JP2011132489A - 樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形品 - Google Patents

樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形品の提供。
【解決手段】(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部として、(A)ポリ乳酸系樹脂1〜99重量部、(B)ポリオレフィン系樹脂99〜1重量部、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を含む(C)共役ジエン系重合体1〜50重量部を配合してなる樹脂組成物およびそれからなる成形品の提供。
【選択図】 なし

Description

本発明は、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を含む(C)共役ジエン系重合体を配合してなり、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れる樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
ポリ乳酸系樹脂は、とうもろこしなどのバイオマスを原料として、微生物を利用した発酵法により、モノマーである乳酸を安価に製造できるようになり、また、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能であるため、石油などの化石原料から製造される樹脂を代替できるバイオポリマーとして期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は、結晶化速度が遅いため、結晶化させて成形品として
用いるには限界があった。例えば、ポリ乳酸系樹脂を射出成形する場合には、長い成形サイクル時間や成形後の熱処理を必要とするだけでなく、成形時や熱処理時の変形が大きいなど成形性や耐熱性に関して実用上の大きな問題があった。また、耐衝撃性にも劣り、その改良が望まれていた。
一方、複数の樹脂を配合する技術は、ポリマーアロイ技術として広く知られており、個々のポリマーの欠点を改良する目的で広く利用されている。しかしながら、単純に複数の樹脂を配合しただけでは、耐剥離性が低下する課題があった。
特許文献1では、生分解性樹脂を含有し、耐衝撃性に優れる樹脂組成物の製造方法及びこの樹脂組成物により得られる成形体が開示されている。しかしながら、特許文献1では、耐衝撃性はある程度の改良効果を有するものの、まだ不十分であり、成形性、耐剥離性などの特性については、一切開示はなく、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段については全く示唆されていない。
特許文献2では、乳酸系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及び極性官能基で変性された芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体を構成成分とする熱可塑性樹脂組成物、それからなる成形品が開示されている。しかしながら、特許文献2の発明では、成形性、耐剥離性はある程度の改良効果を有するものの、まだ不十分であり、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段について全く示唆されていない。
特許文献3では、結晶性ポリプロピレン系重合体、ポリ乳酸樹脂、エポキシ基を有するエチレン系重合体と異なるエラストマー類およびエポキシ基を有するエチレン系重合体を含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献3では、耐衝撃性はある程度の改良効果を有するものの、まだ不十分であり、耐熱性、耐剥離性などの特性については、一切開示はなく、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段については全く示唆されていない。
特許文献4では、ポリ乳酸樹脂、ポリオレフィン系樹脂および相溶化剤を配合してなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献4では、成形性、耐衝撃性および耐熱性はある程度の改良効果を有するものの、まだ不十分であり、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物を得るための解決手段については全く示唆されていない。
以上のように、いずれの方法を用いても、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物を得ることは非常に困難であるが、実用的に問題なく使用できる材料への要望は多く、さらなる改良が求められていた。
特開2009−138123号公報(第1−2頁、実施例) 特開2006−241445号公報(第1−2頁、実施例) 特開2006−52248号公報(第1−2頁、実施例) 特開2008−38142号公報(第1−3頁、実施例)
本発明は、上述した先行技術において困難であった、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性などの特性のいずれにも優れる樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を含む(C)共役ジエン系重合体を配合することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部として、(A)ポリ乳酸系樹脂1〜99重量部、(B)ポリオレフィン系樹脂99〜1重量部、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を含む(C)共役ジエン系重合体1〜50重量部を配合してなる樹脂組成物、
(2)前記(C)共役ジエン系重合体が、(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を含むものである(1)記載の樹脂組成物、
(3)前記(C)共役ジエン系重合体が、共役ジエンを主成分とするブロックと芳香族ビニル系単位を主成分とするブロックを含むブロック共重合体、または、その水素添加ブロック共重合体である(1)または(2)記載の樹脂組成物、
(4)前記(C)共役ジエン系重合体が、官能基で変性されていない(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体および230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分以下の(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を含む(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)前記極性官能基が、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基のいずれか1種以上である(2)または(4)に記載の樹脂組成物、
(6)前記極性官能基が、アミノ基および/またはイミノ基である(5)に記載の樹脂組成物、
(7)さらに(D)リン系化合物を、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対し、0.01〜10重量部配合してなる(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(8)(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)が、0.01以上、3以下である(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂を配合してなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(9)さらに(B)ポリオレフィン系樹脂とは異なる(F)エチレン/α―オレフィン共重合体を配合してなる(1)〜(8)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(10)(A)ポリ乳酸系樹脂と(C)共役ジエン系重合体を溶融混練した後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を溶融混練する(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法、
(11)(A)ポリ乳酸系樹脂と(C)共役ジエン系重合体を溶融混練した後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を溶融混練する方法により得られる(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(12)(1)〜(9)および(11)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品
である。
本発明の樹脂組成物は、成形性、耐剥離性、耐衝撃性および耐熱性に優れている。この樹脂組成物からなる成形品は、上記特性を活かして、自動車部品、電気・電子部品、各種日用品など各種用途に利用することができる。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などから生成する単位が挙げられる。このような共重合単位は、全単量体単位を100モル%としたときに、通常0〜30モル%の含有量とするのが好ましく、0〜10モル%であることが好ましい。
本発明において、耐熱性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸系樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかまたはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかまたはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかまたはD体が95%以上含まれることが特に好ましく、L体が98%以上含まれるかまたはD体が98%以上含まれることが最も好ましい。また、L体またはD体の含有量の上限は通常100%以下である。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂としては、耐熱性、成形性の点で、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いることが好ましい。ポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成させる方法としては、例えば、L体が90%以上、耐熱性の点で、好ましくは95%、より好ましくは98%以上のポリ−L−乳酸と、D体が90%以上、耐熱性の点で、好ましくは95%、より好ましくは98%以上のポリ−D−乳酸を溶融混練、固相混練または溶液混合などの手法を用いて混合する方法を挙げることができ、また、別の方法として、ポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントからなるブロック共重合体とする方法も挙げることができ、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを容易に形成させることができるという点で、ポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントからなるブロック共重合体とする方法が好ましい。