JP2011127946A - 間質性肺炎判定マーカーによる判定法 - Google Patents

間質性肺炎判定マーカーによる判定法 Download PDF

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Abstract

【課題】間質性肺炎に関して、外科的肺生検の施行は、しばしば、困難なことが多く、病理組織学的検索なしに、間質性肺炎の検出診断、さらには疾患活動性の評価、経過観察、特には予後の見通しをより正確に行なうのに助けとなる、そして簡便に測定の行えるマーカーを提供する。
【解決手段】血液中のIL-8量を、間質性肺炎の判定又は診断、間質性肺炎の種類の特定、間質性肺炎の症状進行の可能性の程度、リスクの高低、間質性肺炎の病態生理学的状態及び/又は治療応答性の傾向を分析あるいは評価するための指標として用いる判定方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、間質性肺疾患、特には間質性肺炎の病状を判定するマーカー並びにそれを使用した間質性肺炎の病状の判定法に関する。
間質性肺炎(Interstitial Pneumonia, IP)とは、肺の間質、すなわち、肺胞隔壁(胞隔)の炎症性疾患の総称であり、病因の明らかなものから、その病因の不明なものまで様々な種類のものが含まれるが、ある種のものは肺胞の線維化を起こし、それが進行して呼吸不全を呈して、増悪して治療不能に至る恐ろしい経過をたどる。ここで、肺の間質とは、狭義では肺胞隔壁、広義では小葉間間質、胸膜近傍などを含む。間質性肺炎は、その種類により、治療方法、病気の経過の見通しが異なるので、その種類の判別は非常に重要と考えられている。
間質性肺炎の原因には、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病(自己免疫疾患)、職業上や生活上での粉塵(ほこり)やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入、病院で処方される薬剤、漢方薬、サプリメントなどの健康食品、特殊な感染症など様々あることが知られているが、明確な原因を特定できないものは、特発性間質性肺炎(Ideopathic Interstitial Pneumonia, IIP)に分類され、病理学的に以下のように区分けされている。
特発性肺線維症(Ideopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)は、通常型間質性肺炎(Usual Interstitial Pneumonia, UIP)の病理所見をとり臨床経過は慢性で、ステロイドへの反応は悪く、風邪などにより急性増悪(安定していた病状が急速に悪化すること)する場合があり、病気の経過や予後は極めて悪く、完全に回復することはなく、病状を悪化させないように注意するというのが治療指針である。
非特異性間質性肺炎(Non-Specific Interstitial Pneumonia, NSIP)は、さらにI群、II群、III群に細分化されており、I群は線維化なし、II群は線維化有り、蜂巣化無し、III群は線維化、蜂巣化が共に有るタイプで、その臨床経過は亜急性〜慢性で、ステロイドへの反応は比較的良好で、病気の経過や予後は一般的には良いが、まれには不良があるというものである。本病の場合、病状の改善、完全回復ありであるが、予後は特発性器質化肺炎(COP)と比較すると良くない。
急性間質性肺炎(Acute Interstitial Pneumonia, AIP)の臨床経過は急性で、ステロイドへの反応は悪く、病気の経過や予後は極めて悪いが、まれに完全回復する場合がある。本病の場合、始め高熱があり、風邪の症状が出て急速に呼吸困難が進む場合が多い。また、回復する場合は自然回復である。
特発性器質化肺炎(Cryptogenic Organizing Pneumonia, COP)は、以前は、閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia, BOOP)と呼ばれていたもので、臨床経過は亜急性で、ステロイドへの反応は良好で、病気の経過や予後は良好であり、本病では、病状の改善、完全回復がある。
呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患(Respiratory Bronchiolitis-associated Interstitial Lung Disease, RB-ILD)、剥離性間質性肺炎(Desquamative Interstitial Pneumonia, DIP)は、臨床経過は亜急性又は慢性で、ステロイドへの反応は良好で、病気の経過や予後は良好であり、本病では、病状の改善、完全回復がある。
リンパ性間質性肺炎(Lymphocytic Interstitial Pneumonia, LIP)は、膠原病や血液疾患に伴うものが多く、臨床上は極めて稀であることが知られている。
ここで、慢性とは、年単位でその病状が進行していくもので、亜急性とは、月単位でその病状が進行していくもの、そして、急性とは、週単位でその病状が進行していくものである。
