JP2011124358A - レーザー光源装置、画像表示装置及びモニター装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高出力化を実現するレーザー光源装置を提供する。
【解決手段】本発明のレーザー光源装置1は、第1発光素子12と、第2発光素子13と、各発光素子から射出されたレーザー光の波長を変換する波長変換素子16と、基本波長のレーザー光を反射させ、所定の変換波長のレーザー光を透過させる分離素子14,15と、波長変換素子に入射するレーザー光のうち所定の波長のレーザー光を透過させる波長選択素子17と、を備え、各発光素子12,13は、互いに一方の発光素子の発光部からのレーザー光が他方の発光素子の発光部に入射するように配置され、分離素子14,15が、第1発光素子と波長変換素子との間の光路上、第2発光素子と波長変換素子との間の光路上の少なくとも一方に配置され、波長選択素子17は、分離素子と、第1発光素子12または第2発光素子13との間の光路上のうち、波長変換素子16が配置されていない側の光路上に配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のレーザー光源装置1は、第1発光素子12と、第2発光素子13と、各発光素子から射出されたレーザー光の波長を変換する波長変換素子16と、基本波長のレーザー光を反射させ、所定の変換波長のレーザー光を透過させる分離素子14,15と、波長変換素子に入射するレーザー光のうち所定の波長のレーザー光を透過させる波長選択素子17と、を備え、各発光素子12,13は、互いに一方の発光素子の発光部からのレーザー光が他方の発光素子の発光部に入射するように配置され、分離素子14,15が、第1発光素子と波長変換素子との間の光路上、第2発光素子と波長変換素子との間の光路上の少なくとも一方に配置され、波長選択素子17は、分離素子と、第1発光素子12または第2発光素子13との間の光路上のうち、波長変換素子16が配置されていない側の光路上に配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザー光源装置、画像表示装置及びモニター装置に関するものである。
従来、プロジェクター等の光学装置用の照明光源として高圧水銀ランプが多用されてきた。しかし、高圧水銀ランプは高出力が得られる反面、色再現性に制約がある、瞬時点灯が難しい、寿命が短い等の課題がある。そこで、高圧水銀ランプに代わる高出力の光源として、レーザー光源装置の開発が進められている。
高出力のレーザー光が得られるレーザー光源装置としては、外部共振器構造を持つレーザー光源装置が挙げられる。このようなレーザー光源装置では、外部共振器の使用により特定の波長の光が強められ、高出力のレーザー光が得られる。
また、レーザー光源装置では、必要に応じて第2高調波発生素子(Second Harmonic Generator,以下、SHGと略記する)等の波長変換素子を用い、発光素子から射出されるレーザー光を、1/2の波長のレーザー光に変換する技術が用いられる。この技術を用いると、例えば赤外レーザー光などの基本波長の光を発振させた後、波長変換素子を用いることで、赤外レーザー光を1/2の波長の可視光に変換し、可視光領域の波長の高出力なレーザー光を射出するレーザー光源装置とすることができる。
近年では、波長変換素子として非線形光学材料を用い、所望の波長のレーザー光を射出可能とする高出力半導体レーザーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この半導体レーザーでは、発光素子、波長変換素子、出力ミラー(外部共振ミラー)を精密にアライメントし光軸をそろえることにより、発光部と外部共振ミラーとの間をレーザー光が何度も往復し、誘導放出を連続的に起こして高出力のレーザー光が得られる。また、特許文献1では、単一周波数の出力光とするために、所望の波長以外の波長の光を除去する除去手段(波長変換素子)を備えており、複数の波長のレーザー光によるマルチモード発振を防ぎ、高効率なレーザー共振効率を実現している。
上記特許文献1に示されるような外部共振構造のレーザー光源装置では、光軸がわずかでもずれていると十分な往復ができず、レーザー発振ができない状態となり、所望の出力のレーザー光が得られない。特許文献1においては、精密なアライメント方法については提案されていないため、高出力のレーザー光が得られるレーザー光源装置を構築することが非常に困難となっている。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであって、高出力化を実現するレーザー光源装置、画像表示装置及びモニター装置を以下の形態として提供することが可能である。
上記特許文献1の構造においてアライメント精度を確保したとしても、1個の発光素子から得られるレーザー光の強度には自ずと限界がある。そこで、更なる高出力化を進める手法として、近年、2個の発光素子を光学的に対峙させた外部共振器構造のレーザー光源装置が検討されている。2個の発光素子を用いた外部共振器構造では、共振器の両端に発光素子が配置されており、2個の発光素子間でレーザー光を往復させることにより誘導放出を連続的に起こし、レーザー光を増幅させることが可能となる。また、発光素子と外部共振ミラーとを用いた場合と比べてレーザー光の増幅が大きくなる可能性があり、高出力化に好適なレーザー光源装置を実現することが期待されている。
しかしながら、このような2個の発光素子を備えた外部共振器構造においても、十分なレーザー発振を生じさせるためには、互いの発光素子から射出されたレーザー光の中心軸を精密にアライメントする必要がある。上記のような様々な利点がある一方で、2個の発光素子を備えた共振器構造においては、微細なサイズのエミッター同士をアライメントすることが必要であり、アライメント精度を確保することは、発光素子と外部共振ミラーとをアライメントする場合と比べてより困難なものである。したがって、高出力なレーザー光を得るためには多大な労力が必要となる。
外部共振器構造の中に波長変換素子を含む場合、アライメント時には波長変換素子を含む構成部材の位置調整を行う必要があるが、その際、波長変換素子の位置や設置角度を微調整することが必要な場合がある。そのため、波長変換素子を配置する空間に多くの光学部材を配置するのはアライメントに支障を来たし、好ましくない。また、装置の小型化の観点から、外部共振器構造を構成する各光学部材を限られたスペース内に収めたいという要求がある一方、波長変換素子は内部を透過する光の光路長が長いほど波長変換効率が高くなるため、波長変換素子は長くしたいという要求がある。この観点からも、波長変換素子の近傍では他の光学部材を極力排除し、波長選択素子を配置するための空間を広く確保する必要がある。
ところで、レーザー光の高出力化を図るためには、バンドパスフィルター(Band−Pass Filter,以下、BPFと略記する)等の波長選択素子を用いてレーザー光を狭帯域で発振させる必要がある。また、波長変換素子に光を入射させる場合、レーザー光の基本波長を波長変換素子で変換可能(位相整合可能)な波長に合わせる必要がある。これらの理由から、この種のレーザー光源装置ではBPF等の波長選択素子が必須となる。ところが、従来の装置は、波長選択素子を波長変換素子に隣接配置する構成となっていた。このような構成では、アライメント作業時に波長変換素子と波長選択素子とが物理的に干渉するため、アライメント精度が確保できず、高出力のレーザー光が得られない虞があった。また、レーザー光源装置の小型化に限界があった。
