JP2011129411A - 電動車両用バッテリのコネクタ構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バッテリ2は、左右ガイド手段21による上下方向案内下に上昇させた後、ねじ式ロック機構22により車体フロア5の下方に取り付ける。バッテリ2と車体側電装系とを接続するコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇中にバッテリ側コネクタ部材が車体側コネクタ部材に嵌合する。コネクタユニット23を、バッテリ2の前端面と交差する箇所においてフロアトンネル部6内に配置し、両ガイド手段21から等距離の位置、つまりこれらの双方に近い位置となす。コネクタユニット23の車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材は、車体組み立て誤差の累積に起因した相対位置ずれを生じないため、両コネクタ部材の相互嵌合部に芯ずれを生ずることがなく、コネクタユニット23が横負荷を受けることがない。
【選択図】図5
Description
電動モータ用のバッテリと、車体側電装系との間の電気接続を司るコネクタ構造に関するものである。
そのため、大型で重いバッテリを車体に取り付けるに当たっては、このバッテリを車体フロアの下方に配して、またバッテリの車幅方向中央がほぼ車体の車幅方向中程に位置するよう配して取り付けるのが一般的である。
車体側のコネクタ部材およびバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニットは、バッテリの上昇ストローク中にバッテリ側のコネクタ部材が車体側のコネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリの取り付けを自動化するのに有利である。
この提案技術は、バッテリを上記のごとく上昇させて車体フロアの下方に取り付けるものでなく、バッテリを車体フロアの下方レベルで車幅方向に挿入することにより車体フロアの下方に取り付けるものを前提とするが、
バッテリの挿入方向後端面(車幅方向における一側面)にバッテリ側コネクタ部材を設け、バッテリの上記挿入による車体フロア下方への取り付け後に、車体側コネクタ部材をバッテリ側コネクタ部材に対し電気接続状態に嵌合するよう構成したものである。
先ず、車体組み立て治具により車体骨格部材間の相互位置決めを行うが、その際、これら車体骨格部材に設けた基準位置としてのロケートホールに車体組み立て治具の位置決めピンを挿入して車体骨格部材の相互位置決めを行う。
次に、この相互位置決め状態を保って車体骨格部材間を溶接などにより相互に結合することで、車体を高精度に組み立てる。
そして、これら2個一組のロケートホールは、車体前部を乗員保護などのため車体後部よりも高強度に構成することから、車両の前側におけるロケートホールの方が、車両の後側におけるロケートホールよりも位置精度に優れているのが普通である。
このガイド手段は、上昇中のバッテリを、車体フロアの下面における下向きバッテリ収納空所に対し整列した車両前後方向位置および車幅方向位置に位置決めしておくもので、ロケートピンなどにより構成する。
そして当該ガイド手段は、バッテリを車体フロア下面の下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるものであるを要し、さもなくばバッテリが上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉し、最悪の場合バッテリの取り付け不能を惹起する。
バッテリのガイド手段と車体のロケートホールとの距離が遠いほど、バッテリガイド手段の設置箇所における車体組み立て誤差の累積値が大きくなって、バッテリガイド手段が車体に対し大きな相対位置ずれを持つようになり、その分だけバッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が低下する。
しかし、バッテリガイド手段を車体ロケートホールの近くに配置すれば、上記車体組み立て誤差の累積値が小さく、車体に対するバッテリガイド手段の相対位置ずれも小さくて、バッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が高くなる。
2個一組のバッテリガイド手段がバッテリを車体フロア下面の下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させ得て、
バッテリが上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
これらロケートホールが前記した通り車体の比較的前側で、且つ車幅方向両側に位置することから、バッテリガイド手段をバッテリの車両前後方向前端寄りにおける車幅方向両側に設けることとなる。
当該バッテリ側のコネクタ部材と、車体側のコネクタ部材とで構成されるコネクタユニットが、一方のバッテリガイド手段に対しては近いものの、他方のバッテリガイド手段からは遠く離れていることになる。
