以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
実施形態1.
まず、第1の実施形態について図面を参照して説明する。図2は、周波数共用対象であるプライマリシステムと、そのプライマリシステムに対してスペクトルセンシングを利用して周波数共用を行う本発明におけるセカンダリシステムとの関係を例示する説明図である。図2には、プライマリシステムの送信機(プライマリ送信機)100と、プライマリシステムの受信機(プライマリ受信機)110と、地理データベース150と、セカンダリシステムの基地局(セカンダリ基地局)200と、セカンダリシステムの端末(セカンダリ端末)210とが示されている。
プライマリ送信機100は、例えば、本発明のセカンダリ無線機(図2に示す例では、セカンダリ基地局200)が周波数共用の対象とする周波数帯域を使用している送信機である。プライマリ受信機110は、プライマリシステム100からのプライマリ信号を受信する受信機である。地理データベース150は、プライマリシステムの周波数の利用状況を示す周波数利用情報を格納している。
セカンダリ基地局200は、セカンダリ無線機の一態様であって、スペクトルセンシングにより当該セカンダリ基地局200の周囲の周波数帯域の使用状況を認識して、可能であれば周波数共用を行って信号を送信する基地局である。セカンダリ端末210は、セカンダリ無線機の一態様であって、セカンダリ基地局200と通信を行う通信端末である。なお、本例では、セカンダリ端末210は、スペクトルセンシングのためにプライマリシステム100からのプライマリ信号の受信(電波検出)も可能とする。
また、図2には、プライマリシステムとセカンダリシステムのサービスエリアがそれぞれプライマリシステムサービスエリア10とセカンダリシステムサービスエリア30として示されている。加えて、プライマリ信号の検出に関するセカンダリ基地局200およびセカンダリ端末210の誤検出確率を所定値以内に抑える必要性の有るエリアが基準電力エリア50として示されている。なお、基準電力エリア50の外側の領域では、セカンダリシステムは誤警報確率を所定値以下に抑える必要がある。
図2に示すように、セカンダリシステムでの通信がプライマリシステムへの与干渉とならないように、セカンダリサービスエリア30は基準電力エリア50の外側にある。このようにセカンダリサービスエリア30が基準電力エリア50の外側である場合のみ、セカンダリシステムはプライマリシステムと周波数共用を行うようにする。
セカンダリ基地局200は、プライマリシステムに関する周波数利用情報を取得可能なように、地理データベース150と通信ネットワークを介して接続される。なお、地理データベース150へのアクセスは、有線ネットワークを介してでも無線ネットワークを介してでもよい。また、地理データベース150に直接アクセスする以外に、地理データベース150とアクセス可能な装置を備えた報知システムによって報知される周波数利用情報を受信することによって取得してもよい。
また、セカンダリ基地局200およびセカンダリ端末210は、プライマリ信号を受信し、基準電力エリア外であることをスペクトルセンシングによって判定する。または、セカンダリ基地局200およびセカンダリ端末210は、プライマリ信号を受信し、スペクトルセンシングによってプライマリ送信機100からの伝搬損失を推定する。
セカンダリ基地局200は、セカンダリ端末210や他のセカンダリ端末(図示せず)に対し、スペクトルセンシングを行う周波数帯域(チャネル)の指示、送信電力の指示を行う。ここで、スペクトルセンシングを行う周波数帯域は、電波到達状況の推定対象であるプライマリシステムがIntegrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial(ISDB−T)方式のデジタルテレビ放送である場合には、チャネルを分割した単位であるセグメントとしてもよい。セカンダリ端末210では、セカンダリ基地局200で指示されたチャネルに対し周波数共用可否判定、伝搬損失推定、受信電力推定を行い、セカンダリ基地局200で指示された送信電力を用いてセカンダリ基地局200との通信を行う。ここで、セカンダリ基地局200は、プライマリ受信機への干渉が許容干渉電力以下となる許容送信電力を求め、許容送信電力以下の送信電力をセカンダリ基地局200やセカンダリ端末210の送信電力として設定する。
次に、図3を用いてセカンダリ基地局200の構成を説明する。図3は、セカンダリ基地局200の構成例を示すブロック図である。図3に示すセカンダリ基地局200は、アンテナ2001と、送受信分離部2002と、送信変調器2010と、低雑音増幅器2031と、RFアナログ部2030と、センサー部2050と、受信復調器2020と、周波数利用情報取得部2041と、周波数帯域選択部2042と、許容送信電力設定部2060と、送信制御部2070とを備える。
アンテナ2001は、送受信時に使われるアンテナである。送受分離部2002は、送信する際には送信変調器2010から送られた信号をアンテナ2001へ供給し、受信する際にはアンテナ2001で受信した信号を低雑音増幅器2031へ送る。
送信変調器2010は、送信制御部2070で定められた送信電力を用いて、送信ビット系列の符号化や変調を行って送信信号を生成し、送受分離2002へ送出する。送信ビット系列は、データまたは送信制御部2070で生成された制御情報で構成される。
低雑音増幅器2031は、送受分離2002から供給された受信信号を増幅し、RFアナログ部2030にある帯域通過フィルタ2032へ信号を供給する。
RFアナログ部2030では、低雑音増幅器2031からRF信号が供給され、受信復調器2020またはセンサー部2050へデジタルベースバンド信号を供給する。RFアナログ部2030は、帯域通過フィルタ2032と、ミキサー2033と、局部発振器2034と、低域通過フィルタ2035と、アナログデジタル変換部2036とを含む。
まず、帯域通過フィルタ2032は、周波数帯域選択部2042で決定された中心周波数、帯域幅を設定し、RF信号のフィルタリングを行う。フィルタリングされた信号はミキサー2033へ送出される。
局部発振器2034は、周波数帯域選択部2042で決定された中心周波数を設定し、正弦信号をミキサー2033へ送出する。
ミキサー2033は、局部発信器2034で生成された正弦信号と帯域通過フィルタ2032から供給された信号を掛け合わせる。この信号は、低域通過フィルタ2035へ送出される。
低域通過フィルタ2035では、周波数帯域選択部2042で決定された帯域幅で、ミキサー2033から送られた信号をフィルタリングすることで、RF信号からベースバンド信号の同相成分、直交成分が生成される。
生成されたベースバンド信号は、アナログデジタル変換器2036においてサンプリングされ、アナログ信号からデジタル信号に変換される。生成されたデジタル信号は、受信復調器2020またはセンサー部2050に送出される。
受信復調器2020は、アナログデジタル変換器2036から送られたデジタル信号に対し、復調処理、復号処理を行うことで、セカンダリ端末から送られた送信ビット系列を生成する。ここで、セカンダリ端末から送信された送信ビット系列に、制御情報として周波数共用可否の判定結果、伝搬損失推定値(または受信電力推定値)が含まれる場合には、それら情報を許容送信電力設定部2060へ送る。
周波数利用情報取得部2041は、通信ネットワークを通じて地理データベース150に格納された周波数利用情報を取得する。ここで、周波数利用情報は、当該セカンダリシステムで周波数共用対象となる周波数帯域の利用状況についての情報であって、少なくとも各チャネルの中心周波数、周波数帯域幅、各プライマリ送信機の位置情報(例えば、緯度/経度情報、送信アンテナ高情報)、送信電力、送信アンテナ利得を含む情報である。さらに、サービスエリア半径やプライマリ受信機の許容干渉電力を含んでいてもよい。これらは、例えば、送信電力制御用に使用される。また、さらに適用伝搬モデルとそのモデルに応じた必要パラメータ(プライマリ受信機の標準受信アンテナ高等)を含んでいてもよい。これらは、例えば、周波数帯域間の補正用に使用される。本実施形態では、各チャネルの中心周波数、周波数帯域幅、各プライマリ送信機の緯度/経度情報、送信アンテナ高情報、送信電力、送信アンテナ利得、サービスエリア半径、適用伝搬モデル、プライマリ受信機の許容干渉電力、プライマリ受信機の標準受信アンテナ高を含むものとする。これらの周波数利用情報は、周波数帯域選択部2042へ創出される。
周波数帯域選択部2042は、周波数利用情報取得部2041で取得した周波数利用情報に基づき、セカンダリ基地局200およびセカンダリ端末で周波数共用可能か否かを判定するチャネルを決定する。このうち、セカンダリ端末で共用可否を判定するチャネルについては、送信制御部2070に送られる。また、周波数帯域選択部2042は、セカンダリ端末のスペクトルセンシングで必要となる周波数利用情報を送信制御部2070に送る。本例では、端末に送信する周波数利用情報は、各チャネルの中心周波数、周波数帯域幅、プライマリ送信機の緯度/経度情報、送信アンテナ高情報、送信電力、送信アンテナ利得とする。
次に周波数帯域選択部2042でのチャネル決定方法について説明する。ここで、セカンダリ基地局200において第1に電波到達状況の推定対象とするチャネル(すなわち、第一の周波数帯域)をCH_0とする。電波到達状況の推定対象とするチャネルは、その後当該セカンダリシステムにおいて受信電力推定対象または周波数共用可否の判定対象となるチャネルであって、所定の方法に従い1つ決定されればよい。CH_0の決定方法は任意でよい。例えば、全てのTVチャネルについて周波数共用可否の判定を行う場合には、周波数の低い方から順番にチャネルを選択してもよい。また、例えば、等価等方複射電力で昇順にソートして、電力の小さいものから選択してもよい。
