まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示略)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠(図示略)とで構成され、該遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示略)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示略)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。そしてパチンコ遊技機1は、図1に示すように、上下方向を向く起立姿勢で図示しない遊技機設置島等の設置部に設置される。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が遊技枠(図示略)に対して着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状の合成樹脂板と、その合成樹脂板に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9では、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄(飾り図柄)の可変表示(変動)が行われる。よって、演出表示装置9は、識別情報としての演出図柄(飾り図柄)の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8a(図2参照)で第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8b(図2参照)で第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤6には、識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8a(図2参照)が設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、遊技盤6には、識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8b(図2参照)が設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合わせが停止表示される。
演出表示装置9は、図3に示すように、遊技盤6に形成された開口部6aに、表示部9aを前面側に臨ませるように配設されている。また、演出表示装置9の前面側には、表示部9aの前面側に上下方向に移動可能に配置される装飾可動物としての役物201(本実施例では短刀を模したフィギュア)を有する役物ユニット200が設けられており、例えば演出表示装置9による演出の実行に応じて役物201を上下駆動させることができるようになっている(図15参照)。尚、役物ユニット200の詳細については後述することとする。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13は演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13との間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13の周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13の周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13に導きづらくして、第2始動入賞口14の入賞率の方を第1始動入賞口13の入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの近傍には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18(図2参照)が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置9の表示部9aには、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部18cと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部18dとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
遊技盤6には、普通図柄表示器10(図2参照)が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。また、遊技盤6には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41(図2参照)が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りになる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間が長くなり、かつ、開放回数が増加される。すなわち、遊技球が始動入賞しやすくなる(つまり、特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行する。また、この実施例では、時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)においても、可変入賞球装置15の開放時間が長くなり、かつ、開放回数が増加される。
なお、可変入賞球装置15が開状態となる時間を延長する(開放延長状態ともいう)ことによって、遊技球が始動入賞口に進入しやすくなる(つまり、特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行してもよい。
また、可変入賞球装置15が開状態となる時間を延長するのでなく、普通図柄表示器10における下側のランプが点灯して当りになる確率が高められる普通図柄確変状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄表示器10における下側のランプが点灯して当りとなると、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。この場合、普通図柄確変状態に移行制御することによって、普通図柄表示器10における下側のランプが点灯して当りになる確率が高められ、可変入賞球装置15が開状態となる頻度が高まる。従って、普通図柄確変状態に移行すれば、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められ、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。すなわち、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数は、下側のランプが点灯して当りとなったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(始動入賞しやすい状態)に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
