JP2011137989A - ブラシローラ、感光性平板刷版の現像装置及び平版印刷版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像処理時に、感光性平版印刷版の表面に筋状のむらが発生することを防止できるブラシローラ、感光性平版印刷版の現像装置、および平版印刷版の製造方法を提供する。
【解決手段】感光性平版印刷版の現像装置に適用され、感光性平版印刷版の表面をブラッシングするためのブラシローラ71は、軸部材81と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、軸部材71の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシ83と、を備える。複数のチャンネルブラシ83は、それぞれが軸部材81の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられており、軸部材81の周方向にて互いに離隔して配設されている。
【選択図】図2
【解決手段】感光性平版印刷版の現像装置に適用され、感光性平版印刷版の表面をブラッシングするためのブラシローラ71は、軸部材81と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、軸部材71の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシ83と、を備える。複数のチャンネルブラシ83は、それぞれが軸部材81の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられており、軸部材81の周方向にて互いに離隔して配設されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、感光性平版印刷版の表面をブラッシングするブラシローラおよび該ブラシローラを用いた感光性平版印刷版の現像装置や平版印刷版の製造方法に関する。
一般に、オフセット印刷などに使用される感光性平版印刷版は、露光処理によってその表面に潜像が形成された後、現像装置によって処理される。現像装置は、例えば、露光処理が施された感光性平版印刷版の表面を現像液に浸漬し、擦り部材によって感光性平版印刷版の表面を擦ることで非露光部分を除去して潜像を顕像化する。
擦り部材としては、柔軟質材料からなるモルトンが被覆されたモルトンローラが知られている。しかし、モルトンローラは、耐久性がなく、使用によって感光性平版印刷版との当たりが変化して現像性にむらが生じるため、比較的短い周期で交換する必要がある。一方、モルトンローラよりも耐久性に優れる擦り部材としてブラシローラがあり、従来から、チャンネルに毛材を挟み込んだチャンネルブラシを回転軸に密着巻きに固定して形成されたブラシローラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記従来のブラシローラにおいては、隣接するチャンネル同士は密着しているが、毛材の根元部分(すなわち、チャンネル付近の毛材)同士は密着しておらず、毛材間に隙間が生じていた。この毛材間の隙間は、チャンネルブラシが回転軸に対して垂直に近い巻き付け角度で回転軸の外周面に巻き付けられていることから、ブラシローラの回転方向にほぼ平行なものとなる。このため、部分的にブラッシングが弱くなってしまい、感光性平版印刷版の表面に筋状のむら(網点画像の濃度むらや筋状の現像残りを含む)が発生するおそれがあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、現像処理時に、感光性平版印刷版の表面に筋状のむらが発生することを防止できるブラシローラおよび感光性平版印刷版の現像装置を提供することを目的とする。さらに、平版印刷版の製造方法を提供する。
本発明の一側面によると、感光性平版印刷版の表面をブラッシングするためのブラシローラは、軸部材と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、前記軸部材の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシと、を備え、前記複数のチャンネル部材は、それぞれが前記軸部材の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられ、前記軸部材の周方向に互いに離隔して配設されている。
本発明の他の側面によると、感光性平版印刷版の現像装置は、現像液を貯留した現像槽と、露光処理が施された感光性平版印刷版を搬送して前記現像槽を通過させる搬送機構と、前記現像槽内において前記感光性平板印刷の表面をブラッシングするブラシローラと、を備え、前記ブラシローラは、軸部材と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、前記軸部材の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシと、有し、前記複数のチャンネル部材は、それぞれが前記軸部材の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられ、前記軸部材の周方向に互いに離隔して配設されている。
