JP2011122700A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦異方性を有するプーリのテーパ面における剥離耐久性を向上させ、またその効果の低下を防止できるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】回転軸2,6の回転軸線方向に前後動可能に設けられた可動シーブ11,18と前記回転軸に一体化して設けられた固定シーブ12,19と、これらによって形成されるプーリ5,9の溝に巻き掛けられる伝動ベルト10とを備えたベルト式無段変速機1において、前記プーリ5,9が、繊維強化複合部材によって形成されており、かつ、その繊維強化複合部材に含まれる繊維が、前記プーリの円周方向に配向されていることを特徴とする。したがって、摩擦異方性を有するプーリ5,9のテーパ面を形成でき、そのテーパ面は、被膜によって形成されるのではないから、ベルト10とプーリ5あるいは9との摩擦接触などによる表面の経時的な変化を防止できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、ベルトの巻き掛け半径を変化させて変速比を連続的に変化させるベルト式無段変速機に関するものである。
ベルト式無段変速機は、回転軸に一体化して設けられた固定シーブとその固定シーブに対して軸線方向に前後動する可動シーブとによって構成されたプーリの溝幅を変化させることにより、プーリの有効径すなわちベルトが巻き掛かっている部分の半径を変化させて、変速比を無段階に設定するようになっている。すなわち、プーリは、可動シーブと固定シーブとによってベルトを挟み込むように構成されており、これらの間に生じる摩擦力によってトルクを伝達するようになっており、特にプーリとベルトとの接触面のうち、プーリの円周方向に沿った摩擦力によってトルクを伝達するようになっている。また、プーリは、ベルトを挟み込む荷重(ベルト挟圧力)により変形し、その変形によってベルトの巻き掛け半径が変化する。このベルト巻き掛け半径の変化は、ベルト式無段変速機における動力伝達効率を低下させる要因の一つになっている。そこで、特許文献1には、無段変速可能な巻き掛け式変速機の円錐ディスクもしくは巻き掛け手段であるリングに、アラミド繊維または炭素繊維で補強された摩擦材料のコーティングが施された発明が記載されている。
また、特許文献2には、一方向において摩擦係数が大きく、その直角方向において摩擦係数が小さい、いわゆる大きな摩擦異方性を有するように、基材上に摩擦係数の小さい第一の被膜と摩擦係数の大きい第二の被膜とを交互にライン状に形成させた摺動部材が記載されている。さらにまた、特許文献3には、ベルト挟圧力によって固定シーブが変形して倒れ込む場合に、その倒れ量(変形量)に対応した反力を第一の付勢手段である油圧アクチュエータに発生させ、これにより固定シーブの倒れを抑制することが記載されている。また、皿バネの弾性力が固定シーブの外周部を作用点として軸方向に付勢されるように構成し、ベルト挟圧力によって固定シーブが変形して倒れ込む場合に、皿バネが固定シーブの倒れ量に対応した反力を発生させ、これにより固定シーブの倒れを抑制することが記載されている。
特開平10−169744号公報 特開2006−161975号公報 特開2007−170504号公報
上記の特許文献1に記載されているように、円錐ディスクもしくはリングに摩擦材料のコーティングを施せば、その摩擦材料によって円錐ディスクとリングとの間の摩擦係数を増大させることができる。すなわち、特許文献1に記載された技術は、円錐ディスクとリングとの接触部分における摩擦係数を増大させるための技術である。したがって、これは、巻き掛け半径を変化させることにより変速比を変化させるリングの動きを阻害する虞があり、また、摩擦材料は円錐ディスクもしくはリングにコーティングされているから、荷重を受けて互いに接触する部分では、そのコーティングが剥離する虞がある。
また、特許文献2に記載されているように、基材上に2種類のライン状被覆(被膜)を交互に施せば、いわゆる大きな摩擦異方性を有する摺動部材を得ることができる。そして、これをベルトとプーリとの間に採用すれば、ベルトとプーリとの間における摩擦係数を増大させて、より具体的にはプーリの円周方向における摩擦係数を増大させてベルトのトルク伝達効率を向上させるとともに、摩擦係数の増大によるプーリの半径方向(ベルトの巻き掛り方向)におけるベルトの移動が阻害されることを防止もしくは抑制することができる。しかしながら、その被膜は、ナノメーターオーダーの薄膜であるから、ベルトとプーリとの接触によって、すなわち摩耗によって被膜が剥離してベルトの動力伝達効率が低下する虞がある。