また、普通図柄表示器10における普通図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される普通図柄時短状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄時短状態では、普通図柄の変動時間が短縮されるので、普通図柄の変動が開始される頻度が高くなり、結果として普通図柄が当りとなる頻度が高くなる。従って、普通図柄が当りとなる頻度が高くなることによって、可変入賞球装置15が開状態となる頻度が高くなり、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。
また、特別図柄や演出図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行われる可能性が高まる。
さらに、上記に示した全ての状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。また、上記に示した各状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)のうちのいずれか複数の状態に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27R,27Lが設けられている。遊技領域7の外周上部、外周左部および外周右部には、前面枠に設けられた天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。また、左枠LED28bの近傍には賞球残数があるときに点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの近傍には補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LED25は、パチンコ遊技機1に設けられている演出用の発光体の一例である。なお、上述した演出用(装飾用)の各種LEDの他にも演出のためのLEDやランプが設置されている。
また、打球供給皿3を構成する部材に、遊技者が操作可能な操作手段としての操作部50が設けられている。操作部50の内部には、点灯可能なLED50b(図2参照)と、操作部50の押圧操作を検出するための操作スイッチ50aが設けられている(図2参照)。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示略)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路53が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路53は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路53は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路53は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路53が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路53が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路53が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aへの始動入賞が生じたときに乱数回路53から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや合算保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号(図示せず)が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号(図示せず)が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。さらに、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路(図示せず)も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25、役物用LED85に駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27R,27Lに出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
また、演出制御用CPU(図示略)は、入出力ポートを介して操作部50に接続されており、該入出力ポートを介して操作部50内のLED50bを駆動する信号を出力するとともに、操作部50内の操作スイッチ50aから遊技者の押圧操作に応じて出力される操作信号が入力される。
また、演出制御用CPU(図示略)は、役物ユニット200に設けられた昇降モータ81、開閉モータ83及び昇降センサ82、開閉センサ84に接続されており、昇降モータ81を駆動する信号を出力するとともに、昇降センサ82から入力される検出信号を監視する。
次に、本実施例の役物ユニット200の構造について、図面にもとづいて説明する。図3は、図1のA−A拡大縦断面図である。図4は、役物ユニットを示す正面図である。図5は、役物の作動状況を示す正面図である。図6は、役物の作動状況を示す正面図である。図7は、役物ユニットの内部構造を示す分解斜視図である。図8は、図7の要部拡大斜視図である。図9は、図7の要部拡大斜視図である。図10は、開閉機構を示す分解斜視図である。図11は、(a)は役物の構造を示す概略図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。図12は、(a)は役物の構造を示す概略図であり、(b)は(a)のC−C断面図である。図13は、(a)は役物の構造を示す概略図であり、(b)は(a)のD−D断面図である。図14は、(a)は役物が退避位置にある状態を示す概略構造図であり、(b)は役物が前面位置にある状態を示す概略構造図であり、(c)は役物の被覆部が開放した状態を示す概略構造図である。図15は、(a)は役物が退避位置にある状態を示す外観図であり、(b)は役物が前面位置に位置している外観図であり、(c)は被覆部が開放した状態を示す外観図である。尚、以下の説明において、図4の手前側を役物ユニットの前面側、奥側を役物ユニットの背面側として説明する。
