JP2011125125A - スイッチドリラクタンスモータ及びスイッチドリラクタンスモータ駆動システム - Google Patents

スイッチドリラクタンスモータ及びスイッチドリラクタンスモータ駆動システム Download PDF

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Abstract

【課題】効率的な駆動が可能で、回生電力の回収が可能となるとともに、トルク脈動、振動の少ないスイッチドリラクタンスモータ及びその駆動システムを提供することである。
【解決手段】回転子33の複数の回転子ユニット33a〜33dのそれぞれは、2n個の凸極を有し、固定子31の複数の固定子ユニット31a〜31dのそれぞれは、対応する回転子ユニットの各凸極との間に所定のギャップが形成されるように並ぶ4n個の磁極を有し、複数の固定子ユニット31a〜31dのそれぞれにおける前記4n個の磁極の1つおきに第1の励磁コイル32(A)が巻回されるとともに、前記第1の励磁コイルの巻回された磁極以外の磁極に順次第2の励磁コイル32(B)が巻回され、複数の回転子ユニット33a〜33dと、複数の固定子ユニット31a〜31dとの回転方向の相対位置は、所定角度ずれるように設定されている構成となる。
【選択図】図2A

Description

本発明は、複数の凸極を有する回転子と、該回転子の外周に配置され、凸部に励磁コイルが巻かれた構造の複数の磁極とを有する固定子とを備え、前記固定子の該複数の磁極の励磁コイルに順次電流を供給することにより、前記回転子を回転させるようにしたスイッチドリラクタンスモータ及び該モータの駆動システムに関する。
これまで広く知られた電気モータ駆動システムとして、(1)PWM(Pulse Width modulation)インバータ及び3相同期電動機により構成されるもの、(2)PWMインバータ及び3相誘導電動機により構成されるものが知られている。これらは、昭和40年代に提案され、パワーエレクトロニクスと電子回路技術の発展よって、エレベータ、電気車、クレーン、エアコン、電気自動車、ハイブリッド車に広く用いられている。上記電気モータシステムは、古典的な電気モータシステムに対して制御性の良さから普及してきた。しかし、CO2低減や希少資源の重要性が認識されるようになった近年では、これまでの電気モータ駆動システムをそのまま踏襲うることは、次のような問題がある。
同期電動機に使用するネオジウム磁石の資源は特定国に偏在し、かつ、全世界の電気自動車の駆動源としての電気モータに利用することができる程の量がない。また、誘導電動機は、重量、効率の点で弱点があり、かつPWMインバータにて生成される疑似正弦波の高周波によって更に効率が低下し、かつまた、回生制動は高いレベルの技術が必要となる。
CO2低減を大きく進めるためには、電気自動車の普及を含めてあらゆる分野の電気モータ駆動システムの効率向上は勿論、これだけではなく、制動時のエネルギー回収をできるだけ大きくすることが必要である。そして、これを世界的に広げるためには、資源的な制約が少ない構成であることが肝心である。
本発明は、これまでの3相同期電動機や3相誘導電動機を基本としたモータ駆動システムから脱却して、リラクタンスモータ(例えば、特許文献1参照)をベースに新しいモータ駆動システムを提案するものである。
特開2007−312562号公報
これまでのリラクタンスモータは、
効率が低く、重量が大きく、
回生制動が困難であり、
トルク脈動、振動、騒音が大きい
等の問題があった。
これらの問題は、リラクタンスモータのコイルは、本来リアクタンスが大きいことから、電流の素早い制御が困難であるために、トルク変動の観点から有利な波形の電流を各コイルに供給することが難しいことに起因している。また、回生制動時、励磁コイルは吸引力を生じさせる本来の電流と回生電流とが重畳されるが、この回生電流を有効に分離して電源に回収するための制御が難しい。更に、吸引力によって外枠に対して内方への力が働き、振動や騒音の原因となっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、効率的な駆動が可能で、回生電力の回収が可能となるとともに、トルク脈動、振動の少ないスイッチドリラクタンスモータ及びその駆動システムを提供するものである。
本発明に係るスイッチドリラクタンスモータは、回転子と、該回転子を囲むように配置され、励磁コイルの装着された固定子とを有するスイッチドリラクタンスモータであって、前記回転子は、回転軸に同軸的に固定された複数の回転子ユニットを有し、前記固定子は、前記複数の回転子ユニットに対向するように配置される複数の固定子ユニットを有し、前記複数の回転子ユニットのそれぞれは、所定角度間隔にて並ぶ2n(nは整数)個の凸極を有し、前記複数の固定子ユニットのそれぞれは、対応する回転子ユニットの各凸極との間に所定のギャップが形成されるように所定角度間隔にて並ぶ4n(nは整数)個の磁極を有し、前記複数の固定子ユニットのそれぞれにおける前記4n個の磁極の1つおきに第1の励磁コイルが巻回されるとともに、前記第1の励磁コイルの巻回された磁極以外の磁極に順次第2の励磁コイルが巻回され、前記複数の回転子ユニットと、前記複数の固定子ユニットとの回転方向の相対位置は、所定角度ずれるように設定されている構成となる。
このような構成により、固定子を構成する複数の固定子ユニットそれぞれの4n個の磁極の1つおきに巻回された第1の励磁コイルと第2の励磁コイルとに矩形波直流定電流を各固定子ユニットについ所定のタイミングずつずらしながら切換え供給することにより、回転子を構成する複数の回転子ユニットのそれぞれの2n個の凸極が対応する固定子ユニットの励磁される磁極に順次吸引されるようになるので、その吸引力によって回転子が回転するようになる。
本発明に係るスイッチドリラクタンスモータにておいて、前記整数nは2以上であって、前記複数の回転子ユニットのそれぞれは、4個以上の凸極を有するとともに、前記複数の固定子ユニットのそれぞれは、8個以上の磁極を有する構成とすることができる。
このような構成により、固定子を構成する各固定子ユニットが8個以上の磁極を有するので、第1の励磁コイルと第2の励磁コイルとを交互に通電されるときに、2組の1つおきの4個以上の磁極が交互に励磁されるようになるので、その駆動時に、前記励磁による力が偏り少なく各固定子ユニットに作用するようになり、駆動時の振動を抑制することができるようになる。
また、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記複数の回転子ユニットと、前記複数の固定子ユニットとの回転方向の相対位置は、固定子ユニットの磁極のピッチ角度を前記複数の回転子ユニットの個数で除した角度ずつずれるように設定されているように構成することができる。
このような構成により、固定子を構成する複数の固定子ユニットそれぞれの磁極の1ピッチ分を複数の回転子ユニットで分担するようになるので、より滑らかな回転が可能となる。
また、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記複数の回転子ユニットは、前記回転軸に対して回転方向の同じ角度関係にて固定されている構成とすることができる。
この場合、回転子に対して固定子を構成する複数の固定子ユニットが所定角度ずつずれるように配置される。
更に、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記複数の固定子ユニットは、前記回転軸に対して回転方向の同じ角度関係にて配置されている構成とすることができる。
この場合、回転軸に対して回転子を構成する複数の回転子ユニットが所定角度ずつずれるように固定される。
また、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記複数の固定子ユニットそれぞれの各磁極の回転方向の幅の前記複数の回転子ユニットそれぞれの各凸極の回転方向の幅に対する割合が1未満の所定の割合に設定された構成とすることができる。
このような構成により、複数の回転子ユニットそれぞれの各凸極の回転方向の幅が、対応する固定子ユニットの各磁極の回転方向の幅より大きくなるので、回転する回転子ユニットの各凸極が固定子ユニットの磁極に対向していない期間がより小さくできるので、回転子ユニットの各凸極に対する固定子ユニットの各磁極からの吸引力の途切れる期間がより短くなる。従って、トルク変動や振動をより小さいものとすることができる。
