記ωC測定部に対地静電容量を複数回求めてその平均値を算出するように制御してもよい。
前記制御部が、前回の地絡継電器試験における対地静電容量および母線地絡特性との比較、動作接地抵抗値の算定並びに継電器設定電圧の算定をさらに行ってもよい。
前記地絡継電器試験装置をパーソナルコンピュータ(30)に接続して前記制御部の機能を該パーソナルコンピュータに行わせてもよい。
前記地絡継電器試験装置を持ち運び可能な地絡継電器試験装置(20)とし、該持ち運び可能な地絡継電器試験装置を変圧器盤に接続して、前記電力系統に設置されている地絡継電器の試験を行ってよい。
本発明の地絡継電器試験方法は、本発明の地絡継電器試験装置を用いて対地静電容量および母線地絡特性を求めて、前記電力系統に設置されている地絡継電器の試験を行うことを特徴とする。
(1)接地用変圧器の中性点接地抵抗の抵抗分を接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗とアドミッタンスωCを計算する零相等価回路上で別要素にするとともに複数個の線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗をGPT三次制限抵抗とこの零相等価回路上で別要素にすることにより、対地静電容量および母線地絡特性を正確に測定することができる。
(2)母線地絡特性が得られることにより、地絡継電器動作点の設定値の決定を適確かつ容易に行うことができる。
(3)人工地絡試験を行う必要がなくなるため、試験作業時の安全性の向上、費用の削減および試験時間の短縮化を図ることができる。
本発明の一実施例による地絡継電器試験装置10は、図1(a)に示すように、分散リアクトル接地系統に接続された接地形計器用変圧器(GPT)3のオープンデルタ接続された三次巻線出力である三次電圧V3に基づいて3線一括の対地静電容量C(以下、「対地静電容量C」と称する。)を求めるためのωC測定部11と、ωC測定部11によって求められた対地静電容量Cに基づいて母線地絡特性を求めるための母線地絡特性演算部12と、ωC測定部11によって求められた対地静電容量Cおよび母線地絡特性演算部12によって求められた母線地絡特性などを表示するための表示部13と、ωC測定部11、母線地絡特性演算部12および表示部13を制御する制御部14とを具備する。
また、地絡継電器試験装置10は、図1(b)に示すように、直列接続された測定用抵抗R2および切替スイッチSWを内蔵する。測定用抵抗R2および切替スイッチSWは、接地形計器用変圧器3のGPT三次制限抵抗R1と並列に接続されている。切替スイッチSWは、制御部14によって切替制御される。
分散リアクトル接地系統における測定回路は、図2に示すとおり、非接地電力系統における測定回路に、分散リアクトル接地系統特有の設備である接地用変圧器(GTR)1(発変電所などに設置され、中性点接地抵抗を備える。)および第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nを加えたものとなる。
したがって、上記の特許文献1に開示された測定原理を応用して分散リアクトル接地系統での対地静電容量Cの測定を行う場合には、測定原理上影響する諸元として、接地用変圧器1の中性点接地抵抗の抵抗分ngrと第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nの抵抗分rとがある。
また、第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nの抵抗分rについては、ωC測定を行う場合以外には通常取り扱う必要がないため、認識がなく単にリアクタンス分のみ(リアクタンス分については、静電容量分と相殺されて電力系統の対地静電容量となるため、計算上特に取り扱う必要はない)として考えて、アドミッタンスωCを計算してみた。
しかし、この計算方法では、アドミッタンスωCの誤差が大きくなり、ωC測定できなかった。
この解決策として、接地形計器用変圧器3を介して電力系統に存在する零相回路の抵抗分(すなわち、中性点接地抵抗の抵抗分ngr)をGPT三次制限抵抗R1とアドミッタンスωCを計算する零相等価回路上で別の要素にして計算する方法を開発した。
これは、第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nの抵抗分rの影響は1台当たりではωC測定における計算に影響を与えない程度に十分小さいが、実電力系統では多数の線路用リアクトルが分散して並列接地されているため、これが合成されると想定以上に影響が大きくなり計算に影響を与えていることが原因であった。
このため、使用されている線路用リアクトルの1台当りの抵抗分の値を調査し、これを並列接地された台数分だけ合成し、上述した中性点接地抵抗の抵抗分ngrの場合と同様にGPT三次制限抵抗R1とアドミッタンスωCを計算する零相等価回路上で別の要素にして計算するように改良した。