図4〜図6に示すように、役物ユニット200は、前面中央位置に横長長方形状の凹部203が形成された四角枠状の枠体202と、表示部9aを前面に臨ませるように凹部203内に組み付けられる演出表示装置9(図4〜図6では図示略)と、演出表示装置9の前面側に組み付けられ、役物201及び該役物201を駆動する駆動機構を有する正面視略L字形の駆動ユニット204(図7参照)と、から主に構成されている。
図3に示すように、遊技盤6には、演出表示装置9の表示部9aを前面側から視認するための開口部6aが形成されているとともに、該開口部6aの周囲には環状のステージ飾り11が配設されており、枠体202は、遊技盤6の背面に凹部203の前面開口をステージ飾り11の後端開口に臨ませるように取り付けられる。
図4〜図6に示すように、役物201は、本実施例では短刀を模したフィギュアからなり、所定長さに形成された正面視帯状の刀部210と、該刀部210の右側に設けられる柄部211と、刀部210を被覆するように配設される鞘部212と、から構成される。このように構成される役物201は、図4に示すように、凹部203の下辺部に沿って水平に配置される退避位置と、図5及び図6に示すように、凹部203の開口の対角線上に傾斜状に配置される前面位置との間で、右端部を中心に回動可能に設けられている。
詳しくは、柄部211の右端部は凹部203の右下角部近傍に軸支され、昇降モータ81の駆動により前後方向を向く軸心周りに回動する。鞘部212は、左端部が凹部203の左辺部に沿って上下方向に移動可能に案内されているとともに、刀部210に対して長手方向に相対移動可能に設けられている。よって、役物201全体は長手手方向に伸縮可能に構成されている。また、鞘部212及び柄部211は上下に分割可能に構成され、長手方向に対して直交する幅方向に移動可能に設けられており、開閉モータ83の駆動により幅方向に移動することで、刀部210の前面及び柄部211の内部を開閉する。
図7に示すように、駆動ユニット204は、凹部203の左辺部に配置される上下方向を向く垂直部220aと、該垂直部220aの下端から右側に向けて延設される水平部220bと、から略正面視L字形に形成された駆動ベース220と、駆動ベース220の前面側に組み付けられる各種部材と、から構成される。駆動ベース220の背面には、正面視L字形をなす金属製の補強板金221が複数のネジ221aにより取り付けられている。また、水平部220bの右側下部には、昇降モータ81及び開閉モータ83の配線を集約して演出制御基板90に接続するための役物中継基板222がネジ222aにより取り付けられる基板取付部223が下方に垂設されているとともに、該基板取付部223の前面にはカバー部材224がネジ224aにより取り付けられている。
基板取付部223の上方には、刀部210を回動自在に支持する回動軸225の後端が嵌合される嵌合穴が前面に形成された軸用ボス226が前方に突設されており、嵌合穴に嵌合された前後方向を向く回動軸225の後端面に背面側からネジ225aを螺入することで回動軸225が取り付けられる。尚、回動軸225の先端にはワッシャ227が嵌装されて後述する回動支持板250の逸脱が規制されている。
垂直部220aの上下部には、外周面に螺旋状溝228aが形成された昇降用ボルト228の上下端部を軸心周りに回動自在に支持する支持穴229a,229bが設けられており、昇降用ボルト228を上下方向に立設した状態で軸心周りに回動自在に支持する。
昇降用ボルト228の外周には、内周面に螺旋状溝228aに係合可能な係合突起(図示略)が形成された上下方向に延びる挿通孔231が左端部に形成された移動支持部材230が昇降可能に装着される。また、移動支持部材230の右端部には、前後方向に貫通する貫通孔232が形成され、該貫通孔232の背面側から取り付けられる軸ネジ234により後述する移動支持板280の右端部に回動自在に軸支される。
下方の支持穴229bに挿通され下方に突出した昇降用ボルト228の下端には、昇降モータ81の出力軸81aに固着される駆動ギヤ236に噛合する従動ギヤ235が固着されている。これら駆動ギヤ236及び従動ギヤ235は、水平部220bの下面にネジ237aにより取り付けられ、下面に昇降モータ81が配設されるギヤカバー237により被覆されている。
このように挿通孔231を昇降用ボルト228に挿通することにより装着される移動支持部材230は、後述する移動支持板280に軸支されることで昇降用ボルト228に対して相対回動不能に保持され、昇降モータ81の駆動により昇降用ボルト228の螺旋状溝228aが軸心周りに回転することで、該螺旋状溝228aに係合された係合突起(図示略)が上下動し、これにより移動支持部材230が昇降用ボルト228に沿って長手方向(上下方向)に移動案内される。
また、垂直部220aの下部における昇降用ボルト228の下端近傍には、移動支持部材230の挿通孔231の周面から左方に突設された被検出片233を検出可能な昇降センサ82がネジ82aにより取り付けられており、移動支持部材230が後述する下限位置に位置していることを検出できるようになっている。
次に、役物201を構成する各種部材について説明すると、役物201は、右端部が固定支持部としての回動軸225に軸支される第1可動部としての帯板状の回動支持板250と、左端部が移動支持部としての移動支持部材230に支持され、回動支持板250に対して長手方向に相対移動可能に連結される第2可動部としての帯板状の移動支持板280と、回動支持板250に対して長手方向に向けて移動可能に配設され、後述する柄部カバー380及び鞘部カバー390を開閉させるための帯板状のスライド板310及びリンク部材330,340(図10参照)と、側面視略コ字形の柄部カバー380及び鞘部カバー390と、から主に構成される。
図8に示すように、回動支持板250は、正面視横長帯板状をなすとともに、その右端部には水平なモータ支持台251が形成されており、該モータ支持台251の上面には、開閉モータ83が出力軸83aを下向きにした状態でネジ251aにより取り付けられている。モータ支持台251に形成された挿通孔252から下方に突出した上下方向を向く出力軸83aの先端にはピニオンギヤ253が固着されている。また、モータ支持台251の下面には、スライド板310の位置を検出するための開閉センサ84がネジ84aにより取り付けられているとともに、出力軸83aの左側には、回動軸225が挿通可能な軸受孔254が前後に開口するように設けられている。
尚、このように開閉モータ83が回動支持板250の回動軸心となる回動軸225が挿通される軸受孔254よりもやや右側にずれた位置に配置されることで、回動支持板250の重心バランスが左側に偏ることが防止されるため、昇降モータ81の特に上昇駆動時における負荷が軽減される。
回動支持板250の前面には、前面に複数の役物用LED85が長手方向に向けて直線状に配列された役物LED基板255が複数のネジ255aにより取り付けられるとともに、位置決め用の位置決め突部256が複数箇所に突設されている。役物LED基板255の前面には、役物用LED85からの光を透過可能な透明な合成樹脂材にて断面コ字形に形成されるレンズカバー257が複数のネジ257aにより背面側から止着され、役物LED基板255の前面が被覆される。