さらにまた、特許文献3に記載された技術は、ベルト挟圧力によって固定シーブが変形し、ベルトがプーリの半径方向外側にズレることにより、ベルト巻き掛け半径が変化することを防止もしくは抑制するための技術である。
このように従来では、摩擦異方性を有するように表面(被膜)処理が施された部材の表面の剥離耐久性を向上させたり、あるいは被膜の経時的な効果の低下を防止もしくは抑制させたりする機能がなく、このような表面(被膜)処理をベルト式無段変速機のプーリとベルトとの接触面に適用するためには、未だ改善の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、摩擦異方性を有するベルト式無段変速機のプーリとベルトとの接触面における剥離耐久性を向上させ、また、その効果の低下を防止することができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、回転軸の回転軸線方向に前後動可能に設けられた可動シーブと前記回転軸に一体化して設けられた固定シーブと、これらによって形成されるプーリの溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを備えたベルト式無段変速機において、前記プーリが、繊維強化複合部材によって形成されており、かつ、その繊維強化複合部材に含まれる繊維が、前記プーリの円周方向に配向されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プーリと前記ベルトとが接触する部分を含み、かつ前記プーリにおける前記回転軸よりも外側の少なくとも一部が、前記繊維強化複合部材によって形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
請求項1の発明によれば、繊維複合部材によってプーリが形成されており、そのプーリを形成する繊維複合部材に含まれる繊維がプーリの円周方向に配向されている。すなわち、プーリとベルトとの接触面における摩擦力のうち、トルク伝達に必要な摩擦力を生じる円周方向に高ヤング率となるように繊維が配向されている。言い換えれば、プーリの円周方向の摩擦係数が大きくなるように繊維が配向されている。そのため、摩擦異方性を有するプーリを形成することができる。また、摩擦異方性を被膜によって形成した場合と比較して、摩耗などによる経時的な変化(剥離)を防止もしくは抑制することができる。さらにまた、摩擦異方性を被膜によって形成した場合と比較して、プーリの円周方向におけるトルク伝達効率の向上およびプーリの半径方向(ベルトの巻き掛り方向)におけるベルトの摩擦損失を低減するなどの効果の低下を防止もしくは抑制することができる。また、プーリを繊維強化複合部材によって形成することから、従来構成のプーリに比較して、プーリを軽量化できる。そして、これにより、プーリの慣性力を低減できる。したがって、従来に比較して、プーリの変速応答性を向上させることができる。また、円周方向における摩擦係数の増大により、ベルトのトルク伝達効率を向上させることができる。さらにまた、円周方向における摩擦係数の増大により、ベルト挟圧力を低減でき、すなわち、プーリに生じる曲げモーメントを低減できることから、プーリのトルク伝達方向(円周方向)における材料強度(剛性)を向上させることができる。そして、プーリの半径方向においては、繊維の配向に直交していることから、局部的な剛性低下により、すなわち摩擦係数を減少でき、プーリの円周方向に比較して、ベルトの摩擦損失を低減することができる。また、繊維強化複合部材に含まれる繊維の配向が、プーリのテーパ面に巻き掛けた形状になるので、生産性の向上を図ることができる。また、プーリを繊維強化複合部材によって形成することにより、プーリを金属などの剛性材料によって形成した場合に比較して、低コスト化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果と同様の効果に加えて、プーリとベルトとの接触部分を含み、プーリにおける回転軸よりも外側の少なくとも一部分が繊維強化複合部材によって形成されている。