JP2011143579A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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俊一 永塚
Shuichi Murakami
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Abstract

【課題】キャビテーション発生を抑制し、液体吐出ヘッド全体の耐久性を向上させる。
【解決手段】液体が供給されるエネルギー作用室12、エネルギー作用室12に連通する吐出口9およびエネルギー作用室12内に配置された発熱素子13を備えた複数のチップが共通の基板の上に配置され、発熱素子13が発する熱によってエネルギー作用室12内の液体中に気泡が生成されることで該液体が吐出口9から吐出される。そして、吐出口9の中心が、発熱素子13の中心に対してエネルギー作用室12への液体の供給方向にずれている第1のチップと、吐出口9の中心が、発熱素子13の中心に対してエネルギー作用室12への液体の供給方向と反対方向にずれている第2のチップとを有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、インク液等の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドに関するものである。
液体吐出ヘッドの一つに、記録媒体に向けてインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドがある。さらに、インクジェット記録ヘッドの中には、電気熱変換素子を用いたインク吐出方式を採用するものがある。かかる記録ヘッドでは、インク流路を介して共通液室内にインクが供給されて充填された状態で、エネルギー作用室に配置されている電気熱変換素子(以下「発熱素子」)に電気信号を与えて該素子を発熱させる。これにより、エネルギー作用室内における発熱素子周辺のインクが瞬時に加熱されて沸騰し、発熱素子上で気泡が生じる。このとき生じる気泡の発泡圧によって、エネルギー作用室内部のインクに運動エネルギーが与えられ、インクが吐出口から外部へ吐出される。
この吐出方式では、発熱素子上で発生した気泡が成長し、インクが吐出した後に発熱素子及びその周囲に存在するインクの有する熱が周囲に拡散することによって気泡の体積が減少していく。最終的には、気泡は、エネルギー作用室内のインクによってつぶされて崩壊する(消泡する)。このとき、気泡が崩壊することで、気泡の周囲に損傷を与えることがある。つまり、発熱素子の駆動に伴って発生したキャビテーションにより、発熱素子表面が損傷を受けることがあり、この損傷が原因となって記録画質が低下する虞がある。
上記のような課題を解決する手段の一例が特許文献1、特許文献2によって開示されている。特許文献1、特許文献2には、発熱素子をインク流路の中心線に対してオフセットさせて配置したり、吐出口を発熱素子中心に対してインク供給方向前後にずらしたりしてキャビテーション発生を低減させる方法が開示されている。これにより発熱素子の耐久性を向上させている。
特開2002−321369号公報 特開2008−238401号公報
上記のように、キャビテーションの発生を抑制する方法がいくつか提案されている。特許文献2のように吐出口をずらすことでキャビテーションの発生を抑制する場合、吐出させる液体の物性に応じて吐出口をずらす方向の最適化を図らなければキャビテーションの発生は抑制されない。何故なら、発熱素子を用いて液体に熱エネルギーを供給したとき生じる気泡の容積や形状は、吐出させる液体の物性によって異なるからである。すなわち、複数種類の液体についてキャビテーションの抑制を実現するためには、吐出させる液体の物性に応じて最適な吐出口位置を備えたチップを有するヘッドを実現しなければならない。以下、具体的に説明する。まず、発熱素子中心に対し、吐出口の位置が不適な場合の液体吐出過程の一例について図1を参照して説明する。
図1は特許文献2に示されている、吐出口中心が発熱素子中心に対しインク供給方向と逆側にずらされたノズル形状の例である。インクが吐出されると、気泡300が一度最大体積に達し、その後気泡300が消泡し始める(図1(a)〜(c))。これとほぼ同時に吐出口の内部ではメニスカス310が形成される。形成されたメニスカス310は、インクが吐出されてエネルギー作用室内のインク量が減少することにより、発熱素子130の方向へ移動していく。この移動の際に、発熱素子方向に移動するメニスカス310と発熱素子130との間に存在するインク及び気泡300が押さえ付けられて圧縮される(図1(d))。これにより、吐出口の直下で気泡300が圧縮され、気泡300の容積や形状によっては、図1(e)に示すように、大気と連通せずに負圧の分断された泡としてエネルギー作用室120に残る。そして残存した気泡が消泡するときにキャビテーションとして発熱素子130の表面に衝撃を与える場合がある。この場合、特許文献2で示されているように、吐出口中心を発熱素子中心に対してインク供給方向側へずらすと、負圧の分断泡の発生が抑制されることからキャビテーションが抑制される。