レンズカバー257は、長手幅寸法L1が演出表示装置9の表示部9aの対角線幅寸法L2とほぼ同寸(図15参照)、つまり、表示部9aの左右幅寸法L3よりも長寸に形成されており(L1≒L2>L3)、水平部220bに配置されたときに昇降用ボルト228の前方に配置される左端部には、該昇降用ボルト228との干渉を回避するための切欠部258が形成されている。
レンズカバー257の前面における右側約1/4の柄部領域Z1に対し、左側の約3/4の刀部領域Z2は背面側に凹設されて該柄部領域Z1と刀部領域Z2との間には段部が形成されている。また、刀部領域Z2における右側約1/3は、後述する鞘部カバー390により開閉される開閉領域Z3(装飾部)とされており、該開閉領域Z3の上下幅寸法は、他の領域の上下幅寸法よりも幅広に形成されている。尚、開閉領域Z3に対応する役物用LED85は他の領域に対応する役物用LED85よりも密な間隔で配置されて強く発光するようになっている。
回動支持板250の背面所定箇所には、スライド板310及び移動支持板280を長手方向に移動自在に支持する所定長さを有する取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bが突設されており、該取付用ボス261a,261bの後端には、金属製の保持板金260が位置決め用ボス262a,262bに位置決めされた状態でネジ260aにより取り付けられている。保持板金260は、これら取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bにより回動支持板250に対して所定幅離間して配置され、これらの間にスライド板310及び移動支持板280を左右方向に移動自在に保持している(図11(b)参照)。また、保持板金260の右端部における軸受孔254に対応する箇所には、回動軸225を挿通可能な丸穴263が形成されている。
また、回動支持板250の背面右側には、後述する第1リンク片330a,330bが嵌合される左右一対のガイド凹部267,267(図中右側のガイド凹部267は図示せず)が上辺から下方に向けて凹設されているとともに、後述する第2リンク片340a,340bが嵌合される左右一対のガイド凹部268,268が下辺から上方に向けて凹設されている。
さらに、回動支持板250の背面左側には、後述する第3リンク片350a,350bが嵌合される左右一対のガイド凹部265,265が上辺から下方に向けて凹設されているとともに、後述する第4リンク片360a,360bが嵌合される左右一対のガイド凹部266,266が下辺から上方に向けて凹設されている。これらガイド凹部265,265、266,266は、第3リンク片350a,350b及び第4リンク片360a,360bを上下方向に移動案内する、つまり左右方向への移動を規制する規制部を構成している。
このようにこれら回動支持板250、役物LED基板255、レンズカバー257により、所定長さを有する正面視横長帯状の刀部210及び柄部211が構成される。
図9に示すように、スライド板310は、回動支持板250とほぼ同寸をなす横長帯板状に形成され、その右側端部には、ピニオンギヤ253に噛合するラックギヤ311が左右方向に向けて延設されているとともに、ラックギヤ311の左側端部には、開閉センサ84により検出される被検出片312が前向きに屈曲されている。被検出片312のさらに左側には、回動支持板250の背面に突設されたガイド軸(図示略)が挿通可能な軸挿通長孔313が左右方向に延設されているとともに、ガイド軸(図示略)の後端面には大径のワッシャ313aがネジ313cにより取り付けられる。
取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bに対応する位置には、これら取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bを挿通可能なスライド孔314a,314bが左右方向に延設されており、スライド孔314a,314bに挿通される取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bにより、スライド板310は回動支持板250に対し長手方向にスライド移動自在に支持される。
スライド板310の右半部には、スライド板310の長手方向に対して右側に向けて下方に傾斜する傾斜部315aと、該傾斜部315aの両端から水平に延設される直線部315b,315bと、からなる一対の第1傾斜溝315,315と、スライド板310の長手方向に対して左側に向けて下方に傾斜する傾斜部316aと、該傾斜部316aの両端から水平に延設される直線部316b,316bと、からなる一対の第2傾斜溝316,316と、が長手方向に向けて交互に形成されている。具体的には、第1傾斜溝315と第2傾斜溝316とで正面視略「ハ」字形をなすように交互に配置されている。
また、スライド板310の左半部には、スライド板310の長手方向に対して右側に向けて下方に傾斜する傾斜部317aと、該傾斜部317aの両端から水平に延設される直線部317b,317bと、からなる一対の第3傾斜溝317,317と、スライド板310の長手方向に対して左側に向けて下方に傾斜する傾斜部318aと、該傾斜部318aの両端から水平に延設される直線部318b,318bと、からなる一対の第4傾斜溝318,318と、が長手方向に向けて交互に形成されている。具体的には、第3傾斜溝317と第4傾斜溝318とで正面視略「ハ」字形をなすように交互に配置されている。
第1傾斜溝315,315には、上下方向を向く左右一対の第1リンク片330a,330bの下端背面に後向きに突設された円柱状の軸部材331a,331bが前面側から摺動自在に嵌合され、第1傾斜溝315,315に嵌合された軸部材331a,331bの後端に大径のワッシャ331cがネジ331dにより取り付けられて、第1傾斜溝315,315からの軸部材331a,331bの逸脱が防止される。また、第1リンク片330a,330bの上端は、後述する上柄部カバー380aの背面に取り付けられる左右方向を向く連結片332により連結されて一体化されている。
第2傾斜溝316,316には、上下方向を向く左右一対の第2リンク片340a,340bの上端背面に後向きに突設された円柱状の軸部材341a,341bが前面側から摺動自在に嵌合され、第2傾斜溝316,316に嵌合された軸部材341a,341bの後端に大径のワッシャ341cがネジ341dにより取り付けられて、第2傾斜溝316,316からの軸部材341a,341bの逸脱が防止される。また、第2リンク片340a,340bの下端は、後述する下柄部カバー380bの背面に取り付けられる左右方向を向く連結片342により連結されて一体化されている。