周波数帯域選択部2042は、そのCH_0に対して、まず選択候補とするチャネルを、CH_0および、CH_0を使用する(CH_0を使ってプライマリ信号を送信する)プライマリ送信機で使用される別なチャネル(すなわち、第二の周波数帯域)、および、CH_0を使用するプライマリ送信機に近接するプライマリ送信機で使用されるチャネル(すなわち、第三の周波数帯域)とする。例えば、CH_0を使用するプライマリ送信機が屋上に設置されている建物と同じ屋上に設置された別なプライマリ送信機や、プライマリ送信機の設置された放送塔(無線局)に同様に設置された別なプライマリ送信機が、前述の近接した位置にあるプライマリ送信機となり、これら送信機で使用されるチャネルが選択候補となる。より具体的には、例えば、地理データベース150から取得した周波数利用情報を使用して、CH_0を使用するプライマリ送信機の緯度/経度と同一または一定値以内の緯度/経度に設置されており、送信アンテナ高に関しても同様に一定値以内であるプライマリ送信機をサーチし、そのプライマリ送信機で使用されているチャネルを選択候補とする。
周波数帯域選択部2042は、これら選択候補のチャネルの中で、送信電力と送信アンテナ利得の積である等価等方輻射電力が最大であるチャネルを選択する。ここで選択されたチャネル(CH_kとする)が、セカンダリ基地局200で実際にスペクトルセンシングを行うチャネルとなる。このCH_kの中心周波数、帯域幅は帯域通過フィルタ2032へ送られる。また、CH_kの中心周波数は局部発振器2034に送られ、CH_kの帯域幅は低域通過フィルタ2035へ送られる。さらに、CH_kで使用される等価等方輻射電力、および、当該セカンダリ基地局200において周波数共用可否の判定対象であるチャネルCH_0で使用されている等価等方輻射電力がセンサー部2050に送られる。
また、周波数帯域選択部2042では、CH_0に関する周波数利用情報を許容送信電力設定部2060に送る。
以下、図面を用いて周波数帯域選択部2042でのチャネルの選択方法を説明する。図4は、周波数利用状況の例および各無線機での受信電力と送信機からの距離との関係を示す説明図である。図4には、プライマリ送信機100がCH_0とCH_1を使ってプライマリ信号を送波している例が示されている。ここで、CH_0とCH_1の信号は、同一送信機から送信されているものとする。また、周波数利用情報からCH_0の等価等方輻射電力P1<CH_1の等価等方輻射電力P2となっているものとする。プライマリ送信機100から送波される信号は、等価等方輻射電力(例えばP1やP2)で送信され、そのプライマリ送信機100(PS)からの距離が遠くなるほど減衰して受信される。すなわち、受信機における受信電力は、プライマリ送信機100との距離が遠くなるほど小さくなる。このとき、図4のグラフで示すように、CH_0の伝搬損失G1とCH_1の伝搬損失G2との関係のように、同一送信機(または近傍の送信機)から送信される信号は同程度の距離減衰を受けることがわかる。
また、図5は、図4に示す周波数利用状況における周波数帯域選択部2042でのチャネル選択の例を示す説明図である。なお、図5(a)は、等価等方輻射電力との関係においてチャネル選択の例を示す説明図であり、図5(b)は、地理的関係においてチャネル選択の例を示す説明図である。例えば、図4に示すような周波数利用状況であった場合、図5に示すように、等価等方輻射電力のより小さいCH_0を第一の電波到達状況の推定対象(すなわち、第一の周波数帯域)として、このCH_0の周波数共用可否を判定するために、第一、第二または第三の周波数帯域のうち等価等方輻射電力のより大きいCH_1をセンシング対象としてもよい。等価等方輻射電力の大きなチャネルを用いることで、伝搬損失の推定精度を向上させることができ、また高精度な伝搬損失推定値を用いれば、CH_0の受信電力の推定精度を向上させることができるからである。
次に、センサー部2050の構成について図6を用いて説明する。センサー部2050は、スペクトルセンシングの方法として電力検出を用いた具体例である。以降の実施の形態においても同様に、電力検出を例として用いるが、使用するスペクトルセンシングの手法についてはこれに限定されないものとする。
図6に示すセンサー部2050は、電力検出部2051と、伝搬損失推定部2052と、所望チャネル受信電力推定部2053と、判定部2054とを含む。
アナログデジタル変換器2036から送られたベースバンド信号は、電力検出部2051へ入力される。電力検出部2051は、入力されたベースバンド信号を元に、プライマリ信号の受信電力の推定値を算出する。電力検出部2051は、例えば、入力されたベースバンド信号から各サンプルの二乗値に対し加算平均をとる。さらに、その加算平均値からセカンダリ基地局200での雑音電力を減算することで、プライマリ信号の受信電力の推定値を得る。本例では、以下の式(1)によりプライマリ信号の受信電力の推定値を算出する。
ここで、y(n)は第nサンプルにおけるCH_kのベースバンド信号のサンプル値、Nは加算平均で用いるサンプル数、σ2はセカンダリ基地局200における雑音電力を表し、Dkはプライマリ信号の受信電力の推定値である。ここで、ベースバンド信号y(n)は等価低域表現とし、同相成分を実部に、直交成分を虚部にもつ複素数である。雑音電力は、セカンダリ基地局200で推定する必要があるが、ここでは図示していない。式(1)で得られたCH_kのプライマリ信号の受信電力推定値は、伝搬損失推定部2052に送られる。
伝搬損失推定部2052は、周波数帯域選択部2042から送られたCH_kの等価等方輻射電力と、電力検出部2051から送られたCH_kのプライマリ信号の受信電力推定値とに基づいて、CH_kを使用するプライマリ送信機とセカンダリ基地局200との間での伝搬損失を推定する。伝搬損失推定部2052は、例えば、周波数帯域選択部2042から送られたCH_kの等価等方輻射電力を電力検出部2051から送られたCH_kのプライマリ信号の受信電力推定値で除算し、低雑音増幅器2030の利得との積をとることで、CH_kを使用するプライマリ送信機とセカンダリ基地局200との間での伝搬損失を推定する。本例では、以下の式(2)により伝搬損失を推定(算出)する。
ここで、PkはCH_kの等価等方輻射電力を表し、Gampは低雑音増幅器2031の利得(自動利得制御がある場合には、当該利得を含む。)を表し、Lkは伝搬損失である。なお、伝搬損失は伝搬利得の逆数として定義する。この伝搬損失は、CH_kを使用するプライマリ送信機とCH_0を使用するプライマリ送信機とが同一または近接していることから、CH_0を使用するプライマリ送信機とセカンダリ基地局200との間の伝搬損失とみなすことができる。こうして得られた伝搬損損失は所望チャネル受信電力推定部2053と許容送信電力設定部2060とに送られる。
所望チャネル受信電力推定部2053は、伝搬損失推定部2052から送られた伝搬損失と周波数帯域選択部2042から送られたCH_0の等価等方輻射電力とに基づき、CH_0の受信電力を推定する。所望チャネル受信電力推定部2053は、例えば、伝搬損失推定部2052から送られた伝搬損失と周波数帯域選択部2042から送られたCH_0の等価等方輻射電力とを、以下に示す式(3)に用いることにより、CH_0の受信電力推定値Prx,0を算出する。
ここで得られたCH_0の受信電力推定値Prx,0は判定部2054に送られる。判定部2054は、所望チャネル受信電力推定部2053から送られたCH_0の受信電力推定値に基づき、CH_0について周波数共用の可否を判定する。判定部2054は、例えば、所望チャネル受信電力推定部2053から送られたCH_0の受信電力推定値と所定の閾値とを比較し、受信電力推定値が閾値より小さい場合には周波数共用可能であり、受信電力推定値が閾値より高い場合には周波数共用不可であると判定してもよい。この周波数共用可否判定の二値情報(共用可/共用不可)は許容送信電力設定部2060に送られる。なお、これに加えて、CH_kのプライマリ信号の受信電力推定値であるDkを閾値比較することで、CH_kの周波数共用可否を決定し、CH_0の結果と併せて許容送信電力設定部2060に送ってもよい。なお、ここでは式(1)から式(3)を用いてCH_0の受信電力推定値を求めたが、この形態に限定されず、式(1)から式(3)をまとめた一つの式で算出する形態でもよい。
許容送信電力設定部2060では、判定部2054から送られた周波数共用可否の二値情報に基づき許容送信電力を設定する。また、許容送信電力の設定には、周波数帯域選択部2042から送られたCH_0に関する種種の周波数利用情報を利用する。さらに、受信復調器2020から送られたセカンダリ端末での周波数共用可否の判定結果、伝搬損失推定値(または受信電力推定値)を利用してもよい。ここで、セカンダリ端末でのスペクトルセンシングにより得られた周波数共用可否の結果を使用する場合には、周波数共用可という結果を1、周波数共用不可という結果を0としたときに、セカンダリ基地局200での周波数共用可否の判定結果も含めた全判定結果の論理和や論理積等を最終判定結果とすることができる。また、セカンダリ端末でのスペクトルセンシングにより得られた伝搬損失推定値や受信電力推定値を利用する場合にはそれぞれの平均値を最終的な伝搬損失推定値や受信電力推定値とすることも可能である。以下では、説明を簡単にするため、セカンダリ基地局200自身で得られた周波数共用可否の判定結果、伝搬損失推定値を用いて許容送信電力を設定する。
まず、周波数共用可/不可の二値情報の結果から周波数共用不可である場合には許容送信電力を0[W]に設定する。
次に、周波数共用可能である場合のプライマリシステムとセカンダリシステムとの伝搬損失の関係について図7に示す。図7には、プライマリ送信機100と、プライマリシステムサービスエリア10内でセカンダリシステムから最も近い位置にあるプライマリ受信機110、およびセカンダリ基地局200が示されている。また、図2と同様に、プライマリシステムサービスエリア10とセカンダリシステムサービスエリア30、基準電力エリア50が示されている。加えて、セカンダリ基地局200からプライマリ受信機110までの伝搬損失推定値をLSPとし、プライマリ送信機100からセカンダリ基地局200までの伝搬損失推定値をLPSとしている。
