JP2011138940A - リアクトル - Google Patents

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Osamu Ozaki
修 尾崎
Kenichi Inoue
憲一 井上
Takashi Zaitsu
享司 財津
Hiroshi Hashimoto
裕志 橋本
Hiroyuki Mitani
宏幸 三谷
Takafumi Hojo
啓文 北条
Nobuki Shinohara
伸樹 篠原
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Abstract

【課題】本発明は、ギャップレスのコア部を用いたリアクトルにおいて、コイルのコア部に比較的低い透磁率の材料を用いつつ、漏洩磁場を抑制し得るリアクトルを提供する。
【解決手段】本発明のリアクトルDは、第1コア部1と、第1コア部1の外側に配されるコイル2と、コイル2の外側に配される第2コア部3と、良導体で形成され第2コア部3の側面を覆うように第2コア部3の外周を取り囲む導体部材4と、コイル2の各両端部および導体部材4の各両端部を覆うと共に、第1および第2コア部1、3を相互に連結する連結コア部5、5とを備え、第1コア部1は、連結コア部5、5の透磁率よりも低い第1透磁率であり、第2コア部3は、連結コア部5、5の透磁率よりも低い第2透磁率である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、電気回路や電子回路等に好適に用いられるリアクトルに関する。
リアクトルは、巻き線を利用した受動素子であり、例えば、力率改善回路における高調波電流の防止、電流型インバータやチョッパ制御における電流脈動の平滑化およびコンバータにおける直流電圧の昇圧等に用いられている。
このようなリアクトルのコア部には、主に、ケイ素鋼板を積層した部材が用いられている。このケイ素鋼板は、透磁率が高いため、コア部は、通電電流を増加させると比較的直ぐに飽和磁化に達してしまう。このため、広いバイアス電流範囲で、リアクトルのインダクタンス特性を安定させるために、通常、コア部には、ギャップが設けられる。
しかしながら、このようなギャップをコア部に設けると、一般に、コア部において騒音や漏れ磁束の問題が生じてしまう。また、コア部のギャップは、その寸法精度がリアクトルのインダクタンス特性に影響するため、精度よく前記ギャップを形成する必要がある。このため、リアクトルの加工コストが高くなるという不都合も生じてしまう。前記騒音対策や熱膨張対策としてギャップ部分にセラミック素材を用いることが挙げられるが、このような騒音対策では、リアクトルの加工コストが高くなってしまう。
そこで、例えば、特許文献1には、ギャップを設けない磁性素子(リアクトル)が開示されている。図13は、特許文献1に開示のリアクトルを示す部分切欠斜視図である。このリアクトルRは、図13に示すように、軟磁性複合材料から成るコアMと、このコアMと一体に形成されているコイルCとを備え、前記コアMは、コイルCの内側に配される内側コアMiと、コイルCの外側に配される外側コアMoと、コイルCの両端側の各々に配される端部コアMeとを有するポットコアであり、前記軟磁性複合材料は、軟磁性粉末と、この粉末を分散した状態で内包する樹脂とを有する材料であって、軟磁性粉末の平均粒径が0.1〜0.5μm未満であり、その飽和磁束密度が0.2〜0.8Tで比透磁率が5.5未満である。そして、特許文献1には、ポットコアMとすれば、コイルCがコアM内に収容された状態のリアクトルRとなるため、コイルCの励磁に伴う振動による騒音を効果的に抑制したり、コイルCを機械的に保護したりすることができる、と記載されている(0051段落)。
特開2008−147404号公報
ところで、前記特許文献1に開示のリアクトルRでは、比透磁率が5.5未満であるコアM(外側コアMoおよび端部コアMe)でコイルCを覆っているため、コイルCからコアMを介して外部へ比較的大きな漏れ磁束が生じてしまう。すなわち、リアクトルにおける、コアMからの漏洩磁場が大きくなってしまう。
このため、リアクトルの近傍に導体があると、漏洩磁場によって前記導体に渦電流が発生してしまい、ロス(損失)が生じてしまう。さらに、この渦電流とリアクトルとの間における相互インダクタンスによって、リアクトルのインダクタンス特性が設計からずれてしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、ギャップレスのコア部を用いたリアクトルにおいて、コイルのコア部に比較的低い透磁率の材料を用いつつ、漏洩磁場を抑制することができるリアクトルを提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるリアクトルは、第1コア部と、前記第1コア部の外側に配されるコイルと、前記コイルの外側に配される第2コア部と、良導体で形成され、前記第2コア部の側面を覆うように前記第2コア部の外周を取り囲む導体部材と、前記コイルの各両端部および前記導体部材の各両端部を覆うと共に、前記第1および第2コア部を相互に連結する連結コア部とを備え、前記第1コア部は、前記連結コア部の透磁率よりも低い第1透磁率であり、前記第2コア部は、前記連結コア部の透磁率よりも低い第2透磁率であることを特徴とする。
本発明にかかるリアクトルでは、第1コア部を備えるコイルが第2コア部および連結コア部で囲まれ、ギャップを無くした構造である。このようなギャップレス構造を採用するとともに、第1コア部の透磁率が連結コア部の透磁率よりも相対的に低くされるとともに、第2コア部の透磁率が連結コア部の透磁率よりも相対的に低くされる。このため、本発明にかかるリアクトルは、飽和磁束の点で有利となる。そして、第2コア部の側面が導体部材で取り囲まれている。このため、直流バイアス(直流成分)に交流成分を重畳した電流が当該リアクトルに流れた場合に、前記交流成分によって生じる磁界は、前記導体部材に生じる渦電流によって抑制され、好ましくはシールドされる。したがって、このような構成のリアクトルでは、ギャップレス構造であって、コイルのコア部に比較的低い透磁率の材料を用いつつ、漏れ磁束も低減することが可能となる。
ここで、良導体とは、導体部材に生じる渦電流損がリアクトルに生じるヒステリシス損よりも小さくすることができる電気伝導度の導体、例えば、幅15mm×厚み1.0mm(断面積15.0mm)である場合において、電気伝導度が1×10S/m以上の導体をいう。