これら特発性間質性肺炎のうち頻度的にはIPF、NSIP、OP(Organizing Pneumonia)がほとんどを占め、喫煙との関連が高いとされるRB-ILD、DIPがそれに続き、LIPは、原因が特定されないAIPと同様、臨床上極めて稀であるとされている。
現状では、病理学(主に生検により採取された肺組織の検査)と臨床像(臨床所見、治療に対する反応性、病気の経過)とを比較対比することにより、疾病の分類が行われている。しかしながら、患者の様態からすべてのヒトに肺生検を行うことは困難であることから、血液検査などにより、少なくとも、病気の経過の見通しの良好な場合と、そうでない場合とをより正確に判別することが求められている。
間質性肺炎に関連した肺疾患の診断に係る先行技術の特許文献としては、例えば、特許文献1〜4などが挙げられる。また、間質性肺炎の血清マーカーなどについては、非特許文献1〜3などを挙げることができる。
特開平5-312087号公報 特開2005-30852号公報 特表2002-540801号公報 特表2006-519588号公報
河野修興、「間質性肺炎の診断と治療のマーカー」、臨床医, Vol. 24, No. 12, pp.2412-2415 (1998) 河野修興及び近藤圭一、最新医学, Vol. 56, No. 11, pp.2521-2528 (2001) 小川法良ほか、リウマチ, 43(1): pp.19-28 (2003)
上記したように、外科的肺生検の施行は、しばしば、困難なことが多く、病理組織学的検索なしに、血液検査などにより、少なくとも、病気の経過の見通しの良好な場合と、そうでない場合とをより正確に判別することが求められている。間質性肺炎の血清マーカーとしては、KL-6/MUC1、SP-A、SP-Dなどが有用であることが知られているが、疾患活動性の評価、経過観察、特には予後の見通しをより正確に行なうのに助けとなるマーカーを見出すことが求められている。
本発明者らは、簡便に測定の行える血液マーカーを使用して、間質性肺炎の原因、経過予測や判別を簡単かつより正確及び信頼性をもって行うことができる技術の探索を鋭意広範に行った結果、インターロイキン-8 (Interleukin-8, IL-8)の血液中の量と間質性肺炎との間に密接な関係があることを見出した。特に、間質性肺炎に罹っている患者の血液中のIL-8量が、当該疾患の経過を判断する上で、大きな相関を示していることを見出した。例えば、血中のIL-8量、特には血漿IL-8量が、肺の間質の炎症の程度や肺胞の線維化の重症化と相関すること、該疾患の重症度と関連する動脈血酸素分圧(PaO2)の測定値と相関を示すことを見出した。かくして、本発明に到達した。
本発明は、血液中のIL-8量、特には血漿中のIL-8量を指標とすることを特徴とする間質性肺炎の判定又は診断方法を提供する。上記IL-8に対する抗体を含有する試薬は、間質性肺炎の判定又は診断剤並びに間質性肺炎の判定又は診断用キットとして利用しうるものである。
一つの観点からは、本発明は次なる態様を提供している。
〔1〕間質性肺炎の検出又は診断方法であって、対象者から得られた試験サンプル中のインターロイキン8(IL-8)を定量測定し、当該試験サンプル中のIL-8の量を、間質性肺炎の検出又は診断、間質性肺炎の種類の特定、間質性肺炎の症状進行の可能性の程度、リスクの高低、間質性肺炎の病態生理学的状態及び/又は治療応答性の傾向を分析あるいは評価することを特徴とする方法。
〔2〕間質性肺炎の検出又は診断方法であって、肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のインターロイキン8(IL-8)を定量測定し、当該試験サンプル中のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者などでのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の検出又は診断を行う指標として使用することを特徴とする上記〔1〕記載の方法。
〔3〕該方法が、間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する方法であり、当該試験サンプル内のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者などでのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する指標として使用することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のIL-8の量が閾値より多い場合を、当該対象者の間質性肺炎の重篤性を示している指標とすることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の方法。
〔5〕試験サンプルが血漿であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の方法。