そこで、上記のような課題を解決するため、本発明のレーザー光源装置は、レーザー光を射出する発光部を有する第1発光素子と、レーザー光を射出する発光部を有する第2発光素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記第1発光素子及び前記第2発光素子から射出された基本波長のレーザー光の少なくとも一部を所定の変換波長のレーザー光に変換する波長変換素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記基本波長のレーザー光を反射させ、前記所定の変換波長のレーザー光を透過させる分離素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記波長変換素子に入射するレーザー光のうち所定の波長のレーザー光を透過させる波長選択素子と、を備え、前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、互いに一方の発光素子の発光部から射出されたレーザー光が他方の発光素子の発光部に入射するように配置され、前記分離素子が、前記第1発光素子と前記波長変換素子との間の光路上、または前記第2発光素子と前記波長変換素子との間の光路上、の少なくとも一方に配置され、前記波長選択素子は、前記第1発光素子と前記分離素子との間の光路上、または前記第2発光素子と前記分離素子との間の光路上のうちの、前記波長変換素子が配置されていない側の光路上に配置されたことを特徴とする。
この構成においては、第1発光素子と第2発光素子との間で光が往復し、外部共振器構造を構成する。第1発光素子と第2発光素子との間の光路上に基本波長のレーザー光を反射させる分離素子が配置されているため、第1発光素子と第2発光素子との間を往復する光の光路は、第1発光素子と波長変換素子との間の光路上、もしくは第2発光素子と波長変換素子との間の光路上の分離素子のところで折れ曲がる。一方、目的とする変換波長に変換された光は分離素子を透過するため、外部共振器構造の外に取り出すことができる。そして、波長選択素子が、分離素子に対向する側の発光素子と分離素子との間の光路上に配置されるということは、波長選択素子は、折れ曲がった光路の全体のうち、波長変換素子が配置されていない側の光路上に配置されることになる。そのため、波長選択素子と波長変換素子とが物理的に干渉し難くなり、多くのスペースを費やすことなく波長変換素子の配置の自由度が高まる。また、光路長の長い波長変換素子を用いたとしても、波長選択素子と物理的に干渉し難い。これにより、高出力、小型のレーザー光源装置を実現することができる。
本発明において、前記波長選択素子は、前記波長変換素子で変換可能な波長以外の波長のレーザー光を反射させて反射光とし、前記波長選択素子は、前記第1発光素子または前記第2発光素子からの入射光が入射する面の法線方向が、前記入射光の入射方向に対して傾いて配置されていることが望ましい。
波長選択素子で選択した波長以外の波長のレーザー光が反射する場合、仮に反射光の反射方向が入射光の入射方向と同じであると、反射光が発光素子に戻ることになる。発光素子に戻った反射光はレーザー発振にとって不要なノイズ成分となり、レーザー光出力を低下させる要因となる。これに対し、上記の構成によれば、波長選択素子で選択された波長以外の波長のレーザー光は、入射方向と異なる方向に反射するため、発光素子に全く戻らないか、あるいは強度分布のピークを外れた裾野の部分が発光素子に戻ったとしても強度が小さいためにレーザー発振には至らない。その結果、シングルモード発振が実現でき、レーザー光出力を高めることができる。
波長選択素子で選択した波長以外の波長のレーザー光が反射する場合、仮に反射光の反射方向が入射光の入射方向と同じであると、反射光が発光素子に戻ることになる。発光素子に戻った反射光はレーザー発振にとって不要なノイズ成分となり、レーザー光出力を低下させる要因となる。これに対し、上記の構成によれば、波長選択素子で選択された波長以外の波長のレーザー光は、入射方向と異なる方向に反射するため、発光素子に全く戻らないか、あるいは強度分布のピークを外れた裾野の部分が発光素子に戻ったとしても強度が小さいためにレーザー発振には至らない。その結果、シングルモード発振が実現でき、レーザー光出力を高めることができる。
上記の構成において、前記波長選択素子が、前記入射光の光軸に対して前記分離素子と同じ側に傾いて配置されていることが望ましい。
この構成によれば、波長選択素子と分離素子との物理的な干渉を避けることができる。
この構成によれば、波長選択素子と分離素子との物理的な干渉を避けることができる。
本発明においては、前記波長選択素子を支持する支持体を備え、前記支持体は、前記波長選択素子よりも熱伝導率が高い材料で形成されていることが望ましい。
使用を続けると、波長選択素子はレーザー光のエネルギーにより蓄熱し、熱膨張することがある。波長選択素子が熱膨張すると、波長選択素子の波長選択特性が変化するため、波長変換素子に所定の波長のレーザー光を供給することが出来なくなる虞がある。しかし、この構成によれば、波長選択素子が熱伝導率の高い支持体で保持されているため、支持体を介して波長選択素子から放熱することができる。そのため、波長選択素子の機能を確保することができ、高出力のレーザー光を射出可能なレーザー光源装置とすることができる。
使用を続けると、波長選択素子はレーザー光のエネルギーにより蓄熱し、熱膨張することがある。波長選択素子が熱膨張すると、波長選択素子の波長選択特性が変化するため、波長変換素子に所定の波長のレーザー光を供給することが出来なくなる虞がある。しかし、この構成によれば、波長選択素子が熱伝導率の高い支持体で保持されているため、支持体を介して波長選択素子から放熱することができる。そのため、波長選択素子の機能を確保することができ、高出力のレーザー光を射出可能なレーザー光源装置とすることができる。
本発明においては、前記支持体は、前記レーザー光の前記波長選択素子への入射面、又は前記入射面と対向する面で前記波長選択素子と接する梁材を有し、前記梁材は、前記波長選択素子に入射する前記レーザー光を透過させる開口部を有することが望ましい。
この構成によれば、梁材は開口部が形成されている箇所以外では波長変換素子の入射面と接するため、波長選択素子の周縁だけでなく、波長選択素子の内側も梁材と接することとなる。そのため、梁材を介した波長選択素子の放熱効果がより高くなり、波長選択素子の温度の均一化に寄与し、温度上昇を抑制して透過波長特性を十分に確保することができる。
この構成によれば、梁材は開口部が形成されている箇所以外では波長変換素子の入射面と接するため、波長選択素子の周縁だけでなく、波長選択素子の内側も梁材と接することとなる。そのため、梁材を介した波長選択素子の放熱効果がより高くなり、波長選択素子の温度の均一化に寄与し、温度上昇を抑制して透過波長特性を十分に確保することができる。
本発明において、前記支持体は、前記波長選択素子に加えて前記分離素子を支持することが望ましい。
この構成によれば、波長選択素子と同様、分離素子に蓄積された熱も支持体を介して放出することができる。これにより、分離素子の波長分離特性を確実に維持させることができる。さらに、分離素子と波長変換素子との相対位置や角度を保ったまま、両者をまとめて一体のものとして取り扱えるため、レーザー共振構造を確立するための光軸のアライメントが容易となる。