また、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを単独で用いてもよいが、ポリ乳酸ステレオコンプレックスとポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を併用して用いてもよい。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを用いることができる。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、相構造を制御しやすくなり、耐衝撃性が向上するという点で、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、さらに好ましくは10万以上、特に好ましくは20万以上であるのがよい。上限は特に制限されないが、好ましくは80万以下、さらに好ましくは60万以下、より好ましくは40万以下であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂の融点については、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)は、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性などに優れるという点で、0.1〜20g/10分であることが好ましく、0.3〜18g/10分であることがより好ましく、0.5〜15g/10分であることがさらに好ましい。ここでいうメルトフローレートとは、東洋精機製「メルトインデクサー」を用い、JIS K7210に従って、190℃、21.2N荷重条件において測定した値のことである。
本発明において、(B)ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどのオレフィン、ビニルアルコールまたはその誘導体等のオレフィンアルコール等のオレフィン類を重合または共重合して得られる未変性のオレフィン樹脂であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体およびカルボン酸ビニルエステルなどの化合物で変性した変性ポリオレフィン樹脂は含まない。
具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ1−ブテン樹脂、ポリ1−ペンテン樹脂、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂などの単独重合体あるいはその共重合体などが挙げられる。
本発明において、相構造が制御しやすくなり、耐熱性または耐衝撃性が向上するという点で、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂が好ましく、耐熱性の点から、ポリプロピレン樹脂がより好ましく、靭性の点から、ポリエチレン樹脂がより好ましい。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂においては、ラジカル重合、チーグラー・ナッタ触媒を用いた配位重合、アニオン重合、メタロセン触媒を用いた配位重合などいずれの方法でも用いることができる。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン樹脂である場合には、立体規則性の高いポリプロピレン樹脂を用いることが好ましく、高アイソタクチシチーのポリプロピレン樹脂を用いると、成形性、耐熱性に優れる樹脂組成物を得ることができ、高シンジオタクシチシーのポリプロピレン樹脂を用いると、耐衝撃性、透明性に優れる樹脂組成物を得ることができる。立体規則性としては、アイソタクチシチーもしくはシンジオタクチシチーが、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。ここでいうシンジオタクチシチーとは、溶媒として、重水素化o−ジクロロベンゼンを用い、110℃での13C−NMR測定において、シンジオタクチシチー、ヘテロタクチシチー、アイソタクチシチーとしてそれぞれ観察される20.2ppm、20.8ppm、21.5ppmの直鎖分岐のメチル基のピークの積分強度の合計を100%として、それぞれのピークの積分強度の割合を百分率で表すことにより算出できる値である。
本発明において、立体規則性の異なるポリプロピレン樹脂を併用してもよい。例えば、アイソタクチシチーを主構造とする二種以上のポリプロピレン樹脂を用いることにより、流動性、成形性、耐熱性に優れる樹脂組成物を得られやすくなるため好ましく、高アイソタクチシチーのポリプロピレン樹脂と高シンジオタクチシチーのポリプロピレン樹脂をそれぞれ一種以上用いることにより、成形性、耐熱性、耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得られやすくなるため好ましい。
本発明において、高アイソタクチシチーのポリプロピレン樹脂は、触媒としてチーグラー・ナッタ触媒を用いた配位重合により得られやすく、高シンジオタクチシチーのポリプロピレン樹脂は、触媒としてメタロセン触媒を用いた配位重合により得られやすい。
本発明において、(B)ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である場合、メルトフローレート(MFR)は、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性などに優れるという点で、5〜50g/10分であることが好ましく、8〜40g/10分であることがより好ましく、10〜30g/10分であることがさらに好ましい。ここでいうメルトフローレート(MFR)とは、東洋精機製「メルトインデクサー」を用い、JIS K7210に従って、190℃、21.2N荷重において測定した値のことである。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂の配合比は、特に限定されないが、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部とした時、(A)ポリ乳酸系樹脂は、1〜99重量部であり、成形性、耐熱性、耐久性および耐薬品性の点から、1〜80重量部が好ましく、1〜60重量部がより好ましく、1〜40重量部がさらに好ましく、(B)ポリオレフィン系樹脂は、99〜1重量部であり、成形性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性および耐薬品性の点から、99〜20重量部が好ましく、99〜40重量部がより好ましく、99〜60重量部がさらに好ましい。
本発明においては、樹脂組成物の相構造として、(A)ポリ乳酸系樹脂、または、(B)ポリオレフィン系樹脂のいずれか一方が分散相、他方が連続相(マトリックス相)となる相構造を形成するが、耐熱性、成形性、耐久性および耐薬品性の点から、(A)ポリ乳酸系樹脂が分散相を形成し、(B)ポリオレフィン系樹脂が連続相を形成することが好ましい。さらに、成形性、耐熱性、耐衝撃性、透明性および外観性の点から、分散相の平均粒子径が、1μm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましく、70nm以下が最も好ましい。この相構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することで確認できるものであり、本発明においては、TEMを用いて倍率1万倍で確認することが好ましい。なお、電子顕微鏡で相構造を観察する方法としては、相構造を明瞭に観察するために、超薄切片法、イオンエッチング法、電子染色法など各種公知の方法を用いて、前処理してもよい。
本発明では、(C)成分として、共役ジエン系重合体を配合するが、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を配合することが必要である。(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を配合することで、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂の相溶性を向上させることが出来、成形性、耐剥離性、耐衝撃性、耐熱性に優れる樹脂組成物を得ることが出来る。
本発明において、(C)共役ジエン系重合体としては、共役ジエン単独重合体、または、共役ジエンと共役ジエンと共重合可能な化合物との共重合体、または、それらの水素添加共重合体のいずれでもよいが、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性、塗装性および表面硬度に優れるとの点で、共役ジエンと共役ジエンと共重合可能な化合物との共重合体、または、それらの水素添加共重合体が好ましく、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐剥離性、塗装性および表面硬度に優れるとの点で、共役ジエンを主成分とするブロックと共役ジエンと共重合可能な化合物を主成分とするブロックを含むブロック共重合体、または、それらの水素添加ブロック共重合体がより好ましく、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に特に優れるとの点で、共役ジエンを主成分とするブロックが内側に存在し、共役ジエンと共重合可能な化合物を主成分とするブロックが外側に存在するブロック共重合体、または、それらの水素添加ブロック共重合体であることがさらに好ましい。
本発明において、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセンおよびクロロプレンなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができ、一般的には、1,3−ブタジエン、イソプレンまたはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明において、共役ジエンと共重合可能な化合物としては、ビニル系単位を有する化合物が好ましく、成形性および耐熱性の点で、芳香族ビニル系単位を有する化合物が好ましく、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンおよびビニルピリジンなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができ、一般的には、スチレン、または、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンまたはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明において、共役ジエン系重合体としては、成形性、耐熱性の点で、共役ジエン系単位とビニル系単位との共重合体またはこれらの水素添加共重合体が好ましく、共役ジエン系単位と芳香族ビニル系単位との共重合体またはこれらの水素添加共重合体がより好ましく、具体例としては、スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン/イソプレンランダム共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン/エチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体(SEEPS))などが挙げられる。中でも、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、SBS、SIS、SBBS、SEBS、SEP、SEPS、SEEPSから選択される1種以上であることが好ましく、SBBS、SEBS、SEPS、SEEPSから選択される1種以上であることがより好ましく、SEBSまたはSEPSのいずれか1種であることがさらに好ましく、SEBSであることが最も好ましい。