前記した車体組み立て誤差の累積により、コネクタユニットを成すバッテリ側コネクタ部材と、車体側コネクタ部材との相対位置ずれが発生して、バッテリ側コネクタ部材と車体側コネクタ部材との相互嵌合部に芯ずれを生ずる。
この着想を具体化して上記の問題を解消した、電動車両用バッテリのコネクタ構造を提供することを趣旨とする。
このトンネル部のスペースを有効利用して、車室スペースやバッテリ容量を犠牲にすることなくコネクタユニットを設置し得るようにした、電動車両用バッテリのコネクタ構造を提供することを目的とする。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる電動車両は、
車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部を有した車体フロアの下方にバッテリを、該バッテリの車幅方向両側にそれぞれ設けたガイド手段による車両上下方向案内下に上昇させて取り付けたものである。
上記バッテリの上昇ストローク中相互に電気接続される車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材より成るコネクタユニットを具えたものであることを前提とする。
上記車体側コネクタ部材を上記トンネル部内に取り付け、
上記バッテリ側コネクタ部材を、上記バッテリの上昇ストローク中、上記トンネル部内の車体側コネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう配置してバッテリに取り付けた構成に特徴づけられる。
バッテリの取り付け状態で、車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材よりなるコネクタユニットが車体フロアのトンネル部内に位置することとなる。
そのためコネクタユニットは、バッテリの車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段の双方に対し近い位置にあって、コネクタユニットを構成する車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材は、前記した車体組み立て誤差の累積に起因した相対位置ずれを解消される。
この芯ずれにより、コネクタユニットが耐久性を損なわれたり、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという前記の問題を解消することができる。
トンネル部のスペースを有効利用したコネクタユニットの設置が可能となり、コネクタユニットが車室スペースを犠牲にしたり、バッテリ容量を犠牲にすることがない。
このトンネル部内にコネクタユニットの車体側コネクタ部材を取り付ける本発明によれば、車体側コネクタ部材の取り付け位置精度を高く保つことができ、
車体側コネクタ部材とバッテリ側コネクタ部材との相互嵌合部における芯ずれを一層確実に回避し得て前記の作用効果を更に確実なものにすることができる。
<全体構成>
図1〜3は、本発明のコネクタ構造を適用可能な電気自動車の車体に対するバッテリの配置例を示し、
図1は、車両の左前方上方から見て示す斜視図、図2は、車両の上方から見て示す平面図、図3は、車両の左側方から見て示す側面図である。
これらの図において、1は、電動車両である電気自動車の車体、2は、電動モータ(図示せず)用のバッテリをそれぞれ示す。
なお図1〜3では、従動輪としての左右後輪をそれぞれ4L,4Rにより示した。
従ってバッテリ2は、大型であるだけでなく、重く(例えば400kg程度)、車体1に対し着脱自在または永続的に取り付けるとき、車体の重心が高くなって走行不安定になるのを回避する工夫、および車幅方向の車両重量バランスをとる工夫が、安全上も肝要である。
なお図1〜3における6は、車体フロア5の車幅方向中程で車両前後方向に延在する車体フロアトンネル部(トンネル部材)である。
図4は、車体フロア5を車両の左斜め上方から見て示す斜視図、図5は、車体フロア5を、その下側にバッテリ2が取り付けられた状態で、車両の下方から見て示す底面図である。
図4,5に明示するごとく車幅方向両側にあってトンネル部材6に対しほぼ平行となるよう車両前後方向に延在する左右フロントサイドメンバ7,8と、
同じく図4,5に明示する通り、これら左右フロントサイドメンバ7,8の車幅方向外側に沿うよう車両前後方向に延在する左右サイドシル9,10と、
図5に明示するごとく、左右フロントサイドメンバ7,8の車両前後方向後端にそれぞれサイドメンバ結合部7a,8aを介し結合されて、ここから車両前後方向後方へ延在する左右リヤサイドメンバ11,12とを、主たる車体骨格部材として具える。
そして、車体骨格部材6〜12間の隙間を塞ぐよう図4のごとく、フロントフロアパネル13およびリヤフロアパネル14を取り付けることにより、車体フロア5を高精度に組み立てる。
なお、かかる高精度な組み立てを実現するために、組み立て時の基準位置となるロケートホール(図5に、左右フロントサイドメンバ7,8のロケートホール7b,8bで示す)は、対を成すもの同士が車幅方向両側に位置するよう配置する。