また、上述のリアクトルにおいて、前記導体部材は、銅またはアルミニウムで形成されていることを特徴とする。この構成によれば、導体部材が銅またはアルミニウムで形成されているので、幅15mm×厚み1.0mm(断面積15mm)である場合において、導体部材の電気伝導度を1×10(S/m)以上とすることができる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記導体部材の外側に配される第3コア部をさらに備え、前記連結コア部は、前記コイルの各両端部および前記導体部材の各両端部を覆うと共に、前記第1、第2および第3コア部を相互に連結し、前記第1コア部の前記第1透磁率は、前記第3コア部の透磁率よりも低く、前記第2コア部の前記第2透磁率は、前記第3コア部の透磁率よりも低いことを特徴とする。
この構成によれば、第1コア部の第1透磁率が第3コア部の透磁率よりも相対的に低くされるとともに、第2コア部の第2透磁率が第3コア部の透磁率よりも相対的に低くされる。このため、第3コア部の透磁率が比較的高くされ、直流バイアスに交流成分を重畳した電流が当該リアクトルに流れた場合に、直流バイアス(直流成分)によって生じる磁界も、この比較的高い透磁率の第3コア部によって抑制され、好ましくはシールドされる。したがって、漏れ磁束をより低減することが可能となる。
また、上述のリアクトルにおいて、前記第3コア部は、軟磁性体粉末を形成したもの、または、バルクの鋼材から形成したものであることを特徴とする。この構成によれば、第3コア部が軟磁性体粉末で形成されるので、第3コア部について、所望の磁気特性が比較的容易に得られるとともに、所望の形状が比較的容易に成形され得る。または、この構成によれば、第3コア部がバルクの鋼材から形成されるので、軟磁性体粉末で形成する場合よりも製造コストを削減(低減)することができる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記連結コア部は、軟磁性体粉末を成形したものであることを特徴とする。この構成によれば、連結コア部について、所望の磁気特性が比較的容易に得られるとともに、所望の形状が比較的容易に成形され得る。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記第3コア部および連結コア部は、同一材料であることを特徴とする。この構成によれば、複数の材料種を使用しないので、低コスト化が可能となる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記第1および第2コア部は、それぞれ、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物を成形したものであることを特徴とする。この構成によれば、第1および第2コア部について、所望の磁気特性が比較的容易に得られるとともに、所望の形状が比較的容易に成形され得る。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記第1コア部および前記第2コア部は、同一材料であることを特徴とする。この構成によれば、複数の材料種を使用しないので、低コスト化が可能となる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記第1コア部および前記第2コア部は、それぞれ、初期透磁率が2〜20の材料で形成され、前記連結コア部は、初期透磁率が50〜250の材料で形成されていることを特徴とする。この構成によれば、リアクトルに一般的に要求される電流−インダクタンス特性、すなわち、電流の変化に対してインダクタンスが略一定(微小な所定の範囲内である場合を含む)となる電流−インダクタンス特性を実現することが可能となる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記コイルは、絶縁被覆されたテープ状の導体を巻紙状に巻線したものであることを特徴とする。また、これら上述のリアクトルにおいて、前記コイルにおける巻紙状の巻線は、ダブルパンケーキ構造(α巻構造)の巻線であることを特徴とする。この構成によれば、テープ状の導体を紙巻状に巻線することによってコイルが構成されるので、コイル内において、コイルによって生じる磁束の方向にテープの幅方向が略一致するので、導体部材に生じる渦電流を低減でき、銅損を低減することが可能となる。そして、第1コア部やコイルに生じた熱をテープの幅方向に沿って熱伝導させ、テープの幅方向における各端部から連結コア部を介して外部へ放熱することも可能となる。
また、これら上述のリアクトルにおいて、前記テープ状の導体における厚みは、当該リアクトルの駆動周波数に対する表皮厚み以下であることを特徴とする。この構成によれば、リアクトルに交流電流(直流バイアスに交流電流が重畳されている場合を含む。)を通電しても前記テープ状の導体における電気抵抗の増加を抑制することが可能となる。ここで、テープ状の導体における厚みとは、巻紙状に巻線された状態において、テープ状の導体単体(一重)における径方向の長さをいい、表皮厚みδは、駆動周波数の角周波数をωとし、テープ状の導体における透磁率および電気伝導率をそれぞれμおよびσとする場合に、δ=(2/(ω・μ・σ))1/2である。
本発明では、ギャップレスのコア部を用いたリアクトルにおいて、コイルのコア部に比較的低い透磁率の材料を用いつつ、漏洩磁場を抑制することができる。
実施形態におけるリアクトルの構成を示す図である。 鉄粉を含む磁性体における密度別の磁束密度−比透磁率特性を示す図である。 銅で形成された導体部材における厚みまたは電気伝導度と損失との関係を示す図である。 ダブルパンケーキ構造の場合におけるリアクトルの製作工程を説明するための図である。 実施形態におけるリアクトルの磁束線を示す図である。 実施形態におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。 第1比較例におけるリアクトルの磁束線を示す図である。 第1比較例におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。 第2比較例におけるリアクトルの磁束線を示す図である。 第2比較例におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。 コイルの巻線構造を示す断面図である。 コイルの巻き線構造別における周波数と損失との関係を示す図である。 特許文献1に開示のリアクトルを示す部分切欠斜視図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