本発明において、共役ジエン系重合体が、共役ジエン系単位とビニル系単位との共重合体、または、それらの水素添加共重合体である場合、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、ビニル系単位としては、芳香族ビニル系単位が好ましく、スチレンであることがより好ましい。また、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性のバランスが特に優れるという点で、ビニル系単位が1〜50重量%が好ましく、剥離性に優れるとの点で、5〜40重量%がより好ましく、成形性および耐熱性に優れるとの点で、10〜35重量%であることがさらに好ましい。
本発明において、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を配合することが必要であるが、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、MFRは50g/10分以上であることが好ましく、100g/10分以上であることがより好ましく、125g/10分以上であることが更に好ましく、150g/10分以上であることが最も好ましい。MFRの好ましい上限は、300g/10分である。
本発明において、(C)共役ジエン系重合体として、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を必須成分とするが、(C−1)のみでもよいし、その他成分として、MFRが30g/10分以下の共役ジエン系重合体を併用してもよい。
本発明において、(C)共役ジエン系重合体として、(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を用いることも好ましい。極性官能基としては、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基などを挙げることができ、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、アミノ基および/またはイミノ基であることが好ましく、特に耐剥離性に優れるという点で、イミノ基であることがより好ましい。これら官能基は1種以上用いることが出来る。極性官能基で変性された共役ジエン系重合体のMFRはどのような値であってもよいが、230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、1g/10分を超えることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、3g/10分以上であることが最も好ましい。MFRの好ましい上限は、30g/10分である。
本発明の必須成分である(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体として、上記のような極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を用いることも可能である。
このように、本発明においては、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を必須成分として含んでいれば、その他の成分としてMFRが30g/10分以下の共役ジエン系重合体や、(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を任意の組合せで用いることが出来る。
本発明において、(C)共役ジエン系重合体の、好ましい組合せとしては、極性官能基で変性されていない(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体と、230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分以下の(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体の組合せである。
本発明において、(C)共役ジエン系重合体の配合量は、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、1〜50重量部であり、3〜30重量部が特に好ましい。(C)共役ジエン系重合体に占める、必須成分の(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体の割合は、100重量%であってもよいし、任意の割合であってもよい。好ましくは、(C)共役ジエン系重合体に占める(C−1)成分は10重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上である。
本発明において、(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体についても、任意の割合であってもよく、好ましくは、(C)共役ジエン系重合体に占める(C−2)成分は10重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上である。
本発明において、さらに、好ましい態様として、極性官能基で変性されていない(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体と、230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分以下の(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を組み合わせて用いる場合、それぞれの配合量は、(C)共役ジエン系重合体全体に対して(C−1)成分が20〜80重量%、(C−2)成分が80〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは、(C−1)成分が30〜70重量%、(C−2)成分が70〜30重量%である。
本発明においては、熱安定性に優れるという点から、(D)リン系化合物を添加することが好ましい。溶融混練時および溶融成形時に(A)ポリ乳酸系樹脂が、熱分解することがあり、(D)リン系化合物を添加することにより、熱分解を抑制でき、熱安定性を向上することができる。リン系化合物としては、例えば、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物が挙げられる。かかるホスファイト系化合物の具体例としては、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,6−ヘキサメチレン−ビス(N−ヒドロキシエチル−N−メチルセミカルバジド)−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−サリシロイルヒドラジド−ジホスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド−ジホスァイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド−ジホスファイトなどが挙げられるが、少なくとも1つのP−O結合が芳香族基に結合しているものがより好ましく、具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられ、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトなどが好ましく使用できる。
ホスファイト系化合物の具体的な商品名としては、ADEKA製“アデカスタブ” C、PEP−4C、PEP−8、PEP−11C、PEP−24G、PEP−36、HP−10、2112、260、522A、329A、1178、1500、C、135A、3010、TPP、チバスペシャリティケミカル製“イルガフォス”168、住友化学工業製“スミライザー”P−16、クラリアント製“サンドスタブ” P−EPQ、GE製“ウエストン”618、619G、624などが挙げられる。
ホスフェート系化合物の具体例としては、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、メチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェートなどが挙げられ、中でも、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェートが好ましい。
ホスフェート系化合物の具体的な商品名としては、チバスペシャリティケミカル製“イルガノックス”MD1024、イーストマン・コダック製“インヒビター”OABH、ADEKA製“アデカスタブ”AX−71などを挙げることができる。中でも好ましくは、ADEKA製“アデカスタブ”AX−71(ジオクタデシルホスフェート)、PEP−8(ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)、PEP−36(サイクリックネオペンタテトライルビス(2,6―t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト)であり、最も好ましくは“アデカスタブ”AX−71である。
本発明において、(D)リン系化合物の配合量は、特に限定されないが、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性に優れるという点で、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明において、(D)リン系化合物を配合する方法は、特に限定されず、(A)ポリ乳酸系樹脂の融点以上で溶融混練する方法や溶媒に溶解させて混合した後、溶媒を除去する方法等を挙げることができるが、効率的に製造することができるという点で、(A)ポリ乳酸系樹脂の融点以上で溶融混練する方法が好ましい。なお、溶融混練する方法としては、回分法でも連続法でもよく、装置としては、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、プラストミル、ニーダーおよび減圧装置付き撹拌型反応器などを用いることができ、効率的に均一に混練することができるという点で、単軸押出機または二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明において、(D)リン系化合物を配合する温度は、180〜250℃の温度が好ましく、機械特性に優れるという点で、190〜230℃の温度がより好ましい。
本発明において、(D)リン系化合物を配合する圧力は、減圧、常圧および加圧のいずれでもよく、溶融混練時に発生ガスを除去できるという点で、減圧とすることが好ましい。
本発明において、(D)リン系化合物を配合する方法として溶媒中で混合する場合には、ポリマーおよびモノマーが溶解する溶媒を用いる。溶媒としては、たとえば、クロロホルム、塩化メチレンおよびアセトニトリルなどを用いることができる。混合後に溶媒を除去する必要がある場合に溶媒を除去する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、室温で溶媒を揮発させる方法および減圧下で溶媒の沸点以上の温度で溶媒を揮発させる方法などを用いることができる。