第3傾斜溝317,317には、上下方向を向く左右一対の第3リンク片350a,350bの下端背面に後向きに突設された円柱状の軸部材351a,351bが前面側から摺動自在に嵌合され、第3傾斜溝317,317に嵌合された軸部材351a,351bの後端に大径のワッシャ351cがネジ351dにより取り付けられて、第3傾斜溝317,317からの軸部材351a,351bの逸脱が防止される。また、第3リンク片350a,350bの上端背面には、後述する上鞘部カバー390aの背面に取り付けられる上ガイドレール290aに摺動自在に嵌合される軸部材352a,352bが突設されている。
第4傾斜溝318,318には、上下方向を向く左右一対の第4リンク片360a,360bの上端背面に後向きに突設された円柱状の軸部材361a,361bが前面側から摺動自在に嵌合され、第4傾斜溝318,318に嵌合された軸部材361a,361bの後端に大径のワッシャ361cがネジ361dにより取り付けられて、第4傾斜溝318,318からの軸部材361a,361bの逸脱が防止される。また、第4リンク片360a,360bの上端背面には、後述する下鞘部カバー390bの背面に取り付けられる下ガイドレール290bに摺動自在に嵌合される軸部材362a,362bが突設されている。
図10に示すように、スライド板310の背面側には、移動支持部材230に左端部が回動自在に支持され、回動支持板250に対して長手方向に相対移動可能に連結支持される帯板状の移動支持板280が配置される。移動支持板280は、取付用ボス261a,261b及び位置決め用ボス262a,262bを挿通可能なスライド長孔281a,281bが左右方向に延設されているとともに、その間には、上下方向に延設される上ガイド縦溝282aと下ガイド縦溝282bとが左右に並設されている。また、左端部には、移動支持部材230の貫通孔232の背面側から取り付けられる軸ネジ234(図7参照)が螺入される前後に開口する軸ネジ孔283が形成されており、移動支持部材230に対して前後方向を向く軸ネジ234を中心として回動自在に軸支される。
第3リンク片350a,350bは、上鞘部カバー390aの背面にネジ292c(図7参照)により取り付けられるガイドベース292aと、該ガイドベース292aの背面にネジ291c(図7参照)により取り付けられる断面コ字形のガイドカバー291aと、からなる上ガイドレール290aに、軸部材352a,352bが長手方向に摺動自在に嵌合されている。上ガイドレール290aの下面には、第3リンク片350a,350bが挿通されるガイド溝部290d(図11(b)参照)が長手方向に延設されている。
ガイドカバー291aの右側下端からは、逆三角形状のフック片293aが垂下されており、該フック片293aの前面下端には、上ガイド縦溝282aに背面側から嵌合されるガイドピン294aが前向きに突設されている。これにより上ガイドレール290aは、移動支持板280に対して長手方向に相対移動不能、かつ、上下方向に相対移動可能に連結されている。
第4リンク片360a,360bは、下鞘部カバー390bの背面にネジ292d(図7参照)により取り付けられるガイドベース292bと、該ガイドベース292bの背面にネジ291d(図7参照)により取り付けられる断面コ字形のガイドカバー291bと、からなる下ガイドレール290bに、軸部材362a,362bが長手方向に摺動自在に嵌合されている。下ガイドレール290bの上面には、第4リンク片360a,360bが挿通されるガイド溝部290f(図11(b)参照)が長手方向に延設されている。
ガイドカバー291bの右側上端からは、三角形状のフック片293bが上方に延設されており、該フック片293bの前面上端には、下ガイド縦溝282bに背面側から嵌合されるガイドピン294bが前向きに突設されている。これにより下ガイドレール290bは、移動支持板280に対して長手方向に相対移動不能、かつ、上下方向に相対移動可能に連結されている。
次に、このように構成された役物201の作動状況について、図11〜図15にもとづいて説明する。
役物201は、右端部に配置された前後方向を向く回動軸225の軸心周りに回動自在に軸支される回動支持板250と、該回動支持板250に対して、左右一対の取付用ボス261a,261b(位置決め用ボス262a,262b)が挿通されるスライド長孔281a,281bを介して長手方向に摺動自在に連結され、左端部が移動支持部材230に前後方向を向く軸ネジ234の軸心周りに回動自在に軸支された移動支持板280と、により長手方向に伸縮自在に構成されており、図15(a)に示すように、横長長方形状に形成された表示部9aの下辺部の下側に水平に配置される退避位置と、図15(b)(c)に示すように、表示部9aの対角線上に傾斜状に配置される前面位置と、の間で右端部の回動軸心225を中心に回動可能に設けられている。
より詳しくは、第2可動部としての移動支持板280は、第1可動部としての回動支持板250に対し、固定支持部としての回動軸225の軸心と移動支持部としての移動支持部材230の軸ネジ234の軸心とを結ぶ直線方向にスライド移動可能に連結されているため、移動支持部材230の上下移動に応じて回動支持板250に対し出退する。言い換えると、右端部が回動軸225に軸支された回動支持板250と、左端部が軸ネジ234を介して移動支持部材230に軸支された移動支持板280とは、移動支持部材230の上下移動に応じて、一方の軸支部の反対側の遊端部が他方の軸支部に対向する姿勢を維持したまま相対移動するように連結されている。
回動支持板250と移動支持板280とは、左右一対の取付用ボス261a,261b(位置決め用ボス262a,262b)により互いに長手方向に相対移動自在に連結される。また、挿通孔231を介して昇降用ボルト228に嵌挿された移動支持部材230は、回動支持板250に連結された移動支持板280に軸支されることにより昇降用ボルト228に対して相対回動不能に保持されている。
回動支持板250及び移動支持板280の回動は、移動支持部材230の昇降により行われる。具体的には、昇降モータ81の駆動により昇降用ボルト228及び螺旋状溝228aが軸心周りに正逆回転することにより、螺旋状溝228aに係合する挿通孔231の内周面の係合突起(図示略)が螺旋状溝228aにより上方に押し上げ、または下方に押し下げられ、これにより移動支持部材230が上方または下方に移動する。よって、右端部の回動軸225を中心として回動支持板250及び移動支持板280の左端部が上昇または下降することにより回動する。
また、図14に示すように、移動支持部材230は、退避位置において回動軸225から移動支持板280を回動自在に支持する軸ネジ234までの距離が距離P1となる下限位置と、前面位置において回動軸225から移動支持板280を回動自在に支持する軸ネジ234までの距離が距離P1よりも長い距離P2となる上限位置と、の間で下限位置と上限位置とを結ぶ直線上を往復動する。