バッテリ2を車体フロア5に対し図5に示すごとき前後方向相対位置に位置させ、これによりバッテリ5の大部分を後で詳述するごとく、車体後側部分よりも強度的に優れており、且つバッテリ取り付け精度の維持に有利な、車体前側部分を構成するトンネル部材6および左右フロントサイドメンバ7,8によって支持し得るようになす。
かかるバッテリ2を上記の通り車体フロア5の下方に配して取り付けに当たり、本実施例においては当該バッテリ2を、図5に示したガイド手段21による車両上下方向案内下に上昇させて、最終的に図1〜3および図5に示すごとき車体フロア5の下方における取り付け位置となし、この位置においてバッテリ2をねじ式ロック機構22により車体フロア5の下方にロックして取り付けるものとする。
そこで本実施例においては図5に示すごとく、上記の車体側電装系に接続された車体側のコネクタ部材、およびバッテリ2に接続されたバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニット23を設ける。
車体側のコネクタ部材およびバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇ストローク中にバッテリ側のコネクタ部材が車体側のコネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリ2の取り付けを自動化する上で大いに有利である。
バッテリ2を車体取り付けに際し上昇させる間、車両上下方向に案内するためのガイド手段21を詳述する。
このガイド手段21は、上昇中のバッテリ2を、車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し整列した車両前後方向位置および車幅方向位置に位置決めしておくもので、図6〜8につき後述するロケートピンなどにより構成する。
そしてガイド手段21は、バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるものでないと、バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉し、最悪の場合バッテリ2が取り付け不能になる。
バッテリガイド手段21と車体フロア5のロケートホール(例えば図5に示すフロントサイドメンバ7,8のロケートホールを7b,8b)との距離が遠いほど、バッテリガイド手段21の設置箇所における車体フロア組み立て誤差の累積値が大きくなって、バッテリガイド手段21が車体フロア5に対し大きな相対位置ずれを持つようになり、その分だけバッテリ収納空所に対するバッテリ2の整列精度が低下する。
しかし、バッテリガイド手段21を車体フロアロケートホールの近くに配置すれば、上記車体組み立て誤差の累積値が小さく、車体フロア5に対するバッテリガイド手段21の相対位置ずれも小さくて、バッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が高くなる。
2個一組のバッテリガイド手段21がバッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させ得て、
バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
これらロケートホール7b,8bが車体フロア5の前側部分において車幅方向両側に位置することから、バッテリガイド手段21を図5に示すごとく、バッテリ2の前端に近い箇所でその車幅方向両側に設置する。
つまり、バッテリ2のバッテリフレーム2aにブラケット24を介してロケートピン本体25を設け、このロケートピン本体25をブラケット24から上方へ突出させる。
バッテリ2の上昇中、ロケートピン本体25が貫入するロケートスリーブ26をフロントサイドメンバ7(8)に設ける。
よってガイド手段21は、バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させた状態で車両上下方向に案内し、バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し一層高精度に整列させておくことができ、上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
上記したロケートピン式バッテリガイド手段21による案内下で図1〜3および図5に示すごとき車体フロア5の下方における取り付け位置まで上昇させたバッテリ2を車体フロア5の下方にロックして取り付けるためのねじ式ロック機構22を以下に詳述する。
残りの2個を、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の車両前後方向前端に車幅方向へ相互離間させて配置し、バッテリ2の前端をフロントサイドメンバ7,8およびトンネル部材6間の橋絡部材15,16に取り付けるようになす。
