JP2011126035A - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットプリンターで背景色インク及びカラーインクを用いて表刷り印刷または裏刷り印刷を行うに際して、素子に転送するデータ量を削減する。
【解決手段】背景色インクを噴出する複数のノズルで構成される背景色インクノズル列と、カラーインクを噴出する複数のノズルで構成されるカラーインクノズル列と、複数の素子に接続される素子選択部87であって、各ノズル列は複数の素子群に分けられており、素子選択部87に接続された複数の素子は、それぞれが異なる素子群に属し、素子選択信号Sに応じて、素子選択部87に接続された複数の素子の中から駆動信号を印加する1の素子を選択する素子選択部87と、素子選択部87に接続され、素子選択部87を介して駆動信号を素子へと転送するスイッチ86と、駆動信号を生成してスイッチ86に送信することと、素子選択信号を生成して素子選択部87に送信することと、を行う制御部84と、を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
ノズルから液体を噴出させ、印刷を行うインクジェットプリンターが広く普及している。そして、インクジェットプリンターを用いた印刷方法として、透明媒体上に背景画像を印刷してその上から実画像を印刷する表刷り印刷や、透明媒体上に実画像を印刷してその上から背景画像を印刷する裏刷り印刷等の印刷方法が知られている。
このような印刷を実行するために、背景画像形成用の白または緑インク噴出用ノズル列と、実画像形成用のカラーインク噴出用ノズル列とを、それぞれ媒体の搬送方向の上下流に分けて配置して、媒体の搬送方法やインク噴出の順番を変化させることで、背景画像を実画像より先に形成したり、後に形成したりする印刷方法が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2003−285422号公報
特許文献1の方法によれば、インクジェットプリンターで背景画像と実画像とを印刷する場合に、必要に応じて表刷り印刷と裏刷り印刷とを使い分けることができる。このようなプリンターでは、通常、インクを噴出するノズル(素子)に駆動信号を転送することで、圧電素子を振動させてインクを噴出している。
一方、インクを噴出しない不使用ノズルに対しても、インクを0pl噴出させる(インクを噴出させない)ノズルと見なして同様の信号を転送する必要がある。そのため、印刷ごとに、不使用の圧電素子を含む全圧電素子に対して駆動信号のデータを送信しなければならず、大量のデータを転送するためのケーブルや高速クロックに高いコストがかかっていた。
本発明は、インクジェットプリンターで背景色インク及びカラーインクを用いて表刷り印刷または裏刷り印刷を行うに際して、素子に転送するデータ量を削減することを課題としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)背景色インクを噴出する複数のノズルにより構成される背景色インクノズル列と、カラーインクを噴出する複数のノズルにより構成されるカラーインクノズル列と、前記各ノズルにそれぞれ対応して設けられ、駆動信号によって振動することでノズルからインクを噴出させる複数の素子と、を有し、媒体が搬送される方向と交差する方向に移動しつつ、前記ノズルから前記媒体にインクを噴出するヘッド部と、(B)前記複数の素子に接続される素子選択部であって、前記各ノズル列は複数の素子群に分けられており、前記素子選択部に接続された複数の素子は、それぞれが異なる前記素子群に属し、素子選択信号に応じて、前記素子選択部に接続された複数の素子の中から前記駆動信号を印加する1の素子を選択する素子選択部と、(C)前記素子選択部に接続され、前記素子選択部を介して前記駆動信号を前記素子へと転送するスイッチと、(D)前記駆動信号を生成して前記スイッチに送信することと、前記素子選択信号を生成して前記素子選択部に送信することと、を行う制御部と、を備える印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
印刷システムの全体構成を示すブロック図である。 図2Aは、本実施形態のプリンターの構成を説明する図である。図2Bは、本実施形態のプリンターの構成を説明する側面図である。 ヘッドの構造を説明する断面図である。 ヘッドに設けられたノズル列を説明する図である。 参考例におけるヘッド制御部HCを表したブロック図である。 駆動信号COMと各種信号の説明図である。 図7Aは、画素データSIと設定データSPとを含む設定信号の説明図である。図7Bは、波形選択信号生成部844の機能の説明図である。 第1実施形態におけるヘッド制御部HC’を表したブロック図である。 第1実施形態におけるスイッチと各ノズルNzとの接続状態を説明する図である。 第1実施形態における設定信号の説明図である。 第1実施形態におけるPZT選択部87の構成の一例を示す図である。 アナログスイッチを用いたPZT選択部87の変形例を示す図である。 トランジスタを用いたPZT選択部87の変形例を示す図である。 FETを用いたPZT選択部87の変形例を示す図である。 図13A及び図13Bは表刷り印刷時に背景画像の上に実画像を形成する方法を説明する図である。 図14A及び図14Bは裏刷り印刷時に実画像の上に背景画像を形成する方法を説明する図である。 表刷り印刷時または裏刷り印刷時にPZT選択部87に入力されるPZT選択信号Sの種類を示す図である。 HレベルのPZT選択信号Sが入力された場合のピエゾ素子PZT群の動作を説明する図である。 LレベルのPZT選択信号Sが入力された場合のピエゾ素子PZT群の動作を説明する図である。 第1実施形態の変形例を表したブロック図である。 図18A及び図18Bは、第1実施形態の表刷り印刷時に、背景画像の上に実画像を形成する方法を説明する図である。 図19A及び図19Bは、第1実施形態の裏刷り印刷時に、実画像の上に背景画像を形成する方法を説明する図である。 第2施形態におけるヘッド制御部HC”を表したブロック図である。 第2実施形態におけるスイッチと各ノズルNzとの接続状態を説明する図である。 図22Aは第2実施形態で表刷り印刷時または裏刷り印刷時にPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1及びS2の種類を示す。図22Bは第2実施形態でKCMYノズル列を使用したカラー印刷時にPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1及びS2の種類を示す。 第2実施形態における設定信号の説明図である。 図24A及び図24Bは、第2実施形態でWインクとKCMYインクを用いた表刷り印刷時の印刷動作を説明する図である。 図25Aは第2実施形態でノズル列上流部を用いた印刷動作を説明する図である。図25Bは第2実施形態でノズル列下流部を用いた印刷動作を説明する図である。図25Cは第2実施形態でノズル列中央部を用いた印刷動作を説明する図である。 微振動用の駆動信号を印加するための構成を示すブロック図である。 第2実施形態の変形例における設定信号の説明図である。 図28Aは第2実施形態の変形例で表刷り印刷時または裏刷り印刷時にPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1,S2及び微振動信号S1〜S4の種類を示す。図22Bは第2実施形態の変形例でKCMYノズル列を使用したカラー印刷時にPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1,S2及び微振動信号S1〜S4の種類を示す。 第2実施形態の変形例における設定信号の改良例である。 図30Aは第2実施形態の変形例でWインクとKCMYインクを用いた表刷り印刷時の印刷動作を説明する図である。図30Bは第2実施形態の変形例でWインクとKCMYインクを用いた裏刷り印刷時の印刷動作を説明する図である。 図31Aは第2実施形態の変形例でノズル列上流部を用いた印刷動作を説明する図である。図31Bは第2実施形態の変形例でノズル列下流部を用いた印刷動作を説明する図である。図31Cは第2実施形態の変形例でノズル列中央部を用いた印刷動作を説明する図である。 第3実施形態におけるスイッチと各ノズルNzとの接続状態を説明する図である。 図33Aは第3実施形態の表刷り印刷時において各ノズルから噴出されるインクの様子を説明する図である。 図33Bは第3実施形態の裏刷り印刷時において各ノズルから噴出されるインクの様子を説明する図である。 第3実施形態における設定信号の説明図である。 第4実施形態における印刷時のフローを表した図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
(A)背景色インクを噴出する複数のノズルにより構成される背景色インクノズル列と、カラーインクを噴出する複数のノズルにより構成されるカラーインクノズル列と、前記各ノズルにそれぞれ対応して設けられ、駆動信号によって振動することでノズルからインクを噴出させる複数の素子と、を有し、媒体が搬送される方向と交差する方向に移動しつつ、前記ノズルから前記媒体にインクを噴出するヘッド部と、(B)前記複数の素子に接続される素子選択部であって、前記各ノズル列は複数の素子群に分けられており、前記素子選択部に接続された複数の素子は、それぞれが異なる前記素子群に属し、素子選択信号に応じて、前記素子選択部に接続された複数の素子の中から前記駆動信号を印加する1の素子を選択する素子選択部と、(C)前記素子選択部に接続され、前記素子選択部を介して前記駆動信号を前記素子へと転送するスイッチと、(D)前記駆動信号を生成して前記スイッチに送信することと、前記素子選択信号を生成して前記素子選択部に送信することと、を行う制御部と、を備える印刷装置。
このような印刷装置によれば、背景色インク及びカラーインクを用いて表刷り印刷または裏刷り印刷を行うに際して、ノズル(素子)に転送するデータ量を削減することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記複数の素子群のうち、前記素子選択信号によって選択される素子で構成される素子群を用いて印刷を行うことが望ましい。
このような印刷装置によれば、ノズル列中で、搬送上流側/下流側等任意の位置の素子群(ノズル群)を選んで印刷を行うことができる。
かかる液体噴出装置であって、前記背景色インクノズル列と前記カラーインクノズル列とで、各ノズル列長手方向の異なる位置にある素子群を用いて印刷を行うことが望ましい。
このような印刷装置によれば、白インク列とカラーインク列とでインクを噴出する位置がずれていることにより、背景と実画像の形成位置(順序)をコントロールすることができ、表刷り印刷/裏刷り印刷を自在に行うことができる。
かかる液体噴出装置であって、(A)前記各素子群を構成する前記素子に接続され、前記素子選択信号によって選択されなかった素子を選択する微振動信号に応じて、前記ノズルからインクが噴出されない程度に前記素子を振動させる微振動用駆動信号を印加する素子を選択する微振動選択部と、(B)前記微振動選択部に接続され、前記微振動選択部を介して前記微振動用駆動信号を各素子へと転送する微振動用スイッチと、(C)前記微振動用駆動信号を生成して前記微振動用スイッチに送信することと、前記微振動信号を生成して前記微振動選択部に送信することと、を行う制御部と、を有し、前記素子選択信号により選択されなかった各素子を微振動させることが望ましい。
このような印刷装置によれば、素子選択信号によって選択されず、印刷には使用されない素子を微振動させることができ、不使用ノズル内部でのインク固化を防止してノズル目詰まりを起こしにくくすることができる。
かかる液体噴出装置であって、前記各ノズル列両端に位置する複数の素子は、それぞれ1の前記素子選択部に接続され、前記各ノズル列中央部に位置する複数の素子は、それぞれ2の前記素子選択部に接続される、ことが望ましい。
このような印刷装置によれば、ノズル列端部片側のピエゾ群を使用しないため、その分転送データ量を減らすことができ、かつ、各ノズル列を構成する過半数以上のピエゾ素子群を使用できるため、比較的高速で印刷を行うこともできる。
かかる液体噴出装置であって、前記各素子についてインク噴出不良の有無を検出し、前記各ノズル列中で、インク噴出不良の生じている素子が所定の割合以下となる素子群を選択して印刷を行うことが望ましい。
このような印刷装置によれば、あらかじめインク噴出不良を生じている素子の割合が少ない素子群を選択して印刷を行うことが可能となるため、印刷ムラの少ない画像を形成することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記素子選択部が、デマルチプレクサ、または、トランジスタ、または、FETを用いて構成されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、素子選択部において消費電力の低減を図ることができる。また、同一構成の回路を集積化すれば、コストを削減することも可能になる。