〔6〕膠原病患者の血漿中IL-8測定することによる間質性肺炎の検出又は診断を行うこと、又は、膠原病患者における、間質性肺炎と、薬剤性肺炎との鑑別診断を行うこと、を特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の方法。
〔7〕特発性間質性肺炎などの重篤な間質性肺炎と慢性過敏性肺臓炎との鑑別診断、及び/又は、特発性間質性肺炎などの重篤な間質性肺炎と塵肺との鑑別診断を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の方法。
〔8〕特発性間質性肺炎などの重篤な間質性肺炎と細菌性肺炎との鑑別診断を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の方法。
〔9〕血液中のKL-6またはSP-Dを定量測定し、得られたKL-6またはSP-D測定値を、血漿IL-8測定値と共に、利用することを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一に記載の方法。
〔10〕IL-8に対する抗体を有効成分として含有することを特徴とする間質性肺炎の検出又は診断剤。
血中のIL-8量、特には血漿IL-8量を指標とすることで、間質性肺炎のより精度の高い鑑別診断が可能であり、さらに、間質性肺炎の重篤変移性、疾患活動性の評価、経過観察などの評価並びに分析ができ、また、関節リウマチ患者における、間質性肺炎と、薬剤性肺炎との鑑別診断、そして、一般の間質性肺炎と、慢性過敏性肺臓炎、塵肺、さらには細菌性肺炎との鑑別診断に利用されて、有用である。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
各疾患の血漿IL-8値。 各疾患の血清KL-6値。 各疾患の血清SP-D値。 膠原病の一種である関節リウマチ患者(RA)において、間質性肺炎を併発した症例(RA-IP)に対して、併発しなかった症例(RA-NonIP)を用いてのROC解析。 膠原病の一種である関節リウマチ患者(RA)において間質性肺炎を併発した症例(RA-IP)に対して、併発しなかった症例(RA-NonIP)と健常人検体を用いてのROC解析。 IL-8値とKL-6値の相関性。 IL-8値とSP-D値の相関性。 膠原病の一種である関節リウマチ患者の治療による血漿IL-8値の変動。A)治療によって症状が変化しなかった症例、B)治療によって、症状が改善された症例。
本発明は、簡便に測定の行える血液マーカーIL-8を使用して、間質性肺炎の原因、経過予測や判別を簡単かつより正確及び信頼性をもって行うことができる技術を提供する。本発明は、間質性肺炎の疾患活動性の評価、経過観察、特には予後の見通しを、血液マーカーIL-8を使用して、より正確に行なう技術にも関する。
本発明において、肺胞の線維化を伴っている間質性肺炎に罹っている患者の血液中のIL-8量が、健常人や肺胞の線維化をきたしていな間質性肺炎患者、と比べて有意に高いことも見出している。また、血液中のIL-8量は、IIPにおける潜行性発症者の発見、無症状患者の発見、進行性の判定、増悪化性の判定、重症度の判定に有用で、それらと相関することも見出される。
本発明の一つの好ましい態様では、肺胞の線維化を伴っている間質性肺炎に罹っている患者の血漿中のIL-8量が、健常人や肺胞の線維化をきたしていな間質性肺炎患者、と比べて有意に高いとの知見を基礎にしている。また、血漿中のIL-8量は、特に、IIPにおける潜行性発症者の発見、無症状患者の発見、進行性の判定、増悪化性の判定、重症度の判定に非常に正確な判定を可能にする点で有用で、それらと相関するとの知見を基礎にしている。
本発明の一つの好ましい態様に従えば、血中のIL-8量、特には血漿IL-8量を、肺の間質の炎症の程度や肺胞の線維化の重症化と相関する使用として使用すること、また、該疾患の重症度を示す使用として利用する技術を提供する。
インターロイキン8(IL-8)は、サイトカインあるいはケモカインの一種であり、分子量8kDaの塩基性ポリペプチド(72個のアミノ酸残基からなるタンパク質)で、好中球、Tリンパ球に選択的に働く走化性因子である。産生細胞としては、末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞等であることが知られており、LPS、クレスチンなどのマイトゲン、IL-1、TNFなどの刺激によりIL-8が産生せしめられる。IL-8の生物活性は、好中球、Tリンパ球に走化性を示し、白血球の血管内皮細胞への接着の増加、好中球機能活性化を有している。
本発明において、血液中のIL-8量は、市販のIL-8測定試薬あるいはIL-8アッセイキットを使用して測定することができる。典型的態様では、IL-8に対する抗体を使用して血液中のIL-8量を測定できる。
本発明で使用されるIL-8に対する抗体としては、IL-8又はそのフラグメント部分に対する抗体、当該抗体から誘導された抗体フラグメントが挙げられる。該IL-8に対する抗体は、IL-8を特異的に認識するものであれば特に限定されず使用することができる。