本発明に係るスイッチドリラクタンスモータの駆動システムは、前述したいずれかのスイッチドリラクタンスモータと、直流定電流電源装置と、前記スイッチドリラクタンスモータにおける前記複数の固定子ユニットのそれぞれに対応して設けられ、第1の電流路と第2の電流路とを切換える複数の電流切換え回路と、前記電流切換え回路を制御して、前記第1の電流路と前記第2とを交互に導通させる切換え制御手段とを有し、各電流切換え回路の第1の電流路及び第2の電流路と対応する固定子ユニットに設けられた第1の励磁コイル及び第2の励磁コイルとがそれぞれ直列接続された状態で、前記複数の電流切換え回路が直列的に接続され、前記直流定電流電源装置の一方の出力端子から出力される直流定電流が前記直列的に接続された初段の電流切換え回路の第1及び第2の電流路に入力し、最終段の電流切換え回路の第1の電流路に接続された第1の励磁コイル及び第2の電流路に接続された第2の励磁コイルを流れた前記直流定電流が前記直流定電流電源装置の他方の出力端子に帰還するように、前記直流定電流電源装置、前記複数の電流切換え回路及び前記スイッチドリラクタンスモータが接続され、前記切換え制御手段は、前記スイッチドリラクタンスモータの前記回転子の角度位置に応じて前記複数の電流切換え回路それぞれにおける前記第1及び前記第2の電流路の導通状態を交互に切換えて矩形波電流を前記第1及び第2の励磁コイルに交互に流し、前記スイッチドリラクタンスモータの駆動時と制動時とで、前記第1及び第2の電流路の導通状態を切換えるタイミングを前記回転子の電気角180度に対応する角度の回転時間だけずらすように各電流切換え回路を制御する構成となる。
このような構成により、固定子を構成する複数の固定子ユニットの4n個の磁極に巻回された第1の励磁コイルと第2の励磁コイルとに矩形波の直流定電流を交互に切り換えつつ供給することにより、スイッチドリラクタンスモータを、駆動させることができる。また、制動時に、各固定子ユニットの各磁極に巻回された第1の励磁コイル及び第2の励磁コイルに供給される直流定電流に重畳する、対応する回転子ユニットの凸極との対向面積の変化に応じた電流を直流定電流電源装置に帰還させることができる。その帰還された当該直流定電流に重畳する電流を回生電力として蓄積することができるようになる。
本発明に係るスイッチドリラクタンスモータによれば、固定子を構成する複数の固定子ユニットそれぞれの4n個の磁極の1つおきに巻回された第1の励磁コイルと第2の励磁コイルとに矩形波直流定電流を各固定子ユニットについ所定のタイミングずつずらしながら切換え供給することにより、回転子を構成する複数の回転子ユニットのそれぞれの2n個の凸極が対応する固定子ユニットの励磁される磁極に順次吸引されて回転子が回転するようになるので、トルク脈動、振動の少ない効率的な駆動が可能になる。
また、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータの駆動システムによれば、固定子を構成する複数の固定子ユニットの4n個の磁極に巻回された第1の励磁コイルと第2の励磁コイルとに矩形波の直流定電流を交互に切り換えつつ供給することにより、スイッチドリラクタンスモータを、駆動させることができ、また、制動時に、各固定子ユニットの各磁極に巻回された第1の励磁コイル及び第2の励磁コイルに供給される直流定電流に重畳する、対応する回転子ユニットの凸極との対向面積の変化に応じた電流を直流定電流電源装置に帰還させることができるので、スイッチドリラクタンスモータの駆動とともに回生電力を回収することができるようになる。
本発明の実施の一形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムの基本構成を示すブロック図である。 本発明の実施の一形態に係るスイッチドリラクタンスモータの横方向から見た断面構造を示す断面図である。 図2Aに示すスイッチドリラクタンスモータのA−A線での断面構造を示す断面図である。 回転位相をずらした4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相が同じに設定された4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第1回転子ユニットと第1固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相をずらした4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相が同じに設置された4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第2回転子ユニットと第2回転子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相をずらした4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相が同じに設定された4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第3回転子ユニットと第3固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相をずらした4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相が同じに設定された4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第4回転子ユニットと第4固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相が固定された4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相をずらした4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第1回転子ユニットと第1固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相が固定された4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相をずらした4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第2回転子ユニットと第2固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相が固定された4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相をずらした4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第3回転子ユニットと第3固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 回転位相が固定された4つの固定子ユニットからなる固定子に対して配置される回転位相をずらした4つの回転子ユニットからなる回転子の基準回転位置における第4回転子ユニットと第4固定子ユニットとの配置関係を示す図である。 固定子の各固定子ユニットに巻かれる励磁コイルの接続関係と、発生する磁束の状態を示す図である。 電流切換え器の具体的な構成例を示す図である。 スイッチドリラクタンスモータを駆動させる際の電流切換え器における各スイッチング素子の動作を示すタイミングチャートである。 スイッチドリラクタンスモータを制動させる際の電流切換え器における各スイッチング素子の動作を示すタイミングチャートである。 電流切換え器を構成する各定電流フリップフロップ回路(電流切換え回路)を示す図である。 図8に示す定電流フリップフロップ回路(電流切換え回路)における励磁コイルの各種電流波形及びコンデンサの充電電圧波形を示す波形図である。 駆動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その1)を示す図である。 駆動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その2)を示す図である。 駆動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その3)を示す図である。 各固定子ユニットに巻かれたA相励磁コイル及びB相励磁コイルに流れる電流波形を示す波形図である。 制動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その1)を示す図である。 