JP2011142230A - 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体 - Google Patents

貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2011142230A
JP2011142230A JP2010002309A JP2010002309A JP2011142230A JP 2011142230 A JP2011142230 A JP 2011142230A JP 2010002309 A JP2010002309 A JP 2010002309A JP 2010002309 A JP2010002309 A JP 2010002309A JP 2011142230 A JP2011142230 A JP 2011142230A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
trench
electrode
substrate
insulating layer
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010002309A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ushijima
隆志 牛島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2010002309A priority Critical patent/JP2011142230A/ja
Publication of JP2011142230A publication Critical patent/JP2011142230A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micromachines (AREA)

Abstract

【課題】封止領域の気密性を高めることができる貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体を提供する。
【解決手段】導電性を有する基板10の所定領域11を周囲と絶縁して形成した貫通電極100であって、前記基板の第1の面側に、前記基板を貫通しない深さに形成された第1のトレンチ30と、該第1のトレンチより溝幅が狭く、該第1のトレンチの底面と前記基板の第2の面とを貫通する第2のトレンチ20と、該第2のトレンチを充填するとともに、前記第1のトレンチの溝表面を覆う絶縁層50と、前記第1のトレンチの溝表面を覆う前記絶縁層上に、前記第1のトレンチの両側の内壁に沿うとともに、前記第1のトレンチの底面を横断する横断部62を含むように形成された成長膜60と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体に関し、特に、導電性を有する基板を用いた貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体に関する。
従来から、ウエハの第1表面と第2表面との間に絶縁された電気的接続を作る方法であって、導電性又は半導体材料からなるウエハを用意し、ウエハの第1表面から少なくとも一つのトレンチをエッチングしてトレンチが完全にウエハの一部分を囲むようにした後、トレンチを絶縁材料で満たし、トレンチ内の絶縁性材料を露出させるためにウエハを第2表面から薄くし、それによりウエハを貫通して伸びる絶縁された電気的接続を作成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2006−521022号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、トレンチの最深部がウエハの第2表面近くの深い位置に形成されるため、絶縁材料が連続的に最深部を横断するように形成された横断部も、当然ながらウエハの第2表面近くの深い位置に形成される。かかる横断部は、トレンチの深さ方向と交わる方向に横断するので、トレンチの深さ方向のリークパスを遮蔽する役割を果たさせることも可能であるが、特許文献1に記載の構成では、横断部は、ウエハを第2表面から薄くする際に削られてしまう可能性が高い。この場合には、トレンチの成長面同士が接触した部分が露出してしまい、成長面同士が接触した部分がリークパスになってしまい、絶縁材料の部分の第1表面と第2表面との間の気密性が低下してしまう。かかる気密性の低下は、例えば、ウエハをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の微小構造体の電極として用い、かつ微小構造体とウエハの間の空間を真空状態に保つ必要がある場合に、当該空間を真空状態に保つことができないという問題があった。
そこで、本発明は、封止領域の気密性を高めることができる貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る貫通電極は、導電性を有する基板の所定領域を周囲と絶縁して形成した貫通電極であって、
前記基板の第1の面側に、前記基板を貫通しない深さに形成された第1のトレンチと、
該第1のトレンチより溝幅が狭く、該第1のトレンチの底面と前記基板の第2の面とを貫通する第2のトレンチと、
該第2のトレンチを充填するとともに、前記第1のトレンチの溝表面を覆う絶縁層と、
前記第1のトレンチの溝表面を覆う前記絶縁層上に、前記第1のトレンチの両側の内壁に沿うとともに、前記第1のトレンチの底面を横断する横断部を含むように形成された成長膜と、を含むことを特徴とする。
これにより、深さ方向に存在する絶縁層の成長面同士の接触部を、連続する横断部で横断するように覆うことにより、貫通電極を囲む深さ方向の気密性を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明に係る貫通電極において、
前記成長膜は、前記第1のトレンチを充填することを特徴とする。
これにより、貫通電極の機械的強度をも高めることができるとともに、気密性を更に向上させることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る貫通電極において、
前記第2のトレンチは、前記第1のトレンチの溝幅の方向に複数設けられたことを特徴とする。
これにより、溝幅の狭いトレンチ部の絶縁性を高めることができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る貫通電極において、
前記絶縁層は、熱酸化膜であることを特徴とする。
これにより、容易に絶縁層を形成することができ、第1のトレンチよりも溝幅が狭く深い位置にある第2のトレンチを容易に充填することができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る貫通電極において、
前記基板は、シリコン基板であり、
前記成長膜は、ポリシリコン膜であることを特徴とする。
これにより、半導体装置に一般的に用いられている入手容易かつ加工容易な材料を用いて、容易に貫通電極を構成することができる。
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る貫通電極において、