該IL-8に対する抗体は、動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマなどから得られた血清より得られるポリクローナル抗体であってもよいし、マウスハイブリドーマなどのハイブリドーマ培養物より得られたモノクローナル抗体であってもよい。また、遺伝子組換え技術などを用いて作成した抗体であってもよい。
該IL-8に対する抗体は、必要により標識ないし固相化することができる。抗体の標識化の方法や手段、それの検出方法や手段は何ら限定されるものではなく、公知の方法や手段を適用できる。このうち標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセイン(例えば、フルオレセインイソチオシアネート, FITC)、ローダミン、DyLightTM(Thermo Fisher Scientific社)、フィコビリプロテイン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、アクリジニウムエステル等の化学発光物質、ルテニウム錯体などの電気化学発光物質、ビオチン-アビジン系などから選択された標識物質と、当該抗体(又は抗体フラグメント)を結合することにより行われる。また、固相化は、適切な固相に抗IL-8抗体(又は抗体フラグメント)を結合させることにより行われる。
固相としては、免疫化学的測定法において慣用される固相のいずれをも使用することができ、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリアクリレート、テフロン(登録商標)等の弗素樹脂、ポリアセタール、架橋デキストラン、ポリサッカライド等の高分子、その他紙,ガラス、金属、アガロースおよびこれらの組合せ等を用いることができ、例えば、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、試験管などの種々の形状としたものが挙げられる。典型的な態様では、例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレート、アミノ基結合型のマイクロタイタープレート等のプレートや、磁性粒子などの粒子、微粒子を含めた各種のビーズ類が挙げられる。抗体の固相化の方法や手段は何ら限定されるものではなく、公知の方法や手段を適用できる。抗IL-8抗体を固相化させるには、例えば、抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。
血液中のIL-8量を測定するには、当該分野で知られた様々な手法を使用できるが、典型的な態様では、免疫学的測定法(イムノアッセイ)を使用でき、例えば、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、酵素免疫測定法(EIA法:Engvall, E, Methods in Enzymol, 70, 419-439(1980))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、凝集法、オクタロニー(Ouchterlony)等の一般の免疫化学的測定法において使用されている種々の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプランニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3月5日)を利用することができる。
これらの測定方法は種々の観点から適宜、適切なアッセイ法を選択することができるが、感度、簡便性等の点からはELISA法を好ましく使用でき、例えば、IL-8の特定のエピトープを認識する抗IL-8抗体(第一の抗体)と、この抗体の認識するIL-8のエピトープとは別のエピトープを認識する抗IL-8抗体(第二の抗体)を利用するものを好ましく使用できる。また、ELISA法では、固相化された第一の抗IL-8抗体を含む第一の試薬と、標識された第二の抗IL-8抗体を含む第二の試薬を、好適に使用できる。
本発明では、IL-8に対する抗体を有効成分として含有している間質性肺炎の検出、判定又は診断剤を提供する。該IL-8に対する抗体は、IL-8を測定する方法に適した形態に、適宜、されて使用できる。そしてこれを利用して血液検体を含めた検体、例えば、血漿、血漿等の検体中のIL-8量を測定することができ、この量を指標とすることで、間質性肺炎の検出、判定及び/又は診断を行うことができる。典型的な態様では、固相化された第一の抗IL-8抗体を含む第一の試薬と、標識された第二の抗IL-8抗体を含む第二の試薬とを含有している間質性肺炎の検出、判定又は診断剤が提供される。
具体的には、間質性肺炎の診断には、間質の炎症や肺胞の線維化を伴う間質性肺炎とその他の肺疾患との鑑別が包含されてよい。ここで、「その他の肺疾患」とは、基本的に肺胞の線維化を伴わない肺疾患のことを指すと解釈してよく、例えば肺胞性肺炎やサルコイドーシス等の肉芽腫性肺疾患が挙げられる。より具体的に間質の炎症や肺胞の線維化を伴う間質性肺炎とその他の肺疾患との鑑別においては、検体中のIL-8値がカットオフ値以上を示せば間質の炎症や肺胞の線維化を伴う間質性肺炎と診断されるものであってよい。
