JP2011123141A - 音声変更装置、音声変更方法および音声情報秘話システム - Google Patents

音声変更装置、音声変更方法および音声情報秘話システム Download PDF

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Abstract

【課題】騒音レベルの増長を抑えた上で音声の内容を隠蔽する。
【解決手段】音声情報秘話システムは、ブース2にいる顧客6の発話音声を受け、それを表す音声信号を生成するマイクロホンMicと、マイクロホンMicによって生成された音声信号を変更するSDコントローラ部SDと、SDコントローラ部SDによって変更された音声信号を音声に変換して発話音声が受聴されうる隣接ブース2’に出力するスピーカSPと、を有する。SDコントローラ部SDは、マイクロホンMicによって生成された音声信号から子音部分を抽出する部分抽出部と、その子音部分を置換もしくは時間反転する部分変更部と、そのように子音部分が置換もしくは反転された音声信号をスピーカSPに出力する出力部と、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、音声を変更する音声変更装置、音声変更方法およびその音声変更装置を備える音声情報秘話システムに関する。
個人情報保護法などの施行により銀行やオフィスにおける会話情報の保護の必要性が高まっている。その手段として、従来から物理的に空間を分ける遮音・防音や、オープンプランオフィスなどにおいて会話音声を別の雑音・音楽などで隠蔽するBGM・マスキングシステムなどが提案されてきた。
音声情報の隠蔽という目的については従来から、
(1)対象音声を他の定常的な雑音で隠蔽するマスキングシステム(Masking System)
(2)室内の暗騒音や空調騒音で隠蔽するシェーディングシステム(Shading System)
(3)遮音・防音(対象室を空間的に区画し、音響的に分離する)
等があった。(1)の例は音声の存在そのものを(無理やり)消し去ろうとするもので、エネルギマスキング(Energy Masking)と位置付けられる。これは例えばオープンプランオフィスのブースや会議室に使用されている。
(1)のシステムの例が非特許文献1に報告されている。そこでは、天井内部などに専用のジェネレータやスピーカを設置し、マスキング音を発生して音声の隠蔽を行っている。その原理は、会話の邪魔にならない程度の(会話とは脈絡のない)音楽や雑音を生成し、いわゆるS/Nを低減して音声の内容を隠蔽したり、明瞭度・了解度を低減したりして、会話内容を理解できない程度まで隠蔽しようとするものである。システムには会話レベルや室内暗騒音などに応じてマスキング音を最適レベルに制御する制御装置(信号処理装置)・電力増幅器などが含まれる。
また、この技術を利用した例としては、パーティションからブース内へマスキング用のノイズを放射し、対象空間領域をブースに限定することにより、室内全体の騒音レベルが上昇するのを抑えようとしたものがある。
(2)のシステムの例が非特許文献2に報告されている。そこでは、放射するマスキングノイズとして、室内の暗騒音そのものや、日常的に身近な空調騒音を使用した「Sound Shading System」が報告されている。このシステムでは、銀行の窓口などにおけるプライバシーの確保を目的とした視覚遮断的なパーティションに対し、会話のプライバシー保護を目的としてパーティション頂部にスピーカを設置する。このスピーカからマスキング音を再生し、それによりパーティションの反対側にいる人への会話内容の漏洩・伝達の阻止を図る。再生する音には街の雑踏をもとに生成した音や、その部屋の空調騒音を使用する。
(3)のシステムの例としては、別室として区画する遮音や、パーティションなどで区画する防音がある。
コクヨ社プレスリリース、サウンドマスキング、2006年10月18日 杉本明子、中村隆宏、伊勢史郎、「会話のしやすさとプライバシーを考慮した音場を生成する Sound Shading System の評価」、日本音響学会2005年春季研究発表会 講演論文集、p.817 電子情報通信学会、聴覚と音声、1973年、p.370−371
本発明者は、上述のマスキング/シェーディング技術に関して以下の課題を認識した。
(I)原音声とは脈絡のない新たな音を放射するので、違和感を伴い室内空間の騒音レベルを上昇させ得る。
(II)音声発生のないいわゆる「無音時」にも騒音、つまりマスキング音が聞こえ得る。
(III)会話とは関係のない別の音(騒音・音楽)を放射することにより、発声者・会話者・その他の在室者に少なからず違和感を与え得る。
(IV)音声の情報隠蔽は、性質の異なるもの同士は区別して認識する、という聴覚の性質により、雑音やBGMでは奏功しにくいという基本的な問題を含む(エンベロープやスペクトルが似通った音声波形同士の方が聴覚認識上、区別されにくい)。
(I)については、経験上原音声を完全にマスクするのに必要な雑音の相対レベルは略15dBである(非特許文献3参照)。この視点から見ると、雑音や音楽を流すことにより音声を隠蔽するという方法では、原音声に対してそれ以上のかなり大きな音量の雑音や音楽が必要となり、maskingであれshadingであれ、室内騒音レベルを大きく上昇させ得る。