前記成長膜の前記第1の面側は、絶縁膜で覆われたことを特徴とする。
これにより、成長膜に導電性を有する材料が用いられた場合でも、表面の絶縁性を保つことができるとともに、更に気密性を向上させることができる。
第7の発明に係る貫通電極は、導電性を有する基板の所定領域を周囲と絶縁して形成した貫通電極であって、
前記基板を貫通し、両壁がテーパ形状を有するトレンチと、
該トレンチの前記両壁を覆う絶縁層と、
該絶縁層の上に、前記両壁に沿うとともに、前記テーパ形状の溝幅の最も狭い部分を横断する横断部を含むように形成された成長膜と、を含むことを特徴とする。
これにより、テーパ形状のトレンチについても、絶縁領域の気密性を高めることができる。
第8の発明に係る微小構造体は、第1〜7のいずれかの発明に係る貫通電極と、
表面に電極が形成された微小構造体素子基板とを有し、
前記貫通電極と、前記微小構造体素子基板の前記電極が接合されたことを特徴とする。
これにより、気密性の高い微小構造体とすることができ、真空封止等が必要な気密領域を、長期的に安定して同一圧力条件に保つことができる。
第9の発明に係る貫通電極の製造方法は、導電性を有する基板に、第1のマスクを用いてドライエッチングにより第1のトレンチを形成する工程と、
前記第1のマスクよりも開口部の幅が広い第2のマスクを、該第2のマスクの開口部が前記第1のトレンチを含むように配置し、ドライエッチングにより前記第1のトレンチ上に前記第1のトレンチよりも溝幅が広い第2のトレンチを形成する工程と、
前記第1のトレンチを絶縁層で充填するとともに、前記第2のトレンチの溝表面を絶縁層で覆う絶縁層形成工程と、
前記第2のトレンチを覆う前記絶縁層の上に、前記第2のトレンチの両側の内壁に沿うとともに、前記第2のトレンチの底面を横断する横断部を含む成長膜を形成する成長膜形成工程と、
前記基板を、前記第1のトレンチ側の面から研磨し、前記第1のトレンチに充填された前記絶縁層を露出させる研磨工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、溝幅の広い第2のトレンチを横切って鉛直方向を遮断する横断部を確実に残すことができ、気密性の高い絶縁構造を有する貫通電極を確実に製造することができる。
第10の発明は、第9の発明に係る貫通電極の製造方法において、
前記成長膜形成工程において、前記成長膜は、前記第2のトレンチを充填することを特徴とする。
これにより、貫通電極の絶縁構造の機械的強度を高めることができるとともに、気密性を更に向上させることができる。
第11の発明は、第9又は第10の発明に係る貫通電極の製造方法において、
前記成長膜は、化学気相成長法により形成されることを特徴とする。
これにより、溝幅の大きい第2のトレンチを確実に成長膜で充填することができ、十分な機械的強度と気密性を得ることができる。
第12の発明は、第9〜11のいずれかの発明に係る貫通電極の製造方法において、
前記絶縁層は、前記基板を熱酸化することにより形成されることを特徴とする。
これにより、絶縁層を容易に製造することができ、第2のトレンチよりも溝幅の狭い第1のトレンチを確実に充填することができるとともに、第2のトレンチの溝表面も容易かつ確実に絶縁層で被覆することができる。
第13の発明は、第9〜12のいずれかの発明に係る貫通電極の製造方法において、
前記第2のマスクは、前記第1のトレンチの溝幅方向に複数の開口部を有し、前記第2のトレンチは、1つの前記第1のトレンチに対して溝幅方向に複数形成されることを特徴とする。
これにより、第2のトレンチよりも溝幅の狭い第1のトレンチの絶縁性を高めることができる。
第14の発明は、請求項11に記載の貫通電極の製造方法において、
前記成長膜形成工程と前記研磨工程との間に、前記基板の表面の前記成長膜をエッチバックにより除去する工程と、
該エッチバック後の前記成長膜の表面に、絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、成長膜に導電性の材料が用いられた場合であっても、成長膜の表面に絶縁膜を形成して、絶縁領域の絶縁性を安定して確保することができるとともに、気密性を更に向上させることができる。
第15の発明は、第14の発明に係る貫通電極の製造方法において、
前記基板は、シリコン基板であり、
前記成長膜は、ポリシリコン膜であり、
前記絶縁膜は、前記ポリシリコン膜の酸化膜であることを特徴とする。
これにより、シリコン基板と相性の良いポリシリコン膜を成長膜として利用できるとともに、成長膜の表面の絶縁膜も、熱酸化により容易に形成することができる。
第16の発明に係る貫通電極の製造方法は、導電性を有する基板に、両壁がテーパ形状を有するトレンチを形成する工程と、
該トレンチの溝表面を絶縁層で覆う工程と、
該絶縁層上に、前記トレンチの前記両壁に沿うとともに、前記トレンチの最深部を横断する横断部を含むように成長膜を形成する工程と、
前記絶縁層が露出するとともに、前記横断部の全部又は一部が残る範囲で前記基板を前記トレンチの前記最深部側から研磨して薄板化する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、テーパ形状を有するトレンチについても、横断部を残す範囲で研磨を行うことより、十分な気密性を確保することができる。
本発明によれば、貫通電極の電極部を囲む絶縁領域の気密性を高めることができる。
実施例1に係る貫通電極100の全体構成の一例を示した断面図である。 実施例1に係る貫通電極100の断面を含む斜視図の一例である。 実施例1に係る微小構造体150の構成の一例を示した断面図である。 実施例1に係る貫通電極100の製造途中の状態の一例を示した断面図である。 比較参考例として、従来の貫通電極の構成の一例を示した図である。図5(A)は、薄板化前のキャップ基板210の状態を示した図である。図5(B)は、薄板化後の貫通電極の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の狭幅トレンチ形成工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の広幅トレンチ形成工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の絶縁層形成工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の成長膜形成工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法のエッチバック工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。 実施例1に係る貫通電極の製造方法の研磨工程の一例を示した図である。 実施例1の変形例に係る貫通電極101の一例を示した図である。 実施例2に係る貫通電極102の一例を示した図である。 実施例3に係る貫通電極103の一例を示した図である。図9(A)は、実施例3に係る貫通電極103のトレンチ43の断面構成の一例を示した図である。図9(B)は、実施例3に係る貫通電極103の研磨ラインの例を示した図である。 実施例3に係る貫通電極103の完成後の構成の一例を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図1は、本発明の実施例1に係る貫通電極100の全体構成の一例を示した断面図である。図1において、実施例1に係る貫通電極100は、キャップ基板10と、トレンチ40と、絶縁層50と、成長膜60とを備える。ここで、キャップ基板10は、電極部11を含んでいる。また、トレンチ40は、溝幅の狭いトレンチ20と、溝幅の広いトレンチ30とを有しており、全体として溝幅に段差を有するトレンチ40を構成している。更に、実施例1に係る貫通電極100は、必要に応じて、絶縁膜70と、ザグリ110を備えてよい。