また、駆動信号を生成してスイッチに送信することと、素子選択信号を生成して素子選択部に送信することと、前記素子選択信号に応じて、前記素子選択部に接続された複数の素子のうち、1の素子を選択することと、選択された前記素子に前記スイッチから前記素子選択部を介して前記駆動信号を印加することで、前記素子を振動させてノズルからインクを噴出させることと、を有する印刷方法が明らかとなる。
===印刷装置の基本的構成===
発明を実施するための印刷装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。プリンター1は、紙、布、フィルムシート等の媒体に向けて、インクの一例として、紫外線(以下、UVともいう)の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインクともいう)を噴出することにより、媒体に画像を印刷することが可能なカラーインクジェットプリンターである。ここで、媒体には、透明なフィルムシート等の透明媒体も含まれる。
透明媒体に印刷を行う際には、印刷された画像を透明媒体の印刷された側から直接見るための画像(表刷り印刷)と、透明媒体越しに見るための画像(裏刷り印刷)とをいずれも印刷することが可能である。このとき、画像を直接見るための画像は、スキャナーで読み取った画像やデジタルカメラ等にて撮影された画像など、元となる所定画像の正像であり、透明媒体越しに見るための画像は、元となる所定画像の鏡像である場合が多いが、左右対称の画像や元画像に対し左右を反転した画像を敢えて印刷する場合にはこれに限らない。
また、UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。なお、本実施形態のプリンター1は、CMYKの4色と背景画像を印刷するため白色(W)とのUVインクを用いて印刷を行う。
<プリンターの構成>
図1は、プリンター1の全体構成を示すブロック図である。
プリンター1は外部制御装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、コンピューター110の表示装置にユーザーインターフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じて画像データから変換した印刷データをプリンター1へ送信する。印刷データは、プリンター1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データとを有する。コマンドデータとは、プリンター1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、画素データは、印刷される画像の画素に関するデータである。
ここで、画素とは画像を構成する単位要素であり、この画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。印刷データにおける画素データは、媒体(例えば紙Sなど)上に形成されるドットに関するデータ(例えば、階調値)である。画素データは画素毎に2ビットのデータによって構成される。この2ビットの画素データは1つの画素を4階調で表現できる。
プリンター1は、搬送ユニット10と、キャリッジユニット20と、ヘッドユニット30と、照射ユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、駆動信号生成回路70と、を有する。コントローラー60は、外部装置であるコンピューター110から受信した印刷データに基づいて搬送ユニット20やキャリッジユニット30等の各ユニットを制御し、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
<搬送ユニット10>
図2Aは本実施形態のプリンター1の構成を表した鳥瞰図であり、図2Bはプリンター1の構成を表した側面図である。
搬送ユニット10は、媒体である紙S等を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方向である。搬送ユニット10は、給紙ローラー11と、搬送モーター12と、搬送ローラー13と、プラテン14と、排紙ローラー15とを有する(図2A及び図2B)。
給紙ローラー11は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー13は、給紙ローラー11によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター12によって駆動される。搬送モーター12の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。プラテン14は、印刷中の紙Sを、紙Sの裏側から支持する部材である。排紙ローラー15は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
<キャリッジユニット20>
キャリッジユニット20は、ヘッドユニット30が取り付けられたキャリッジ21を所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター22(CRモータともいう)とを有する(図2A及び図2B)。
キャリッジ21は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター22によって駆動される。キャリッジモーター22の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。また、キャリッジ21は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
<ヘッドユニット30>
ヘッドユニット30は、紙Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット30は、複数のノズルを有するヘッド31とヘッド制御部HCとを備える。このヘッド31はキャリッジ21に設けられ、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ヘッド31も移動方向に移動する。そして、ヘッド31が移動方向に移動中にインクを断続的に噴出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
図3は、ヘッド31の構造を示した断面図である。ヘッド31は、ケース311と、流路ユニット312と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース311はピエゾ素子群PZTを収納し、ケース311の下面に流路ユニット312が接合されている。流路ユニット312は、流路形成板312aと、弾性板312bと、ノズルプレート312cとを有する。流路形成板312aには、圧力室312dとなる溝部、ノズル連通口312eとなる貫通口、共通インク室312fとなる貫通口、インク供給路312gとなる溝部が形成されている。弾性板312bはピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部312hを有する。そして、アイランド部312hの周囲には弾性膜312iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室312fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室312dに供給される。ノズルプレート312cはノズルNzが形成されたプレートである。
ノズル面では、主画像を形成するカラーインク噴出ノズル列としてイエローインクを噴出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを噴出するブラックノズル列Kとが設けられる。またKCMYの各カラーノズル列に並んで、主に背景画像を形成するホワイトインクを噴出するホワイトノズル列Wが設けられる。
図4は、ヘッド31に設けられたノズルNzの説明図である。図4に示されるように各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことにより構成されている。そして、各ノズル列において、#1〜#360の360個のノズルNzを備えている。
ピエゾ素子群は、櫛歯状の複数のピエゾ素子PZT(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。配線基板であるフレキシブルケーブル(不図示)によってピエゾ素子PZTに駆動信号COMが印加され、駆動信号COMの電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、図3に示されるアイランド部312hは圧力室312d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部312h周辺の弾性膜312iが変形し、圧力室312d内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからインク滴が噴出される。
ヘッド制御部HCは、ピエゾ素子群PZTの駆動等を制御するための制御用ICであり、不図示のフレキシブルケーブルなどに実装され、ノズル列毎に、すなわち色毎に、それぞれ設けられる。ヘッド制御部HCの詳細については、後で説明する。
<照射ユニット40>
照射ユニット40は、媒体に着弾したUVインクに向けてUVを照射するものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。本実施形態の照射ユニット40は、仮硬化用照射部41a、41bと本硬化用照射部43とを備えている。
仮硬化用照射部41a、41bは、走査方向に並べられたWKCMYの各ノズル列の両端に位置するホワイトインクノズル列W及びイエローインクノズル列Yよりさらに外側にそれぞれ隣接して設けられており、5つのノズル列WKCMYを挟むように配置されている(図4参照)。このため、キャリッジ21が、一端側から他端側へ、または、他端側から一端側へのいずれの方向に移動しつつ噴出したインクであっても、UVを照射することができるように構成されている。また、本硬化用照射部43は、印刷対象となる媒体の幅よりも長く形成されており、搬送方向におけるヘッド31より下流側に配置されている。本硬化及び仮硬化の詳細については後述する。
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び光学センサ54等が含まれる(図2A及び図2B)。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ21の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラー13の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、対向する位置の紙Sの有無を検出し、例えば、移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
<コントローラー60>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット10等の各ユニットを制御する。また、CPU62は、ヘッド31の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッドユニット30に出力したり、駆動信号COMを生成するための信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。
<駆動信号生成回路70>
駆動信号生成回路70は、ピエゾ素子PZTに印加するための駆動信号COMを生成するものである。駆動信号生成回路70において生成された駆動信号COMは、他の信号とともにケーブルを介してヘッド制御部HCへ入力される。なお、駆動信号生成回路70は、プリンター側コントローラー60と共通のコントローラー基板CTRに設けられている(図1参照)。
<仮硬化及び本硬化について>
本実施形態では、媒体に着弾したUVインクにUVを照射することでドットを硬化させている。プリンター1では、照射ユニット40として、UVインクの仮硬化用のUV照射を行なう仮硬化用照射部41a及び41bと、本硬化用のUV照射を行なう本硬化用照射部43とを備えており、2段階の硬化を行なっている。なお、仮硬化とは、媒体に着弾したUVインクの流動(ドットの広がり)を抑えるためや、あるいは、ドット間のインクの滲みを防止するためにドットの表面部分を硬化するものであり、本硬化とは、UVインクを完全に硬化させるためのものである。従って、本硬化の方がUVの照射エネルギーが大きい(すなわち照射量が多い)。
