JP2011144400A - 遷移金属粒子分散合金及びその製造方法、並びに、遷移金属粒子分散非晶質合金及びその製造方法 - Google Patents

遷移金属粒子分散合金及びその製造方法、並びに、遷移金属粒子分散非晶質合金及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金型からの離型性に優れた非晶質合金、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属を溶融混合して母合金を作製する母合金作製工程と、前記母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法により当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に加熱しながら分散する金属粒子分散工程とを有することを特徴とする遷移金属粒子分散合金の製造方法、及び遷移金属粒子分散合金。
【選択図】なし

Description

本発明は、遷移金属粒子分散合金及びその製造方法、並びに、遷移金属粒子分散非晶質合金及びその製造方法に関する。
金属ガラス(非晶質合金)は、強度、耐食性が高いとともに高転写性を有することから、複雑な形状の非晶質合金製物品を製造するのに有用な材料である。
従来、たとえば下記(1)〜(2)に示す非晶質合金が提案されている。
(1)NiとWを主成分とするマトリックス相と、平均結晶粒径7μm以下の球面体状のW粒子とからなる、固相焼結法により作製された微細結晶粒を有するタングステン合金(特許文献1参照)。
(2)大きさ5〜10mm程度に粉砕した特定のマグネシウム基金属ガラス合金に、好ましくは高周波誘導溶解により、Ti、Co、Fe及びZrから選択される一種以上の元素からなる金属球状粒体が分散してなる複合材(特許文献2参照)。
特開平6−100973号公報 特開2007−92103号公報
非晶質合金製物品を製造する際、その物品が複雑な形状になるほど、成形用の金型も複雑な形状となるため、成形の後、金型から成形品(物品)を取り出しにくくなるという問題がある。
特許文献1、2に記載された発明では、複合材(合金)中に金属粒体が不均一に分散しているため、金型から成形品を取り出す際、一定の力を加えなければ金型から成形品を取り出すことができず、その改善が必要である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、金型からの離型性に優れた非晶質合金、及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の遷移金属粒子分散合金の製造方法は、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属を溶融混合して母合金を作製する母合金作製工程と、前記母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法により当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に加熱しながら分散する金属粒子分散工程とを有することを特徴とする。
本発明の遷移金属粒子分散合金の製造方法においては、前記遷移金属の融点が、前記複数の金属の最も高い融点よりも高い温度であることが好ましい。さらに、前記遷移金属が、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrであることが好ましい。
また、本発明の遷移金属粒子分散合金の製造方法においては、前記母合金がZr基合金であることが好ましい。さらに、前記母合金がZr、Cu、Al及びNiからなるZr基合金であることが好ましい。
また、本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法は、前記本発明の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱する加熱工程と、前記の加熱した遷移金属粒子分散合金を、金型内に充填し、前記母合金の臨界冷却速度以上で冷却する金型充填・冷却工程とを有することを特徴とする。
本発明の遷移金属粒子分散合金は、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属が溶融混合した母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子がアーク溶解法により分散していることを特徴とする。
本発明の遷移金属粒子分散合金においては、前記遷移金属の融点が、前記複数の金属の最も高い融点よりも高い温度であることが好ましい。さらに、前記遷移金属が、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrであることが好ましい。
また、本発明の遷移金属粒子分散合金においては、前記母合金がZr基合金であることが好ましい。さらに、前記母合金がZr、Cu、Al及びNiからなるZr基合金であることが好ましい。