実施例1に係る貫通電極100は、導電性を有するキャップ基板10の所定領域を、貫通孔となっているトレンチ40で電極部11として囲み、トレンチ40の溝表面を絶縁層50で被覆することにより、周囲のキャップ基板10から絶縁している。トレンチ40のうち、溝幅の狭い方のトレンチ20は、絶縁層50で充填され、溝幅の広い方のトレンチ30は、溝表面が絶縁層50で被覆された構成となっている。トレンチ20を充填している絶縁層50と、トレンチ30の溝表面を被覆する絶縁層50は、同一絶縁層50として連続的に形成されている。また、絶縁層50は、トレンチ30からキャップ基板10の表面まで連続的に延在し、キャップ基板10の表面も被覆している。また、溝幅の広いトレンチ30には、絶縁層50の上に更に成長膜60が充填されている。トレンチ30に充填された成長膜60のキャップ基板10と同じ高さの面は、絶縁膜70で被覆されている。また、キャップ基板10の右側には、ザグリ110が形成されている。
次に、貫通電極100の各構成要素について説明する。
キャップ基板10は、導電性を有する基板である。キャップ基板10は、導電性を有する種々の基板を用いることができるが、例えば、半導体基板を用いてもよい。半導体基板は、不純物を高濃度にドープすることにより、導電性を高めることができ、電極として機能させることができる。実施例1に係る貫通電極100においては、そのような半導体基板のような、導電性を有するキャップ基板10を用意し、これに貫通電極100を形成する。なお、半導体基板を用いる場合には、種々の半導体材料から構成される半導体基板を用いてよいが、例えば、シリコン基板を用いるようにしてもよい。
キャップ基板10は、貫通電極100の電極本体となる電極部11を有する。上述のように、キャップ基板10は導電性を有するので、この一部の所定領域を周囲から絶縁することにより、所定の形状及び大きさを有し、キャップ基板10の2つの面の間の電気的接続を行う貫通電極100として利用することができる。
図2は、キャップ基板10に形成された実施例1に係る貫通電極100の断面を含む斜視図の一例である。図2において、キャップ基板10の一部の長方形領域が、貫通溝のトレンチ40に周囲を囲まれ、電極部11が周囲から絶縁された状態が示されている。図2に示すように、本実施例に係る貫通電極100は、キャップ基板10の一部の所定領域が、トレンチ40に囲まれて周囲と絶縁されることにより形成される。なお、図2においては、貫通電極100の電極部11が長方形である例について説明したが、用途に応じて、円、楕円、正方形等の種々の形状に構成することができる。
なお、キャップ基板10の厚さは、用途に応じて種々の厚さに構成されてよいが、例えば、100〜200μmの厚さに構成されてもよい。
図1に戻る。
トレンチ40は、キャップ基板10の電極部11の領域を囲み、周囲のキャップ基板10から絶縁するための貫通溝である。トレンチ40は、加工の途中までの段階では、溝形状に形成され、文字通りトレンチとして形成されるが、加工の最終段階で、溝幅の狭いトレンチ20の側からキャップ基板10が研磨により切削されて薄板化され、最終的に貫通溝として構成される。
トレンチ40は、溝幅の狭いトレンチ20と、溝幅の広いトレンチ30が連続的に形成された断面形状を有する。つまり、溝幅の広いトレンチ30と、溝幅の狭いトレンチ20とで、段差のある断面形状を有する。図1においては、キャップ基板10の表面から、キャップ基板10を貫通しない深さまで溝幅の広いトレンチ30が形成され、トレンチ30の底面とキャップ基板10の裏面との間を溝幅の狭いトレンチ20が貫通して形成されている。そして、トレンチ40は、溝幅の狭いトレンチ20の上に、溝幅の広いトレンチ30が存在する形状となっている。
トレンチ20の溝幅は、キャップ基板10を熱酸化して熱酸化膜からなる絶縁層50を形成したときに、トレンチ20が熱酸化膜の絶縁層50で充填可能な溝幅に設定する。例えば、トレンチ20の溝幅は、サブミクロン〜2μm程度に設定されてもよい。但し、絶縁層50を、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)により形成する場合には、熱酸化膜よりも厚い膜を形成することができるので、その場合には、もっと溝幅を大きく設定してもよい。いずれの製法を用いるにしても、トレンチ20の溝幅は、絶縁層50で充填可能な範囲の溝幅に設定する。このような、溝幅の狭いトレンチ20を形成することにより、確実に絶縁層50で充填可能な溝を形成することができる。
トレンチ30の溝幅は、トレンチ20の溝幅より大きく形成されるが、上述のCVD等の成長法による成膜で、充填可能な範囲の溝幅に設定することが好ましい。例えば、5〜20μm程度の溝幅に構成してよく、より好ましくは7〜15μm、更に好ましくは8〜12μmの溝幅に構成してもよい。このような、広い溝幅のトレンチ30を構成することにより、溝幅が狭く深い位置にあるトレンチ20に酸素を入り易くして、トレンチ20における熱酸化を容易にすることができる。また、トレンチ30自体は、CVD等の成長法により形成された膜による充填が可能となる。
トレンチ30の深さは、用途に応じて適宜定められてよいが、例えば、数10〜数100μmの範囲に形成されてもよい。
なお、トレンチ20、30は、図1に示すように、ほぼ垂直な壁面(側面)を有するように構成され、トレンチ30については、更にほぼ水平な底面を有するように構成される。
絶縁層50は、トレンチ20を充填するともに、トレンチ30の溝表面を覆い、電極部11を周囲と絶縁するための絶縁膜である。絶縁層50は、キャップ基板10を熱酸化することにより形成される熱酸化膜であってもよいし、CVD等により形成される絶縁膜であってもよい。一般的に、熱酸化の方が、CVDよりもプロセスは容易かつ安価であるので、製造のコスト低減と容易さを優先する場合には、熱酸化により絶縁層50を形成するようにしてもよい。
絶縁層50は、溝幅が狭くキャップ基板10の下方の深い位置に存在するトレンチ20を充填する。これにより、絶縁層50のみでトレンチ20の気密性を高めることができる。一般に、熱酸化により絶縁層を形成する場合、酸化膜の成長速度が非常に遅いので、厚い絶縁膜を形成することは困難であり、充填できる範囲は数ミクロンの範囲に留まる。一方、数ミクロン程度の溝幅で、基板の深くまで形成されたトレンチに酸化膜を形成する場合、トレンチの深部で内部空気の入れ替えが起こり難くなる現象が発生する。しかしながら、本実施例に係る貫通電極100においては、数ミクロン程度の溝幅の狭いトレンチ20の上方に溝幅の広いトレンチ30が配置され、溝幅の狭いトレンチ20自体の長さは短く構成されているので、熱酸化を容易かつ確実に行うことができ、トレンチ20を確実に熱酸化膜で充填することができる。なお、絶縁層50の中央部には、トレンチ20の両壁から成長した絶縁層50の膜界面51が形成される。