仮硬化用照射部41a及び41bは、図2Aや図2Bに示すように、それぞれキャリッジ21に搭載されており、キャリッジ21の移動に伴ってヘッド31と一体的に移動方向に移動する。すなわち、ヘッド31の各色のノズル列が往復移動する際、仮硬化用照射部41a及び41bは各色のノズル列に対する相対位置を維持しながら往復移動する。この際に仮硬化用照射部41a及び41bから媒体に向けてUVが照射される。具体的には、往動の期間には仮硬化用照射部41aからUVが照射され、復動の期間には仮硬化用照射部41bからUVが照射される。このように仮硬化は、ドットを形成するのと同じパスにおいて行なわれる。なお、仮硬化用照射部41a及び41bの光源は、それぞれ仮硬化用照射部41a及び41b内に収容されることによりヘッド31から隔離されている。これにより、光源から照射されるUVがヘッド31の下面へ漏れるのを防ぎ、以って、当該下面に形成された各ノズルの開口付近でUVインクが硬化すること(ノズルの目詰まり)を防止している。
本硬化用照射部43は、ヘッド31よりも搬送方向下流側に設けられており、移動方向の長さが印刷対象となる媒体の幅よりも長くなっている。そして、本硬化用照射部43は、移動することなく媒体に向けてUVを照射する。この構成により、パスによってドットの形成された媒体が、搬送動作によって本硬化用照射部43の下まで搬送されると、本硬化用照射部43によるUVの照射を受けるようになっている。
仮硬化用照射部41a及び41bと、本硬化用照射部43とは、それぞれ媒体に向けてUVを照射するための光源を備えている。本実施形態では、仮硬化用照射部41a及び41bの光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いている。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。また、本硬化用照射部43の光源として、ランプ(メタルハライドランプ、水銀ランプなど)を用いている。
<プリンターの基本的な印刷動作>
プリンター1の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、コンピューター110からインターフェース部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行う。
給紙処理は、印刷すべき媒体をプリンター内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に媒体を位置決めする処理である。コントローラー60は、給紙ローラー11を回転させ、印刷すべき媒体を搬送ローラー13まで送る。続いて、搬送ローラー13を回転させ、給紙ローラー11から送られてきた媒体を印刷開始位置に位置決めする。
ドット形成処理は、移動方向(走査方向)に沿って移動するヘッドからインクを断続的に噴出させ、媒体上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ21を移動方向に移動させ、キャリッジ21が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド31からインクを噴出させる。噴出されたインク滴が媒体上に着弾すると、媒体上にドットが形成され、媒体上には移動方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。形成されたドットに照射ユニット40の仮硬化仮硬化用照射部41a・41bからUVを照射することにより、半硬化状態のドットが形成される。
搬送処理は、媒体をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送ローラー13を回転させて媒体を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド31は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成することが可能になる。そして、媒体上に形成されたドットは、搬送下流域に設けられた本硬化用照射部43からUV照射を受けることにより完全硬化され、画像を形成する。
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインにより構成される画像を徐々に媒体に印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラーを回転させてその媒体を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次の印刷を行う場合は同処理を繰り返し、行わない場合は、印刷動作を終了する。
次に、本実施形態の理解を容易にするため、まず参考例について説明し、その後に本実施形態について説明する。
===参考例===
<参考例のヘッド制御部HCについて>
図5は、参考例のヘッド制御部HCのブロック図である。
ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、信号選択部83と、制御ロジック84と、スイッチ86とを備えている。そして、制御ロジック84を除いた各部(すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、信号選択部83、及びスイッチ86)は、それぞれピエゾ素子PZT毎に設けられる。制御ロジック84は、設定データSPを記憶するためのシフトレジスタ群842と、設定データSPに基づいて波形選択信号q0〜q3を生成する波形選択信号生成部844とを有している。
このヘッド制御部HCには、プリンター側コントローラー60からケーブルを介して、クロックCLK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動信号COMが入力される。また、画素データSIと設定データSPとを含む設定信号も、コントローラー60からケーブルを介してヘッド制御部HCへ入力される。
図6は、駆動信号COMと各種信号の説明図である。図7Aは、画素データSIと設定データSPとを含む設定信号の説明図である。図7Bは、波形選択信号生成部844の機能の説明図である。
クロックCLKに同期して設定信号がヘッド制御部HCに入力されると、設定信号のうちの下位ビットデータが第1シフトレジスタ81Aにそれぞれセットされ、上位ビットデータが第2シフトレジスタ81Bにそれぞれセットされ、設定データSPが制御ロジック84のシフトレジスタ群842にセットされる。なお、各ノズルにそれぞれ対応する2ビットの画素データの下位ビットは第1シフトレジスタ81Aにセットされ、2ビットの画素データの上位ビットは第2シフトレジスタ81Bにセットされる。
そして、ラッチ信号LATのパルスに応じて、下位ビットデータが第1ラッチ回路82Aにラッチされ、上位ビットデータが第2ラッチ回路82Bにラッチされ、設定データSPが波形選択信号生成部844にラッチされる。なお、各ノズルにそれぞれ対応する2ビットの画素データの下位ビットは第1ラッチ回路82Aにラッチされ、2ビットの画素データの上位ビットは第2ラッチ回路82Bにラッチされる。
参考例の設定データSPは、16ビットデータから構成される(図7A参照) 。そして、波形選択信号生成部844は、16ビットの設定データSPのうちの所定の4ビットデータ(データP00、データP10、データP20、データP30)とチェンジ信号CHとに基づいて、波形選択信号q0を生成する。また、同様に、16ビットの設定データSPのうちの所定の4ビットデータとチェンジ信号CHとに基づいて、波形選択信号q0〜q3を生成する。
この参考例では、16ビットの設定データSPのうち、データP00、データP12、データP13、データP21及びデータP33は[1]であり、他のデータは[0]である。このため、波形選択信号q0のための4ビットデータ(データP00、データP10、データP20、データP30)は[1000]になり、この結果、波形選択信号q0は、第1区間T1においてHレベルになり、第2区間T2〜第4区間T4においてLレベルになる。また、波形選択信号q1〜q3も図7Bに示す通りの信号になる。
信号選択部83は、第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bにラッチされた2ビットの画素データに応じて、波形選択信号q0〜q3から1つを選択する。画素データが[00]の場合(下位ビットが[0]で上位ビットが[0]の場合)には波形選択信号q0が選択され、画素データが[01]の場合には波形選択信号q1が選択され、画素データが[10]の場合には波形選択信号q2が選択され、画素データが[11]の場合には波形選択信号q3が選択される。選択された波形選択信号は、スイッチ信号SWとして信号選択部83から出力される。
スイッチ86には駆動信号COM及びスイッチ信号SWが入力される。スイッチ信号がHレベルのとき、スイッチ86はON状態になり、駆動信号COMがピエゾ素子PZTへ印加される。スイッチ信号SWがLレベルのとき、スイッチ86はOFF状態になり、駆動信号COMはピエゾ素子PZTへ印加されない。
画素データが[00]の場合、スイッチ86が波形選択信号q0によりON/OFFされ、駆動信号COMの第1区間信号SS1がピエゾ素子PZTへ印加され、ピエゾ素子PZTは駆動パルスPS1により駆動される。この駆動パルスPS1に応じてピエゾ素子PZTが駆動すると、インクが噴出されない程度の圧力変動がインクに生じて、インクメニスカス(ノズル部分で露出しているインクの自由表面)が微振動する。
画素データが[01]の場合、スイッチ86が波形選択信号q1によりON/OFFされ、駆動信号COMの第3区間信号SS3がピエゾ素子PZTへ印加され、ピエゾ素子PZTは駆動パルスPS3により駆動される。この駆動パルスPS3に応じてピエゾ素子PZTが駆動すると、小程度の量のインクが噴出され、用紙に小ドットが形成される。
画素データが[10]の場合、スイッチ86が波形選択信号q2によりON/OFFされ、駆動信号COMの第2区間信号SS2がピエゾ素子PZTへ印加され、ピエゾ素子PZTが駆動パルスPS2により駆動される。この駆動パルスPS2に応じてピエゾ素子PZTが駆動すると、中程度の量のインクが噴出され、用紙に中ドットが形成される。
画素データが[11]の場合、スイッチ86が波形選択信号q3によりON/OFFされ、駆動信号COMの第2区間信号SS2及び第4区間信号SS4がピエゾ素子PZTへ印加され、ピエゾ素子PZTが駆動パルスPS2及び駆動パルスPS4により駆動される。これらの駆動パルスPS2及び駆動パルスPS4に応じてピエゾ素子PZTが駆動すると、用紙に大ドットが形成される。
===第1実施形態===
図8は、第1実施形態におけるヘッド制御部HC’を表したブロック図である。本実施形態では、ヘッド制御部HC’を構成する信号選択部83やスイッチ86等各ユニットの数、それらのユニットとピエゾ素子PZTとの接続方法、及び、制御ロジック84の構成が参考例とは異なり、PZT選択部87が新たに設けられている。また、ヘッド制御部HC’に入力される設定信号には画素データSIと設定データSPに加えてPZT選択データSEが含まれる。なお、このヘッド制御部HC’が搭載されたヘッド41は、ヘッドユニットに相当する。以下、参考例と異なる点について説明する。
<ピエゾ素子PZTの配置>
参考例では1つのスイッチ86に対して1つのピエゾ素子PZTが直に接続されていたが、本実施形態では1つのスイッチ86に対してPZT選択部87を挟んで複数のピエゾ素子PZTが接続されている。特に、第1実施形態では1つのスイッチ86に対して2つのピエゾ素子PZTを接続する。これら2つのピエゾ素子PZTのうち一方は、印刷周期Tの期間内において駆動信号COMが印加されることにより動作してノズルNzからインクを噴出するが、他方は動作せずインクを噴出しない。つまり、本実施形態において、周期Tの間に実際にインクを噴出するのに使用されるのは、全ピエゾ素子PZTのうち半数のピエゾ素子PZTである。
図9に本実施形態におけるスイッチ86及びPZT選択部87と各ピエゾ素子PZTとの接続状態の概略図を示す。1つのPZT選択部87に接続される2つのピエゾ素子PZTの組み合わせは、図8及び図9に示されるように、(#1と#181)、(#2と#182)〜(#180と#360)の180組となる。そして、図9に示されるように、各ノズル列を構成するピエゾ素子PZT(#1〜#360)は、ノズル列の搬送上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#180)と、ノズル列の搬送下流側に属するピエゾ素子PZT群(#181〜#360)との2つのグループに分けることができる。
参考例では#1〜#360の各ピエゾ素子PZTについてそれぞれスイッチ86が接続され、合計360個のスイッチ86が設けられていた。それに対して、本実施形態ではスイッチ86は合計で180個設けられ、参考例の半数となっている。また、図8及び図9では省略されているが、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、及び、信号選択部83の数量も参考例の半分となっている。
各組を構成する2つのピエゾ素子PZTのうち、選択された一方のピエゾ素子PZTのみが駆動信号により動作してノズルNzからインクを噴出する。例えば(#1と#181)の組で選択されるのは#1または#181の一方のみである。ピエゾ素子PZTの選択は、後述するPZT選択信号Sにより行われる。ピエゾ素子PZT選択の際には、必ず上流側のピエゾ素子PZT群(#1〜#180)に属する180個のピエゾ素子PZT、または、下流側のピエゾ素子PZT群(#181〜#360)に属する180個のピエゾ素子PZTが同時に選択されるようになっている。つまり、PZT選択信号Sの種類により、各ノズル列の上流側を使用するか、下流側を使用するかを制御することができる。制御方法の詳細については後で説明する。