また、本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金は、前記本発明の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱した後、金型内に充填し、前記母合金の臨界冷却速度以上で冷却してなるものであることを特徴とする。
なお、本発明において、「融点」とは、固体が融解し、液体化する固液平衡状態である温度と定義される。本発明における融点は、サーマルアレスト法により測定される温度を示す。
本発明によれば、金型からの離型性に優れた非晶質合金、及びその製造方法を提供できる。
金属粒子分散工程におけるアーク溶解法の一例を示す一部拡大断面図である。 実施例1における、W粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金の切断面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。 実施例1における、成形品(W粒子分散非晶質合金)表面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。 実施例1における、研磨後の成形品表面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。
<遷移金属粒子分散合金>
本発明の遷移金属粒子分散合金は、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属が溶融混合した母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子がアーク溶解法により分散しているものである。
(母合金)
本発明における母合金は、複数の金属が溶融混合したものである。
かかる複数の金属は、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金、すなわち金属ガラス、を形成するものが用いられる。
金属としては、たとえばZr(2128K)、Cu(1357K)、Al(933K)、Ni(1728K)、Ag(1235K)、Ce(1071K)、Si(1687K)、Fe(1808K)、Zn(693K)、Ti(1941K)、Pd(1828K)、Sn(505K)、B(2352K)、Nb(2750K)、Pt(2041K)、Mg(923K)が挙げられる。
なお、上記例示の金属において、括弧内の温度は、その金属の融点を絶対温度(K)で表した値を示す。
母合金としては、なかでも高いガラス形成能を有することから、Zr基合金であることが好ましい。
Zr基合金のなかで好適なものとして具体的には、たとえばZr、Cu及びAlからなる合金;Zr、Cu、Al及びNiからなる合金が挙げられ、Zr、Cu、Al及びNiからなる合金が特に好ましい。
本発明における母合金としてより具体的には、Zr55Cu30Al10Ni(1163K)、Zr60Cu20Al10Ni10(1164K)、Zr65Cu17.5Al10Ni7.5(1164K)、Zr50Cu40Al10(1092K)等を用いることができる。
なお、上記例示の母合金において、括弧内の温度は、その母合金の融点を絶対温度(K)で表した値を示す。
(遷移金属からなる粒子)
本発明における遷移金属は、上記母合金に比べて融点の高いものである。
遷移金属としては、なかでも母合金中で粒子形状が維持されやすいことから、その融点が、上記母合金を構成する複数の金属の最も高い融点よりも高い温度であることが好ましい。
また、同様の理由から、遷移金属としては、絶対温度で定義される上記母合金の融点(A)に対する、絶対温度で定義される当該遷移金属の融点(B)の比(B/A)が2.3以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。比(B/A)の上限値は大きいほど好ましい。
遷移金属としては、たとえばNb(2750K)、Mo(2896K)、Ta(3290K)、W(3695K)、Re(3459K)、Os(3306K)、Ir(2739K)、Ti(1941K)が挙げられ、なかでも上記母合金と組み合わせて金型からの離型性に優れることから、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrであることが好ましい。
なお、上記例示の遷移金属において、括弧内の温度は、その遷移金属の融点を絶対温度(K)で表した値を示す。
遷移金属からなる粒子の粒子径は、0.5μm以上5mm以下であることが好ましく、1μm以上1mm以下であることがより好ましい。
当該粒子径の上限値以下であると、母合金中での当該粒子の分散性が高まり、金型からの離型性がより向上する。当該粒子径の下限値以上であると、金型からの離型性がより向上する。
なお、本発明において、「遷移金属からなる粒子の粒子径」とは、遷移金属粒子分散合金又は後述の遷移金属粒子分散非晶質合金中に分散している当該粒子の粒子径を意味し、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定される、体積平均粒子径のメジアン径の50%平均値をいう。
本発明の遷移金属粒子分散合金は、上記母合金中に、上記遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法を用いることによって分散することにより製造される。