制動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その2)を示す図である。 制動時における回転する各回転子ユニットの固定子ユニットに対する相対位置関係(その3)を示す図である。 各固定子ユニット及び回転子ユニットの寸法関係と、それらの間で形成される磁気回路を示す図である。 駆動時における回転する回転子ユニットの凸極と固定子ユニットの磁極との間のギャップに形成される磁束の分布状態を示す図である。 図14に示すように回転子ユニットが回転する際に生ずる磁束の変化と、それに基づいて発生する起電力及びトルクとを示す図である。 制動時における回転する回転子ユニットの凸極と固定子ユニットの磁極との間のギャップに形成される磁束の分布状態を示す図である。 図16に示すように回転子ユニットが回転する際に生ずる磁束の変化と、それに基づいて発生する起電力及びトルクとを示す図である。 駆動時における駆動システムの等価回路を示す回路図である。 制動時における駆動システムの等価回路を示す回路図である。 停止時における駆動システムの等価回路を示す回路図である。 磁極短縮率K(図13参照)=0.75における各相(1つの回転子ユニットと1つの固定子ユニットとに対応)当たりのトルク、及びそれらを合成した合成トルクの時間的変動を示す図である。 磁極短縮率K(図13参照)=0.5における各相当たりのトルク、及びそれらを合成した合成トルクの時間的変動を示す図である。 磁極短縮率K(図13参照)=0.8における各相当たりのトルク、及びそれらを合成した合成トルクの時間的変動を示す図である。 磁極短縮率K(図13参照)=0.7における各相当たりのトルク、及びそれらを合成した合成トルクの時間的変動を示す図である。 A相励磁コイルが励磁されているときに各固定子ユニットに作用する力(吸引力)を示す図である。 B相励磁コイルが励磁されているときに各固定子ユニットに作用する力(吸引力)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明の実施の一形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムの基本構成は、図1に示すようになっている。図1において、このスイッチドリラクタンスモータ駆動システムは、直流定電源装置10、電流切換え器20及びスイッチドリラクタンスモータ30を有している。直流定電流装置10は、制御系(図示略)から指令に応じた値の直流定電流を出力する。電流切換え器20は、後述するように、スイッチドリラクタンスモータ30の2系統の励磁コイル(固定子側)に直流定電源装置10からの直流定電流を矩形波形にて交互に切換え供給する。そして、スイッチドリラクタンスモータ30は、矩形波形で2系統の励磁コイルに所定のタイミングで切換え供給される直流定電流によって、回転軸に固定された回転子が回転するようになっている。以下、本発明の実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムについて詳細に説明する。
スイッチドリラクタンスモータ30は、図2A及び図2Bに示すように構成される。図2Aは、スイッチドリラクタンスモータ30の側方から見た断面構造を示しており、図2bは、図2Aに示すスイッチドリラクタンスモータ30のA−A線での断面構造を示している。
図2A及び図2Bにおいて、基台300に固定された円筒状の外枠301の前後端部に円板状の軸受け板302、303が固定されている。軸受け板302、303の中心部には回転軸306を回転自在に支持する軸受け(ベアリング)304、305が固定されている。回転軸306には、回転子33が非磁性材料で形成される回転子止め307によって固定されている。回転子33は、積層鋼鈑にて形成された4つの回転子ユニット33a、33b、33c、33dにて構成され、これら4つの回転子ユニット33a、33b、33c、33dは非磁性材料で形成されるスペーサによって所定の間隔に保持されつつ回転軸306に固定されている。
円筒状の外枠301の内周壁には、前述した回転子33を囲むように固定子31が非磁性材料で形成される固定子止め308によって固定されている。固定子31は、積層鋼鈑にて形成された4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31dにて構成され、これら4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31dは、前述した回転子ユニット33a、33b、33c、33dに対向するように、非磁性材料にて形成されるスペーサによって所定の間隔に保持されつつ円筒状の外枠301の内周壁に固定されている。
回転軸306の一方の軸受け板303から突出する部分に対向するように角度位置検出器309が設けられている。この角度位置検出器309は、回転する回転軸306の回転角度位置を検出し、検出される回転角度位置に対応した検出信号を出力する。
固定子31を構成する4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31dは、図2Bに代表して固定子ユニット31aについて示すように、周上に等角度間隔にて配列された8個(4n:n=2)の磁極311、312、313、314、315、316、317、318を有している。それらの磁極311〜318には、励磁コイル321、322、323、324、325、326、327、328が巻かれている。固定子ユニット31a(31b、31c、31d)の8磁極311〜318のうちの1つおきの磁極311、313、315、317に巻かれた4つの励磁コイル321、323、325、327は直列に接続されて、A相励磁コイル32a(A)(32b(A)、32c(A)、32d(A))(第1の励磁コイル)として構成される。残りの磁極312、314、316、318に巻かれた4つの励磁コイル322、324、326、328もまた直列接続されて、B相励磁コイル32a(B)(32b(B)、32c(B)、32d(B))(第2の励磁コイル)として構成される。
A相励磁コイル32a(A)及びB相励磁コイル32a(B)はそれぞれ入出力端子を有し、その巻き方向については、後述する(なお、A相励磁コイル32a(A)及びB相励磁コイル32a(B)のそれぞれを構成する4つの励磁コイルの接続は、電磁力学的に全く条件が同じであれば並列接続であってもよい)。
このように、前述したスイッチドリラクタンスモータ30の構造では、固定子31の各固定子ユニット31a〜31dの磁極数が8個で、固定子ユニット31a〜31dが4個重ねられているので、このような構造を、「8極4重相」の構造ということにする。
回転子33を構成する4つの回転子ユニット33a、33b、33c、33dは、図2Bに代表して回転子ユニット33aについて示すように、円周上に等角度間隔にて配列された、各固定子ユニットの磁極数の半分の数となる、4個(2n:n=2)の凸極331、332、333、334を有している。固定子31と回転子33との配置関係は、各固定子ユニット31a〜31dの磁極311〜318の先端部と各回転子ユニット33a〜33dの凸極331〜334の先端との間に所定のギャップ(磁気ギャップ)が形成される配置関係となっている。
4つの固定子ユニット31a〜31dと4つの回転子ユニット33a〜33dとの配置関係は、例えば、図3A〜図3Dに示すようになっている。
回転軸306(回転子33)が、ある角度位置(例えば、基準角度位置)にあるときに、固定子ユニット31aは、図3Aに示すように、磁極311が回転子ユニット33aの凸極331に対向する位置にあり、次の固定子ユニット31bは、図3Bに示すように、図3Aに示す位置から、1磁極角度ピッチ45度(電気角180度)の凸極の数(=4)分の1の角度=11.25度だけ回転方向にずれた位置にあり、その次の固定子ユニット31cは、図3Cに示すように、図3Aに示す位置から、前記角度(=11.25度)の2倍の角度(=22.5度)だけ回転方向にずれた位置にあり、更に次の固定子ユニット31dは、図3Dに示すように、図3Aに示す位置から、前記角度(=11.25度)の3倍の角度(33.75度)だけ回転方向にずれた位置にある。このように、回転子33を構成する4つの回転子ユニット33a、33b、33c、33cは、回転軸306に対して同じ角度関係にて固定される一方、固定子31を構成する4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31dは、対応する回転子ユニット33a、33b、33c、33cに対して回転方向に所定角度(=11.25度)ずつずれた位置に配置されている。