ここで、インク吐出後に生じる気泡の容積や形状によって、発熱素子中心と吐出口中心との最適な位置関係が決定されることが分かっている。特に、吐出されるインク物性が異なる場合、気泡の容積や形状はインクと泡の界面形状を決定付ける表面張力に依存する。つまり、キャビテーションの発生を効率的に抑制するためには、吐出されるインクの表面張力に応じて最適な吐出口位置を決定することが求められる。
本発明は上記知見と上記課題の認識の下になされたものであり、キャビテーションの発生を可及的に抑制し、液体吐出ヘッド全体の耐久性をさらに向上させることを目的とする。
本発明の液体吐出ヘッドの一つでは、液体が供給されるエネルギー作用室、エネルギー作用室に連通する吐出口およびエネルギー作用室内に配置された熱エネルギー発生手段を備えた複数のチップが共通の基板の上に配置されている。そして、熱エネルギー発生手段が発する熱によってエネルギー作用室内の液体中に気泡が生成されることで該液体が吐出口から吐出される。さらに、本発明の液体吐出ヘッドの一つは、吐出口の中心が、熱エネルギー発生手段の中心に対してエネルギー作用室への液体の供給方向にずれている第1のチップを有する。また、吐出口の中心が、熱エネルギー発生手段の中心に対してエネルギー作用室への液体の供給方向と反対方向にずれている第2のチップも有する。
本発明によれば、吐出口と熱エネルギー発生手段との位置関係が吐出される液体の物性に応じて好適化されることで、キャビテーションの発生が可及的に抑制され、液体吐出ヘッド全体の耐久性がさらに向上する。
液体吐出過程におけるエネルギー作用室内の様子を説明するための断面図である。 本発明の液体吐出ヘッドの実施形態の一例を示す模式的斜視図である。 図2に示すチップを一部切り欠いて見た斜視図である。 図3のA−A線に沿う断面のうちの一部を示す断面図である。 (a)は吐出口の位置が発熱素子中心よりもインク供給方向側にずれているチップにおける吐出口及びその周辺の構造示す平面図、(b)は同断面図である。 (a)は吐出口の位置が発熱素子中心よりもインク供給方向反対側にずれているチップにおける吐出口及びその周辺の構造示す平面図、(b)は同断面図である。 表面張力が40mN/m未満のインクの吐出過程を説明するための断面図である。 実施例1に係る記録ヘッドにおけるチップ構成を示す模式図である。 実施例2に係る記録ヘッドにおけるチップ構成を示す模式図である。 表面張力が40mN/m以上のインクの吐出過程を説明するための断面図である。 (a)は吐出口中心と発熱素子中心とが一致しているチップにおける吐出口及びその周辺の構造示す平面図、(b)は同断面図である。 図11に示すチップにおけるインク吐出後のノズル内の様子を示す模式図である。 実施例3に係る記録ヘッドにおけるチップ構成を示す模式図である。
以下、本発明の液体吐出ヘッドを実施するための形態の一例について図を参照して説明する。
本実施形態に係る液体吐出ヘッドは、インクジェット記録装置に着脱可能に搭載されるインクジェット記録ヘッド(「記録ヘッド」と略称する場合もある。)である。具体的には、インクジェット記録方式の中でも特に、液状のインクを吐出させるためのエネルギーとして熱エネルギーを利用する記録ヘッドである。より具体的には、熱エネルギー発生手段を備え、該手段が発生する熱エネルギーによって液体を沸騰させて液体中に気泡を発生させる、すなわち液体の状態変化を生起させる方式の記録ヘッドである。この方式が用いられることにより、記録される文字や画像等の高密度化及び高精細化が達成される。本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドでは、熱エネルギー発生手段として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子が発する熱エネルギーによってインクを加熱して膜沸騰させたときに発生する気泡による圧力を利用してインクの吐出を行っている。