伝搬損失推定値LSPは、プライマリ送信機100の位置とサービスエリア半径を用いて、セカンダリ基地局200から最も近い位置(セカンダリ基地局200はGPS等で自身の位置情報を取得できるものとする)におけるプライマリシステムのサービスエリア端(図7におけるプライマリ受信機110の位置)を求め、その位置とセカンダリ基地局との間の伝搬損失を適用伝搬モデルに基づき求めたものである。ここで、適用伝搬モデルは、奥村・秦モデル等の伝搬モデルを用いることができる。本実施形態では、地理データベース150から取得した周波数利用情報で指定された伝搬モデルを用いる。例えば、奥村・秦モデルを使用する場合には、周波数仕様情報によって示されるプライマリ受信機110の標準アンテナ高、中心周波数、セカンダリ基地局200のアンテナ高、位置情報を用いて計算したセカンダリ基地局200とプライマリシステムのサービスエリア端との距離とを使用して、伝搬損失を計算する。同様にして、伝搬損失推定値LPSも、プライマリ送信機100の位置情報とセカンダリ基地局200の位置情報を用いて適用伝搬モデルから求めることができる。
周波数共用可能である場合には、プライマリ受信機110での受信干渉電力が許容値(許容干渉電力)を超えないよう、許容送信電力PS,allow(ただし、セカンダリ基地局200の送信アンテナ利得込みの等価等方輻射電力とする)を設定する。より具体的には、以下の式(4)で許容送信電力を算出してもよい。
ここで、PS,allowはプライマリ受信機での許容干渉電力(ただし、プライマリ受信機の受信アンテナ利得込みとする)、Γはシャドウィングやフェージングを考慮したマージンである。ただし、式(4)の全ての値は真値からdBmまたはdBに変換された値とする。
また、式(4)によって許容送信電力を設定する以外に、例えば、伝搬損失推定部2052でスペクトルセンシングを行うことで得られたプライマリ送信機とセカンダリ基地局200との間の伝搬損失推定値を用いて上述の非特許文献2に記載されている方法を用いて許容送信電力を設定してもよい。すなわち、伝搬損失推定値、許容干渉電力、雑音電力、シャドウィングおよびセンシング誤差補正のためのマージンを用いて求めてもよい。
このように決定された許容送信電力は送信制御部2070に送られる。
送信制御部2070は、セカンダリ基地局200での送信に用いる電力を決定するため、許容送信電力設定部2060で決定された許容送信電力以下の範囲で送信電力制御を行う。加えて、セカンダリ端末210での送信に使用する送信電力についても許容送信電力以下となるよう決定し、制御情報として生成する。また、各セカンダリ端末210がセカンダリ基地局との通信時に使う無線リソース(チャネル、時間スロット、符合等)を表すスケジューリング情報を生成する。
また、セカンダリ端末210でもスペクトルセンシングを行わせる場合には、当該セカンダリ端末210がセンシングを行う無線リソース(スペクトルセンシングを行うチャネル、時間スロット、符合等)を表すセンシングスケジューリング情報(無線リソースと当該セカンダリ端末210との関連付け)を制御情報として生成する。
また、送信制御部2070は、周波数帯域選択部2042から送られた周波数利用情報を制御情報として生成する。また、これら制御情報の他にセカンダリシステム間での通信に必要な制御情報があれば生成する。送信制御部2070で決定された制御情報は、送信変調器2010へ送出される。
図8には、周波数共用対象であるチャネルCH_0とスペクトルセンシングの対象であるチャネルCH_k、および他のチャネルCH_xにおけるセカンダリ無線機(セカンダリ基地局およびセカンダリ端末を含む総称)での送信または受信期間とスペクトルセンシングを行う送信停止時間(Quiet Period)とが示されている。また、図8には、CH_0とCH_kとは送信停止時間が同期しているが、CH_xは送信停止時間がCH_0およびCH_kとは同期していない例が示されている。送信停止時間では、セカンダリ基地局およびセカンダリ端末が送信を停止することで、セカンダリ基地局およびセカンダリ端末は余計な干渉なしにプライマリ信号を受信できるようになり、これにより正確なスペクトルセンシングを行うことが可能となる。
既に説明したように、周波数帯域選択部2042では、周波数共用対象チャネルCH_0での周波数共用可否を判定するために、スペクトルセンシングを行う所定のタイミングにおいて、CH_0ではなくCH_kの受信信号を用いて伝搬損失推定や周波数共用可否の判定を行う。このとき、CH_0での送信停止時間とCH_kでの送信停止時間とが図8に示すように時間同期していれば、ある定められたタイミングにおいてスペクトルセンシングを行うことができる。しかし、CH_xのように、CH_0での送信停止時間と時間同期していないチャネルでは、CH_0での送信停止時間と同一のタイミングにてスペクトルセンシングを行うことができない。そのため、セカンダリシステムまたはプライマリシステムにおいて、スペクトルセンシングでの判定遅延を許容できる場合には、CH_xでの送信停止時間においてスペクトルセンシングを行い、判定遅延が許容できない場合には、周波数帯域選択部2042は送信停止時間の同期しているチャネルのみを選択候補とし、送信停止時間が同期されていないCH_xを選択候補から除外してもよい。
次に、セカンダリ端末210について説明する。図9は、セカンダリ端末210の構成例を示す説明図である。図9に示すセカンダリ端末210は、アンテナ2101と、送受信分離部2102と、送信変調器2110と、低雑音増幅器2131と、RFアナログ部2130と、センサー部2150と、受信復調器2120と、周波数帯域選択部2142と、送信制御部2170とを備える。また、RFアナログ部2130は、帯域通過フィルタ2132と、ミキサー2133と、局部発振器2134と、低域通過フィルタ2135と、アナログデジタル変換部2136とを含む。なお、図3に示すセカンダリ基地局200と比べて、周波数利用情報取得部2041と許容送信電力設定部2060を含まない点が異なる。以下、セカンダリ基地局200での構成要素と同じ動作を示すセカンダリ端末210での構成要素については説明を省略する。
受信復調器2120は、セカンダリ基地局200で送信されたデータ信号・制御信号の復調と復号とを行う。ここで制御信号には、セカンダリ端末210で用いる送信電力、スケジューリング情報、センシングスケジューリング情報、周波数利用情報、およびその他通信に必要な情報がある。受信復調器2120は、送信電力と、スケジューリング情報と、周波数利用情報とを送信制御部2170へ送出する。また、受信復調器2120は、センシングスケジューリング情報と、周波数利用情報とを周波数帯域選択部2142に送出する。
周波数帯域選択部2142は、受信復調器2120から送られたセンシングスケジューリング情報から、セカンダリ端末210が周波数共用可否の判定を行うチャネルとセンシングを行う時間スロットを決定する。ここでは、当該チャネルをCH_1とする。次に、周波数帯域選択部2142は、受信復調器2120から送られた周波数利用情報(各帯域の中心周波数、周波数帯域幅、プライマリ送信機の緯度/経度情報、送信アンテナ高情報、送信電力、送信アンテナ利得)に基づき、周波数帯域選択部2042と同様にして、CH_1を使用するプライマリ送信機または当該プライマリ送信機と近接する位置にあるプライマリ送信機で使用される別なチャネルの中で、等価等方輻射電力の最大であるチャネル(CH_mとする)をスペクトルセンシング対象帯域として選択する。ここで選択されたCH_mに関する中心周波数や周波数帯域幅は、帯域通過フィルタ2132と、局部発振器2134と、低域通過フィルタ2135とに送られ、CH_mの信号をベースバンド信号に変換できるようパラメータが設定される。また、CH_1およびCH_mに関する周波数利用情報は、センサー部2150に送出される。
センサー部2150は、CH_mのベースバンド信号をセンシングスケジューリング情報で指定された時間スロットにおいて受信し、センサー部2050と同様にして、CH_mの受信電力推定および伝搬損失推定を行う。また、センサー部2150は、この伝搬損失推定値と、CH_1とCH_mの等価等方輻射電力の比を用いてCH_0の受信電力を推定する。さらに、CH_1とCH_mの受信電力推定値を所定の閾値と比較することで、それぞれ周波数共用可否を判定する。伝搬損失推定値と周波数共用可否の判定結果は、送信制御部2170に送られる。
送信制御部2170は、受信復調器2120から送られた送信電力と、スケジューリング情報とを使用して、送信電力制御を行い、送信に用いる無線リソースの決定を行う。また、センサー部2150から送られた伝搬損失推定値と周波数共用可否の判定結果を制御情報として生成する。また、セカンダリシステム間での通信に必要な他の情報がある場合には、制御情報として生成する。送信制御部2170で生成された制御情報は、送信変調器2110に送られ、符号化、変調が行われて送信される。
次に、本実施形態の動作について説明する。図10および図11は、本実施形態のセカンダリ基地局200の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図10はセカンダリ基地局200の送信時の動作の一例を示すフローチャートであり、図11はセカンダリ基地局200の受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、図10を用いて送信動作について説明する。セカンダリ基地局200では、所定のタイミングにおいて送信が開始される。図10に示すように、データ信号または制御信号の送信に先立ち、まず、送信制御部2070に、許容送信電力設定部2060で設定された周波数共用対象帯域での許容送信電力が設定される(S101)。送信制御部2070は、許容送信電力以下となる送信電力において送信電力制御を行う(S102)。送信制御部2070は、スケジューリング情報やセンシングスケジューリング情報等の制御情報を生成し、送信変調器2010において規定の符号化、変調を行い、周波数変換することでベースバンド信号からRF信号を生成する(S103)。生成されたRF信号は、送受分離部2002を経由してアンテナ2001から送信される(S104)。
