JP2011131508A - 微細紙粉含有樹脂成型用シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細紙粉を含有した樹脂からなる成型加工に適したシートの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】平均粒径が20〜100μmの微細紙粉を20〜70重量部、メルトフローレートが0.5〜2.5g/10分のポリプロピレンを20〜50重量部有する原材料を、押出成形機13,22により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解させ、シート状に押出成形する。
【選択図】図1
【解決手段】平均粒径が20〜100μmの微細紙粉を20〜70重量部、メルトフローレートが0.5〜2.5g/10分のポリプロピレンを20〜50重量部有する原材料を、押出成形機13,22により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解させ、シート状に押出成形する。
【選択図】図1
Description
本発明は、微細紙粉を含有した樹脂からなる成型加工に適したシートの製造方法に関する。
昨今、オフィス、出版社、製紙会社などから大量の廃紙が排出されている。紙は、一般的に木材などからの加工段階で、セルロース繊維を細かく柔らかくする高度な加工を受けており、付加価値の高い構造を有する機能性材料である。そのため、廃紙は、元来付加価値の高い構造を有する機能性材料であり、その上、環境負荷が実質ゼロの原材料となる。そこで、粉砕した廃紙を樹脂に混在させた紙含有樹脂組成物を成形加工の素材として用いることが提案されている。
例えば、特許文献1及び2には、解砕された古紙とポリオレフィンエラストマーとを原材料としてペレットを製造する方法及び装置が開示されている。古紙は、平均太さ0.01〜0.1mm、平均長さ0.1〜2.5mm程度の繊維状になるまで解砕される。ペレットは射出成形用の素材となる。
しかしながら、特許文献1及び2に開示されたペレットは射出成形用の素材であり、このペレットをシート状に成形しても、得られたシートを成型用素材として良好に用いることができない。
本発明は、以上の点に鑑み、微細紙粉を含有した樹脂からなる成型加工に適したシートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法は、平均粒径が20〜100μmの微細紙粉を20〜70重量部、230℃におけるメルトフローレートが0.5〜2.5g/10分のポリプロピレンを20〜50重量部有する原材料を、押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解させ、シート状に押出成形することを特徴とする。
本発明の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法により製造したシートは、引張強度、伸び率等に優れ、成型用素材として適したものとなる。そして、平均粒径20〜100μmの微細紙粉を含有した樹脂からなるので、本シートを成型加工すれば、転写性が優れるため、高品質の成型品を歩留り良く得ることができる。
これは、押出成形機により原材料を最高温度が200℃以下で混練溶解させるため、紙成分が炭化することがないことに基づく。さらに、押出成形機で原材料を混練溶解する際に脱気することによって、高い吸湿性を有する紙成分が水分などの揮発性成分を吸収することを抑制したことに基づく。さらに、原材料の20〜50重量部を占めるポリプロピレンの230℃におけるメルトフローレートが0.5〜2.5g/10分であるので、押出成形機内で混練溶解した原材料のメルトフローレートが適宜なものとなり、押出成形が良好なものとなる。
また、本発明において、前記原材料を、前記押出成形機に投入する前に、予め攪拌して均一に混合することが好ましい。この場合、攪拌時に発生する摩擦熱により原材料に含まれる揮発性成分をある程度除去することができるので、さらに、押出成形機内の原材料に含まれる揮発性成分を減少させることができる。
また、本発明において、前記原材料に、190℃におけるメルトフローレートが0.3〜1.5g/10分のポリエチレンを1〜30重量部追加することが好ましい。この場合、押出成形機内で混練溶解した原材料のメルトフローレートを適宜なものに調整することが容易となり、押出成形がさらに良好なものとなる。
また、本発明において、前記原材料に、消臭剤を追加することが好ましい。この場合、押出成形機内で加熱された紙成分の焦臭を抑制することができる。