また、4つの固定子ユニット31a〜31bと4つの回転子ユニット33a〜33dとの配置関係を、例えば、図4A〜図4Dに示すように設定することも可能である。
この場合、回転軸306(回転子33)が、ある角度位置(例えば、基準角度位置)にあるときに、回転子ユニット33aは、図4Aに示すように、凸極磁極331が固定子ユニット31aの磁極311に対向する位置にあり、次の回転子ユニット33bは、図4Bに示すように、図4Aに示す位置から、1磁極角度ピッチ45度(電気角180度)の凸極の数(=4)分の1の角度=11.25度だけ回転方向と逆方向にずれた位置にあり、その次の回転子ユニット33cは、図4Cに示すように、図4Aに示す位置から、前記角度(=11.25度)の2倍の角度(=22.5度)だけ回転方向と逆方向にずれた位置にあり、更に次の回転子ユニット33dは、図4Dに示すように、図4Aに示す位置から、前記角度(=11.25度)の3倍の角度(33.75度)だけ回転方向と逆方向にずれた位置にある。このように、固定子31を構成する4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31cは、回転軸306に対して同じ角度関係にて配置される一方、回転子33を構成する4つの回転子ユニット33a、33b、33c、33dは、対応する固定子ユニット31a、31b、31c、31cに対して回転方向と逆方向に所定角度(=11.25度)ずつずれた位置に配置されている。
固定子31における各固定子ユニット31a〜31dの8個の磁極311〜318に巻回されるA相励磁コイル32a(A)とB相励磁コイル32b(A)の巻き方向について図5を参照して説明する。
各固定子ユニット31a〜31dの8個の磁極311〜318の1つおきの磁極311、313、315、317に巻かれるA相励磁コイル32a(A)(32b(A)、32c(A)、32d(A))の入力端子から出力端子に電流を流したときに、例えば、対向する磁極311及び磁極315に外側から内側に向かう磁束が生成されるとともに、対向する磁極313及び磁極317に内側から外側に向かう磁束が生成されるように、4つの磁気回路(図5における破線矢印参照)が形成される。このような4つの磁気回路が形成されるようにA相励磁コイル32a(A)(32b(A)、32c(A)、32d(A))の巻き方向が設定される。
また、各固定子ユニット31a〜31dの8個の磁極311〜318の1つおきの磁極312、314、316、318に巻かれるB相励磁コイル32a(B)(32b(B)、32c(B)、32d(B))は、入力端子から出力端子に電流を流したときに、例えば、対向する磁極312及び磁極316に外側から内側に向かう磁束を生成するとともに、対向する磁極314及び磁極318に内側から外側に向かう磁束を生成する。このような4つの磁気回路(図5における破線矢印産初う)が形成されるように、B相励磁コイル32a(B)(32b(B)、32c(B)、32d(B))の巻き方向が設定される。
本実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ30は、前述したように、2相の励磁コイル(A相励磁コイル及びB相励磁コイル)が4個の固定子ユニット31a〜31dに対して合計4組(4重相)設けられた構造となる。
電流切換え器20は、例えば、図6に示すように構成される。
図6に示す電流切換え器20は、スイッチドリラクタンスモータ30における固定子31を構成する4つの固定子ユニット31a、31b、31c、31dに対応して設けられた4つの定電流フリップフリップ回路(電流路切換え回路)20a、20b、20c、20dを有している。固定子ユニット31aに対応した第1定電流フリップフロップ回路20aは、第1スイッチング素子211a(半導体スイッチ)及びダイオード212a、213aを含む第1電流路210aと、第2スイッチング素子221a(半導体スイッチ)及びダイオード222a、223aを含む第2電流路220aとを有している。そして、第1電流路210aと固定子ユニット31aのA相励磁コイル32a(A)とが直列接続され、第2電流路220aと固定子ユニット31aのB相励磁コイル32a(B)とが直列接続されている。また、第1電流路210aの2つのダイオード212a、213aの接続点と、第2電流路220aの2つのダイオード222a、223aの接続点との間に後述する転流のための回路要素であるコンデンサ230aが接続されている。
固定子ユニット31bに対応した第2定電流フリップフロップ回路20bも、第1定電流フリップフロップ回路20aと同様に、第1スイッチング素子211b及びダイオード212b,213bを含む第1電流路210bと、第2スイッチング素子221b及びダイオード222b、223bを含む第2電流路220bとを有し、これら第1電流路210b及び第2電流路220bに固定子ユニット31bのA相励磁コイル32b(A)及びB相励磁コイル32b(B)が直列的にそれぞれ接続されている。更に、固定子ユニット31c及び固定子ユニット31dに対応した第3定電流フリップフロップ回路20c及び第4定電流フリップフロップ回路20dも、第1定電流フリップフロップ回路20a及び第2定電流フリップフロップ回路20bと同様に、第1スイッチング素子211c、211d及びダイオード212c、213c、212d、213dを含む第1電流路210c、210dと、第2スイッチング素子221c、221d及びダイオード222c、223c、222d、223dを含む第2電流路220c、220dとを有し、これら第1電流路210c、210d及び第2電流路220c、220dに固定子ユニット31c、31dのA相励磁コイル32c(A)、32d(A)及びB相励磁コイル32c(B)、32d(B)が直列的にそれぞれ接続されている。
また、各定電流フリップフロップ回路20b(20c、20d)において、第1定電流フリップフロップ回路20aと同様に、第1電流路210b(210c、210d)の2つのダイオード212b、213b{(212c、213c)、(212d、213d)}の接続点と、第2電流路220b(220c、220d)の2つのダイオード222b、223b{(222c、223c)、(222d、223d)}の接続点との間に転流のための回路要素であるコンデンサ230b、(230c、230d)が接続されている。
初段に位置する第1定電流フリップフロップ回路20aの第1スイッチング素子211aと第2スイッチング素子221aとが直流定電流電源装置10の一方の出力端子T1に接続されている。また、第1定電流フリップフロップ20aの第1電流路210a及び第2電流路220aに接続される固定子ユニット31aのA相励磁コイル32a(A)及びB相励磁コイル32a(B)が、接続点T2を介して次段の第2定電流フリップフロップ回路20bの第1スイッチング素子211b及び第2スイッチング素子221bに接続されている。第2定電流フリップフロップ20bの第1電流路210b及び第2電流路220bに接続される固定子ユニット31bのA相励磁コイル32b(A)及びB相励磁コイル32b(B)が、接続点T3を介して次段の第3定電流フリップフロップ回路20cの第1スイッチング素子211c及び第2スイッチング素子221cに接続され、第3定電流フリップフロップ回路20cの第1電流路210c及び第2電流路220cに接続される固定子ユニット31cのA相励磁コイル32c(A)及びB相励磁コイル32c(B)が、接続点T4を介して最終段の第4定電流フリップフロップ回路20dの第1スイッチング素子210d及び第2スイッチング素子220dに接続されている。更に、第4定電流フリップフロップ回路20dの第1電流路210d及び第2電流路220dに接続される固定子ユニット31dのA相励磁コイル32d(A)及びB相励磁コイル32d(B)が、直流定電流電源装置10の他方の出力端子T5に接続されている。
直流定電流電源装置10は、電流切換え器20に表れる負荷起電力の正・負、大・小に依存することなく、指令された定電流設定値に対応した一定の値の直流電流を一定の向きに(出力端子T1から)出力するように構成されている。そして、上述した構成の電流切換え器20では、直流定電流電源装置10の出力端子T1から出力される直流定電流が、第1定電流フリップフロップ20回路a、固定子ユニット31aのA相励磁コイル32a(A)またはB相励磁コイル32a(B)、接続点T2、第2定電流フリップフロップ回路20b、固定子ユニット31bのA相励磁コイル32b(A)またはB相励磁コイル32b(B)、接続点T3、第3定電流フリップフロップ回路20c、固定子ユニット31cのA相励磁コイル32c(A)またはB相励磁コイル32c(B)、接続点T4、第4定電流フリップフロップ回路20d、及び固定子ユニット31dのA相励磁コイル32d(A)またはB相励磁コイル32d(B)を介して直流定電流電源装置10の出力端子T5に帰還するようになっている。
