JP2011122117A - シクロペンテン開環重合体の製造方法 - Google Patents

シクロペンテン開環重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シス比率および分子量の高いシクロペンテン開環重合体を、比較的高い温度条件下(たとえば、20℃以上)で、高収率で製造でき、かつ、重合安定性に優れたシクロペンテン開環重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】周期表第6族遷移金属化合物(A)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することを特徴とするシクロペンテン開環重合体の製造方法を提供する。
(R3−xAl(OR (1)
(上記一般式(1)中、RおよびR2は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の重合触媒を用いたシクロペンテン開環重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、重合安定性に優れ、シス比率および分子量の高いシクロペンテン開環重合体を製造する方法に関する。
一般に、シクロペンテンは、WClやMoClなどの周期表第6族遷移金属化合物と、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、テトラブチルスズなどの有機金属活性化剤とからなる、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒の存在下で、メタセシス開環重合することで、不飽和の直鎖状の開環重合体を与えることが知られている。
従来、このようにして得られるシクロペンテン開環重合体として、結晶性を有し、グリーン強度に優れるという点から、トランス比率の高いシクロペンテン開環重合体が用いられていたが、このようなトランス比率の高いシクロペンテン開環重合体は、グリーン強度に優れるものの、結晶性が高いため、低温時のゴム特性に劣るという問題があった。
これに対して、たとえば、特許文献1では、結晶性の低い開環重合体を得るために、シクロペンテンに、共重合可能な他の環状オレフィンを共重合する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1の方法では、前記の他の環状オレフィンを共重合させる影響により、シクロペンテン開環重合体に特有の特性が得難くなるという問題や、高価な環状オレフィンを使用する必要があるという問題があった。
一方、シクロペンテン開環重合体の結晶性を低くする別の方法として、シクロペンテン開環重合体のシス比率を高くする方法が検討されている。たとえば、非特許文献1では、重合触媒として、MoCl/トリエチルアルミニウムや、WCl/トリアルキルアルミニウムを用いる方法が開示されている。さらに、非特許文献2には、重合触媒として、WCl/テトラフェニルスズジメチルジアリルシラン、WCl/ジイソブチルアルミノキサンを用いる方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献1に開示されているように、重合触媒として、MoCl/トリエチルアルミニウムを用いた場合には、重合反応の収率が低く、収率を高めるためには、重合温度を−40℃以下の低温条件とする必要があり、重合速度が大幅に低下してしまうという問題があった。また、非特許文献1に開示されているように、重合触媒として、WCl/トリアルキルアルミニウムを用いた場合、さらには、非特許文献2に開示されているように、重合触媒として、WCl/テトラフェニルスズ、WCl/ジメチルジアリルシランを用いた場合には、室温(20℃)で開環重合を行なうと、得られるシクロペンテン開環重合体のトランス比率が高くなってしまうため、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を高めるためには、重合温度を−20℃以下や0℃以下の低温条件とする必要があり、同様に、重合速度が大幅に低下してしまうという問題があった。また、これらの重合触媒を用いて、室温で開環重合を行なうと、分子量が低くなってしまうという問題もあった。
さらに、非特許文献2に開示されているように、重合触媒として、WCl/ジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、室温で開環重合を行なった場合でも、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率をある程度高めることは可能であるものの、室温条件下での重合安定性に劣るという問題があった。具体的には、WCl/ジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、室温条件下で重合を行なった際に得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率の再現性が極めて低く、そのため、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を必ずしも高くすることができない場合があるという問題や、さらには、重合スケールを大きくした場合に、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率が低下してしまうという問題があった。
国際公開第2008/048536号
Rubber Chemistry and Technology 47巻、pp511−596、1975年 "Metathesis Polymerization of Olefins and Polymerization of Alkynes", NATO at ASI Series, Series C:Mathematical and Physical Sciences Vol.506, pp89−102 (Kluwer Academic Publishers)
本発明の目的は、シス比率および分子量の高いシクロペンテン開環重合体を、比較的高い温度条件下(たとえば、20℃以上)で、高収率で製造でき、かつ、重合安定性に優れたシクロペンテン開環重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、シクロペンテンの開環重合を行なう際に、重合触媒として、周期表第6族遷移金属化合物と、特定の有機アルミニウム化合物とを含むものを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、周期表第6族遷移金属化合物(A)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することを特徴とするシクロペンテン開環重合体の製造方法が提供される。
(R3−xAl(OR (1)
(上記一般式(1)中、RおよびR2は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
本発明の製造方法において、前記重合触媒は、エステル類および/またはエーテル類(C)をさらに含むように構成することができる。
本発明の製造方法において、前記シクロペンテンの開環重合を20℃以上の温度条件で行なうように構成することができる。