次に、図11を用いて受信動作について説明する。セカンダリ基地局200では、所定のタイミングにおいて受信が開始される。図11に示すように、アンテナ2001で受信された信号は、送受分離部2002を経由して低雑音増幅器2031で増幅される(S201)。周波数帯域選択部2041は、増幅された信号の中でスペクトルセンシングの対象とする周波数帯域を決定する(S202)。増幅された信号はRFアナログ部2030へ入力され、周波数帯域選択部2042で決定した周波数帯域以外の信号成分は帯域通過フィルタ2032でフィルタリングされ、ミキサー2033、局部発振器2034、低域通過フィルタ2035によってベースバンド信号に変換され、アナログデジタル変換器2036でサンプリングされてデジタル信号が生成される(S203)。
生成された信号は他のセカンダリ無線機(例えば、セカンダリ端末210)から送信された信号であって、復調対象の信号である場合には、受信復調器2020において、復調や復号が行われ、データ信号や制御信号のビット系列に変換される(S204,S205)。ここで、復調・復号されたビット系列が制御信号であって、他のセカンダリ無線機で行ったスペクトルセンシングでの周波数共用可否の判定結果や伝搬損失推定値(または受信電力推定値)である場合には、これらを許容送信電力設定部2060に入力し、ステップS207の許容送信電力の設定に用いる。
ステップS203で生成されたベースバンド信号がスペクトルセンシング対象の信号である場合にはセンサー部2050に入力され、周波数帯域選択部2042で設定されたチャネルの周波数利用情報を用いて、スペクトルセンシング対象チャネルの伝搬損失の推定、周波数共用可否判定を行うチャネルの受信電力の推定、周波数共用可否の判定が行われる(S204,S206)。セカンダリ基地局200および他のセカンダリ端末での周波数共用可否判定結果、伝搬損失推定値を用いて許容送信電力を設定する(S207)。
上記の送信動作および受信動作では、送信および受信を所定のタイミングで行うとしたが、送受信のタイミングは、例えば図8に示すように予め決まったタイミングや、セカンダリ基地局200で決定したタイミングで行ってもよい。
また、図12および図13は、本実施形態のセカンダリ端末210の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図12はセカンダリ端末210の送信時の動作の一例を示すフローチャートであり、図13はセカンダリ端末210の受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、図12を用いて送信動作について説明する。セカンダリ端末210では、所定のタイミングにおいて送信が開始される。図12に示すように、データ信号または制御信号の送信に先立ち、セカンダリ基地局200で指定された送信電力を設定する(S301)。次に、セカンダリ基地局200で指定されたスケジューリング情報に基づき、セカンダリ端末210で使用する無線リソースを設定する(S302)。送信制御部2170は、伝搬損失推定値、周波数共用可否判定結果、およびセカンダリシステムでの通信に必要なその他情報を制御情報として生成し、送信変調器2110において規定の符号化、変調を行い、周波数変換することでベースバンド信号からRF信号を生成する(S303)。生成されたRF信号は、送受分離部2102を経由してアンテナ2101から送信される。
次に、図13を用いて受信動作について説明する。セカンダリ端末210では、所定のタイミングにおいて受信が開始される。図13に示すように、アンテナ2101で受信された信号は、送受分離部2102を経由して低雑音増幅器2131で増幅される(S401)。周波数帯域選択部2142は、周波数利用情報に基づき、増幅された信号の中でスペクトルセンシングを行うチャネルを決定する(S402)。増幅された信号はRFアナログ部2130へ入力され、周波数選択部2142で決定したチャネル以外の信号成分は帯域通過フィルタ2132でフィルタリングされ、ミキサー2133、局部発振器2134、低域通過フィルタ2135によってベースバンド信号に変換され、アナログデジタル変換器2136でサンプリングされてデジタル信号が生成される(S403)。
生成されたデジタル信号がセカンダリ基地局200から送信された信号であって、復調対象の信号である場合には、受信復調器2120において、復調や復号が行われ、データ信号や制御信号のビット系列に変換される(S404,S405)。ここで、復調・復号されたビット系列が送信制御に関わる制御信号(例えば、送信電力を示す情報やスケジューリング情報や周波数利用情報)である場合には、受信復調器2120は、それらの情報を送信制御部2170に入力し、図12に示すステップS302の無線リソースの設定に用いる。また、復調・復号されたビット系列が帯域設定に関わる制御信号(例えば、センシングスケジューリング情報や周波数利用情報)である場合には、周波数帯域選択部2142に入力し、ステップS402の帯域設定に用いる。なお、どの制御信号をどの処理部に入力するかは予め定めておけばよい。
ステップS403で生成されたデジタル信号がスペクトルセンシング対象の信号である場合にはセンサー部2150に入力され、周波数帯域選択部2142で設定されたチャネルの周波数利用情報を用いて、スペクトルセンシング対象チャネルの伝搬損失の推定、周波数共用可否を判定するチャネルの受信電力の推定、周波数共用可否の判定が行われる(S404,S406)。
以上のように、本実施形態では、周波数共用可否の判定対象としたチャネルよりも送信電力が高いチャネルが同等の電波伝搬損失を持ちうる環境で(すなわち、同一の送信機または近傍の送信機から)送波されている場合には、そのうちの最大のチャネルを選択してスペクトルセンシングを行うことで伝搬損失推定を行う。このため、周波数共用可否を行うCH_0(すなわち、第一の周波数帯域)に対してスペクトルセンシングを行い伝搬損失推定また周波数共用可否判定を行う場合と比べ、スペクトルセンシングを行う際のコグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末での信号電力対雑音電力比(Signal to Noise Ratio:SNR)を向上できる。
また、このような高精度な伝搬損失推定値を用いれば、受信電力の推定精度も高くすることができ、周波数共用可否の判定精度を向上させることができる。また、送信許容電力を高精度に設定することもできる。また、周波数共用可否の判定精度が向上するので、伝搬損失推定および周波数共用可否の判定を行う際に、システム要求条件等で規定された所定精度を満たすために必要となるスペクトルセンシングの時間を短縮できる。
また、このような高精度なスペクトルセンシングを行うことで得られた伝搬損失推定値を用いることで、コグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末での許容送信電力をさらに高精度に設定でき、周波数共用対象である無線通信システムの受信機に与えられる余剰な干渉を抑えることができる。また、周波数共用対象である無線通信システムの受信機に与えられる干渉が所定の値になるまで、コグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末での送信電力を増加できる。即ち、適切な許容送信電力を設定できる。
なお、前述したセカンダリ基地局200およびセカンダリ端末210の各センサー部2050および2150は、周波数共用可否を判定するチャネルに対してスペクトルセンシングを行う代わりに、周波数帯域選択部2042および2142で選択した周波数帯域に対しスペクトルセンシングを行い、その結果を用いて周波数共用可否の判定対象とされるチャネルの伝搬損失推定、受信電力推定、周波数共用可否判定を行ったが、この際に電波伝搬によるチャネル間の伝搬損失差を補正することが可能である。
例えば、セカンダリ基地局200の場合には、周波数共用可否判定の対象チャネルをCH_0、周波数帯域選択部2042で選択された帯域をCH_kとし、各チャネルにおける適用伝搬モデルから算出された伝搬損失をそれぞれLM、0、LM、kとする。さらに、実際にCH_kの受信信号を用いて推定したCH_kの伝搬損失をLk(式2)とすると、チャネル間の伝搬損失差を補正したCH_0での伝搬損失推定値LCは、以下の式(5)によって求めることができる。
ここでβは、0≦β≦1を満たす予め定められた補正係数であるとする。
セカンダリ端末210においても同様の伝搬損失補正が可能である。この場合には、セカンダリ端末210が適用伝搬モデルから伝搬損失差を算出するために必要なパラメータを取得する必要がある。例えば、セカンダリ基地局200から伝搬損失差の推定に必要なパラメータを通知する場合には、セカンダリ基地局200の送信制御部2070において、周波数利用情報に相当した制御情報を生成する際に、各帯域の中心周波数、周波数帯域幅、プライマリ送信機の緯度/経度情報、送信アンテナ高情報、送信電力、送信アンテナ利得に加えて、適用伝搬モデルを示す情報やプライマリ受信機の標準受信アンテナ高を含めた制御情報を生成し、セカンダリ端末210へ送信する。または、周波数利用情報を報知するシステムがある場合には、セカンダリ端末210は、この報知システムによって報知された周波数利用情報を受信して取得してもよい。
また、式(5)での伝搬損失差の補正を部分的な周波数利用情報で行うこともできる。
例えば、適用伝搬モデルが奥村・秦モデルであるとする。奥村・秦モデルを用いた場合の伝搬損失LMは、以下の式(6)で表される。