図1は、実施形態におけるリアクトルの構成を示す図である。図1(A)は、連結コア部を一部取り除いた場合における上面図(一部切欠上面図)を示し、図1(B)は、中心軸を含む径方向で切断した断面図を示す。なお、図1には、一部の磁力線が一点鎖線で記載されている。図2は、鉄粉を含む磁性体における密度別の磁束密度−比透磁率特性を示す図である。図2(A)は、全体を示し、図2(B)は、その一部を示す。図2の横軸は、T単位で表す磁束密度であり、その縦軸は、比透磁率である。図3は、銅で形成された導体部材における厚みまたは電気伝導度と損失との関係を示す図である。図3(A)は、厚みと損失との関係を示し、その横軸は、mm単位で表す厚みであり、その縦軸は、W単位で表す損失である。図3(B)は、電気伝導度と損失との関係を示し、その横軸は、S/m単位で表す厚み1mmの場合における電気伝導度であり、その縦軸は、W単位で表す損失である。図4は、ダブルパンケーキ構造の場合におけるリアクトルの製作工程を説明するための図である。
図1において、実施形態のリアクトルDは、第1コア部1と、第1コア部1の外側に配されるコイル2と、コイル2の外側に配される第2コア部3と、第2コア部3の側面を覆うように第2コア部の外周を取り囲む導体部材4と、コイル1の各両端部および導体部材4の各両端部を覆うと共に、第1および第2コア部1、3を相互に連結する連結コア部5、5とを備えている。すなわち、第1コア部1を備えるコイル2は、第2コア部3および連結コア部5、5で囲まれている。言い換えれば、第1コア部1を備えるコイル2は、第2コア部3および連結コア部5、5で形成される空間内に収納されている。このように本実施形態にかかるリアクトルDは、いわゆるポット型のリアクトルであり、ギャップレス構造である。
そして、図1に示す例では、リアクトルDは、さらに、導体部材4の外側に配される第3コア部6を備えており、連結コア部5、5は、コイル1の各両端部および導体部材4の各両端部を覆うと共に、第1、第2および第3コア部1、3、6を相互に連結している。
第1コア部1は、後述する所定の磁気特性を有する中実円柱形状であり、第2コア部3は、後述する所定の磁気特性を有し、第1コア部1と同じ高さの円筒形状であり、そして、第3コア部6は、後述する所定の磁気特性を有し、第1コア部1(第2コア部3)の高さに連結コア部5、5の厚みを加えた高さの円筒形状である。第3コア部6の高さは、第1コア部1(第2コア部3)の高さと同じであってもよい。第2コア部3は、第1コア部1をコア(磁芯)として備えるコイル2を内包し得る内径であり、第3コア部6は、導体部材4を外側に備える第2コア部3を内包し得る内径である。したがって、第2コア部3の内径は、第1コア部1の外径よりもコイル2の厚みだけ少なくとも大きく、第3コア部6の内径は、第2コア部3の外径よりも導体部材4の厚みだけ少なくとも大きい。
連結コア部5、5は、後述する所定の磁気特性を有する円板であり、その外形は、第2コア部3の外径に導体部材4の厚みを足した長さよりも大きい。連結コア部5、5の一方(上部連結コア部5)は、略隙間が生じないように、第1コア部1の一方端部、第2コア部3の一方端部および第3コア部6の一方端部にそれぞれ連結され、そして、連結コア部5、5の他方(下部連結コア部5)は、略隙間が生じないように、第1コア部1の他方端部、第2コア部3の他方端部および第3コア部6の他方端部にそれぞれ連結されている。また、連結コア部5、5には、径方向に長いスリット状の孔であるスリット5aが形成されている。このスリット5aは、例えば、コイル2を固定するための樹脂を充填する際に用いられる。なお、連結コア部5、5は、それぞれ個別に成形されてもよく、また、連結コア部5、5のうちのいずれか一方は、第3コア部6と一体に成形されてもよい。
ここで、第1コア部1は、連結コア部5、5の透磁率よりも低い第1透磁率であり、第2コア部3は、連結コア部5、5の透磁率よりも低い第2透磁率である。そして、本実施形態では、さらに、第1コア部1の第1透磁率は、第3コア部6の透磁率よりも低く、第2コア部3の第2透磁率は、第3コア部6の透磁率よりも低くされている。なお、第1コア部1の第1透磁率と第2コア部3の第2透磁率とは、同一であっても、異なってもよい。これらが異なる場合は、その大小関係はいずれであってもよい。また、第3コア部6の第3透磁率と連結コア部5、5の第4透磁率とは、同一であっても、異なっていてもよい。これらが異なる場合は、その大小関係はいずれであってもよい。前記同一である場合では、1種類の材料で済むため、製造コストを削減することができる。一方、前記異なる場合では、リアクトルのインダクタンス設計の自由度が高まり、設計が容易になる。
例えば、第1および第2コア部1、3は、所望の磁気特性(比較的低い透磁率)の実現容易性および所望の形状の成形容易性の観点から、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物を成形したものであることが好ましい。軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合率比を比較的容易に調整することができ、前記混合比率を適宜に調整することによって、第1コア部1の磁気特性や第2コア部3の磁気特性をそれぞれ所望の磁気特性(比較的低い透磁率)に容易に実現することが可能となる。また、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物であるので、様々な形状に成形することができ、第1コア部1の形状や第2コア部3の形状をそれぞれ所望の形状に容易に成形することが可能となる。また、第1および第2コア部1、3は、低コスト化の観点から、同一材料であることが好ましい。