まず、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの全体構成について図2を参照にして説明する。図示されている記録ヘッド1には、不図示のチューブ等を介して不図示のインクタンクからインクが供給される。また、記録ヘッド1には、インクの種類毎にインク供給部2が設けられている。さらに、記録ヘッド1の内部には、種類の異なるインクが混合しないように、インクの種類毎に個別の液室が設けられている。そして、インク毎に独立した液室よりチップ3へインクが供給される。すなわち、記録ヘッド1では、共通の基板7上に、インクの種類に応じた複数のチップ3が設けられている。また、本実施形態に係る記録ヘッド1は、熱エネルギー発生手段として電気熱変換素子を用いているので、インクの吐出時にチップ3全体の温度が上昇する。そこで、チップ3の温度上昇による画像劣化やチップ3の耐久性低下を回避すべく、セラミック等の熱伝導率の高い材料を用いた放熱層4を備えてチップ3の温度上昇を軽減させている。
次に、チップ3の構成について述べる。図3はチップ3を一部切り欠いて見た斜視図である。図4は、図3のA−A線に沿う断面のうちの一部を示す断面図である。このチップ3はオリフィスプレート5が流路構成部材6を挟んで基板7に接合されることで形成されている。チップ3はインク供給口8を有しており、このインク供給口8に対しインクが供給される。
インク供給口8は、基板7を貫通するように形成されている。本実施形態では、基板7の裏面(インク供給路の上流側)から表面(オリフィスプレート5の配置面)へ向かうにつれてインク供給口8の開口幅が狭まるように形成されている。本実施形態では、基板7はSiで形成されている。しかし、基板7は、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等から形成されていてもよい。すなわち、基板が流路構成部材の一部として機能し、後述する発熱素子、インク流路及び吐出口を形成する材料層の支持体として機能し得るのであれば、その材料は特に限定されるものではない。
オリフィスプレート5における記録媒体と対向する面には、複数の吐出口9が形成されている。また、オリフィスプレート5、流路構成部材6及び基板7によって、各吐出口9にそれぞれ連通する複数のインク流路10と、インク供給口8から供給されるインクを貯留して各インク流路10に分配する共通液室11とが画成されている。各インク流路10の、共通液室11側端部とは逆側の端部にはエネルギー作用室12が形成されている。そして、エネルギー作用室内には、吐出されるべきインクが、インク供給口8から供給されて貯留されている。
また、チップ3は、電気熱変換素子としての発熱素子13を備えている。基板7には、発熱素子13が所定のピッチで2列に並んで配置されている。発熱素子13は、エネルギー作用室12内の吐出口9と対向する位置に配置されている。発熱素子13は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生させ、エネルギー作用室12内に貯留されているインクに熱エネルギーを付与する。そして、エネルギー作用室12内に貯留されているインクは、発熱素子13によって熱が加えられて膜沸騰による気泡が生成されることで、その気泡による発泡圧によって運動エネルギーが与えられ、吐出口9から吐出される。
本実施形態に係る記録ヘッド1には、2つのノズル列(第1ノズル列14、第2ノズル列15)が平行に設けられている。各ノズル列14、15における隣接するノズル間の間隔は600dpiに設定されている。すなわち、各ノズル列14、15におけるノズルの配列ピッチは600dpiである。また、第2のノズル列15の各エネルギー作用室12と、第1のノズル列14の各エネルギー作用室12は、互いに1/2ピッチずれて配列されている。
本実施形態に係る記録ヘッド1は、特開平4−10940号公報、特開平4−10941号公報に開示されたインクジェット記録方式が適用されたインク吐出手段を有しており、インクの吐出時に発生する気泡が吐出口9を介して外気に連通する。
以下、チップ3におけるノズル構造についてより具体的に説明する。尚、以下の説明で用いる寸法、数値等は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。また、以下の説明では大気連通方式の液体吐出について述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係る記録ヘッド1は、少なくとも第1のチップと第2のチップとを備えている。第1のチップにおける吐出口中心は、発熱素子中心に対してインク供給方向側にずれている(オフセットしている)。一方、第2のチップにおける吐出口中心は、発熱素子中心に対してインク供給方向とは反対方向にずれている(オフセットしている)。これまで説明したチップの構成は、第1のチップと第2のチップに共通する構成である。以下では、第1のチップと第2のチップの違いについて説明する。