この構成によれば、波長選択素子と同様、分離素子に蓄積された熱も支持体を介して放出することができる。これにより、分離素子の波長分離特性を確実に維持させることができる。さらに、分離素子と波長変換素子との相対位置や角度を保ったまま、両者をまとめて一体のものとして取り扱えるため、レーザー共振構造を確立するための光軸のアライメントが容易となる。
本発明において、前記分離素子は、前記第1発光素子に対向する第1面と前記波長変換素子に対向する第2面とを有するプリズムであり、前記波長選択素子は、前記第1面に形成された誘電体多層膜からなることが望ましい。
この構成によれば、波長選択素子はプリズムと一体となっているため、波長選択素子のみが単独部品である場合と比べて熱容量が大きくなり、蓄熱しにくくなる。そのため、多層膜で形成された波長選択素子の熱膨張による特性変化を抑制し、波長選択機能をより十分に確保することができ、レーザー光の高出力化を図ることができる。また、分離素子と波長選択素子とが一体化した一つの光学部材となるため、部品数の低減、装置の小型化が図れる。
この構成によれば、波長選択素子はプリズムと一体となっているため、波長選択素子のみが単独部品である場合と比べて熱容量が大きくなり、蓄熱しにくくなる。そのため、多層膜で形成された波長選択素子の熱膨張による特性変化を抑制し、波長選択機能をより十分に確保することができ、レーザー光の高出力化を図ることができる。また、分離素子と波長選択素子とが一体化した一つの光学部材となるため、部品数の低減、装置の小型化が図れる。
本発明において、前記第1発光素子及び前記第2発光素子の各々が、前記発光部を複数備えることが望ましい。
この構成によれば、複数の発光部の各々から発せられるレーザー光を用い、安定的にレーザー光の高出力化を図ることができる。
この構成によれば、複数の発光部の各々から発せられるレーザー光を用い、安定的にレーザー光の高出力化を図ることができる。
本発明の画像表示装置は、上述のレーザー光源装置と、該レーザー光源装置からの光を用い、画像信号に応じた所望の画像を表示させる画像形成装置とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、レーザー光源装置から射出する高出力のレーザー光を用いて画像を表示することで、ダイナミックレンジが広く映像表現力に優れた画像表示装置を提供することができる。
この構成によれば、レーザー光源装置から射出する高出力のレーザー光を用いて画像を表示することで、ダイナミックレンジが広く映像表現力に優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明のモニター装置は、上述のレーザー光源装置と、該レーザー光源装置から射出されたレーザー光により被写体を撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、高出力のレーザー光で被写体を照射し、得られた反射光に基づく画像を撮影することで、鮮明な撮像が可能なモニター装置を提供することができる。
この構成によれば、高出力のレーザー光で被写体を照射し、得られた反射光に基づく画像を撮影することで、鮮明な撮像が可能なモニター装置を提供することができる。
[第1実施形態]
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るレーザー光源装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るレーザー光源装置の概略構成図である。図2は、BPFおよび第1ダイクロイックミラーを合わせて支持する支持体を示す斜視図である。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るレーザー光源装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るレーザー光源装置の概略構成図である。図2は、BPFおよび第1ダイクロイックミラーを合わせて支持する支持体を示す斜視図である。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
本実施形態のレーザー光源装置1は、図1に示すように、基台11と、第1半導体レーザー素子(第1発光素子)12と、第2半導体レーザー素子(第2発光素子)13と、第1ダイクロイックミラー(分離素子)14と、第2ダイクロイックミラー(分離素子)15と、波長変換素子16と、BPF17(波長選択素子)と、光路変換プリズム19とを主に備えている。ここで、基台11の上面(第1、第2半導体レーザー素子12,13の載置面)の法線方向をZ軸とし、後述するエミッターの配列方向をY軸とし、後述する各半導体レーザー素子12,13の対応するエミッター同士を結ぶ直線の延在方向であって、基台11の上面の法線方向及びエミッター22,23の配列方向に直交する軸をX軸とし、X軸、Y軸、Z軸を互いに直交する3つの直交座標系として、以下説明を行う。
第1,第2半導体レーザー素子12,13は、基台11上に設けられた1つのレーザー基板18上に設けられており、射出端面12a,13aが基台11と反対側、すなわちZ軸方向を向くように配置されている。そのため、第1,第2半導体レーザー素子12,13から射出されたレーザー光は、いずれもレーザー基板18の上面の法線方向(Z軸方向)上方に射出される。
第1ダイクロイックミラー14が、第1半導体レーザー素子12から射出される光の光路上に、光路に対して所定の角度(例えば45°)をなすように配置されている。同様に、第2ダイクロイックミラー15が、第2半導体レーザー素子13から射出される光の光路上に、光路に対して所定の角度(例えば45°)をなすように配置されている。波長変換素子16が、第1ダイクロイックミラー14と第2ダイクロイックミラー15との間に配置されている。この配置により、第1半導体レーザー素子12から射出されたレーザー光は、第1ダイクロイックミラー14を介して波長変換素子16内を透過し、さらに第2ダイクロイックミラー15を介して第2半導体レーザー素子13に入射する。第2半導体レーザー素子13から射出されたレーザー光も、第1半導体レーザー素子12からの光と逆の経路を辿り、第1半導体レーザー素子12に入射する。
第1,第2半導体レーザー素子12,13は同一の構成であり、例えば1065nmの波長の赤外レーザー光(基本波長の光)を射出端面12a,13aから射出する面発光型レーザーダイオードである。第1半導体レーザー素子12の射出端面には、図2に示すように、平面視が円形状のエミッター(発光部)22が複数形成され、複数のエミッター22は素子の長手方向(Y軸方向)に配置されている。第2半導体レーザー素子13側のエミッター23の構成も同一である。また、第1半導体レーザー素子12の複数のエミッター22と第2半導体レーザー素子13の複数のエミッター23とは、1対1に対応している。本実施形態の各々のエミッター22,23の開口径は、例えば300μm程度である。