かかる遷移金属粒子分散合金を製造する方法は、たとえば後述の<遷移金属粒子分散合金の製造方法>が好適な製造方法として挙げられる。
<遷移金属粒子分散非晶質合金>
本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金は、前記本発明の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱した後、金型内に充填し、当該遷移金属粒子分散合金の臨界冷却速度以上で冷却してなるものである。
本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金は、たとえば医療用又は工業用の金属ガラス材料として利用することができ、具体的には、内視鏡部品、手術用器具、カメラ部品等の複雑な形状の非晶質合金製物品を製造するのに特に有用な材料である。
かかる遷移金属粒子分散非晶質合金を製造する方法は、たとえば後述の<遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法>が好適な製造方法として挙げられる。
以上説明した、本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金は、金型からの離型性に優れている。かかる効果が得られる理由としては、以下のように推測される。
本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金は、その材料として、母合金中に遷移金属からなる粒子がアーク溶解法により分散している遷移金属粒子分散合金が用いられている。当該遷移金属粒子分散合金は、母合金中に、アーク溶解法により遷移金属からなる粒子が分散されているため、当該粒子の分散性に非常に優れている。また、遷移金属粒子分散非晶質合金を成形する際の加熱温度が遷移金属の融点以下に制御されていることから、遷移金属からなる粒子は、その粒子形状が維持されやすい。そのため、遷移金属粒子分散非晶質合金(成形品)の表面全体に、当該粒子に由来する微小な凹凸が均一に形成される。これにより、成形品と金型とが点で接触するようになり、互いの接触面積が減少して密着力が低減するため、金型からの離型性に優れると考えられる。
<遷移金属粒子分散合金の製造方法>
本発明の遷移金属粒子分散合金の製造方法は、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属を溶融混合して母合金を作製する母合金作製工程と、前記母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法により当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に加熱しながら分散する金属粒子分散工程とを有する。
(母合金作製工程)
母合金作製工程では、20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属を溶融混合して母合金を作製する。
金属としては、上述した金属を用いることができる。なかでも高いガラス形成能を有することから、作製される母合金は、Zr基合金であることが好ましい。Zr基合金として具体的には、Zr、Cu、Al及びNiからなるZr基合金が特に好ましい。
複数の金属を溶融混合する方法は、特に制限されず、たとえばアーク溶解、高周波誘導加熱溶解、電子ビーム溶解、輻射加熱溶解などが挙げられる。
アーク溶解を採用した場合には、後述の金属粒子分散工程と同一の装置を用いることができるため簡便であり、作業性が向上する。
(金属粒子分散工程)
金属粒子分散工程では、母合金作製工程で得られた母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法により当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に加熱しながら分散する。これにより、本発明の遷移金属粒子分散合金が得られる。
遷移金属としては、上述した遷移金属を用いることができる。なかでも母合金中で粒子形状が維持されやすいことから、遷移金属は、その融点が上記母合金を構成する複数の金属の最も高い融点よりも高い温度であることが好ましい。そのなかでも上記母合金と組み合わせて金型からの離型性に優れることから、遷移金属は、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrであることが好ましい。
本発明において「アーク溶解」とは、たとえばアルゴン(Ar)ガス雰囲気下であれば、アーク放電により、Ar分子をジュール加熱して熱プラズマを発生させ、対象物を加熱して溶解することをいう。
図1は、金属粒子分散工程におけるアーク溶解法の一例を示す一部拡大断面図である。
図1において、アーク放電により熱プラズマ13を発生する電極11と、半球状の凹部を備えた銅ハース12(冷却水循環型)は、アーク溶解炉(図示しない)内に設けられている。電極11は、銅ハース12の凹部中心に向かって鉛直方向から放電するように配置されている。銅ハース12内には冷却水が循環し、凹部面12aと接する母合金21が冷却されるようになっている。