図5に、吐出口9の中心が発熱素子中心よりもインク供給方向側にずれている第1のチップの構成を示す。図5(a)は第1のチップの吐出口9及びその周辺の詳細図である。また、図5(b)には図5(a)のB−B断面図を示す。図5(a)に示すエネルギー作用室12の幅(HW)と長さ(HH)は共に27μmである(HW=HH=27μm)。また、発熱素子13の幅(LW)は24.8μm(LW=24.8μm)、長さ(LH)は24.4μm(LH=24.4μm)である。さらに、発熱素子中心(O1)と吐出口中心(O2)との間の距離(O1−O2)は5μmである。すなわち、吐出口中心(O2)が発熱素子中心(O1)に対してインク供給方向側へずれており、そのずれ量は5μmである。換言すれば、吐出口中心(O2)が発熱素子中心(O1)に対して5μmインク供給方向下流側へずれている。
また、吐出口9の直径は14.3μm、オリフィスプレート5の表面から発熱素子13の表面までの距離(OH)は26μmである(OH=26μm)。また、エネルギー作用室12の高さ(h)は16μmである(h=16μm)。
図6は、吐出口9の中心が発熱素子中心よりもインク供給方向と反対方向にずれている第2のチップの構成を示す。図6(a)は第2のチップの吐出口9及びその周辺の詳細図である。また、図6(b)には図6(a)のC−C断面図を示す。図6(a)(b)に示す発熱素子中心(O1)と吐出口中心(O3)との間の距離(O1−O3)は3μmである。すなわち、吐出口中心(O3)が発熱素子中心(O1)に対してインク供給方向逆側へずれており、ぞのずれ量は3μmである。換言すれば、吐出口中心(O3)が発熱素子中心(O1)に対して3μmインク供給方向上流側へずれている。これ以外の構成は、図5(a)(b)に示す第1のチップの構成と共通である。
次に、第1のチップと第2のチップがそれぞれどのようなインク物性に適しているかについて説明する。まず、吐出口中心を発熱素子中心に対し、インク供給方向逆側へずらした第2のチップを用いて行ったシミュレーション及び実験の結果を表1に示す。より具体的には、粘度=1.57mPa・s、密度=1.05g/mlの物性値を有するインクの表面張力を変えて行ったシミュレーション及び実験の結果を表1に示す。
Figure 2011143579
表面張力が40mN/m未満のインクの場合、インク吐出後の気泡が大気と連通し、負圧泡を残さないことでキャビテーションの発生が抑制される。このときの吐出過程を図7に示す。吐出口9からインクが吐出されると、気泡30が一度最大体積に成長し、その後気泡30が消泡し始める(図7(a)〜(c))。これとほぼ同時に吐出口9の内部ではメニスカス31が形成され、インクが吐出されてエネルギー作用室12内のインク量が減少することで、発熱素子13の方向へインクが移動していく。この移動の際に、発熱素子方向に移動するメニスカス31と発熱素子13との間に存在するインク及び気泡30が押さえ付けられて圧縮される(図7(d))。これにより、吐出口9の直下で気泡30が圧縮され、気泡30の容積や形状によっては図7(e)のようにエネルギー作用室12の左側に大きな負圧の分断泡が形成される。この分断泡は消泡する過程でメニスカス31と接触し、大気と連通する。これによりキャビテーションの発生が抑制される。一方、表面張力が40mN/m以上のインクの場合、インク吐出後の気泡が大気と連通せず、負圧泡が残ることでキャビテーションの発生を招く。このときの吐出過程は図1に示した通りである。表面張力が高い場合(大きい場合)、メニスカスの曲率が小さくなり気泡が丸まるようになることで気泡の容積が小さくなりやすい。したがって、図1で示したような負圧の分断泡が大気と連通し難くなる。このような表面張力が高いインクを用いる場合は、図5に示したように、吐出口中心をインク供給方向側へずらすことで、負圧の分断泡の発生を防止し、キャビテーションの発生を抑制できる(図10)。
上記より、負圧の分断泡を発生させずにキャビテーションの発生を抑制できることが望ましい。しかし、図5に示すように、吐出口中心をインク供給方向側へずらすと、画質劣化に影響する場合がある。具体的には、吐出終了後に色材成分がインク供給口側へ後退するため、次の吐出の当初における画質安定性が低下する場合がある。そこで、インクを吐出する際、最初の吐出時に予め数滴の吐出を行うことで画質の安定性を図ることが知られている。しかし、吐出口中心をインク供給方向側へずらすと、インク供給口から吐出口までの距離が大きくなるため、予め吐出させる液滴数を増やさなければならない。これは印字に使用できるインクの減少につながり好ましくない。かかる観点からは、吐出口9をできるだけインク供給口8(図4)に近づけることが望ましい。
以上から、表面張力が40mN/m以上のインクの場合は図5に示すように、表面張力が40mN/m未満のインクは図6に示すように吐出口9の位置を定めることが望ましい。換言すれば、表面張力が40mN/m以上のインクが用いられる場合には第1のチップを、表面張力が40mN/m未満のインクが用いられる場合には第2のチップを採用することが望ましい。