本発明によれば、シス比率および分子量の高いシクロペンテン開環重合体を、比較的高い温度条件下(たとえば、20℃以上)で、高収率で製造でき、かつ、重合安定性に優れたシクロペンテン開環重合体の製造方法を提供することができる。特に、本発明の製造方法によれば、シクロペンテン開環重合体のシス比率および分子量の高いものとすることができることにより、得られるシクロペンテン開環重合体を低温下において非晶質であり、ガラス転移温度が低く、低温でのゴム特性に優れたものとすることができる。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法は、周期表第6族遷移金属化合物(A)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することを特徴とする。
(R3−xAl(OR (1)
(上記一般式(1)中、RおよびR2は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
まず、本発明で用いる重合触媒について、説明する。本発明で用いる重合触媒は、周期表第6族遷移金属化合物(A)と、上記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含むものである。
(周期表第6族遷移金属化合物(A))
本発明で用いる周期表第6族遷移金属化合物(A)は、周期表(長周期型周期表、以下同じ)第6族遷移金属原子を有する化合物、具体的には、クロム原子、モリブデン原子、またはタングステン原子を有する化合物であり、モリブデン原子を有する化合物、またはタングステン原子を有する化合物が好ましく、特に、シクロペンテンに対する溶解性が高いという観点より、タングステン原子を有する化合物がより好ましい。また、周期表第6族遷移金属化合物(A)としては、周期表第6族遷移金属原子を有する化合物であればよく、特に限定されないが、周期表第6族遷移金属原子のハロゲン化物、アルコラート、アリレート、オキシ化物などが挙げられ、これらのなかでも、重合活性が高いという観点より、ハロゲン化物が好ましい。
このような周期表第6族遷移金属化合物(A)の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリドなどのモリブデン化合物;タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジターシャリブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレートなどのタングステン化合物;が挙げられる。
周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量は、「重合触媒中の第6族遷移金属原子:シクロペンテン」のモル比で、通常1:100〜1:200,000、好ましくは1:200〜1:150,000、より好ましくは1:500〜1:100,000の範囲である。周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られるシクロペンテン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、得られるシクロペンテン開環重合体の耐熱性および耐寒性が低下する場合がある。
(有機アルミニウム化合物(B))
本発明で用いる有機アルミニウム化合物(B)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
(R3−xAl(OR (1)
上記式(1)において、RおよびR2は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基である。
およびR2の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、ナフチル基などのアリール基;などが挙げることができる。なお、RとR2とは、同じであっても、あるいは異なっていてもよいが、本発明においては、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を高くできるという点より、RおよびR2のうち、少なくともR2は、炭素原子が4個以上連続して結合してなるアルキル基であることが好ましく、特に、n−ブチル基、2−メチル−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基であることが好ましい。
また、上記一般式(1)において、xは、0<x<3である。すなわち、上記一般式(1)においては、RとORとの組成比は、それぞれ0<3−x<3、および0<x<3の各範囲において、任意の値をとることができるが、重合活性を高くでき、しかも、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を高くできるという点より、xは、0.5<x<1.5であることが好ましい。
このような上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)は、たとえば、下記一般式(2)に示すように、トリアルキルアルミニウムと、アルコールとの反応によって合成することができる。
(RAl + xROH → (R3−xAl(OR + (RH (2)
なお、上記一般式(1)中、xは、上記一般式(2)に示すように、対応するトリアルキルアルミニウムとアルコールの反応比を規定することによって、任意に制御することが可能である。
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、用いる有機アルミニウム化合物(B)の種類によっても異なるが、周期表第6族遷移金属化合物(A)を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルの割合である。有機アルミニウム化合物(B)の使用量が少なすぎると、重合活性が不十分となる場合があり、多すぎると、開環重合時において、副反応が起こりやすくなる傾向にある。
(エステル類および/またはエーテル類(C))
また、本発明で用いる重合触媒は、周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)に加えて、エステル類および/またはエーテル類(C)をさらに含有していてもよい。エステル類および/またはエーテル類(C)をさらに含有することにより、室温以上における重合活性を向上させることができるとともに、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量を向上させることができる。
このようなエステル類および/またはエーテル類(C)の具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸オクチル、酢酸2−クロロエチル、アセチルアクリル酸メチル、ε−カプロラクトン、グルタル酸ジメチル、σ−ヘイサノラクトン、ジアセトキシエタンなどのエステル類;などが挙げられる。これらのなかでも、その添加効果をより高めることができるという点より、1,4−ジオキサンおよび酢酸エチルが好ましい。これらのエステル類および/またはエーテル類(C)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エステル類および/またはエーテル類(C)の使用量は、用いるエステル類および/またはエーテル類(C)の種類によっても異なるが、周期表第6族遷移金属化合物(A)を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルの割合である。エステル類および/またはエーテル類(C)の使用量が少なすぎると、エステル類および/またはエーテル類(C)の添加効果が得難くなる傾向にあり、多すぎると、重合活性が不十分となるおそれがある。