ここで、fは中心周波数、dは送受信機間距離、hbは送信アンテナ高、a(hm)は受信アンテナ高hmに応じた補正係数であり、logは底を10とする対数である。この式(6)を用いれば、周波数帯域CH_0とCH_kの中心周波数差に起因する伝搬損失成分は第二項であり、送信アンテナ高差に起因する伝搬損失成分は第三項および第五項、送受信距離差に起因する伝搬損失成分は第五項であることが分かる。従って、式(6)での伝搬補正は、CH_0とCH_kでの送受信パラメータで互いに異なる値が用いられている成分にのみ補正を行えばよい。
このように、第一の電波到達状況の推定対象である第一の周波数帯域とスペクトルセンシングを実際に行う周波数帯域との伝搬損失誤差を伝搬モデルから推定し、補正することで、伝搬損失の推定精度および周波数共用可否の判定精度をさらに向上できる。
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図14は、第2の実施形態におけるプライマリシステムおよびセカンダリシステム(コグニティブ無線システム)の関係を示す説明図である。本実施形態におけるコグニティブ無線システムは、図14に示すように、セカンダリ基地局200に代わりセカンダリ基地局300を備え、セカンダリ端末210に代わりセカンダリ端末310を備えている。本実施形態の基地局300およびセカンダリ端末310は、複数チャネルの信号を同時に受信し、センサー部で複数信号を用いた周波数共用可否の判定、伝搬損失の推定を行う。
図15は、セカンダリ基地局300の構成例を示すブロック図である。図15に示すセカンダリ基地局300は、図3に示す第1の実施形態におけるセカンダリ基地局200と比べて、M個のRFアナログ部3030(RFアナログ部3030−1〜3030−M)を持つこと、周波数帯域選択部3042においてM個の周波数帯域を選択すること、センサー部3050においてMチャネルの信号を受信する点が異なる。以下では、第1の実施形態と同様のものについては説明を省略する。
RFアナログ部3030−1〜3030−Mには、周波数帯域選択部3042からそれぞれ異なる中心周波数と周波数帯域幅が送られる。各RFアナログ部3030は、低雑音増幅器3031から送られたRF信号を入力とし、周波数帯域選択部3042で指定された中心周波数と帯域幅の信号をベースバンド信号に変換し、サンプリングを行うことでデジタル信号を生成する。各RFアナログ部3030で生成されたデジタル信号は、他のセカンダリ無線機から送信された信号である場合には受信復調器3020で復調・復号処理が行われ、スペクトルセンシング対象の信号である場合にはセンサー部3050に送られる。
周波数帯域選択部3042は、周波数利用情報取得部3041で取得した周波数利用情報に基づき、セカンダリ基地局300およびセカンダリ端末320において周波数共用可能か否かを判定するチャネルを決定する。このうち、他のセカンダリ無線機(ここでは、セカンダリ端末320)で共用可否を判定するチャネルは、センシングスケジューリング情報として送信制御部3070に送られる。
次に、周波数帯域選択部3042での帯域決定方法について説明する。ここで、セカンダリ基地局300において第1に電波到達状況の推定対象とするチャネルをCH_0とする。周波数帯域選択部3042は、CH_0、および、CH_0を使用するプライマリ送信機で使用される別なチャネル、および、CH_0を使用するプライマリ送信機と近接した位置にあるプライマリ送信機で使用されるチャネルを選択対象とする。近接したプライマリ送信機の選び方は第1の実施形態と同様である。
また、周波数帯域選択部3042は、CH_0に関する周波数利用情報を許容送信電力設定部3060に送る。
以下、図面を用いて周波数選択部3042でのチャネルの選択方法を説明する。図16は、周波数選択部3042でのチャネル選択の例を示す説明図である。なお、図16(a)は、等価等方輻射電力との関係においてチャネル選択の例を示す説明図であり、図16(b)は、地理的関係においてチャネル選択の例を示す説明図である。本例では、周波数利用情報からCH_0とCH_1とCH_2の信号が、プライマリ送信機100から送信されていることがわかったとする。このとき、CH_0の等価等方輻射電力P1<CH_1の等価等方輻射電力P2<CH_2の等価等方輻射電力P3である場合に、例えば、図16に示すように、等価等方輻射電力のより小さいCH_0を第一の電波到達状況の推定対象(すなわち、第一の周波数帯域)として、このCH_0の周波数共用可否を判定するために、第一、第二または第三の周波数帯域のうち等価等方輻射電力の大きい方から順にCH_2とCH_1を選択してもよい。なお、選択するチャネル数は、合計でRFアナログ部3030の数であるM以内であればよい。
次に、センサー部3050の構成について図17を用いて説明する。図17に示すように、本実施形態のセンサー部3050は、M個の電力検出部3051(電力検出部3051−1〜3051−M)と、伝搬損失推定部3052と、所望チャネル受信電力推知部3053と、判定部3054とを含む。各RFアナログ部3030から送られたCH_1〜CH_Mのベースバンド信号はそれぞれ、電力検出部3051−1〜3051−Mへ入力される。各電力検出部3051では、第1の実施形態と同様に、式(1)による処理を行う。すなわち、ベースバンド信号の各サンプルの二乗値に対し加算平均をとり、雑音電力を減算することで、CH_1〜CH_Mにおけるプライマリ信号の受信電力推定値を得る。得られたM個のプライマリ信号の受信電力推定値は、伝搬損失推定部3052に送られる。
伝搬損失推定部3052は、各受信電力推定部3051から送られたCH_1〜CH_Mにおけるプライマリ信号の受信電力推定値と周波数帯域選択部3042から送られたCH_1〜CH_Mにおける等価等方輻射電力とを用いて、CH_0における伝搬損失を推定する。伝搬損失の推定には、まず、各プライマリ信号の受信電力推定値Dm(m=1、2、・・、M)を等価等方輻射電力Pm(m=1、2、・・、M)で除算することで、それぞれの周波数帯域における伝搬利得(伝搬損失の逆数)を推定し、それら伝搬利得の重み付け合成後にさらに低雑音増幅器3031の利得Gampで除算した値をCH_0での伝搬利得の推定値G0とする。即ち、以下の式(7)による演算処理を行う。
ここで、wm(m=1、2、・・、M)はCH_0での伝搬利得を求める際の重みとし、総和を1とする。各周波数帯域における伝搬利得を等利得として合成する場合には、wm=1/Mとなる。また、式(7)での伝搬利得推定値と真値の伝搬利得との平均二乗誤差を近似的に最小とするよう算出した重みは以下の式(8)で与えられる。
これら重みwmを用いた重み付け合成により生成したCH_0での伝搬利得G0の逆数を伝搬損失L0(=1/G0)とする。
以上のCH_0の伝搬損失推定では、CH_0とCH_1〜CH_Mとの電波伝搬特性を同一視して、伝搬損失L0を決定したが、第1の実施の形態における式(5)を用いてチャネル間の伝搬損失差を補正することも可能である。
また、各電力検出部3051は雑音電力の推定値を利用できるとして、受信電力から雑音電力を減算することでプライマリ信号の受信電力を算出し、プライマリ信号の受信電力を伝搬損失推定部3052で利用したが、CH_1〜CH_Mの中に等価等方輻射電力の異なるチャネルがある場合には、雑音電力を予め必要としない次の方法を用いても伝搬損失を推定可能である。
まず、各電力検出部3051には、各RFアナログ部3031から送られたCH_1〜CH_Mのベースバンド信号がそれぞれ入力される。各電力検出部3051は、第1の実施形態での動作(式(9)に記載された動作)と異なり、プライマリ信号の受信電力ではなく、チャネル全体の受信電力を算出する。つまり、ベースバンド信号の各サンプルの二乗値に対し加算平均をとる。例えば、以下の式(9)による演算処理を行う。
得られたM個の受信電力推定値は、伝搬損失推定部3052に送られる。伝搬損失推定部3052は、各電力検出部3051から送られたCH_1〜CH_Mの各チャネルでの受信電力と周波数帯域選択部3042から送られたCH_1〜CH_Mにおける等価等方輻射電力とを用いて、CH_0における伝搬損失を推定する。伝搬損失の推定には、各チャネルの受信電力推定値D’m(m=1、2、・・、M)を等価等方輻射電力で正規化し、重み付け合成した値をCH_0での伝搬利得の推定値G’0とする。例えば、以下の式(10)による演算処理を行う。
ただし、式(10)での重みwm(m=1、2、・・、M)は式(8)と異なり、合成後の伝搬利得の推定値G’0における雑音電力成分が相殺され、また、伝搬利得推定値と真値の伝搬利得との平均二乗誤差を近似的に最小とするよう算出した総和1の重みである。即ち、以下の式(11)の重みを用いる。
ここで、等価等方輻射電力の異なるチャネルがある場合には、つまり、あるチャネルCH_mと別なチャネルCH_m’(mとm’は異なる正の整数)で等価等方輻射電力の異なるチャネルがある場合には、式(11)の分母が0とならないため、式(12)の重みが存在する。また、式(10)および式(11)によって雑音電力推定値を予め必要としない伝搬損失推定を行うために、前段の周波数帯域選択部3042にて、他のチャネルと等価等方輻射電力の異なるチャネルを含むように、スペクトルセンシングを行うチャネルを選択してもよい。
式(11)の重みwmを用いた重み付け合成により生成したCH_0での伝搬利得G’0の逆数を伝搬損失L0(=1/G’0)とする。
伝搬損失推定部3052には、式(7)や式(10)を用いてCH_0での伝搬損失を算出し、所望チャネル受信電力推定部3053と許容送信電力設定部3054とに送る。
所望チャネル受信電力推定部3053には、伝搬損失推定部3052から送られた伝搬損失と周波数帯域選択部3042から送られたCH_0の等価等方輻射電力P0とを用いて以下の式(12)でCH_0の受信電力Prx,0を推定する。
ここで得られたCH_0の受信電力推定値Prx,0は判定部3056に送られる。判定部3056は、第1の実施の形態における判定部2054と同様に動作し、周波数共用可否の判定結果である二値情報を許容送信電力設定部3060に送る。