(II)については、発話がない時にも音がするという違和感を伴う。またそもそも発話がない時に雑音や音楽を流すことは会話内容の隠蔽の観点からは無駄と言える。また無駄であるばかりでなく、室の等価騒音レベル(Laeq:A-weighted equivalent sound level=A特性で補正した音声信号の一定区間の自乗平均音圧レベル、つまり平均的な騒音レベル)を上昇させる結果となりうる。雑音の代わりに音楽を流した場合でも、一般的なBGMとの区別は困難である。
また、(3)のアプローチについては、費用的にかなり大きなものとなり、また開放感を阻害するのでオープンプランオフィスなどでの使用には適さない。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、騒音レベルや受聴者の不快感の増長を抑えた上で音声の内容を隠蔽する技術の提供にある。
本発明のある態様は、音声変更装置に関する。この音声変更装置は、音声信号から変更対象部分を抽出する部分抽出部と、部分抽出部によって抽出された変更対象部分を変更する部分変更部と、少なくとも部分変更部によって変更された変更対象部分を音声出力手段に出力する出力部と、を備える。
この態様によると、音声信号のうち変更対象部分を変更してから音声出力手段に出力することができる。音声出力手段は変更対象部分が変更された音声信号を音として出力してもよい。
本発明の別の態様は、音声情報秘話システムである。この音声情報秘話システムは、発話音声を受け、それを表す音声信号を生成する集音手段と、集音手段によって生成された音声信号を変更する音声変更装置と、音声変更装置によって変更された音声信号を音声に変換して発話音声が受聴されうる領域に出力する音声出力手段と、を備える。音声変更装置は、集音手段によって生成された音声信号から変更対象部分を抽出する部分抽出部と、部分抽出部によって抽出された変更対象部分を変更する部分変更部と、少なくとも部分変更部によって変更された変更対象部分を音声出力手段に出力する出力部と、を含む。
この態様によると、発話音声を表す音声信号のうち変更対象部分を変更し、それを音として発話音声が受聴されうる領域に出力することができる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、騒音レベルや受聴者の不快感の増長を抑えた上で音声の内容を隠蔽できる。
マスキングに関する従来のアプローチと実施の形態に係るアプローチをカテゴリに分けて示す説明図である。 実施の形態に係る音声情報秘話システムが設けられたブースを模式的に示す斜視図である。 図2の音声情報秘話システムの機能および構成を模式的に示すブロック図である。 図2のITパーティションの構成を示す側面図である。 図3のSDコントローラ部の機能および構成を示すブロック図である。 図5の子音ライブラリを示すデータ構造図である。 マスキーを表す音声信号の波形を示す波形図である。 図7の音声信号をSDコントローラ部において子音のみ置換モードで処理することで生成される音声信号の波形を示す波形図である。 子音置換処理の内訳を示す説明図である。 SDコントローラ部およびスピーカにおける一連の処理を示すフローチャートである。 第1変形例に係る音声情報秘話システムの機能および構成を模式的に示すブロック図である。 第2変形例に係る音声情報秘話システムの機能および構成を模式的に示すブロック図である。 図7の音声信号をSDコントローラ部においてエネルギ包絡線で区画された音節群単位で時間反転した音声信号の波形を示す波形図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
特にオフィスなどにおいては、オープンプランの空間が有する開放性やコミュニケーションの円滑性を損なわずに音声情報、つまり音声の内容だけが隠蔽されることが望ましい。しかしながら、従来のBGMやマスキングを使用する技術は、基本的には音声とは性質の異なる別の音を加えるので、聴覚的な違和感や室内の暗騒音を上昇させてしまうという嫌いがあった。本発明の実施の形態はマイクロホンなどにより集音した音声信号そのものの構造を変更することにより室内の暗騒音を上昇させることなく会話の内容を、理想的には会話の内容のみを、隠蔽し、円滑で快適な秘話環境を実現する。
図1は、マスキングに関する従来のアプローチと実施の形態に係るアプローチをカテゴリに分けて示す説明図である。(a)は、電気音響を用いたSR(Sound Reinforcement)/PA(Public Address)である。これらは音量や明瞭度を高めて「よく聞こえるようにする」従来技術である。(f)は、遮音(Sound Insulation)であり、空間を音響的に分離しできるだけ「聞こえないようにする」従来技術である。これらに対して実施の形態に係るアプローチは(e)のSD(Sound Deformation)であり、会話者本人の原音声を処理して出力することにより、聞こえる聞こえないではなく会話内容を「分からなくする」一種の音声情報撹乱技術である。また、従来技術による(b)EMや(c)SSや(d)IMが多かれ少なかれ室内あるいは対象空間領域の騒音レベルを上昇させて不快感や違和感を増加させ得るのに対し、(e)のSDではほとんど音量上昇を伴わない。
本発明の実施の形態の主な立脚点は、言語の認識・理解が、特に日本語の場合は、音声の子音部分に大きく依存するという本発明者の認識である。この子音部分が変化すると、たとえば「雲(KUMO)」は「RUTO」となり、言葉として理解することができない。