エミッター22は、図1中の拡大図(破線で囲んだ円内の図)に示すように、DBR(Distributed Bragg Reflector)層22a上に、活性層22bが積層された構成になっている。なお、エミッター23も、エミッター22と同様、DBR層23a上に、活性層23bが積層された構成である。これにより、第1半導体レーザー素子12から射出されたレーザー光は、第2半導体レーザー素子13に入射し、第2半導体レーザー素子13から射出されたレーザー光は、第1半導体レーザー素子12に入射する。すると、第1半導体レーザー素子12と第2半導体レーザー素子13との間をレーザー光が往復する間にレーザー発振が生じ、第1,第2半導体レーザー素子12,13を両端とする外部共振器構造を構成する。
第1ダイクロイックミラー14は、複数のエミッター22から射出されたレーザー光が入射し、赤外レーザー光を反射させて第1、第2半導体レーザー素子12,13に向けて射出させる一方、波長変換素子16で変換された可視光を透過させて第1,第2半導体レーザー素子12,13とは異なる方向へ射出させるミラーである。同様に、第2ダイクロイックミラー15は、複数のエミッター23から射出されたレーザー光が入射し、赤外レーザー光を反射させて第1,第2半導体レーザー素子12,13に向けて射出させ、可視光を透過させて第1,第2半導体レーザー素子12,13とは異なる方向へ射出させるミラーである。具体的な構成として、第1,第2ダイクロイックミラー14,15は、反射面に誘電体多層膜が形成されており、波長1065nmの赤外光を反射させ、波長532.5nmの可視光を透過させる特性を有している。
第1ダイクロイックミラー14は、第1半導体レーザー素子12から射出されたレーザー光が反射面に対して例えば略45°の角度で入射するように配置されており、波長変換素子16に向かって反射される。同様に、第2ダイクロイックミラー15は、第2半導体レーザー素子13から射出されたレーザー光が反射面に対して例えば略45°の角度で入射するように配置されており、波長変換素子16に向かって反射される。
波長変換素子16は、第1ダイクロイックミラー14と第2ダイクロイックミラー15との間の支持部材21上に配置されている。波長変換素子16は、複数のエミッター22から射出されたレーザー光が一つの端面16aに全て入射するように配置され、複数のエミッター23から射出されたレーザー光が他の端面16bに全て入射するように配置されている。また、波長変換素子16には、非線形光学結晶であるPPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)が用いられ、入射光を略半分の波長に変換し、2次高調波を発生させるSHGとして機能する。
第1半導体レーザー素子12から射出され、第2半導体レーザー素子13に向かう光のうちの一部の光は、波長変換素子16を通過することによって、略半分の(532.5nm)の緑色のレーザー光(所定の変換波長の光)に変換される。第2半導体レーザー素子13から射出され、第1半導体レーザー素子12に向かうレーザー光も同様に、一部の光が緑色のレーザー光に変換される。
この構成により、第1半導体レーザー素子12から射出された赤外レーザー光のうち、第1ダイクロイックミラー14で反射し、波長変換素子16を通過し、緑色のレーザー光に変換されなかった赤外レーザー光は、第2ダイクロイックミラー15で反射され、第2半導体レーザー素子13に入射する。すなわち、第1半導体レーザー素子12から射出された赤外レーザー光W1は、第1半導体レーザー素子12のDBR層22aと第2半導体レーザー素子13のDBR層23aとの間を往復して共振し、増幅される。また、第2半導体レーザー素子13から射出された赤外レーザー光W1も同様である。
一方、第1、第2半導体レーザー素子12,13からそれぞれ射出されたレーザー光が波長変換素子16を通過することにより、少なくとも一部のレーザー光が緑色に変換される。第1半導体レーザー素子12から第2半導体レーザー素子13に向かう途中で緑色に変換されたレーザー光W2は、第2ダイクロイックミラー15を通過し、図1の右側(+X軸方向)に向けて射出される。第2半導体レーザー素子13から第1半導体レーザー素子12に向かう途中で緑色に変換されたレーザー光W2は、第1ダイクロイックミラー14を通過し、図1の左側(−X軸方向)に向けて射出される。
光路変換プリズム19は、第2ダイクロイックミラー15を透過した緑色レーザー光W2の光路上に配置されており、図示しない保持部材により基台11に固定されている。この光路変換プリズム19は、第2ダイクロイックミラー15を透過した緑色レーザー光W2の光路を、第1ダイクロイックミラー14を透過した緑色レーザー光W2の光路と略同一方向に変換するものである。
本実施形態の光路変換プリズム19は、直角三角プリズムであり、第2ダイクロイックミラー15を透過したレーザー光を第1面19aで反射させた後、第1面19aと90°の角度をなす第2面19bで反射させる。このようにして、第2ダイクロイックミラー15を透過したレーザー光の光路を折り返し、第1ダイクロイックミラー14を透過したレーザー光L1と第2ダイクロイックミラー15を透過したレーザー光L2とを略平行にすることが可能となる。
第1半導体レーザー素子12と第1ダイクロイックミラー14との間には、BPF17が配置されている。このBPF17は、波長変換素子で変換可能な波長の光を透過させ、それ以外の波長の光を反射させることで、発振波長のスペクトルを制限するとともに発振波長を波長変換素子で変換可能な波長に揃える役目を果たす。このBPF17の作用により、発振中のレーザー光の波長帯域が絞られ、波長変換素子16から緑色のレーザー光が安定して出力される。
BPF17の光入射面の法線方向は、赤外レーザー光W1の入射方向と一致していてもよいが、本実施形態のレーザー光源装置1では赤外レーザー光W1の入射方向からずれた方向となっている。すなわち、BPF17の光入射面の法線は基台11の法線に対して傾いている。そのため、BPF17の表面で反射した反射光W3は、赤外レーザー光W1の入射方向から外れた方向に進み、第1半導体レーザー素子12に再入射する赤外レーザー光W1の強度がゼロになるか、もしくは低くなる。したがって、第1半導体レーザー素子12とBPF17との間で所定の波長以外の光がノイズ成分となってレーザー発振を起こす不具合が低減する。また本実施形態では、入射光の光軸に対するBPF17の傾斜方向は第1ダイクロイックミラー14と同じ傾斜方向になっている。このため、第1ダイクロイックミラー14とBPF17とが物理的に干渉し難くなり、好ましい。
また、BPF17と第1ダイクロイックミラー14とは、後述する支持体により支持されている。本実施形態のBPF17と第1半導体レーザー素子12との間の距離は5mmとなっている。
次に、図2を用いて、BPF17と第1ダイクロイックミラー14の支持構造について詳しく説明する。
図2に示すように、支持体30は、上端と下端が開口した筒状の構造体であり、上端には第1ダイクロイックミラー14がYZ平面に平行な側壁に対して斜めに配置されている。支持体30の下端は、支持体30の全ての側壁に対して垂直な切り口で開口している。XZ平面に平行な側壁の上端は、第1ダイクロイックミラー14の配置角度に合わせて、下端に対して例えば45°程度傾斜しており、第1ダイクロイックミラー14が所定の配置角度で支持される構造となっている。支持体30のXZ平面に平行な側壁の高さ方向中央には切り込み30bが形成されており、切り込み30bの内部にBPF17が装入されている。すなわち、BPF17は、その周縁部が支持体30によって支持された形態で、支持体30内の空間を横切るように配置されている。BPF17は、支持体30の下端の開口から入射するレーザー光の光軸に対して第1ダイクロイックミラー14と同じ向きに傾斜するように配置されている。ただし、BPF17と第1ダイクロイックミラー14の傾斜する向きは同じでも傾斜角は異なっている。