後側における2個のねじ式ロック機構22は、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の車両前後方向後側における車幅方向両側にそれぞれ配置して、バッテリ2の後側における車幅方向両側をリヤサイドメンバ11,12に取り付けるようになす。
車体フロア5のうち、前後サイドメンバ結合部7a,8aより前方の車体フロア部分を構成する骨格部材間の結合強度は、前後サイドメンバ結合部7a,8aより後方の車体フロア部分を構成する骨格部材間の結合強度よりも大きくて、車両上下方向における変形にも強く、平面度を確保し易い。
そこで本実施例においては、バッテリ2の支持強度を高強度な車体フロア5の前方部分に多く分担させるようにし、これにより、バッテリ2の支持強度不足を解消すると共に、バッテリ2の支持姿勢を安定させるべく、
ねじ式ロック機構22を図5につき上述した通り、左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより前方に多く(6個)配置し、左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより後方に少なく(2個)配置することとする。
図9,10はそれぞれ、ねじ式ロック機構22の全体構造を示し、図9は、このねじ式ロック機構22をアンロック状態で、また図10は、このねじ式ロック機構22をロック状態でそれぞれ示す。
そして図11,12はそれぞれ、図9,10に示すねじ式ロック機構22の要部を分解して示す斜視図である。
そのためロックプレート27には、矩形開口27aを穿設すると共に、その中央に配して円形開口27bを穿設する。
ロックプレート27を車体フロア5に固着するに際しては、ロックプレート27の四隅における隅角孔27cに挿通したボルトなどの緊締手段により、ロックプレート27を対応する側のフロントサイドメンバ7(8)に取着する。
ボルト32は、ロックベース31に回転自在に挿通すると共に、図9〜11におけるボルト32の下端に一体成形したボルトヘッド(図示せず)で、図9〜11の上方へ抜け止めする。
このロックナット33は、そのねじ込み方向に見て矩形など四角形断面のナットとし、その中央に、ボルト32へねじ込むための雌ねじを有する構成とする。
ただし円形孔27bの直径は、図10,11に示すロック位置にあるロックナット33の通過を許容しない大きさとする。
これらテーパ面33a,33bはそれぞれ以下のように機能する。
かかる芯だし不良があると、両コネクタ部材の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を掛けてコネクタユニット23の耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークが発生する原因となる。
このとき、ロックナット33がロックプレート27の矩形孔27a内に隙間無く密に嵌合されることから、バッテリ2を、コネクタユニット23のバッテリ側コネクタ部材が車体側コネクタ部材に対し正確に芯だしされるよう位置決めすることができ、
両コネクタ部材の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用することがなく、コネクタユニット23の耐久性が低下したり、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという問題を回避することができる。
かかるボルト32の先端部に図9,10のごとくに嵌着してロックナット強制連れ回し部材34を設ける。
板状部材34aの中心に、ボルト32の上記先端部非円形断面形状に対応する非円形孔34dを穿ち、この非円形孔34dをボルト32の先端部に摺動自在に嵌合することにより、ロックナット強制連れ回し部材34をボルト32の先端部に回転係合させて軸線方向スライド可能に設ける。
バネ35などの弾性手段でロックナット33に向け附勢されるロックナット強制連れ回し部材34の脚部34bにそれぞれ、ロックナット33の前記した長辺側テーパ面33aとの共働により以下のカム作用を生起する平坦カム面34cを設定する。
つまり、ロックナット33がストッパ31bまたは31cにより対応方向制限位置に抑止された後は、ロックナット強制連れ回し部材34が平坦カム面34cにおいてロックナット長辺側テーパ面33aを乗り越えつつ、また、この乗り越えに伴ってバネ35を圧縮しつつロックナット33から遠ざかる方向へストロークしながら、ロックナット33に対し相対回転してロックナット連れ回し力を解放し得るよう、ロックナット強制連れ回し部材側平坦カム面34cの傾斜角を決定する。
軸線方向溝32aの長さを決定するに際しては、ボルト32の緊締方向回転によりロックナット33が図10,11のロック位置にされて緊締方向ストロークを開始した後ただちに、ロックナット強制連れ回し部材34が上記のストローク限界位置となってここに止まり、ロックナット33が更に緊締方向ストロークを行うとき、ロックナット33がロックナット強制連れ回し部材34の脚部34bから離れるよう、軸線方向溝32aの長さを決定する。