本発明のさらに他の側面によると、感光性平版印刷版の赤外線レーザー露光された表面を現像液に浸漬し、ブラシローラを用いて該表面の非露光部分を除去する平版印刷版の製造方法であって、前記ブラシローラが、軸部材と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、前記軸部材の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシと、を備え、前記複数のチャンネルブラシは、それぞれが前記軸部材の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられ、前記軸部材の周方向にて互いに離隔して配設されている平版印刷版の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の側面によると、感光性平版印刷版の赤外線レーザー露光された表面を現像液に浸漬し、ブラシローラを用いて該表面の非露光部分を除去する平版印刷版の製造方法であって、前記ブラシローラが、軸部材と、ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、前記軸部材の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシと、を備え、前記複数のチャンネルブラシは、それぞれが前記軸部材の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられ、前記軸部材の周方向にて互いに離隔して配設されている平版印刷版の製造方法が提供される。
上記ブラシローラによれば、感光性平版印刷版の表面をブラッシングする際の回転方向にほぼ平行となるようなブラシ素材間の隙間が生じないので、現像処理時に感光性平版印刷版の表面に筋状のむらが発生することを防止できる。また、軸部材の外周面に複数のチャンネルブラシが巻き付けられており、十分なブラッシング効果を発揮できる。
上記現像装置によれば、筋状のむらを発生させることなく感光性平版印刷版の現像処理を行うことができる。
上記現像装置によれば、筋状のむらを発生させることなく感光性平版印刷版の現像処理を行うことができる。
アルミニウム板等の支持体上に感光性組成物を塗設した感光性平版印刷版は、例えば、支持体をブラシ研磨やボール研磨のような機械的な方法や、電解エッチングのような電気化学的な方法やこれら両者を組み合せた方法等の粗面化処理を行って、表面を凹凸状の起伏状態を作り、その後、所望により酸又はアルカリの水溶液によりエッチングし、さらに必要に応じて陽極酸化処理及び/又は親水化処理を施し、その上に感光層を設けることにより製造される。
この感光性平版印刷版は、通常、像露光、現像、(必要であれば修正)、ガム引き工程を経て平版印刷版とされ、これを印刷機に取り付けて印刷する。
以下、添付図面を参照して本発明をさらに説明する。
図1は、本発明の一実施形態による感光性平版印刷版の現像装置の概略構成を示している。この現像装置は、露光処理によって感光性平版印刷版(Pre-Sensitized Plate:PS版)の表面に形成された潜像を顕像化する現像処理を行う。感光性平版印刷版は、特に限定されないが、例えばアルミニウム製の支持体の表面に感光層として光重合層が設けられた光重合性平版印刷版である。また、露光処理は、特に限定されないが、例えばコンピュータ等のデジタルデータに基づいて感光性平版印刷版の表面にレーザ光を走査することによって行うことができる。感光層の露光部分は、例えば光重合が進行して硬化する。
この感光性平版印刷版は、通常、像露光、現像、(必要であれば修正)、ガム引き工程を経て平版印刷版とされ、これを印刷機に取り付けて印刷する。
以下、添付図面を参照して本発明をさらに説明する。
図1は、本発明の一実施形態による感光性平版印刷版の現像装置の概略構成を示している。この現像装置は、露光処理によって感光性平版印刷版(Pre-Sensitized Plate:PS版)の表面に形成された潜像を顕像化する現像処理を行う。感光性平版印刷版は、特に限定されないが、例えばアルミニウム製の支持体の表面に感光層として光重合層が設けられた光重合性平版印刷版である。また、露光処理は、特に限定されないが、例えばコンピュータ等のデジタルデータに基づいて感光性平版印刷版の表面にレーザ光を走査することによって行うことができる。感光層の露光部分は、例えば光重合が進行して硬化する。
図1に示すように、本実施形態による現像装置1は、現像液Dを貯留した現像槽3と、露光処理が施された感光性平版印刷版を搬送して現像槽3を通過させる搬送機構5と、現像槽3内で感光性平版印刷版の表面をブラッシングするブラッシング機構7と、を備えている。なお、図中の一点鎖線は感光性平版印刷版の搬送経路を示しており、矢印は感光性平版印刷版の搬送方向を示している。