また、本発明において、前記原材料を第1の押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解して、ペレットを形成し、該ペレットを予備乾燥した後、第2の押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で溶解してシート状に成形することが好ましい。この場合、一旦ペレットを形成するので、このペレットを用いて適所にてシートを形成することが可能となる。
本発明の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法の実施形態を図1を参照して説明する。
本発明に係る微細紙粉含有樹脂成型用シートの製造方法は、微細紙粉含有樹脂からなるペレットを製造するペレット製造装置10を用いたペレット製造工程と、該ペレット製造工程で製造したペレットを用いて成型用微細紙粉含有樹脂シートを形成するシート製造装置20を用いたシート形成工程とから構成されている。
ペレット製造装置10は、原材料を攪拌する混合機11と、混合機11で攪拌された原材料の分級を防止する攪拌器12と、攪拌器12から投入された原材料を混練しながら押し出し成形する混練押出機13と、混練押出機13の後端に接続され微細紙粉含有樹脂を円柱状に押出す成形用ダイス14と、冷却された円筒状のストランドをペレット状に切断するペレタイザー15とから構成されている。
原材料は、平均粒径20〜100μmに紙片を微細粉砕した微細紙粉と、ポリオレフィン系合成樹脂からなるペレット状の樹脂材料とから構成され、微細紙粉を20〜70重量部、樹脂材料を30〜80重量部有する。
樹脂材料は、ポリプロピレン又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものであり、ポリプロピレンを20〜50重量部、ポリエチレンを0〜30重量部有する。ポリプロピレンは、230℃におけるメルトフローレート(以下、MFRという)0.5〜2.5g/10分、ポリエチレンは、190℃におけるMFR:0.3〜1.5g/10分である。なお、MFRは、JIS K7210で規定されている測定方法による測定値である。ポリプロピレンとして、ブロック重合ポリプロピレン、ランダム重合ポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレン、メタロセン−ポリプロピレンなどを使用することができる。ポリエチレンとして、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒ポリエチレン、変成ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)を使用することができる。
さらに、原材料に、必要に応じて添加剤を0.5〜5.0重量部と微量追加してもよい。添加剤は、酸化防止剤、滑剤、消臭剤、漂白剤、着色剤などである。ここで、酸化防止剤は、酸化防止機能やラジカルトラップ機能を有し、熱安定剤とも呼称され、例えばフェノール系、リン系及びイオウ系の酸化防止剤が挙げられる。滑剤は、混練押出機内での樹脂材料とスクリューとの摩擦を低減する効果を有し、外滑剤とも呼称され、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムである。
まず、原材料を混合機11により均一に混合する。ここでは、混合機11は、ヘンシェルミキサーであり、攪拌翼を毎分300〜500回転程度で駆動させ、3〜5分程度原材料を攪拌して混合する。これにより、原材料中の水分がある程度蒸発する。
そして、混合機11で均一に混ぜた原材料を、攪拌器12に投入する。攪拌器は、攪拌翼を毎分3〜10回転程度で回転させて、均一化された原材料の分級を防止する。
混練押出機13は、詳細は図示しないが、シリンダ16と、シリンダ16内に収容され、それぞれ減速機を介してモータに接続された1対のスクリューと、シリンダ16の前端側に接続された原材料投入口としてのホッパー17と、シリンダ16の外周面に取り付けられた加熱用のヒータ18と、シリンダの途中に複数形成されたベント19(19a及び19b)とを備えている。
微細紙粉と樹脂材料とは、シリンダ16内でヒータ18によって加熱され120〜130℃から徐々に昇温され、樹脂材料が溶融して微細紙粉と混合させられながら、スクリューによって先端側から後端に接続された成形用ダイス14の方へ順次移送される。そして、軟化状態の混合材料が成形用ダイス14の出口から外部に押出される。
なお、ポリプロピレンなどの樹脂を用いて押出成形を行う場合、通常220〜250℃まで樹脂を加熱するが、200℃を超えて加熱すると紙が炭化するので、最高200℃までしか加熱しない。さらに、混合材料が固いと、押出成形時に大きな負荷がかかり発熱し紙焼けの原因となり、混合材料が柔らかいとシートの成形不良が生じる。そこで、混合材料のMFRを適度に調整する必要があり、前述したMFRの範囲にある樹脂材料を用いる。