フリップフロップ制御回路61(切換え制御手段)は、角度位置検出器309からの検出信号に基づいた回転軸306(回転子33)の固定子ユニット31aに対する相対的な角度位置を表す角度位置情報に基づいて、第1定電流フリップフロップ20a内の第1スイッチング素子211a及び第2スイッチング素子221aをオン、オフさせるための動作信号を出力し、角度位置検出器309からの検出信号に基づいた回転子33の固定子ユニット31bに対する相対的な角度位置を表す角度位置情報に基づいて、第2定電流フリップフロップ20b内の第1スイッチング素子211b及び第2スイッチング素子221bをオン、オフさせるための動作信号を出力する。また、フリップフロップ制御回路61は、角度位置検出器309からの検出信号に基づいた回転子33の固定子部分31cに対する相対的な角度位置を表す角度位置情報に基づいて、第3定電流フリップフロップ20c内の第1スイッチング素子211c及び第2スイッチング素子221cをオン、オフさせるための動作信号を出力し、角度位置検出器309からの検出信号に基づいた回転子33の固定子ユニット31dに対する相対的な角度位置を表す角度位置情報に基づいて、第4定電流フリップフロップ20d内の第1スイッチング素子211d及び第2スイッチング素子221dをオン、オフさせるための動作信号を出力する。また、フリップフロップ制御回路61は、他の制御系(図示略)からの制動指令を入力すると、動作信号の出力タイミングを、駆動時の出力タイミングから回転子33が電気角180°に対応する角度を回転する時間だけずらす。
スイッチドリラクタンスモータ30の駆動時には、フリップフロップ制御回路61(切換え制御手段)の制御により、図7Aに示すように、第1定電流フリップフロップ回路20aの第1スイッチング素子211a及び第2スイッチング素子221aのオン・オフ動作、第2定電流フリップフロップ回路20bの第1スイッチング素子211b及び第2スイッチング素子221bのオン・オフ動作、第3定電流フリップフロップ回路20cの第1スイッチング素子211c及び第2スイッチング素子221cのオン・オフ動作、及び第4定電流フリップフロップ回路20dの第1スイッチング素子211d及び第2スイッチング素子221dのオン・オフ動作が、順次180度/4=45度(電気角)の位相差をもって繰り返し行われる。また、スイッチドリラクタンスモータ30の制動時には、フリップフロップ制御回路61(切換え制御手段)の制御により、図7Bに示すように、各定電流フリップフロップ回路20a、20b、20c、20dの第1スイッチング素子211a、211b、211c、211d及び第2スイッチング素子221a、221b、221c、221dのオン・オフ動作が駆動時のタイミングから全体として180度(電気角)位相シフトされた状態で、順次180度/4=45度(電気角)の位相差をもって繰り返し行われる。
図8及び図9を参照して、電流切換え器20における各定電流フリップフロップ回路20a、20b、20c、20dでの転流動作を説明する。なお、電流切換え器20は、4つの定電流フリップフロップ回路20a、20b、20c、20dを有するが、それぞれでの転流動作は、そのタイミングが180度/4(電気角)の位相差だけずれていること以外は同じであるため、図8では、直流定電流電源装置10とともに、直流定電流電源装置10から直流定電流の供給される1つの定電流フリップフロップ回路だけが示されている。図8に示す1つの定電流フリップフロップ回路で代表される各定電流フリップフロップ回路20a、20b、20c、20dでの転流動作は全て同じである。
図9(a)は、図8における定電流フリップフロップに接続されるA相励磁コイル32(A)の電流がオンしてから、オフになるまでの期間の電流波形を示す。図9(b)は、B相励磁コイル32(B)の電流がオフしてから、次にオンするまでの期間の電流波形を示す。図9(c)は、A相励磁コイル32(A)の電流がオフするとともに、B相励磁コイル32(B)の電流がオンする電流切換え過渡期間中においてコンデンサ230、ダイオード213、A相励磁コイル32(A)、B相励磁コイル32(B)、及びダイオード223を循環する電流iの波形を示す。なお、この循環電流iは、ダイオード223を逆向きに流れるように示されているが、ダイオード223を流れる逆流定電流と相殺されるため、実際にはダイオード223には順方向電流しか存在しない。図9(d)は、上記循環電流iによるコンデンサ230の充電電圧波形を示す。図9(d)において、コンデンサ230の極性は、転流期間終了後に、逆向きに反転する。コンデンサ230の充電電圧は、ダイオード212、213、222、223によって放電することなく、次の転流まで保持される。
A励磁コイル32(A)及びB相励磁コイル32(B)を流れる電流のオン・オフ動作の周期は図9(a)に示すように、矩形波基本周波数fで行なわれる。また、そのオン・オフ動作の立上り、立下りは、図9(a)において点線で示す転流等価周波数f0で行なわれる。矩形波基本周波数fは、スイッチドリラクタンスモータ30(図2A、図2B参照)における励磁コイル極数Pと回転速度N(毎秒)に依存し、
f=P/2×N ・・・(1)
にて表される。転流等価周波数f0は定電流フリップフロップ(電流切換え回路)における電流切換の速さに依存した概念であって、f<f0の範囲で後述するように適値が選択される。
コンデンサ230に生じる電圧は、直流定電流値をピーク値とした転流等価周波数f0の正弦波電流によるA励磁コイル32(A)のリアクタンス電圧降下分として算出でき、コンデンサ電圧Esは、
s =2πf0LI ・・・(2)
にて表される。但し、LはA相励磁コイル32(A)(B相励磁コイル32(B))のリアクタンスである。上記リアクタンスLは、A励磁コイル32(A)のリアクタンスとB相励磁コイル32(B)のリアクタンスの和であるが、磁極と凸極が対向していない部分では、事実上空心コイルとなるので所定の空隙長で対向した磁極1個分を考えればよい。
図10A〜図10C及び図11を参照して、駆動トルクについて説明する。回転子33の回転は各図において右回りを基準にしている。なお、図10A〜図10Cは、固定子ユニット31aとそれに対応する回転子ユニット33aとの関係について示しているが、他の固定子ユニット31b、31c、31dとそれに対応する回転子ユニット33b、33c、33dとの関係も同じである。
図10Aは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向先端Pが、固定子ユニット31aの磁極311の上流側端点Q1に近接した状態を示し、図10Bは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向先端Pが固定子ユニット31aの磁極311の下流側端点Q2に近接した状態を示し、図10Cは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向先端Pが固定子ユニット31aの磁極311の隣の磁極312の上流側端点Q3に近接した状態を示している。励磁コイル321(A相励磁コイル32(A))による磁極311の励磁と、励磁コイル322(B相励磁コイル32(B))による磁極312の励磁の切換りによって、図10A〜図10Cに示す順番で、回転子ユニット33aが、固定子ユニット31aの1極ピッチ分だけ回転する。
A相励磁コイル32(A)及びB相励磁コイル32(B)には、定電流フリップフロップ回路における第1スイッチング素子211と第2スイッチング素子221のオン・オフの交互の切換えによって、図11に示すような矩形波直流定電流が交互に流れる。
具体的には、図10Aに示すように回転子ユニット33aにおける凸極331の回転方向先端Pと固定子ユニット31aにおける磁極311の上流側端点Q1が対向した位置にでは、励磁コイルに対する電流が、A相側に転流して該転流が完了し(図11における時刻t1参照)、次いで、図10Bに示すように凸極331の回転方向先端Pと磁極311の下流側端点Q2とが対向した位置では、励磁コイルに対する電流が、B相側への転流を開始し(図11における時刻t2参照)、更に、図10Cに示すように凸極311の回転方向先端Pと次の磁極312の上流側端点Q3が対向した位置では、前記B相側への転流が完了する(図11における時刻t3参照)ように、定電流フリップフロップ回路における第1スイッチング素子211と第2スイッチング素子221のオン・オフの切換えがなされるようになっている。