上記の説明では、セカンダリ基地局300について構成を説明したが、セカンダリ基地局300の制御下にあるセカンダリ端末320においても同様に、複数チャネルの信号を同時に受信し、センサー部で複数信号を用いた周波数共用可否の判定、伝搬損失の推定を行うことが可能である。そのような場合には、セカンダリ端末320においても、M個のRFアナログ部3130(RFアナログ部3130−1〜3130−M)が設けられ、周波数帯域選択部3142がM個の周波数帯域を選択して、センサー部3150がMチャネルの信号を受信するようにすればよい。
以上のように、本実施形態によれば、等価等方輻射電力の大きい複数の周波数帯域を用いて、各周波数帯域での伝搬利得を算出し、この伝搬利得を重み付け合成した値を周波数共用可否判定を行うCH_0の伝搬利得とし、伝搬利得の逆数をとることで伝搬損失の推定を行っている。従って、第一の周波数帯域のみを使用して伝搬損失を推定する場合と比べて、伝搬損失の推定に用いることのできる受信信号のサンプル数を増加することができる。その結果、伝搬損失推定の過程において受信信号に含まれる雑音の平均化効果を向上できる。また、各周波数帯域を使用するプライマリ送信機における送信アンテナが互いに離れている場合には、各プライマリ信号は互いに独立したフェージングを受けてコグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末で受信されるため、周波数ダイバーシチ効果が得られる。従って、伝搬損失の推定精度が向上し、より正確な伝搬損失推定値を用いることで、周波数共用可否の判定精度が向上する。また、伝搬損失推定および周波数共用可否の判定を行う際に、システム要求条件等で規定された所定精度を満たすために必要となるスペクトルセンシングの時間を短縮することができる。
また、周波数帯域選択部において等価等方輻射電力の異なる周波数帯域を予め選択することで、雑音電力の推定値を必要とせずに伝搬損失を推定できる。これにより、雑音電力の推定値に含まれる推定誤差の影響を受けずに伝搬損失を推定できるため、誤差を含む雑音電力推定値を用いて伝搬損失推定を行う場合と比べて、高精度な伝搬損失推定が可能になる。
実施形態3.
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図18は、本実施の形態におけるプライマリシステムおよびセカンダリシステム(コグニティブ無線システム)の関係を示す説明図である。図18に示すように、本実施形態では、周波数共用可否の判定を行うチャネルを共用使用している異なるプライマリ送信機(本例では、プライマリ送信機100と101)がいる環境を想定している。図18では、同一周波数帯域(CH_0とする)を使用しているプライマリ送信機100とプライマリ送信機101、および、当該周波数帯域の周波数共用可否を判定するセカンダリ基地局400を示している。さらに、プライマリ送信機100とプライマリ送信機101はそれぞれ基準電力エリア50と基準電力エリア60とを有し、セカンダリ基地局400はセカンダリシステムサービスエリア30を有している。
本実施形態のセカンダリ基地局400またはセカンダリ端末410では、周波数共用可否の判定を行うチャネルを共用使用している異なるプライマリ送信機(本例では、プライマリ送信機100と101)に対し、夫々のプライマリ送信機で共用されていない別なチャネルを選択してスペクトルセンシングに用いる。
例えば、図18に示すように、セカンダリ基地局400ではセカンダリシステムサービスエリア30が、プライマリシステムの基準電力エリア外となる場合には、プライマリシステムと周波数帯域CH_0を共用して利用してもよい。しかし、セカンダリ基地局400でCH_0における信号を受信して伝搬損失推定または周波数共用可否の判定を行う場合、セカンダリ基地局400では、CH_0を共用して使用するプライマリ送信機100および101の合成信号が受信されるため、伝搬損失推定値が本来の値より小さくなってしまう。すなわち、伝搬利得推定値が大きくなってしまう。または、本来は共用可能であるCH_0の周波数共用可否の判定結果が周波数共用不可となってしまう。すなわち、誤警報確率が増加してしまう。
この課題を解決するため、プライマリ送信機100で使用される別なチャネルCH_1およびプライマリ送信機101で使用される別なチャネルCH_2を使用して、伝搬損失推定および周波数共用可否の判定を行う。
図19は、セカンダリ基地局400の構成例を示すブロック図である。図19に示すセカンダリ基地局400は、図15に示す第2の実施形態におけるセカンダリ基地局300と比べて、周波数帯選択部3042に代わり複数送信機用周波数帯域選択部4042を備える点が異なる。また、センサー部4050における伝搬損失推定値の特定方法および周波数共用可否の判定方法が異なる。以下では、第2の実施形態と同様のものについては説明を省略する。
複数送信機用周波数帯域選択部4042は、周波数利用情報取得部4041で取得した周波数利用情報に基づき、セカンダリ基地局400およびセカンダリ端末で電波到達状況の推定対象とするチャネルを決定する。このうち、セカンダリ端末で共用可否を判定するチャネルは、センシングスケジューリング情報として送信制御部2070に送られる。
次に、複数送信機用周波数帯域選択部4042での帯域決定方法について説明する。まず、周波数利用情報から第1に電波到達状況の推定対象とするチャネルCH_0を使用しているプライマリ送信機を求める。次に、求められたプライマリ送信機または当該プライマリ送信機と近接した位置にある別なプライマリ送信機で使用されている別なチャネルの中で、所定距離以内にあるプライマリ送信機には共用されていないチャネルを求め選択する。ここで、所定距離は、受信される信号が伝搬推定の精度に影響を及ぼす範囲として予め定められる。
例えば、図18に示すようにCH_0が共用して利用されている場合には、まずCH_0を使用しているプライマリ送信機100および101を求める。次に、プライマリ送信機100およびプライマリ送信機100に近接したプライマリ送信機(図18では不図示)で使用されている別なチャネルの中で、プライマリ送信機101で使用されていないチャネル(例えばCH_1)を求める。同様にして、プライマリ送信機101およびプライマリ送信機101に近接したプライマリ送信機(図18では不図示)で使用されている別なチャネルの中で、プライマリ送信機100で使用されていないチャネル(例えばCH_2)を求める。
この際に、候補となるチャネルが複数ある場合には、第1の実施形態と同様に等価等方輻射電力の最大である周波数帯域を選択してもよいし、第2の実施形態と同様に等価等方輻射電力の大きい複数のチャネルを選択してもよい。
次に、選択されたチャネルCH_1およびCH_2の中心周波数と帯域幅は、RFアナログ部4031〜4033に送られる。また、CH_1およびCH_2で使用される等価等方輻射電力および周波数共用可否の判定対象であるチャネルCH_0の等価等方輻射電力はセンサー部4050に送られ、CH_0の伝搬損失の推定およびCH_0の受信電力の推定に用いられる。また、CH_0に関する周波数利用情報は許容送信電力設定部4060に送られる。
センサー部4050は、複数送信機用周波数帯域選択部4042で決定されたチャネルCH_1およびCH_2のそれぞれに対し、第1の実施形態と同様にして、プライマリ信号の受信電力を算出し、受信電力から伝搬損失の推定を行う。次に、センサー部4050は、チャネルCH_1で得られた伝搬損失推定値およびCH_0での等価等方輻射電力を用いてCH_0におけるプライマリ信号の受信電力を推定し、同様にして、チャネルCH_2で得られた伝搬損失推定値およびCH_0での等価等方輻射電力を用いてCH_0におけるプライマリ信号の受信電力を推定する。チャネルCH_1およびCH_2の受信信号を用いて推定したCH_0の受信電力は所定の閾値と比較され、CH_0での周波数共用可否の判定がそれぞれ行われる。次に、CH_1およびCH_2の両チャネルに対応した周波数共用可否の判定結果がともに共用可能である場合には、共用可能とし、それ以外の場合には共用不可とする最終判定を行う。伝搬損失推定値と周波数共用可否の最終判定結果は、送信制御部4060に送られる。
以下、さらに図面を用いて本チャネルの選択方法を説明する。図20は、周波数選択部4042でのチャネル選択の例を示す説明図である。なお、図20には、等価等方輻射電力との関係においてチャネル選択が行われる例が示されている。本例では、周波数利用情報からCH_0とCH_1の信号がプライマリ送信機100から送信されていることがわかったとする。また、CH_0とCH_2の信号がプライマリ送信機101から送信されていることがわかったとする。このとき、プライマリ送信機100におけるCH_0の等価等方輻射電力P1とCH_1の等価等方輻射電力P2の関係は、P1<P2である。また、プライマリ送信機101におけるCH_0の等価等方輻射電力P1とCH_2の等価等方輻射電力P3の関係は、P1<P3である。このような場合、各プライマリ送信機でより等価等方輻射電力の小さいch0を共用周波数帯域とすることができる場合であっても、セカンダリ基地局400でch0における信号を受信して伝搬損失推定または周波数共用可否の判定を行う場合、ch0を共用して使用するプライマリ送信機100および101の合成信号が受信されてしまい、伝搬損失推定値が本来の値より小さくなってしまう。すなわち、伝搬利得推定値が大きくなってしまう。このため、本実施形態では、共用されていないチャネルCH_1または/およびCH_2をセンシング対象のチャネルとして選択する。
次に、前述の周波数帯域選択方法および周波数共用可否判定方法の別な動作例を示す。即ち、前述の複数送信機用周波数帯域選択部4042とセンサー部4050は、次のように動作してもよい。
複数送信機用周波数帯域選択部4042は、周波数利用情報取得部4041で取得した周波数利用情報に基づき、電波到達状況の推定対象とするチャネルを決定する。このうち、他のセカンダリ無線機で共用可否を判定するチャネルに関する情報については、センシングスケジューリング情報として送信制御部2070に送られる。