この軟磁性粉末は、第3コア部6および連結コア部5、5の軟磁性粉末も同様に、強磁性の金属粉末であり、より具体的には、例えば、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ等)およびアモルファス粉末、さらには、表面にリン酸系化成皮膜などの電気絶縁皮膜が形成された鉄粉等が挙げられる。これら軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ法等によって微粒子化する方法や、酸化鉄等を微粉砕した後にこれを還元する方法等によって製造することができる。また、一般に、透磁率が同一である場合に飽和磁束密度が大きいので、軟磁性粉末は、例えば上記純鉄粉、鉄基合金粉末およびアモルファス粉末等の金属系材料であることが特に好ましい。
このような第1および第2コア部1、3は、例えば、公知の常套手段を用いることによって、軟磁性体粉末としての鉄粉と、非磁性体粉末としての樹脂とを混合して成形した所定の密度の部材であり、この部材は、例えば、図2(B)に示す磁束密度−比透磁率特性を有している。なお、磁束密度−比透磁率特性は、磁束密度の変化に対する比透磁率の変化である。図2(B)に示すように、密度約5g/cc以下の部材(密度約4.98g/cc(○)、密度約3.63g/cc(+)、密度約2.73g/cc(▲))では、磁束密度−比透磁率特性は、比較的小さい初期比透磁率から、磁束密度が微小増加すると比透磁率が比較的急激に増加してピーク(最大値)となり、その後、磁束密度の増加に従って緩やかに比透磁率が減少して行く第1プロファイルである。例えば、密度約2.73g/ccの部材では、磁束密度−比透磁率特性は、約2.8Tの初期比透磁率から、磁束密度が微小増加すると、磁束密度が約0.02Tで比透磁率が約3.5まで急激に増加し、その後、磁束密度の増加に従って緩やかに比透磁率が減少して行くプロファイルである。図2(B)に示す例では、比透磁率が、初期比透磁率から磁束密度の増加に従って再び初期比透磁率となる磁束密度は、約0.52Tである。また、密度約3.63g/ccの部材および密度約4.98g/ccの部材における初期比透磁率は、それぞれ、約4Tおよび約14.1Tである。このように初期透磁率が約2〜20Tの材料は、この例では、約2.8T〜約14.1Tの材料は、略同様に、磁束密度−比透磁率特性が第1プロファイルとなり、比較的低い比透磁率の材料である。
また、第3コア部6および連結コア部5、5は、所望の磁気特性(比較的高い透磁率)の実現容易性および所望の形状の成形容易性の観点から、軟磁性体粉末を成形したものであることが好ましく、また、低コスト化の観点から、同一材料であることが好ましい。
このような第3コア部6および連結コア部5、5は、例えば、公知の常套手段を用いることによって、鉄粉を圧粉成形した所定の密度の部材であり、この部材は、例えば、図2(A)に示す磁束密度−比透磁率特性を有している。なお、図2(A)には、図2(B)に示す磁束密度−比透磁率特性も示されている。図2(A)に示すように、密度約6g/cc以上の部材(密度約5.99g/cc(□)、密度約6.5g/cc(×)、密度約7g/cc(△)、密度約7.5g/cc(◆))では、磁束密度−比透磁率特性は、比較的高い初期比透磁率から、磁束密度が増加すると比透磁率が徐々に増加してピーク(最大値)となり、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行く第2プロファイルである。例えば、密度約7g/ccの部材では、磁束密度−比透磁率特性は、約120Tの初期比透磁率から、磁束密度が増加すると、磁束密度が約0.35Tで比透磁率が約200まで徐々に増加し、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行くプロファイルである。図2(A)に示す例では、比透磁率が、初期比透磁率から磁束密度の増加に従って再び初期比透磁率となる磁束密度は、約1Tである。また、密度約5.99g/ccの部材、密度約6.5g/ccの部材および密度約7.5g/ccの部材における初期比透磁率は、それぞれ、約70T、約90Tおよび約160Tである。このように初期透磁率が約50〜250Tの材料は、この例では、約70T〜約160Tの材料は、略同様に、磁束密度−比透磁率特性が第2プロファイルとなり、比較的高い比透磁率の材料である。
また、図2(A)と図2(B)とを比較すると分かるように、比較的低い比透磁率の部材の方が比較的高い比透磁率の部材よりも磁束密度の変化に従って比透磁率が早く(より小さい磁束密度で)最大値となっている。
なお、第3コア部6は、例えば削りだし加工やプレス加工等の機械加工によってバルクの鋼材から形成したものであってもよい。前記鋼材は、例えば、一般的によく使用される鉄鋼材料である普通鋼(炭素鋼)である。このように第3コア部6がバルクの鋼材から形成されることによって、軟磁性体粉末で形成する場合よりも製造コストを削減(低減)することができる。
コイル2は、導体線または導体テープ(導体シート)等を所定回数だけ第1コア部1の外周に巻回した部材であり、第1コア部1の外周面、連結コア部5、5の各内面および第2コア部3の内周面によって形成された第1空間に配置されている。前記第1空間は、コイル2によって略隙間無く満たされていてもよく、また、コイル2を配置された状態で隙間があってもよい。コイル2で生じた熱を外部へ向けて熱伝導して外部へ放熱する観点から、前記第1空間は、比較的熱伝導性のよい樹脂で充填されることが好ましい。
より具体的には、本実施形態では、コイル2は、図1(B)に示すように、径方向に積層されるように、絶縁被覆されたテープ状の導体(導体テープ)を巻紙状に巻線した上部コイル2aと、同様に、径方向に積層されるように、絶縁被覆されたテープ状の導体(導体テープ)を巻紙状に巻線した下部コイル2bを備え、これら上部コイル2aと下部コイル2bとは、直列に接続され、そして、軸方向に重ねられた上部コイル2aと下部コイル2bとの間には、弾性体から成るシート状の弾性シート9が介在されている。