次に、本発明の第1の実施例について説明する。本実施例に係る記録ヘッドにおけるチップ構成を図8に示す。本実施例に係る記録ヘッドは、表2に示すような表面張力の異なる4種類のインクを吐出するものである。
Figure 2011143579
図8は、本実施例に係る記録ヘッドをチップ3の表面側から見た図である。図面左からシアン用のチップ3c、マゼンタ用のチップ3m、イエロー用のチップ3y、ブラック用のチップ3bがこの順で並べられている。ここで、表2に示すように、ブラックのみ表面張力が40mN/m以上である。そこで、チップ3bにおける吐出口9の位置(発熱素子中心(O1)と吐出口中心(O2)との位置関係)は図5のようになっている。また、ブラック以外の色のインクの表面張力は40mN/m未満である。そこで、チップ3c、3m、3yにおける吐出口9の位置(発熱素子中心(O1)と吐出口中心(O3)との位置関係)は図6のようになっている。すなわち、ブラック用のチップ3bには第1のチップが採用され、ブラック以外の色用のチップ3c、3m、3yには第2のチップが採用されている。このように、使用するインクの物性に応じて第1のチップと第2のチップを使い分けることにより、ムダなインクの消費を抑え、キャビテーションの発生をも抑制し、記録ヘッド全体の耐久性を向上させることが可能となる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例に係る記録ヘッドにおけるチップ構成を図9に示す。本実施例に係る記録ヘッドは、表3に示すような表面張力の異なる4種類のインクを吐出するものである。
Figure 2011143579
表3に示すように、シアンとマゼンタは表面張力が40mN/m未満であり、イエローとブラックは表面張力が40mN/m以上である。従って、実施例1で述べたように、シアン用のチップ3cとマゼンタ用のチップ3mついては、吐出口9の中心を発熱素子13の中心に対し、インク供給方向逆側へずらしてある。また、イエロー用のチップ3yとブラック用のチップ3bについては、吐出口9の中心を発熱素子13の中心に対し、インク供給方向側へずらしてある。すなわち、シアン用のチップ3cとマゼンタ用のチップ3mには第2のチップが採用され、イエロー用のチップ3yとブラック用のチップ3bには第1のチップが採用されている。
しかしながら、ブラックはイエローよりも表面張力が大きく、消泡時に気泡がより小さくなろうとする。そこで、図10に示すように、メニスカス31が発熱素子13方向へ進む際に分断泡が発生しない系であれば図5に示すO1−O2間の距離は5μm以下でもよい。何故ならブラックはイエローよりも表面張力が大きく、消泡時に気泡がより小さくなろうとするため、分断泡をできるだけ大きく残し、メニスカス31と接触させる必要があるからである。
実施例1で述べたように、印字の初めから画質安定性を向上させるためには、吐出口9をできるだけインク供給口8(図4)に近づけることが望ましい。よって、図9に示すように、イエロー用のチップ3yでは、図5に示すO1−O2間の距離を5μm、ブラック用のチップ3bでは、O1−O2間の距離を3μmとしてある。また、その他のチップ3c、3mでは、図6に示すO1−O3間の距離を3μmとしてある。
このように、表3に示すようなインクを用いる場合には、図9に示すようなチップ構成を採用することで、画質劣化を抑制しながらキャビテーションの発生を抑制することが可能となる。
次に、本発明の第3の実施例3について説明する。実施例1及び実施例2では、吐出口中心が発熱素子中心に対してインク供給方向側もしくはインク供給方向逆側にずれて配置されている例について説明した。一方、本実施例に係る記録ヘッドは、第1のチップ及び第2のチップに加えて、吐出口中心が発熱素子中心位置と同じ位置に配置された第3のチップを備えている。
図11は、本実施例に係る記録ヘッドが備える第3のチップにおける吐出口9及びその周辺の詳細図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。図11に示すエネルギー作用室12の幅(HW)と長さ(HH)は共に30μm(HW=HH=30μm)である。また、発熱素子13の幅(LW)は24.8μm(LW=24.8μm)、長さ(LH)は24.4μm(LH=24.4μm)である。さらに、発熱素子中心(O1)と吐出口中心(O4)との間の距離は0.0μm(O1=O4)である。すなわち、吐出口中心(O1)と発熱素子中心(O4)とが一致している。また、吐出口9の直径は14.3μm、オリフィスプレート5の表面から発熱素子13の表面までの距離(OH)は26μmである(OH=26μm)。また、エネルギー作用室12の高さ(h)は16μmである(h=16μm)。