本例では、ここで共用利用されているチャネルCH_0も選択候補に含める。図21は、周波数選択部4042でのチャネル選択の他の例を示す説明図である。例えば、図21に示す例では、周波数利用情報からCH_0とCH_1の信号がプライマリ送信機100から送信されていることがわかったとする。また、CH_2の信号がプライマリ送信機101から送信されていることがわかったとする。このとき、プライマリ送信機100におけるCH_0の等価等方輻射電力P1とCH_1の等価等方輻射電力P2の関係は、P1<P2であったとする。このような状況において、等価等方輻射電力の低いCH_0を第1の第一の電波到達状況の推定対象(すなわち、第一の周波数帯域)とした場合に、第一または第二の周波数帯域のうち、共用されているCH_0と共用されていないCH_1とを選択候補として選択してもよい。
センサー部4050は、複数送信機用周波数帯域選択部4042で決定されたチャネルCH_1および周波数共用可否の判定対象であるチャネルCH_0のそれぞれに対し、第1の実施形態と同様にして、プライマリ信号の受信電力を算出する。次に、CH_1の受信電力とCH_1での等価等方輻射電力を用いて、プライマリ送信機101とセカンダリ基地局400間の伝搬損失を推定する。センサー部4050は、このようにして得られた伝搬損失推定値とプライマリ送信機101のCH_0における等価等方輻射電力を用いて、プライマリ送信機101のCH_0で送信されたプライマリ信号のセカンダリ基地局400での受信電力を推定する。
さらに、センサー部4050は、チャネルCH_0を用いて推定したプライマリ信号の受信電力から、プライマリ送信機101のCH_0で送信されたプライマリ信号の受信電力推定値を減算することで、プライマリ送信機100のCH_0で送信されたプライマリ信号の受信電力を推定する。このようにして得られたプライマリ送信機101およびプライマリ送信機100のCH_0で送信されたプライマリ信号の受信電力は、所定の閾値と比較され、それぞれについて周波数共用可否が判定される。
次に、プライマリ送信機101およびプライマリ送信機100に相当する周波数共用可否の判定結果がともに共用可能である場合には、共用可能とし、それ以外の場合には共用不可とする最終判定を行う。プライマリ送信機100からセカンダリ基地局400への伝搬損失が必要な場合には、算出されたプライマリ送信機100の受信電力とプライマリ送信機100の等価等方輻射電力を用いることで算出できる。伝搬損失推定値と周波数共用可否の最終判定結果は、送信制御部4060に送られる。
以上のように、本実施形態によれば、周波数共用可否の判定対象とした第一の周波数帯域において、複数の送信機から無線信号が送信されコグニティブ無線基地局およびコグニティブ無線端末において合成受信される場合に、第二の周波数帯域を用いた伝搬損失推定により、第一の周波数帯域での受信電力推定を行うことで、合成信号による誤った受信電力推定を回避できる。即ち、合成信号の受信によって、伝搬損失推定値が本来の値より小さくなってしまうという課題すなわち伝搬利得推定値が大きくなってしまうという課題、または、本来は共用可能であるCH_0の周波数共用可否の判定結果が周波数共用不可となってしまう課題すなわち誤警報確率が増加してしまうという課題を解決できる。従って、伝搬損失の推定精度、および周波数共用可否の判定精度を向上できる。
なお、本発明の全ての実施の形態におけるコグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末におけるセンサー部は、RFアナログ部から出力されたデジタルベースバンド信号を入力としたが、RFアナログ部の帯域通過フィルタから出力されたRF信号をセンサー部の入力としてもよい。この場合、センサー部はRF信号に対する電力検出やプライマリ信号の特徴量を利用した他の手法を用いることで、周波数共用可否の判定、また、伝搬損失の推定を行うようにする。
なお、上記実施形態では、スペクトルセンシングの方法として電力検出を用いたセンサー部の構成例を示したが、例えば、センサー部は、プライマリ信号の特徴量を利用した手法を用いてもよい。図22は、センサー部の他の構成例を示す説明図である。図22に示すセンサー部5050は、プライマリ信号の周期定常性を利用したスペクトルセンシング手法を用いたセンサー部である。周期定常とは、信号の自己相関関数が周期関数となる性質を表す。この性質は、サイクリックプリフィクスを挿入したOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号等に見られ、周期定常である信号は以下の式(13)に示す周期自己相関値が周期的にピークを持つ特徴がある。
ここで、αはサイクリック周波数と呼ばれる。また、y(n)は受信信号サンプル値、Nは平均化に用いるサンプル数、Δはサンプリング時間、τは周期自己相関値を計算する遅延サンプル数を表す。なお*は複素共役を表す。サイクリック周波数や遅延サンプル数は、信号形式毎に最適な値が異なる。OFDM信号の場合には、サイクリック周波数としてサイクリックプリフィクスまで含めたOFDMシンボル長の逆数または逆数の整数倍を用い、遅延サンプル数としてOFDMの有効シンボル長に相当するサンプル数を用いればよい。
図22に示したセンサー部5050は、上記の周期定常性を用いて伝搬損失推定を行う。このセンサー部5050は、第1の実施形態におけるセカンダリ基地局200が備えるセンサー部2050の代わりとなるセンサー部の例である。以下では、センサー部5050とセカンダリ基地局200のセンサー部2050の共通構成については説明を省略する。
センサー部5050では、まずベースバンド信号が周期自己相関生成部5051へ入力される。周期自己相関生成部5051は、上述の式(13)を用いて周期自己相関値を生成する。さらに、周期自己相関生成部5051では、生成した周期自己相関値を用いて、カイ二乗検定の検定統計量を生成する。ここで、この検定統計量は、平均化に用いたサンプル数と受信SNRにのみ依存した値となっている特徴がある。生成された検定統計量は、伝搬損失推定部5052に入力される。
伝搬損失推定部5052は、周期自己相関生成部5051から検定統計量が入力される。伝搬損失推定部5052では、検定統計量、平均化サンプル数に応じた受信SNRの値を予め表として保持する。次に、入力された検定統計量の値、周期自己相関生成部5051で用いた平均化サンプル数から、表を参照して受信SNRを求める。ここで求めた受信SNRと雑音電力推定値との積(受信SNRの単位がdBの場合には、雑音電力推定値との和)を算出することで、プライマリ信号の受信電力を求める。さらに、このプライマリ信号受信電力と受信したチャネルの等価等方輻射電力とを用いて、上述の式(2)と同様に伝搬損失を推定する。伝搬損失推定値は、所望チャネル受信電力推定部2053に入力される。以降の処理はセンサー部2050の処理と同様である。
なお、上記では、第1の実施形態におけるセカンダリ基地局200が備える場合の例を示したが、他の実施の形態におけるセカンダリ基地局またはセカンダリ端末が備える場合であっても、同様の構成により対応可能である。すなわち、電力検出部に代わって周期自己相関値生成部を備え、伝搬損失推定部が周期自己相関生成部5051から入力される検定統計量に基づいて伝搬損失を推定すればよい。
また、上記の各実施形態では、コグニティブ無線システムの通信形態として、セカンダリ基地局とセカンダリ端末による基地局通信を行う例を示したが、基地局と端末という構成ではなくセカンダリ無線機同士のアドホック通信にも適用可能である。そのような場合には、各無線機にセカンダリ基地局が有していた周波数利用情報取得部と許容送信電力設定部を設けることで、各々に許容送信電力を設定すればよい。
なお、本発明の全ての実施の形態でのコグニティブ無線基地局は、周波数利用情報取得手段を用いて地理データベースから周波数利用情報を取得したが、周波数利用情報を取得さえできれば、地理データベースは不要である。例えば、コグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末に周波数利用情報を無線で報知する共通制御チャネルを用いて、コグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末は周波数利用情報を取得してもよいし、コグニティブ無線基地局またはコグニティブ無線端末に備えたメモリに周波数利用情報を予め記憶しておいてもよい。
また、上記実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明の請求の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更を行なうことができる。
以下、本発明の概要について説明する。図23は、本発明の概要を示すブロック図である。図23に示すように、本発明による無線機1は、周波数帯域選択部11と、センサー部12とを備えることを特徴とする。
周波数帯域選択部11(例えば、周波数帯域選択部2042、2142、3043,3142、複数送信機用周波数帯域選択部4042)は、無線通信システムで使用される周波数帯域のうち電波到達状況の推定対象とする第一の周波数帯域に対して、第一の周波数帯域で送信を行う第一の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域、または第一の送信機の近傍に位置する第二の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第三の周波数帯域の少なくとも一方が存在する場合に、第二または第三の周波数帯域の少なくとも一方を含む1つ以上の周波数帯域を選択候補帯域とし、選択候補帯域の中から無線信号を検出する周波数帯域を選択することを可能とする。