そして、上部コイル2aの上端部(弾性シート9に当接する下端部の反対端部)と連結コア部(上部連結コア部)5との間には、例えばBN(チッ化ボロン)セラミック等の絶縁材料8が充填されており、そして、下部コイル2bの下端部(弾性シート9に当接する上端部の反対端部)と連結コア部(下部連結コア部)5との間にも同様に絶縁材料8が充填されている。前記弾性シート9は、例えば耐熱性ゴム等から形成されており、軸方向に、連結コア部5、5へ(外方向へ)向かう付勢力を生じさせる。このため、上部コイル2aは、弾性シート9の前記付勢力によって絶縁材料8を介して上部連結コア部5に押し付けられており、その接触性が高められている。同様に、下部コイル2bは、弾性シート9の前記付勢力によって絶縁材料8を介して下部連結コア部5に押し付けられており、その接触性が高められている。このようにコイル2が導体テープの幅方向を軸方向に平行になるように巻紙状に巻線され、さらに、その各端部における連結コア部5、5への接触性が高められている。したがって、このような構造のリアクトルDは、コイル2によって軸方向(上下方向)の熱伝導性が良くなるとともに、コイル2の熱を絶縁材料8、8を介して連結コア部5、5に熱伝導させることが可能となり、コイル2に発生するジュール熱や第1および第2コア部1、3に発生する鉄損による熱をコイル2および絶縁材料8、8を介して連結コア部5、5に熱伝導させることができ、効率よく外部に廃熱することが可能となる。また、このため、外部から、より具体的には連結コア部5、5を冷却することによって、リアクトルDの内部が高熱になることを防止することが可能となる。
ここで、コイル2のテープ状の導体における厚みは、当該リアクトルDの駆動周波数に対する表皮厚み以下であることが好ましい。一般に、リアクトルのように交流電流(直流バイアスに交流電流が重畳されている場合を含む。)を通電した場合、コイル状に巻き回している導体では、その通電電流は、導体内部(導体中心部)まで流れずに、導体表面から厚みδまでしか流れない(表皮効果)。この結果、導体断面全体に一様の電流密度で電流が流れず、導体の電気抵抗が増加することになる。前記厚みδを表皮厚みといい、表皮厚みδは、コイル2(リアクトルD)の駆動周波数の角周波数をωとし、テープ状の導体における透磁率および電気伝導率をそれぞれμおよびσとする場合に、δ=(2/(ω・μ・σ))1/2である。前記構成では、コイル2のテープ状の導体における厚みが当該リアクトルDの駆動周波数に対する表皮厚み以下とされるので、前記テープ状の導体における電気抵抗の増加を抑制することが可能となる。ここで、テープ状の導体における厚みとは、巻紙状に巻線された状態において、テープ状の導体単体(一重)における径方向の長さをいう。
導体部材4は、良導体で形成され、第2コア部3の側面を覆うように、前記第2コア部3の外周を取り囲んでいる。すなわち、その一態様では、導体部材4は、第2コア部3を囲むように、パイプ状、あるいはリング状に形成されている。このような導体部材4は、コイル2が通電されると渦電流を生じ、この渦電流によってリアクトル2の漏れ磁束(漏洩磁場)を抑制することができる。
この導体部材4に生じる渦電流損は、その幅を一定とした場合に導体部材4の厚みに依存し、導体部材4を例えば無酸素銅等の純銅で形成した場合に、図3(A)に示すように、その厚みの増加に従って徐々に増大し、厚み約0.015mmで最大値約1520Wに達し、その後、その厚みの増加に従って徐々に減少する。その厚み約1mmでは、渦電流損は、約120Wとなっている。また、その渦電流損は、導体部材4の電気伝導度にも依存し、前記と同様に、導体部材4を例えば無酸素銅等の純銅で形成した場合に、図3(B)に示すように、その電気伝導度の増加に従って徐々に増大し、電気伝導度約2.5×10S/mで最大値約1500Wに達し、その後、電気伝導度の増加に従って徐々に減少する。その電気伝導度約1×10S/mでは、渦電流損は、約120Wとなっている。したがって、図3から分かるように、導体部材4の厚みおよび電気伝導度を適宜に選択すれば、導体部材4の渦電流損よりも導体部材4の渦電流によるリアクトル2の漏れ磁束の抑制効果の方を大きくすることが可能となり、好ましくは、シールドすることができる。本実施形態では、導体部材4は、良導体によって形成され、渦電流損よりも漏れ磁束の抑制効果が大きくなるように、好ましくはシールドすることができるように、適宜に、その厚みを選択すればよい。
このため、良導体とは、導体部材4に生じる渦電流損がリアクトルDに生じるヒステリシス損よりも小さくすることができる電気伝導度の導体であり、導体部材4の断面積および導体部材4の材質に依存する。より具体的には、例えば、幅15mm×厚み1.0mm(断面積15.0mm)である場合において、電気伝導度が1×10S/m以上の導体をいう。このような電気伝導度を持つ金属導体は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)および金(Au)等である。これらには、例えば純銅や純アルミニウム等のように呼ばれる純金属だけでなく、精錬の都合上残存してしまう微量不純物(不可避不純物)を含む金属も含まれる。
このように導体部材4は、コイル2に通電されることによって生じる交流電流による漏れ磁束(漏洩磁場)を抑制するものであり、導体部材4の電気伝導度、断面積およびリアクトルDに許容される漏れ磁束等に応じて、導体部材4は、第2コア部3の側面の全面を覆っても良く、また、その側面の一部を覆っても良い。
このような構成のリアクトルDは、例えば、次の各工程によって作成可能である。まず、図4(A)に示すように、両端からそれぞれ巻回されたリボン状の導体シート(導体テープ)が用意され、その中間部分が例えば塑性成形によって導体シートを含む平面内において長尺方向と直交する方向に所定角度だけ曲げられる。続いて、図4(B)に示すように、この曲げた部分が第1コア部1の外周面に当接され、この導体テープが、この当接点を起点に、図略の弾性シート9を介在させながら、コイル2の巻き数となるように、第1コア部1の外周面に巻き付けられ、第1コア部1を巻枠としてDP巻き(ダブルパンケーキ巻き、α巻き)される。これによって、それらの間に弾性シート9を介在した上部コイル2aおよび下部コイル2bを備えるダブルパンケーキ構造(フラットワイズ巻線構造)のコイル2が形成される。続いて、図4(C)に示すように、前記導体テープをコイル2として巻回した第1コア部1が、前記導体テープを取り出すための間隙が形成された第2コア部(バイパス)3に、前記間隙を介して前記導体テープの巻き残しが外部に取り出されるように、挿入される。続いて、第2コア部3の前記間隙内で、各端子が、上下から引き出されるように導体テープの前記巻き残しに接続され、導体テープの前記巻き残しにおける第2コア部3の前記間隙から露出する部分が切断される。そして、図4(D)に示すように、第1コア部1を備えるコイル2を内周に内包する第2コア部3がリング状の導体部材4に挿入される。続いて、図4(E)に示すように、第3コア部6、および、前記各端子を取り出すための孔がそれぞれ形成された連結3コア部5、5、によって形成される内部空間に、前記孔を介して前記各端子が外部に取り出されつつ、第1コア部1、コイル2および第2コア部2を周内に内包する導体部材4が収容される。その後、連結コア部5、5に形成されている図略のスリット5a、5aから絶縁材料8が充填される。このような手順によって、第1コア部1、コイル2、第2コア部3、導体部材4、第3コア部6および連結コア部5、5が組み立てられ、リアクトルDが作成される。