絶縁層50は、溝幅が広いキャップ基板10の上方に存在するトレンチ30及びキャップ基板10の表面を被覆する。これにより、電極部11を、確実に周囲から絶縁することができるとともに、キャップ基板10の表面も被覆することができる。
なお、絶縁層50が熱酸化で形成される場合には、キャップ基板10の種類に応じた酸化膜が絶縁層50として形成される。例えば、キャップ基板10がシリコン基板の場合には、絶縁層50は、SiOで形成されることになる。一方、CVDにより絶縁層50が形成される場合には、用途に応じた材料を適宜選択して絶縁層50を形成することができる。
成長膜60は、絶縁層50の上から、溝幅が広いトレンチ30を、トレンチ30の両側の内壁に沿い、トレンチ30の底面に横断部62が形成されるようにトレンチ30内に形成される膜である。トレンチ30は、上述のように、例えば10μm程度の溝幅を有するので、成長膜60は、5μm以上程度の膜厚で成膜できる成膜方法で成膜される。よって、例えば成長膜60は、CVDにより形成されてもよい。
成長膜60は、トレンチ20が絶縁層50で充填されて形成された底面を横切るような横断部62を含んで形成される。絶縁層50の膜界面51は、キャップ基板10の2つの面に垂直な方向に形成されるので、キャップ基板10の面に垂直な方向の気密性は、絶縁層50のみでは担保できない。成長膜60の横断部62は、キャップ基板10の面とほぼ平行に形成され、絶縁層50の膜界面51とほぼ垂直に形成される。よって、絶縁層50に形成されている膜界面51のリークパスを、横断部62が完全に塞ぐことができる。また、成長膜60自身も、トレンチ30の両壁から成長するので、膜界面61をキャップ基板10の面と垂直な方向に有するが、横断部62は、成長膜60自身の膜界面61とも垂直に交わる位置関係となる。よって、横断部62は、成長膜60自身が形成するリークパスも遮断することができる。このように、横断部62は、絶縁層50及び成長膜60の膜界面51、61、即ちリークパスを遮蔽するように設けられるので、貫通電極100の気密性を著しく向上させることができる。
成長膜60は、機械的強度を高めるために、トレンチ30を充填するように形成されていてもよいが、十分な厚さの横断部62を確保することができれば、必ずしもトレンチ30を充填していなくてもよい。図1においては、トレンチ30内は、成長膜60で充填された状態が示されているが、充填は必須ではなく、その後の工程や、必要とする機械的強度等により充填の要否は選択されてよい。トレンチ30を充填しない場合には、成長膜60の成膜量を少なくすることができるので、製造コストを低減することができる。一方、トレンチ30内を成長膜60で充填する場合には、十分な機械的強度と確実な気密性を確保することができる。
成長膜60の成膜材料は、導電材、絶縁材のいずれでもよい。電極部11の周囲との絶縁性は、絶縁層50により担保されているので、導電材も成膜材料として用いることができる。具体的には、例えば、ポリシリコンが成膜材料として用いられてもよい。キャップ基板10にシリコンを用いる場合には、ポリシリコンとの相性が良いので、ポリシリコンを成膜材料として選択し、ポリシリコン膜を形成して成長膜60を構成してもよい。また、成長膜60は、酸化膜や窒化膜等であってもよい。絶縁性を高めたい場合には、ドーパントを含まないシリコンや、酸化物を用いるようにしてもよい。
絶縁膜70は、成長膜60の表面を被覆するための膜である。成長膜60の形成のみの場合、成長膜60の膜界面61が、キャップ基板10の表面と同じ高さで露出してしまうので、膜界面61を覆い、気密性を高めるために、絶縁膜70が必要に応じて形成される。また、成長膜60の材料として、ポリシリコン等の導電材料が用いられた場合には、表面を絶縁材で覆うことが好ましいので、この観点からも絶縁膜70が形成されてよい。
ザグリ110は、本実施例に係る貫通電極100が、微小構造体の電極として用いられる場合に、微小構造体への設置の際、微小構造体とキャップ基板10との接触を回避するために、必要に応じて形成される。ザグリ量は、例えば、数μm〜数10μmの範囲であってよく、10μm程度であってもよい。ザグリ110は、本実施例に係る貫通電極100の用途に応じて、必要に応じて設けられてよい。
図3は、実施例1に係る貫通電極100を用いた微小構造体150の構成の一例を示した断面図である。図3において、実施例1に係る微小構造体150は、微小構造体素子基板140と、構造体141と、電極142、143と、酸化膜144、145と、封止領域146と、貫通電極100とを有する。
微小構造体素子基板140は、微小な構造体141が形成された基板であり、微小構造体150の支持体として機能する。微小構造体素子基板140は、種々の材料からなる基板が用いられてよいが、例えば、シリコン基板等の半導体基板が用いられてよい。微小構造体素子基板140にシリコン基板等の半導体基板が用いられる場合には、半導体の微細加工技術を用いて、構造体141や電極142、143を微小構造体基板140上に形成することができる。特に、微小構造体素子基板140、構造体141、電極142、143及び酸化膜144、145が、SOI(Silicon On Insulator)基板から形成される場合には、MEMS技術を用いて微小構造体150を形成することができる。
構造体141は、本実施例に係る微小構造体150が、センサとして種々の物理量の検出又はアクチュエータとして機械的な駆動を行う部分である。
電極142、143は、微小構造体素子基板140側の電極であり、微小構造体150の外部と電気的接続を行うために用いられる。例えば、微小構造体150がセンサとして構成されている場合には、電極142、143が、構造体141で検出した物理量を電気信号として出力する際に用いられる。
酸化膜144、145は、電極142、143と微小構造体素子基板140とを絶縁するために用いられる。微小構造素子基板140は、電気的な動作は行わず、構造体141や電極142、143等の微小構造体素子基板140の表面に形成された構成要素の支持体として機能するので、不要な電気的導通は行わないように構成されている。
貫通電極100は、図1において説明した構成と同様であるが、図1とは上下が逆に用いられており、更に、表面に絶縁層120と、配線層130とが形成されている点で、図1とは異なっている。また、キャップ基板10の中央領域の電極部11だけでなく、キャップ領域10の左側の領域も電極部12として用いられている点で、図1とは異なっている。微小構造体150の電極142、143は、所定の位置に形成されているので、貫通電極100の電極部11、12は、キャップ基板10内の該当する所定位置に形成されるとともに、それ以外の領域は、絶縁層50及び絶縁膜70で覆われていることが好ましい。一方、貫通電極100の電極部11、12は、外部から微小構造体150に電力を供給するとともに、微小構造体150からの出力信号を外部に取り出すために微小構造体150の外部との電気的接続を行う必要がある。貫通電極100の電極部11、12と外部との電気的接続を行うためには、例えば、電極部11、12に接続される新たな配線層130及び絶縁層120を設けるようにしてもよい。このとき、貫通電極100の露出する外側の表面は、絶縁層50等が形成されていないキャップ基板10が露出した箇所が好ましい。