この零相等価回路は、図3に示した零相等価回路の3線一括対地アドミッタンスY00において、第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nの合成リアクトル分L’と、第1乃至第nの線路用リアクトル21〜2nの合成抵抗分、中性点接地抵抗の抵抗分ngrおよび他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗の合成抵抗R3とを追加(対地静電容量Cと並列に接続)したものである。
この零相等価回路を用いて導出した3線一括対地アドミッタンスY00と切替スイッチSWをオンすることにより並列接続される既知のアドミッタンスY01(測定用抵抗R2)を3線一括対地アドミッタンスY00に加えたときの合成アドミッタンスY02とは、(1−1)式および(1−2)式でそれぞれ表される。
Y00=j(ωC−1/ωL’)+1/R3+1/(jωL+R0+R1) (1−1)
Y02=j(ωC−1/ωL’)+1/R3+1/{jωL+R0+(R1・R2)/(R1+R2)} (1−2)
したがって、相電圧を“E”とし、Y00’を3線一括対地アドミッタンスの不平衡分とすると、切替スイッチSWをオフしているときの残留零相電圧Vn0と切替スイッチSWをオンしたときの残留零相電圧Vn1とは(1−3)式および(1−4)式でそれぞれ表される。
Vn0=−E・Y00’/Y00 (1−3)
Vn1=−E・Y00’/Y02 (1−4)
(1−3)式および(1−4)式より、3線一括対地アドミッタンスY00は、合成アドミッタンスY02、残留零相電圧Vn0および残留零相電圧Vn1を用いて(1−5)式で表される。
Y00=(Vn1/Vn0)Y02 (1−5)
その結果、切替スイッチSWをオンすることによって接地形計器用変圧器3に接続されるアドミッタンスを3線一括対地アドミッタンスY00から合成アドミッタンスY02に切り換えたときに接地形計器用変圧器3の三次側に生じる残留零相電圧の位相差φn2はこのアドミッタンスの切換前後のアドミッタンスの位相角の差と一致する(=φno−φn1)ため、(1−6)式に示す方程式を用いてアドミッタンスωCの解を求めておき、測定した位相差φn2をこの解に代入してアドミッタンスωCを算出することにより、対地静電容量Cを求めることができる。
tanφn2・(ωC’)2+{A−B+(D+E)・tanφn2}・ωC’+(A・B+D・E)・tanφn2+A・E−B・D=0 (1−6)
ここで、ωC’=ωC−1/ωL’
A=(R01/a)+(1/R3)
B=(R02/b)+(1/R3)
D=−(ωL/a)
E=−(ωL/b)
a=R01 2+(ωL)2
b=R02 2+(ωL)2
R01=R0+R1
R02=R0+(R1・R2)/(R1+R2)
線路用リアクトルによる補償電流の合計が2.5Aタップ×1箇所および2.0Aタップ×2箇所の計6.5Aで、2.0Aタップの一次抵抗および一次リアクタンスが156Ωおよび1899Ωであり、2.5Aタップの一次抵抗および一次リアクタンスが142Ωおよび1470Ωであるとする。
2.0Aタップの一次抵抗=156Ωを直並列変換(RL直列回路をRL並列回路に変換)すると、約23.3kΩ(=18992/156+156=23273Ω)となり、2.5Aタップの一次抵抗=142Ωを直並列変換すると、約15.4kΩ(=14702/142+142=15360Ω)となる。
したがって、線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗は、約23.3kΩと約23.3kΩと約15.4kΩとの並列抵抗となるため、約6.63kΩとなる。
接地用変圧器3の一次−三次変圧比をnとし、n2=109.3{=(6900/31/2/381)2}とすると、線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗の三次換算値は60.66Ω(=6630/109.3(Ω))となる。
線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗は、中性点接地抵抗の抵抗分ngrと並列になるので、中性点接地抵抗の抵抗分ngr=5.53Ωとすると、その合成抵抗値は5.07Ωとなる。
この合成抵抗値(=5.07Ω)をR3に代入してアドミッタンスωCを計算すると、2.578mSとなり、人工地絡試験の算定値=2.523mSに対する誤差が0.055mS(誤差率=2.2%)となった。一方、線路用リアクトル抵抗分の補正をしない場合のωCの計算値は2.761mSとなり、人工地絡試験の算定値=2.523mSに対する誤差が0.238mS(誤差率=9.4%)となった。
このように、線路用リアクトル抵抗分の補正を行うことにより誤差が大幅に改善した。
この零相等価回路において、地絡抵抗Rgに対する地絡電流Igは(2−1)式で表される。