<制御ロジック84>
制御ロジック84は、シフトレジスタ群842、波形選択信号生成部844に加えて、PZT選択信号生成部845を有する(図8)。PZT選択信号生成部845は、PZT選択部87に接続された前述の2つのピエゾ素子PZTのうち、動作してノズルNzからインクを噴出させる方のピエゾ素子PZTを選択するためのPZT選択信号Sを生成する。
PZT選択信号Sを生成するために、本実施形態における設定信号には、前述の画素データSIと設定データSPの他に、PZT選択データSEが含まれている。図10に、本実施形態における設定信号の概念図を示す。PZT選択データSEは[0]または[1]で表される1ビットのデータである。PZT選択データSEは画素データSIの次に送信されているが(図10においてSIとSPとの間の位置)、データ送信の順番はとくに決まっていない。PZT選択データSEが最初に送信されてもよいし、最後であってもよい。
なお、画素データSIと設定データSPの働きは参考例の場合と同様であり、これらのデータからスイッチ信号SWが生成される。そして、スイッチ信号SWがスイッチ86に入力されることで、駆動信号COMのピエゾ素子PZTへの印加が制御される。
クロックCLKに同期して設定信号がヘッド制御部HC’に入力されると、設定データSPと共にPZT選択データSEが制御ロジック84のシフトレジスタ群842にセットされる。そして、PZT選択データSEはラッチ信号LATのパルスに応じてPZT選択信号生成部845にラッチされる。PZT選択信号生成部845は、1ビットの設定データSEに基づいて、HレベルまたはLレベルのPZT選択信号Sを生成する。例えば、PZT選択データSEが[1]の場合にはHレベルのPZT選択信号Sが生成され、PZT選択データSEが[0]の場合にはLレベルのPZT選択信号Sが生成される。そして、生成されたPZT選択信号SはPZT選択部87へと送信される。
<PZT選択部87>
PZT選択部87は、PZT選択部87に接続される2のピエゾ素子PZTのうち実際に使用する方のピエゾ素子PZTを選択する。該選択された方のピエゾ素子PZTにはスイッチ86から転送された駆動信号COMが印加され、ピエゾ素子PZTを振動させることによりノズルNzからインクを噴出させる。ノズルの選択は制御ロジック84から送信されたPZT選択信号Sに基づいて行われる。
図11にPZT選択部87の構成の一例を示す。本実施形態では、2以上の出力を有するデマルチプレクサ871を用いてPZT選択部87が構成される。図11のように、デマルチプレクサ871の入力側にはスイッチ86が接続され、駆動信号COMが入力される。なお、PZT選択部87として使用されるデマルチプレクサには、駆動信号COMの電圧(本実施形態においては42V程度)に耐えられる程度の耐圧性が必要である。デマルチプレクサ871の出力側は2つのピエゾ素子PZT(例えば#1と#181)にそれぞれ接続され、入力された駆動信号COMを2つのピエゾ素子PZTのうち選択された方のピエゾ素子PZTに出力する。デマルチプレクサ871の制御入力には前述のPZT選択信号生成部845が接続され、該選択信号生成部845から送信されたPZT選択信号Sにより、デマルチプレクサ871の出力端子が選択される。
例えば、PZT選択信号SがHレベルである場合には前述の上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#180)に属するピエゾ素子PZTが選択され、PZT選択信号SがLレベルである場合には下流側ピエゾ素子PZT群(#181〜#360)に属するピエゾ素子PZTが選択され、選択された方のピエゾ素子PZTに駆動信号COMが印加される。
このようにデマルチプレクサを用いることで、単純な回路でPZT選択部87構成し、所望のピエゾ素子PZTを選択して印刷を行うことができる。
また、PZT選択部87として、高耐圧のアナログスイッチを用いることもできる。図12Aにアナログスイッチを用いた場合のPZT選択部87の構成の一例を示す。スイッチ86と搬送上流側ピエゾ素子PZT(図12Aにおいては#1)との間にはアナログスイッチ873が設けられ、スイッチ86と搬送下流側ピエゾ素子PZT(図12Aにおいては#181)との間にはアナログスイッチ874が設けられる。アナログスイッチ873及び874は同型のアナログスイッチであり、制御入力信号がHレベルの時にONになり、制御入力信号がLレベルの時にOFFになる。
PZT選択信号生成部845で生成されたPZT選択信号Sは出力後に2つに分けられ、一方はそのままアナログスイッチ873の制御入力に接続され、他方は論理否定(NOT)回路88を通してアナログスイッチ874の制御入力に接続される。
PZT選択信号SはHレベルとLレベルの2種類があるため、一方のPZT選択信号Sはそのままアナログスイッチ873に入力されるが、他方のPZT選択信号Sは論理否定(NOT)回路88を通過することによりHとLが反転した状態のPZT選択信号S’としてアナログスイッチ874の制御入力端子に入力される。
例えば、図12Aにおいて、PZT選択信号生成部845で生成されるPZT選択信号SがHレベルのとき、アナログスイッチ873にはHレベルのPZT選択信号Sが入力され、ONとなる。一方、アナログスイッチ874にはHレベル信号が反転されたLレベルのPZT選択信号S’が入力され、OFFとなる。
したがって、スイッチ86から転送された駆動信号COMはアナログスイッチ873を介して#1のピエゾ素子PZTに印加される。一方、#181のピエゾ素子PZTには駆動信号COMが印加されない。このようにして、PZT選択部87に接続された2つのピエゾ素子PZTのうちの一方のピエゾ素子PZTのみに、択一的に駆動信号COMを転送することができる。
なお、アナログスイッチ873及び874の代わりにトランジスタを用いてPZT選択部87を構成することも可能である。図12Bにトランジスタを用いた場合の例を示す。図12Bに示すように、アナログスイッチ873の代わりにNPN型トランジスタ875を用い、コレクタ端子にスイッチ86を接続し、エミッタ端子に搬送上流側のピエゾ素子PZT(#1)を接続し、ベース端子にはPZT選択信号生成部845を接続する。同様に、トランジスタ875と同型のNPN型トランジスタ876を、アナログスイッチ874の代わりに搬送下流側のピエゾ素子PZT(#181)に接続する。その他の回路構成は図12Aの場合と同様である。
トランジスタ875及びトランジスタ876のベースに入力するPZT選択信号Sはそれぞれ反対のレベル信号であるため、一方のトランジスタのみがONとなり、#1または#181のどちらか一方のピエゾ素子PZTを選択して駆動信号COMを印加することができる。
さらに、図12Cに示すように、NPN型トランジスタの代わりにFET(Field Effect Transistor)を用いてPZT選択部87を構成することも可能である。図12Cではトランジスタ875の代わりにN型のMOS FET877を用いて、ドレインにスイッチ86を接続し、ソースに搬送上流側のピエゾ素子PZT(#1)を接続し、ゲートにPZT選択信号生成部845を接続する。同様に、トランジスタ876の代わりにMOS FET877と同型のMOS FET878を搬送下流側のピエゾ素子PZT(#181)に接続する。
これにより、一方のFETのみがONとなり、どちらか一方のピエゾ素子PZTを選択して駆動信号COMを印加することができる。
トランジスタやFETを用いることで、一般的なアナログスイッチを用いた場合よりもコストが安くなり、また、消費電力の低減を図ることが可能となる。特に消費電力の低減を考慮するのであれば、FETを用いるのが好ましい。そして、全てのピエゾ素子PZTの組について同一の回路構成とすることができるため、IC(集積)化することで、さらにコスト・消費電力を抑えることができるようになる。
<第1実施形態の印刷動作の説明>
本実施形態の印刷装置では、KCMYインクを用いた通常の実画像印刷に加えて、W(白)インクを用いた背景画像印刷を同時に行うことができる。また、印刷した画像を表面から見るための表刷り印刷と、印刷する媒体が透明な場合に、形成された画像を裏側から見るための裏刷り印刷とを行うことができる。
図13A及び図13Bは、本実施形態において表刷り印刷時に背景画像の上に実画像を形成する方法を説明する図である。Wインクノズル列、KCMYインクノズル列ともに、図13A及び図13Bの斜線部で示される部分からインクが噴出される。
表刷り印刷時には、まず、Wインクドッを形成してUV照射により半硬化させておき、形成されたWインクドットの上にカラーインクドットを形成する。
最初に、図13AのようにWインクノズル列の搬送方向上流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)を用いて媒体上の所定の領域である領域1にWインクドットによる背景画像を形成しておく。次に、図13Bのように媒体を搬送させて、領域1上に形成された背景画像がKCMYインクノズル列の下流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)の位置まで移動したところで、領域1に形成されている背景画像の上にKCMYインクを噴出して実画像を形成する。このとき、媒体の領域1の搬送上流側に位置する領域2には、Wインクノズル列の搬送方向上流側ノズル群からWインクが噴出され背景画像が形成される。このような動作を繰り返すことで、表刷り印刷時において背景画像の上に実画像を形成することができる。
続いて、裏刷り印刷について説明する。図14A及び図14Bは裏刷り印刷時に実画像の上に背景画像を形成する方法を説明する図である。裏刷り印刷時は、表刷り印刷時とは逆に、まず媒体上にカラーインクドッを形成してUV照射により半硬化させておき、形成されたカラーインクドット上にWインクドットを形成する。
最初に、図14AのようにKCMYインクノズル列の搬送方向上流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)を用いて媒体上の所定の領域である領域1にカラーインクドットによる実画像を形成しておく。次に、図14Bのように媒体を搬送させて、領域1上に形成された実画像がWインクノズル列の下流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)の位置まで移動したところで、該領域1に形成された実画像の上にWインクを噴出して背景画像を形成する。このとき、媒体の領域1の搬送上流側に位置する領域2には、KCMYインクノズル列の搬送方向上流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)からカラーインクが噴出され実画像が形成される。このような動作を繰り返すことで、裏刷り印刷時において実画像の上に背景画像を形成することができる。
図15に、各ノズル列のインク噴出を制御するために入力されるPZT選択信号Sの種類を示す。また、図16Aに、HレベルのPZT選択信号Sが入力された場合におけるノズル列中のピエゾ素子PZT群の動作の様子を、図16Bに、LレベルのPZT選択信号Sが入力された場合におけるノズル列中のピエゾ素子PZT群の動作の様子を示す。
前述のように表刷り印刷時はWノズル列の上流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)、及び、KCMYノズル列の下流側ノズル群(ピエゾ素子PZT群)を用いて印刷を行う。したがって、Wノズル列にはHレベルのPZT選択信号Sを入力する。入力されたHレベル信号により、Wノズル列の上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#180)が選択され、それぞれ駆動信号COMが印加される。そして、図16Aのノズル列中の着色された部分からインクを噴出して背景画像を形成する。一方、選択されなかったノズル列下流側に属するピエゾ素子PZT群(#181〜#360)には駆動信号COMが印加されず、この部分のピエゾ素子PZT群は動作せず、インクも噴出しない。
同様に、KCMYノズル列にはLレベルのPZT選択信号Sを入力する。これにより、選択されない上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#180)はインクを噴出せず、下流側に属するピエゾ素子PZT群(#181〜#360)は、Lレベル信号により選択され、インクを噴出して実画像を形成する(図16B)。
PZT選択部87としてアナログスイッチ等を用いた場合には、Wノズル列の上流側にはHレベルのPZT選択信号Sを、下流側にはHレベルのPZT選択信号Sを反転して生成したLレベルのPZT選択信号S´を入力する。これにより、Wノズル列の上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#180)はHレベル信号により選択され、インクを噴出して背景画像を形成する。一方、下流側に属するピエゾ素子PZT群(#181〜#360)は反転されたLレベル信号により選択されず、インクを噴出しない。