これにより、図10Aに示す状態から図10Bに示す状態に遷移する期間では、励磁コイル321(A相励磁コイル32(A))によって励磁された磁極311から及ぶ力によって回転子ユニット31aの凸極331が吸引され、順方向にトルクを生じる。そして、図10Bに示す状態から図10Cに示す状態に遷移する期間では、励磁コイル321(A相励磁コイル32(A))の電流は減少し、励磁コイル322(B相励磁コイル32(B))の電流が増大する転流期間になる。回転子ユニット31aの各凸極の回転方向の幅は、固定子ユニット33aの各磁極の幅より大きく設定されており、励磁極の幅全体が凸極に対向した状態が維持されるので、図10Bに示す状態から図10Cに示す状態に遷移する期間(転流期間)では、A相励磁コイル32(A)の残存電流による反抗トルクが生じない。また、B相励磁コイル32(B)(励磁コイル322)の立ち上がりつつある電流による吸引力は、近傍に回転子ユニット33aの他の凸極が対向していないので、回転子ユニット33aの回転に悪影響を及ぼさない。
このようにして、図10Aの状態から図10Bに示す状態に遷移する期間では、設定された最高電流がA相励磁コイル32(A)(励磁コイル321)に流れて、有効なトルクを生じる。この有効なトルクは、励磁電流がB相励磁コイル32(B)(励磁コイル322)に切り換えられた状態でも生じる。回転子ユニット33aにおける各凸極のP点が磁極のQ1点からQ3点に移動する期間のうち、Q1点からQ2点に移動する期間に、トルク及び負荷起電力が生ずる。磁極短縮率Kが、
(Q1〜Q2間の角度)/(Q1〜Q3間の角度)=K ・・・(3)
に従って定義される。
なお、スイッチドリラクタンスモータ30全体としてのトルク及び起電力は、前述したように見積もられるトルク及び起電力に、各回転子ユニットにおける凸極の総数4と、重相数(回転子ユニット及び固定子ユニットそれぞれの数)4とを乗じた値となる。
図12A〜図12Cを参照して、回生動トルクの発生について説明する。なお、図12A〜図12Cは、固定子ユニット31aとそれに対応する回転子ユニット33aとの関係について示しているが、他の固定子ユニット31b、31c、31dとそれに対応する回転子ユニット33b、33c、33dとの関係も同じである。
図12Aは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向後端Pが、固定子ユニット31aの磁極311の上流側端点Q1に近接した状態を示し、図12Bは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向後端Pが、固定子ユニット31aの磁極311の下流側端点Q2に近接した状態を示し、図12Cは、回転子ユニット33aの凸極331の回転方向後端Pが、固定子ユニット31aの磁極311のとなりの磁極312の上流側端点Q3に近接した状態を示している。図12A〜図12Cに示す回転子ユニット33aの角度位置は、図10A〜図10Cに示すものと比べて、それぞれ、凸極の幅の分、即ち、360度/8(幾何角)、180度(電気角)遅れたものとなっている。
図12Aに示すように回転子ユニット33aにおける凸極331の回転方向後端Pと固定子ユニット31aにおける磁極311の上流側端点Q1とが対向した位置では、励磁コイルに対する電流が、A相側に転流して該転流が完了し(図11における時刻t1参照)、次いで、図12Bに示すように凸極331の回転方向後端Pと磁極311の下流側端点Q2とが対向した位置では、励磁コイルに対する電流が、B相側への転流を開始し(図11における時刻t2参照)、更に、図12Cに示すように凸極311の回転方向後端Pと次の磁極312の上流側端点Q3が対向した位置では、前記B相側への転流が完了する(図11における時刻t3参照)ように、定電流フリップフロップ回路における第1スイッチング素子211と第2スイッチング素子221のオン・オフの切換えがなされるようになっている。
これにより、図12Aに示す状態から図12Bに示す状態に遷移する期間では、励磁コイル321(A相励磁コイル32(A))によって励磁された磁極311の吸引力によって、回転子ユニット31aの凸極331が回転方向と逆方向に引かれて回転子ユニット31aには回転に抗する制動力が作用する。そして、図12Bに示す状態から図12Cに示す状態に遷移する期間では、励磁電流のA相励磁コイル32(A)からB相励磁コイル32(B)への転流がなされるが、前述したのと同様(図10Bに示す状態から図10Cに示す状態に遷移する期間での動作参照)に、凸極の幅が磁極の幅より大きいことから、前記制動を妨げる作用は生じない。
図13を参照して、各励磁コイルのアンペアターン(起磁力)について説明する。
固定子ユニット31a(31b、31c、31d)には、A相励磁コイル32(A)としての励磁コイル(321等)が巻回された磁極(311等)と、B相励磁コイル32(B)としての励磁コイル(322等)が巻回された磁極(312等)とが1つおきに配列されている。同相の磁極間には図5に示すように8つの磁気回路が形成される。図13では、上記8つの磁気回路のうちの1つの磁気回路が破線矢印によって示されている。各磁気回路には、2つの励磁コイルと2つの空隙gが含まれている。鉄心の磁束密度は飽和領域以下であれば、鉄心の磁気抵抗は空隙の磁気抵抗に比して無視でき、1つの励磁コイルのアンペアターンと1つの空隙が対応すると考えればよい。電磁気学の一般理論により、アンペアターン(IN)は、
IN(AT)=B・g/μ0≒B・g×800,000 ・・・(4)
I:励磁コイル電流(A)
N:励磁コイルターン数
B:空隙磁束密度(T)
g:空隙長(m)
で表される。
通常の鉄心(珪素鋼板)では磁気飽和しない上限の磁束密度は、1.6T程度と考えられ、モータの小型、軽量に重点をおく場合は、大略これを基準にして励磁コイルが設計できる。ただし、小容量のモータでは上記Bは、これ以下で設計することもできる。
また、図13を参照して、磁極の幅、凸極の幅及びヨーク幅について説明する。
回転子ユニット33aの凸極の幅L(円弧長)は、
L=2πR/8(磁極数) (m)・・・・・(5)
を基準に設定される。但し、Rは回転子ユニット33aの凸極の先端での半径(m)である。
固定子ユニット31aの磁極の幅L’(円弧長)は、
L’=KL ・・・・・(6)
を基準に設定される。但し、Kは磁極中短縮率であり、K<1を基準に選択される。この磁極幅短縮率Kは、後述するよう、トルク脈動率、励磁コイル占有率に重要な関係がある。
ヨークの幅W(固定子ユニットの円筒部分の厚さ)は、
W=L’/2 ・・・・・(7)
に設定することができる。磁極を通る磁束の1/2が左右のヨークに分かれるためである。
図14及び図15を参照して、駆動状態における励磁コイルの起電力について説明する。
図14は、駆動状態における回転子ユニットの凸極331の回転方向の角度位置に対する空隙磁束の分布状況を示したものである。図14(i)は回転子ユニットの凸極311の回転方向先端Pが固定子ユニットの磁極311の上流側端点Q1と近接した瞬間、同図(ii)は同じ先端Pが磁極311の略中央点Q2と近接した瞬間、同図(ii)は同じ先端Pが磁極311の下流側端端Q3に近接した瞬間、同図(iv)は同じ先端Pが回転方向隣の磁極312の上流側端点Q4に近接した瞬間をそれぞれ示す。図14(i)、(ii)、(iii)、(iv)に表示した空隙部の矢印は、空隙に生ずる磁束を表す。議論の単純化のため、漏れ磁束はないと仮定すると、回転子ユニットの凸極331と固定子ユニットの磁極311が対向している部分の空隙磁束密度は前述した(4)式による値となる。凸極331の磁極が対向していない部分は、空隙長無限大で空隙磁束密度は0となる。
図15は、固定子ユニットの励磁磁極の磁束と磁束変化による起電力を説明するための図である。図15(a)は、図14における磁束の変化を描いた図である。横軸は回転方向角度位置を表わし、(≡)、(ii)、(iii)、(iv)の角度位置は、図14(i)、(ii)、(iii)、(iv)で示す状態の角度位置に対応させている。回転子31が等しい角速度で回転している場合は、図15の横軸は時間軸と同じ概念と見てもよい。励磁磁極の磁束は、時刻(i)を0起点として時刻(ii)、時刻(iii)の過程で直線的に増大して、最大磁束ヤmは、
ヤm=BL’a〔ウェーバ〕・・・・・(8)