図2に示すように、支持体30は、上端と下端が開口した筒状の構造体であり、上端には第1ダイクロイックミラー14がYZ平面に平行な側壁に対して斜めに配置されている。支持体30の下端は、支持体30の全ての側壁に対して垂直な切り口で開口している。XZ平面に平行な側壁の上端は、第1ダイクロイックミラー14の配置角度に合わせて、下端に対して例えば45°程度傾斜しており、第1ダイクロイックミラー14が所定の配置角度で支持される構造となっている。支持体30のXZ平面に平行な側壁の高さ方向中央には切り込み30bが形成されており、切り込み30bの内部にBPF17が装入されている。すなわち、BPF17は、その周縁部が支持体30によって支持された形態で、支持体30内の空間を横切るように配置されている。BPF17は、支持体30の下端の開口から入射するレーザー光の光軸に対して第1ダイクロイックミラー14と同じ向きに傾斜するように配置されている。ただし、BPF17と第1ダイクロイックミラー14の傾斜する向きは同じでも傾斜角は異なっている。
支持体30は、複数のエミッター22を備える第1半導体レーザー素子12の上方に配置されている。エミッター22から射出される赤外レーザー光W1は、支持体30の下端の開口から支持体30の内部空間に入射する。入射した赤外レーザー光W1のうち、波長変換素子16で変換可能なレーザー光がBPF17を透過した後、第1ダイクロイックミラー14で反射される。支持体30の上端に第1ダイクロイックミラー14を配置した状態で、支持体30の第1ダイクロイックミラー14の反射方向の面は開口部30aとなっており、開口部30aを通して赤外レーザー光W1が射出される。
支持体30の形成材料としては、合成樹脂や金属等を挙げることができるが、中でも熱伝導率の高い金属を用いることが好ましい。BPF17は赤外レーザー光W1を受けることで蓄熱し、熱膨張を起こすことが想定される。このとき、BPF17が熱伝導率の高い金属製の支持体30により保持されていれば、支持体30を介してBPF17から効率良く熱を逃がすことができる。放熱効率を高めるため、支持体30の表面に例えばフィンなどの凹凸形状を設け、支持体30の表面積を広げると、なお好ましい。
次に、図3、図4を参照しながら、BPF17の適切な傾き角(傾斜角)について説明する。図3、図4は、BPF17の傾斜角を決定するための予備実験の結果を示した図である。以下の説明においては、図1、図2に示した符号を用いて説明する。なお、以下に説明するBPFの傾斜角の決定方法は一例であり、これに限るものではない。
図3は、BPF17の傾斜角決定のための予備実験の結果を示すグラフである。予備実験では、図1に示すレーザー光源装置1からBPF17のみ取り除いたレーザー光源装置を用い、第1ダイクロイックミラー14を+X方向もしくは−X方向に動かした場合に得られるレーザー光の強度を測定した。すなわち、本実験は、BPF17からの反射光が第1半導体レーザー素子12に再入射したときの影響を調べるため、BPF17の傾斜角を変化させる操作に代えて、第1ダイクロイックミラー14を移動させることで反射光の戻り位置を変化させた実験である。図3には、同条件で2度行った予備実験の結果を示している。
グラフの横軸はダイクロイックミラーの移動距離(μm)、縦軸が得られるレーザー強度(W)を示す。ダイクロイックミラーの移動距離は反射光のビームスポットの移動距離と等価と考える。ミラー移動距離が0μmのとき、レーザー光出力は最大値を示している。よって、このとき、2つの半導体レーザー素子のエミッター同士が精密にアライメントされ、一方の半導体レーザー素子のエミッターから射出されたレーザー光のうち、強度分布のピークを含む大部分が他方の半導体レーザー素子のエミッターに確実に入射してレーザー発振を起こしていることが判る。
次に、ダイクロイックミラーの移動距離を大きくしていくと、それに伴ってレーザー光出力が低下する。これは、一方の半導体レーザー素子のエミッターから射出されたレーザー光の大部分が他方の半導体レーザー素子のエミッターに入射していた状態(ミラー移動距離が0μmのとき)に対して、エミッターに入射するレーザー光の強度が低下し、レーザー共振が起こり難くなったためと考えられる。
以上、図3の予備実験結果から、BPF17からの反射光のビームスポットの中心が第1半導体レーザー素子12のエミッター22の中心からずれるように、BPF17の傾斜角を設定すればよいことが判った。
すなわち、仮にBPF17を傾けず、入射レーザー光の光軸に対して光入射面を垂直に配置したとすると、透過波長以外の波長の光が入射レーザー光と同じ光路を辿って第1半導体レーザー素子12のエミッター22に再入射する。この状態は上記のダイクロイックミラーの移動距離が0μmの状態に相当し、所望の波長以外のレーザー光も所望の波長のレーザー光とともに発振し、ノイズ成分となる。よって、マルチモード発振が生じ、高出力のレーザー光が得られなくなってしまう。
これに対して、BPF17を傾けて配置し、BPF17からの反射光の中心をエミッター22の中心からずらすと、ずれ量が大きくなるに従いBPF17からの反射光(透過波長以外の波長の光)が入射レーザー光と同じ光路を辿って第1半導体レーザー素子12のエミッター22に再入射する量が減少する。この状態は上記のダイクロイックミラーを0μmの位置から移動させた状態に相当し、BPF17からの反射光のレーザー共振が減少することを意味する。よって、BPF17を傾けて配置すると、所望の波長以外のレーザー光の発振が弱くなり、高出力のレーザー光を得ることができることが判った。
一方で、BPF17は、光入射面に対する光の入射角が変わると、透過波長が変わることが知られている。そのため、BPF17の傾斜角は、大きければ大きい程よいというものではなく、好ましい範囲内に留めておく必要がある。
図4は、本実施形態のレーザー光源装置1で用いるBPF17について、BPF17の傾斜角と透過波長の関係を示したグラフである。図4において、横軸がBPF17の傾斜角(°)、縦軸が透過波長(nm)を示す。本実験からは、グラフに示すように、傾斜角が大きくなるにつれて透過波長は小さくなり、所定の透過波長からの乖離が生じることが分かる。そのため、許容される透過波長の最大変化量を規定することで、傾斜角の最大値を求めることができる。
これらの様な予備実験を行うことで、本実施形態のレーザー光源装置1が備えるBPF17の傾斜角度を求めることができる。例えば、求められる傾斜角度のうち最大角度、または反射光によるレーザー発振が実質的に起こらない角度でBPF17を配置することで、高出力のレーザー光を得ることが可能となる。
以上のようにして、BPF17の傾斜角を設定することで、BPF17の反射光によるレーザー発振を抑制し、高出力のレーザー光を射出可能なレーザー光源装置を実現することができる。具体的な構成として、BPF17の傾斜角を所望の角度に規定するためには、図2に示した支持体30の切り込み30bの角度をBPF17の傾斜角に合わせるようにして切り込み30bを形成すればよい。あるいは、それでも調整が不十分であれば、支持体30全体の設置角度を微調整して、BPF17の反射光をエミッター22の位置から外すようにすれば良い。