言い換えれば、プーリにおいて、プーリとベルトとの接触部分の他に、相対的に大きな慣性力を生じる部分、すなわち比較的、径(半径)の大きい部分が繊維強化複合部材によって形成される。そのため、プーリの軽量化を図ることができる。また、プーリの慣性力を低減させることができる。さらにまた、プーリを低慣性化させながら、プーリの剛性を向上させることができる。すなわち、ベルト挟圧力によってプーリに変形(倒れ)が生じる場合に、プーリの変形(倒れ)を防止もしくは抑制することができる。そして、プーリの最外径、言い換えれば、プーリを構成する可動シーブおよび固定シーブの最外径を小さくできることにより、これらの製造工程において、熱処理をおこなう場合に熱処理炉に挿入する本数を増やすことができ、その結果、製造コストを低減できる。
繊維強化複合部材によって形成したシーブのテーパ面における繊維強化複合部材に含まれる繊維の配向を模式的に示す図である。 回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した例を模式的に示す図である。 回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した他の例を模式的に示す図である。 回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した更に他の例を模式的に示す図である。 回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した更に他の例を模式的に示す図である。 この発明で対象とするベルト式無段変速機の構成例を模式的に示す図である。 ベルトがプーリに巻き掛けられている状態を模式的に示す図である。
つぎにこの発明をより具体的に説明する。この発明は、ベルトの巻き掛け半径を変化させて変速比を連続的に変化させるベルト式無段変速機に関するものであり、したがって、この発明で対象とするベルト式無段変速機は、基本的な構成として、駆動側(もしくは入力側)および従動側(もしくは出力側)の回転軸に対して、その回転軸線方向に移動可能に取り付けられた可動シーブおよび回転軸線方向に移動不可能に取り付けられた固定シーブによってベルト巻き掛け溝を形成する2つのプーリと、それら各プーリにそれぞれ巻き掛けられて各プーリ間で動力(トルク)を伝達する伝動ベルトとを備えている。そして、可動シーブを回転軸およびプーリの回転軸線方向に前後動させてベルト巻き掛け溝の溝幅を変化させることによりプーリに伝動ベルトが巻き掛かる際の巻き掛かり半径を変化させて変速比を連続的に変更することができるように構成されている。
この発明では、プーリもしくはプーリのテーパ面を含み、プーリにおける回転軸側よりも外側の少なくとも一部分が、繊維強化複合部材によって形成されている。そして、繊維強化複合部材に含まれる繊維が、プーリのテーパ面における円周方向もしくは円周方向に準じるように配向されている。その繊維強化複合部材(一般に、FRPと呼ばれる)は、マトリックス(すなわち、樹脂)と繊維などの強化材(補強材と呼ばれることもある)とを含み、これらによって相互に補強しあうことにより、強度、耐熱性などを向上させた部材であり、従来知られている部材である。
この繊維強化複合部材は、ベルトとプーリとの接触面に、すなわち、プーリのテーパ面に摩擦異方性を付与するものであるから、そのマトリックスには、ベルトとプーリとの間に生じる摩擦力あるいは摩擦熱もしくはベルト挟圧力に応じて、従来知られている任意の熱硬化成樹脂あるいは熱可塑性樹脂を使用することができる。また、強化材には、マトリックスと同様に、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維など従来知られている任意の繊維を使用することができる。なお、以下に示す具体例では、強度および耐熱性の観点から、プーリを形成する繊維強化複合部材のマトリックスには、熱硬化成樹脂を用い、また強化材には、炭素繊維を用いることが好ましい。