上記の構成になるねじ式ロック機構22は、ロックベース31を前記した通りバッテリ2(バッテリフレーム2a)に取着してバッテリ2の側に設け、ロックプレート27を車体フロア5に取着して車体側に設けることにより実用し、
バッテリ2を車体フロア5の下方における下向き開口付きバッテリ収納空所内に着脱自在に収納してロックするに際し、ねじ式ロック機構22はロックプレート27との共働により以下のように当該ロック機能を果たす。
バッテリ2の取り付けに際しては、ボルト32の図13(a)に矢印で示す弛緩方向への回転によりロックナット33が、後で詳述するようにロックナット連れ回し部材34により連れ回されて、ストッパ31bにより図9および図13(a)に示す弛緩方向制限位置(アンロック位置)されている。
しかし、ロックナット33はこの緊締方向制限位置(ロック位置)を越えてロックナット強制連れ回し部材34により連れ回されることがなく、図10、図13(b)および図14(a)に示すごとく当該回転位置に止まる。
ボルト32を更に緊締方向へ回転をさせると、ロックナット33は図14(b)に示すごとく、緊締方向制限位置(ロック位置)を保って同図の矢印方向へねじ込まれ、同図に示す下限位置のロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)から離れつつ、ロックベース31に接近する方向へストロークする。
これによりロックナット33およびロックベース31は、両者間にロックプレート27を挟圧し、バッテリ2をバッテリ収納空所内に収納した位置にロックして保持することができる。
バッテリ2をバッテリ収納空所から取り出すためロック解除するに際しては、上記したロック状態においてボルト32をナットランナなどで図16(a)に矢印で示す弛緩方向へ回転させる。
しかし図18 (a)に示す接触状態では未だ、ロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)がロックナット33のねじ込み方向後端面上に乗っていて、ロックナット連れ回し力を発生し得ないため、ロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)はボルト32と共にロックナット33に対し弛緩方向へ相対回転する。
この時バネ35がロックナット強制連れ回し部材34を図18(b)の矢印方向に附勢して、ロックナット強制連れ回し部材34を、その平坦カム面34cがロックナット長辺側テーパ面33aに対向したストローク位置となす。
以上により図16(b) および図17(a)に示すごとく、ロック時と同じ緊締方向制限位置のままのロックナット33と、ロックナット強制連れ回し部材34とは、テーパ面33aおよび平坦カム面34cの共働により回転係合された状態となる。
しかし、ロックナット33はこの弛緩方向制限位置(アンロック位置)を越えてロックナット強制連れ回し部材34により連れ回されることがなく、図17(b)に示すごとく当該回転位置に止まる。
ボルト32を弛緩方向へ更に回転をさせると、ロックナット33は図17(b)の弛緩方向制限位置(アンロック位置)を保って同図の矢印方向へ緩みストロークを行い、バネ35を圧縮しつつロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)を同方向へ変位させながら、ロックベース31から遠ざかる方向へストロークする。
なお、バッテリ2は車体側電装系との間の電気接続を司るコネクタ構造が不可欠であり、そのため本実施例においては図5につき前述したごとくコネクタユニット23を設ける。
このコネクタユニット23は、図19,20に示すように、車体側電装系に接続された車体側のコネクタ部材41と、バッテリ2に接続されたバッテリ側のコネクタ部材42とで構成する。
車体側のコネクタ部材41およびバッテリ側のコネクタ部材42より成るコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇ストローク中にバッテリ側コネクタ部材42が車体側コネクタ部材41に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリ2の取り付けを自動化する上で大いに有利であり、本実施例においてもコネクタユニット23を、図19,20につき後述するごとく、そのように構成する。
前記した車体組み立て誤差の累積により、コネクタユニット23を成すバッテリ側コネクタ部材42と、車体側コネクタ部材41との相対位置ずれが発生して、バッテリ側コネクタ部材42と車体側コネクタ部材41との相互嵌合部に芯ずれを生ずる。
従ってこれらコネクタ部材41,42の相互嵌合部における芯ずれを殆どなくすことができ、両コネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用することが無く、コネクタユニット23の耐久性が低下したり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという問題を解消することができる。