本実施形態のレーザー光源装置においては、図1に示すように、BPF17が、第1半導体レーザー素子12と第1ダイクロイックミラー14を結ぶ光路上、すなわち、波長変換素子16や第1ダイクロイックミラー14、第2ダイクロイックミラー15等が配置された平面から外れた位置に配置されている。そのため、BPF17と波長変換素子16とが互いに物理的に干渉することなく、波長変換素子16の位置や設置角度の自由度が高まる。また、波長変換素子16として、素子内部を通る光の光路長が長いものを選択したとしても、波長変換素子16とBPF17とが干渉することがない。そのため、波長変換素子16とBPF17の双方ともに位置調整や角度調整がし易くなり、高出力化を実現可能なレーザー光源装置1とすることができる。
また、本実施形態では、BPF17を適切な傾斜角だけ傾けて配置しているため、BPF17を透過しなかった不要光が第1半導体レーザー素子12のエミッター22に戻り、ノイズ成分となって不要なレーザー共振を起こす虞が低減する。したがって、この要因からしても、より高出力化が可能なレーザー光源装置1とすることができる。
また、本実施形態では、BPF17を金属製の支持体30で支持する構成としている。そのため、BPF17に蓄積される熱を支持体30を介して放出することができる。これにより、BPF17の選択波長の精度を確保することができ、高出力のレーザー光を射出するレーザー光源装置1とすることができる。
また、本実施形態では、支持体30はBPF17と合わせて第1ダイクロイックミラー14も支持することとしている。この構成により、BPF17と第1ダイクロイックミラー14との相対位置、角度を保ったまま、両者をまとめて動かすことができるため、レーザー共振構造を確立するためのアライメントが容易となる。また、保持部材の部品点数を少なくでき、装置の小型化に寄与することができる。
また、本実施形態では、第1,第2半導体レーザー素子12,13が、それぞれ複数のエミッター22,23を備えることとしている。そのため、複数のエミッター22,23の各々から発せられるレーザー光を用い、高出力のレーザー光を得ることができる。
なお、本実施形態においては、支持体30の形状を筒状としたが、これに限らない。図5に、支持体の変形例である支持体31を示す。支持体31は、対向する一対の板状体32の間に、複数(図では4つ)の開口部33aが設けられた梯子状の梁(梁材)33が架け渡された構造をしている。
板状体32および梁33は、例えば金属のような熱伝導率の高い材料で形成されている。板状体32と梁33は同一の材料で作製しても良いし、異なる材料、例えば板状体32よりも梁33の方がより熱伝導率の高い材料で形成しても良い。また、梯子状の梁33は、例えば、一対の板状体32間を掛け渡す複数の横梁と、横梁間を掛け渡す縦梁と、を組み合わせて構成してもよく、板状の部材に複数の開口部33aを形成して作成することとしても良い。このように熱伝導率が高い材料を用いることでBPF17の温度の均一化に寄与し、温度上昇を抑制し、安定的な波長選択、更には、レーザー発光を実現する。
なお、図5では、梯子状の梁33の上にBPF17を載せた構造を示したが、接着などの固定手段を用いて梁33とBPF17とを固定すれば、梁33が上でBPF17が下となっても構わない。また、2つの梁材を用いてBPF17を挟持することとしても良い。
一対の板状体32の上端は同方向に傾斜しており、第1ダイクロイックミラー14は、板状体32の上端で入射光の光軸に対して斜めに傾斜するように支持されている。また、図2に示した支持体30と同様、BPF17を入射光の光軸に対して斜めに配置するために、本実施形態では、梁33は、板状体32の上端の傾斜方向と反対方向に傾斜するように板状体32に固定されている。そして、梁33の上にBPF17が載置され、固定されている。本構成においては、BPF17に蓄積される熱を、梁33および支持体31を介して逃がすことができる。
このような構造の支持体31による支持構造は、図2に示した支持体30の場合と異なり、BPF17の周縁だけでなく、BPF17の内側も熱伝導率の高い材料からなる梁33と接している。そのため、放熱効果がより高くなり、BPF17の透過波長特性を十分に確保することができる。
本実施形態においては、支持体30はBPF17と第1ダイクロイックミラー14とを同時に支持することとしたが、第1ダイクロイックミラー14のみを支持する別体の支持構造を設けるものとしても構わない。また、図2ではBPF17を第1ダイクロイックミラー14と同じ向きに傾斜させた例を挙げたが、設置スペースに余裕があれば、図5の例と同様、BPF17を第1ダイクロイックミラー14と反対向きに傾斜させ、BPF17からの反射光の到達位置を本実施形態とは反対側にずらす構成としてもよい。
また、本実施形態においては、第1,第2の半導体レーザー素子が、それぞれ複数の発光部を備えることとしたが、各々の半導体レーザー素子がそれぞれ一つずつのエミッターを備えるだけであっても良い。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図6を用いて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るレーザー光源装置の概略構成図である。
本実施形態のレーザー光源装置3は、第1実施形態と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
以下、本発明の第2実施形態について図6を用いて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るレーザー光源装置の概略構成図である。
本実施形態のレーザー光源装置3は、第1実施形態と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態のレーザー光源装置3は、図6に示すように、第1半導体レーザー素子12側から順に、第1プリズム24(分離素子)、波長変換素子16、第2プリズム25(分離素子)が、第1,第2半導体レーザー素子12,13から射出されたレーザー光の光路上に配置されている。第1、第2プリズム24,25は、第1、第2半導体レーザー素子12,13のエミッターの配列方向(Y軸方向)に延在する三角柱状の光透過体からなり、第1実施形態のダイクロイックミラーと同様の機能を備えている。すなわち、赤外レーザー光W1が波長変換素子16に入射して変換された緑色のレーザー光W2を透過して射出し、赤外レーザー光W1を斜面24a,25aで反射して第1、第2半導体レーザー素子へ射出する。具体的には、第1プリズム24の斜面24aに、緑色帯域の光を透過し、赤外帯域の光を反射する波長選択性を有する誘電体多層膜が形成されている。第2プリズム25も同様の構成である。
BPF17は、第1プリズム24の第1半導体レーザー素子12と対向する面(第1面)24bに接して配置されている。BPF17は、第1プリズム24の第1面24bに形成され、波長変換素子で変換可能な波長の光を透過し、それ以外の波長の光を反射する波長選択性を有する誘電体多層膜から構成されたものである。すなわち、BPF17と第1プリズム24とは一体のものとなっている。