図1に示す実施形態において、母合金21と遷移金属からなる粒子22は、銅ハース12の凹部に配置され、母合金21の電極11側の面21aがアーク放電により発生する熱プラズマ13により加熱され、母合金21の凹部面12a側の面が水冷冷却されている熱伝導率の高い銅ハース12の水冷により冷却される。
これにより、母合金21内で温度差が生じて強い対流(図中に示す矢印)が起こる。この対流によって、母合金21が撹拌されるとともに、母合金21中に遷移金属からなる粒子22が分散され、均一性の高い遷移金属粒子分散合金が得られる。
また、図1に示す実施形態においては、均一性がより高まり、加熱時間の短縮化が図れることから、母合金21の電極11側の面21aと、凹部面12a側の面とを、所定時間ごとに複数回、反転させて熱プラズマ13による加熱を行ってもよい。
アーク溶解により母合金21内で起こる対流の強さは、たとえば高周波誘導加熱溶解法を用いた場合よりも強いため、アーク溶解法は高周波誘導加熱溶解法よりも合金中に金属粒子を良好に分散できる。
アーク溶解による加熱は、その温度を、当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に制御して行う。これにより、遷移金属からなる粒子は、母合金中でその粒子形状が維持されるようになる。
アーク溶解による加熱温度は、当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点マイナス500K(500℃)以下とすることが好ましく、当該母合金の融点プラス500K(500℃)以上、当該遷移金属の融点マイナス1000K(1000℃)以下とすることがより好ましい。
これにより、母合金中で、遷移金属からなる粒子の粒子形状がより維持されやすくなる。当該加熱温度の制御は、たとえばアーク出力を適宜設定すればよい。
アーク溶解時間は2分間以上とすることが好ましく、3〜5分間とすることがより好ましい。当該加熱時間の下限値以上とすることにより、母合金中に遷移金属からなる粒子が充分に分散する。
アーク溶解は、アーク溶解炉内に不活性ガスを導入し、アーク溶解炉内の圧力を調節しながら行うこともできる。
遷移金属からなる粒子の使用量は、母合金100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、0.1〜3質量部とすることがより好ましい。
当該使用量の下限値以上とすることにより、合金の金型からの離型性向上の効果が得られやすくなる。また、粒子同士が融合しにくく、母合金中での粒子の分散性がより向上する。加えて、当該使用量の上限値以下とすることにより、当該粒子が核になって結晶化するのが抑制され、非晶質性の高い合金が得られやすくなる。
以上説明した本発明の遷移金属粒子分散合金の製造方法によれば、金属粒子分散工程でアーク溶解法を採用したことにより、母合金中における遷移金属からなる粒子の分散性に優れる。また、アーク溶解時における加熱温度を遷移金属の融点以下に制御していることから、当該粒子を、その粒子形状を維持したまま、母合金中に均一に分散できる。そのため、かかる製造方法により製造される遷移金属粒子分散合金を成形することにより、金型からの離型性に優れた遷移金属粒子分散非晶質合金を製造できる。
また、かかる製造方法においては、金属粒子の分散性向上を目的とした、母合金を粉砕等する工程が不要であり、従来よりも工程の簡略化を図ることができる。
このように、かかる製造方法は非常に簡便な方法であり、容易に遷移金属粒子分散合金を製造できる。
<遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法>
本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法は、前記本発明の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱する加熱工程と、前記の加熱した遷移金属粒子分散合金を、金型内に充填し、前記母合金の臨界冷却速度以上で冷却する金型充填・冷却工程とを有する。
(加熱工程)
加熱工程では、前記本発明の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱する。これにより、非晶質合金中で、遷移金属からなる粒子の粒子形状が維持されるようになり、金型からの離型性に優れる。
加熱温度は、当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点マイナス500K(500℃)以下とすることが好ましく、当該母合金の融点プラス200K(200℃)以上、当該母合金の融点プラス400K(400℃)以下とすることがより好ましい。
これにより、非晶質合金中で、遷移金属からなる粒子の粒子形状がより維持されやすくなる。
加熱時間は、たとえば、遷移金属粒子分散合金が次の工程で金型内に充填できる程度に流動するまでの時間とすればよい。
遷移金属粒子分散合金を加熱する方法は、特に制限されず、たとえばアーク溶解、高周波誘導加熱溶解、電子ビーム溶解、輻射加熱溶解などが挙げられる。
(金型充填・冷却工程)
金型充填・冷却工程では、加熱工程で加熱した遷移金属粒子分散合金を金型内に充填し、前記母合金をその臨界冷却速度以上で冷却する。これにより、本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金が得られる。