このような構成のリアクトルDでは、第1コア部1を備えるコイル2が第2コア部3および連結コア部5、5で囲まれ、ギャップを無くした構造である。このようなギャップレス構造を採用するとともに、第1コア部1の透磁率が連結コア部5、5の透磁率よりも相対的に低くされるとともに、第2コア部3の透磁率が連結コア部5、5の透磁率よりも相対的に低くされる。このため、本実施形態にかかるリアクトルDは、飽和磁束の点で有利となる。そして、第2コア部3の側面が導体部材4で取り囲まれている。このため、直流バイアスに交流成分を重畳した電流が当該リアクトルDに流れた場合に、前記交流成分によって生じる磁界は、導体部材4に生じる渦電流によって抑制され、好ましくはシールドされる。したがって、このような構成のリアクトルDでは、ギャップレス構造であって、第1および第2コア部1、3に比較的低い透磁率の材料を用いつつ、漏れ磁束も低減することが可能となる。
また、本実施形態のリアクトルDでは、第1コア部1の第1透磁率が第3コア部6の透磁率よりも相対的に低くされるとともに、第2コア部3の第2透磁率が第3コア部6の透磁率よりも相対的に低くされる。このため、第3コア部6の透磁率が比較的高くされ、直流バイアスに交流成分を重畳した電流が当該リアクトルに流れた場合に、直流バイアス(直流成分)によって生じる磁界も、この比較的高い透磁率の第3コア部6によって抑制され、好ましくはシールドされる。したがって、漏れ磁束をより低減することが可能となる。
また、本実施形態のリアクトルDでは、第1および第2コア部1、3の透磁率が相対的に低くされる一方、連結コア部5、5および第3コア部6の透磁率が相対的に高くされる。このため、本実施形態のリアクトルDは、第1コア部1が比較的低い透磁率であることから、飽和磁束の点で有利であり、連結コア部5、5および第3コア部6が比較的高い透磁率であることから、さらに、リアクトルDから外部空間に漏れる漏れ磁束を抑制することができ、したがって、より小型化が可能である。そして、図2(A)および(B)に示す比較的比透磁率の高い部材の上述した第2プロファイルと比較的比透磁率の低い部材の上述した第1プロファイルから、本実施形態のリアクトルDでは、相対的に高い透磁率の第3コア部6における磁束密度の変化に対する透磁率の変化を、相対的に低い透磁率の第1コア部1によって補償することで、リアクトルDにおける、いわゆるB−Hカーブ(励磁磁場と磁束密度との関係)の直線性が改善されるので、加えて、電流制御性がより良くなる。
そして、最終的にリアクトルDに要求される特性にもよるが、一般的に要求される電流−インダクタンス特性の観点から、第1および第2コア部1、3の各初期比透磁率は、それぞれ2〜20であり、第3コア部6および連結コア部5、5の各初期比透磁率は、それぞれ50〜250であることが好ましい。このように構成することによって、リアクトルに一般的に要求される電流−インダクタンス特性、すなわち、電流の変化に対してインダクタンスが略一定(微小な所定の範囲内である場合を含む)となる電流−インダクタンス特性を実現することが可能となる。
この本実施形態のリアクトルDの優位性を示すために、本実施形態のリアクトルDに対する比較例として他の構造のリアクトル(第1および第2比較例のリアクトル)と比較するシミュレーション実験を行った。
図5は、実施形態におけるリアクトルの磁束線を示す図である。図6は、実施形態におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。図7は、第1比較例におけるリアクトルの磁束線を示す図である。図8は、第1比較例におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。図9は、第2比較例におけるリアクトルの磁束線を示す図である。図10は、第2比較例におけるリアクトルの磁束密度の分布を示す図である。図6、図7および図9では、磁束密度の分布は、その分布の形状が所定のレベルごとに同じレベルの磁束密度の点を連結した等高線によって表示されるとともに、磁束密度の大きさがグレースケールで表示されている。グレースケールの表示色が濃いほど、磁束密度の大きさが大きい。
本実施形態におけるリアクトルDでは、コイル2に通電することによって生じた磁束の磁束線は、図5に示すように、コイル2の一方端部から一方の連結コア部5を介して第1コア部1の一方端部に到達し、第1コア部1を介して第1コア部1の他方端部から他方の連結コア部5を介してコイル2の他方端部に到達している。また、磁束線は、コイル2の一方端部から一方の連結コア部5を介して導体部材4の一方端部に到達する一方、コイル2の他方端部から他方の連結コア部5を介して導体部材4の他方端部に到達している。そして、コイル2から径方向に磁束線を見ると、コイル2の内側(第1コア部1側)では、コイル2から中心に向かうに従って磁束線間の間隔が緩やかに広くなっている。一方、コイル2の外側(導体部材4側)であって導体部材4の内側では、磁束線間の間隔があまり変わらず比較的密の状態であるが、さらに、導体部材4の外側では、磁束線がほとんど存在していない。このため、磁束密度で見ると、図6に示すように、第1コア部1および連結コア部5、5に磁束が集中しており、径方向での導体部材4の外側(第3コア部6を含む)では、磁束がほとんど存在していない。したがって、本実施形態におけるリアクトルDでは、漏れ磁束が効果的に低減されている。