同様に、KCMYノズル列の上流側にはLレベルのPZT選択信号Sを、下流側にはHレベルのPZT選択信号S´を入力する。これにより、KCMYノズル列の上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#180)はLレベル信号によりインクを噴出せず、下流側に属するピエゾ素子PZT群(#181〜#360)は、Hレベル信号により選択され、インクを噴出して実画像を形成する。
裏刷り印刷時には表刷り印刷時とは逆のPZT選択信号Sを入力することで、インクを噴出するピエゾ素子PZT群も逆にすることができる。このように、本実施形態では選択信号Sを切り替えることにより、表刷り印刷時/裏刷り印刷時のそれぞれについて、背景画像を形成した印刷を簡単に行うことができる。
なお、背景画像を形成せずに、KCMYインクだけを用いて通常の印刷を行うことも可能であり、その場合にも前述のPZT選択信号Sにより、KCMYノズル列中の半数のピエゾ素子PZTを使用して印刷することができる。
<第1実施形態の効果>
前述の参考例では、印刷時にCPU62からヘッド制御部HCに送信される設定信号はSIとSPで構成されていた(図7A参照)。そのデータ量の内訳は、画素データSIが各ピエゾ素子PZT(360個)について上位1ビット、下位1ビットの合計720ビット(360+360)であり、設定データSPは前述したように16ビットである。したがって、1周期Tの間にケーブルを通じて736ビット(720+16)のデータ信号が送信されていた。
一方、本実施形態の設定信号はSI,SP,SEの3種類で構成される(図10参照)。前述のとおり、本実施形態では各ノズル列を構成するピエゾ素子PZT(360個)のうち実際に印刷に使用されるピエゾ素子PZTは半分(180個)である。したがって、画素データSIは印刷に使用する各ピエゾ素子PZT(180個)について上位1ビット、下位1ビットの合計360ビット(180+180)となる。そして、設定データSPは参考例の場合と同様16ビットであり、PZT選択データSEは1ビットである。したがって、1周期Tの間にケーブルを通じて377ビット(360+16+1)のデータ信号が送信されることになる。すなわち、本実施形態の印刷装置を用いることにより、1周期あたりの転送データ量を参考例の約半分にすることができる。
同じ印刷時間内に転送するべきデータ量が少なくなるということは、データの転送速度を遅くすることができるということであるから、従来のような高速型データ転送用クロックも不要であり、コストを大幅に削減することが可能となる。また、ケーブルを通るデータ量が少なくなることから、電磁不要輻射によるEMI対策を簡略化することができる。そして、デジタル信号処理の消費電力が減少することなどから、消費電力の面でも現状より低くなる効果がある。
===第1実施形態の変形例===
第1実施形態では、1つのPZT選択部87に対して2つのピエゾ素子PZTを接続した場合について説明したが、1つのPZT選択部87に接続されるピエゾ素子PZTは2つでなくてもよい。図17に第1実施形態の変形例として、1つのPZT選択部87に対して3つのピエゾ素子PZTが接続された場合のブロック図を示す。
1つのPZT選択部87に接続されるピエゾ素子PZTの組み合わせは、(#1と#121と#241)、(#2と#122と#242)〜(#120と#240と#360)の120組となる。これは、各ノズル列を構成するピエゾ素子PZT(#1〜#360)を搬送方向に3分割して、搬送上流側に属するピエゾ素子PZT群(#1〜#120)、搬送中流側に属するピエゾ素子PZT群(#121〜#240)、及び、搬送下流側に属するピエゾ素子PZT群(#241〜#360)に分けたものである。
本実施形態ではスイッチ86及びPZT選択部87は共に120個ずつ設けられる。参考例において、スイッチ86及びPZT選択部87は各ピエゾ素子PZTについて1つずつ、合計360個設けられていたので、本実施形態では参考例の1/3の数量となる。同様に、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、信号選択部83の数量も参考例の1/3となる。
PZT選択部87に接続される3つのピエゾ素子PZTのうち、動作してノズルからインクを噴出するのは、選択された1つのピエゾ素子PZTのみであり、ピエゾ素子PZTの選択はPZT選択信号Sにより行われる。また、ピエゾ素子PZT選択の際には、必ず上流側のピエゾ素子PZT群(#1〜#120)、または中流側のピエゾ素子PZT群(#121〜#240)、または下流側のピエゾ素子PZT群(#241〜#360)の120個のピエゾ素子PZTが同時に選択されるようになっている。つまり、PZT選択信号Sの種類により、各ノズル列中の上流側・中流側・下流側のいずれかを使用するよう制御することができる。
なお、ピエゾ素子PZT配置以外の基本的構成は第1実施形態と同じであるが、本実施形態においてはPZT選択部87は、3つのピエゾ素子PZTから1つを選ぶことになる。したがって、PZT選択部87としてデマルチプレクサを用いる場合は、3Ch以上の出力を有するものにする必要がある。また、インク噴出ノズルを選択するためのPZT選択信号Sは3種類必要となるため、制御ロジック84に入力する設定信号に含まれるPZT選択データSEは少なくとも2ビットのデータ量が必要となる。
図18A及び図18Bは本実施形態で表刷り印刷時に背景画像の上に実画像を形成する方法を説明する図である。まず、Wインクノズル列中の上流側に位置するピエゾ素子PZT群(#1〜#120)を用いて背景画像を形成する場合について説明する。図13A及び図13Bで説明した場合と同様に、初めにWインクノズル列中の上流側に位置するピエゾ素子PZT群(#1〜#120)からWインクを噴出させて媒体上の領域1に背景画像を形成する(図18A)。領域1に背景画像が形成された後、媒体を下流側に搬送し、Wインクを噴出したピエゾ素子PZT群(#1〜#120)よりも下流の位置(#121〜#360の間)まで移動させる。そしてKCMYインクノズル列中の下流側ピエゾ素子PZT群(#241〜#360)からカラーインクを噴出して、領域1に形成された背景画像の上に実画像を形成する(図18B)。このとき、領域1の搬送上流側の領域2には、Wインクノズル列の上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#120)からWインクが噴出され背景画像が形成される。この動作を繰り返すことで表刷り印刷が行われる。
このような印刷方法は、乾燥・蒸発などによって媒体に定着するインクを用いて印刷を行う場合に特に効果的である。Wインクノズル列上流側のピエゾ素子PZT群(#1〜#120)を用いて背景画像が形成され、KCMYインクノズル列下流側のピエゾ素子PZT群(#241〜#360)を用いて実画像が形成されるため、(#121〜#240)の区間ではいずれのインクも噴出されない。従って、この区間(#121〜#240)を媒体が搬送される間に、図18Aの領域1に形成されたWインクドット(背景画像)を乾燥させることができるからである。
なお、KCMYインクはWインクよりも搬送下流域で噴出されればよい。従って、KCMYインクノズル列中の中流に位置するピエゾ素子PZT群(#121〜#240)からカラーインクを噴出させて実画像を形成することも可能である。
また、背景画像はWインクノズル列中の中流側ピエゾ素子PZT群(#121〜#240)を用いて印刷してもよい。その場合は、中流側ピエゾ素子PZT群(#121〜#240)よりもさらに下流側に位置する、KCMYノズル列中の下流側ピエゾ素子PZT群(#241〜#360)を用いて実画像を形成する。
裏刷り印刷を行う場合は、表刷り印刷と逆の動作を行う。すなわち、図14A及び図14Bで説明した場合と同様、Wインクを噴出するピエゾ素子PZT群よりも上流側に位置するピエゾ素子PZT群からKCMYインクを噴出すればよい。
図19A及び図19Bに、裏刷り印刷時に実画像の上に背景画像を形成する方法を説明する図を示す。KCMYノズル列の中流に位置するピエゾ素子PZT群(#121〜#240)からKCMYインクを噴出して媒体中の領域1に実画像を形成する場合は(図19A)、媒体を搬送して領域1がノズル列下流側ピエゾ素子PZT群(#241〜#360)の位置に到達した時にWインクノズル列よりWインクが噴出され、領域1に形成された実画像の上に背景画像が形成される(図19B)。
===第2実施形態===
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、1つのPZT選択部87に対して2つのピエゾ素子PZTが接続される。しかし、本実施形態では、制御ロジック84のPZT選択信号生成部845において、2通りのPZT選択信号S1及びS2が生成される点が第1実施形態とは異なっている。
図20に、第2施形態におけるヘッド制御部HC’’のブロック図の概略を示す。なお、ヘッド制御部HC’’の基本的構成は第1実施形態と同じであり、図20ではSR81,ラッチ回路82,信号選択部83等の機器、及び、CLC,LAT,CH等の各種信号については省略している。
<ピエゾ素子PZTの配置>
本実施形態において1つのスイッチ86及びPZT選択部87に接続される2つのピエゾ素子PZTの組み合わせは、第1実施形態と同様(#1と#181),(#2と#182)〜(#180と#360)の180組である。このように配置することで、第1実施形態では各ノズル列を、搬送上流側のピエゾ素子PZT群(#1〜#180)と搬送下流側のピエゾ素子PZT群(#181〜#360)とに分け、ノズル列を搬送方向に2分割して印刷を行っていた。これに対して、第2実施形態ではPZT選択部87に入力するPZT選択信号を2通りにすることにより、ノズル列を4分割して印刷を行うことができる。
図21は、本実施形態でスイッチ86、PZT選択部87に接続される各ピエゾ素子PZTの配置、及び、2通りのPZT選択信号S1及びS2との関係を表す図である。
PZT選択信号S1が入力される90組のPZT選択部87には、ノズル列中の搬送最上流側のピエゾ素子PZT群(#1〜#90)と、搬送中流下側のピエゾ素子PZT群(#181〜#270)とで、合計180個のピエゾ素子PZTが接続されている。
一方、PZT選択信号S2が入力される90組のPZT選択部87には、搬送中流上側のピエゾ素子PZT群(#91〜#180)と、搬送最下流側のピエゾ素子PZT群(271〜#360)とで、合計180個のピエゾ素子PZTが接続されている。つまり、本実施形態では、4つのピエゾ素子PZT群によって各ノズル列が搬送方向に4等分されている。なお、PZT選択部87自体の構成は第1実施形態と同様とする。
PZT選択信号S1及びS2には第1実施形態と同様、それぞれHレベル信号及びLレベル信号がある。PZT選択部87にHレベルのPZT選択信号S1が入力されると、PZT選択部87はノズル列最上流側に位置するピエゾ素子PZT群(#1〜#90)を選択し、LレベルのPZT選択信号S1が入力されると、PZT選択部87はノズル列中流部下側に位置するピエゾ素子PZT群(#181〜#270)を選択する。
一方、PZT選択部87にHレベルのPZT選択信号S2が入力されると、PZT選択部87はノズル列中流部上側に位置するピエゾ素子PZT群(#91〜#180)を選択し、LレベルのPZT選択信号S2が入力されると、PZT選択部87はノズル列最下流側に位置するピエゾ素子PZT群(#271〜#360)を選択する。
このようにPZT選択信号を2通り用いることによって、ノズル列中の所定の領域からインクを噴出させるピエゾ素子PZT群を自由に選択することができるようになる。
<第2実施形態の印刷動作の説明>
図22Aに、本実施形態において各ノズル列のインク噴出を制御するためにPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1及びS2の種類を示す。また、図24A及び図24BにWインクノズル列とKCMYインクノズル列を用いた表刷り印刷時の印刷動作を説明する図を示す。Wインクノズル列、KCMYインクノズル列ともに、図24A及び図24Bの斜線部で示される部分からインクが噴出される。
第1実施形態で説明したとおり、表刷り印刷時はWノズル列の上側半分のノズル、及び、KCMYノズル列の下側半分のノズルを用いて印刷を行う(図13A及び図13B参照)。したがって、図24A及び図24Bに示されるように、HレベルのPZT選択信号S1、及び、HレベルのPZT選択信号S2をWノズル列に入力する。これにより、Wノズル列中の最上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#90)と、中流部上側ピエゾ素子PZT群(#91〜#180)とが選択され、該ピエゾ素子PZT群を動作させることで、白(W)インクを噴出して媒体上の領域1に背景画像を形成する(図24A)。背景画像が形成された媒体は下流側へと搬送される。