よって、本実施例に係る微小構造体150においては、絶縁層50がキャップ基板10の表面に存在しないトレンチ20が上側、絶縁層50がキャップ基板10の表面に存在するトレンチ30が下側となるように配置し、貫通電極100を、微小構造体150の電極142、143と対向させて接合している。また、配線層130は、上述のように、貫通電極100と外部との電気的接続を行えるように、貫通電極100の電極部11に接触して設けられ、絶縁膜130は、それ以外の導通な不要な部分が接触しないように、電極部11以外のキャップ基板10の表面を覆っている。
なお、図3においては、電極部12と配線層130との導通が図られていないが、紙面と垂直ないずれかの場所に、絶縁層120が存在しない箇所を設け、その上を配線層130で覆うようにすれば、電極部12と外部との電気的接続を行うことができる。よって、図3に図示しないいずれかの箇所に、電極部12と外部との電気的接続を図る部分が設けられている。
但し、絶縁層120、配線層130の形成は、貫通電極100の取り出し位置の変更が必要でなければ、省略することもできる。例えば、貫通電極100の電極部11、12を、外部のIC(Integrated Circuit、集積回路)基板のパッドに直接接合するようにしてもよい。よって、貫通電極100の表面の絶縁層120、配線層130は、必要に応じて設けるようにしてよい。
また、キャップ基板10と、微小構造体150の電極142、143との接合は、基板同士の直接接合法を用いるようにしてもよい。例えば、接合面にプラズマを照射して活性化して接合面にOH基を形成して接合を行うようにしてもよい。また、基板表面の異物、自然酸化膜を除去し、ダングリングボンドを形成し、接合する方式を用いるようにしてもよい。
なお、キャップ基板10、微小構造体素子基板140とも、シリコン基板、熱酸化膜、ポリシリコン膜だけで形成可能なので、接合工程及びその後の工程でも、比較的高温のプロセスを利用することが可能であり、プロセス選択の幅を広くすることができる。また、接合部に共晶材料、その他金属、導電性接着剤等を介するようにしてもよい。
このように、貫通電極100の電極部11、12と微小構造体素子基板140の電極142、143が、物理的に接合され、電気的に接続される方式であれば、種々の接合方式を用いることができる。
貫通電極100の電極部11、12と微小構造体素子基板140上の電極142、143との接合により、キャップ基板10と微小構造体基板140との間に空間が形成され、封止領域146として封止される。封止領域146は、キャップ基板10と微小構造体150との接合の際に真空とされ、真空封止される場合がある。例えば、微小構造体150が、加速度センサとして構成された場合には、封止領域146は真空とされる。この場合、本実施例に係る微小構造体150は、貫通電極100の絶縁領域を形成するトレンチ40内の段差形状部分に、両壁の間を横断し、絶縁層50の膜界面51と成長膜60の膜界面61を遮蔽する横断部62を有するので、封止領域146の気密性を確実に保つことができる。このように、本実施例に係る微小構造体150は、封止領域146の気密性を担保し、微小構造体150の本来の検出能力又は駆動能力を安定して維持することができる。
図4は、実施例1に係る貫通電極100の製造途中の状態の一例を示した断面図である。図4において、トレンチ20は、キャップ基板10を貫通しておらず、キャップ基板10の途中まで形成された状態となっている。つまり、トレンチ40は、文字通り溝の状態となっている。また、図4において、研磨ラインPが示されている。キャップ基板10の裏面、つまりトレンチ20の最深部側から、キャップ基板10を研磨して切削し、薄板化すると、図1に示す貫通電極100の形状となる。図4の段階では、成長膜60のみならず、絶縁層50にも、横断部52が存在している。しかし、図4の状態では、電極部11を、周囲から絶縁できていない。電極部11を周囲から絶縁するためには、電極部11の側面が総てトレンチ40で囲まれた状態にする必要がある。そこで、キャップ基板10を、絶縁層50で満たされたトレンチ20まで到達し、かつ横断部62まで到達しない範囲で研磨切削し、薄板化するようにすれば、電極部11を周囲から絶縁分離できるとともに、絶縁領域の鉛直方向の気密性も担保することができる。
このように、本実施例に係る貫通電極100においては、2段形状のトレンチ40と、2種類の成膜により、高い気密性を有する貫通電極構造を実現している。
なお、研磨工程(又は薄板化工程)における加工誤差は、±数10μm程度であるので、トレンチ20の深さは、加工誤差よりも深くなるように形成すればよく、例えば20μm程度に形成してもよい。
図5は、比較参考例として、従来の貫通電極の構成の一例を示した図である。図5(A)は、薄板化前のキャップ基板210の状態を示した図であり、図5(B)は、薄板化後の貫通電極の一例を示した図である。
図5(A)において、位置に関わらず同じ溝幅を保ったトレンチ240内に、絶縁膜250が充填されている。この場合には、電極部211を周囲から絶縁分離するためには、トレンチ240の底部にある横断部252を研磨して除去せざるを得ない。
この場合、図5(B)に示すように、絶縁膜250には、横断部252が存在しなくなり、鉛直方向に膜界面251が貫く構成となってしまう。絶縁膜250の表面に、別の絶縁薄膜270、271を形成して被覆したとしても、表面に形成される絶縁薄膜270、271の気密性はあまり大きくないのが一般的であるので、真空封止等の気密が必要な場合には、十分な封止を行うことができない。
これに対し、本実施例に係る貫通電極100は、成長膜60の横断部62が確実に残るように形成するので、気密性を従来よりも著しく向上させることができる。
次に、図6A〜図6Gを用いて、実施例1に係る貫通電極100の製造方法について説明する。図6A〜図6Fは、実施例1に係る貫通電極100の製造方法の一連の工程を示した図である。
図6Aは、溝幅の狭いトレンチ20をキャップ基板10に形成する狭幅トレンチ形成工程の一例を示した図である。狭幅トレンチ形成工程においては、導電性を有するキャップ基板10を用意し、開口幅の狭いマスク80を用いて、ドライエッチングによりキャップ基板10にトレンチ20を形成する。後に、熱酸化でトレンチ20内に熱酸化膜を充填する場合には、マスク80の開口部の幅はサブミクロン〜2μm程度の大きさとし、そのサブミクロン〜2μm程度のトレンチ20が形成されるようにする。また、トレンチ20の深さは、図4において説明したように、少なくとも研磨工程の加工誤差以上とし、±数10μm程度よりは大きく、例えば、20〜50μm程度の深さに形成する。
なお、ドライエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)等、微細加工に適した高精度の加工技術が用いられてよい。
図6Bは、トレンチ20よりも溝幅の広いトレンチ30をキャップ基板10に形成する広幅トレンチ形成工程の一例を示した図である。広幅トレンチ形成工程においては、開口幅がマスク80よりも広い開口を有するマスク90を用いて、開口がトレンチ20を含むようにマスク90を配置し、ドライエッチングにより溝幅の広いトレンチ30を形成する。これにより、溝幅の狭いトレンチ20がキャップ基板10の深い位置に形成され、その上に溝幅の広いトレンチ30が形成されることになる。全体としては、図6Bに示すような、段差を有する断面形状のトレンチ40が形成される。