本発明の実施の形態では、音声認識・理解のこのような側面に着目し、特に原音声の子音部分を変更・削除・置換する。子音部分の処理が主となるので、原音声と比較して音圧レベル(音量)の上昇は小さい。さらに原音声(以下、マスキーと称す)に処理音声(以下、マスカーと称す)を加えた全体の音量を更に低減するために、以下の併用/工夫が可能である。
(i)マスカーの生成において、母音部分を無音に置き換え、処理された子音部分だけを元のタイミングで出力する。
(ii)マスカーの情報隠蔽効果を高めるために、ANC(Active Noise Control)またはパラメータ固定のPNC(Passive Noise Control)技術を併用する。
図2は、実施の形態に係る音声情報秘話システム100が設けられたブース2を模式的に示す斜視図である。図3は、図2の音声情報秘話システム100の機能および構成を模式的に示すブロック図である。
音声情報秘話システム100は、銀行の相談カウンターなど、簡易パーティションで区画されたブース2に設けられる。音声情報秘話システム100は、マイクロホンMicと、SDコントローラ部SDと、2つのパワーアンプPAと、2つのスピーカSPと、を備える。スピーカSPおよびSDコントローラ部SDは、ブース間を視覚的に隔てるITパーティション4に組み込まれてもよい。
相談員と会話を行っている顧客6を発話者とする。この発話者のマスキーH'(t)はカウンター部分またはその近傍に設けられたマイクロホンMicによって集音される。マイクロホンMicにより集音されたマスキーH'(t)は音声信号に変換され、SDコントローラ部SDに送られる。この音声信号のうち子音部分がSDコントローラ部SDによって変更、削除、または置換される。SDコントローラ部SDにおける処理を経た音声信号はパワーアンプPAを経てスピーカSPから左右の隣接ブース2’にマスカーH(t)として出力される。
隣接ブース2’にはマスキーH'(t)が空中を回り込んでくるので、顧客6の発話音声は隣接ブース2’内にいる受聴者8(顧客6とは異なる別の者)によって受聴されうる。しかしながら本実施の形態では、空中を回り込んで漏洩するマスキーH'(t)はマスカーH(t)と合成されて隣接ブース2’内の受聴者8に届く。したがってマスカーH(t)による擾乱により受聴者8はマスキーH'(t)の子音部分を正しく認識することができない。その結果、受聴者8はマスキーH'(t)に含まれる会話の内容を理解することができない。
図4は、図2のITパーティション4の構成を示す側面図である。ITパーティション4は、第1吸音層42と、遮音層44と、第2吸音層46と、をこの順に積層してなる積層構造を有する。第1吸音層42および第2吸音層46はそれぞれ厚さが20mmのグラスウールの層である。遮音層44は厚さが12mmの石膏ボードである。
図5は、図3のSDコントローラ部SDの機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
SDコントローラ部SDは、記憶装置10と、A/D部20と、部分抽出部30と、部分変更部90と、D/A部70と、ノイズ生成部80と、子音ライブラリ更新部82と、母音ライブラリ更新部84と、を含む。記憶装置10は、子音ライブラリ12と、母音ライブラリ14と、共通ライブラリ16と、を含む。部分抽出部30は、音声判別部36と、子音抽出部32と、母音抽出部34と、を含む。部分変更部90は、子音処理部40と、母音処理部50と、を含む。
子音ライブラリ12は、子音部分の種類ごとにその波形データを記憶する。母音ライブラリ14は、母音部分の種類ごとにその波形データを記憶する。共通ライブラリ16は、子音部分の種類ごとに所定のサンプル波形データを記憶する。この共通ライブラリ16に記憶される子音部分のサンプル波形データは、男性、女性、子供、大人などに分類されている。
SDコントローラ部SDは少なくとも、子音のみ置換モードおよび子音母音置換モードの2つの動作モードを有する。以下各動作モードごとに関連するブロックの機能を説明する。
(1)子音のみ置換モード
マイクロホンMicにより集音されたマスキーH'(t)は音声信号に変換され、該音声信号はマイクアンプ(不図示)を経てA/D部20に入力される。A/D部20は、アナログ信号である音声信号をデジタル信号に変換する。音声判別部36は、A/D部20でデジタル化された音声信号の波形を過去の発話音声波形と比較することにより、その音声信号の子音部分と母音部分とを判別する。子音抽出部32は、その判別結果を使用して子音部分を抽出する。
子音ライブラリ更新部82は、子音抽出部32によって抽出された子音部分の波形データをその種類ごとに子音ライブラリ12に蓄積する。ここで子音部分の分類はその継続時間・スペクトル・統計処理などから行われる。このように子音ライブラリ12に蓄積される子音部分の波形データは、逐次処理によって会話開始から徐々に精度の高いものに置換されてゆく。
ノイズ生成部80は、子音抽出部32で抽出された子音部分を基に、それとスペクトルが類似する子音ノイズを生成する。
子音処理部40は、音声信号のうち子音抽出部32で抽出された子音部分を処理する。子音処理部40は、子音抽出部32によって抽出された子音部分を子音ライブラリ12から選出したほぼ同じ長さの別の子音部分に置換する。子音処理部40は、置換の候補が複数ある場合は、ランダムに、かつ各組み合わせが略等確率となるように置換する。ここで子音部分の長さに長短があることの例としては、「s」に相当する子音部分の継続時間は比較的長く、「t」や「p」に相当する子音部分の継続時間は短いことがある。