一方、第1比較例のリアクトルDc1は、第1コア部11と、第1コア部11の外側に配されるコイル12と、コイル12の外側に配される第2コア部13と、コイル12の各両端部を覆うと共に、第1および第2コア部1、3を相互に連結する連結コア部15、15とを備え、第1および第2コア部11、13は、同じ透磁率であって、連結コア部15、15の透磁率よりも低い透磁率である。すなわち、第1比較例のリアクトルDc1は、本実施形態のリアクトルDに対して較べると、導体部材4および第3コア部6を備えない構造である。この第1比較例のリアクトルDc1は、前記特許文献1に開示のリアクトルに相当している。
このような構造のリアクトルDc1では、コイル12に通電することによって生じた磁束の磁束線は、図7に示すように、コイル12の一方端部から一方の連結コア部15を介して第1コア部11の一方端部に到達し、第1コア部11を介して第1コア部11の他方端部から他方の連結コア部15を介してコイル12の他方端部に到達している。また、磁束線は、コイル12の一方端部から一方の連結コア部5を介してその一部が第2コア部13の一方端部に到達し、第2コア部13を介してその一部が第2コア部13の他方端部から他方の連結コア部15を介してコイル12の他方端部に到達しているとともに、残部の磁束線が連結コア部15、15および第2コア部13から漏れ出している。このため、磁束密度で見ると、図8に示すように、連結コア部15、15および第2コア部13の外部にも、図6に比較してより多くの磁束が存在している。したがって、第1比較例のリアクトルDc1では、充分に漏れ磁束を抑制することができていない。
また、第2比較例のリアクトルDc2は、第1コア部21と、第1コア部21の外側に配されるコイル22と、コイル22の外側に配される第2コア部23と、第2コア部23の外側に配される第3コア部26と、コイル22の各両端部を覆うと共に、第1、第2および第3コア部21、23、26を相互に連結する連結コア部25、25とを備え、第1および第2コア部21、23は、同一の透磁率であって、第3コア部26および連結コア部25、25の透磁率よりも低い透磁率である。すなわち、第2比較例のリアクトルDc2は、第1比較例のリアクトルDc1に対して較べると、磁束に対するシールド効果を高めるべくさらに比較的高い透磁率の第3コア部26をさらに備えており、一方、本実施形態のリアクトルDに対して較べると、導体部材4を備えない構造である。
このような構造のリアクトルDc2では、コイル22に通電することによって生じた磁束の磁束線は、図9に示すように、コイル22の一方端部から一方の連結コア部25を介して第1コア部21の一方端部に到達し、第1コア部21を介して第1コア部21の他方端部から他方の連結コア部25を介してコイル22の他方端部に到達している。また、磁束線は、コイル22の一方端部から一方の連結コア部25を介して第2コア部23および第3コア部26の各一方端部に到達し、第2コア部23および第3コア部26を介してその一部が第2コア部23および第3コア部26の各他方端部から他方の連結コア部25を介してコイル22の他方端部に到達しているとともに、残部の磁束線が連結コア部25、25から漏れ出している。そして、第3コア部26の透磁率が第2コア部23の透磁率よりも大きいので、磁束線は、第2コア部23よりも多く第3コア部26に集中している。このため、磁束密度で見ると、図10に示すように、コイル22の外側の磁束は、第2コア部23よりも第3コア部26に集中しており、第1比較例のリアクトルDc1に較べて漏れ磁束が抑制されているが、連結コア部25、25および第3コア部26の外部にも、図6に比較して多くの磁束が存在している。したがって、第2比較例のリアクトルDc2でも漏れ磁束を抑制しきれていない。そして、この第2比較例のリアクトルDc2では、第3コア部26に磁束が集中しているため(高くなっているため)、バイアス電流(直流成分)に交流電流(交流成分)を重畳させて通電すると、ヒステリシス損も増加してしまう。
第1および第2比較例のリアクトルDc1、Dc2と比較すると分かるように、本実施形態のリアクトルDは、充分に漏れ磁束を抑制することができ、上述したように、前記ヒステリシス損も低減することが可能である。
図11は、コイルの巻線構造を示す断面図である。図11(A)は、線材巻線構造を示し、図11(B)は、フラットワイズ巻線構造を示し、そして、図11(C)は、エッジワイズ巻線構造を示す。図11には、磁力線も一点鎖線で示されている。図12は、コイルの巻線構造別における周波数と損失との関係を示す図である。図12の横軸は、周波数であり、その縦軸は、損失である。
なお、上述の実施形態では、コイル2は、図1(B)や図11(B)に示すように、テープ状の導体を径方向に積層するように巻紙状に巻回した巻線構造(フラットワイズ(flatwise)巻線構造)であったが、これに限定されるものではなく、他の巻き線構造であってもよい。例えば、図11(A)に示すように、絶縁被覆された、例えば断面円形状の導体線や断面四角形状の導体線(線材)等を第1コア部1に巻回した巻線構造(線材巻線構造)であっても良く、また例えば、図11(C)に示すように、絶縁被覆された、テープ状の導体を軸方向に積層するように巻回した巻線構造(エッジワイズ(edgewise)巻線構造)であってもよい。
ここで、線材巻線構造に用いられる断面四角形状の線材は、アスペクト比2以下の平角導体をいい、エッジワイズ巻線構造に用いられるテープ状導体は、アスペクト比4以上のシート状導体をいう。なお、前記アスペクト比の値は、巻線構造の分類上の数値であって、もちろん、アスペクト比が2よりも大きく4よりも小さい長尺導体もコイル2に用いることが可能である。
コイル2は、このような線材巻線構造、フラットワイズ巻線構造およびエッジワイズ巻線構造を採用することができるが、コイル2に生じる損失およびリアクトルD内で生じる熱の放熱の各観点から、フラットワイズ巻線構造が優れている。以下、その理由を説明する。
コイル2に通電すると、コイル2も導体から構成されているので、磁力線に垂直な面(直交面)に渦電流が発生し、それによって損失(ロス)が発生する。この渦電流の大きさは、磁束密度が同一である場合には、磁束線と交差する面積、すなわち、磁力線に垂直な面の面積に比例する。コイル2によって発生する磁力線は、図11(A)ないし(C)に示すように、コイル2内では軸方向に沿っているので、渦電流は、コイル2を構成する導体における、軸方向に直交する径方向の面の面積に比例することになる。