図6Cは、絶縁層形成工程の一例を示した図である。絶縁層形成工程においては、トレンチ20を充填するとともに、トレンチ30の溝表面を被覆するように絶縁層50が形成される。絶縁層50は、キャップ基板10を熱酸化することにより、熱酸化膜をトレンチ40及びキャップ基板10の表面全体に形成してもよいし、CVDにより化学気相成長絶縁膜をトレンチ40及びキャップ基板10の表面全体に形成してもよい。いずれの形成方法においても、この段階で、トレンチ20は絶縁層50で充填された状態とするともに、トレンチ30についても絶縁層50による絶縁被覆ができた状態とする。これにより、トレンチ30の絶縁底面が形成されるとともに、溝表面全体に絶縁被覆が形成され、電極部11の周囲との絶縁分離が可能な状態となる。
図6Dは、成長膜形成工程の一例を示した図である。成長膜形成工程においては、絶縁層50の上に、トレンチ30の両側の内壁に沿い、底面を横断する横断部62を有する成長膜60が形成される。成長膜60は、トレンチ30の溝表面全体から成長するので、両壁及び底面から成長が開始される。つまり、通常の成長による成膜工程を実行することにより、図6Dに示すような横断部62を含む成長膜60を形成することができる。
なお、成長膜60は、気密性と機械強度を高める観点から、トレンチ30を充填するようにしてもよいが、横断部62が十分な厚さで形成されれば、トレンチ30の総てを必ずしも充填していなくてもよい。例えば、成長膜60は、横断部62で気密性が確保されるので、成長膜60の膜界面61におけるボイドの発生はあまり気にする必要が無くなり、成長膜形成工程に要求される厳密度合いを緩和することができる。
なお、成長膜形成工程は、種々の成長方法が用いられてよいが、例えば、CVDにより行われてよい。また、成長膜60の材料は、導電材、絶縁材の何れでもよく、例えば、ポリシリコンが用いられてもよい。その他、成長膜60は、酸化膜、窒化膜が用いられてもよいし、絶縁性を高める場合には、ドーパントを含まないSiや、酸化物を用いるようにしてもよい。
図6Eは、エッチバック工程の一例を示した図である。エッチバック工程においては、キャップ基板10の表面に形成された成長膜60がエッチングされ、キャップ基板10に近い高さとなるように加工される。成長膜60に、ポリシリコン膜のような導電材が用いられた場合には、短絡等を防止する観点から、不要な成長膜60を除去し、絶縁層50を露出させることが好ましいので、エッチバック工程が必要に応じて設けられる。
但し、成長膜60が絶縁材料の場合には、エッチバック工程は、必ずしも必要無い。しかしながら、貫通電極100を薄く構成したい場合や、成長膜60の表面が均一でなく、除去した方が好ましい場合には、エッチバック工程を設けるようにしてもよい。
図6Fは、絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程においては、成長膜60が露出した表面に、絶縁膜70が形成される。絶縁膜70は、例えば、成長膜60が導電材で構成され、短絡等の事故を防ぐためや、露出した膜界面61を被覆し、気密性を更に向上させるために、必要に応じて設けられてよい。
絶縁膜70は、熱酸化膜であってもよいし、CVD等の成長膜であってもよい。例えば、成長膜60がポリシリコン膜の場合には、熱酸化により、ポリシリコン酸化膜を形成して絶縁膜70としてもよい。また、逆に、成長膜60がポリシリコン膜の場合であっても、CVDで絶縁膜70を形成してもよい。絶縁膜70は、用途に応じて、適切な材料と成膜方法を用いて形成することができる。
図6Gは、研磨工程の一例を示した図である。研磨工程においては、溝幅の狭いトレンチ20の深部側からキャップ基板10を研磨して薄板化し、トレンチ40を貫通溝として電極部11を周囲のキャップ基板10から絶縁分離する。その際、キャップ基板10の研磨は、トレンチ20に到達し、かつ成長膜60の横断部62が残る範囲で行う。横断部62は、一部が残っていれば、リークパスの遮蔽膜としての役割を果たすが、気密性を高める観点から、横断部62の総てが残るように研磨することが好ましい。よって、好ましくは、トレンチ20と交差する範囲内に研磨ラインPを設定し、トレンチ20に充填された絶縁層50が裏面に露出するようにする。
研磨工程を終了すると、図1に示した構成の貫通電極100が完成する。また、微小構造体素子基板140に貫通電極100を搭載する場合には、例えば、図3に示したような構成となる。なお、貫通電極100を微小構造体素子基板140に搭載し、微小構造体150を形成する工程は、実質的に図3の説明で行っているので、その説明を省略する。
実施例1に係る貫通電極100によれば、貫通電極100の電極部11、12を周囲から絶縁する絶縁領域の気密性を高めることができる。これにより、実施例1に係る微小構造体の封止領域146の気密性を高め、検出機能及び駆動機能の信頼性を高めることができる。また、実施例1に係る貫通電極100の製造方法によれば、複雑な加工処理を行うことなく、通常のドライエッチング工程、成膜工程、研磨工程等を用いて、気密性の高い貫通電極100及び信頼性の高い微小構造体150を製造することができる。
〔変形例〕
図7は、実施例1の変形例に係る貫通電極101の一例を示した図である。図7において、変形例に係る貫通電極101のトレンチ41の断面形状が示されているが、溝幅の狭いトレンチ21が、溝幅の広いトレンチ30の底面の中央部ではなく、左側に寄って形成されている点で、今まで説明した実施例1に係る貫通電極100と異なっている。
このように、用途に応じて、トレンチ21とトレンチ30との配置関係を変化させてもよい。トレンチ21が、トレンチ30の底面の何れかの位置に形成されていれば、成長膜60に横断部62を形成することが可能であるので、高い気密性を有する貫通電極101として構成することができる。
なお、その他の構成要素については、今までの説明と同様であるので、その説明を省略する。
図8は、本発明の実施例2に係る貫通電極102の一例を示した図である。図8(A)は、実施例2に係る貫通電極102のトレンチ42の断面形状を示した図である。図8(A)において、実施例2に係る貫通電極102のトレンチ42は、溝幅の狭いトレンチ22、23、24が3本形成されている。このように、1つの溝幅の広いトレンチ30の底面に対して、3つの溝幅の狭いトレンチ22、23、24が形成される構成としてもよい。
図8(B)は、実施例2の係る貫通電極102のトレンチ42を透過的に示した平面図の一例である。図8(B)に示すように、貫通電極102の平面形状が円形に構成された場合には、幅の広いトレンチ30が形成する環に、3重の環が含まれて形成された状態となる。なお、図8(B)の左側の断面図は、A−A断面における断面構成を示した図である。
図8(C)は、実施例2に係る貫通電極102のトレンチ42の拡大透過図の一例である。溝幅の広いトレンチ30が、溝幅の狭いトレンチ22、23、24の3重環を含んだ構成となっている。