よって、移動支持部材230の上下動により回動軸225から軸ネジ234までの距離Pが漸次変化するのに応じて、右端部が回動軸225に軸支された回動支持板250に対し、左端部が移動支持部材230に軸支された移動支持板280が長手方向に相対移動するため、役物201は、回動動作に応じてその長手幅寸法が伸縮する。
移動支持板280には、鞘部カバー390a,390bに取り付けられるガイドレール290a,290bが移動支持板280に対して上下方向に移動可能、かつ、長手方向に移動不能に連結されている。つまり、鞘部カバー390a,390bは、移動支持板280とともに移動支持板280に対して長手方向に摺動自在とされている。
また、回動支持板250に対して長手方向にスライド移動自在に支持されたスライド板310には、リンク片330a,330bを介して上柄部カバー380aが取り付けられ、リンク片340a,340bを介して下柄部カバー380bが取り付けられ、リンク片350a,350bを介して上鞘部カバー390aが取り付けられ、リンク片360a,360bを介して下鞘部カバー390bが取り付けられている。
尚、上柄部カバー380a及び下柄部カバー380bは、一端がスライド板310に支持された左右一対のリンク片330a,330b、340a,340bにより回動支持板250に対して平行に支持される。また、上鞘部カバー390a及び下鞘部カバー390bは、一端がスライド板310に支持された左右一対のリンク片350a,350b、360a,360bにより回動支持板250に対して平行に支持される。
よって、開閉モータ83を駆動することによりピニオンギヤ253が正逆回動することで、該ピニオンギヤ253に噛合するラックギヤ311を有するスライド板310が回動支持板250に対して長手方向に移動する。そしてこの移動により上柄部カバー380a、下柄部カバー380b、上鞘部カバー390a、下鞘部カバー390bが長手方向に対して直交する方向、つまり幅方向に移動して、レンズカバー257の前面における幅方向の中央位置を長手方向にわたり開閉する。
図11及び図14(a)には、役物201が退避位置に位置している状態が示されている。この状態において、移動支持板280は、回動支持板250に対して縮小した位置に配置され、取付用ボス261a,261b(位置決め用ボス262a,262b)はスライド長孔281a,281bの左端部に配置される。また、各リンク片330a,330b、340a,340b、350a,350b、360a,360bの軸部材331a,331b、341a,341b、351a,351b、361a,361bは、各傾斜溝315〜318における幅方向の中心位置側の直線部315b〜318bに配置されており、上柄部カバー380aと下柄部カバー380b及び上鞘部カバー390aと下鞘部カバー390bは、互いの対向端辺同士が当接する閉鎖位置に位置している(図15(a)参照)。
ここで、昇降モータ81が駆動して回動支持板250が回動軸225周りに回動すると、図12及び図14(b)に示すように、移動支持板280は、回動支持板250に対して長手方向(左側)に相対移動し、前面位置に到達したときに、取付用ボス261a,261b(位置決め用ボス262a,262b)はスライド長孔281a,281bの右端部に配置される。また、移動支持板280の移動に伴い、ガイドレール290a,290bも左側に移動する。これにより、上鞘部カバー390a及び下鞘部カバー390bがレンズカバー257に対して左側に移動し、レンズカバー257の前面における開閉領域Z3(図8参照)、つまり刀部210の基端部(装飾部)が露呈されるため、該開閉領域Z3の背面側に位置する役物用LED85を発光させることにより、開閉領域Z3が装飾される(図15(b)参照)。
また、このとき各リンク片350a,350b、360a,360bは、ガイド凹部265,266に嵌合されて左右方向の移動が規制されているとともに、軸部材351a,351b、361a,361bが各傾斜溝317,318における幅方向の中心位置側の直線部317b,318bに配置されていることで、各リンク片350a,350b、360a,360bに対しガイドレール290a,290bのみが左側に相対的に水平移動する。よって、上柄部カバー380aと下柄部カバー380b及び上鞘部カバー390aと下鞘部カバー390bは、互いの対向端辺同士が当接する閉鎖位置に位置したまま、左側に移動することになる(図15(b)参照)。また、移動支持板280の移動に伴いスライド板310が移動することはない。
そして、役物201が前面位置に位置したときに、開閉モータ83が駆動してピニオンギヤ253が回転すると、図13及び図15(c)に示すように、スライド板310が回動支持板250及び移動支持板280に対して長手方向右側に相対移動し、取付用ボス261a,261b(位置決め用ボス262a,262b)はスライド孔314a,314bの左端部に配置される。そしてこのスライド板310の移動に伴い、各傾斜溝315〜318が右側に移動することで、ガイド凹部265〜268に嵌合されて左右方向の移動が規制されている各リンク片330a,330b、340a,340b、350a,350b、360a,360bの軸部材331a,331b、341a,341b、351a,351b、361a,361bに、傾斜部315a〜318aが接近してきて該傾斜部315a〜318aにて軸部材331a,331b、341a,341b、351a,351b、361a,361bを幅方向に押し出すため、軸部材は反対側の直線部313b〜318bに配置される。つまり、各リンク片330a,330b、340a,340b、350a,350b、360a,360bはガイド凹部265〜268に嵌合されて左右方向の移動が規制されているため、スライド板310の移動により、軸部材331a,331b、341a,341b、351a,351b、361a,361bが傾斜部315a〜318aにより幅方向に移動させられる。
このように各軸部材331a,331b、341a,341b、351a,351b、361a,361bがスライド板310の幅方向の端部側にそれぞれ移動することで、上柄部カバー380aと下柄部カバー380b及び上鞘部カバー390aと下鞘部カバー390bは、互いの対向端辺同士が離間する開放位置に移動する。よって、レンズカバー257の前面における幅方向の中央部、つまり刀部210及び柄部211の幅方向の中央部(役物用LED85に対応する位置)が長手方向にわたり帯状に露呈されるため、各役物用LED85を発光させることにより、刀部210及び柄部211が装飾される(図15(c)参照)。
また、このように構成された役物ユニット200においては、役物201が表示部9aの下方に水平に配置されている状態を、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)による駆動制御における初期位置として設定している。そして、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)から役物201の上昇動作指令が出力されると、ステッピングモータからなる昇降モータ81に上昇動作方向への駆動指令が送信される。これにより、昇降モータ81はそれぞれ予め設定されたステップ数の駆動動作を開始する。