(シクロペンテン開環重合体の製造方法)
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法は、周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)、ならびに、必要に応じてエステル類および/またはエーテル類(C)を含む重合触媒を用い、これらと、シクロペンテンとを接触させることによりシクロペンテンの開環重合を行なう。
これらを接触させ、開環重合を行なう方法としては特に限定されないが、たとえば、シクロペンテン、ならびに、有機アルミニウム化合物(B)及び必要に応じて用いられるエステル類および/またはエーテル類(C)の存在下に、周期表第6族遷移金属化合物(A)を添加することにより、シクロペンテンの開環重合を行なう方法が挙げられる。あるいは、周期表第6族遷移金属化合物(A)および必要に応じて用いられるエステル類またはエーテル類(C)を予め混合しておき、これにシクロペンテンを添加し、次いで、有機アルミニウム化合物(B)を添加することにより、シクロペンテンの開環重合を行なってもよい。さらには、周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)、ならびに、必要に応じてエステル類および/またはエーテル類(C)を予め混合しておき、これにシクロペンテンを添加することにより、シクロペンテンの開環重合を行なってもよい。
また、本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法においては、重合に用いる単量体としてシクロペンテンのみを用いたシクロペンテンの単独重合のみならず、シクロペンテンと共重合可能なその他の環状オレフィンを用い、共重合可能なその他の環状オレフィンとの共重合であってもよい。ただし、得られるシクロペンテン開環重合体の特性を良好なものとするという観点より、共重合可能なその他の環状オレフィンの共重合比率は、シクロペンテンに対して、20モル%以下であることが好ましく、15%モル以下であることがより好ましく、10%モル以下であることがさらに好ましい。共重合可能なその他の環状オレフィンとしては、シクロペンテン以外のモノ環状オレフィンや多環の環状オレフィンが挙げられる。モノ環状オレフィンとしては、置換基を有していてもよいシクロオクテンやシクロオクタジエンなどが挙げられ、多環の環状オレフィンとしては任意の置換基を有してもよいノルボルネン化合物が例示される。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法において、開環重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行なってもよい。開環重合反応を溶液中で行う際に用いる溶媒としては、重合反応において不活性であり、開環重合に用いるシクロペンテンや共重合可能なその他の環状オレフィン、上述した重合触媒を溶解可能な溶媒であればよく、特に限定されないが、たとえば、炭化水素系溶媒またはハロゲン系溶媒などが挙げられる。炭化水素系溶剤の具体例としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などが挙げられる。また、ハロゲン系溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどのアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン;などが挙げられる。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法においては、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量を調整するために、分子量調整剤として、オレフィン化合物またはジオレフィン化合物を用い、これを重合反応系に添加してもよい。
オレフィン化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;エチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、スチリルトリメトキシシラン等のケイ素含有ビニル化合物;2−ブテン、3−ヘキセン等の二置換オレフィン;等が挙げられる。
ジオレフィン化合物としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等が挙げられる。
なかでも、重合活性が高く、分子量調整に優れる点において、α−オレフィン類またはスチレン類が好ましい。
これらオレフィン化合物およびジオレフィン化合物の添加量は、目的とする分子量に応じて適宜選択すればよいが、重合に用いるシクロペンテン、および共重合可能なその他の環状オレフィンに対して、0.01〜10モル%の範囲とすることが好ましい。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法において、重合温度は、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは0℃以上、特に好ましくは20℃以上である。また、重合温度の上限は特に限定されないが、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満である。本発明の製造方法によれば、重合触媒として、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)を含有するものを用いるため、比較的高温条件である20℃以上の条件、例えば25℃〜50℃でも、得られるシクロペンテンをシス比率が高く、しかも高い分子量を有するものとすることができ、さらには、シクロペンテン開環重合体を高収率で得ることができる。重合温度が高すぎると、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量が低くなりすぎるおそれがあり、重合温度が低すぎると、重合速度が遅くなり、結果として、生産性に劣る場合がある。
また、重合反応時間は、好ましくは1分間〜72時間、より好ましくは10分間〜20時間である。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法においては、周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)、ならびに、必要に応じてエステル類および/またはエーテル類(C)を含む重合触媒と、シクロペンテンとを接触させて開環重合を開始し、重合転化率が所定の値に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えて停止させることにより、シクロペンテン開環重合体を製造することができる。
また、本発明においては、所望により、得られた開環重合体に、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、本発明においては、所望により、伸展油を配合してもよい。