使用する金型は、結晶化が起きにくく、非晶質性の高い合金が得られやすいことから、熱伝導率の高い材料からなるものが好ましく、熱伝導率が高く、かつ、熱容量の大きい材料からなるものがより好ましい。かかる材料として具体的には、たとえば無酸素銅、鉄系金属、Al系合金等が挙げられ、なかでも無酸素銅が好ましい。
「臨界冷却速度」とは、ある物質が溶融状態から冷却固化する際の結晶化する速度よりも速い冷却速度で冷却された場合に非晶質となる冷却速度をいう。
さらに本発明において「臨界冷却速度以上で冷却する」とは、加熱融解状態にある遷移金属粒子分散合金を、その融点以上の温度からガラス転移温度以下にまで、結晶化速度よりも速く急冷することを意味する。この冷却方法としては、たとえば液体急冷法、冷却ロール法などが挙げられる。
以上説明した本発明の遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法によれば、金型からの離型性に優れた非晶質合金を製造できる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において、非晶質合金中に分散している遷移金属からなる粒子の体積平均粒子径(メジアン径の50%平均値)は、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(製品名:SALD−7000、島津製作所社製)により測定した。
(実施例1)
母合金Zr55Cu30Al10Ni中に遷移金属Wからなる粒子(以下「W粒子」という。)が分散した遷移金属粒子分散合金を製造し、この遷移金属粒子分散合金を成形して遷移金属粒子分散非晶質合金を製造した。
1)母合金作製工程:
複数の金属Zr、Cu、Al、Niを、母合金の組成として「Zr55Cu30Al10Ni(at%)使用量20g」となるように秤量した。
アーク溶解装置にて、アーク出力250A、及び加熱時間5分間で合金化を行い、母合金Zr55Cu30Al10Niを得た。
2)金属粒子分散工程:
体積平均粒子径50μmのW粒子((株)高純度化学研究所製)1g(母合金100質量部に対して5質量部)となるように秤量した。
ついで、図1に示したアーク溶解機構と同じ機構を備えたアーク溶解装置を用いて、母合金Zr55Cu30Al10Ni中にW粒子を分散する操作を行った。
具体的には、まず、母合金Zr55Cu30Al10NiとW粒子を、アーク溶解炉内に設けられた銅ハース(冷却水循環型)の所定位置(凹部)に配置した。
次に、母合金Zr55Cu30Al10Ni中に、W粒子を、アーク溶解により絶対温度1463Kで加熱しながら分散する操作を行い、W粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を得た。
ただし、アーク溶解は、アーク出力50〜300Aの範囲で最適な出力を250Aとし、加熱時間を5分間とし、アーク放電により発生する熱プラズマによる加熱と、銅ハースによる水冷とを同時に行った。また、アーク溶解炉内の雰囲気を5×10−3Pa以下とした後、50000PaまでG1クラスのArガスを注入して行った。
3)母合金中の遷移金属からなる粒子の分散性
得られたW粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を切断し、その切断面を、走査型電子顕微鏡(エリオニクス社製、ERA−8900FE;以下「SEM」という。)で観察した。図2は、W粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金の切断面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。
SEMの観察画像から、母合金中のW粒子の分散性を評価したところ、W粒子1は、母合金2中に均一に分散していることが確認された。
さらに、SEMに併設されているエネルギー分散型蛍光X線分析装置(以下「EDX」という。)にて元素分析を実施したところ、母合金2は、ほぼ狙いの組成であることが確認された。
4)加熱工程:
遠心鋳造装置を用いてその加熱機構にて、W粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、母合金Zr55Cu30Al10Niの融点以上、遷移金属Wの融点以下の温度になるように放射温度計にて計測しながら加熱し、絶対温度1373Kで再溶融した。
5)金型充填・冷却工程:
再溶融したW粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、前記遠心鋳造装置内に設置した無酸素銅製の金型内へ充填した。なお、当該金型には、キャビティの形状が縦10mm×横10mm×高さ2mmの平板状のものを用いた。
その際、再溶融したW粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、熱伝導率が高くて熱容量の大きい前記金型内へ流し込み、母合金Zr55Cu30Al10Niの臨界冷却速度(約100K/秒)以上で冷却することによって固化した。これにより、平板状の成形品(W粒子分散非晶質合金)を得た。
6)成形品の金型からの離型性