そして、KCMYノズル列にはLレベルのPZT選択信号S1、及び、LレベルのPZT選択信号S2を入力する。これにより、KCMYノズル列中の中流部下側ピエゾ素子PZT群(#181〜#270)と、最下流側ピエゾ素子PZT群(#271〜#360)とが選択され、該ピエゾ素子PZT群を動作させることで、KCMYインクを噴出し、領域1に形成された背景画像の上に実画像を形成する(図24B)。なお、このとき領域2にはWインクノズル列中の上側半分のピエゾ素子群(#1〜#180)により背景画像が形成される。
裏刷り印刷時は表刷り印刷時とは逆に、Wノズル列の下側半分のノズル、及び、KCMYノズル列の上側半分のノズルを用いて印刷を行う(図14A及び図14B参照)。したがって、HレベルのPZT選択信号S1、及び、HレベルのPZT選択信号S2をKCMYノズル列に入力する。これにより、KCMYノズル列中の最上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#90)と、中流部上側ピエゾ素子PZT群(#91〜#180)とが選択され、該ピエゾ素子PZT群を動作させることで、カラー(KCMY)インクを噴出して実画像を形成する。
そして、Wノズル列にはLレベルのPZT選択信号S1、及び、LレベルのPZT選択信号S2を入力する。これにより、Wノズル列中の中流部下側ピエゾ素子PZT群(#181〜#270)と、最下流側ピエゾ素子PZT群(#271〜#360)とが選択され、該ピエゾ素子PZT群を動作させることで、白(W)インクを噴出させ、背景画像を形成することができる。
さらに、本実施形態ではノズル列を搬送方向に4分割しているため、印刷時にノズル列両端の最上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#90)及び最下流側ピエゾ素子PZT群(#271〜#360)を用いずに、ノズル列中流部(#91〜#180、及び、#180〜#270)のピエゾ素子PZT群を用いて印刷を行うこともできる。
図3に示したように、インクジェットプリンターのヘッドでは、流路ユニット312の共通インク室312f内をインクが移動し、各ノズルNzに対応した圧力室312dに流入してノズルNzから噴出される。ここで、ノズル列全体について流路ユニット312内をインクが均等に流れれば、各ノズルNzから均等にインクを噴出することが可能である。
しかし、インクはヘッドの中央部から流路ユニット内に供給される場合が多く、ヘッド両端の搬送上流側及び搬送下流側に位置するノズルNzには、ヘッド中央部に位置するノズルNzよりもインクが流れ込みにくくなることがある。すなわち、ヘッド中央部の圧力室312dには所定量のインクが流入するが、ヘッド両端部の圧力室312dには十分な量のインクが流入しにくい。このような場合、ノズル列中のノズル位置によってインク噴出特性にばらつきが生じ、印刷画像に“むら”が生じる原因となる。
また、ヘッド部が斜めに取り付けられた傾斜ヘッドを有するプリンターにおいては、ノズル列のうち傾斜の下側部分にインクが沈降しやすい。インクが沈降した傾斜下側に位置するノズルNzは目詰まりを起こしやすく、このような場合にもノズル列中のノズル位置によってンク噴出特性にばらつきが生じるおそれがある。特に、比重の重い顔料から構成されるインクを用いて印刷を行う場合などに顕著な問題となる。
そこで、本実施形態のような構成の印刷装置を用いれば、ノズル列の両端部に位置するピエゾ素子PZT群(図21において最上流側ピエゾ素子PZT群(#1〜#90)及び最下流側ピエゾ素子PZT群(#271〜#360))を使用せず、比較的インク噴出特性が安定するノズル列中央部に位置するピエゾ素子PZT群(図21において中流上側ピエゾ素子PZT群(#91〜#180)及び中流下側ピエゾ素子PZT群(#181〜#270))を用いて印刷を行うことができる。
図22Bに、通常のKCMYインクを用いたカラー印刷を行う場合に、PZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1及びS2の種類を示す。また、図25A〜図25CにKCMYインクを用いた印刷時の印刷動作を説明する図を示す。図25A〜図25Cにおいて、KCMYノズル列の斜線部で示される部分からインクが噴出される。
KCMYノズル列の上流側半分または下流側半分のピエゾ素子PZT群を用いる場合は、PZT選択信号S1及びS2を同じ種類の信号とすればよい。すなわち、ノズル列上流側を使用する場合はPZT選択信号S1及びS2をともにHレベルとし(図25A)、ノズル列下流側を使用する場合はPZT選択信号S1及びS2をともにLレベルとする(図25B)。
一方、ノズル列両端部のピエゾ素子PZTを避けてノズル列中央部のピエゾ素子PZT群を用いて印刷を行う場合は、LレベルのPZT選択信号S1、及び、HレベルのPZT選択信号S2をKCMYノズル列に入力する(図25C)。LレベルのPZT選択信号S1によりKCMYノズル列の中流部下側ピエゾ素子PZT群(#181〜#270)が選択され、HレベルのPZT選択信号S2によりKCMYノズル列の中流部上側ピエゾ素子PZT群(#91〜#180)が選択される。このような方法により、ノズル列中央部に位置するピエゾ素子PZT群(#91〜#270)のみを使用して印刷を行うことができるようになる。
<第2実施形態の効果>
図23に本実施形態における設定信号の概念図を示す。本実施形態では2通りのPZT選択信号S1及びS2を生成するために、設定信号中のPZT選択データSEも2通り用意される。それぞれがHレベルまたはLレベルのPZT選択信号を生成するように、PZT選択データSEはそれぞれ1ビットのデータとなっている。すなわち、本実施形態においては、第1実施形態の場合と比較してPZT選択信号を1通り増やしたことにより、設定信号のデータ量も1ビット分だけ増えている。
本実施形態でも第1実施形態と同様に、各ノズル列中のピエゾ素子PZT(360個)の半数である180個のピエゾ素子PZTを用いて印刷を行うことになる。また、設定信号は第1実施形態よりもわずか1ビット分増えただけであるため(図23参照)、印刷に際して送信されるデータ量は第1実施形態とほぼ同量と考えてもよい。したがって、第1実施形態と同様に、通常の印刷装置を用いて印刷を行う場合と比較して、印刷時のデータ送信量を半減させることができる。また、消費電力の面でも現状より低くすることができる。
===第2実施形態の変形例===
前述の実施形態において、印刷時に使用されるピエゾ素子PZTは各ノズル列について全体の半数のみであった。つまり、全体の半数のノズルはインクを噴出しないことになる。そのようなノズルの未使用状態が継続すると、該未使用ノズルにおいてヘッド内部でインクが固化してしまうおそれがある。ヘッド内部でインクが固化したノズルはそれ以降インクを噴出することができなくなるため、ノズル列中でインク噴出特性にばらつきが生じ、印刷される画像の“むら”の原因となる。
そこで、本実施形態では、選択されなかった未使用ピエゾ素子PZTに対してインクメニスカスを微振動させるための微振動用駆動信号(前述の参考例における駆動パルスPS1に相当)を印加し、ノズル内部でのインク固化を防止している。
図26は各ノズルに設けられたピエゾ素子PZTに微振動用の駆動信号を印加するための構成を示すブロック図である。本実施形態では、第2実施形態における構成に加えて、微振動用駆動信号をピエゾ素子PZTに印加する微振動用スイッチ85を各ノズル列について1つ有する。そして、微振動用スイッチ85と、ノズル列中の4つのピエゾ素子PZT群(#1〜#90,#91〜#180,#181〜#270,#271〜#360)との間には、4つの微振動選択部891〜894がそれぞれ設けられる。また、制御ロジック84内には、微振動用駆動信号を印加するピエゾ素子PZTを選択するための微振動信号S1〜S4を生成する微振動信号生成部846を備える。
微振動用スイッチ85には駆動信号COMと微振動生成用の画素データSIが入力される。そして、微振動用スイッチ85は画素データSIによりON状態となり、入力された駆動信号COMを微振動用駆動信号として4つの微振動選択部891〜894にそれぞれ転送する。ここで、微振動用スイッチ85に入力される駆動信号COMは、画素データSIにより前述の駆動パルスPS1に相当する信号となっている。駆動パルスPS1を選択するための画素データSIは[00]で表され、上位データ1ビットと下位データ1ビットからなる2ビットのデータである。
微振動選択部891はノズル列中の最上流側に位置するピエゾ素子PZT群(#1〜#90)を構成する90個のピエゾ素子PZTに接続される。同様に、微振動選択部892はノズル列中の中流部上側ピエゾ素子PZT群(#91〜#180)を構成する90個のピエゾ素子PZTに、微振動選択部893はノズル列中の中流部下側ピエゾ素子PZT群(#181〜#270)を構成する90個のピエゾ素子PZTに、微振動選択部894はノズル列中の最下流側ピエゾ素子PZT群(#271〜#360)を構成する90個のピエゾ素子PZTにそれぞれ接続される。各微振動選択部は微振動信号Sに従って微振動用スイッチ85から転送された微振動用駆動信号を各ピエゾ素子PZTへと印加する。
微振動選択部891〜894の制御入力には、微振動信号生成部846で生成された微振動信号S1〜S4がそれぞれ入力される。微振動信号S1〜S4は、前述のPZT選択信号Sと同様にそれぞれHレベルまたはLレベルの2種類があり、微振動選択部891〜894は微振動信号SがHレベルの時にON状態となり、接続された各ピエゾ素子PZT群に微振動用駆動信号を印加する。微振動用駆動信号が印加されたピエゾ素子PZTはインクを噴出する代わりに微振動をすることで、ヘッド内部でのインクの固化を防止する。一方、微振動信号SがLレベルの時には、微振動選択部891〜894はOFF状態となり、微振動用駆動信号は各ピエゾ素子PZTに印加されない。
微振動信号S1〜S4は制御ロジック84内に設けられた微振動信号生成部846で、PZT選択データSEから生成される。PZT選択データSEは前述の実施形態と同様に画素データSI等に付加されて設定信号として制御ロジック84に入力される。
図27に本実施形態における設定信号の概念図を示す。本実施形態において、PZT選択データSEは、PZT選択信号S1,S2、及び、微振動信号S1〜S4を生成するためにそれぞれ1ビットずつ、合計6ビットのデータからなる。また、前述のとおり微振動用の駆動パルスを生成するための画素データSIは、上位データ1ビットと下位データ1ビットとがそれぞれ画素データSIに付加される。したがって、設定信号全体では、微振動用の画素データSIが2ビット分と、微振動信号作成用のSEデータが4ビット分で合計6ビット分のデータ量が増加することになる。
<第2実施形態の変形例の印刷動作の説明>
図28Aに、本実施形態を用いた表刷り印刷/裏刷り印刷時において、各ノズル列のインク噴出を制御するためにPZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1,S2、及び、微振動信号S1〜S4の種類を示す。また、図30AにWインクとKCMYインクを用いた表刷り印刷時の各ピエゾ素子PZT群の動作の様子を説明する図を示し、図30Bに裏刷り印刷時の各ピエゾ素子PZT群の動作の様子を説明する図を示す。Wインクノズル列,KCMYインクノズル列ともに斜線部で示される部分からインクが噴出される。
HレベルのPZT選択信号Sによって選択されたピエゾ素子PZT群は、駆動信号COMに従って動作して、ノズルからインクを噴出する。そして、該選択されたピエゾ素子PZT群にはLレベルの微振動信号Sが入力される。Lレベルの微振動信号Sが入力された微振動選択部はOFF状態となるため、微振動用駆動信号はピエゾ素子PZT群に印加されない。したがって、PZT選択信号Sによって選択されたピエゾ素子PZT群は微振動しない。
一方、PZT選択信号Sによって選択されなかったピエゾ素子PZT群は、駆動信号COMが印加されずインクを噴出しない。そして、該インクを噴出しないピエゾ素子PZT群にはHレベルの微振動信号Sが入力される。Hレベルの微振動信号Sが入力された微振動選択部はON状態となるため、微振動スイッチより転送された微振動用駆動信号がピエゾ素子PZT群に印加される。したがって、PZT選択信号Sによって選択されなかったピエゾ素子PZT群は微振動する。
例えば、図30Aの表刷り印刷時において、Wインクノズル列では搬送上流側半分のピエゾ素子PZT群(#1〜#180)を用いてインクを噴出する。したがって、HレベルのPZT選択信号S1により#1〜#90のピエゾ素子PZT群が選択され、同時にLレベルの微振動信号S1が入力される。同様に、HレベルのPZT選択信号S2により#91〜#180のピエゾ素子PZT群が選択され、同時にLレベルの微振動信号S2が入力される。
一方、Wインクノズル列の搬送下流側半分のピエゾ素子PZT群(#181〜#360)はインクを噴出しない。したがって、#181〜#270のピエゾ素子PZT群は選択されず、Hレベルの微振動信号S3により微振動を行う。同様に、#271〜#360のピエゾ素子PZT群は選択されず、Hレベルの微振動信号S4により微振動を行う。これにより、インクを噴出しない#181〜#360のピエゾ素子PZTを微振動させることができる。