したがって、このような構成のベルト式無段変速機においては、プーリを繊維強化複合部材によって構成することにより軽量化し、またその慣性力を低減できる。また、その繊維強化複合部材に含まれる繊維(炭素繊維)をテーパ面の円周方向に配向させることにより、テーパ面に摩擦異方性を付与することができる。その摩擦異方性を備えたテーパ面は、被膜によって形成されるのではないから、ベルトとプーリとの摩擦接触などによって、例えばその表面が剥離するなどの経時的な変化を防止もしくは抑制することができる。さらにまた、テーパ面の摩擦異方性により、プーリの円周方向における摩擦係数を増大させることができ、かつ、プーリの半径方向における摩擦係数を減少させることができる。その結果、ベルトのトルク伝達効率を向上させることができる。また、そのような摩擦異方性を備えたテーパ面は、被膜によって形成されているのではないから、その効果を持続させることができる。さらに、円周方向における摩擦係数が増大することにより、従来に比較して、ベルト挟圧力を低減させることができる。すなわち、プーリに生じる曲げモーメントを低減でき、プーリが変形して倒れ込むことを防止もしくは抑制することができる。言い換えれば、プーリの剛性を向上させることができる。そして、繊維強化複合部材でプーリを形成することにより、プーリの低コスト化を図ることができる。
具体的に説明すると、図6に、この発明で対象とするベルト式無段変速機を模式的に示してあり、そのベルト式無段変速機1は、中空のケーシングの内部に、駆動力源(図示せず)の発生させる動力が入力されるプライマリシャフト2が設けられており、このプライマリシャフト2は軸受3,4によって回転自在にケーシングに支持されている。また、プライマリシャフト2には、駆動プーリ5が設けられている。
プライマリシャフト2に平行してセカンダリシャフト6が設けられており、そのセカンダリシャフト6は、軸受7,8によって回転自在にケーシングに支持されている。また、セカンダリシャフト6には、従動プーリ9が設けられている。そして、駆動プーリ5と従動プーリ9とに無端状の伝動ベルト10が巻掛けられており、各プーリに対するベルト10の巻掛け半径(実効半径)を変化させることにより、変速比を連続的に変更するようになっている。
駆動プーリ5は、プライマリシャフト2の軸線方向に前後動する可動シーブ11とプライマリシャフト2に一体に形成された固定シーブ12とを備え、これら可動シーブ11と固定シーブ12とは、可動シーブ11のテーパ面11aと固定シーブ12のテーパ面12aとが、プライマリシャフト2の軸線方向で互いに対向するように配置されている。したがって、可動シーブ11のテーパ面11aと固定シーブ12のテーパ面12aとの間に、V字形状のベルト巻き掛け溝が形成されている。また可動シーブ11には、可動シーブ11をその軸線方向に移動させるための油圧アクチュエータ13が設けられている。
油圧アクチュエータ13は、可動シーブ11をピストンとした油圧シリンダタイプのものであり、可動シーブ11と一体回転可能に形成されたドラム14の内部に、可動シーブ11をその軸線方向に移動させるピストン部15が納められている。このピストン部15は、可動シーブ11と一体化して形成されており、ドラム14の内周面に液密状態に収納されて、油圧アクチュエータ(油圧サーボ機構)13を形成している。
また、ピストン部15は、抜き孔16を介して給排油路17に連通されている。この給排油路17は、プライマリシャフト2の中心軸線に沿って図6の左端から所定長さの範囲に亘って形成されている。したがって、このピストン部15に圧油を給排することにより可動シーブ11を軸線方向に前後動させ、駆動プーリ5の溝幅を変化させるように、すなわちベルト10の巻掛け半径を変更させるように構成されている。
一方、従動プーリ9は、セカンダリシャフト6の軸線方向に前後動する可動シーブ18とセカンダリシャフト6に一体に形成された固定シーブ19とを備え、これら可動シーブ18と固定シーブ19とは、可動シーブ18のテーパ面18aと固定シーブ19のテーパ面19aとが、セカンダリシャフト6の軸線方向で互いに対向するように配置されている。したがって、可動シーブ18のテーパ面18aと固定シーブ19のテーパ面19aとの間に、V字形状のベルト巻き掛け溝が形成されている。また可動シーブ18には、セカンダリシャフト6の軸線方向に移動させるための油圧アクチュエータ20が設けられている。この油圧アクチュエータ20は、可動シーブ18をピストンとした油圧シリンダタイプのものであり、油圧を供給することにより可動シーブ18を固定シーブ19側に押圧するように、すなわちベルト10を挟み付けるベルト挟圧力が増大するように構成されている。