現像槽3は、感光性平版印刷版の搬送方向の中央部が最も深くなるように形成されており、所定量の現像液Dを貯留する。現像液Dは、感光性平版印刷版の感光層(より具体的には、非露光部分)を溶解するものであり、例えばアルカリ現像液である。具体的には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属ケイ酸塩、オクタン酸ナトリウム、アルキルアミン類及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが使用できる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。現像液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散の目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤、さらに還元剤等を添加することができる。
搬送機構5は、露光処理が施された感光性平版印刷版を所定の速度で搬送可能に構成されており、感光性平版印刷版の搬送方向の上流側(図1において右側)から順に配置された一対の第1搬送ローラ51と、複数のガイドローラ53と、一対の第2搬送ローラ55と、を含む。
第1搬送ローラ51の少なくとも一方は、図示省略した駆動部によって回動駆動され、露光処理が施された感光性平版印刷版を斜め下向きに搬送して現像槽3内の現像液D中に送り込む。複数のガイドローラ53は、現像液D中に送り込まれた感光性平版印刷版が所定の搬送経路を経るように感光性平版印刷版をガイドする。ここで、ガイドローラ53の個数や配置は、現像装置1や感光光性平版印刷版の大きさなどに応じて適宜設定することができる。第1搬送ローラ51と同様に、第2搬送ローラ55の少なくとも一方は、図示省略した駆動部によって回転駆動され、後述するブラッシング機構7により非露光部分が除去された、すなわち、現像処理を終えた感光性平版印刷版を次の工程(例えば、水洗処理工程)へと搬出する。
第1搬送ローラ51の少なくとも一方は、図示省略した駆動部によって回動駆動され、露光処理が施された感光性平版印刷版を斜め下向きに搬送して現像槽3内の現像液D中に送り込む。複数のガイドローラ53は、現像液D中に送り込まれた感光性平版印刷版が所定の搬送経路を経るように感光性平版印刷版をガイドする。ここで、ガイドローラ53の個数や配置は、現像装置1や感光光性平版印刷版の大きさなどに応じて適宜設定することができる。第1搬送ローラ51と同様に、第2搬送ローラ55の少なくとも一方は、図示省略した駆動部によって回転駆動され、後述するブラッシング機構7により非露光部分が除去された、すなわち、現像処理を終えた感光性平版印刷版を次の工程(例えば、水洗処理工程)へと搬出する。
ブラッシング機構7は、現像液Dに浸漬した感光性平版印刷版の表面をブラッシングして非露光部分を除去するものであり、現像槽3内の感光性平版印刷版の搬送方向の中央付近に配置された二つのブラシローラ71と、二つのブラシローラ71のそれぞれに対向配置されたバックアップローラ73と、を含む。各ブラシローラ71は、それぞれ図示省略した駆動部により回転駆動され、感光性平版印刷版の表面をブラッシングする。ここで、二つのブラシローラ71は、同じ方向に回転駆動されてもよいし、逆方向に回転駆動されてもよい。ブラシローラ71の回転速度は、感光性平版印刷版の搬送速度等を考慮して適宜設定することができる。このブラッシング機構7によって非露光部分が除去されることで、感光性平版印刷版の表面に形成された潜像が顕像化する。なお、ブラシローラ71の構成については後述する。
この現像装置1では、露光処理が施された感光性平版印刷版を現像槽3内の現像液Dに浸漬し、ブラシローラ71とバックアップローラ73との間を通過する際にブラシローラ71によって感光性平版印刷版の表面(感光層)をブラッシングする。このとき、感光層の露光部分は硬化しており、ブラッシングローラ71のブラッシングによって、現像液Dへの浸漬で溶解した感光層の非露光部分が除去される。これにより、露光処理によって感光性平版印刷版の表面に形成された潜像が顕像化され、現像処理が終了する。そして、現像処理の終了後、感光性平版印刷版は次の工程に搬出される。
ここで、上記現像装置1で用いるブラシローラ71について説明する。
図2は、ブラシローラ71の構成を説明するための図である。図2に示すように、本実施形態におけるブラシローラ71は、回転軸(軸部材)81と、回転軸81の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられた三つのチャンネルブラシ83と、を含んで構成される。三つのチャンネルブラシ83は、回転軸81の外周面上にてその周方向に互いに離隔して配設されている。
