JP2011142893A - 熱水流通式糖化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】産業用の処理装置として効率的な運転が可能な熱水流通式糖化装置を提供する。
【解決手段】反応管1に収納された原料有機物Xに加圧熱水を通水させて加水分解する熱水流通式糖化装置Aであって、原料有機物Xを収納する原料ホッパ4と、該原料ホッパ4から落下した原料有機物Xを収容すると共に反応槽1に連通する原料供給管3と、該原料供給管3の一端から反応管1に向けて原料有機物Xを押し出して反応管1に移送する原料移送部5と、原料供給管3と反応管1との間に設けられた仕切り弁2と、反応管1において原料供給管3の反対側に設けられ、残渣Xaを外部に排出するための残渣排出部6と、反応管1の一端に加圧熱水を供給する加圧熱水供給部7と、反応管1の他端から加圧熱水を分解液とともに回収する液回収部8とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱水流通式糖化装置に関する。
下記特許文献1には、セルロース粉末の充填固定床に、270〜310℃の範囲内の温度に保持した加圧熱水を滞留時間が30秒以下になるような速度で通水して加水分解することによりグルコース単位6〜25個からなる非水溶性多糖類を製造する技術が開示されている。この技術は、セルロース粉末を原料として非水溶性多糖類を製造することを目的とするものである。
特許第3128575号公報
ところで、上記特許文献1の技術は、特許文献1の図1に示された反応装置を用いるが、この反応装置(熱水流通式糖化装置)は、セルロース粉末を原料とする実験装置として構成されたものであり、バイオマスを原料とする産業用の処理装置として実用できるものではない。すなわち、従来の熱水流通式糖化装置をバイオマスを原料とする産業用の処理装置に適用するためには、例えばバイオマス(原料)の取り込み機構や処理後の残渣等の取出機構等について、より効率的な運転が可能なように装置構成を最適化する必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、産業用の処理装置として効率的な運転が可能な熱水流通式糖化装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、熱水流通式糖化装置に係る第1の解決手段として、反応管に収納された原料有機物に加圧熱水を通水させて加水分解する熱水流通式糖化装置であって、原料有機物を収納する原料ホッパと、該原料ホッパから落下した原料有機物を収容すると共に管状反応槽に連通する原料供給管と、該原料供給管の一端から反応管に向けて原料有機物を移送する原料移送部と、原料供給管と反応管との間に設けられた仕切り弁と、反応管の一端に加圧熱水を供給する加圧熱水供給部と、反応管の他端から加圧熱水を分解液とともに回収する液回収部とを具備する、という手段を採用する。
熱水流通式糖化装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、反応管において原料供給管の反対側に設けられ、残渣を外部に排出するための残渣排出部をさらに備え、原料供給管及び原料移送部は、原料有機物を反応管に圧送するように構成される、という手段を採用する。
熱水流通式糖化装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、液回収部は、反応管内の圧力を一定に保持するための保圧弁を備える、という手段を採用する。
熱水流通式糖化装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、仕切り弁は、弁体に形成された通路が反応管の内形と同一なボール弁である、という手段を採用する。
本発明によれば、仕切り弁、原料供給管、原料ホッパ及び原料移送部の協働によって原料有機物が反応管に自動的に収容されるので、産業用の処理装置として効率的な運転が可能な熱水流通式糖化装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る熱水流通式糖化装置Aの装置構成を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る熱水流通式糖化装置Aの動作を示す第1の説明図である。 本発明の一実施形態に係る熱水流通式糖化装置Aの動作を示す第2の説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る熱水流通式糖化装置Aは、図1に示すように、反応管1、仕切り弁2、原料供給管3、原料ホッパ4、原料移送部5、残渣排出部6、加圧熱水供給部7及び液回収部8、ガス排出部9から構成されている。なお、この図では、都合により各部の相対的な大きさを実物に対して変更している。
熱水流通式糖化装置Aは、反応管1に収納された原料有機物Xに所定温度(例えば150〜300℃程度)かつ所定圧力以上(例えば所定圧力における飽和蒸気圧以上)の加圧熱水を所定時間通水させることにより、連続的ではなくバッチ的(間欠的)に原料有機物Xを加水分解する装置である。このような熱水流通式糖化装置Aは、例えばバイオマス(化石資源を除く生物由来の資源)を比較的重合度が低い多糖類とし、当該多糖類をさらに分解して得られる単糖類からバイオエタノールを製造するプラントにおいて、バイオマスを重合度が比較的低い多糖類とする前段糖化装置として機能するものである。また、このようなバイオエタノール製造プラントにおいて、多糖類から単糖類を得る後段糖化装置として、例えば個体酸触媒を多糖類に作用させて単糖化する固体酸触媒糖化装置が考えられる。