Ig=E/[Rg+1/{(1/Ro)+jωC}] (2−1)
ここで、Igはベクトル。
したがって、一線地絡時の零相電圧V0sは(2−2)式で表すことができる。
V0s=[1/{(1/Ro)+jωC}]・Ig
=[1/{(1/Ro)+jωC}]・E/[Rg+1/{(1/Ro)+jωC}] (2−2)
ここで、V0s,Igはベクトル。
θ=cos-1(V0s/E) (3−1)
ここで、V0s=E/[(ωC・Rg)2+{1+(Rg/Ro)}2]1/2
しかしながら、分散リアクトル接地系統では、中性点接地抵抗の抵抗分ngrおよび接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗などが並列接続されることから抵抗分Roが低くかつ分散リアクトルで補償されているため、アドミッタンスωCが小さい。このような場合には、零相電圧V0Sの軌跡は半円ではなくてその内側を通る円弧になり、従来式では誤差が大きくなることが考えられた。
そこで、地絡抵抗Rgに対する零相電圧V0Sの算定方法を見直して、(2−2)式を複素数形式(x+jy)に変形することにより、(3−2)式に示す改良式を考案した(図8(斜体はベクトルを表す。)参照)。
θ=tan-1(y/x) (3−2)
ここで、V0s=E/[jωC・Rg+{1+(Rg/Ro)}]
=x+jy
V0sはベクトル。
この比較結果では、改良式を用いて算出した母線地絡特性では、従来式を用いて算出した母線地絡特性に比べて全体的に誤差が小さくなっており、相関が高まっている。
また、地絡事故時に発生する各相の零相電圧の大きさの順番は、人工地絡試験では小さい方から順に赤相→白相→青相であるのに対して、従来式を用いて算出した母線地絡特性では小さい方から順に赤相→青相→白相となっており、順番が一致しなかったが、改良式を用いて算出した母線地絡特性では小さい方から順に赤相→白相→青相となっており、順番が一致した。
地絡保護装置の動作電圧を三相一括で整定する場合、母線地絡特性において相の関係が一致することが重要であるため、相の関係が一致し、全体的に誤差も小さく相関も高まることから、改良式を用いて母線地絡特性を算出した方がよいことが分かった。
このとき、制御部14は、平均化処理による実電力系統電圧の揺動による測定誤差の排除を図るために、複数回ほど切替スイッチSWを切替制御して、ωC測定部11に対地静電容量Cを複数回求めてその平均値を算出するように制御してもよい。
また、制御部14は、前回の地絡継電器試験における対地静電容量Cおよび母線地絡特性との比較を行ったり、動作接地抵抗値や継電器設定電圧の算定を行ったりして、その結果を表示部13に表示させるようにしてもよい。
この例に示すように、持ち運び可能な地絡継電器試験装置20の外形の寸法は横422.5mm、縦370.5mmおよび高さ216.5mm(蓋の高さが45mm)であり、小型にすることができる。
また、線路に中性点接地リアクトルのみを複数台設置した電力系統の場合には、接地用変圧器の中性点接地抵抗nrgがないため、中性点接地抵抗ngrが無限大であるとして取り扱うことで、分散リアクトル接地系統の場合と同様に実施することができる。
21〜2n 第1乃至第nの線路用リアクトル
3 接地形計器用変圧器(GPT)
10 地絡継電器試験装置
11 ωC測定部
12 母線地絡特性演算部
13 表示部
14 制御部
20 持ち運び可能な地絡継電器試験装置
30 パソコン
SW 切替スイッチ
Ig 地絡電流
V2 二次電圧
V3 三次電圧
Vn0,Vn1 残留零相電圧
V0s 地絡事故時の零相電圧
E 相電圧
C 対地静電容量
ωC アドミッタンス
ngr,r 抵抗分
R1 GPT三次制限抵抗
R2 測定用抵抗
R3 合成抵抗
Rg 地絡抵抗
Y00 3線一括対地アドミッタンス
Y00’ 3線一括対地アドミッタンスの不平衡分
Y01 既知のアドミッタンス
Y02 合成アドミッタンス
R0+jωL 接地形計器用変圧器の零相内部インピーダンス
L’ 合成リアクトル分
φno,φn1 位相
φn2 位相差
Claims (12)
- 対地間抵抗の小さい電力系統に設置されている地絡継電器の試験を行うための地絡継電器試験装置(10)であって、
前記電力系統に接続された接地形計器用変圧器(3)のGPT三次制限抵抗(R1)と並列に接続された、かつ、直列接続された測定用抵抗(R2)および切替スイッチ(SW)と、
該切替スイッチの切替前後の前記接地形計器用変圧器の三次電圧(V3)に基づいて3線一括の対地静電容量(C)を求めるためのωC測定部(11)と、
該ωC測定部によって求められた前記対地静電容量に基づいて母線地絡特性を求めるための母線地絡特性演算部(12)とを具備し、
前記ωC測定部が、前記電力系統に接続された接地用変圧器(1)の中性点接地抵抗の抵抗分(ngr)を前記GPT三次制限抵抗と前記対地静電容量のアドミッタンス(ωC)を計算する零相等価回路上で別要素にするとともに、前記電力系統に接続された複数個の線路用リアクトル(21〜2n)の抵抗分の合成抵抗を前記GPT三次制限抵抗と該零相等価回路上で別要素にして、前記対地静電容量を求める、