前記遠心鋳造装置内から前記金型を取り出し、前記金型から成形品の取り出しを行ったところ、前記金型を開くと同時に成形品が離型し、極めて良好な離型性を示した。
7)成形品の非晶質性
得られた成形品に対し、X線回折装置((株)リガク社製、Mini FlexII;以下「XRD」という。)にて非晶質性の確認をしたところ、非晶質であることが確認された。
さらに、示差走査熱量測定(DSC)を実施したところ、ガラス遷移領域が80℃であることも確認された。
8)SEMによる成形品表面状態の観察
得られた成形品に対し、SEMにて表面観察を実施した。図3は、成形品(W粒子分散非晶質合金)表面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。
SEMの観察画像から、成形品の表面に寸法精度に影響しない程度の微小な凹凸が確認された。
ついで、成形品表面を紙やすり(#1000)にて研磨し、SEMにて表面観察を実施した。図4は、研磨後の成形品表面のSEM像(一目盛50μm)を示す図である。
SEMの観察画像から、W粒子1は、非晶質合金3中に均一に分散していることが確認された(W粒子1の体積平均粒子径30μm)。
(実施例2)
母合金Zr50Cu40Al10中に遷移金属Nbからなる粒子(以下「Nb粒子」という。)が分散した遷移金属粒子分散合金を製造し、この遷移金属粒子分散合金を成形して遷移金属粒子分散非晶質合金を製造した。
1)母合金作製工程:
複数の金属Zr、Cu、Alを、母合金の組成として「Zr50Cu40Al10(at%)使用量20g」となるように秤量し、実施例1と同様にして合金化を行い、母合金Zr50Cu40Al10を得た。
2)金属粒子分散工程:
体積平均粒子径30μmのNb粒子((株)高純度化学研究所製)0.8g(母合金100質量部に対して4質量部)となるように秤量した。
ついで、実施例1と同様にして、アーク溶解により、母合金Zr50Cu40Al10中にNb粒子を分散する操作を行い、Nb粒子分散Zr50Cu40Al10合金を得た。
ただし、アーク溶解は、絶対温度1392Kで行った。その際、アーク出力50〜300Aの範囲で最適な出力を250Aとし、加熱時間を5分間とし、アーク放電により発生する熱プラズマによる加熱と、銅ハースによる水冷とを同時に行った。また、アーク溶解炉内の雰囲気を5×10−3Pa以下とした後、50000PaまでG1クラスのArガスを注入して行った。
3)母合金中の遷移金属からなる粒子の分散性
得られたNb粒子分散Zr50Cu40Al10合金を切断し、その切断面を、SEMで観察した。
SEMの観察画像から、母合金中のNb粒子の分散性を評価したところ、Nb粒子は、母合金中に均一に分散していることが確認された。
さらに、EDXにて元素分析を実施したところ、母合金は、ほぼ狙いの組成であることが確認された。
4)加熱工程:
遠心鋳造装置を用いてその加熱機構にて、Nb粒子分散Zr50Cu40Al10合金を、母合金Zr50Cu40Al10の融点以上、遷移金属Nbの融点以下の温度になるように放射温度計にて計測しながら加熱し、絶対温度1292Kで再溶融した。
5)金型充填・冷却工程:
再溶融したNb粒子分散Zr50Cu40Al10合金を、前記遠心鋳造装置内に設置した無酸素銅製の前記金型内へ充填した。
その際、再溶融したNb粒子分散Zr50Cu40Al10合金を、熱伝導率が高くて熱容量の大きい前記金型内へ流し込み、母合金Zr50Cu40Al10の臨界冷却速度(100K/秒)以上で冷却することによって固化した。これにより、平板状の成形品(Nb粒子分散非晶質合金)を得た。
6)成形品の金型からの離型性
前記遠心鋳造装置内から前記金型を取り出し、前記金型から成形品の取り出しを行ったところ、成形品に微小な力を加えることで容易に離型し、良好な離型性を示した。
7)成形品の非晶質性
得られた成形品に対し、XRDにて非晶質性の確認をしたところ、非晶質であることが確認された。
さらに、示差走査熱量測定(DSC)を実施したところ、ガラス遷移領域が82℃であることも確認された。
8)SEMによる成形品表面状態の観察
得られた成形品に対し、SEMにて表面観察を実施した。SEMの観察画像から、成形品の表面に寸法精度に影響しない程度の微小な凹凸が確認された。
ついで、成形品表面を紙やすり(#1000)にて研磨し、SEMにて表面観察を実施した。SEMの観察画像から、Nb粒子は、非晶質合金中に均一に分散していることが確認された(Nb粒子の体積平均粒子径50μm)。
(実施例3)
母合金としてZr60Cu20Al10Ni10、遷移金属としてIrを用いた以外は、実施例1と同様にして、遷移金属粒子分散合金、及びこの遷移金属粒子分散合金を成形した遷移金属粒子分散非晶質合金をそれぞれ製造した。その際、母合金Zr60Cu20Al10Ni10の臨界冷却速度を120K/秒以上に制御して冷却を行った。
母合金中のIr粒子の分散性については、母合金Zr60Cu20Al10Ni10中にIr粒子が均一に分散していることが確認された。
成形品の金型からの離型性は、実施例2と同様、成形品に微小な力を加えることで容易に離型し、良好な離型性を示した。
実施例3における成形品の非晶質性、成形品表面状態は、いずれも実施例2と同様であった(非晶質合金中に分散しているIr粒子の体積平均粒子径200μm)。