図2は、ブラシローラ71の構成を説明するための図である。図2に示すように、本実施形態におけるブラシローラ71は、回転軸(軸部材)81と、回転軸81の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられた三つのチャンネルブラシ83と、を含んで構成される。三つのチャンネルブラシ83は、回転軸81の外周面上にてその周方向に互いに離隔して配設されている。
回転軸81は、図示省略した駆動部によって回転駆動されるものであり、例えばその一端に図示省略したギヤが取り付けられる。回転軸81の材質は、特に限定されないが、現像槽3内に配置されることから、耐蝕性、防腐性に優れたステンレス(例えば、SUS301,SUS304,SUS304L,SUS305,SUS310S,SUS316,SUS316S等)であるのが好ましい。
図3は、回転軸81の外周面に巻き付けられるチャンネルブラシ83の構成を示している。図3に示すように、チャンネルブラシ83は、ブラシ素材85の束をチャンネル部材87で固定して形成される。ブラシ素材85はマルチフィラメント撚合糸であり、図4に示すように、熱可塑性合成樹脂からなるモノフィラメント89を多数本集束して撚合することによって形成される。チャンネル部材87は、断面U字状のチャンネル(いわゆるU字型チャンネル)であり、ブラシ素材85の一部を挟着して保持する。そして、本実施形態におけるチャンネルブラシ83は、多数のブラシ素材85を二つ折りにしてその間に芯材91を配置し、この芯材91とともに多数のブラシ素材85の折り目側をチャンネル部材87で挟着保持することによって形成される。
本実施形態において、モノフィラメント89は、線径がφ0.02〜0.04(mm)で耐アルカリ性に優れるナイロン樹脂からなる極細のモノフィラメントであり、ブラシ素材(マルチフィラメント撚合糸)85は、200本以上の上記極細のモノフィラメントを集束して撚りを与えることによって形成される。より好ましくは、ブラシ素材85は、線径がφ0.02(mm)のナイロン樹脂からなるモノフィラメントを400本以上(例えば420本)集束して撚りを与えることによって形成される。なお、モノフィラメント89を構成するナイロン樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなどがある。
また、チャンネル部材87としてのU字型チャンネルは、一般に入手可能なものを用いることができるが、上述した回転軸81と同様に、耐蝕性、防腐性に優れたステンレス製のものであって、チャンネル幅が2〜5(mm)、チャネル高さが3〜5(mm)、板厚が0.4〜0.8(mm)であるのが好ましい。チャンネルブラシ77の長さや毛丈は、現像装置1の仕様やブラシローラ71の使用条件等によって適宜設定することができる。例えば、ブラシローラ(毛丈2〜20mm、回転軸の直径15〜20mm)を用いると、回転数2〜10rpmで10〜30秒の処理で感光性平版印刷版の非画像部の感光層を除去することができる。
チャンネルブラシとして、例えば昭和工業株式会社よる商品名SK型チャンネルブラシを用いることができる。
チャンネルブラシとして、例えば昭和工業株式会社よる商品名SK型チャンネルブラシを用いることができる。
そして、本実施形態においては、このような三つのチャンネルブラシ83を、所定のピッチで、かつ、回転軸81の周方向にほぼ等間隔で(ここでは120°毎に)配置されるように、回転軸81の外周面に巻き付けて溶接等で固定することでブラシローラ71を形成する。これにより、ブラシローラ71は、回転軸81から放射状にのびる毛材(ブラシ素材)を有する構成となるとともに、チャンネルブラシ83の巻き付けピッチ(所定のピッチ)を十分に確保することで、回転軸81の回転によって各チャンネルブラシ83がその長さ方向に沿った面側で感光性平版印刷版の表面をブラッシングすることになる。ここで、上記所定のピッチは、現像装置1の仕様やブラシローラ71の使用条件等によって適宜設定することができるが、概ねチャンネル幅の10倍以上の値であることが好ましい。
このような構成を有するブラシローラ71によれば、チャンネルブラシ83の毛材間にブラシローラ71の回転方向とほぼ平行な隙間が生じることはなく、また、回転軸81が回転駆動されることによって、回転軸81の外周面に固定されたチャンネルブラシ83がその長さ方向に沿った面側で感光性平版印刷版の表面をブラッシングする。これにより、現像処理時に、感光性平版印刷版の表面全体についての安定したブラッシングが可能になるとともに、感光性平版印刷版の表面に筋状のむらが発生することを防止することができる。
また、ブラシローラ71は、回転軸81の外周面に固定された三つのチャンネルブラシ83を有しており、三つのチャンネルブラシ83は、回転軸81の周方向において等間隔で配設されている。これにより、感光性平版印刷版の表面に対する十分かつ安定したブラッシング効果を発揮しつつ、ブラシローラ71の回転負荷の変動を抑制できる。特に、図1に示すように、ブラシローラ71の全体が現像液D中に埋没せずに、その一部が現像液Dから露出している場合には、十分かつ安定したブラッシング効果を発揮しつつ、ブラシローラ71の回転負荷を低減できる。