さらに、重合反応を行う際に、溶媒を用い、重合反応を溶液中で行なった場合において、重合体溶液から重合体を取得する方法としては、公知の方法を採用すればよく、特に限定されないが、例えば、スチームストリッピングなどで溶媒を分離した後、固体をろ別し、さらにそれを乾燥して固形状ゴムを取得する方法などが採用できる。
本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、好ましくは10,000〜1,000,000であり、より好ましくは20,000〜900,000であり、さらに好ましくは40,000〜800,000である。分子量がこのような範囲にある場合に、機械物性を良好なものとすることができる。
また、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体は、シス/トランス組成比が、「シス/トランス」の比率で、好ましくは40/60〜100/0であり、より好ましくは45/55〜100/0、さらに好ましくは50/50〜100/0である。シス比率が40%以上であれば、得られるシクロペンテン開環重合体は非晶性となり、低温でのゴム特性に優れるため好ましい。特に、本発明の製造方法においては、重合触媒として、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)を含有するものを用いるため、比較的高温条件である20℃以上の条件で重合反応を行った場合でも、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を40%以上とすることができ、これにより、シクロペンテン開環重合体を非晶性であり、低温でのゴム特性に優れるものとすることができる。加えて、本発明の製造方法は、比較的高温条件である20℃以上の条件で重合反応を行った場合でも、重合バッチおよび重合スケールによらず、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を安定したものとすることができ、重合安定性に優れるものである。
(ゴム組成物)
本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体は、各種配合剤やシクロペンテン開環重合体以外のゴムを添加することにより、ゴム組成物とすることができる。
配合剤としては、特に限定されないが、たとえば、シリカ、カーボンブラックなどの無機粒子が挙げられる。シリカとしては、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、特開昭62−62838号公報に開示されている沈降シリカなどが挙げられる。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、シリカとの密着性を向上させる目的で、ゴム組成物に、さらにシランカップリング剤を配合することが好ましい。
また、カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEFなどが挙げられる。
また、シクロペンテン開環重合体以外のゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン部分の1,2−結合含有量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、低シスBR(ポリブタジエンゴム)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリイソプレン−SBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。なかでも、NR、BR、IR、SBRが好ましく用いられる。これらのゴムは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、ゴム加工分野において通常使用されるその他の配合剤、例えば、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、充填剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体、および該シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム組成物は、低温下において非晶質であり、ガラス転移温度が低く、低温でのゴム特性に優れたものである。そのため、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体、および該シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム組成物は、上記特性を活かし、各種用途、例えばトレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。特に、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤなどのタイヤトレッド用として優れている。また、サイドウォール、アンダートレッド、カーカス、ビート部などの材料としても好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
<分子量>
テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、シクロペンテン開環重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレン換算値として測定した。
<シス/トランス比>
シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比を、13C −NMRスペクトル測定から求めた。
<融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)>
シクロペンテン開環重合体の融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温で測定した。
《参考例1》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、トルエン77部、および25.4重量%のトリイソブチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社製)7.8部を加えた。次いで、−45℃に冷却し、激しく攪拌しながら、n−ブタノール0.74部をゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながら室温になるまで放置し、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)/トルエン溶液(2.5重量%濃度)を調製した。
《参考例2》
n−ブタノール0.74部の代わりに、n−ヘキサノール1.02部を用いた以外は、参考例1と同様にして、ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ヘキソキシド)/トルエン溶液(2.8重量%濃度)を得た。
《参考例3》