となる。但し、Bは(4)式で計算される磁束密度〔T〕、aは磁極厚さ(m)である。図15における時刻(iii)と(iv)との間では磁束は一定になる。
励磁磁極を通る磁束ヤが時間的に変化すると当該励磁コイルにはファラデーの法則によって起電力eaが生じる。図15(b)は起電力を表わす。eaは次の(9)式により算出できる。
a=N・dヤ/dt=N・ヤm/T ・・・・・(9)
但し、Nは励磁コイルターン数、Tは図14における(i)に示す状態から(iii)に示す状態に遷移する間の時間〔秒〕である。起電力の極性は磁束の増大を妨げる方向、即ち、励磁コイルの入口側に正の極性となる。
回転子ユニット33の凸極331は、図14から分かるように、固定子ユニット31の磁極311に吸引されて右回りのトルクが生じる。起電力eaと励磁電流IはT期間一定、即ち、供給電力はT期間一定のため、発生するトルクはT期間一定になる。図15(c)はトルクを表わす。[供給電力]=[機械トルク出力]として、
a×I×T[J]=2πNτT[J]・・・・・(10)
の関係が成り立つ。但し、Nは回転子の秒速回転速度、τはトルク[−N・m]である。
これより、トルクτは、
τ=ea・I/2πN [−N・m] ・・・・・(11)
となり、磁極短縮率Kを考慮した平均起電力ea’、及び平均トルクτ’は、
a’=kea ・・・・・(12)
τ’=kτ ・・・・・(13)
に従って算出することができる。
図16は、回生制動状態における回転子ユニットの凸極の回転方向の角度位置に対する空隙磁束の分布状態を示したものである。前述した図14では、回転子ユニット33の凸極331の回転方向先端Pの固定磁極の各点Q1、Q2、Q3、Q4に対する位置関係が示されていたが、図16では、凸極331の回転方向後端P点と固定磁極の各点Q1、Q2、Q3、Q4との位置関係に変えられている。即ち、図16は、図14と対比して、回転子ユニット33の凸極331の幅の円弧長分(電気角180度)回転方向に対して遅れた状態を示す。図17(a)は、A相の励磁磁極の磁束の変化、図17(b)はA相励磁コイルの起電力、図17(c)は回転子ユニット33の凸極331に生じる制動力を表わす。起電力eaの値は、前記(9)式と同じ値であり、その極性は磁束の減少を妨げる方向で、励磁コイルの電流入口側が「負」である。制動力の値は前記(11)式の駆動トルクと同じである。
本実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ30では、図2A及び図2Bに示すように8極4重相構造であるので、前述した1凸極当たりの起電力ea’及びトルクτ’は、1回転子ユニットあたりそれぞれ4倍となり、4重相当たり更に4倍となって、計、16倍となる。従って、モータ全体での出力及びトルクは、
出力=16・ea・I・K ・・・・(14)
トルク=16{ea・I/2πN}・K ( =出力/2πN) ・・・・(15)
となる。
図18A〜図18Cを参照して、本実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムにおける速度起電力と電気エネルギーの供給及び回生について説明する。
図18A〜図18Cは、スイッチドリラクタンスモータ30における回転子33の回転にともなって誘起される速度起電力に対応して行われる直流定電流電源装置10のエネルギー供給及び回生の動作を表している。図18Aは、スイッチドリラクタンスモータ30が駆動している状態、図18Bは、スイッチドリラクタンスモータ30が回生制動している状態、図18Cは、スイッチドリラクタンスモータ30の停止する状態をそれぞれ示している。
このモータ駆動システムにおいて、ファラデーの法則、あるいはフレミングの法則によって算出される起電力Eaと、そのとき流れる電流(アンペア)との積(ワット)は、正味の動力変換、可逆的な動力変換とみなせる。直流定電流電源装置10から出力端子T1を通して出力される直流定電流Iがスイッチドリラクタンスモータ30のA相励磁コイル32(A)またはB相励磁コイル32(B)を通って出力端子T5に帰還する。
スイッチドリラクタンスモータ30が駆動している状態では、図18Aに示すようにスイッチドリラクタンスモータ30において正の起電力Eaが発生しており、Ea+×Iの電力(ワット)と、抵抗RのA相励磁コイル32(A)またはB相励磁コイル32(B)を通る電流IによってI2×Rの電力(ワット)が直流定電流電源装置10から供給される。この場合、Ea+×Iの電力(ワット)が機械的な出力となり、I2Rの電力(ワット)が損失分となる。スイッチドリラクタンスモータ30の制動時には、図18Bに示すように、スイッチドリラクタンスモータ30において負の起電力Eaが発生し、機械的動力が、Ea-×Iの電力(ワット)及びI2Rの電力に変換される。そして、I2Rの電力(ワット)が損失分となる一方、Ea-×Iの電力(ワット)が直流定電流電源装置10に回収される(回生)。なお、スイッチドリラクタンスモータ30が停止状態にある場合には、図18Cに示すように、起電力Eaの発生はなく、A相励磁コイル32(A)またはB相励磁コイル32(B)での損失分であるI2Rの電力(ワット)だけが直流定電流電源装置10から供給される。
このように、本実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムでは、駆動と回生制動(速度起電力Eaの正負)、回転速度の大小(速度起電力Eaの大小)に対して、電流切換え器20における切換え動作の180度(電気角)の位相シフトだけで、特別な制御なしで電力の供給及び回生が自動的に行われるようになる。
次に、図19A〜図19Dを参照して、8極4重相構造となる本発明の実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ30におけるトルク脈動について説明する。
図19Aは、磁極短縮率K=0.75における4つの固定子ユニット31a〜31d及び回転子ユニット33a〜33dに対応した4つの相(I)、(II)、(III)、(IV)についてのトルクの状態及びそれらの合成トルクの状態を示している。図19Bは、磁極短縮率K=0.5における4つの相(I)、(II)、(III)、(IV)についてのトルクあるいは速度起電力(駆動時)の状態及びそれらの合成トルクあるいは合成起電力の状態を示している。このように磁極短縮率K=0.75の場合(図19A参照)及び磁極短縮率K=0.5の場合(図19B参照)では、合成トルクあるいは合成起電力には、全く脈動が表れないことが分かる。ただし、合成トルク及び合成起電力の値は、K=0.75の場合は、それぞれ各相のピーク値の3倍であるのに対して、K=0.5の場合は、それぞれ各相のピーク値の2倍である。単純にはこの比でモータの出力は小さくなる。但し、後者は磁極巾が小さくなる分、励磁コイルのスペースが広くとれるメリットが生じる。
図19Cは、磁極短縮率K=0.75を基準にして僅かに磁極の幅を広げて磁極短縮率K=0.8に設定した場合、図19Dは、磁極短縮率K=0.75を基準にして僅かに磁極の幅を小さくして磁極短縮率K=0.7に設定した場合、をそれぞれ示す。いずれの場合にも、合成トルク及び合成起電力には脈動が生じる。なお、8極4重相(図2A、図2B参照)のスイッチドリラクタンスモータ30において、回転速度を6000rpmに想定すると、脈動周波数は3200Hzであり、回転速度を200rpm(低速度)に想定すると、脈動周波数は107Hzである。脈動分の振幅は、1相(固定子ユニット、回転子ユニット)分のトルク、起電力に等しい。
図20A及び図20Bを参照して、スイッチドリラクタンスモータ30の振動及び騒音について説明する。
スイッチドリラクタンスモータ30では、大きさ、重量の弱点を補う為に鉄心の磁束密度を飽和領域内近くの値で使用することが多い。磁束密度1.6Tを想定すると対向磁極1cm2当たり、102Nの吸引力が生じる。図20A及び図20Bは、本発明の実施の形態における8極構成における励磁磁極に働く吸引力を描いたものである。図20(A)は、A相磁極(A相励磁コイル32(A)が巻かれた磁極)が励磁された場合、図20(B)は、B相磁極(B相励磁コイル32(B)が巻かれた磁極)が励磁された場合をそれぞれ示す。図20(A)に示す状態と図20(B)に示す状態とが交互に高速に繰り返えされる。この場合、円形の外周鉄心構造(固定子)のため、4方からの均等な力に対しては比較的大きな強度を持ち、方位による振動、騒音は生じ難いと考えられる。