図8に示したように、実施例2に係る貫通電極102は、複数のトレンチ22、23、24を含むトレンチ42を有する。このように、複数の溝幅の狭いトレンチ22、23、24を、1つの溝幅の広いトレンチ30に対して設けるようにしてもよい。溝幅の狭いトレンチ22、23、24を複数設けることで、幅の狭いトレンチ22、23、24のトレンチ部の気密性を更に高めることが可能となる。
なお、その他の構成要素については、実施例1に係る貫通電極100及び微小構造体150と同様であるので、その説明を省略する。
また、実施例2に係る貫通電極102のトレンチ42を形成するためには、実施例1の図6Aにおいて説明した狭幅トレンチ形成工程において、トレンチ22、23、24に対応する幅の狭い開口が複数配列されたマスクを用いて、溝幅の狭い複数のトレンチ22、23、24を形成すれば良い。つまり、図8に示されたトレンチ22、23、24を形成するためには、3つの開口が環状に形成されたマスクを用いてドライエッチングを行うようにすればよい。その後は、実施例1において説明した図6B〜図6Gの工程を実行すれば、図8に示したトレンチ形状の絶縁領域を有する貫通電極102を製造することができる。
このように、実施例2に係る貫通電極102は、狭幅トレンチ形成工程におけるマスクの形状を複数開口の形状とするだけで、容易に複数の溝幅の狭いトレンチ22、23、24を有するトレンチ42を形成し、製造することができる。
図9は、本発明の実施例3に係る貫通電極103の一例を示した図である。図9(A)は、実施例3に係る貫通電極103のトレンチ43の断面構成の一例を示した図である。図9(A)において、実施例3に係る貫通電極103のトレンチ43は、テーパ形状の1つのトレンチ43として構成される。よって、トレンチ43は、段差形状を有しない点で、実施例1及び実施例2に係る貫通電極100、101、102と異なっている。
図9(A)に示すように、実施例3に係る貫通電極103においても、絶縁層50及び成長膜60は形成されており、成長膜60の横断部63も形成されている。よって、この横断部63を残すようにしてキャップ基板10の研磨を行うようにすれば、気密性の高い貫通電極103とすることができる。
図9(B)は、実施例3に係る貫通電極103の研磨ラインの例を示した図である。図9(B)において、気密性の高い貫通電極103を構成するための研磨ラインP1、P2、P3の例が示されている。本実施例に係る貫通電極103は、横断部63の全部又は一部を残せば、膜界面51、61を遮蔽し、気密性を高めることが可能であるので、研磨ラインP1、P2、P3の何れを研磨ラインとして設定してもよい。研磨ラインP1は、横断部63のほぼ総てを残すとともに、絶縁層50のみがキャップ基板10の裏面から露出するラインである。研磨ラインP2は、横断部63の大部分が残るが、一部除去されるラインである。研磨ラインP3は、横断部63の1/3程度の一部のみが残されるラインである。
これら総ての場合において、成長膜60の横断部63の全部又は一部が残されるので、何れの構成においても、高い気密性を確保できる。しかしながら、より気密の確実性を高める意味においては、横断部63が総て残される研磨ラインP1での研磨が好ましい。一方、研磨加工には誤差があり、所望の研磨ラインで確実に研磨加工が行えるとも言い切れない場合がある。そこで、例えば、研磨ラインP2付近を目標ラインに設定し、誤差の範囲で、研磨ラインP1になったり、研磨ラインP3になったりしても加工上及び性能上問題の無い製品が作製できるようなプロセスとしてもよい。
図10は、実施例3に係る貫通電極103の完成後の構成の一例を示した図である。テーパ形状のトレンチ43に、絶縁層50とその上に成長膜60が形成され、成長膜60の横断部63の一部は除去されているが、大部分は残った構成となっている。
この場合であっても、電極部11の側方の絶縁性は絶縁層50で確保され、鉛直方向の気密性は横断部63で確保されているので、気密性の高い貫通電極103として、気密封止の必要な微小構造体150等に利用することができる。
なお、実施例3に係る貫通電極103の製造方法は、実施例1に係る貫通電極100の製造方法において説明した図6Aの狭幅トレンチ形成工程と、図6Bの広幅トレンチ形成工程とを1つのトレンチ形成工程に統合し、テーパ形状のトレンチ43を形成するようにすればよい。その後は、実施例1の図6C〜図6Gの工程を実行するようにすれば、実施例3に係る貫通電極103を製造することができる。なお、図6Gにおける研磨工程は、図9(B)で説明したように研磨ラインP1〜P3を設定して研磨を行う工程に置き換えればよい。このようにすることにより、図10に示したような実施例3に係る貫通電極103を製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、種々の部品の表面に設けられた電極に接合する貫通電極として利用することができ、特に、MEMS等の気密封止が必要な微小構造体に用いる貫通電極として好適に利用することができる。
10 キャップ基板
11、12 電極部
20、21、22、23、24、30、40、41、42、43 トレンチ
50 絶縁層
51、61 膜界面
60 成長膜
62、63 横断部
70 絶縁膜
100 貫通電極
110 ザグリ
120 絶縁層
130 配線層
140 微小構造体素子基板
141 構造体
142、143 電極
150 微小構造体

Claims (16)

  1. 導電性を有する基板の所定領域を周囲と絶縁して形成した貫通電極であって、
    前記基板の第1の面側に、前記基板を貫通しない深さに形成された第1のトレンチと、
    該第1のトレンチより溝幅が狭く、該第1のトレンチの底面と前記基板の第2の面とを貫通する第2のトレンチと、
    該第2のトレンチを充填するとともに、前記第1のトレンチの溝表面を覆う絶縁層と、
    前記第1のトレンチの溝表面を覆う前記絶縁層上に、前記第1のトレンチの両側の内壁に沿うとともに、前記第1のトレンチの底面を横断する横断部を含むように形成された成長膜と、を含むことを特徴とする貫通電極。
  2. 前記成長膜は、前記第1のトレンチを充填することを特徴とする請求項1に記載の貫通電極。
  3. 前記第2のトレンチは、前記第1のトレンチの溝幅の方向に複数設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通電極。
  4. 前記絶縁層は、熱酸化膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貫通電極。
  5. 前記基板は、シリコン基板であり、
    前記成長膜は、ポリシリコン膜であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の貫通電極。
  6. 前記成長膜の前記第1の面側は、絶縁膜で覆われたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貫通電極。
  7. 導電性を有する基板の所定領域を周囲と絶縁して形成した貫通電極であって、
    前記基板を貫通し、両壁がテーパ形状を有するトレンチと、
    該トレンチの前記両壁を覆う絶縁層と、
    該絶縁層の上に、前記両壁に沿うとともに、前記テーパ形状の溝幅の最も狭い部分を横断する横断部を含むように形成された成長膜と、を含むことを特徴とする貫通電極。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の貫通電極と、