本実施形態においても、BPF17からの反射光が第1半導体レーザー素子12のエミッターに再入射しないように、BPF17は入射光の光軸に対して傾いて配置されている。したがって、第1プリズム24の第1面24bと第2面24cとは直角以外の角度をなすように形成されている。本実施形態では、第1プリズム24の第1面24bと第2面24cとは鈍角をなし、第1プリズム24をXZ平面に平行な面で切断したときの断面形状が不等辺三角形をなしている。なお、BPF17を本実施形態と逆向きに傾け、第1プリズム24の第1面24bと第2面24cとが鋭角をなす構成としても良い。一方、第2プリズム25は、BPF17を備えていないため、第2プリズム25の第2半導体レーザー素子13に対向する面と波長変換素子16に対向する面とが直角をなし、第2プリズム25をXZ平面に平行な面で切断したときの断面形状が二等辺三角形をなす構成とすればよい。
上記構成のレーザー光源装置3においては、第1半導体レーザー素子12から射出されるレーザー光のうち、波長変換素子16で変換可能な所定の波長のレーザー光のみがBPF17を透過した後、誘電体多層膜が形成された斜面24aで反射し、第2面24cから波長変換素子16に向けて射出される。また、BPF17が入射光の光軸に対して傾いているため、BPF17で反射したレーザー光の中心は第1半導体レーザー素子12のエミッターの中心からずれた位置に戻る。これにより、不要なノイズ成分によるレーザー発振が起こらず、レーザー光の高出力化が図れる、という第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に本実施形態のレーザー光源装置3によれば、板状のBPF17のみを単独で設置した場合と比べてBPF17が第1プリズム24と一体化している分、熱容量が大きくなり、蓄熱しにくくなる。そのため、BPF17の透過波長特性をより一層維持することができ、高出力のレーザー光を射出するレーザー光源装置3を実現することができる。
[画像表示装置]
図7は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
本実施形態の画像表示装置100は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出する赤色レーザー光源装置1R,緑色レーザー光源装置1G、青色レーザー光源装置1Bを備えており、これら光源装置が上記第1実施形態のレーザー光源装置1である。
図7は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
本実施形態の画像表示装置100は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出する赤色レーザー光源装置1R,緑色レーザー光源装置1G、青色レーザー光源装置1Bを備えており、これら光源装置が上記第1実施形態のレーザー光源装置1である。
プロジェクター100は、レーザー光源装置1R,1G,1Bから射出された各色光をそれぞれ変調する透過型の液晶ライトバルブ(画像形成装置)104R,104G,104Bと、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bから射出された光を合成して投射レンズ107に導くクロスダイクロイックプリズム106と、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって形成された像を拡大してスクリーン110に投射する投射レンズ107と、を備えている。
さらに、プロジェクター100は、レーザー光源装置1R,1G,1Bから射出されたレーザー光の照度分布を均一化させるための均一化光学系102R,102G,102Bを備えており、照度分布が均一化された光によって液晶ライトバルブ104R,104G,104Bを照明している。本実施形態では、均一化光学系102R,102G、102Bは、例えばホログラム102aとフィールドレンズ102bによって構成されている。
各液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム106に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投射光学系である投射レンズ107によりスクリーン110上に投写され、拡大された画像が表示される。
本実施形態のプロジェクター100においては、赤色レーザー光源装置1R,緑色レーザー光源装置1G,青色レーザー光源装置1Bとして上記第1実施形態のレーザー光源装置1が用いられているので、ダイナミックレンジが広く映像表現力に優れたプロジェクターを実現することができる。
なお、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、反射型のライトバルブを用いても良いし、液晶以外の光変調装置を用いても良い。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型液晶ライトバルブやデジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device)が挙げられる。投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更すればよい。
また、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズムを用いることとしたが、これに限るものではない。色光合成手段としては、例えば、ダイクロイックミラーをクロス配置とし色光を合成するもの、ダイクロイックミラーを平行に配置し色光を合成するものを用いることができる。また、双方のエミッターに対し光路を変換するダイクロイックミラーが設置された構成のレーザー光源装置を例に挙げて説明したが、エミッターの配列はこれに限るものではない。例えば、一方のエミッターにのみダイクロイックミラーが設置されていても良い。
[走査型画像表示装置]
図8は、本発明の別形態に係る画像表示装置の概略構成図であり、走査型画像表示装置の構成図を示す。
本実施形態の画像表示装置200は、上記第1実施形態のレーザー光源装置1と、レーザー光源装置1から射出された光をスクリーン210に向かって走査するMEMSミラー(画像形成装置)202と、レーザー光源装置1から射出された光をMEMSミラー202に集光させる集光レンズ203とを備えている。レーザー光源装置1から射出された光は、MEMSミラー202の駆動によってスクリーン210上を水平方向、垂直方向に走査される。カラー画像を表示する場合は、例えばレーザーダイオードを構成する複数のエミッターを、赤、緑、青のピーク波長を持つエミッターの組み合わせによって構成すれば良い。
図8は、本発明の別形態に係る画像表示装置の概略構成図であり、走査型画像表示装置の構成図を示す。
本実施形態の画像表示装置200は、上記第1実施形態のレーザー光源装置1と、レーザー光源装置1から射出された光をスクリーン210に向かって走査するMEMSミラー(画像形成装置)202と、レーザー光源装置1から射出された光をMEMSミラー202に集光させる集光レンズ203とを備えている。レーザー光源装置1から射出された光は、MEMSミラー202の駆動によってスクリーン210上を水平方向、垂直方向に走査される。カラー画像を表示する場合は、例えばレーザーダイオードを構成する複数のエミッターを、赤、緑、青のピーク波長を持つエミッターの組み合わせによって構成すれば良い。
[モニター装置]