当該検体中のIL-8値は、間質性肺炎の病態のモニタリング、治療反応性の評価に有用である。IL-8値を指標とすることで、感度よく、的確に間質性肺炎の検出、判定及び/又は診断を行うことができ、特には、間質性肺炎の病態のモニタリング、治療反応性の評価を、感度よく、的確に行うことができる。
本発明に従えば、間質性肺炎の検出又は診断方法が提供され、当該間質性肺炎の検出又は診断方法は、肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のIL-8を定量測定し、当該試験サンプル中のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者などでのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の検出又は診断を行う指標として使用することを特徴とするものである。
また、該方法は、間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する方法であって、当該試験サンプル内のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者でのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する指標として使用することを特徴とするものであることもできる。さらに、該方法では、肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のIL-8の量が閾値より多い場合を、当該対象者の間質性肺炎の重篤性を示している指標とすることを特徴とするものであることも可能である。
血清KL-6の測定は、例えば、河野 修興、他:「電気化学発光免疫測定法によるKL-6測定キットED066の間質性肺炎に対する診断能」、臨床と研究、75(5):217-222、1998及び小林 淳、他:「間質性肺炎の血清マーカーKL-6抗原の基準範囲、カットオフ値の設定に関する研究」、臨床病理、44:653〜658,1996などを参照して、実施できる。
血清SP-Dの測定は、例えば、永江 尚人、他、医学と薬学, 36(4): pp.803-808 (1996)及び本田 泰人、他、医学と薬学, 36(4): pp.809-815 (1996)などを参照して、実施できる。
疾患マーカーとは、疾患の診断や経過観察などに有用な所見を指すとされるものを意味し、マーカーの有用性は、感度、特異度、正診率、陽性予測値、陰性予測値という五つの有用度指標によって評価されねばならないと考えられている。
サンプル中のIL-8値は、間質性肺炎の鑑別診断、疾患活動性の評価、経過観察などに有用である。特に血液中のIL-8、特には血漿中IL-8を、定量分析し、得られたIL-8に関する測定値を使用して、間質性肺炎の種類の特定、間質性肺炎の症状進行の可能性の程度、リスクの高低、さらには、間質性肺炎の病態生理学的状態及び/又は治療応答性の傾向を分析あるいは評価する方法を構築できる。特には、個人由来の検体を使用して、上記問題に対する個人の病状、症状、さらには傾向を解析できる。血液中のIL-8、特には血漿中IL-8を、定量分析し、得られたIL-8に関する測定値を使用して、間質性肺炎の的確な診断、悪性度の評価、症状進行の可能性のリスクを評価及び/又は分析する方法が提供できる。
本発明の好ましい具体例では、血液を検体サンプルと使用して測定を行う。そして、血液中のIL-8値、特には血漿中IL-8値を、間質性肺炎の疾患マーカーとして使用する。血漿中IL-8測定値を指標とすると、間質性肺炎の判定や診断において非常に精度の高い検査を達成可能である。また、間質性肺炎の診断及び/又は鑑別、さらには経過観察に関して、血漿IL-8値と血清KL-6値の相関関係を利用すると、より精度の高い検査を達成可能である。さらに、同様に、間質性肺炎の診断及び/又は鑑別、さらには経過観察に関して、血漿IL-8値と血清KL-6値及び/又は血清SP-D値との相関関係を利用すると、より精度の高い検査を達成可能である。
本発明に従えば、間質性肺炎を疑われる患者などの血漿中IL-8値を指標とすることで、(1) 膠原病患者が間質性肺炎を有するか否かを検出又は診断したり、さらに、間質性肺炎の重篤変移性、疾患活動性の評価、経過観察などの評価並びに分析に利用でき且つ有用である。また、(2) 関節リウマチなどの膠原病患者における、間質性肺炎と薬剤性肺炎の鑑別診断にも利用でき且つ有用であり、例えば、IL-8が高値で、且つKL-6やSP-Dも高値であれば、間質性肺炎であり、IL-8は正常であるが、一方KL-6やSP-Dが高値であれば、薬剤性肺炎であると鑑別診断するのに利用できる。