図7に、ベルトがプーリに巻き掛けられている状態を模式的に示してあり、前述したように、2つのプーリ5,9のベルト巻き掛け溝に、伝動ベルト10が巻き掛けられている。この伝動ベルト10は、例えば、板片状の多数のエレメント21を、帯状のリング(例えば、スチールバンド)22により環状に結束することにより構成されている。そして、その幅方向における左右の両側面が、断面を正面から見た状態でいわゆるV字状に傾斜した面として形成されていて、プーリのベルト巻き掛け溝に嵌り込むようになっている。すなわち、伝動ベルト10は、ベルト巻き掛け溝が形成されたプーリ5,9に巻き掛けられるVベルトとして構成されている。
図1に、繊維強化複合部材によって形成したシーブのテーパ面における繊維強化複合部材に含まれる繊維の配向を模式的に示してある。また、図2に、回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した例を模式的に示してある。シーブ23のテーパ面24の円周方向においては、繊維強化複合部材に含まれる繊維が、矢印Aで示す円周方向と一致するように、あるいは円周方向に準じて配向されている。なお、図2に示す固定シーブ23は、回転軸であるシャフト部分25とベルト10に接触するテーパ面24が形成される部分26とが一体に形成されていてもよく、またこれらが分割して形成されていてもよい。要は、プーリが、そのテーパ面に摩擦異方性を有するように繊維強化複合部材によって形成されていればよい。したがって、固定シーブをシャフト部分とテーパ面を有する部分とに分割して形成した場合には、これらをスプライン結合あるいは圧入嵌合などの従来知られている方法により接合すればよい。
したがって、上述した構成では、シーブ(すなわち、プーリ)23の円周方向において、高ヤング率を示すように繊維が配向されている。言い換えれば、シーブ23の円周方向における摩擦係数が相対的に大きくなるようになっている。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、円周方向において相対的に大きくなり、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。また、シーブ23は繊維強化複合部材によって形成されているから、軽量化でき、これによってシーブ23の慣性力を低減できる。その結果、前述した可動シーブ11,18を軸線方向に前後動させて変速をおこなう場合に、可動シーブ11,18を速やかに移動させることができ、ベルト式無段変速機1の変速応答性を向上させることができる。更に言えば、円周方向の摩擦係数が大きくなることにより、従来に比較して、ベルト10を挟み込むベルト挟圧力を低減させることができる。すなわち、プーリ5,9に生じる曲げモーメントを低減でき、プーリ5,9が変形して倒れ込むことを防止もしくは抑制することができる。言い換えれば、繊維強化複合部材によってプーリ5,9を形成し、プーリ5,9の円周方向における摩擦係数を増大させることにより、プーリ5,9の剛性を向上させることができる。
これに対して、矢印Bで示すシーブ23の半径方向は、高ヤング率を示す繊維の配向に直交するので、円周方向に比較して、摩擦係数が相対的に小さくなる。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、シーブ23の半径方向において相対的に小さくなる。その結果、プーリ5,9の溝幅を変更する場合に、シーブ23の半径方向におけるベルト10の摩擦損失を低減できる。言い換えれば、半径方向におけるベルト10の移動を滑らかにすることができ、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。
図3に、回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した他の例を模式的に示してある。その固定シーブ23は、回転軸であるシャフト部分25と、ベルト10に接触するテーパ面24を含む相対的に径(半径)の大きい部分(すなわち、回転軸の回転中心もしくは回転中心付近よりも相対的に大きな慣性力を生じる部分)26とが分割して形成されており、そのベルト10に接触するテーパ面24を含む相対的に径(半径)の大きい部分26が繊維強化複合部材によって形成されている。言い換えれば、従来金属などの剛性材料によって形成される部分(シャフト部分)25が小径化もしくは低慣性化されている。また、前述したように、テーパ面24の円周方向においては、繊維強化複合部材に含まれる繊維が、その円周方向と一致するように、あるいは円周方向に準じて配向されている。そして、上記の二つの部分は、例えばスプライン結合もしくは圧入嵌合などの従来知られている方法によって接合されている。要は、テーパ面24と相対的に大きい慣性力を生じる部分26とが繊維強化複合部材によって形成されていればよい。