さらに、チャンネルブラシ83は、極細のモノフィラメントを多数本集束するとともに撚合した構造を有するマルチフィラメント撚合糸をブラシ素材85とし、多数のブラシ素材83の一部をU字型チャンネルで挟着保持して形成されている。これにより、チャンネルブラシ83は、そのブラシ先端側にてブラシ素材85が適度にばらけて広がりを有することとなり、感光性平版印刷版の表面に対するブラッシング効果が向上する。
ここで、発明者らが種々の合成繊維モノフィラメントを用いて実験を行ったところ、特に感光層として光重合層を用いた感光性平版印刷版については、線径がφ0.02(mm)のナイロン樹脂からなるモノフィラメントを400〜450本以上、好ましくは、420本程度集束して撚りを与えることによって形成したマルチフィラメント撚合糸をブラシ素材85とすることで、ブラシローラ71の耐久性とブラッシング効果(非露光部分の除去性能)との両方を満足する結果が得られた。そして、このような条件を満たすチャンネルブラシ83を用いて既存の一般的な現像装置に用いられるブラシローラ71を構成する場合には、チャンネルブラシ83の回転軸81への巻き付けピッチ(上記所定のピッチ)を50(mm)以上とすれば、回転軸81の回転に伴ってチャンネルブラシ83がその長さ方向に沿った面側で感光性平版印刷版の表面をブラッシングすることが確認された。したがって、このような構成のブラシローラ71とすることにより、光重合性平版印刷版の現像処理に最適なブラシローラとすることができる。
なお、以上説明した実施形態では、回転軸81の外周面に三つのチャンネルブラシ83を巻き付けてブラシローラ71を構成しているが、これに限るものではなく、回転軸81の外周面に四つ以上のチャンネルブラシ83を巻き付けてブラシローラを構成してもよいことはもちろんである。また、感光性平版印刷版に形成される画像等によっては、二つのチャネルブラシ83を用いてブラシローラ71を構成してもよい。但し、十分かつ安定したブラッシング効果を得るには、三つ以上のチャンネルブラシ83を回転軸81の外周面に巻き付けてブラシローラを構成するのが好ましい。
また、ブラシローラ71を一定方向に回転駆動するだけではなく、逆転駆動できるように構成してもよい。例えば、感光性平版印刷版の現像処理時に、所定時間毎にブラシローラ71の正転と逆転とを繰り返すようにしてもよい。このようにすると、ブラシローラ71は、その長さ方向に沿った両側の面で感光性平版印刷版の表面をブラッシングすることとなり、片側の面のみでブラッシングする場合に比べて、ブラシローラ71の長寿命化を図ることができる。
D…現像液、1…現像装置、3…現像槽、5…搬送機構、7…ブラッシング機構、51…第1搬送ローラ、53…ガイドローラ、55…第2搬送ローラ、71…ブラシローラ、73…バックアップローラ、81…回転軸(軸部材)、83…チャンネルブラシ、85…ブラシ素材(マルチフィラメント撚合糸)、87…チャンネル部材、89…モノフィラメント
Claims (6)
- 感光性平版印刷版の表面をブラッシングするためのブラシローラであって、
軸部材と、
ブラシ素材をチャンネル部材に固定して形成され、前記軸部材の外周面に巻き付けられた複数のチャンネルブラシと、
を備え、
前記複数のチャンネルブラシは、それぞれが前記軸部材の外周面に所定のピッチでらせん状に巻き付けられ、前記軸部材の周方向にて互いに離隔して配設されているブラシローラ。 - 前記軸部材が回転することにより前記複数のチャンネルブラシがその長さ方向に沿った面側で前記感光性平版印刷版の表面をブラッシングする請求項1に記載のブラシローラ。
- 前記軸部材の外周面に少なくとも三つのチャンネルブラシが巻き付つけられており、
前記少なくとも三つのチャンネルブラシは、前記軸部材の周方向にて等間隔で配設されている請求項1または請求項2に記載のブラシローラ。 - 前記チャンネルブラシは、ナイロン樹脂からなる線径0.02〜0.04mmのモノフィラメントを400本以上集束して撚りを与えることによって形成されたマルチフィラメント撚合糸を、断面U字状のチャンネル部材で挟着保持して形成されたものであり、
前記所定のピッチが50mm以上である請求項1〜3のいずれか1つに記載のブラシローラ。 - 現像液を貯留した現像槽と、
露光処理が施された感光性平版印刷版を搬送して前記現像槽を通過させる搬送機構と、
前記現像槽内において前記感光性平版印刷版の表面をブラッシングする請求項1〜4のいずれか1つに記載のブラシローラと
を備える感光性平版印刷版の現像装置。 - 感光性平版印刷版の赤外線レーザー露光された表面を現像液に浸漬し、請求項1〜4のいずれか1つに記載のブラシローラを用いて該表面の非露光部分を除去する平版印刷版の製造方法。
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