このようにして、全てのノズルにおいてピエゾ素子を振動させることにより、ヘッド内部でインクが固化しないようにしている。
KCMYインクノズル列ではWインクノズル列とは逆に、搬送下流側半分のノズル(#181〜#360)からインクを噴出するため、入力する各種信号もWインクノズル列の場合の逆の信号となる。
すなわち、LレベルのPZT選択信号S1により#181〜#270のピエゾ素子PZT群が選択され、同時にLレベルの微振動信号S3が入力される。同様に、LレベルのPZT選択信号S2により#271〜#360のピエゾ素子PZT群が選択され、同時にLレベルの微振動信号S4が入力される(図30A)。
一方、KCMYノズル列の搬送上流側半分のピエゾ素子PZT群(#1〜#180)からはインクを噴出しないため、#1〜#90のピエゾ素子PZT群は選択されず、Hレベルの微振動信号S1により微振動を行う。同様に、#91〜#180のピエゾ素子PZT群は選択されず、Hレベルの微振動信号S2により微振動を行う。
また、裏刷り印刷時は、PZT選択信号S及び微振動信号Sのそれぞれについて、表刷り印刷時と全く逆の信号が入力される(図28A及び図30B参照)。
図28Bは、第2実施形態で説明したのと同様に、KCMYインクノズル列(またはWノズル列)の一部のピエゾ素子PZT群のみを用いて印刷を行う場合に、PZT選択部87に入力されるPZT選択信号S1,S2、及び、微振動信号S1〜S4の種類を表す図である。また、図31A〜図31CはKCMYインクノズル列を用いたカラー印刷時に各ピエゾ素子PZT群の動作の様子を説明するものである。
この場合も、PZT選択信号Sで選択されなかったピエゾ素子PZT群はHレベルの微振動信号Sにより微振動を行う。例えば、ノズル列上流側半分のピエゾ素子PZT群(#1〜#90、及び、#91〜#180)を選択する場合は、PZT選択信号S1及びS2をともにHレベルとして、また、微振動信号S1及びS2をLレベルとして入力することで、インクの噴出を行う。一方、PZT選択信号Sにより選択されなかったノズル列下流側半分のピエゾ素子PZT群(#181〜#270、及び、#271〜#360)には、それぞれHレベルの微振動信号S3及びS4が入力され、微振動を行う(図31A)。
同様に、ノズル列下流側半分のピエゾ素子PZT群(#181〜#270、及び、#271〜#360)を選択する場合は、PZT選択信号S1及びS2をともにLレベルとして、また、微振動信号S3及びS4をLレベルとして入力することで、インクの噴出を行う。一方、PZT選択信号Sにより選択されなかったノズル列上流側半分のピエゾ素子PZT群(#1〜#90及び#91〜#180)には、それぞれHレベルの微振動信号S1及びがS2入力され、微振動を行う(図31B)。
ノズル列両端部のピエゾ素子PZT群(#1〜#90、及び、#271〜#360)を避けて、ノズル列中央部のピエゾ素子PZT群(#91〜#180、及び、#181〜#270)を用いて印刷する場合は、HレベルのPZT選択信号S1とLレベルのPZT選択信号S2により、(#181〜#270)と(#91〜#180)のピエゾ素子PZT群が選択される。したがって、(#91〜#180)のピエゾ素子PZT群に入力される微振動信号S2と、(#181〜#270)のピエゾ素子PZT群に入力される微振動信号S3はLレベルの信号とする。一方、PZT選択信号S1により選択されたかったピエゾ素子PZT群(#1〜#90)にはHレベル微振動信号S1が入力され、PZT選択信号S2により選択されたかったピエゾ素子PZT群(#271〜#360)にはHレベル微振動信号S4が入力される。これにより、ノズル列両端部のピエゾ素子PZT群(#1〜#90、及び、#271〜#360)を微振動させる(図31C)。
<微振動信号Sの生成について>
前述の例では微振動信号S1〜S4を生成するために、それぞれの信号に対応する1ビットのデータ(合計4ビット)が設定信号中のSEデータに含まれていた。しかし、微振動信号S1〜S4はPZT選択信号S1及びS2から生成することも可能である。
前述のとおり、PZT選択信号Sにより選択された(インクを噴出する)ピエゾ素子PZT群にはLレベルの微振動信号Sが入力され、PZT選択信号Sにより選択されなかった(インクを噴出しない)ピエゾ素子PZT群にはHレベルの微振動信号Sが入力される。
すなわち、PZT選択信号S1がHレベルの時は、#1〜#90のピエゾ素子PZTが選択されるので、#1〜#90に入力される微振動信号S1はLレベルとして、微振動信号S3をHレベルとする。一方、PZT選択信号S1がLレベルの時は、#181〜#270のピエゾ素子PZTが選択されるので、微振動信号S3はLレベルとして、微振動信号S1をHレベルとする(図28A及び図28B参照)。
同様に、PZT選択信号S2がHレベルの時は、微振動信号S2がLレベル、微振動信号S4がHレベルとなり、PZT選択信号S2がLレベルの時は、微振動信号S2がHレベル、微振動信号S4がLレベルとなる。
つまり、微振動信号S1はPZT選択信号S1と反対の信号であり、微振動信号S3はPZT選択信号S1と同等の信号である。また、微振動信号S2はPZT選択信号S2と反対の信号であり、微振動信号S4はPZT選択信号S2と同等の信号である。
したがって、微振動信号S1〜S4はPZT選択信号S1及びS2の作成時に同時に作成することができる。図29はこの場合の設定信号を表す図である。設定信号中のPZT選択データSEはPZT選択信号S1及びS2を生成するため、それぞれ1ビットのデータから構成される。PZT選択信号生成部845は該データに従ってPZT選択信号S1を生成し、一方、微振動信号生成部846は同じデータSEを利用して微振動信号S3を生成する。そして、生成した微振動信号S3を反転させて微振動信号S1を生成する。同様にしてPZT選択信号S2が生成され、微振動信号S4とそれを反転させた微振動信号S2が生成される。この方法によれば、設定信号に含まれるSEデータを最小にすることができる。
===第3実施形態===
第3実施形態は、1つのピエゾ素子PZTに対して2つのスイッチ86及びPZT選択部87が接続される場合と、1つのピエゾ素子PZTに対して1つのスイッチ86及びPZT選択部87が接続される場合とが混在する構成である。スイッチ86及びPZT選択部87の数量とピエゾ素子PZTの接続方法以外の構成は第1実施形態と同様である。
図32に本実施形態におけるスイッチ86及びPZT選択部87と各ピエゾ素子PZTとの接続状態の概略図を示す。各スイッチ86に接続されるピエゾ素子PZTの組み合わせは、(#1と#61),(#2と#62)〜(#300と#360)の300組である。ただし、本実施形態では、ノズル列の搬送方向両端に位置するピエゾ素子PZT群(#1〜#60、及び、#301〜#360)にはそれぞれスイッチ86及びPZT選択部87が1つずつ接続され、ノズル列中央部のピエゾ素子PZT群(#61〜#300)にはそれぞれスイッチ86及びPZT選択部87が2つずつ接続される。
第1実施形態と同様に、PZT選択部87はPZT選択信号Sにより、駆動信号COMを印加するピエゾ素子PZTを選択する。ここで、PZT選択信号SがHレベルの時に番号が小さい方のピエゾ素子PZTが選択され、PZT選択信号SがLレベルの時に番号が大きい方のピエゾ素子PZTが選択されるものとする。例えばPZT選択信号SがHレベルの時、(#1と#61)では#1のピエゾ素子PZTが選択され、(#61と#121)では#61のピエゾ素子PZTが選択される。すなわち、PZT選択信号SがHレベルの時には#1〜#300のピエゾ素子PZTが選択され、逆にPZT選択信号SがLレベルの時には#61〜#360のピエゾ素子PZTが選択される。
これは、印刷時において、ノズル列中央部のピエゾ素子PZT群(#61〜#300)は常に動作してインクを噴出し、ノズル列両端部のピエゾ素子PZT群(#1〜#60、または、#301〜#360)は動作せずインクを噴出しない場合があるということでもある。したがって、図32には表していないが、動作しない(インクを噴出しない)ピエゾ素子PZTには、前述の第2実施形態の変形例で示したように微振動用駆動信号を印加して微振動させる構成とすると効果的である。
図33Aに表刷り印刷を行う場合の各ピエゾ素子PZT群のインク噴出の様子を、図33Bに裏刷り印刷を行う場合の各ピエゾ素子PZT群のインク噴出の様子を表す。Wインクノズル列,KCMYインクノズル列ともに斜線部で示される部分からインクが噴出される。
表刷り印刷時においては、Wノズル列にはHレベルのPZT選択信号Sが入力され、ノズル列上流側のピエゾ素子群(#1〜#300)が選択される。そして、KCMYノズル列にはLレベルのPZT選択信号Sが入力され、ノズル列下流側のピエゾ素子群(#61〜#360)が選択される(図33A)。一方、表刷り印刷時においては、Wノズル列にはLレベルのPZT選択信号Sが入力され、ノズル列下流側のピエゾ素子群(#61〜#360)が選択される。そして、KCMYノズル列にはHレベルのPZT選択信号Sが入力され、ノズル列上流側のピエゾ素子群(#1〜#300)が選択される(図33B)。
本実施形態では、表刷り印刷時・裏刷り印刷時ともに300個のピエゾ素子PZT(ノズル)を使用して印刷を行うことができるため、1パスでの印字範囲が広くなり、より速く印刷を行うことができる。
なお、この場合、Wノズル列中でインクを噴出する部分のピエゾ素子PZT(図33Aにおいて#1〜#300)とKCMYノズル列中でインクを噴出する部分のピエゾ素子PZT(図33Aにおいて#61〜#360)との間で搬送方向の位置がお互いにオーバーラップするピエゾ素子PZT(#61〜#300)を含んでいるが、このような印刷を行うことは可能である。
例えば、キャリッジが走査方向を往復移動する時に、往路のみでノズルからインクを噴出する単方向(Uni−D)印刷を行う場合、まず、Wインクノズル列中でオーバーラップするピエゾ素子PZT群(#61〜#300)によってWインクを噴出する。そして、その噴出に遅れて、同一のラスタライン上に、KCMYインクノズル列中でオーバーラップするピエゾ素子PZT群(#61〜#300)からKCMYインクが噴出されるようにすればよい。
<第3実施形態の効果>
図34に本実施形態で用いる設定信号を示す。本実施形態において画素データSIは、1ノズル列当たり300ノズル(ピエゾ素子PZT)分が必要であり、それぞれについて上位・下位1ビット分で合計300x2ビット分のデータ量となる。第1実施形態の画素データSI(180x2ビット)よりも大きなデータ量を要することになるが、300ノズルからインクを噴出することにより、180ノズルで印刷を行う場合よりも印字速度が速くなる。したがって、360ノズルを使用する通常の印刷よりも、転送データ量を減らしつつ、ある程度の印刷速度も確保できるという効果がある。設定データSPやPZT選択データSEは第1実施形態の場合と同様である。
===第4実施形態===
前述の各実施形態によれば、各ノズル列のうち特定の部分のノズル群(ピエゾ素子群)を選択して印刷を行うことができる。そこで、印刷開始時にノズル検査を行って、目詰まり等の異常が発見されたノズルを避けることにより、なるべく正常なノズルで構成できるノズル群を選択して印刷を行うようにする構成も可能である。特にノズル列の搬送方向両端部(長手方向両端部)に位置するノズルは異常が検出されやすいため、正常にインクを噴出できるノズル群を選択して印刷を行うことにより、よりムラの少ない画像を印刷することができる。
例えば、第2実施形態で説明したようなノズル列両端部を避けて中央部を使用した印刷をする場合に、印刷開始時に本実施形態の判定を行うことで、ノズル列中央部のノズル群を選択できるか否かの判断を適切に行うことができる。
図35に印刷時におけるノズル検査や印刷に使用するノズル群の選択に関するフローを示す。まず、印刷開始直後にノズル検査を行う(S101)。検査方法としては、例えば電荷を加えたインクを電極板に噴出させて、インクドットが形成されたか否かを検出する方法等がある。ノズル検査の結果により、印刷に使用するノズル列中の正常なノズルから、実際にインクを噴出させるノズル群を構成できるか否かが判断される(S102)。
例えば、第2実施形態で説明した図21において、最上流側の90組のノズル群や中流上側の90組のノズル群等各ノズル群の中に、不良ノズルが規定数量以上含まれていないかが判断される。
正常なノズルによりノズル群を構成することができると判断された場合は、そのノズル群をノズル列中の中央部分で構成できるか否かが判断される(S103)。構成可能と判断された場合は、中央部のノズル群が選択され(S104)、該中央部ノズル群を用いて印刷が実行される(S106)。
例えば、ノズル検査の結果、第2実施形態におけるノズル列中央部(図21の#91〜#270)に位置する中流上側ノズル群(ピエゾ素子群)が使用できると判断された場合には、中央部のピエゾ素子PZTを選択するためのピエゾ素子PZT選択信号S1(Lレベル)及びS2(Hレベル)が生成され、#91〜#270のノズル群を用いて印刷が実行される。
前述のようにノズル列両端部に位置するノズルはインク目詰まり等の問題が生じやすいことから、可能であれば、ノズル列中央部のノズル群を選択して印刷を行うことが望ましい。