なお、子音処理部40は、子音ライブラリ12を使用して子音部分を置換する代わりに、子音抽出部32によって抽出された子音部分をノイズ生成部80によって生成された子音ノイズと置換してもよい。この場合、マスキーH'(t)とマスカーH(t)との合成音声の無作為性がより増大する。また子音処理部40は、子音ライブラリ12を使用して子音部分を置換する代わりに、子音抽出部32によって抽出された子音部分を削除してもよい。
発話開始から数秒〜数十秒程度(以下、発話開始期間と称す)は、子音ライブラリ12に発話者本人の音声から採取した子音部分が十分に蓄積されていない可能性がある。そこでこの発話開始期間の間は、子音処理部40は共通ライブラリ16から対応する子音部分を選出して子音抽出部32によって抽出された子音部分と置換する。あるいはまた、発話開始期間の間、子音処理部40は子音抽出部32によって抽出された子音部分をノイズ生成部80によって生成された子音ノイズと置換する。あるいはまた、発話開始期間の間、子音処理部40は子音抽出部32によって抽出された子音部分を時間方向に反転する。
発話開始期間の間に用いられるこれらの子音部分変更アルゴリズムでは、発話者本人の子音ライブラリ12を使用する場合よりも自然さにおいて劣る。しかしながら発話開始後の短い時間だけなのでそれほど問題とはならない。
D/A部70は子音処理部40において処理された音声信号を、スピーカSPを駆動するためのアナログの音声信号に変換してパワーアンプPAに出力する。D/A部70は特に、子音処理部40によって置換された子音部分と、その子音部分に対応する変更されていない母音部分とを含む音声信号をアナログ信号に変換して出力する。
なお、マスキーH'(t)をマイクロホンMicで集音してからSDコントローラ部SDで処理しスピーカSPから対応するマスカーH(t)を出力するまでの時間、つまりSD処理時間TSDは、T+t以内とされる。ここでTはマスキーH'(t)が発せられた時点からそれが受聴者8に届くまでの時間であり、tはマスキーH'(t)とマスカーH(t)が受聴者8位置において顕著なエコーを発生させないような遅れ時間、もしくは受聴者8に届く合成音声が受聴者8にとって理解不能となる最大の遅れ時間である。tの具体的な値は実験により定められるが、代表的には100ms程度である。
マスキーH'(t)とマスカーH(t)とを受聴者8位置で合成して情報隠蔽を行うためには上述の通りSDコントローラ部SDでのSD処理を実時間もしくは準実時間で行わなければならない。この時間的な制約の存在、つまりSD処理時間TSDを短い時間であるT+t以下としなければならないこと、により、子音部分の抽出及び置換・反転などの処理の精度を犠牲にしなけらばならない場合もある。しかしながら本実施の形態の目的は音声の明瞭度・了解度の低減にあり、想定/予定した処理自体の正確さが目的ではない。したがって本実施の形態では、マスカーH(t)の重畳によりマスキーH'(t)の意味内容が理解し難くなるという条件が満たされれば処理の精度は大きな問題とはならない。これは「意味内容が理解し難くなるという条件」は無数にあるからである。
(2)母音置換モード
上述の子音部分の変更に加えて、母音部分も変更するモードである。母音抽出部34は、子音抽出部32で子音部分が抽出された音声信号から母音部分を抽出する。
母音ライブラリ更新部84は、母音抽出部34によって抽出された母音部分の波形データをその種類ごとに母音ライブラリ14に蓄積する。ここで母音部分の分類はその継続時間・スペクトル・統計処理などから行われる。このように母音ライブラリ14に蓄積される母音部分の波形データは、逐次処理によって会話開始から徐々に精度の高いものに置換されてゆく。
ノイズ生成部80は、母音抽出部34で抽出された母音部分を基に、それとスペクトルが類似する母音ノイズを生成する。
母音処理部50は、子音処理部40において子音部分が処理された後の音声信号のうち、母音抽出部34で抽出された母音部分を処理する。特に騒音レベルの上昇を極力抑える必要がある場合には、母音処理部50は母音抽出部34で抽出された母音部分を無音部分に置換する。この場合、D/A部70、スピーカSPを経て出力されるマスカーH(t)は子音部分と子音部分とに挟まれた無音部分を有する構成となる。つまりマスカーH(t)の子音部分は同期するマスキーH'(t)の母音部分と連結してひとつの音韻を構成することとなる。これにより全体の音量はマスカーH(t)で無音とした母音部分の分だけ低減され、室内の騒音レベルも低減される。
なお、母音処理部50は、母音部分を無音部分で置き換える代わりに、ライブラリベースの置換を行ってもよい。つまり、母音処理部50は、母音抽出部34によって抽出された母音部分を母音ライブラリ14から選出した別の母音部分に置換してもよい。母音処理部50は、置換の候補が複数ある場合は、ランダムに、かつ各組み合わせが略等確率となるように置換する。発話開始期間における母音部分変更アルゴリズムについては子音部分のそれと同様である。
または、母音処理部50は、母音部分を無音部分で置き換える代わりに、母音処理部50によって抽出された母音部分をノイズ生成部80によって生成された母音ノイズと置換してもよい。この場合、やはりマスキーH'(t)とマスカーH(t)との合成音声の無作為性がより増大する。
また、子音母音の処理の順番、つまり子音処理部40における処理と母音処理部50における処理の順番を入れ替えてもよい。