(実施例4)
母合金としてZr65Cu17.5Al10Ni7.5、遷移金属としてMoを用いた以外は、実施例2と同様にして、遷移金属粒子分散合金、及びこの遷移金属粒子分散合金を成形した遷移金属粒子分散非晶質合金をそれぞれ製造した。その際、母合金Zr65Cu17.5Al10Ni7.5の臨界冷却速度を100K/秒以上に制御して冷却を行った。
母合金中のMo粒子の分散性については、母合金Zr65Cu17.5Al10Ni7.5中にMo粒子が均一に分散していることが確認された。
成形品の金型からの離型性は、実施例2と同様、成形品に微小な力を加えることで容易に離型し、良好な離型性を示した。
実施例4における成形品の非晶質性、成形品表面状態は、いずれも実施例2と同様であった(非晶質合金中に分散しているMo粒子の体積平均粒子径3μm)。
(実施例5)
母合金Zr55Cu30Al10Ni中に遷移金属Tiからなる粒子(以下「Ti粒子」という。)が分散した遷移金属粒子分散合金を製造し、この遷移金属粒子分散合金を成形して遷移金属粒子分散非晶質合金を製造した。
1)母合金作製工程:
実施例1における1)母合金作製工程と同様にして合金化を行い、母合金Zr55Cu30Al10Niを得た。
2)金属粒子分散工程:
体積平均粒子径45μmのTi粒子((株)高純度化学研究所製)0.2g(母合金100質量部に対して1質量部)となるように秤量した。
ついで、実施例1と同様にして、アーク溶解により、母合金Zr55Cu30Al10Ni中にTi粒子を分散する操作を行い、Ti粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を得た。
ただし、アーク溶解は、絶対温度1473Kで行った。その際、アーク出力50〜300Aの範囲で最適な出力を150Aとし、加熱時間を3分間とし、アーク放電により発生する熱プラズマによる加熱と、銅ハースによる水冷とを同時に行った。また、アーク溶解炉内の雰囲気を5×10−3Pa以下とした後、50000PaまでG1クラスのArガスを注入して行った。
3)母合金中の遷移金属からなる粒子の分散性
得られたTi粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を切断し、その切断面を、SEMで観察したところ、Ti粒子は、母合金中に均一に分散していることが確認された。
さらに、EDXにて元素分析を実施したところ、母合金は、ほぼ狙いの組成であることが確認された。
4)加熱工程:
遠心鋳造装置を用いてその加熱機構にて、Ti粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、母合金Zr55Cu30Al10Niの融点以上、遷移金属Tiの融点以下の温度になるように放射温度計にて計測しながら加熱し、絶対温度1373Kで再溶融した。
5)金型充填・冷却工程:
再溶融したTi粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、前記遠心鋳造装置内に設置した無酸素銅製の前記金型内へ充填した。
その際、再溶融したTi粒子分散Zr55Cu30Al10Ni合金を、熱伝導率が高くて熱容量の大きい前記金型内へ流し込み、母合金Zr55Cu30Al10Niの臨界冷却速度(100K/秒)以上で冷却することによって固化した。これにより、平板状の成形品(Ti粒子分散非晶質合金)を得た。
6)成形品の金型からの離型性
前記遠心鋳造装置内から前記金型を取り出し、前記金型から成形品の取り出しを行ったところ、成形品の金型への貼りつきがわずかに認められ、実施例2〜4のときよりも大きい力を成形品に加えないと離型しなかった。
7)成形品の非晶質性
得られた成形品に対し、XRDにて非晶質性の確認をしたところ、非晶質であることが確認された。
さらに、示差走査熱量測定(DSC)を実施したところ、ガラス遷移領域が80℃であることも確認された。
8)SEMによる成形品表面状態の観察
得られた成形品に対し、SEMにて表面観察を実施した。SEMの観察画像から、成形品の表面に寸法精度に影響しない程度の微小な凹凸が確認された。
ついで、成形品表面を紙やすり(#1000)にて研磨し、SEMにて表面観察を実施した。SEMの観察画像から、Ti粒子は、非晶質合金中に均一に分散していることが確認された(Ti粒子の体積平均粒子径50μm)。
(比較例1)
母合金Zr55Cu30Al10Niを作製し、この母合金を成形して非晶質合金を製造した。
1)母合金作製工程:
実施例1における1)母合金作製工程と同様にして合金化を行い、母合金Zr55Cu30Al10Niを得た。
2)加熱工程:
遠心鋳造装置を用いてその加熱機構にて、母合金Zr55Cu30Al10Niを、当該母合金Zr55Cu30Al10Niの融点以上の温度になるように放射温度計にて計測しながら加熱し、絶対温度1373Kで再溶融した。
3)金型充填・冷却工程:
再溶融した母合金Zr55Cu30Al10Niを、前記遠心鋳造装置内に設置した無酸素銅製の前記金型内へ充填した。
その際、再溶融した母合金Zr55Cu30Al10Niを、熱伝導率が高くて熱容量の大きい前記金型内へ流し込み母合金Zr55Cu30Al10Niの臨界冷却速度(100K/秒)以上で冷却することによって固化した。これにより、平板状の成形品(非晶質合金)を得た。