さらに、間質性肺炎を疑われる患者などの血漿中IL-8値を指標とすることで、(3)特発性間質性肺炎等の重篤な間質性肺炎と、慢性過敏性肺臓炎との鑑別診断に利用でき且つ有用であり、例えば、IL-8が高値で且つKL-6やSP-Dが高値なら、特発性間質性肺炎等の重篤な間質性肺炎又はその疑いが非常に強いものでり、一方、IL-8は正常であるが、KL-6やSP-Dが高値である場合、慢性過敏性肺臓炎又はその疑いが非常に強いものであるというように鑑別診断するのに利用できる。また、(4)特発性間質性肺炎等の重篤な間質性肺炎と、塵肺との鑑別診断に利用でき且つ有用であり、例えば、IL-8が高値で且つKL-6やSP-Dも高値であれば、一般の間質性肺炎又はその疑いが非常に強いものでり、一方、IL-8は正常であるが、KL-6やSP-Dが高値である場合、塵肺であるというように鑑別診断することなどができ、有用である。さらに、(5)特発性間質性肺炎等の重篤な間質性肺炎と、細菌性肺炎との鑑別診断に利用でき且つ有用であり、例えば、IL-8が高値で且つKL-6やSP-Dも高値であれば、間質性肺炎又はその疑いが非常に強いものでり、一方、IL-8は高値であるが、KL-6やSP-Dが低値である場合、細菌性肺炎であるというように鑑別診断することなどができ、有用である。
従来、関節リウマチなどの膠原病患者の血清中IL-8測定についてその報告がありますが、血清では正しい値がでない、すなわち、血清中IL-8値を指標としたのでは、正しく膠原病患者の間質性肺炎の診断及び/又は鑑別ができない。したがって、本血漿でのIL-8値を指標とすることは臨床上大きな意義があるものであり、従来からは予測できない、驚くべき結果である。また、リウマチを含む膠原病患者が治療中になんらかの間質性肺炎症状がでた場合、血漿中IL-8測定することによって、間質性肺炎の診断補助に有用でもある。また、KL6やSP-D値も上昇するので、両者を指標として利用することも、臨床上大きな意義がある。
さらに、KL-6やSP-Dと、IL-8の両者を測定して、上記(2)〜(5)の診断補助に使用するのも有用である。特に、IL-8は細菌性炎症で末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞等で産生されるので、薬剤性や細菌性とは鑑別が可能であるし、原因が異なることにより治療法も変わることが予想され、本発明技術を利用することは、臨床上大きな意義が存在する。また、慢性過敏性肺臓炎は特発性間質肺炎と画像上区別が困難であり、手術などの病理診断でないと鑑別しにくい。そして、慢性過敏性肺臓炎のかなりの部分が、特発性間質肺炎と誤診されている可能性がある。しかし、本発明技術を利用すると、こうした問題の低減に資することとなる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
治療中の肺気腫、気管支拡張症、気管支喘息、細菌性肺炎、間質性肺炎患者などの呼吸器疾患群、関節リウマチ患者(RA)などの膠原病疾患群および健常人(Normal)を対象として、血漿IL-8、血清KL-6及び血清SP-Dを測定した。間質性肺炎の診断は、胸部レントゲン写真及び肺高分解能CT(HRCT)においてスリガラス陰影及び粒状網状、輪状影を認めるもの又は病理組織学的に証明されたものとした。活動性の判定は、画像又は組織所見に加えて、乾性咳嗽、労作時呼吸困難などの自覚症状、胸部聴診所見、動脈血ガス分析、呼吸機能検査、ガリウムシンチグラフィーにより行った。
IL-8は、EIA法で測定〔J. Immunology, Vol. 147, pp. 2187-2195 (1991)参照〕し、その結果を表1および図1に示した。カットオフ値(Cutoff)を暫定的に7.6 pg/mLとすると、健常人(Normal)では全てカットオフ値未満を示し、肺気腫、気管支拡張症、気管支喘息、慢性過敏性肺臓炎、好酸球性肺炎、塵肺などの呼吸器疾患において、そのほとんどがカットオフ値未満を示した。膠原病の一種である関節リウマチ(RA)で間質性肺炎を併発しなかった症例(RA-Non IP)や、膠原病の薬剤性肺炎であるメトトレキサレート肺炎(MTX肺炎)でも全てカットオフ値未満を示した。IL-8が高値を示したのは、急性過敏性肺臓炎、細菌性肺炎、特発性間質肺炎(IIP)、関節リウマチを含む膠原病で間質性肺炎を併発した症例(RA-IP)などであった。
血清KL-6の測定は、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)(河野修興他:臨床と研究 75,1167-1172,1998)により、また血清SP-Dの測定は、EIAキット(田中誠仁他:医学と薬学 59, 439-446, 2008)で行った。それらの結果を、表1、図2および図3に示した。血清KL-6のカットオフ値は500 U/mL、血清SP-Dのカットオフ値は110 ng/mLである。血清KL-6の値は、健常人(Normal)では1例除いてカットオフ値未満を示し、肺気腫、気管支拡張症、気管支喘息、細菌性肺炎などの呼吸器疾患において、そのほとんどがカットオフ値未満を示した。関節リウマチ(RA)で間質性肺炎を併発しなかった症例(RA-Non IP)は、1例除いてカットオフ値未満を示した。KL-6がカットオフ値以上を示したのは、慢性過敏性肺臓炎、急性過敏性肺臓炎、特発性間質肺炎(IIP)、塵肺、関節リウマチ(RA)で間質性肺炎を併発した症例(RA-IP)や、膠原病の薬剤性肺炎であるメトトレキサレート肺炎(MTX肺炎)であった。