スクリューは、長軸の第1スクリューと短軸の第2スクリューとからなり、第1及び第2スクリューが隣接配置された2軸スクリュー部で原材料がゲル状となり、第1スクリューのみが配置された単軸スクリュー部で原材料を安定的に吐出する。
ベント19は、シリンダ16内を移送される原材料に含まれる揮発性成分(水分や水蒸気を含む)を抜き取る。ベント19は、2軸スクリュー部の中央部付近に設けられたオープンベント19aと、単軸スクリュー部に設けられた真空ベント19bとから構成されている。オープンベント19aで半ゲル状態となった原材料の脱気を行い、真空ベント19bでさらに溶解された原材料の脱気を行っている。微細紙粉が揮発性成分を吸収したまま溶融樹脂に混合されると、後行程で十分に脱気を行うことができなくなるので、オープンベント19aによって、混合樹脂が半ゲル状態で脱気を行っている。
成形用ダイス14の出口形状は、例えば丸孔形状である。混練押出機13の後端に接続されたダイス14によって、混合材料がストランド状に押出される。ペレタイザー15は、例えばストランドカット式であり、図示しないが、押出された軟化状態の混合材料を水槽で固化した後、ペレタイズすることにより、ペレットを製造する。なお、ホットカット式のペレット製造機を使用してもよい。
このようにしてペレット製造装置10を用いて製造されたペレットは、シート製造装置20を用いて成型用微細紙粉含有樹脂シートに成形される。
シート製造装置20は、ペレットを乾燥する予備乾燥機21と、予備乾燥機21から投入されたペレットを溶解しながら押出成形する押出成形機22と、押出成形機22から押出されたシートを引き取り冷却固化するシート冷却引取機23と、シートを巻き取るシート巻取機24とから構成されている。
まず、ペレットを予備乾燥機21に投入する。予備乾燥機21は、機内温度を100℃程度で2時間以上運転させ、ペレットに含まれる水分を蒸発させる。ペレットに含有される紙成分は高吸水性であるので、時間経過に伴い、空気中の水分を吸収する。そこで、押出成形前に、ペレットに含まれる水分を蒸発させて、ペレットの含水率を低下させる。
押出成形機22は、詳細は図示しないが、シリンダ25と、シリンダ25内に収容され、減速機を介してモータに接続されたスクリューと、シリンダ25の前端側に接続された原材料投入口としてのホッパー26と、シリンダ25の外周面に取り付けられた加熱用のヒータ27と、シリンダの途中に形成されたベント28と、シリンダ25の後端に接続された成形用ダイス29とを備えている。なお、二軸スクリュー方式の押出成形機を用いてもよい。
ホッパー26は、ドライヤー付きホッパーであり、ホッパー内温度が80〜100℃程度に維持されている。ホッパー26に投入されたペレットは、さらに乾燥させられながら、シリンダ25内に投入される。
なお、前述したように、ポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて押出成形を行う場合、通常220〜250℃まで樹脂原料を加熱するが、200℃を超えて加熱すると紙が炭化するので、シリンダ25内で溶解されたペレットを最高200℃までしか加熱しない。
ベント28は、真空ベントであり、シリンダ25内の脱気を行う。
成形用ダイス29は、ここではスリット状の出口を有するTダイスであり、軟化した混合材料がシート状となって押出される。
押出成形機22から押出されたシートは、複数のローラを備える冷却引取機23に引き取られ、ローラに掛け渡されながら冷却固化され、その後、シート巻取機24により巻き取られる。
このようにして形成されたシートは、引張強度、伸び率等に優れ、成型用素材として適したものである。そして、シートは平均粒径20〜100μmの微細紙粉を含有した樹脂からなるので、本シートを成型加工すれば、転写性が優れるため、高品質の成型品を歩留り良く得ることができる。
なお、押出成形機22から押出されたシートの片面にポリプロピレンなどからなるシートを張り合わせてもよい。これにより、シートを用いて成型加工した食器の食品面にラミネート加工が施され、食品衛生上好ましいものとなる。
また、混練押出機13及び押出成形機22内は最高200℃以下まで加熱されるので、原材料中の紙成分の一部が焦げて薄茶色になることがある。そこで、添加剤として消臭剤を追加して、臭気を抑制することが好ましい。消臭剤として、例えば活性炭、ゼオライト、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5.0重量部添加する。なお、シートを食器の成型加工に用いる場合には、食品衛生を考慮して選択する必要がある。