本発明において、(D)リン系化合物を配合し、(A)ポリ乳酸系樹脂の熱安定性が向上することで、溶融混練時や射出成形時の滞留による(A)ポリ乳酸系樹脂の分子量低下が抑制され、好ましい相構造を有する樹脂組成物を得ることができる。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)が、成形性、耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性などに優れるという点で、0.01〜3であることが好ましく、0.01〜1であることがより好ましく、0.01〜0.5であることがさらに好ましく、0.01〜0.1であることが最も好ましい。ここでいうメルトフローレート(MFR)とは、東洋精機製「メルトインデクサー」を用い、JIS K7210に従って、190℃、21.2N荷重において測定した値のことである。
本発明において、前記MFR/MFRを最も好ましい範囲である0.01〜0.1とするために、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤とを反応せしめ、(A)ポリ乳酸樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)を増加させる手法が好ましく用いられる。
なお、本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂とは、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤とを反応せしめたものを含むものであり、(E)鎖延長剤を用いた場合の(A)ポリ乳酸系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤とを反応せしめたもののメルトフローレートである。
本発明において、(E)鎖延長剤とは、(A)ポリ乳酸系樹脂のカルボキシル基および/またはヒドロキシ基と反応性を有する官能基を骨格分子鎖内に2個以上含有する化合物であれば特に制限はないが、好ましくは、官能基としてエポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、オキサジン基、酸無水物、イソシアネート基を含有する化合物であり、これらは1種以上を用いることができる。中でも、反応性の観点から、エポキシ基および/またはカルボジイミド基を含有する化合物が好ましく、より好ましくは、エポキシ基を含有する重合体および/またはカルボジイミド基を含有する重合体、最も好ましくはエポキシ基を含有する重合体である。
本発明において、(E)鎖延長剤が、エポキシ基を含有する重合体および/またはカルボジイミド基を含有する重合体である場合、エポキシ基のエポキシ等量およびカルボジイミド基のカルボジイミド等量は、反応性および成形性の観点から、50〜800g/molが好ましく、より好ましくは100〜700g/mol、最も好ましくは150〜600g/molである。ここで、エポキシ当量およびカルボジイミド等量とは、1当量のエポキシ基を含有する重合体のグラム数および1当量のカルボジイミド基を含有する重合体のグラム数を表す。
本発明において、(E)鎖延長剤が、エポキシ基を含有する重合体である場合、重合体の骨格部分は特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリブタジエン水添ポリマー、ポリエチレンブチレン、ポリイソブチレン、シクロオレフィンなどのオレフィン系重合体、またはビニル系重合体、スチレン系重合体、アクリル系重合体、エステル系重合体、アミド系重合体などの構造を有するものが好ましく、これらは1種以上共重合されていても良い。重合体の骨格部分は、より好ましくは、オレフィン系重合体、スチレン系重合体、アクリル系重合体およびそれら1種以上の共重合体であり、最も好ましくは、スチレン系重合体、アクリル系重合体およびそれら1種以上の共重合体である。エポキシ基は、上記重合体に直接付加したものでも、エポキシ基含有重合体を上記重合体にグラフト化した構造であっても良い。
ここでいうスチレン系重合体を構成するスチレン系モノマーとしては、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルピリジン等の1種以上であるが、より好ましくはスチレン、α−メチルスチレンの1種以上である。
また、ここでいうアクリル系重合体を構成するアクリル系モノマーとしては、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等の1種以上が挙げられる。例えば、アクリル酸エステルとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロペンチル等の1種以上が挙げられる。また、例えば、メタクリル酸エステルとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル等の1種以上が挙げられる。アクリル系重合体を構成するアクリル系モノマーとしては、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等の1種以上が挙げられる。
本発明において、(E)鎖延長剤が、エポキシ基を含有する重合体である場合、その重合体の重量平均分子量(Mw)は、反応性および樹脂との相溶性の観点から、好ましくは1,000〜40,000、より好ましくは1,500〜30,000、最も好ましくは2,000〜20,000である。ここでいう重量平均分子量(Mw)とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
本発明において、(E)鎖延長剤が、エポキシ基を含有する重合体である場合、公知の技術により製造し使用することが可能であるが、市販品を使用することも可能であり、市販品の具体例としては、日油社製「モディパー」シリーズ、住友化学社製「ボンドファースト」シリーズ、東亞合成社製「ARUFON」シリーズおよび「RESEDA」シリーズ、BASF社製「JONCRYL」シリーズなどが好適に使用できるが、反応性の観点から、東亞合成社製「ARUFON」シリーズおよびBASF社製「JONCRYL」シリーズがより好適に使用できる。
本発明において、(E)鎖延長剤を用いる場合の(A)ポリ乳酸樹脂と(E)鎖延長剤の配合比は、(A)ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、(E)鎖延長剤0.01〜3重量部が好ましく、(E)鎖延長剤0.05〜2.5重量部がより好ましく、(E)鎖延長剤0.1〜2.0重量部が最も好ましい。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤とを反応せしめる方法に特に制限はなく、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤とを可溶溶媒中で加熱攪拌下、反応させる方法や(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法などが挙げられるが、短時間での反応促進の観点から、好ましくは(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法が使用できる。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法に、特に制限はないが、好ましくは押出機やニーダーなどの加熱溶融混練装置を使用することにより、反応させる手法が用いられ、より好ましくは押出機を使用することにより反応させる手法である。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、三軸以上の多軸押出機、二軸・単軸複合押出機などが挙げられるが、好ましくは、混練性および利便性の点から、単軸押出機、二軸押出機が好適に使用できる。
本発明において、単軸または二軸押出機などを用いて溶融混練する方法としては、好ましい相構造を有する熱可塑性樹脂組成物を得るために、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を溶融混練した後、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂を溶融混練する方法が好ましい。具体的製造方法として、例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂、(E)鎖延長剤を事前に押出機で溶融混練した後、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂を押出機のメインフィーダーから供給して溶融混練する方法(二段混練法)、押出機のメインフィーダーから(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を供給し、(B)ポリオレフィン系樹脂を押出機の途中に設置したサイドフィーダーから供給し、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂を溶融混練する方法(サイドフィード混練法)などが挙げられる。
なお、本発明において、前記サイドフィード混練法により、熱可塑性樹脂組成物を製造する場合、前記MFRとは、押出機の途中に設置したサイドフィーダーから供給する(B)ポリオレフィン系樹脂と混練される前の(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートのことであり、その測定手法としては、例えば、(B)ポリオレフィン系樹脂を供給するサイドフィーダー手前(メインフィーダー側)にサンプリングバルブを設けた押出機を使用し、そのサンプリングバルブから採取した(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートを測定する手法や(A)ポリ乳酸系樹脂を供給するメインフィーダーから(B)ポリオレフィン系樹脂を供給するサイドフィーダーまでのL/D(L:押出機スクリュー長さ、D:押出機スクリュー直径)が等しい別の押出機を使用し、予め(A)ポリ乳酸系樹脂を製造しておき、製造した(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートを測定する手法などが挙げられる。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を、加熱溶融混練し反応させる際の溶融混練温度は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤の融点以上であれば特に制限はないが、反応性、成形性の観点から、好ましくは150℃〜270℃、より好ましくは160℃〜260℃、最も好ましくは170℃〜250℃である。
また、本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤を、加熱溶融混練し反応させる際の反応時間は、特に制限はないが、反応性、成形性の観点から、好ましくは5秒〜1800秒、より好ましくは10秒〜1200秒、最も好ましくは20秒〜600秒である。
また、本発明においては、共役ジエン系重合体以外のものを含んでいてもよく、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系樹脂、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を含有するアクリル系樹脂、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。
本発明において、耐衝撃性向上の観点から、(B)ポリオレフィン系樹脂とは異なる(F)エチレン/α−オレフィン共重合体を配合することが好ましい。