ところで車体フロア5の車幅方向中程には、車体フロア5の強度確保と、車体側電装系のワイヤハーネス配索用などのため、トンネル部材6が設けられ、車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部が設定されている。
そのため本実施例においてはコネクタユニット23を、図5,19,20に示すように車体フロア5の車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部材6(トンネル部)内に配置する。
ねじ式ロック機構22によるバッテリ2の取り付け後、下側におけるバッテリ側コネクタ部材42がトンネル部材6(トンネル部)から下方へ張り出すことのないよう車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42の取り付けレベルを決定するのが良い。
バッテリ2を上昇させて車体フロア5の下方に取り付ける際、バッテリガイド手段21による前記バッテリ2の上下方向案内と、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33による前記バッテリ2の位置決めおよびロック機能と、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合とは適切なタイミングで行われる必要がある。
かかるコネクタ部材41,42間の芯ずれは、これらコネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を作用させてコネクタユニット23の耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークを発生させる。
この時、図21(a)に示すようにロケートピン25がロケートスリーブ26への侵入を開始し、バッテリガイド手段21によりバッテリ2が上下方向に案内され始める。
これにより、ロックナット33のテーパ面33a,33bを設けられている先端がロックプレート矩形孔27aと干渉することなく、ロックプレート矩形孔27aに侵入し得る状態でバッテリ2が上昇されることとなり、この干渉でねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能が不能になって、バッテリ2を車体フロア5の下方におけるバッテリ収納空所に取り付けることができなくなる事態を回避することができる。
また、図21(c)に示すようにバッテリ側コネクタ部材42が車体側コネクタ部材41に達しておらず、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合も未だ開始されていない。
上記したバッテリ側コネクタ部材42および車体側コネクタ部材41間の正確な芯だしによれば、これらコネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用するのを確実に回避することができ、かかる横負荷でコネクタユニット23の耐久性が低下されたり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークを発生させるなどの問題を解消し得る。
上記した本実施例のコネクタ構造によれば、バッテリ2と車体側電装系とを接続するためのコネクタユニット23を成すバッテリ側コネクタ部材42を、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)と交差する箇所においてバッテリ2の車両前後方向前端面に取り付け、
車体側コネクタ部材41を、バッテリ側コネクタ部材42がバッテリ2の上昇ストローク中電気接続状態に嵌合するような位置に配して、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)内に取り付けたため、以下の作用効果が奏し得られる。
そのためコネクタユニット23は、バッテリ2の車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段21の双方に対し近い位置にあって、コネクタユニット23を構成する車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42は、前記した車体組み立て誤差の累積に起因した相対位置ずれを生ずることがない。
この芯ずれにより、コネクタユニット23が耐久性を損なわれたり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという問題を解消することができる。
トンネル部材6(車体フロアトンネル部)内のスペースを有効利用したコネクタユニット23の設置が可能となり、コネクタユニット23が車室スペースを犠牲にしたり、バッテリ容量を犠牲にすることがない。
このトンネル部材6(車体フロアトンネル部)内にコネクタユニット23の車体側コネクタ部材41を取り付ける本実施例によれば、車体側コネクタ部材41の取り付け位置精度を高く保つことができ、
車体側コネクタ部材41とバッテリ側コネクタ部材42との相互嵌合部における芯ずれを一層確実に回避し得て上記の作用効果を更に確実なものにすることができる。