n−ブタノール0.74部の代わりに、i−ブタノール0.74部を用いた以外は、参考例1と同様にして、ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)/トルエン溶液(2.5%濃度)を得た。
《参考例4》
n−ブタノール0.74部の代わりに、エタノール0.46部を用いた以外は、参考例1と同様にして、ジイソブチルアルミニウムモノエトキシド/トルエン溶液(2.2重量%濃度)を得た。
《実施例1》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、0.5重量%のWCl/トルエン溶液17部、および参考例1にて調製したジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)/トルエン溶液(2.5重量%濃度)3.8部を加え、15分間攪拌することにより、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)触媒溶液を得た。
次いで、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン150部、および上記にて調製したWCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)触媒溶液20.8部(WCl換算で0.085部、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)換算で0.095部)を添加して、25℃で6時間重合を行なった。そして、耐圧ガラス反応容器に、過剰のイソプロパノールを加えて重合を停止した後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含む大過剰のイソプロパノールに注いだ。そして、沈殿したポリマーを回収し、イソプロパノールで洗浄後、40℃で3日間、真空乾燥することにより、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行なった。結果を表1に示す。
《実施例2》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、0.5重量%のWCl/トルエン溶液17部、および参考例2にて調製したジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液(2.8重量%濃度)3.8部を加え、15分間攪拌することにより、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)触媒溶液20.8部の代わりに、上記にて調製したWCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ヘキソキシド)触媒溶液20.8部(WCl換算で0.085部、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)換算で0.106部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《実施例3》
シクロペンテンの開環重合に際して、シクロペンテン150部およびWCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)触媒溶液20.8部に加えて、分子量調整剤としての1−ヘキセン0.093部をさらに用いた以外は、実施例2と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《実施例4》
シクロペンテンの開環重合に際して、重合温度を40℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《実施例5》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に2.0重量%のWCl/トルエン溶液5部、参考例3で調製したジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)/トルエン溶液(2.5重量%濃度)4.4部を加え、15分間攪拌し、次いで、1,4‐ジオキサン0.045部を加えてWCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)/1,4‐ジオキサン触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ブトキシド)触媒溶液20.8部の代わりに、上記にて調製したWCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)/1,4−ジオキサン触媒溶液9.4部(WCl換算で0.10部、ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)換算で0.11部、1,4−ジオキサン換算で0.045部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《実施例6》
触媒溶液を調製する際に、1,4‐ジオキサン0.045部に代えて、酢酸エチル0.045部を用いて、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)/酢酸エチル触媒溶液を得て、得られた触媒溶液9.4部(WCl換算で0.10部、ジイソブチルアルミニウムモノ(i−ブトキシド)換算で0.11部、酢酸エチル換算で0.045部)を用いた以外は、実施例5と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《実施例7》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に2.0重量%のWCl/トルエン溶液5部、参考例4で調製したジイソブチルアルミニウムモノエトキシド/トルエン溶液(2.2重量%濃度)4.4部を加え、15分間攪拌し、次いで、1,4−ジオキサン0.045部を加えてWCl/ジイソブチルアルミニウムモノエトキシド/1,4−ジオキサン触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ブトキシド)触媒溶液9.4部の代わりに、上記にて調製したWCl/ジイソブチルアルミニウムモノエトキシド/1,4−ジオキサン触媒溶液9.4部(WCl換算で0.10部、ジイソブチルアルミニウムモノエトキシド換算で0.097部、1,4‐ジオキサン換算で0.045部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《比較例1》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、0.5重量%のWCl/トルエン溶液17部、およびジイソブチルアルミノキサン/トルエン溶液(1.0重量%)(東ソー・ファインケム社製)10.1部を加え、15分間攪拌することにより、WCl/ジイソブチルアルミノキサン触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ブトキシド)触媒溶液20.8部の代わりに、上記にて調製したWCl/ジイソブチルアルミノキサン触媒溶液27.1部(WCl換算で0.085部、ジイソブチルアルミノキサン換算で0.10部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《比較例2》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、0.5重量%のWCl/トルエン溶液17部、およびトリイソブチルアルミニウム/トルエン(2.5重量%)3.5部を加え、15分間攪拌することにより、WCl/トリイソブチルアルミニウム触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ブトキシド)触媒溶液20.8部の代わりに、上記にて調製したWCl/トリイソブチルアルミニウム触媒溶液20.5部(WCl換算で0.085部、トリイソブチルアルミニウム換算で0.0875部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