センサー部12(例えば、センサー部2050、2150、3050、4050、5050)は、一例として周波数帯域選択部11によって選択された周波数帯域における無線信号を検出する。
センサー部12は、選択された周波数帯域での無線信号の検出結果と、第一の周波数帯域と選択候補帯域となる周波数帯域とを含む各周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報とに基づいて、第一の周波数帯域で一つの送信機から送信される無線信号の伝搬損失を推定する伝搬損失推定部(例えば、伝搬損失推定部2052、2152、3052、4052、5052)を含んでいてもよい。
周波数帯域選択部11は、選択候補帯域の中から、各周波数帯域で送信される無線信号の等価等方輻射電力の大きさに基づいて、無線信号を検出する周波数帯域を選択してもよい。
周波数帯域選択部11は、選択候補帯域の中で、送信される無線信号の等価等方輻射電力が大きいものから所定数の周波数帯域を、無線信号を検出する周波数帯域として選択してもよい。
周波数帯域選択部11は、選択候補帯域の中から、所定の距離以内にある送信機では共用されていない第二または第三の周波数帯域を、無線信号を検出する周波数帯域として複数選択してもよい。
周波数帯域選択部11は、第一の周波数帯域と、選択候補帯域に含まれる、所定の距離以内にある送信機では共用されていない1つ以上の第二または第三の周波数帯域とを、無線信号を検出する周波数帯域として選択してもよい。
伝搬損失推定部は、周波数帯域選択部で選択された周波数帯域と第一の周波数帯域での電波伝搬による伝搬損失の差を伝搬モデルから算出して、推定した伝搬推定値を補正してもよい。
伝搬損失推定部は、選択された所定数の周波数帯域における無線信号の検出結果を用いて、各周波数帯域に対する伝搬利得を推定し、所定の重みにより各伝搬利得を重み付け合成した伝搬利得推定値から伝搬損失を推定してもよい。
センサー部12は、さらに、伝搬損失推定部によって推定された伝搬損失推定値と、周波数利用情報とに基づいて、第一の周波数帯域での受信電力を推定する受信電力推定部(例えば、所望チャネル受信電力推定部2053、2153、3053、4053、5053)と、受信電力推定部によって推定された受信電力推定値を所定の閾値と比較することによって、第一の周波数帯域の共用可否を判定する判定部(例えば、判定部2054、2154、3054、4054、5054)とを含んでいてもよい。
また、本発明による無線通信システムは、上記構成に加えて、第一の周波数帯域と選択候補帯域となる周波数帯域とを含む各周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報を、所定の制御チャネルを用いて報知する報知装置を備えている。
また、本発明によるスペクトルセンシング方法は、無線機におけるスペクトルセンシング方法であって、電波到達状況の推定対象とする第一の周波数帯域に対して、第一の周波数帯域で送信を行う第一の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域、または第一の送信機の近傍に位置する第二の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第三の周波数帯域の少なくとも一方が存在する場合に、第二または第三の周波数帯域の少なくとも一方を含む1つ以上の周波数帯域を選択候補帯域とし、選択候補帯域の中から無線信号を検出する周波数帯域を選択し、選択された周波数帯域における無線信号を検出することを特徴とする。
スペクトルセンシング方法において、さらに、選択された周波数帯域での無線信号の検出結果と、第一の周波数帯域と選択候補帯域となる周波数帯域とを含む各周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報とに基づいて、第一の周波数帯域で一つの送信機から送信される無線信号の伝搬損失を推定してもよい。
また、本発明による無線機制御プログラムは、無線機に適用されるコグニティブ無線機制御プログラムであって、コンピュータに、電波到達状況の推定対象とする第一の周波数帯域に対して、第一の周波数帯域で送信を行う第一の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域、または第一の送信機の近傍に位置する第二の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第三の周波数帯域の少なくとも一方が存在する場合に、第二または第三の周波数帯域の少なくとも一方を含む1つ以上の周波数帯域を選択候補帯域とし、選択候補帯域の中から無線信号を検出する周波数帯域を選択する処理、および選択された周波数帯域における無線信号を検出させる処理を実行させることを特徴とする。
無線機制御プログラムは、コンピュータに、さらに、選択された周波数帯域での無線信号の検出結果と、第一の周波数帯域と選択候補帯域となる周波数帯域とを含む各周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報とに基づいて、第一の周波数帯域で一つの送信機から送信される無線信号の伝搬損失を推定する処理を実行させてもよい。
また、本発明による周波数利用情報報知装置は、無線通信システムで用いられている周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報であって、少なくとも周波数帯域の中心周波数、周波数帯域幅、無線通信システムの送信機の位置情報、無線通信システムの送信アンテナ高情報、無線通信システムの送信電力、無線通信システムの送信アンテナ利得、伝搬モデルを示す情報、標準受信アンテナ高の全てまたはいずれかを含む周波数利用情報を、所定の制御チャネルを用いて報知することを特徴とする。
周波数利用情報報知装置は、電波到達状況を推定させるために、電波到達状況の推定対象となる周波数帯域を利用する無線通信システムで用いられている周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報を、所定の制御チャネルを用いて報知してもよい。
周波数利用情報報知装置は、電波到達状況の推定対象とする第一の周波数帯域に対して、第一の周波数帯域で送信を行う第一の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第二の周波数帯域、または第一の送信機の近傍に位置する第二の送信機で送信に使用される周波数帯域であって第一の周波数帯域とは異なる第三の周波数帯域の少なくとも一方が存在する場合に、第二または第三の周波数帯域の少なくとも一方を含む1つ以上の周波数帯域を選択候補帯域とし、選択候補帯域の中から無線信号を検出する周波数帯域を選択することが可能な周波数帯域選択部と周波数帯域選択部によって選択された周波数帯域における無線信号を検出するセンサー部とを備えた無線機を含む無線端末を相手に、電波到達状況の推定対象となる周波数帯域を利用する無線通信システムで用いられている周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報を、所定の制御チャネルを用いて報知してもよい。
また、本発明による周波数利用情報報知プログラムは、コンピュータに、無線通信システムで用いられている周波数帯域の利用状況を示す情報である周波数利用情報であって、少なくとも周波数帯域の中心周波数、周波数帯域幅、無線通信システムの送信機の位置情報、無線通信システムの送信アンテナ高情報、無線通信システムの送信電力、無線通信システムの送信アンテナ利得、伝搬モデルを示す情報、標準受信アンテナ高の全てまたはいずれかを含む周波数利用情報を、所定の制御チャネルを用いて報知する処理を実行させることを特徴とする。
(付記1)なお、コグニティブ無線機において、周波数帯域選択部11は、第一の周波数帯域を含む複数の周波数帯域を選択候補帯域として、無線信号を検出する周波数帯域を選択してもよい。
(付記2)また、周波数帯域選択部11は、選択候補帯域の中で等価等方輻射電力の最大である周波数帯域を選択してもよい。
(付記3)また、センサー部12に含まれる判定部は、第一の周波数帯域を共用して使用する無線通信システムの送信機毎に周波数共用可否を判定してもよい。
(付記4)また、センサー部12に含まれる判定部は、第一の周波数帯域での受信電力から、第二または第三の周波数帯域であって所定の距離以内にある送信機では共用されていない周波数帯域での受信電力を減算することで、第一の送信機での受信電力を算出して周波数共用可否を判定してもよい。
(付記5)また、センサー部12は、受信信号の電力検出を行う電力検出部(例えば、電力検出部2051、3051−1〜3051−M)を含み、伝搬損失部は、電力検出によって検出された受信信号の電力値に基づき、伝搬損失の推定を行ってもよい。
(付記6)また、センサー部12は、送信信号の特徴量を検出する送信信号特徴量検出部(例えば、周期自己相関値生成部5051)を含み、伝搬損失部は、送信信号特徴量検出部によって検出された送信信号の特徴量に基づき、伝搬損失の推定を行ってもよい。
(付記7)また、周波数利用情報は、各周波数帯域の中心周波数、周波数帯域幅、無線通信システムの送信機の緯度経度情報、無線通信システムの送信アンテナ高情報、無線通信システムの送信電力、無線通信システムの送信アンテナ利得、伝搬モデルを示す情報、標準受信アンテナ高の全てまたはいずれかであってもよい。
(付記8)また、周波数利用情報を保持する周波数利用情報記憶装置から、通信ネットワークを介して周波数利用情報を取得する周波数利用情報取得部(例えば、周波数利用情報取得部2041,3041、4041)を備えていてもよい。
(付記9)また、周波数利用情報は、無線信号として共通制御チャネルで報知されるものを取得してもよい。
(付記10)また、周波数利用情報は、無線機の記憶部に予め記憶されていてもよい。
(付記11)また、無線通信システムにおいて、無線基地局が、周波数利用情報の一部または全てを、制御情報として制御下にある無線端末に報知してもよい。