    表面に電極が形成された微小構造体素子基板とを有し、
    前記貫通電極と、前記微小構造体素子基板の前記電極が接合されたことを特徴とする微小構造体。
  9. 導電性を有する基板に、第1のマスクを用いてドライエッチングにより第1のトレンチを形成する工程と、
    前記第1のマスクよりも開口部の幅が広い第2のマスクを、該第2のマスクの開口部が前記第1のトレンチを含むように配置し、ドライエッチングにより前記第1のトレンチ上に前記第1のトレンチよりも溝幅が広い第2のトレンチを形成する工程と、
    前記第1のトレンチを絶縁層で充填するとともに、前記第2のトレンチの溝表面を絶縁層で覆う絶縁層形成工程と、
    前記第2のトレンチを覆う前記絶縁層の上に、前記第2のトレンチの両側の内壁に沿うとともに、前記第2のトレンチの底面を横断する横断部を含む成長膜を形成する成長膜形成工程と、
    前記基板を、前記第1のトレンチ側の面から研磨し、前記第1のトレンチに充填された前記絶縁層を露出させる研磨工程と、を含むことを特徴とする貫通電極の製造方法。
  10. 前記成長膜形成工程において、前記成長膜は、前記第2のトレンチを充填することを特徴とする請求項9に記載の貫通電極の製造方法。
  11. 前記成長膜は、化学気相成長法により形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の貫通電極の製造方法。
  12. 前記絶縁層は、前記基板を熱酸化することにより形成されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の貫通電極の製造方法。
  13. 前記第1のマスクは、前記第2のトレンチの溝幅方向に複数の開口部を有し、前記第1のトレンチは、1つの前記第2のトレンチに対して溝幅方向に複数形成されることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の貫通電極の製造方法。
  14. 前記成長膜形成工程と前記研磨工程との間に、前記基板の表面の前記成長膜をエッチバックにより除去する工程と、
    該エッチバック後の前記成長膜の表面に、絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の貫通電極の製造方法。
  15. 前記基板は、シリコン基板であり、
    前記成長膜は、ポリシリコン膜であり、
    前記絶縁膜は、前記ポリシリコン膜の酸化膜であることを特徴とする請求項14に記載の貫通電極の製造方法。
  16. 導電性を有する基板に、両壁がテーパ形状を有するトレンチを形成する工程と、
    該トレンチの溝表面を絶縁層で覆う工程と、
    該絶縁層上に、前記トレンチの前記両壁に沿うとともに、前記トレンチの最深部を横断する横断部を含むように成長膜を形成する工程と、
    前記絶縁層が露出するとともに、前記横断部の全部又は一部が残る範囲で前記基板を前記トレンチの前記最深部側から研磨して薄板化する工程と、を含むことを特徴とする貫通電極の製造方法。
JP2010002309A 2010-01-07 2010-01-07 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体 Pending JP2011142230A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010002309A JP2011142230A (ja) 2010-01-07 2010-01-07 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010002309A JP2011142230A (ja) 2010-01-07 2010-01-07 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011142230A true JP2011142230A (ja) 2011-07-21

Family

ID=44457878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010002309A Pending JP2011142230A (ja) 2010-01-07 2010-01-07 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011142230A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103221795B (zh) 包括参考电容器的微机电压力传感器
KR100952027B1 (ko) 마이크로기계 구성요소 및 이를 제작하는 방법
CN100579892C (zh) 微型机电系统元件及其制造方法
EP2871455B1 (en) Pressure sensor
US8445304B2 (en) Semi-conductor sensor fabrication
EP2762441A2 (en) Internal electrical contact for enclosed MEMS devices
US20120032283A1 (en) Sensor module
JP2010260167A (ja) 半導体装置およびその製造方法
US8975118B2 (en) Component having a via and method for manufacturing it
TW201526205A (zh) 半導體設備、半導體結構、以及半導體結構之形成方法
JP2014517912A (ja) アウトオブプレーンスペーサが画成する電極
US11097942B2 (en) Through silicon via (TSV) formation in integrated circuits
US11402288B2 (en) Membrane-based sensor having a plurality of spacers extending from a cap layer
CN103229290B (zh) 薄芯片在载体衬底上的低共熔压焊
TWI652728B (zh) 用於面外間隔體界定電極的磊晶式多晶矽蝕刻停止
JP2011255436A (ja) 貫通電極及びこれを用いた微小構造体、並びにそれらの製造方法
JP2012020396A (ja) 密封された空洞を備えたmemsデバイスおよび装置
JP2011176100A (ja) 貫通電極、微小構造体及びそれらの製造方法
JP2011142230A (ja) 貫通電極及びその製造方法、並びに微小構造体
CN214270212U (zh) 一种晶圆级封装结构以及器件级封装结构
TWI632358B (zh) 電容式壓力感測器及方法
JP2019198913A (ja) 半導体装置の製造方法
US7531229B2 (en) Microstructured component and method for its manufacture
JP2011199301A (ja) 半導体装置およびその製造方法
TWI528566B (zh) 單晶積體絕對壓力感測器的結構及方法