したがって、上記の構成では、テーパ面24に摩擦異方性を付与することができる。またプーリ5,9を軽量化でき、これにより慣性力を低減できる。その結果、可動シーブ11,18を軸線方向に前後動させて変速をおこなう場合に、可動シーブ11,18を速やかに移動させることができる。また、ベルト式無段変速機1の変速応答性を向上させることができる。そして、繊維強化複合部材に含まれる繊維がプーリ5,9の円周方向に配向されているから、その円周方向において、繊維は高ヤング率を示す。言い換えれば、円周方向における摩擦係数が相対的に大きくなる。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、円周方向において相対的に大きくなり、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。更に言えば、円周方向の摩擦係数が大きくなることにより、従来に比較して、ベルト10を挟み込むベルト挟圧力を低減させることができる。すなわち、プーリ5,9に生じる曲げモーメントを低減でき、プーリ5,9が変形して倒れ込むことを防止もしくは抑制することができる。言い換えれば、繊維強化複合部材によってプーリ5,9を形成し、プーリ5,9の円周方向における摩擦係数を増大させることにより、プーリ5,9の剛性を向上させることができる。
これに対して、半径方向は、高ヤング率を示す繊維の配向に直交するので、円周方向に比較して、摩擦係数が相対的に小さくなる。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、半径方向において相対的に小さくなる。その結果、プーリ5,9の溝幅を変更する場合に、半径方向におけるベルト10の摩擦損失を低減できる。言い換えれば、半径方向におけるベルト10の移動を滑らかにすることができ、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。
図4に、回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した更に他の例を模式的に示してある。その固定シーブ23は、ベルト10に接触するテーパ面24を含むシーブ23の最外周端部が繊維強化複合部材によって形成され、シャフト部分25を含む他の部分に、例えばスプライン結合もしくは圧入嵌合などの従来知られている方法によって接合されている。また、前述したように、テーパ面24の円周方向においては、繊維強化複合部材に含まれる繊維が、その円周方向と一致するように、あるいは円周方向に準じて配向されている。図4に示す固定シーブは、言い換えれば、従来金属などの剛性材料によって形成される部分(相対的に大きい慣性力を生じる部分26)が小径化もしくは低慣性化されており、また、その小径化された剛性部分27によって、繊維強化複合部材によって形成されたテーパ面24が支持されるようになっている。
図5は、回転軸に一体に形成される固定シーブを、繊維強化複合部材によって構成した更に他の例を模式的に示してあり、その固定シーブ23は、ベルト10に接触するテーパ面24が繊維強化複合部材によって形成され、シャフト部分25を含む他の部分に、例えばスプライン結合もしくは圧入嵌合などの従来知られている方法によって接合されている。また、前述したように、テーパ面24の円周方向においては、繊維強化複合部材に含まれる繊維が、その円周方向と一致するように、あるいは円周方向に準じて配向されている。図5に示す構成においても、図4に示した構成例と同様に、従来金属などの剛性材料によって形成される部分(相対的に大きい慣性力を生じる部分26)が小径化もしくは低慣性化されており、また、その小径化された剛性部分27によって、繊維強化複合部材によって形成されたテーパ面24が支持されるようになっている。