血清SP-Dの値は、健常人(Normal)では1例除いてカットオフ値未満を示し、肺気腫、気管支拡張症、気管支喘息、好酸球性肺炎、細菌性肺炎などの呼吸器疾患において、そのほとんどがカットオフ値未満を示した。関節リウマチ(RA)で間質性肺炎を併発しなかった症例(RA-Non IP)も、そのほとんどがカットオフ値未満を示した。SP-Dがカットオフ値以上を示したのは、慢性過敏性肺臓炎(全例)、急性過敏性肺臓炎、塵肺(3例中2例)、特発性間質肺炎(IIP)、関節リウマチ(RA)で間質性肺炎を併発した症例(RA-IP)の一部であった。膠原病の薬剤性肺炎であるメトトレキサレート肺炎(MTX肺炎)においても、1例でカットオフ値以上を示した。
Figure 2011127946
慢性過敏性肺臓炎やじん肺においては、血漿IL-8が全例でカットオフ値未満となったが、KL-6では全例でカットオフ値以上となり、SP-Dにおいてもじん肺1例除きカットオフ値以上となった。特に、KL-6では慢性過敏性肺臓炎で、3,000 U/mL以上の高値を示した。また、細菌性肺炎においては、IL-8が5例中4例でカットオフ値以上となったが、KL-6やSP-D(1例のみ測定)では全例がカットオフ値未満となって上昇しなかった。薬剤性肺炎であるメトトレキサレート肺炎(MTX肺炎)では、血漿IL-8がカットオフ値未満となったが、KL-6およびSP-Dの1例においてカットオフ値以上となった。
膠原病の一種である関節リウマチ患者(RA)において、間質性肺炎を併発した症例(RA-IP:10例)に対して、併発しなかった症例(RA-NonIP:43例)を用いての受信者動作特性(ROC: Receiver Operating Characteristic)解析を行った。その結果を図4および表2に示した。表2中、SEは標準偏差、CIは信頼区間(Confidence Interval)を示した。図4は、ROC曲線であり、True positive rateは、真陽性率(TPR)で、感度(Sensitivity)を示し、False positive rateは、偽陽性率(FPR)で、1−特異度(1-Specificity)を示す。本表2および図4より、血漿中IL-8測定値を指標とするのが、KL-6やSP-Dよりも、膠原病患者での間質性肺炎の判定や診断において非常に精度の高い検査であることが示されていた。
Figure 2011127946
また、膠原病の一種である関節リウマチ患者(RA)において間質性肺炎を併発した症例(RA-IP:10例)に対して、併発しなかった症例(RA-NonIP:43例)と健常人検体(20例)を用いての受信者動作特性ROC解析も上記と同様に行った。その結果を、図5および表3に示した。本表3および図5においても、血漿中IL-8測定値を指標とするのが、KL-6やSP-Dよりも、膠原病患者での間質性肺炎の判定や診断において非常に精度の高い検査であることが示されていた。
Figure 2011127946
図6は、Scatter Plot with Passing & Bablok Fitを示し、Passing-Bablok法を適用して解析して得られた散布図である。図6には、健常人検体と膠原病の一種である関節リウマチ症例群を用いた血漿IL-8値と血清KL-6値との相関関係を解析した結果を示し、図7には血漿IL-8値と血清SP-D値との相関関係を解析した結果を示す。血漿IL-8値は、血清KL-6値とは相関係数が0.810となり、高い相関性を示したが、血清SP-D値とは相関係数が0.383と低い相関性を示した。
また、膠原病の一種である関節リウマチ患者で間質性肺炎を併発した症例の治療効果と血漿IL-8値の変動を検討した(図8-A, -B)。治療により症状が改善できた例では、血漿IL-8値は全て大きく低下しており、また症状に変化がなかった症例では、血漿IL-8値はほぼ変化しなかった。
以上の結果より、間質性肺炎を疑われる患者などの血漿中IL-8値を指標とすることで、
(1) 膠原病患者の血漿中IL-8測定することによる間質性肺炎の診断および患者治療のモニタリング
(2) 膠原病患者における、間質性肺炎(IL-8は高値、KL-6やSP-D高値)と、薬剤性肺炎(IL-8は正常、KL-6やSP-D高値)の鑑別診断
(3)慢性過敏性肺臓炎(IL-8は正常、KL-6やSP-D高値)と、特発性間質性肺炎等の間質性肺炎(IL-8は高値、KL-6やSP-D高値)の鑑別診断
(4) 塵肺(IL-8は正常、KL-6やSP-D高値)と、特発性間質性肺炎等の間質性肺炎(IL-8は高値、KL-6やSP-D高値)の鑑別診断
(5) 細菌性肺炎(IL-8は高値、KL-6正常)と、特発性間質性肺炎等の間質性肺炎(IL-8は高値、KL-6やSP-D高値)の鑑別診断
などに有用である。
従来、膠原病患者の血清中IL-8測定は報告があるが、血清では正しい値がでない、すなわち、血清中IL-8値を指標としたのでは、正しく膠原病患者の間質性肺炎の診断及び/又は鑑別ができない。よって、本血漿でのIL-8値を指標とすることは臨床上大きな意義がある。また、関節リウマチを含む膠原病患者が治療中になんらかの間質性肺炎症状がでた場合、血漿中IL-8測定することによって、間質性肺炎の原因・治療方針などの診断補助にも有用である。また、間質性肺炎では、KL-6値やSP-D値も上昇するので、血漿IL-8値とそれらのマーカーを同時に指標として利用することも、臨床上大きな意義がある。