本出願人は、特願2009−219362(平成21年9月24日出願、発明の名称:バイオマス処理装置及び方法)において、において、加圧熱水反応装置(前段糖化装置)における熱水温度を調節することによりバイオマス(木質系バイオマス)に含まれる多糖類(炭水化物)からキシロオリゴ糖とセロオリゴ糖とを個別に取得し、キシロオリゴ糖を第1触媒反応装置(後段糖化装置)で処理することによりキシロース(C10:五炭糖)に単糖化すると共に、セロオリゴ糖を第2触媒反応装置(後段糖化装置)で処理することによりとグルコース(C12:六炭糖)に単糖化し、さらにキシロースを第1発酵装置で発酵処理すると共に、グルコースを第2発酵装置で発酵処理することによりバイオエタノール(CO)を製造するバイオマス処理装置及び方法を提案している。
周知のように、木質系バイオマスは、セルロース(多糖類)、ヘミセルロース(多糖類)及びリグニンを主成分とするが、このような成分の木質系バイオマスに加圧熱水を作用させることにより、セルロースやヘミセルロースをさらに重合度の低い多糖類(キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖及びこれらより多少重合度が高い各種オリゴ糖)に分解することができる。本熱水流通式糖化装置Aは、上述した加圧熱水反応装置(前段糖化装置)と同等の基本機能を奏するものであり、外部から粒状のバイオマスを原料として受け入れ、当該原料を例えばキシロオリゴ糖やセロオリゴ糖に分解する。
このような本熱水流通式糖化装置Aにおいて、反応管1は、図示するように断面が円形の直管状容器である。反応管1の一端(左端)には仕切り弁2が連接され、他端(右端)は閉塞している。後述するように、この反応管1内には原料有機物Xが収容されると共に加圧熱水が一端側(左側)から他端側(右側)に向けて流通することにより、原料有機物Xに含まれるセルロースやヘミセルロースがさらに重合度の低い多糖類(キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖及びこれらより多少重合度が高い各種オリゴ糖)に分解される。
仕切り弁2は、弁体に形成された通路が反応管1の内形と同一かつ同軸なボール弁である。この仕切り弁2において、反応管1の反対側には原料供給管3が連接されている。原料供給管3は、内形が反応管1の内形及び仕切り弁2の通路の内形と同一かつ反応管1と同軸な直管である。すなわち、上記反応管1、仕切り弁2及び原料供給管3は、図示するように直線状かつ軸線が水平となるように設けられている。
原料ホッパ4は、原料供給管3の側部に当該原料供給管3に連通するように設けられており、原料有機物Xを収納する。すなわち、原料ホッパ4の下部開口は原料供給管3の側部に形成された開口と連通しており、原料供給管3は、原料ホッパ4から落下した原料有機物Xを収容する。原料移送部5は、原料供給管3の一端(左端)に連接されており、原料供給管3内に収容された原料有機物Xを原料供給管3の一端(左端)から反応管1に向けて押し出して反応管1に移送する。この原料移送部5は、原料有機物Xを押圧するプッシャーポンプ5aと当該プッシャーポンプ5aを油圧駆動する油圧ユニット5bとから構成されている。
残渣排出部6は、図示するように、上記反応管1において原料供給管3の反対側の側部に設けられ、残渣を外部に排出するための開閉扉である。加圧熱水供給部7は、反応管1の一端側(左端側)に加圧熱水を供給するものであり、加圧ポンプ7a及びヒータ7b等から構成されている。加圧ポンプ7aは、外部から供給された水を所定圧力まで加圧してヒータ7bに供給するものである。ヒータ7bは、上記加圧ポンプ7aから供給された加圧水を所定温度まで加熱し、加圧熱水として反応管1に供給する。
液回収部8は、反応管1の他端側(右端側)から加圧熱水を分解液とともに回収するものであり、冷却器8a及び保圧弁8b等から構成されている。冷却器8aは、反応管1から排出された処理液を冷却して保圧弁8bに供給する。保圧弁8bは、反応管1内の圧力を所定圧力に保持するための調節弁である。ガス排出部9は、反応管1内に溜まったガスを外部に排出するためのものであり、ガス抜き弁9a等から構成されている。このガス抜き弁9aは開閉弁である。
次に、このように構成された熱水流通式糖化装置Aの動作について、図2及び図3をも参照して詳しく説明する。
図2(a)は、反応管1で原料有機物X(例えば木質系バイオマス)を所定時間に亘って加圧熱水処理した後の状態を示している。この状態は、加圧熱水供給部7及び液回収部8は作動を停止した状態であり、また仕切り弁2、ガス抜き弁9a及び残渣排出部6は全て閉じられた状態である。
反応管1における加圧熱水処理によって、原料有機物Xを構成する各種成分のうち、セルロースやヘミセルロースは、さらに重合度の低い多糖類(キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖及びこれらより多少重合度が高い各種オリゴ糖)に分解されると共に加圧熱水とともに液回収部8に回収される。一方、原料有機物Xを構成する各種成分のうち、リグニン等の非分解成分は、加圧熱水によって分解されることなく残渣Xa(固形物)として反応管1の内壁面に付着する。