本発明は、上記の各実施形態に限定されず、各実施形態を適宜組み合わせた形態などであってもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、ペレット製造装置10で一旦ペレットを製造して、このペレットを用いて成型シート製造装置20でシートを形成する場合について説明した。しかしながら、これに限定されず、ペレットを経ることなく、成形用ダイス14に成形用ダイス29を用い、その後に、冷却引取機23及びシート巻取機24を接続してもよい。
(実施例1)
平版白を平均粒径50μmに粉砕した微細紙粉を53重量部、MFRが2.0g/10分のポリプロピレンを30重量部、MFRが0.82g/10分のポリエチレンを20重量部、酸化防止剤(株式会社チバガイギー製、商品名Irg1010)を0.2重量部を原料として、上記ペレット製造装置10及びシート製造装置20を用いて0.8mm厚のシートを製造した。
平版白を平均粒径50μmに粉砕した微細紙粉を53重量部、MFRが2.0g/10分のポリプロピレンを30重量部、MFRが0.82g/10分のポリエチレンを20重量部、酸化防止剤(株式会社チバガイギー製、商品名Irg1010)を0.2重量部を原料として、上記ペレット製造装置10及びシート製造装置20を用いて0.8mm厚のシートを製造した。
得られたシートは、薄茶色で、良好な外観であった。このシートは、2号ダンベル引張試験片で測定した結果、引張強度28.3MPa、伸び率2.6%、引張弾性率2985MPaであり、成型素材として優れていることがわかった。
そして、本シートを用いて成型加工を行い、椀状成型品を得た。この成型品は、微細紙粉の分散不良による斑もなく良好な外観を示し、成形反りも少なく良好であった。
10…ペレット製造装置、 11…混合機、 12…攪拌器、 13…混練押出機(第1の押出成形機)、 14…成形用ダイス、 15…ペレタイザー、 16…シリンダ、 17…ホッパー、 18…ヒータ、 19…ベント、 20…シート製造装置、 21…予備乾燥機、 22…押出成形機(第2の押出成形機)、 23…シート冷却引取機、 24…シート巻取機、 25…シリンダ、 26…ホッパー、 27…ヒータ、 28…ベント、 29…成形用ダイス。
Claims (5)
- 平均粒径が20〜100μmの微細紙粉を20〜70重量部、230℃におけるメルトフローレートが0.5〜2.5g/10分のポリプロピレンを20〜50重量部有する原材料を、押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解させ、シート状に押出成形することを特徴とする微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法。
- 前記原材料を、前記押出成形機に投入する前に、予め攪拌して均一に混合することを特徴とする請求項1に記載の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法。
- 前記原材料に、190℃におけるメルトフローレートが0.3〜1.5g/10分のポリエチレンを1〜30重量部追加することを特徴とする請求項1又は2に記載の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法。
- 前記原材料に、消臭剤を追加することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法。
- 前記原材料を第1の押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で混練溶解して、ペレットを形成し、該ペレットを予備乾燥した後、第2の押出成形機により脱気しながら最高温度が200℃以下で溶解してシート状に成形することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の微細紙粉含有樹脂製成型用シートの製造方法。
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JP2017109343A (ja) * | 2015-12-15 | 2017-06-22 | トヨタ車体株式会社 | 成形品の製造方法 |
WO2020137301A1 (ja) | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 株式会社環境経営総合研究所 | セルロース系原料含有樹脂シート |
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