なお図示の実施例では、左側フロントサイドメンバ7と左側リヤサイドメンバ11との結合部7a、および右側フロントサイドメンバ8と右側リヤサイドメンバ12との結合部8aよりも車両前後方向前方における高強度で組み立て精度の高い車体フロア前側部分におけるロケートホール7b,8bの近くにバッテリガイド手段21を配置すべく、このガイド手段21がバッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端部に近い車幅方向両側に設置されている場合のコネクタ構造につき説明したが、これに限られるものではない。
車体フロアトンネル部と、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の後端面とが交差する箇所のトンネル部内にコネクタユニット23を配置することで、前記したと同様な作用効果を達成することができる。
但し、コネクタユニット23を車体フロアトンネル部と、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面または後端面との交差箇所の車体トンネル部内に配置する方が、コネクタユニット23の取り付けレベルに関する設計の自由度が高くて有利であるのは言うまでもない。
バッテリ2が、その他バッテリモジュールと称せられるようなものなど、如何なる型式のものである場合も、前記した本発明の着想を適用して同様な作用効果を奏し得ること勿論である。
2 バッテリ
2a バッテリフレーム
3L,3R 左右前輪(駆動輪)
4L,4R 左右後輪
5 車体フロア
6 トンネル部材(車体フロアトンネル部)
7,8 左右フロントサイドメンバ
7a,8a 左右の前後サイドメンバ結合部
7b,8b ロケートホール
9,10 左右サイドシル
11,12 左右リヤサイドメンバ
13 フロントフロアパネル
14 リヤフロアパネル
15,16 橋絡部材
21 バッテリガイド手段
22 ねじ式ロック機構
23 コネクタユニット
24 ブラケット
25 ロケートピン本体
26 ロケートスリーブ
27 ロックプレート
27a 矩形開口
27b 円形開口
31 ロックベース
31b,31c ストッパ
32 ボルト
33 ロックナット
33a ロックナット長辺側テーパ面
33b ロックナット短辺側テーパ面
34 ロックナット強制連れ回し部材
34a 板状部材
34b 脚部
34c 平坦カム面
35 バネ
36 バネ座
41 車体側コネクタ部材
42 バッテリ側コネクタ部材
43,44 ブラケット
Claims (3)
- 車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部を有した車体フロアの下方にバッテリを、該バッテリの車幅方向両側にそれぞれ設けたガイド手段による車両上下方向案内下に上昇させて取り付けた電動車両であって、
前記バッテリの上昇ストローク中相互に電気接続される車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材より成るコネクタユニットを具えた電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記車体側コネクタ部材を前記トンネル部内に取り付け、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの上昇ストローク中、前記トンネル部内の車体側コネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう配置してバッテリに取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。 - 前記ガイド手段が、前記バッテリの車両前後方向前端寄りの車幅方向両側にそれぞれ設けられている、請求項1に記載された電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの車両前後方向前端面に取り付け、
前記車体側コネクタ部材を、前記バッテリ側コネクタ部材が前記バッテリの上昇ストローク中電気接続状態に嵌合するような位置に配して前記トンネル部内に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。 - 前記ガイド手段が、前記バッテリの車両前後方向後端寄りの車幅方向両側にそれぞれ設けられている、請求項1に記載された電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの車両前後方向後端面に取り付け、
前記車体側コネクタ部材を、前記バッテリ側コネクタ部材が前記バッテリの上昇ストローク中電気接続状態に嵌合するような位置に配して前記トンネル部内に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。
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