ノズル列中央部のノズル群が正常ノズルで構成できない場合は、中央部以外のノズル群を使用して印刷が行われる(S105・S106)。例えば、図21においてノズル検査の結果、第2実施形態におけるノズル列中央部(図21の#91〜#270)に位置する中流上側ノズル群(ピエゾ素子群)に不良ノズルが多く含まれ、正常ノズルでノズル群を構成することができないと判断された場合には、両端部のピエゾ素子PZTを選択するためのピエゾ素子PZT選択信号S1(Hレベル)及びS2(Lレベル)が生成され、ノズル列両端部に位置する最上流側ノズル群(#1〜#90)及び最下流側ノズル群(#271〜#360)を用いて印刷が行われる。
S102において正常なノズルによりノズル群を構成することができないと判断された場合には、ノズルクリーニングの過程へと進む。まず、当該印刷の開始時点において、ノズルクリーニングが所定の回数以上行われていたか否かが判断される(S107)。クリーニング実行回数が所定の回数に達していた場合には警告が表示され(S108)、そのまま印刷動作は終了する。
一方、クリーニング実行回数が所定の回数未満であればノズルクリーニングが実行され(S109)、クリーニング後の状態で再びノズル検査過程(S101)へと進む。例えば、所定のクリーニング回数が3回であるときに、今回で4回目のクリーニングとなる場合には、クリーニングを実行せずに警告が発せられ、印刷を行うことはできない。一方、今回で3回目のクリーニングとなる場合には、ノズルクリーニングが実行され、クリーニング後のノズルが正常と判断されれば印刷が行われる。
これらの判断は印刷装置のコントローラー60によって行われる。また、S102におけるノズル郡中に含まれる不良ノズルの許容数量(含有率)や、S107におけるクリーニングの規定回数の設定等はメモリ63に記憶させておくことができる。
===まとめ===
W(白)インクノズル列と、KCMY(カラー)インクノズル列を用いて印刷を行う印刷装置において、駆動信号をピエゾ素子PZTに印加するスイッチ1つに対して2以上のピエゾ素子PZTが接続されており、PZT選択信号によって選択される一方のピエゾ素子PZTにのみ駆動信号が印加されるという構成を備えている。
これにより、印刷時に使用されるピエゾ素子PZT数を通常の場合よりも減らすことができる。そのため、各ノズルのインク噴出量を規定する画素データも減少し、データ転送のための高速クロックなどにかかるコストを軽減することができる。
また、同じ種類のPZT選択信号によって選択されるピエゾ素子PZTは、各ノズル列中で所定のピエゾ素子PZT群を構成する。該PZT選択信号により印刷に使用するピエゾ素子群を選択することができるため、ノズル列中でインクを噴出する位置を制御することができる。
これにより、印刷用途に応じてノズル列中の上流側/下流側等を使い分けて印刷することができる。
また、Wインクノズル列とKCMYインクノズル列とで、各ノズル列の搬送方向の異なる位置からインクを噴出することができる。例えば、Wインクノズル列では、搬送上流側半分のピエゾ素子PZT群を用いてWインクを噴出し、KCMYインクノズル列では、搬送下流側半分のピエゾ素子PZT群を用いてKCMYインクを噴出することなどができる。
これにより、表刷り印刷時には実画像より先に背景画像を形成し、表刷り印刷時には背景画像より先に実画像を形成する等、裏刷り印刷/裏刷り印刷にあわせて適宜インク噴出方法を変更して印刷することができる。
また、PZT選択信号によって選択されなかった方のピエゾ素子PZTには、微振動用駆動信号を印加することで、インクメニスカスを微振動させる。
これにより、インクを噴出しないノズルのピエゾ素子PZTも振動させることができ、ヘッド内部でのインク固化を防止することができる。
また、ノズル列両端部のピエゾ素子群にはそれぞれ1つのスイッチを接続し、ノズル列中央部のピエゾ素子群にはそれぞれ2つのスイッチを接続し、PZT選択信号によって適当なピエゾ素子群を選択することにより、ノズル列端部片側のピエゾ素子群を使用せずに印刷することもできる。
これにより、不使用ピエゾ素子群の印刷データ転送量を削減しつつ、ノズル列端部片側以外のピエゾ素子群からはインクを噴出することができるため、ある程度の印刷速度も確保することができる。
また、印刷開始時に各ノズル(ピエゾ素子PZT)がインク噴出不良を生じていないか検査して、なるべく噴出不良の生じているピエゾ素子PZTが少ないピエゾ素子群を選択して印刷を行うことができる。
これにより、噴出不良ノズルを避けた印刷が可能となり、印刷ムラの少ない画像が形成できる。
また、PZT選択信号に応じて駆動信号を印加するPZT選択部には、デマルチプレクサや、トランジスタ、FET等を利用することができる。
これにより、消費電力の低減を図ることが可能となる。また、同一構成の回路をIC(集積)化すれば、さらにコストや消費電力を抑えることができるようになる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<印刷装置について>
前述の各実施形態では、発熱を低減した印刷装置の一例としてプリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造型機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の印刷装置に、本実施形態と同様の技術を適用してもよい。
<トランジスタ,MOSFETについて>
前述の各実施形態では、PZT選択部に用いるスイッチ素子としてトランジスタやMOSFETを例示して説明したが、これに限られるものではない。PZT選択信号によりON/OFFの制御が自在であり、応答性に問題がなければリレー等他のスイッチ素子を用いてもよい。
<インクについて>
前述の実施形態では、紫外線(UV)の照射を受けることによって硬化するインク(UVインク)をノズルから吐出していた。しかし、噴射する液体は、このようなインクに限られるものではなく、UV以外の他の電磁波の照射を受けることによって硬化するものであってもよい。この場合、仮硬化用照射部及び本硬化用照射部から、その液体を硬化させるための電磁波を照射するようにすればよい。
また、電磁波により硬化するインクではなく、乾燥・蒸発などによって媒体に定着する、一般的な溶媒系インク(例えば水性染料/顔料インク等)を用いてもよい。
<ノズル列について>
前述の実施形態では、KCMYの4色、及び、背景用のWインクを使用して印刷する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリアー等、CMYK以外の色のインクを用いて印刷を行ってもよいし、背景色としてW以外の色を用いてもよい。
また、ヘッド部のノズル列は左側からWKCMYの配列順で並んでいたが、これに限られるものではない。例えば、ノズル列の順番が入れ替わっていてもよいし、Kインクのノズル列数が他のインクのノズル列数より多い構成などであってもよい。また、Wインクノズル列がヘッドの両脇にあってKCMYインクノズル列を挟み込むような配置としてもよい。
<ピエゾ素子について>
前述の各実施形態では、液体を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子PZTを例示したが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いてもよい。
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行っても良い。その場合、プリンターとプリンタードライバーをインストールしたPCとで記録装置が構成される。
1 プリンター、10 搬送ユニット、11 給紙ローラー、
12 搬送モータ、13 搬送ローラー、14 プラテン、
15 排紙ローラー、20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、
22 キャリッジモーター、30 ヘッドユニット、
31 ヘッド、311 ケース、312 流路ユニット、
312a 流路形成板、312b 弾性板、312c ノズルプレート、
312d 圧力室、312e ノズル連通口、312f 共通インク室、
312g インク供給路、312h アイランド部、312i 弾性膜、
40 照射ユニット、41a・41b 仮硬化用照射部、
43 本硬化用照射部、50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、
54 光学センサ、60 コントローラー、61 インターフェース部、
62 CPU、63 メモリ、64 ユニット制御回路、
70 駆動信号生成回路、81A 第1シフトレジスタ、
81B 第2シフトレジスタ、82A 第1ラッチ回路、
82B 第2ラッチ回路、83 信号選択部、84 制御ロジック、
842 シフトレジスタ群、844 波形選択信号生成部、
845 PZT選択信号生成部、846 微振動信号生成部、
85 微振動用スイッチ、86 スイッチ、87 PZT選択部、
871 デマルチプレクサ、873・874 アナログスイッチ、
875・876 NPN型トランジスタ、877・878 MOSFET、
88 論理否定回路、891〜894 微振動選択部、
110 コンピューター、HC ヘッド制御部

Claims (8)

  1. (A)背景色インクを噴出する複数のノズルにより構成される背景色インクノズル列と、
    カラーインクを噴出する複数のノズルにより構成されるカラーインクノズル列と、
    前記各ノズルにそれぞれ対応して設けられ、駆動信号によって振動することでノズルからインクを噴出させる複数の素子と、
    を有し、
    媒体が搬送される方向と交差する方向に移動しつつ、前記ノズルから前記媒体にインクを噴出するヘッド部と、
    (B)前記複数の素子に接続される素子選択部であって、
    前記各ノズル列は複数の素子群に分けられており、前記素子選択部に接続された複数の素子は、それぞれが異なる前記素子群に属し、
    素子選択信号に応じて、前記素子選択部に接続された複数の素子の中から前記駆動信号を印加する1の素子を選択する素子選択部と、
    (C)前記素子選択部に接続され、前記素子選択部を介して前記駆動信号を前記素子へと転送するスイッチと、
    (D)前記駆動信号を生成して前記スイッチに送信することと、前記素子選択信号を生成して前記素子選択部に送信することと、を行う制御部と、
    を備える印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記複数の素子群のうち、前記素子選択信号によって選択される素子で構成される素子群を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1または2に記載の印刷装置であって、
    前記背景色インクノズル列と前記カラーインクノズル列とで、各ノズル列長手方向の異なる位置にある素子群を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
    (A)前記各素子群を構成する前記素子に接続され、
    前記素子選択信号によって選択されなかった素子を選択する微振動信号に応じて、前記ノズルからインクが噴出されない程度に前記素子を振動させる微振動用駆動信号を印加する素子を選択する微振動選択部と、
    (B)前記微振動選択部に接続され、前記微振動選択部を介して前記微振動用駆動信号を各素子へと転送する微振動用スイッチと、
    (C)前記微振動用駆動信号を生成して前記微振動用スイッチに送信することと、前記微振動信号を生成して前記微振動選択部に送信することと、を行う制御部と、
    を有し、
    前記素子選択信号により選択されなかった各素子を微振動させることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記各ノズル列両端に位置する複数の素子は、それぞれ1の前記素子選択部に接続され、
    前記各ノズル列中央部に位置する複数の素子は、それぞれ2の前記素子選択部に接続される、ことを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記各素子についてインク噴出不良の有無を検出し、
    前記各ノズル列中で、インク噴出不良の生じている素子が所定の割合以下となる素子群を選択して印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記素子選択部が、デマルチプレクサ、または、トランジスタ、または、FETを用いて構成されることを特徴とする印刷装置。
  8. 駆動信号を生成してスイッチに送信することと、
    素子選択信号を生成して素子選択部に送信することと、
    前記素子選択信号に応じて、前記素子選択部に接続された複数の素子のうち、1の素子を選択することと、
    選択された前記素子に前記スイッチから前記素子選択部を介して前記駆動信号を印加することで、前記素子を振動させてノズルからインクを噴出させることと、
    を有する印刷方法。
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