図6は、子音ライブラリ12を示すデータ構造図である。子音ライブラリ12は、音素としての子音112とその子音の波形データ114とを対応付けて記憶する。母音ライブラリ14および共通ライブラリ16もまた子音ライブラリ12と同様のデータ構造を有する。
図7は、マスキーH'(t)を表す音声信号の波形を示す波形図である。図7の波形は「あの、彼とはそうと(う)長いんだよね、実は(ANO KARETOWA SO-TONAGAINDAYONE ZITSUWA)」という原音声をマイクロホンMicで音声信号に変換したものである。図7の縦軸は信号強度を任意の単位で表し、横軸は時間を表す。図7において縦の破線で区画された領域ひとつひとつが音素に対応し、対応する音素がローマ字で明示されている。また、「-」は音声休止部を表す。エネルギ包絡線102は実線で示される。ここでエネルギ包絡線は音声サンプルを自乗音圧領域で数10msecの時定数をかけ平方根をとったものである。
図7における母音、子音、無音の別を表1に示す。音声開始前のある時刻を時刻の原点(t=0)として定める。
なお、子音、母音、無音の別は、エネルギやゼロ交差数、PARCOR(PARtial auto-CORrelation)の第1係数(スペクトル傾斜)などにより判別することが可能である。
図8は、図7の音声信号をSDコントローラ部SDにおいて子音のみ置換モードで処理することで生成される音声信号の波形を示す波形図である。区画104で示される子音部が置換された子音部である。これらの置換に際し切り出し時間長や再挿入時レベル(dB)を調整している。
置換後のエネルギ包絡線106は実線で示される。図7のエネルギ包絡線102と図8のエネルギ包絡線106とを比較するとそれ程変化していないことが分かる。つまり音声のイントネーションや抑揚にそれ程変化はない。しかしながら図8の音声信号がスピーカSPで音声に変換され、マスカーH(t)として出力されると、受聴者8サイトではマスキーH'(t)とマスカーH(t)とが合成されて聞こえ、その意味内容は理解されにくくなる。つまり「わからない」となることが多い(他の音に聞こえる場合もある)。
図9は、上の子音置換処理の内訳を示す説明図である。図9では、図7の音声信号のうちどの子音部をどのように置換したかが示される。この子音置換処理では図7の音声信号内の子音部同士を置換している。
図10は、SDコントローラ部SDおよびスピーカSPにおける一連の処理を示すフローチャートである。A/D部20は発話音声を表す音声信号をマイクロホンMicから取得する(S202)。部分抽出部30は、取得された音声信号から変更対象部分を抽出する(S204)。部分変更部90は、抽出された変更対象部分を変更する(S206)。スピーカSPは、少なくとも変更された変更対象部分を音声に変換して出力する(S208)。
以上の構成による音声情報秘話システム100の動作を説明する。銀行のブース2に顧客6が座り、銀行の相談員と例えばローンについて相談する場合を考える。この際、ブース2の隣の隣接ブース2’には受聴者8がいて口座の開設を申請しているとする。顧客6は自己の事業の資金繰りが悪化したなどローンを申請する事情を説明している。無論このような話は受聴者8に漏れ聞こえないほうがよく、特に本実施の形態に係る音声情報秘話システム100では主に顧客6の発話音声のうち子音部分が変換されたものが受聴者8に届くので、受聴者8は顧客6の発話内容を理解できない。加えて顧客6の発話がない場合はスピーカSPから隣接ブース2’への出力は実質的にないため、隣接ブース2’内の騒音レベルを不必要に上昇させることもない。
上述の実施の形態において、記憶装置10の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各ブロックを、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
本実施の形態に係る音声情報秘話システム100によると、以下の作用効果を得ることができる。
(1)本実施の形態に係る音声情報秘話システム100によると、会話の存在そのものの隠蔽や抹消ではなく、その内容、つまり会話音声に含まれる情報が隠蔽される。この点に関し本発明者は以下を認識した。
オープンプランのオフィスや銀行や証券会社のロビー、特に簡易パーティションにより仕切られた接客カウンターなどでは、会話している人以外の人にその会話の中身を理解不能とすれば、会話内容の隠蔽という点では十分にその目的が果たされる。つまり会話の内容さえ漏れなければ音声そのものは聞こえてもよい。むしろ発話者の存在が視認できる場合などは、音声のスペクトルやエネルギ包絡線(音質やイントネーション、抑揚)が保存されたほうが自然である。本実施の形態に係る音声情報秘話システム100は、以上の視点・ニーズに対応し、より自然な形で会話内容を隠蔽する。
(2)マスカーH(t)は発話者本人のマスキーH'(t)を基にその子音部分に着目して作成され、原音声と並行してスピーカから出力される。したがって、特に子音のみ置換モードではマスキーH'(t)のスペクトルやエネルギ包絡線はマスカーH(t)となっても保存されうる。その結果、マスカーH(t)のスペクトルやイントネーションはマスキーH'(t)のそれとほぼ同じとなるので、違和感はそれ程無く自然に聞き手に受け取られる。