したがって、上記の構成では、テーパ面24が、ある程度の厚みを持った繊維強化複合部材によって形成されるとともに、そのテーパ面24に摩擦異方性を付与することができる。また、プーリ5,9の少なくとも一部を繊維強化複合部材によって形成することによりプーリ5,9を軽量化でき、これによりプーリ5,9の慣性力を低減できる。その結果、可動シーブ11,18を軸線方向に前後動させて変速をおこなう場合に、可動シーブ11,18を速やかに移動させることができる。また、ベルト式無段変速機1の変速応答性を向上させることができる。そして、繊維強化複合部材に含まれる繊維がプーリ5,9の円周方向に配向されているから、円周方向において、繊維は高ヤング率を示す。言い換えれば、円周方向における摩擦係数を相対的に大きくすることができる。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、円周方向において相対的に大きくなり、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。また、円周方向の摩擦係数が大きいことから、従来に比較して、ベルト10を挟み込むベルト挟圧力を低減させることができる。すなわち、プーリ5,9に生じる曲げモーメントを低減できる。そして、繊維強化複合部材によって形成されたテーパ面24は、従来、プーリ5,9を構成している金属などの剛性部分によって支持されているから、プーリ5,9の剛性を向上させることができる。その結果、ベルト挟圧力によってプーリ5,9が変形して倒れ込むことを防止もしくは抑制することができる。
これに対して、シーブ23の半径方向は繊維の配向に直交するので、円周方向に比較して、摩擦係数が相対的に小さくなる。そのため、プーリ5,9とベルト10との間に生じる摩擦力は、半径方向において相対的に小さくなる。その結果、プーリ5,9の溝幅を変更する場合に、半径方向におけるベルト10の摩擦損失を低減できる。言い換えれば、半径方向におけるベルト10の移動を滑らかにすることができ、ベルト10のトルク伝達効率を向上させることができる。
上述した各具体例では、繊維強化複合部材によって形成される部分が、ベルト式無段変速機1の駆動プーリ5であるのか、もしくは従動プーリ9であるのか、また、可動シーブ11,18であるのか、もしくは固定シーブ12,19であるのか具体的に区別して説明していない。しかしながら、繊維強化複合部材によって形成される部分は、駆動側のプーリ5および従動側のプーリ9の両方であってもよく、もしくは、駆動側のプーリ5および従動側のプーリ9のいずれか一方であってもよい。また、可動シーブ11,18および固定シーブ12,19の両方であってもよく、もしくは、可動シーブ11,18および固定シーブ12,19のいずれか一方であってもよい。ベルト式無段変速機1は、ベルト10とプーリ5,9との接触部分に生じる摩擦力によってトルクを伝達するから、駆動プーリ5および従動プーリ9を構成する各可動シーブ11,18および各固定シーブ12,19を繊維強化複合部材によって形成することが望ましい。
1…ベルト式無段変速機、 5…駆動プーリ、 9…従動プーリ、 11,18…可動シーブ、 12,19…固定シーブ、 10…伝動ベルト、 11a,12a,18a,19a,24…テーパ面。

Claims (2)

  1. 回転軸の回転軸線方向に前後動可能に設けられた可動シーブと前記回転軸に一体化して設けられた固定シーブと、これらによって形成されるプーリの溝に巻き掛けられる伝動ベルトとを備えたベルト式無段変速機において、
    前記プーリが、繊維強化複合部材によって形成されており、かつ、その繊維強化複合部材に含まれる繊維が、前記プーリの円周方向に配向されている
    ことを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記プーリと前記ベルトとが接触する部分を含み、かつ前記プーリにおける前記回転軸よりも外側の少なくとも一部が、前記繊維強化複合部材によって形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1078112A (ja) * 1996-08-30 1998-03-24 Koyo Seiko Co Ltd 動力伝達部材
JP2002021956A (ja) * 2000-06-30 2002-01-23 Aichi Mach Ind Co Ltd ベルト駆動システム

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