本発明において、(F)エチレン/α―オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素原子数3以上、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも一種以上との共重合体であり、上記の炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いた共重合体が機械強度の向上の点から好ましく、特に、耐衝撃性に優れるという点で、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
(B)ポリオレフィン系樹脂とは異なる(F)エチレン/α−オレフィン共重合体を配合する場合は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部として、1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜30重量部である。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、カルボキシル基反応性化合物、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、滑剤、離形剤、難燃剤、染料および顔料を含む着色剤、結晶核剤、帯電防止剤、その他の熱可塑性樹脂などを添加することができる。
本発明において、機械特性、成形性、耐熱性などに優れた樹脂組成物が得られるという点から、充填剤を配合することが好ましい。充填剤としては、通常、熱可塑性樹脂の充填剤として用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ウォラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維などの繊維状無機充填剤、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレイ、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などの板状や粒状の無機充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維、絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤもしくはラクダなどの動物繊維、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉、籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材などの、繊維状、粉末状もしくはチップ状の有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、繊維状無機充填剤、板状無機充填剤、有機充填剤が好ましく、特に、ガラス繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、マイカ、カオリン、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、紙粉、木粉が好ましい。繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。これらの充填剤は一種または二種以上で用いることができる。また、充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていても良い。
本発明において、充填剤の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、1〜300重量部が好ましく、5〜150重量部がより好ましい。
本発明において、機械特性、成形性、耐熱性などに優れた樹脂組成物が得られるという観点から、可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤としては、一般によく知られているものを使用することができ、例えば、ポリアルキレングリコール系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができ、耐ブリードアウト性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などのポリアルキレングリコール系可塑剤、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペート、アセチルトリブチルサイトレート、メトキシカルボニルメチルジブチルサイトレート、エトキシカルボニルメチルジブチルサイトレートなどの多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどのグリセリン系可塑剤が好ましい。これらの可塑剤は一種または二種以上で用いることができる。
本発明において、可塑剤の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲が好ましく、0.5〜20重量部の範囲がより好ましい。
本発明において、(E)鎖延長剤とは異なるカルボキシル基反応性化合物を配合することが、得られる樹脂組成物の耐久性、靭性をよりいっそう改良し得る点で好ましい。カルボキシル基反応性化合物としては、(A)ポリ乳酸系樹脂のカルボキシル末端基と反応性のある化合物であれば特に限定されるものではないが、(A)ポリ乳酸系樹脂の熱分解や加水分解などで生成する乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基とも反応性を有するものであればより好ましく、熱分解により生成する酸性低分子化合物のヒドロキシル基末端基とも反応性を有する化合物であることがさらに好ましい。このようなカルボキシル基反応性化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ基含有化合物、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのオキサゾリン化合物、オキサジン化合物、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を使用することが好ましく、なかでもエポキシ基含有化合物および/またはカルボジイミド化合物が好ましい。上記カルボキシル基反応性化合物は、一種または二種以上の化合物を任意に選択して使用することができる。
本発明において、カルボキシル基反応性化合物の配合量は、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
本発明においては、さらにカルボキシル基反応性化合物の反応触媒を添加することが好ましい。ここで言う反応触媒とは、カルボキシル基反応性化合物と、(A)ポリ乳酸系樹脂の末端や酸性低分子化合物のカルボキシル基との反応を促進する効果のある化合物であり、少量の添加で反応を促進する効果のある化合物が好ましく、さらに、カルボキシル基反応性化合物の反応触媒は、熱分解により生成する酸性低分子化合物のヒドロキシル基との反応を促進する効果も有することが好ましい。このような反応触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステルが好ましい。反応触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.001〜1重量部が好ましく、0.01〜0.2重量部がより好ましく、0.02〜0.1重量部が最も好ましい。
本発明においては、使用する用途に応じて適度にカルボキシル末端基や酸性低分子化合物と反応を行えばよいが、具体的な(A)ポリ乳酸系樹脂の末端や酸性低分子化合物のカルボキシル基もしくはヒドロキシル基との反応性の程度としては、耐加水分解性の観点から、樹脂組成物中の酸濃度が10当量/10g以下となるように反応させることが好ましく、5当量/10g以下となるように反応させることがより好ましく、1当量/10g以下となるように反応させることがさらに好ましい。樹脂組成物中の酸濃度は、樹脂組成物を適当な溶媒に溶解させた後、濃度既知の水酸化ナトリウムなどによるアルカリ化合物溶液での滴定や、核磁気共鳴法(NMR)により測定することができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、本発明で規定する要件を満たす限り、特に制限はなく、例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C)共役ジエン系重合体、ならびに必要に応じてその他の添加剤を可溶溶媒中で加熱攪拌下、反応させる方法や例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C)共役ジエン系重合体、ならびに必要に応じてその他の添加剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法などが挙げられるが、短時間での反応促進の観点から、好ましくは例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C)共役ジエン系重合体、ならびに必要に応じてその他の添加剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法が使用できる。
本発明において、(A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂および(C)共役ジエン系重合体、ならびに必要に応じてその他の添加剤を加熱溶融させた状態で混練し反応させる方法に、特に制限はないが、好ましくは押出機やニーダーなどの加熱溶融混練装置を使用することにより、反応させる手法が用いられ、より好ましくは押出機を使用することにより反応させる手法である。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、三軸以上の多軸押出機、二軸・単軸複合押出機などが挙げられるが、好ましくは、混練性および利便性の点から、単軸押出機、二軸押出機が好適に使用できる。
なお、本発明において、単軸または二軸押出機などを用いて溶融混練する方法により、熱可塑性樹脂組成物を製造する際、(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物、(E)鎖延長剤、(F)エチレン/α−オレフィン共重合体およびその他添加剤を配合する場合、任意の箇所で配合することができるが、好ましくは、(A)ポリ乳酸系樹脂、(E)鎖延長剤および場合により(D)リン系化合物を事前に押出機で溶融混練して(A)ポリ乳酸系樹脂のペレットを得た後、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂、場合により(C)共役ジエン系重合体、(F)エチレン/α−オレフィン共重合体およびその他添加剤を押出機のメインフィーダーから供給して溶融混練する方法(二段混練法)、押出機のメインフィーダーから(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤および場合により(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物を供給し、(B)ポリオレフィン系樹脂、場合により(F)エチレン/α−オレフィン共重合体およびその他添加剤を押出機の途中に設置したサイドフィーダーから供給し、(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂を溶融混練する方法(サイドフィード混練法)などにより熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