(3)マスカーH(t)はマスキーH'(t)に対し子音部分のみを置換して、あるいは子音部分を置換したうえで母音部分を無音部分に置き換えたり処理したりして生成される。したがって、マスカーH(t)の音量(音圧レベル)ひいては室内騒音レベルの上昇を極力抑えることができる。
(4)時間軸上でマスキーH'(t)がないとき、つまり会話がないときはマスカーH(t)も出力されない。つまり両者は時間的に実質的に重畳する。したがって、音声発生のない「無音時」におけるマスカーH(t)による室内騒音レベルの上昇は抑えられる。
(5)従来の技術を使用した場合に発生しうるマスカー断続やレベル変動(会話停止時に断〜レベル低減)による違和感や、会話とは関係のない別の音(騒音・音楽)を放射することによる発話者・会話者・その他の在室者に対する違和感が抑えられる。
(6)従来の技術における物理的な遮音や個室化に対しては、空間的な遮断や移動を必要としないので、開放感やコミュニケーションが妨げられにくくなる。
(7)SDコントローラ部SDおよびスピーカSPはITパーティション4に組み込まれるので、システムの設置や取付を大幅に簡略化できる。場合によってはマイクロホンMicをITパーティション4に組み込んでもよい。この場合、さらに簡略化される。
(8)ITパーティション4はそれ自体が吸音処理されている。したがって、ブース内での会話音声の明瞭度を上げつつ隣接ブースへの音漏れを低減できる。
(9)マスカーH(t)は置換・削除などの処理によりマスキーH'(t)(原音声)とは相関がそれ程高くない信号となる。したがって、音声情報秘話システム100の動作時においてハウリングなどのフィードバックに起因する異常が生じにくい。
以上、実施の形態に係る音声情報秘話システム100およびそれに含まれるSDコントローラ部SDの構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、隣接ブースの片側からマスカーH(t)が出力される場合について説明したが、これに限られない。例えば、信号加算によりマスカーH(t)が隣接ブースの左右両側から出力されてもよい。図11は、第1変形例に係る音声情報秘話システムの機能および構成を模式的に示すブロック図である。第1変形例に係る音声情報秘話システムは、マイクロホンMicと、SDコントローラ部SDと、4つのスピーカSPa〜SPd(SPdは不図示)と、4つのパワーアンプPAa〜PAd(PAdは不図示)と、4つの加算器210a〜210d(210dは不図示)と、を備える。
SDコントローラ部SDにおける処理を経た音声信号は、ブース2の左のスピーカSPaに対応する加算器210aと、ブース2の右のスピーカSPbに対応する加算器210bと、ブース2の左隣の隣接ブース2’の左のスピーカSPcに対応する加算器210cと、ブース2の右隣の隣接ブースの右のスピーカSPd(不図示)に対応する加算器210d(不図示)と、に入力される。それぞれの加算器210a〜210dに入力された音声信号は対応するパワーアンプPAa〜PAdを経てスピーカSPa〜SPdから出力される。加算器はそれが接続されたスピーカが音声を出力するブースの両隣のブースから、SDコントローラ部SDにおける処理を経た音声信号を取得して加算する。
本変形例によると、マスカーH(t)が隣接ブース2’の左右両側から出力されるので、ブース2における会話内容が受聴者8により伝わりにくくなる。
また、マスキーH'(t)のレベルを低減するためにPNC(Passive Noise Controller)を併用してもよい。PNCは公知のANC(Active Noise Control)を調整時に適応処理させ、運用時には設定されたパラメータを固定して使用することを意図するものである。
図12は、第2変形例に係る音声情報秘話システムの機能および構成を模式的に示すブロック図である。本変形例では、図11のSDコントローラ部SDを図12の破線で囲まれた部分で置き換える。この部分ではSDコントローラ部SDとPNC部PNCとが並列に設けられ、マイクロホンMicからの音声信号がSDコントローラ部SDとPNC部PNCとに入力される。SDコントローラ部SDの出力側にはスイッチSW1が設けられ、スイッチSW1によってSDコントローラ部SDの動作のオンオフが制御される。そのスイッチSW1の出力とPNC部PNCの出力とは加算器406で加算され、パワーアンプPAを介してスピーカSPから音声として出力される。
本変形例では、音源402とアンプ404を介して接続されたヘッドトルソシミュレータHATS(HATS: Head and Torso Simulator)などを発話者位置Pに置いて、PNC部PNCの同定を行う。スイッチSW1を開いてSDコントローラ部SDの動作を切り、HATSから適切な音声信号を放射して隣接ブース2’の受聴者位置Qに置いたマイクロホンMic’の出力が最小になるようにPNC部PNCを適応動作させてシステム同定を行う。
このときマイクロホンMicおよびスピーカSPを含むインパルス応答は-h(x)となり、絶対値がPNC発話者−受聴者間のそれh(x)にほぼ等しくなる。その後スイッチSW1を閉じ、同定されたパラメータを固定した状態でPNC部を稼動させる。すると発話者と受聴者の位置P、QおよびマイクロホンMicとスピーカSPの位置はほぼ固定されているので、マスキーH'(t)のレベルは効果的に低減され、マスカーH(t)が優勢となる。その結果、情報隠蔽(Information Masking)の効果が強められる。必要に応じてマスカーH(t)のレベルを下げると、マスキーH'(t)を含むシステム全体のレベル、つまり室内の騒音レベルをさらに低減することもできる。