また、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)から役物201の下降動作指令が出力されると、ステッピングモータからなる昇降モータ81に下降動作方向への駆動指令が送信される。これにより、昇降モータ81はそれぞれ予め設定されたステップ数の駆動動作を開始する。
そして、役物201が退避位置に到達すると(図14(a)参照)、昇降センサ82からの被検出片233の検出信号が入力され(昇降センサ82;on)、昇降モータ81の下降動作の駆動が停止される。
また、役物201が前面位置に到達したときに、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)から鞘部カバー390の開閉動作指令が出力されると、ステッピングモータからなる開閉モータ83に開放動作方向(スライド板310の右側への移動)への駆動指令が送信される。これにより、開閉モータ83はそれぞれ予め設定されたステップ数の駆動動作を開始する。
また、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)から鞘部カバー390の閉鎖動作指令が出力されると、ステッピングモータからなる開閉モータ83に閉鎖動作方向(スライド板310の左側への移動)への駆動指令が送信される。これにより、開閉モータ83はそれぞれ予め設定されたステップ数の駆動動作を開始する。
そして、鞘部カバー390が閉鎖位置に到達すると(図14(b)参照)、開閉センサ84からの被検出片312の検出信号が入力され(開閉センサ84;on)、開閉モータ83の閉鎖動作の駆動が停止される。
また、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)は、役物201の駆動制御を、例えば遊技状態が第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示される確率が高くなる確率変動状態に移行した場合、可変入賞球装置15に遊技球が始動入賞しやすくなる高ベース状態に移行した場合、大当り遊技状態に移行した場合等の遊技状態の移行に応じて行ったり、演出表示装置9の表示部9aにて様々な演出(例えばリーチ演出等)が実行される場合や操作ボタン50による操作がなされた場合等の適宜タイミングで行ってもよい。
さらに、役物201を、各遊技状態に制御されている間や演出表示装置9で演出が実行されている場合において前面位置または退避位置のいずれかに配置させるだけでなく、前面位置と退避位置との間で上下回動を繰り返すような制御を行ってもよい。
なお、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)は、パチンコ遊技機1の電源投入時等の所定のタイミングで、昇降モータ81や開閉モータ83に所定の初期動作を行わせ、動作確認を行うようになっている。この初期動作では、例えば昇降モータ81や開閉モータ83を昇降及び開閉動作させ、昇降センサ82、開閉センサ84が正常にon/offされるかが確認される。
また、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)は、例えば昇降モータ81や開閉モータ83を動作させる際に、昇降モータ81や開閉モータ83の動作量が所定の最大ステップ数を超えても昇降センサ82や開閉センサ84からの検出信号が入力されない場合には、所定のリトライ動作を行い、それでも昇降センサ82や開閉センサ84からの検出信号が入力されない場合には異常状態と判定するようになっている。
このリトライ動作では、例えば昇降モータ81を退避動作方向に所定ステップ数、退避動作方向に突出動作方向よりも多い所定ステップ数作動させるようになっている。なお、異常状態と判定した場合、その旨を演出表示装置9による表示や、音やLED等により報知してもよいし、報知することなく、演出表示装置9により役物201と略同様の短刀が動作する動画像を表示して演出を行うようにしてもよい。
以上説明してきたように、本発明の実施例としての役物ユニット200にあっては、昇降モータ81の駆動により、移動支持部としての移動支持部材230が下限位置から上限位置に移動するのに応じて、第1可動部としての回動支持板250が固定支持部としての回動軸225の軸心を中心に回動するとともに、第2可動部としての移動支持板280が回動支持板250に対して離れるように移動することにより、移動支持部材230の移動に応じて回動軸225の軸心をずらさなくても、移動支持部材230を回動軸225からの距離及び方向が異なる下限位置と上限位置との間で移動させることができる。よって、構造を複雑化することなく、役物201の可動形態を変化させることができるとともに、昇降モータ81とは別個の駆動手段を用いることなく、移動支持部材230の移動に応じて移動支持板280が回動支持板250に対し離れたり近づいたりすることで装飾部としての刀部210の開閉領域Z3が被覆部としての鞘部カバー390により開閉されることによって装飾態様に変化を持たせることができるため、興趣を向上させることができる。
また、図15(b)(c)に示すように、役物201は、移動支持部材230が下限位置に位置したときに表示部9aから退避する退避位置に配置され、上限位置に位置したときに遊技者の視線が集まる表示部9aと重畳する前面位置に配置されることで、遊技者が役物201を注視しやすくなるため、装飾部の装飾効果が高まるとともに、遊技の興趣が向上する。さらに、移動支持部材230が上限位置に位置したときに、刀部210における装飾部としての開閉領域Z3が表示部9aの略中央位置に配置されることにより、装飾部の装飾効果が効果的に高まる。
また、図15(b)(c)に示すように、このように役物201が前面位置に配置したときに、演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)が役物201、特に装飾部を注視させるような背景画像を表示部9aに表示する制御を行うことで、役物201の装飾効果をより一層高めることができる。
尚、本実施例では、表示手段の一例として画像を表示可能な液晶表示器からなる演出表示装置9が適用されていたが、遊技に関連する情報(例えば遊技に関連する演出画像や装飾図柄等)を表示可能な表示装置であれば、例えば複数のLEDをマトリックス状に配置した表示器やセグメント表示器等を適用してもよい。
また、役物201は、透光性部材にて構成されたレンズカバー257を内側から発光させる役物用LED85を備えることで、開放された刀部210及び鞘部212をより目立たせることができるため、装飾効果が高まる。尚、役物用LED85は、少なくとも移動支持部材230が第2位置に位置したときに発光するように制御されていればよく、第2位置に移動したときに必ずしも発光させなくてもよいし、移動支持部材230が第2位置以外の位置に位置しているときに発光させてもよい。