4)成形品の金型からの離型性
前記遠心鋳造装置内から前記金型を取り出し、前記金型から成形品の取り出しを行ったところ、成形品の金型への貼りつきが若干認められ、実施例5のときよりも大きい力を成形品に加えないと離型せず、離型性は不良であった。
5)成形品の非晶質性
得られた成形品に対し、XRDにて非晶質性の確認をしたところ、非晶質であることが確認された。
さらに、示差走査熱量測定(DSC)を実施したところ、ガラス遷移領域が84℃であることも確認された。
6)SEMによる成形品表面状態の観察
得られた成形品に対し、SEMにて表面観察を実施した。
SEMの観察画像において、成形品の表面は平滑であり、微小な凹凸は確認されなかった。
下記の表1に、実施例1〜5及び比較例1における母合金と粒子を構成する遷移金属の種類及び融点、成形品の金型からの離型性の評価結果をまとめて示す。
[成形品の金型からの離型性]
表1中に示す離型性の評価における点数は、下記内容を意味する。
4点:金型を開くと同時に成形品が離型し、離型性は極めて良好であった。
3点、2点、1点と点数が低くなるのに伴い、成形品を金型から取り出す際に大きい力を必要とした。
表1の結果から、母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子がアーク溶解により分散している遷移金属粒子分散合金を成形した実施例1〜5の遷移金属粒子分散非晶質合金は、前記遷移金属からなる粒子の存在しない比較例1の遷移金属粒子分散非晶質合金に比べて、金型からの離型性が良好であることが分かる。
また、実施例1〜5の対比から、遷移金属の融点が、母合金を構成する複数の金属の最も高い融点(Zr,2128K)よりも高い温度であるほど、金型からの離型性に優れることが分かる。
また、融点の比(B/A)が2.3以上であると、金型からの離型性がさらに良好となり、その比(B/A)が大きいほど、金型からの離型性に優れることも分かる。
1 W粒子 2 母合金 3 非晶質合金 11 電極 12 銅ハース 12a 凹部面 13 熱プラズマ 21 母合金 22 粒子

Claims (12)

  1. 20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属を溶融混合して母合金を作製する母合金作製工程と、
    前記母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子を、アーク溶解法により当該母合金の融点以上、当該遷移金属の融点以下に加熱しながら分散する金属粒子分散工程と
    を有することを特徴とする遷移金属粒子分散合金の製造方法。
  2. 前記遷移金属の融点が、前記複数の金属の最も高い融点よりも高い温度である請求項1に記載の遷移金属粒子分散合金の製造方法。
  3. 前記遷移金属が、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrである請求項1又は請求項2に記載の遷移金属粒子分散合金の製造方法。
  4. 前記母合金がZr基合金である請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属粒子分散合金の製造方法。
  5. 前記母合金がZr、Cu、Al及びNiからなるZr基合金である請求項4に記載の遷移金属粒子分散合金の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属粒子分散合金を、前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱する加熱工程と、
    前記の加熱した遷移金属粒子分散合金を、金型内に充填し、前記母合金の臨界冷却速度以上で冷却する金型充填・冷却工程と
    を有することを特徴とする遷移金属粒子分散非晶質合金の製造方法。
  7. 20℃以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を形成する複数の金属が溶融混合した母合金中に、当該母合金に比べて融点の高い遷移金属からなる粒子がアーク溶解法により分散していることを特徴とする遷移金属粒子分散合金。
  8. 前記遷移金属の融点が、前記複数の金属の最も高い融点よりも高い温度である請求項7に記載の遷移金属粒子分散合金。
  9. 前記遷移金属が、Nb、Mo、Ta、W、Re、Os又はIrである請求項7又は請求項8に記載の遷移金属粒子分散合金。
  10. 前記母合金がZr基合金である請求項7〜9のいずれかに記載の遷移金属粒子分散合金。
  11. 前記母合金がZr、Cu、Al及びNiからなるZr基合金である請求項10に記載の遷移金属粒子分散合金。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の遷移金属粒子分散合金を、
    前記母合金の融点以上、前記遷移金属の融点以下に加熱した後、金型内に充填し、前記母合金の臨界冷却速度以上で冷却してなるものであることを特徴とする遷移金属粒子分散非晶質合金。
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