なお、上述のPNC機能はSDコントローラ部SDが組み込まれているコンピュータに組み込まれてもよい。
ANC/PNCは既存の技術であるが、広い音場を3次元にわたりくまなく制御するのには向いていない。一方でカウンターのパーティションで囲まれた狭い空間のほぼ定まった位置に受聴者の頭が存在するようなケースでは3次元でも有効な音響低減手段となる。
実施の形態では、音声信号を子音部分と母音部分とに分け、少なくとも子音部分を変更する場合について説明したが、これに限られない。例えば、SDコントローラ部の部分抽出部は、音声信号をマスキーH'(t)のエネルギ包絡線に見られる音節群に分割してもよい。そしてSDコントローラ部SDの部分変更部は、この音節群ごとに時間方向に反転してもよい。図13は、図7の音声信号をSDコントローラ部においてエネルギ包絡線で区画された音節群単位で時間反転した音声信号の波形を示す波形図である。区画108で示される部分が時間反転された部分である。ここでは、実線で示されるエネルギ包絡線110の略一山を単位として時間反転される。
図7のエネルギ包絡線102と図13のエネルギ包絡線110とを比較するとほぼ一致することが分かる。つまり音声のイントネーションや抑揚に殆ど変化はない。しかしながら図13の音声信号がスピーカSPで音声に変換され、マスカーH(t)として出力されると、受聴者8サイトではマスキーH'(t)とマスカーH(t)とが合成されて聞こえ、その意味内容は理解されにくくなる。つまり「わからない」となることが多い(他の音に聞こえる場合もある)。
また、本変形例によると、実施の形態における子音置換の場合と比べてSDコントローラ部における処理がより簡素化される。したがって処理時間が短縮される。さらに本発明者が行った実験によると、時間反転による情報撹乱効果は子音置換によるそれと遜色ないものであることが確認された。
本変形例のさらなる利点としては、ライブラリを必要としないので会話の開始時点から十分な情報撹乱効果を得ることができる点がある。
また、SDコントローラ部は、音声信号を一定の周期、あるいは一定周期に対してわずかにランダム変動する周期で、あるいは原音声の包絡線が略一群と見なせるような区画で、切り出して反転し元の位置に戻してもよい。この際、この処理はマスキーH'(t)に対し遅れがT+t以内になるようにして順次繰り返されてもよい。この場合、実施の形態に係る音声情報秘話システム100が有する作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態における子音部分などの変更対象部分の置換または削除にあたり、ハニング窓などの時間窓やゼロクロス検出を併用して、切り取り時に発生しうるクリック音などを除去してもよい。この場合、受聴者8あるいは在室者に与えうる違和感がさらに低減される。
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、これらの音声処理にはある程度時間がかかるが、これに加え更に時間遅れを加えて処理音声を放射したり、或いは原音声に複数の処理音声を重ねて放射したりすることも考えられる手法の例である。
2 ブース、 4 ITパーティション、 6 顧客、 8 受聴者、 10 記憶装置、 30 部分抽出部、 90 部分変更部、 100 音声情報秘話システム、 SD SDコントローラ部、 SP スピーカ、 Mic マイクロホン。

Claims (21)

  1. 音声信号から変更対象部分を抽出する部分抽出部と、
    前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分を変更する部分変更部と、
    少なくとも前記部分変更部によって変更された変更対象部分を音声出力手段に出力する出力部と、を備えることを特徴とする音声変更装置。
  2. 前記音声信号は発話音声を表し、
    前記出力部によって出力された変更対象部分は前記音声出力手段によって音声に変換され前記発話音声が受聴されうる領域に出力されることを特徴とする請求項1に記載の音声変更装置。
  3. 前記変更対象部分は子音部分を含み、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された子音部分を別の子音部分で置き換えることを特徴とする請求項2に記載の音声変更装置。
  4. 前記発話音声を表す音声信号の子音部分を記憶する子音ライブラリをさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された子音部分を前記子音ライブラリに記憶されている別の子音部分で置き換えることを特徴とする請求項3に記載の音声変更装置。
  5. 前記子音ライブラリを更新する子音ライブラリ更新部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の音声変更装置。
  6. 前記変更対象部分は子音部分を含み、
    当該音声変更装置は前記部分抽出部によって抽出された子音部分のスペクトルを基に子音ノイズを生成するノイズ生成部をさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された子音部分を前記ノイズ生成部によって生成された子音ノイズで置き換えることを特徴とする請求項2に記載の音声変更装置。