図9は、本発明の一実施形態に係るモニター装置の概略構成図である。本実施形態のモニター装置300は、装置本体310と、光伝送部320と、を備える。装置本体310は、上述の第1実施形態のレーザー光源装置1を備えている。
図9は、本発明の一実施形態に係るモニター装置の概略構成図である。本実施形態のモニター装置300は、装置本体310と、光伝送部320と、を備える。装置本体310は、上述の第1実施形態のレーザー光源装置1を備えている。
光伝送部320は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド321,322を備えている。各ライトガイド321,322は、多数本の光ファイバーを束ねたものであり、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド321の入射側には光源装置1が設置され、その出射側には拡散板323が設置されている。レーザー光源装置1から射出されたレーザー光は、ライトガイド321を通じて光伝送部320の先端に設けられた拡散板323に送られ、拡散板323により拡散されて被写体を照射する。
光伝送部320の先端には、結像レンズ324が設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ324で受けることができる。受けた反射光は、受け側のライトガイド322を通じて装置本体310内に設けられた撮像手段としてのカメラ311に送られる。この結果、レーザー光源装置1から射出されたレーザー光で被写体を照射して得られた反射光に基づく画像をカメラ(撮像部)311で撮像することができる。
本実施形態のモニター装置300によれば、上記第1実施形態のレーザー光源装置1が用いられているので、小型で鮮明な撮像が可能なモニター装置を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では、第1半導体レーザー素子と第2半導体レーザー素子との間を往復する光の光路上において各半導体レーザー素子と波長変換素子との間にそれぞれダイクロイックミラーを配置し、光路を2回折り曲げる構成とした。この構成に代えて、いずれか一方の半導体レーザー素子と波長変換素子との間にのみダイクロイックミラーを配置し、光路を1回折り曲げた構成に本発明を適用することもできる。その場合も、BPF(波長選択素子)はダイクロイックミラーに対向する側の半導体レーザー素子とダイクロイックミラーとの間に配置すればよい。
1,3…レーザー光源装置、12…第1半導体レーザー素子(第1発光素子)、13…第2半導体レーザー素子(第2発光素子)、14…第1ダイクロックミラー(分離素子)、15…第2ダイクロックミラー(分離素子)、16…波長変換素子、17…BPF(波長選択素子)、23,24…エミッター(発光部)、24,25…プリズム、30,31…支持体、100,200…プロジェクター(画像表示装置)、104R,104G,104B…液晶ライトバルブ(画像形成装置)、202…MEMSミラー(画像形成装置)、300…モニター装置、311…カメラ(撮像手段)。
Claims (10)
- レーザー光を射出する発光部を有する第1発光素子と、
レーザー光を射出する発光部を有する第2発光素子と、
前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記第1発光素子及び前記第2発光素子から射出された基本波長のレーザー光の少なくとも一部を所定の変換波長のレーザー光に変換する波長変換素子と、
前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記基本波長のレーザー光を反射させ、前記所定の変換波長のレーザー光を透過させる分離素子と、
前記第1発光素子と前記第2発光素子との間の光路上に配置され、前記波長変換素子に入射するレーザー光のうち所定の波長のレーザー光を透過させる波長選択素子と、を備え、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、互いに一方の発光素子の発光部から射出されたレーザー光が他方の発光素子の発光部に入射するように配置され、
前記分離素子が、前記第1発光素子と前記波長変換素子との間の光路上、または前記第2発光素子と前記波長変換素子との間の光路上、の少なくとも一方に配置され、
前記波長選択素子は、前記第1発光素子と前記分離素子との間の光路上、または前記第2発光素子と前記分離素子との間の光路上のうちの、前記波長変換素子が配置されていない側の光路上に配置されたことを特徴とするレーザー光源装置。 - 前記波長選択素子は、前記波長変換素子で変換可能な波長以外の波長のレーザー光を反射させて反射光とし、
前記波長選択素子は、前記第1発光素子または前記第2発光素子からの入射光が入射する面の法線方向が、前記入射光の入射方向に対して傾いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源装置。 - 前記波長選択素子が、前記入射光の光軸に対して前記分離素子と同じ側に傾いて配置されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー光源装置。
- 前記波長選択素子を支持する支持体を備え、
前記支持体は、前記波長選択素子よりも熱伝導率が高い材料で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザー光源装置。 - 前記支持体は、前記レーザー光の前記波長選択素子への入射面、又は前記入射面と対向する面で前記波長選択素子と接する梁材を有し、
前記梁材は、前記波長選択素子に入射する前記レーザー光を透過させる開口部を有することを特徴とする請求項4に記載のレーザー光源装置。 - 前記支持体は、前記波長選択素子に加えて前記分離素子を支持することを特徴とする請求項4または5に記載のレーザー光源装置。
- 前記分離素子は、前記第1発光素子または前記第2発光素子に対向する第1面と前記波長変換素子に対向する第2面とを有するプリズムであり、
前記波長選択素子は、前記第1面に形成された誘電体多層膜からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザー光源装置。 - 前記第1発光素子及び前記第2発光素子の各々が前記発光部を複数備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー光源装置。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザー光源装置と、
該レーザー光源装置からの光を用い、画像信号に応じた所望の画像を表示させる画像形成装置と、を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザー光源装置と、
前記レーザー光源装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とするモニター装置。
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JP2009280168A JP2011124358A (ja) | 2009-12-10 | 2009-12-10 | レーザー光源装置、画像表示装置及びモニター装置 |
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