ことを特徴とする、地絡継電器試験装置。 - 前記接地形計器用変圧器以外の他の接地形計器用変圧器が前記電力系統に存在する場合には、前記ωC測定部が、該他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗も前記GPT三次制限抵抗と前記零相等価回路上で別要素にして前記対地静電容量を求めることを特徴とする、請求項1記載の地絡継電器試験装置。
- 前記ωC測定部が、前記零相等価回路の3線一括対地アドミッタンス(Y00)において前記複数個の線路用リアクトルの合成リアクトル分(L’)と該複数個の線路用リアクトルの合成抵抗分、前記中性点接地抵抗の抵抗分および前記他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗の合成抵抗(R3)とを前記対地静電容量と並列に接続したときに、前記切替スイッチの切替前後に前記接地形計器用変圧器の前記三次側に生じる残留零相電圧(Vn0,Vn1)の位相差(φn2)に基づいて、前記対地静電容量を求めることを特徴とする、請求項2記載の地絡継電器試験装置。
- 前記ωC測定部が、前記接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗を“R1”、前記測定用抵抗を“R2”、前記接地形計器用変圧器の零相内部インピーダンスを“R0+jωL”、前記複数個の線路用リアクトルの合成リアクトル分を“L’”、前記複数個の線路用リアクトルの合成抵抗分、前記中性点接地抵抗の抵抗分および前記他の接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗の合成抵抗を“R3”とすると、以下の方程式を用いて、
tanφn2・(ωC’)2+{A−B+(D+E)・tanφn2}・ωC’+(A・B+D・E)・tanφn2+A・E−B・D=0
ここで、ωC’=ωC−1/ωL’
A=(R01/a)+(1/R3)
B=(R02/b)+(1/R3)
D=−(ωL/a)
E=−(ωL/b)
a=R01 2+(ωL)2
b=R02 2+(ωL)2
R01=R0+R1
R02=R0+(R1・R2)/(R1+R2)
前記対地静電容量を求めることを特徴とする、請求項3記載の地絡継電器試験装置。 - 前記母線地絡特性演算部が、一線地絡時の零相電圧(V0s)を表す式を複素数形式に変形した改良式を用いて、前記母線地絡特性を算出することを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の地絡継電器試験装置。
- 前記母線地絡特性演算部が、相電圧を“E”、地絡抵抗を“Rg”、前記接地形計器用変圧器のGPT三次制限抵抗と前記中性点接地抵抗の抵抗分と前記複数個の線路用リアクトルの抵抗分の合成抵抗分を“Ro”としたときに、前記一線地絡時の零相電圧を表す式を以下に示す式のように変形して、
V0s=E/[jωC・Rg+{1+(Rg/Ro)}]
=x+jy
以下に示す改良式を用いて、
θ=tan-1(y/x)
前記母線地絡特性を算出する,
ことを特徴とする、請求項5記載の地絡継電器試験装置。 - 地絡継電器試験を行う際に、前記切替スイッチを切替制御し、前記ωC測定部に対地静電容量を求めるように制御するとともに、前記母線地絡特性演算部に母線地絡特性を求めるように制御する制御部(14)をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の地絡継電器試験装置。
- 前記制御部が、複数回ほど前記切替スイッチを切替制御するとともに、前記ωC測定部に対地静電容量を複数回求めてその平均値を算出するように制御することを特徴とする、請求項7記載の地絡継電器試験装置。
- 前記制御部が、前回の地絡継電器試験における対地静電容量および母線地絡特性との比較、動作接地抵抗値の算定並びに継電器設定電圧の算定をさらに行うことを特徴とする、請求項7または8記載の地絡継電器試験装置。
- 前記地絡継電器試験装置をパーソナルコンピュータ(30)に接続して前記制御部の機能を該パーソナルコンピュータに行わせることを特徴とする、請求項7乃至9いずれかに記載の地絡継電器試験装置。
- 前記地絡継電器試験装置を持ち運び可能な地絡継電器試験装置(20)とし、該持ち運び可能な地絡継電器試験装置を変圧器盤に接続して、前記電力系統に設置されている地絡継電器の試験を行うことを特徴とする、請求項10記載の地絡継電器試験装置。
- 請求項1乃至11いずれかに記載の地絡継電器試験装置を用いて対地静電容量および母線地絡特性を求めて、前記電力系統に設置されている地絡継電器の試験を行うことを特徴とする、地絡継電器試験方法。
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