  7. 前記出力部は、前記部分変更部によって変更された子音部分とそれに対応する変更されていない母音部分とを前記音声出力手段に出力することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の音声変更装置。
  8. 前記変更対象部分は母音部分を含み、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された母音部分を無音部分で置き換えることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の音声変更装置。
  9. 前記変更対象部分は母音部分を含み、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された母音部分を別の母音部分で置き換えることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の音声変更装置。
  10. 前記発話音声を表す音声信号の母音部分を記憶する母音ライブラリをさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された母音部分を前記母音ライブラリに記憶されている別の母音部分で置き換えることを特徴とする請求項9に記載の音声変更装置。
  11. 前記母音ライブラリを更新する母音ライブラリ更新部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の音声変更装置。
  12. 前記変更対象部分は母音部分を含み、
    前記部分抽出部によって抽出された母音部分のスペクトルを基に母音ノイズを生成するノイズ生成部をさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された母音部分を前記ノイズ生成部によって生成された母音ノイズで置き換えることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の音声変更装置。
  13. 前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分を時間方向に反転することを特徴とする請求項1に記載の音声変更装置。
  14. 前記音声信号を記憶する音声ライブラリをさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分を前記音声ライブラリに記憶されている別の音声信号の部分で置き換え、
    前記出力部は、少なくとも前記部分変更部によって置き換えられた別の音声信号の部分を音声出力手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の音声変更装置。
  15. 前記音声ライブラリを更新する音声ライブラリ更新部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の音声変更装置。
  16. 前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分のスペクトルを基に変更ノイズを生成するノイズ生成部をさらに備え、
    前記部分変更部は、前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分を前記ノイズ生成部によって生成された変更ノイズで置き換え、
    前記出力部は、少なくとも前記部分変更部によって置き換えられた変更ノイズを音声出力手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の音声変更装置。
  17. 発話音声を受け、それを表す音声信号を生成する集音手段と、
    前記集音手段によって生成された音声信号を変更する音声変更装置と、
    前記音声変更装置によって変更された音声信号を音声に変換して前記発話音声が受聴されうる領域に出力する音声出力手段と、を備え、
    前記音声変更装置は、
    前記集音手段によって生成された音声信号から変更対象部分を抽出する部分抽出部と、
    前記部分抽出部によって抽出された変更対象部分を変更する部分変更部と、
    少なくとも前記部分変更部によって変更された変更対象部分を前記音声出力手段に出力する出力部と、を含むことを特徴とする音声情報秘話システム。
  18. 前記音声変更装置および前記音声出力手段はブースのパーティションに組み込まれることを特徴とする請求項17に記載の音声情報秘話システム。
  19. 前記パーティションは吸音処理されていることを特徴とする請求項18に記載の音声情報秘話システム。
  20. 音声信号を取得するステップと、
    取得された音声信号から変更対象部分を抽出するステップと、
    抽出された変更対象部分を変更するステップと、
    少なくとも変更された変更対象部分を音声に変換して出力するステップと、を含むことを特徴とする音声変更方法。
  21. 音声信号から変更対象部分を抽出する機能と、
    抽出された変更対象部分を変更する機能と、
    少なくとも変更された変更対象部分を音声出力手段に出力する機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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