上述したような本発明の実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ駆動システムによれば、固定子31を構成する4つの固定子ユニット31a〜31dそれぞれの4個の磁極の1つおきに巻回されたA相励磁コイル32(A)とB相励磁コイル32(B)とに矩形波直流定電流を各固定子ユニット31a〜32dについ所定のタイミングずつずらしながら切換え供給することにより、回転子33を構成する4個の回転子ユニット33a〜33dのそれぞれの4個の凸極が対応する固定子ユニット31a〜31dの励磁される磁極に順次吸引されて回転子が回転するようになるので、トルク脈動、振動の少ない効率的な駆動が可能になる。また、固定子31を構成する4個の固定子ユニット31a〜31dそれぞれの4個の磁極に巻回されたA相励磁コイル32(A)とB相励磁コイル32(B)とに矩形波の直流定電流を交互に切り換えつつ供給することにより、スイッチドリラクタンスモータ30を、駆動させることができるとともに、その制動時に、各固定子ユニット31a〜31dの各磁極に巻回されたA相励磁コイル32(A)及びB励磁相コイル32(B)に供給される直流定電流に重畳する、対応する回転子ユニット33a〜33dの凸極との対向面積の変化に応じた電流を直流定電流電源装置10に帰還させることができるので、スイッチドリラクタンスモータ30の駆動とともに回生電を回収することができるようになる。
なお、本実施の形態に係るスイッチドリラクタンスモータ30は、8極4重相の構造となっていたが、各固定子ユニット31a〜31の磁極の数として、4、8、12、16、20、・・・の4の倍数の任意の数が選択可能である。また、重相数は2、3、4、・・・の任意の重相数が選択可能である。
但し、磁極の数については、
(i)極数を増すと、同じ出力を生じるための磁極巾が狭くでき、鉄心ヨークに反映して、モータの小型、軽量化に繋がる。
(ii)上記、最小極数の4極の場合、吸引力は外周鉄心をつぶす様に作用し、振動、騒音の原因になる。
また、重相数については、
(i)重相数を増すと、転流過電圧、高速回転の面で有利である。
(ii)重相数を増すと、それに対応して電流切換器ユニット数が増し、コスト、半導体損に不利になる。
(iii)重相数1では、始動力ゼロの点が生じる。
上記の点を勘案して磁極の数、重相数を決めることができる。
なお、前述したスイッチドリラクタンスモータ駆動システムは、スイッチドリラクタンスモータ30の回転軸306(回転子33)を外力(風力等の自然力や他の機関からの駆動力等)によって回転させて電力を回収する発電機システムとして利用することも可能である。
以上、説明したように、本発明に係るスイッチドリラクタンスモータ及びその駆動子システムは、効率的な駆動が可能で、回生電力の回収が可能となるとともに、トルク脈動、振動が少なくすることができるという効果を有し、複数の凸極を有する回転子と、該回転子の外周に配置され、凸部に励磁コイルが巻かれた構造の複数の磁極とを有し、該複数の磁極の励磁コイルに順次電流を供給することにより、前記回転子を回転させるようにしたスイッチドリラクタンスモータ及びその駆動システムとしてとして有用である。
10 直流定電流電源装置
20 電流切換え器
20a、20b、20c、20d 定電流フリップフロップ回路
210a、210b、210c、210d 第1電流路
220a、220b、220c、220d 第2電流路
211a、211b、211c、211d 第1スイッチング素子
221a、221b、221c、221d 第2スイッチング素子
212a、212b、212c、212d ダイオード
213a,213b,213c,213d ダイオード
230a、230b、230c、230d コンデンサ
30 スイッチドリラクタンスモータ
300 基台
301 外枠
302、303 軸受け板
304、305 軸受け
306 回転軸
307 回転子止め
308 固定子止め
309 角度位置検出器
31 固定子
31a、31b、31c、31d 固定子ユニット
311、312、313、314、315、316、317、318 磁極
32(A) A相励磁コイル
32(B) B相励磁コイル
321、322、323、324、325、326、327、328 励磁コイル
33 回転子
33a、33b、33c、33d 回転子ユニット
331、332、333、334 凸極

Claims (7)

  1. 回転子と、該回転子を囲むように配置され、励磁コイルの装着された固定子とを有するスイッチドリラクタンスモータであって、
    前記回転子は、回転軸に同軸的に固定された複数の回転子ユニットを有し、
    前記固定子は、前記複数の回転子ユニットに対向するように配置される複数の固定子ユニットを有し、
    前記複数の回転子ユニットのそれぞれは、所定角度間隔にて並ぶ2n(nは整数)個の凸極を有し、
    前記複数の固定子ユニットのそれぞれは、対応する回転子ユニットの各凸極との間に所定のギャップが形成されるように所定角度間隔にて並ぶ4n(nは整数)個の磁極を有し、
    前記複数の固定子ユニットのそれぞれにおける前記4n個の磁極の1つおきに第1の励磁コイルが巻回されるとともに、前記第1の励磁コイルの巻回された磁極以外の磁極に順次第2の励磁コイルが巻回され、
    前記複数の回転子ユニットと、前記複数の固定子ユニットとの回転方向の相対位置は、所定角度ずれるように設定されているスイッチドリラクタンスモータ。
  2. 前記整数nは2以上であって、前記複数の回転子ユニットのそれぞれは、4個以上の凸極を有するとともに、前記複数の固定子ユニットのそれぞれは、8個以上の磁極を有する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ。
  3. 前記複数の回転子ユニットと、前記複数の固定子ユニットとの回転方向の相対位置は、固定子ユニットの磁極のピッチ角度を前記複数の回転子ユニットの個数で除した角度ずつずれるように設定されている請求項1または2記載のスイッチドリラクタンスモータ。
  4. 前記複数の回転子ユニットは、前記回転軸に対して回転方向の同じ角度関係にて固定されている請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチドリラクタンスモータ。
  5. 前記複数の固定子ユニットは、前記回転軸に対して回転方向の同じ角度関係にて配置されている請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチドリラクタンスモータ。
  6. 前記複数の固定子ユニットそれぞれの各磁極の回転方向の幅の前記複数の回転子ユニットそれぞれの各凸極の回転方向の幅に対する割合が1未満の所定の割合に設定された請求項1乃至5のいずれかに記載のスイッチドリラクタンスモータ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のスイッチドリラクタンスモータと、
    直流定電流電源装置と、
    前記スイッチドリラクタンスモータにおける前記複数の固定子ユニットのそれぞれに対応して設けられ、第1の電流路と第2の電流路とを切換える複数の電流切換え回路と、
    前記電流切換え回路を制御して、前記第1の電流路と前記第2とを交互に導通させる切換え制御手段とを有し、
    各電流切換え回路の第1の電流路及び第2の電流路と対応する固定子ユニットに設けられた第1の励磁コイル及び第2の励磁コイルとがそれぞれ直列接続された状態で、前記複数の電流切換え回路が直列的に接続され、
    前記直流定電流電源装置の一方の出力端子から出力される直流定電流が前記直列的に接続された初段の電流切換え回路の第1及び第2の電流路に入力し、最終段の電流切換え回路の第1の電流路に接続された第1の励磁コイル及び第2の電流路に接続された第2の励磁コイルを流れた前記直流定電流が前記直流定電流電源装置の他方の出力端子に帰還するように、前記直流定電流電源装置、前記複数の電流切換え回路及び前記スイッチドリラクタンスモータが接続され、
    前記切換え制御手段は、前記スイッチドリラクタンスモータの前記回転子の角度位置に応じて前記複数の電流切換え回路それぞれにおける前記第1及び前記第2の電流路の導通状態を交互に切換えて矩形波電流を前記第1及び第2の励磁コイルに交互に流し、前記スイッチドリラクタンスモータの駆動時と制動時とで、前記第1及び第2の電流路の導通状態を切換えるタイミングを前記回転子の電気角180度に対応する角度の回転時間だけずらすように各電流切換え回路を制御するモータ駆動システム。
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