さらに、KL-6やSP-Dと、IL-8の両者を同時に測定して、上記(2)〜(5)の診断補助に使用するのも有用である。特に、IL-8は、細菌性炎症で末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞等で産生されるので、薬剤性や細菌性とは鑑別可能であり、さらに、原因が異なることにより治療法も変わることが予想され、大きな臨床上意義がある。また、慢性過敏性肺臓炎は特発性間質肺炎と画像上区別が困難で、手術などの病理診断でないと鑑別しにくいという問題がある。慢性過敏性肺臓炎のかなりの部分が、特発性間質肺炎と誤診されている可能性があり、血漿中IL-8値を指標とすることで、この問題を、簡単な手法で解決可能である。
本発明に従い、血液中のIL-8量、特には血漿中のIL-8量を指標とすることで、簡便に測定の行える血液マーカーを使用実現し、間質性肺炎の経過予測や判別を簡単かつより正確及び信頼性をもって行うことを可能にしている。本発明により、外科的肺生検の施行などをすることなく、病理組織学的検索なしに、従来困難であった鑑別診断、例えば、関節リウマチ患者における、間質性肺炎と、薬剤性肺炎との鑑別診断、そして、特発性間質肺炎のような間質性肺炎と、慢性過敏性肺臓炎、塵肺、さらには細菌性肺炎との鑑別診断が、簡便な手法で、より精度のある検査手法で可能となる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。

Claims (11)

  1. 間質性肺炎の検出又は診断方法であって、対象者から得られた試験サンプル中のインターロイキン8(IL-8)を定量測定し、当該試験サンプル中のIL-8の量を、間質性肺炎の検出又は診断、間質性肺炎の種類の特定、間質性肺炎の症状進行の可能性の程度、リスクの高低、間質性肺炎の病態生理学的状態及び/又は治療応答性の傾向を分析あるいは評価することを特徴とする方法。
  2. 間質性肺炎の検出又は診断方法であって、肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のインターロイキン8(IL-8)を定量測定し、当該試験サンプル中のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者などでのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の検出又は診断を行う指標として使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 該方法が、間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する方法であり、当該試験サンプル内のIL-8の量を、間質性肺炎の症状を示さない健常者などでのIL-8の量と対比せしめて、当該対象者の間質性肺炎の重篤変移性を検出又は診断する指標として使用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 肺胞領域の間質である肺胞隔壁(胞隔)に細胞浸潤がみられる炎症性疾患であって、その胞隔の変化が主たる病態である疾病を有するとの疑いを有している対象者から得られた試験サンプル中のIL-8の量が閾値より多い場合を、当該対象者の間質性肺炎の重篤性を示している指標とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の方法。
  5. 試験サンプルが血漿であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の方法。
  6. 膠原病患者の血漿中IL-8測定することによる間質性肺炎の検出又は診断を行うこと、又は、膠原病患者における、間質性肺炎と、薬剤性肺炎との鑑別診断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の方法。
  7. 一般の間質性肺炎と慢性過敏性肺臓炎との鑑別診断、及び/又は、一般の間質性肺炎と塵肺との鑑別診断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の方法。
  8. 一般の間質性肺炎と細菌性肺炎との鑑別診断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の方法。
  9. 血液中のKL-6を定量測定し、得られたKL-6測定値を、血漿IL-8測定値と共に、利用することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載の方法。
  10. 血液中のSP-Dを定量測定し、得られたSP-D測定値を、血漿IL-8測定値と共に、利用することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載の方法。
  11. IL-8に対する抗体を有効成分として含有することを特徴とする間質性肺炎の検出又は診断剤。
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