このような状態で次の原料有機物Xの処理を行う場合、図2(b)に示すように仕切り弁2が解放され、さらに原料移送部5が作動することによりプッシャーポンプ5aが原料供給管3内の原料有機物Xを反応管1に向けて圧送し、原料有機物Xは、仕切り弁2を無理なく通過する。そして、プッシャーポンプ5aが原料有機物Xを反応管1に向けてさらに押し出すことにより、原料有機物Xは、図2(c)に示すように原料供給管3から仕切り弁2を通過して反応管1に侵入する。
このような原料有機物Xの反応管1への侵入に際して、原料供給管3の内形は反応管1の内形と同一に形成されているので、図2(c)に示すように、反応管1の内壁面に付着した残渣Xaが原料有機物Xによって反応管1の他端側(右側)に押し出される。すなわち、原料有機物Xの反応管1への収納と同時に反応管1の残渣Xaが反応管1の内壁面から除去されて反応管1の他端側(右側)に徐々に集められる。
そして、プッシャーポンプ5aによる原料有機物Xの圧送が完了した時点で、残渣Xaは、図2(d)に示すように、反応管1の他端側(右側)に設けられた残渣排出部6に対向するところに位置する。このようにして原料有機物Xの反応管1への収納が完了すると、図2(e)に示すように、残渣排出部6が解放されて、残渣Xaが反応管1の外部に排出される。
そして、図3(a)に示すように、仕切り弁2、残渣排出部6及びガス抜き弁9aの全てが閉じられて、処理の事前準備がすべて完了する。そして、図3(b)に示すように、加圧熱水供給部7及び液回収部8が作動を開始して反応管1の一端側(左側)に加圧熱水(高温高圧水)が順次供給されると共に、反応管1の他端側(右側)から処理液が順次回収されることにより、反応管1内の原料有機物Xが分解処理される。このような原料有機物Xの分解処理では、反応管1内の反応圧力が所定値を維持するように保圧弁8bの開口度が調節される。そして、このような原料有機物Xに対する加圧熱水(高温高圧水)の流通状態、つまり分解処理が所定時間(処理時間)継続されると、図3(c)に示すように、加圧熱水供給部7及び液回収部8が作動を停止して原料有機物Xの分解処理が完了する。
このような本実施形態によれば、仕切り弁2、原料供給管3、原料ホッパ4及び原料移送部5の協働によって原料有機物Xが反応管1に自動的に収容され、また原料有機物Xの反応管1への収容時に反応管1の内壁面に付着した残渣Xaが自動的に内壁面から除去され残渣排出部6を介して外部に排出されるので、産業用の処理装置として効率的な運転が可能な熱水流通式糖化装置を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、プッシャーポンプ5aを用いて原料有機物Xを反応管1内に圧送するようにしたが、原料移送部5の構成はこれに限定されない。例えば、残渣Xaの除去を考慮しなくても良い場合には、原料有機物Xを圧送するものでなくても良い。原料有機物Xを圧送するためには比較的大きな動力を必要とするので、原料有機物Xを圧送しない構成を採用する場合には原料有機物Xの移送に要する動力を節約することができる。
(2)上記実施形態では、反応管1の側部に残渣排出部6を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、反応管1の他端(右端)に残渣排出部6を設けるようにしても良い。残渣排出部6の構成としては、残渣Xaのより多くをより確実に外部に排出できるものが好ましい。
(3)上記実施形態では、反応管1が1本の場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。より多くの原料有機物Xを処理するために反応管1を複数本設け、また各反応管1に上記実施形態と同様の各構成要素を設けるようにしても良い。
A…熱水流通式糖化装置、1…反応管、2…仕切り弁、3…原料供給管、4…原料ホッパ、5…原料移送部、6…残渣排出部、7…加圧熱水供給部、8…液回収部、9…ガス排出部

Claims (4)

  1. 反応管に収納された原料有機物に加圧熱水を通水させて加水分解する熱水流通式糖化装置であって、
    原料有機物を収納する原料ホッパと、
    該原料ホッパから落下した原料有機物を収容すると共に管状反応槽に連通する原料供給管と、
    該原料供給管の一端から反応管に向けて原料有機物を移送する原料移送部と、
    原料供給管と反応管との間に設けられた仕切り弁と、
    反応管の一端に加圧熱水を供給する加圧熱水供給部と、
    反応管の他端から加圧熱水を分解液とともに回収する液回収部と
    を具備することを特徴とする熱水流通式糖化装置。
  2. 反応管において原料供給管の反対側に設けられ、残渣を外部に排出するための残渣排出部をさらに備え、
    原料供給管及び原料移送部は、原料有機物を反応管に圧送するように構成されることを特徴とする請求項1記載の熱水流通式糖化装置。
  3. 液回収部は、反応管内の圧力を一定に保持するための保圧弁を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱水流通式糖化装置。
  4. 仕切り弁は、弁体に形成された通路が反応管の内形と同一なボール弁であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱水流通式糖化装置。

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