なお、本発明において、前記サイドフィード混練法により、熱可塑性樹脂組成物を製造する場合、前記MFRとは、押出機の途中に設置したサイドフィーダーから供給する(B)ポリオレフィン系樹脂と混練される前の(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートのことであり、その測定手法としては、例えば、(B)ポリオレフィン系樹脂を供給するサイドフィーダー手前(メインフィーダー側)にサンプリングバルブを設けた押出機を使用し、そのサンプリングバルブから採取した(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートを測定する手法や(A)ポリ乳酸系樹脂を供給するメインフィーダーから(B)ポリオレフィン系樹脂を供給するサイドフィーダーまでのL/D(L:押出機スクリュー長さ、D:押出機スクリュー直径)が等しい別の押出機を使用し、予め(E)鎖延長剤と反応せしめた(A)ポリ乳酸系樹脂を製造しておき、製造した(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートを測定する手法などが挙げられる。なお、サイドフィード混練法で、押出機のメインフィーダーから(A)ポリ乳酸系樹脂と(E)鎖延長剤および場合により(C)共役ジエン系重合体を供給する場合、MFRを測定する際には、(C)共役ジエン系重合体を除く必要がある。この場合、(C)共役ジエン系重合体を除く方法としては、例えば、(A)ポリ乳酸系樹脂が可溶で、(C)共役ジエン系重合体が不要である溶媒(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノールなど)を使用し、(A)ポリ乳酸系樹脂のみを溶解させ、その溶液から溶媒を揮発させることにより得られた(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレートを測定する。
なお、本発明において、単軸または二軸押出機などを用いて溶融混練する方法により、熱可塑性樹脂組成物を製造する際、本発明で規定する要件を満たす限り、押出機のL/Dは特に制限はないが、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜80、最も好ましくは30〜70である。なお、前記サイドフィード混練法により、熱可塑性樹脂組成物を製造する場合、押出機途中に設置したサイドフィーダーの位置は、本発明で規定する要件を満たす限り特に制限はないが、押出機のL/Dを100%として、好ましくはメインフィーダーから30%〜95%の位置、より好ましくはメインフィーダーから40%〜92%の位置、最も好ましくは50%〜90%の位置である。 本発明において、樹脂組成物を製造する際の、溶融混練温度は、170〜270℃が好ましく、175℃〜265℃がさらに好ましく、180〜260℃が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、公知の各種成形法により、成形品とすることができる。成形法としては、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形などが好ましく、射出成形品、押出成形品、プレス成形品およびブロー成形品など各種成形品に加工することにより特に有用に利用することができ、また、シート、フィルム、繊維などとして利用することができる。
本発明において、成形法として、射出成形を選択する場合は、金型温度としては、耐熱性、成形性および外観性の点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、試験片の変形を抑制できるという点から、120℃以下が好ましく、99℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、自動車部品(内装・外装部品など)、電気・電子部品(各種ハウジング、歯車、ギアなど)、建築部材、土木部材、農業資材、および日用品など各種用途に利用することができる。具体的には、エアフローメーター、エアポンプ、サーモスタットハウジング、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブースター部品、各種ケース、各種チューブ、各種タンク、各種ホース、各種クリップ、各種バルブ、各種パイプなどの自動車用アンダーフード部品、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、スペアタイヤカバー、コンソールボックス、フィニッシュプレート、カウルサイドドリム、スカッフプレート、ピラー、ツールボックス、ドアトリムなどの自動車用内装部品、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車用外装部品、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクターなどに代表される自動車部品を挙げることができる。また、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブのハウジングおよび内部部品、コピー機のハウジングおよび内部部品、ファクシミリのハウジングおよび内部部品、パラボラアンテナなどに代表される電気・電子部品を挙げることができる。さらに、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、ビデオカメラ、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品を挙げることができる。また、電子楽器、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機などのハウジングや内部部品、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、モーターケース、スイッチ、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子部品、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、ルーフパネル、断熱壁、アジャスター、プラ束、天井釣り具、階段、ドアー、床などの建築部材、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋などの水産関連部材、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シート、飛灰押さえシート、ドレーンシート、保水シート、汚泥・ヘドロ脱水袋、コンクリート型枠などの土木関連部材、歯車、ねじ、バネ、軸受、レバー、キーステム、カム、ラチェット、ローラー、給水部品、玩具部品、ファン、テグス、パイプ、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの機械部品、マルチフィルム、トンネル用フィルム、防鳥シート、植生保護用不織布、育苗用ポット、植生杭、種紐テープ、発芽シート、ハウス内張シート、農業用塩ビフィルムの止め具、緩効性肥料、防根シート、園芸ネット、防虫ネット、幼齢木ネット、プリントラミネート、肥料袋、試料袋、土嚢、獣害防止ネット、誘因紐、防風網などの農業部材、紙おむつ、生理用品包材、綿棒、おしぼり、便座ふきなどの衛生用品、医療用不織布(縫合部補強材、癒着防止膜、人工器官補修材)、創傷被覆材、キズテープ包帯、貼符材基布、手術用縫合糸、骨折補強材、医療用フィルムなどの医療用品、カレンダー、文具、衣料、食品等の包装用フィルム、トレイ、ブリスター、ナイフ、フォーク、スプーン、チューブ、プラスチック缶、パウチ、コンテナー、タンク、カゴなどの容器・食器類、ホットフィル容器類、電子レンジ調理用容器類化粧品容器、ラップ、発泡緩衝剤、紙ラミ、シャンプーボトル、飲料用ボトル、カップ、キャンディ包装、シュリンクラベル、蓋材料、窓付き封筒、果物かご、手切れテープ、イージーピール包装、卵パック、HDD用包装、コンポスト袋、記録メディア包装、ショッピングバック、電気・電子部品等のラッピングフィルムなどの容器・包装、天然繊維複合、ポロシャツ、Tシャツ、インナー、ユニホーム、セーター、靴下、ネクタイなどの各種衣料、カーテン、イス貼り地、カーペット、テーブルクロス、布団地、壁紙、ふろしきなどのインテリア用品、キャリアーテープ、プリントラミ、感熱孔版印刷用フィルム、離型フィルム、多孔性フィルム、コンテナバッグ、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、紙、皮革、不織布等のホットメルトバインダー、磁性体、硫化亜鉛、電極材料等粉体のバインダー、光学素子、導電性エンボステープ、ICトレー、ゴルフティー、ゴミ袋、レジ袋、各種ネット、歯ブラシ、文房具、水切りネット、ボディタオル、ハンドタオル、お茶パック、排水溝フィルター、クリアファイル、コート剤、接着剤、カバン、イス、テーブル、クーラーボックス、クマデ、ホースリール、プランター、ホースノズル、食卓、机の表面、家具パネル、台所キャビネット、ペンキャップ、ガスライターなどとして有用である。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性の点から、アイゾット衝撃強度が、45J/m以上であることが好ましく、55J/m以上であることがより好ましく、70J/m以上であることがさらに好ましく、100J/m以上であることが特に好ましい。ここで、アイゾット衝撃強度は、ASTM D256に従って測定した、3mm厚ノッチ付き短冊状成形品のアイゾット衝撃強度である。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性の点から、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、85℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましく、100℃以上であることが最も好ましい。ここで、荷重たわみ温度は、ASTM D648に従って測定した、12.7mm×127mm×3mmの成形品の荷重たわみ温度である。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性の点から、アイゾット衝撃強度が55J/m以上、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が85℃以上であることが好ましく、アイゾット衝撃強度が60J/m以上、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が90℃以上であることがより好ましく、アイゾット衝撃強度が70J/m以上、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が100℃以上であることがさらに好ましい。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。また、使用した原料および表中の符号を以下に示す。
(A)ポリ乳酸系樹脂
(A−1)ポリL乳酸樹脂(D体1.2%、MFR14g/10分(190℃、21.2N)、Mw(PMMA換算)16万、融点168℃)
(A−2)ポリL乳酸樹脂(D体1.2%、MFR3.5g/10分(190℃、21.2N)、Mw(PMMA換算)21万、融点168℃)。
(B)ポリオレフィン系樹脂
(B−1)ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、プライムポリマー製S119、MFR24g/10分(190℃、21.2N)、融点169℃)
(B−2)ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、プライムポリマー製J108M、MFR18.4g/10分(190℃、21.2N)、融点169℃)