尚、本実施例では、装飾部を構成するレンズカバー257を役物用LED85により背面側から発光させていたが、装飾部を発光させることが可能であれば、光源は役物用LED85に限定されるものではなく、ランプや冷陰極管等であってもよいし、また、役物用LED85等の光源の配置位置はレンズカバー257の背面(内側)に限定されるものではなく、例えばレンズカバー257の左右端面等に向けて発光可能に役物用LED85を設け、レンズカバー257の表面を面発光させるようにしてもよい。
また、被覆部としての鞘部カバー390は第2可動部としての移動支持板280に設けられ、移動支持板280の移動方向に配設されるガイド溝としてのガイド溝部290d,290fを有し、第1可動部としての回動支持板250は、移動支持板280の移動方向にスライド移動可能に延設され、該方向に対して傾斜する傾斜溝317,318が形成されたスライド板310と、昇降モータ81とは別個に回動支持板250における回動軸225の軸心近傍に設けられ、スライド板310を駆動するスライド板駆動手段としての開閉モータ83と、を有し、役物201は、さらに一端が傾斜溝317,318に摺動可能に係合され、他端が傾斜溝317,318に摺動可能に係合されるリンク片350a,350b、360a,360bを有し、回動支持板250は、さらに傾斜溝317,318に係合されたリンク片350a,350b、360a,360bの左右方向への移動を規制する規制部としてのガイド凹部265,266を有し、スライド板310のスライド移動によりリンク片350a,350b、360a,360bを移動させ、該移動により鞘部カバー390を上下幅方向に移動させるようになっていることで、役物201の多彩な動作により興趣を高めるとともに、鞘部カバー390とスライド板310とが連結されていないことで、移動支持板280とともに鞘部カバー390が回動支持板250に対し離れる方向に移動しても、鞘部カバー390を上下に開放することができる。
また、移動支持板280に設けられる鞘部カバー390を移動させる開閉モータ83を、移動支持部材230とともに上下動する回動支持板280ではなく回動支持板250に配設していることで、開閉モータ83の駆動時に該開閉モータ83の荷重がかかることがないので、駆動負荷が軽減される。
また、装飾部を構成するレンズカバー257は、移動支持部材230が上限位置に位置したときにおける移動支持部材230の近傍位置まで延設されている、つまり回動軸225から上限位置までの距離に対応した長さに形成されていることで、例えば回動軸225の軸心から上限位置までの距離P2を長く設計した場合でも、移動支持板280とともに鞘部カバー390が回動支持板250から離れる方向に移動したときにはレンズカバー257が確実に露呈されるため、設計変更等があった場合でも鞘部カバー390を使用することができる。
また、本実施例では、役物201の一例として短刀のフィギュアが適用されていたが、回動動作に応じて伸縮することで装飾部が開閉されるものであれば形態は種々に変更可能である。
また、本実施例では、移動支持部材230は下限位置と上限位置との間で直線移動可能に設けられていたが、直線移動するものに限定されるものではなく、回動軸225からの距離及び方向が異なる2点間を移動するようになっていれば、非直線上を移動(円弧線上や屈曲線上等)を移動するものでもよい。
また、本実施例では、移動支持部材230は回動軸225からの距離及び方向が異なる2点である下限位置と上限位置との間を往復動可能に設けられていたが、回動軸225からの距離が異なる2点を通過可能に設けられていてもよい。
また、本実施例の役物201は、右端部が表示部9aの右下角部近傍に軸支され、移動支持部材230が表示部9aの左側辺に沿って上下動可能に設けられていたが、例えば右端部が表示部9aの右上角部近傍に軸支され、移動支持部材230が表示部9aの左側辺に沿って上下動可能に設けられていてもよいし、左端部が表示部9aの左下角部または左上角部近傍に軸支され、移動支持部材230が表示部9aの右側辺に沿って上下動可能に設けられていてもよいし、あるいは一端部が表示部9aの一辺上に軸支され、移動支持部材230が表示部9aの対向辺に沿って移動可能に設けられていてもよい。すなわち、回動軸心の配置位置や移動支持部材230の移動方向は種々に変更可能である。
すなわち、本実施例では、刀部210及び柄部211を構成するレンズカバー257の回動支持板250の一端が回動軸225周りに軸支され、鞘部212を構成する鞘部カバー390が取り付けられる移動支持板280の一端が移動支持部材230に軸支されていたが、鞘部212を構成する鞘部カバー390が取り付けられる移動支持板280の一端を回動軸225周りに軸支し、刀部210及び柄部211を構成するレンズカバー257の回動支持板250の一端を移動支持部材230に軸支し、刀部210及び柄部211が鞘部212に対して出退するように連結してもよい。
また、本実施例では、移動支持部材230は、昇降用ボルト228の軸心周りの回動により昇降駆動するように設けられていたが、所定の駆動源により移動支持部材230を第1位置と第2位置との間で少なくとも移動させるものであれば、駆動機構は種々に変更可能である。さらに本実施例では、昇降モータ81を駆動して移動支持部材230を上下動させることにより役物201を回動させていたが、例えば回動支持板250を回動軸225周りに回転駆動させることにより役物201を回動させるようにしてもよい。
また、本実施例では、役物201の一端は所定箇所に回動自在に軸支されていたが、例えば回動軸225も移動支持部材230と平行に上下動可能にしてもよく、このようにすれば役物201の動作態様をより複雑化することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、例えばパチンコ遊技機1の前面等に遊技者側から視認可能に設けられる表示手段の一例として、画像等を表示可能な演出表示装置9が適用されていたが、本発明はこのような画像を表示可能な画像表示装置に限定されるものではなく、例えば機械的構造物であってもよい。
また、このような表示手段は、遊技盤6に配設されるものに限定されるものではなく、ガラス扉枠2等の遊技機本体の前面に設けてもよい。さらに、演出表示装置9のように演出用表示手段だけでなく、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8b等の遊技用表示手段であってもよい。
また、前記実施例では、本発明を遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メダル等の遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されたことにより1ゲームが終了し、前記可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン等の遊技機にも適用可能である。