《比較例3》
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、0.5重量%のWCl/トルエン溶液17部、およびトリイソブチルアルミニウム/トルエン(2.5重量%)3.5部を加え、15分間攪拌し、次いで、1,4−ジオキサン0.045部を加えてWCl/トリイソブチルアルミニウム/1,4−ジオキサン触媒溶液を得た。
次いで、WCl/ジイソブチルアルミニウムモノ(n‐ブトキシド)触媒溶液20.8部の代わりに、上記にて調製したWCl/トリイソブチルアルミニウム/1,4−ジオキサン触媒溶液20.5部(WCl換算で0.085部、トリイソブチルアルミニウム換算で0.0875部、1,4−ジオキサン換算で0.045部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体を得た。そして、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011122117
表1より、重合触媒として、周期表第6族遷移金属化合物(A)と本発明所定の有機アルミニウム化合物(B)とを含有するものを用いて得られたシクロペンテン開環重合体は、いずれも重合収率が高く、高分子量であり、シス比率が高いものであった。また、これらシクロペンテン開環重合体は、いずれも融点(Tm)が観測されず、低温下において非晶質であった(実施例1〜7)。
これに対して、重合触媒に含まれる有機アルミニウム化合物として、ジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、シス比率が低く、−13℃に融点(Tm)を有し、低温下において、結晶性を示すものであった(比較例1)。
また、重合触媒に含まれる有機アルミニウム化合物として、トリイソブチルアルミニウムを用いた場合には、低重合収率であるとともに、分子量およびシス比率が低く、それぞれ1℃および4℃に(Tm)を有し、低温下において、結晶性を示すものであった(比較例2,3)。
《実施例8,9》
実施例2と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表2に示す。なお、表2においては、実施例2の結果を「1回目」とし、実施例8,9の結果をそれぞれ「2回目」、「3回目」として示した。
《比較例4,5》
比較例1と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表2に示す。なお、表2においては、比較例1の結果を「1回目」とし、実施例4,5の結果をそれぞれ「2回目」、「3回目」として示した。
Figure 2011122117
表2より、重合触媒として、周期表第6族遷移金属化合物(A)と本発明所定の有機アルミニウム化合物(B)とを含有するものを用いた場合には、3回の重合反応(実施例2,8,9)のいずれにおいても、重合収率、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、シス/トランス比、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)のいずれも、安定したものであり、重合バッチによるバラツキが小さく、重合安定性に優れるものであった(実施例2,8,9)。
これに対して、重合触媒に含まれる有機アルミニウム化合物として、ジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、3回の重合反応(比較例1,4,5)において、重合収率、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、シス/トランス比、および融点(Tm)が大きく変動しており、重合バッチによるバラツキが大きく、重合安定性に劣るものであった(比較例1,4,5)。
《実施例10》
重合スケールを10倍とした以外は、実施例3と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表3に示す。なお、表3においては、実施例3の結果を「1倍スケール」とし、実施例10の結果を「10倍スケール」として示した。
《比較例6》
重合スケールを10倍とした以外は、比較例1と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体について、実施例1と同様に各測定を行った。結果を表3に示す。なお、表3においては、比較例1の結果を「1倍スケール」とし、比較例6の結果を「10倍スケール」として示した。
Figure 2011122117
表3より、重合触媒として、周期表第6族遷移金属化合物(A)と本発明所定の有機アルミニウム化合物(B)とを含有するものを用いた場合には、重合スケールによらず、重合収率、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、シス/トランス比、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)のいずれも、安定したものであり、重合スケールに対する依存性が小さく、重合安定性に優れるものであった(実施例1,10)。
これに対して、重合触媒に含まれる有機アルミニウム化合物として、ジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、重合スケールが1倍から10倍に変化することにより、シス/トランス比、および融点(Tm)が大きく変動しており、重合スケールに対する依存性が大きく、重合安定性に劣るものであった(比較例1,6)。

Claims (3)

  1. 周期表第6族遷移金属化合物(A)と下記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することを特徴とするシクロペンテン開環重合体の製造方法。
    (R3−xAl(OR (1)
    (上記一般式(1)中、RおよびR2は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、xは、0<x<3である。)
  2. 前記重合触媒は、エステル類および/またはエーテル類(C)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシクロペンテン開環重合体の製造方法。
  3. 前記シクロペンテンの開環重合を20℃以上の温度条件で行なうことを特徴とする請求項1または2に記載のシクロペンテン開環重合体の製造方法。
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