(B−3)ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、プライムポリマー製J106G、MFR6.4g/10分(190℃、21.2N)、融点169℃)
(B−4)ポリプロピレン樹脂(ブロックポリマー、プライムポリマー製J708UG、MFR18.4g/10分(190℃、21.2N)、融点169℃)
(B−5)ポリプロピレン樹脂(ランダムポリマー、日本ポリプロ製MG03B、MFR12.1g/10分(190℃、21.2N)、融点159℃)
(B−6)ポリプロピレン樹脂(ランダムポリマー、日本ポリプロ製MG05ES、MFR18.4g/10分(190℃、21.2N)、融点159℃)。
(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体
(C−1−1)SEBS(旭化成ケミカルズ製“タフテック”H1031、スチレン含有量30重量%、MFR150g/10分(230℃、21.2N))
(C−1−2)SEBS(クラレ製“セプトン”8076、スチレン含量30重量%、MFR65g/10分(230℃、21.2N))
(C−1−3)SEPS(クラレ製“セプトン”2002、スチレン含量30重量%、MFR70g/10分(230℃、21.2N))。
(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体
(C−2−1)イミノ基変性SEBS(旭化成ケミカルズ製“タフテック”MP10、スチレン含有量30重量%、MFR4g/10分(230℃、21.2N))
(C−2−2)イミノ基変性SEBS(旭化成ケミカルズ製“タフテック”N503、スチレン含有量30重量%、MFR20g/10分(230℃、21.2N))
(C−2−3)アミノ基変性SEBS(JSR製“ダイナロン”8630P、スチレン含有量15重量%、MFR15g/10分(230℃、21.2N))。
(C−3)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分以下の共役ジエン系重合体
(C−3−1)SEBS(旭化成ケミカルズ製“タフテック”H1041、スチレン含有量30重量%、MFR5g/10分(230℃、21.2N))
(C−3−2)SEPS(クラレ製“セプトン”4033、スチレン含有量30重量%、MFR5g/10分(230℃、21.2N)。
(D)リン系化合物
(D−1)ホスフェート系化合物(ADEKA製“アデカスタブ”AX−71)
(D−2)ホスファイト系化合物(ADEKA製“アデカスタブ” PEP−8)。
(E)鎖延長剤
(E−1)エポキシ基含有スチレン/アクリル酸エステル共重合体(BASF製“JONCRYL”ADR−4368、Mw(PMMA換算)8,000、エポキシ等量285g/mol)
(E−2)エポキシ基含有スチレン/アクリル酸エステル共重合体(東亞合成製“ARUFON”UG−4030、Mw(PMMA換算)11、000、エポキシ等量556g/mol)。
(F)エチレン−α−オレフィン共重合体
(F−1)エチレン/ブテン(三井化学製“タフマー”A−35070S、密度870kg/m3、MFR35g/10分(190℃、21.2N))
(F−2)エチレン/ブテン(三井化学製“タフマー”A−0550S、密度864kg/m3、MFR0.5g/10分(190℃、21.2N))
(F−3)エチレン/ブテン(住友化学製“エクセレン”CX5505、密度870kg/m3、MFR16g/10分(190℃、21.2N))
(F−4)エチレン/ヘキセン(住友化学製“エクセレン”CX4002、密度880kg/m3、MFR8g/10分(190℃、21.2N))。
(G)充填剤
(G−1)タルク(日本タルク製P−6)。
(H)可塑剤
(H−1)ポリエチレングリコール(三洋化成工業製PEG6000S)。
(I)カルボキシル基反応性化合物
(I−1)ポリカルボジイミド(日清紡製“カルボジライト”LA−1)。
(J)その他熱可塑性樹脂
(J−1)ポリエチレンワックス(三井石油化学製“ハイゼックス”1300J、MFR115g/10分(230℃、21.2N)、13g/10分(190℃、21.2N))
(J−2)高流動ポリスチレン(日本ポリスチレン製G120K、MFR56.3g/10分(230℃、21.2N)、30g/10分(200℃、5kgf))。
また、本発明で用いた測定方法および判定方法を以下に示す。
(1)(A)ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準PMMA換算の重量平均分子量の値である。溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、流速0.5mL/minとし、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入して測定した。
(2)流動性(MFR)
東洋精機製「メルトインデクサー」を用い、JIS K7210に従って、190℃((A)ポリ乳酸系樹脂、(B)ポリオレフィン系樹脂、(E)エチレン/α−オレフィン共重合体)、および、230℃((C)共役ジエン系重合体)、21.2N荷重において測定した。
(3)成形性(成形サイクル時間)
射出成形機(住友重機械工業製SG75H−MIV)を用い、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で射出成形を行い、成形性について、引張試験に供することができる引張試験片を金型から取り出す際に、変形のない固化した成形品が得られる最短の時間を成形サイクル時間として計測した。成形サイクル時間が短いほど成形性に優れているといえる。
(4)耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に従って、3mm厚ノッチ付き短冊状成形品のアイゾット衝撃強度を測定した。
(5)耐衝撃性(高速面衝撃強度)
島津製「SURVOPULSER」を用い、ASTM D3763−2に従って、10mm×10mm×3mmの成形品の高速面衝撃試験(速度:5m/s)を実施し、下記判断基準により判定した。
○:延性破壊
△:やや延性破壊
×:脆性破壊。
(6)耐熱性(DTUL)
ASTM D648に従って、12.7mm×127mm×3mmの成形品の荷重たわみ温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(7)耐剥離性
10mm×10mm×3mmの角板成形品ゲート付近にカッターナイフで1mm間隔に碁盤目状の切り傷を付け、セロハンテープを碁盤目上に粘着し、角板の面に対して90°の角度で瞬間的に引き剥がした後、成形品表面の状態を観察し、100マス中で剥がれたマス目を測定し、下記判断基準により判定した。
0:剥がれなし
1:剥がれ5%以下
2:剥がれ5〜15%以下
3:剥がれ15〜30%以下
4:剥がれ35〜50%以下
5:剥がれ50%を超える。
さらに、成形機中で30分滞留させた後、射出成形して得られた10mm×10mm×3mmの角板成形品についても、同様の評価を実施した。
[実施例1〜10、比較例1〜9]
表1および表2に示すように原料を配合し、30mm径、L/D=45の二軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用い、シリンダー温度210℃(または230℃)、回転数200rpmの条件で溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。
得た樹脂組成物を、射出成形機(住友重機械工業製SG75H−MIV)を用い、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で射出成形を行い、耐剥離性評価用の成形品を得た。
得た成形品を用いて、耐剥離性評価を行った結果を表1および表2に示す。
Figure 2011132489
Figure 2011132489
表1および表2の結果から、MFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を配合した実施例1〜3では、MFRが30g/10分以下の比較例5、6より耐剥離性が向上することがわかる。
実施例4では、MFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体およびMFRが30g/10分以下の極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を併用することにより、比較例5、6、MFRが30g/10分以下の極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を単独で配合した比較例7、実施例1〜3より耐剥離性が向上することがわかる。
実施例5〜7では、混練温度を210℃から230℃に上昇させることにより、実施例4よりさらに耐剥離性が向上し、比較例2のポリプロピレン樹脂同等となることがわかる。
実施例8、9では、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)を制御することにより、実施例4、実施例10より耐剥離性が向上し、比較例2のポリプロピレン樹脂同等となることがわかる。
実施例1〜10のいずれにおいても、ポリ乳酸とポリプロピレンを単純にブレンドした比較例3〜5や、共役ジエン系重合体の代わりにポリエチレンを配合した比較例8、共役ジエン系重合体の代わりにポリスチレンを配合した比較例9より耐剥離性が向上することがわかる。
[実施例11〜40、比較例10〜18]
表3〜表6に示すように原料を配合し、30mm径、L/D=45の二軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用い、シリンダー温度210℃(または230℃)、回転数200rpmの条件で溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。
実施例21〜24および29〜32については、(A)ポリ乳酸系樹脂、(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物を事前に230℃で溶融混練(1貫目混練)して樹脂組成物を得た後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を210℃で溶融混練(2貫目混練)を行い、実施例33については、(A)ポリ乳酸系樹脂、(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物、(E)鎖延長剤を事前に230℃で溶融混練(1貫目混練)して樹脂組成物を得た後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を210℃で溶融混練(2貫目混練)を行い、樹脂組成物を得た(二段混練法)。なお、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)については、1貫目混練にて得られた樹脂組成物を、ヘキサフルオロイソプロパノールにて(A)ポリ乳酸系樹脂のみを溶解させ、その溶液から溶媒を揮発させることにより得られた(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)を測定した。