このため、線材巻線構造では、図11(A)に示すように、前記導体としての線材は、径方向の面積が小さく、この渦電流を生じ難く、渦電流によって生じる損失よりも電気抵抗によって生じる損失の方が支配的となる。そして、線材巻線構造では、そのアスペクト比を変えると、前記導体としての線材は、径方向の面積がそのアスペクト比に応じて大きくなって、これに従って渦電流も生じるようになる。したがって、線材巻線構造では、図12に示すように、断面形状が例えば丸○や四角□等であって小断面積である場合には、渦電流がほとんど生じず、損失は、通電電流の周波数に依らず、略一定であり、比較的大きな電気抵抗によって初期損失が比較的大きくなる(○〜□小断面線材)。また、断面積が中程度から大断面積へ大きくなるに従って、渦電流も生じて徐々に大きくなり、損失は、通電電流の周波数に依存して周波数の増加に伴って増大する一方、電気抵抗が徐々に減少して初期損失が徐々に小さくなる(中断面線材、□大断面線材)。
エッジワイズ巻線構造では、図11(C)に示すように、前記導体としてのテープ状導体(テープ線材)は、径方向の面積が大きく、渦電流を生じ易く、渦電流によって生じる損失の方が電気抵抗によって生じる損失よりも支配的となる。したがって、エッジワイズ巻線構造では、損失は、通電電流の周波数に依存して周波数の増加に伴って増大し、比較的小さな電気抵抗によって初期損失が比較的小さくなる(エッジワイズ巻テープ線材)。
一方、フラットワイズ巻線構造では、図11(B)に示すように、前記導体としてのテープ状導体(テープ線材)は、径方向の面積が小さく、渦電流を生じ難い一方で、軸方向の面積が大きい。したがって、フラットワイズ巻線構造では、図12に示すように、渦電流がほとんど生じず、損失は、通電電流の周波数に依らず、略一定であり、比較的小さな電気抵抗によって初期損失も比較的小さくなる(フラットワイズ巻テープ線材)。
渦電流によってコイル2に生じる損失の観点では、優位性は、「フラットワイズ巻線構造≧線材巻線構造>エッジワイズ巻線構造」である。
そして、図11(A)ないし(C)に示すように、線材巻線構造およびエッジワイズ巻線構造では、前記導体としての線材およびテープ線材は、軸方向に重ねられた構造であるが、フラットワイズ巻線構造では、前記導体としてのテープ線材は、上述したように、その幅方向が軸方向に略一致し、連続している。このため、フラットワイズ巻線構造は、線材巻線構造およびエッジワイズ巻線構造よりも、効果的に熱伝導する。
よって、フラットワイズ巻線構造が前記両観点からコイル2の巻線構造として最も優れている。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
D リアクトル
1 第1コア部
2 コイル
2a 上部コイル
2b 下部コイル
3 第2コア部
4 導体部材
5 連結コア部
6 第3コア部

Claims (12)

  1. 第1コア部と、
    前記第1コア部の外側に配されるコイルと、
    前記コイルの外側に配される第2コア部と、
    良導体で形成され、前記第2コア部の側面を覆うように前記第2コア部の外周を取り囲む導体部材と、
    前記コイルの各両端部および前記導体部材の各両端部を覆うと共に、前記第1および第2コア部を相互に連結する連結コア部とを備え、
    前記第1コア部は、前記連結コア部の透磁率よりも低い第1透磁率であり、
    前記第2コア部は、前記連結コア部の透磁率よりも低い第2透磁率であること
    を特徴とするリアクトル。
  2. 前記導体部材は、銅またはアルミニウムで形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記導体部材の外側に配される第3コア部をさらに備え、
    前記連結コア部は、前記コイルの各両端部および前記導体部材の各両端部を覆うと共に、前記第1、第2および第3コア部を相互に連結し、
    前記第1コア部の前記第1透磁率は、前記第3コア部の透磁率よりも低く、
    前記第2コア部の前記第2透磁率は、前記第3コア部の透磁率よりも低いこと
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記第3コア部は、軟磁性体粉末を形成したもの、または、バルクの鋼材から形成したものであること
    を特徴とする請求項3に記載のリアクトル。
  5. 前記連結コア部は、軟磁性体粉末を成形したものであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記第3コア部および連結コア部は、同一材料であること
    を特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 前記第1および第2コア部は、それぞれ、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物を成形したものであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。
  8. 前記第1コア部および前記第2コア部は、同一材料であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
  9. 前記第1コア部および前記第2コア部は、それぞれ、初期透磁率が2〜20の材料で形成され、
    前記連結コア部は、初期透磁率が50〜250の材料で形成されていること
    を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のリアクトル。
  10. 前記コイルは、絶縁被覆されたテープ状の導体を巻紙状に巻線したものであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のリアクトル。
  11. 前記コイルにおける巻紙状の巻線は、ダブルパンケーキ構造の巻線であること
    を特徴とする請求項10に記載のリアクトル。
  12. 前記テープ状の導体における厚みは、当該リアクトルの駆動周波数に対する表皮厚み以下であること
    を特徴とする請求項10または請求項11に記載のリアクトル。
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JP2017224668A (ja) * 2016-06-14 2017-12-21 株式会社トーキン コイル部品

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