図12は、本実施例のチップにおけるインク吐出後のノズル内の様子を示す模式図である。同図に示すように、インク吐出後、メニスカス31が発熱素子方向へ進み、気泡30を押さえている。発熱素子13(図11)の端部とエネルギー作用壁16の距離がより離れていれば、気泡30は図12のように環状形状を維持する。すなわち、図7に示したような負圧の分断泡が発生しない。従って、本実施例に示すエネルギー作用室形状や発熱素子の寸法ではキャビテーションが発生し難い。
本実施例では、次の表4に示す4種類のインクを用いることとし、各チップにおけるノズルや発熱素子などの寸法を同表に示すように設定した。
Figure 2011143579
シアンについては負圧の分断泡が発生しないため、図11に示すように、吐出口中心が発熱素子中心位置と同じ配置であるチップ3cを用いた。その他、マゼンタ、イエロー、ブラックについては実施例2で示したチップと同様のチップ3m、3y、3bを用いた。。すなわち、シアン用のチップ3cには第3のチップが採用され、マゼンタ用のチップ3mには第2のチップが採用され、イエロー用及びブラック用のチップ3y、3bには第1のチップが採用されている。
図13は、本実施例に係る記録ヘッドをチップの表面側から見た図であり、紙面左からシアン用のチップ3c、マゼンタ用のチップ3m、イエロー用のチップ3y、ブラックのチップ3bがこの順で並べられている。同一ヘッドにこれらのチップを備えた記録ヘッドにおいてもキャビテーションの発生が抑制される。
なお、上記各実施例で示した記録ヘッドに備えられたチップ数はこれに限定されない。
1 記録ヘッド
3 チップ
7 基板
9 吐出口
12 エネルギー作用室
13 発熱素子
30 気泡

Claims (6)

  1. 液体が供給されるエネルギー作用室、前記エネルギー作用室に連通する吐出口および前記エネルギー作用室内に配置された熱エネルギー発生手段を備えた複数のチップが共通の基板の上に配置され、前記熱エネルギー発生手段が発する熱によって前記エネルギー作用室内の液体中に気泡が生成されることで該液体が前記吐出口から吐出される液体吐出ヘッドであって、
    前記吐出口の中心が、前記熱エネルギー発生手段の中心に対して前記エネルギー作用室への液体の供給方向にずれている第1のチップと、
    前記吐出口の中心が、前記熱エネルギー発生手段の中心に対して前記エネルギー作用室への液体の供給方向と反対方向にずれている第2のチップとを有する、液体吐出ヘッド。
  2. 前記第1のチップの前記エネルギー作用室には、表面張力が40mN/m以上の液体が供給され、
    前記第2のチップの前記エネルギー作用室には、表面張力が40mN/m未満の液体が供給される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 液体が供給されるエネルギー作用室、前記エネルギー作用室に連通する吐出口および前記エネルギー作用室内に配置された熱エネルギー発生手段を備えた複数のチップが共通の板の上に配置され、前記熱エネルギー発生手段が発する熱によって前記エネルギー作用室内の液体中に気泡が生成されることで該液体が前記吐出口から吐出されるとともに、前記気泡が最大体積に成長した後に初めて大気と連通する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記吐出口の中心が、前記熱エネルギー発生手段の中心に対して前記エネルギー作用室への液体の供給方向にずれている第1のチップと、
    前記吐出口の中心が、前記熱エネルギー発生手段の中心に対して前記エネルギー作用室への液体の供給方向と反対方向にずれている第2のチップとを有する、液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1のチップの前記エネルギー作用室には、表面張力が40mN/m以上の液体が供給され、
    前記第2のチップの前記エネルギー作用室には、表面張力が40mN/m未満の液体が供給される、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記吐出口の中心と前記熱エネルギー発生手段の中心とのずれ量が前記エネルギー作用室に供給される液体の物性に応じて異なる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記吐出口の中心と前記熱エネルギー発生手段の中心とが一致している第3のチップを有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015024617A (ja) * 2013-07-29 2015-02-05 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド、吐出方法及び記録装置

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