実施例34、35については、(A)ポリ乳酸系樹脂、(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物を二軸押出機のメインフィーダーから供給し、L/D=35の位置に設けたサイドフィーダーから(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を供給し、230℃で溶融混練を行い、実施例36、37については、(A)ポリ乳酸系樹脂、(C)共役ジエン系重合体、(D)リン系化合物、(E)鎖延長剤を二軸押出機のメインフィーダーから供給し、L/D=35の位置に設けたサイドフィーダーから(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を供給し、230℃で溶融混練を行い、樹脂組成物を得た(サイドフィード混練法)。なお、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)については、(B)ポリオレフィン系樹脂を供給するサイドフィーダー手前(メインフィーダー側)にサンプリングバルブを設けた押出機のサンプリングバルブから採取した樹脂組成物を、ヘキサフルオロイソプロパノールにて(A)ポリ乳酸系樹脂のみを溶解させ、その溶液から溶媒を揮発させることにより得られた(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)を測定した。
得た樹脂組成物を、射出成形機(住友重機械工業製SG75H−MIV)を用い、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で射出成形を行い、各種評価用の成形品を得た。
得た成形品を用いて、各種評価を行った結果を表3〜表6に示す。
Figure 2011132489
Figure 2011132489
Figure 2011132489
Figure 2011132489
表3〜表6の結果から、実施例11〜14では、MFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を単独で配合する、または、MFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体およびMFRが30g/10分以下の極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を併用することにより、MFRが30g/10分以下の極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を単独で配合した比較例11〜13より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上することがわかる。
実施例15では、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)を制御することにより、実施例12より耐剥離性が向上することがわかる。
実施例16では、混練温度を210℃から230℃に上昇させることにより、実施例12より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上することがわかる。
実施例17、18では、ベースのポリプロピレン系樹脂を、ホモポリマー単独からブロックポリマー単独へ変更することにより、比較例14、16より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上し、実施例12より耐熱性および耐衝撃性が向上することがわかる。また、実施例17では、混練温度が230℃であり、混練温度が210℃の実施例18より耐熱性および耐衝撃性が向上することがわかる。
実施例19では、ベースのポリプロピレン系樹脂を、ホモポリマー単独からランダムポリマー単独へ変更することにより、比較例15より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上し、実施例12より耐衝撃性および面衝撃が向上することがわかる。
実施例20では、ホスフェート系のリン系化合物を添加することにより、実施例18より耐熱性、耐衝撃性および成形機で30分滞留後の耐剥離性が向上することがわかる。
実施例21では、ポリ乳酸系樹脂と共役ジエン系重合体を事前に溶融混練して樹脂組成物を得た後、ポリオレフィン系樹脂およびその他の添加剤と溶融混練することにより、実施例18より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上することがわかる。
実施例22では、ホスフェート系のリン系化合物を配合し、また、ポリ乳酸系樹脂と共役ジエン系重合体を事前に溶融混練して樹脂組成物を得た後、ポリオレフィン系樹脂およびその他の添加剤と溶融混練することで、実施例20より耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性が向上し、実施例21より耐熱性、耐衝撃性および成形機で30分滞留後の耐剥離性が向上することがわかる。
実施例23では、可塑剤を配合しなくても、実施例22と同等の高い耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性を維持することがわかる。
実施例24では、ホスファイト系のリン系化合物を配合することにより、実施例22と同等の高い耐熱性、耐衝撃性および耐剥離性を維持することがわかる。
実施例25では、エチレン−α−オレフィン共重合体を配合することにより、実施例12より大幅に耐剥離性が低下することなく、耐衝撃性および面衝撃が向上することがわかる。
実施例26、27では、エチレン−α−オレフィン共重合体を配合し、ベースのポリプロピレン系樹脂を、ホモポリマーからブロックポリマーまたはランダムポリマーへ変更することにより、実施例18、19、25より耐衝撃性および面衝撃が向上することがわかる。
実施例28では、可塑剤を配合しなくても、実施例27と同等の高い耐衝撃性および面衝撃を維持することがわかる。
実施例29では、エチレン/α−オレフィンを配合し、また、ポリ乳酸系樹脂と共役ジエン系重合体を事前に溶融混練して樹脂組成物を得た後、ポリオレフィン系樹脂と溶融混練することにより、実施例27と同等の高い耐衝撃性および面衝撃を維持しつつ、耐剥離性が向上することがわかる。
実施例30では、リン系化合物を配合することにより、実施例29より耐熱性、耐衝撃性、および成形機で30分滞留前後の耐剥離性が向上することがわかる。
実施例31では、ベースポリマーをMFRが異なるランダムポリマーに変更しても、実施例30と同等の高い耐熱性、耐衝撃性、面衝撃および耐剥離性を維持することがわかる。
実施例32、33では、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)を制御することにより、実施例31と同等の高い面衝撃、耐剥離性を維持しつつ、耐熱性、耐衝撃性が向上することがわかる。
実施例34では、混練方法を二段混練法からサイドフィード法に変更することにより、実施例31と同等の高い面衝撃、耐剥離性を維持しつつ、耐熱性、耐衝撃性が向上することがわかる。
実施例35、36、37では、(A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)を制御することにより、実施例34と同等の高い面衝撃、耐剥離性を維持しつつ、耐熱性、耐衝撃性が向上することがわかる。 実施例38〜40では、エチレン/α−オレフィン共重合体を変更しても、実施例27と同等の高い耐熱性、耐衝撃性、面衝撃および耐剥離性を維持することがわかる。
実施例11〜40のいずれにおいても、ポリ乳酸とポリプロピレンを配合した比較例10、ポリ乳酸、ポリプロピレンとリン系化合物を配合した比較例17より耐衝撃性および耐剥離性に優れることがわかる。また、ポリ乳酸とポリプロピレンとエチレン/α−オレフィン共重合体を配合した比較例18では、耐衝撃性は向上するが耐剥離性は実施例11〜40のいずれにも劣ることがわかる。

Claims (12)

  1. (A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部として、(A)ポリ乳酸系樹脂1〜99重量部、(B)ポリオレフィン系樹脂99〜1重量部、(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体を含む(C)共役ジエン系重合体1〜50重量部を配合してなる樹脂組成物。
  2. 前記(C)共役ジエン系重合体が、(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を含むものである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(C)共役ジエン系重合体が、共役ジエンを主成分とするブロックと芳香族ビニル系単位を主成分とするブロックを含むブロック共重合体、または、その水素添加ブロック共重合体である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 前記(C)共役ジエン系重合体が、官能基で変性されていない(C−1)230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分を超える共役ジエン系重合体および230℃、21.2N荷重条件におけるMFRが30g/10分以下の(C−2)極性官能基で変性された共役ジエン系重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記極性官能基が、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基のいずれか1種以上である請求項2または4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記極性官能基が、アミノ基および/またはイミノ基である請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. さらに(D)リン系化合物を、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)ポリオレフィン系樹脂の合計量を100重量部に対し0.01〜10重量部配合してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (A)ポリ乳酸系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)と(B)ポリオレフィン系樹脂の190℃、21.2N荷重条件におけるメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)が、0.01以上、3以下である(A)ポリ乳酸系樹脂および(B)ポリオレフィン系樹脂を配合してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. さらに(B)ポリオレフィン系樹脂とは異なる(F)エチレン/α―オレフィン共重合体を配合してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. (A)ポリ乳酸系樹脂と(C)共役ジエン系重合体を溶融混練した後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を溶融混練する請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  11. (A)ポリ乳酸系樹脂と(C)共役ジエン系重合体を溶融混練した後、(B)ポリオレフィン系樹脂およびその他添加剤を溶融混練してなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜9および11のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形品。
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