JP2011121919A - 脂質吸収抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】食習慣があり安全である植物由来成分を有効成分として、副作用が少なく、長期投与可能な脂質吸収抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】マウスにおける脂質負荷試験において、3−ブテニルグルコシノレート及び2−プロペニルグルコシノレートは80μmol/kg経口投与にて有意に脂質吸収抑制効果を示し、ならびにアルケニルグルコシノレート類を含有する大和マナ熱水抽出物も経口投与にて脂質吸収抑制傾向を示した。
【選択図】なし
【解決手段】マウスにおける脂質負荷試験において、3−ブテニルグルコシノレート及び2−プロペニルグルコシノレートは80μmol/kg経口投与にて有意に脂質吸収抑制効果を示し、ならびにアルケニルグルコシノレート類を含有する大和マナ熱水抽出物も経口投与にて脂質吸収抑制傾向を示した。
【選択図】なし
Description
本発明は、アブラナ科(Brassicaceae)植物由来のグルコシノレート類、特にアルケニルグルコシノレートを有効成分として含有することを特徴とする脂質吸収抑制剤、ならびにそれを配合してなる医薬品および飲食品に関する。
近年、食生活の欧米化に伴い、特に脂肪摂取量の増加によって肥満を始めとする生活習慣病患者が急増していることが指摘されている。肥満は、摂取エネルギーと消費エネルギーのアンバランスを特徴とするエネルギー代謝異常であり、結果として脂肪細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態と定義されている。食事により摂取された脂肪は、腸管内で分解・吸収され、生体内でエネルギーとして蓄積される。しかしながら、脂肪の過剰摂取や消費カロリー不足等により、エネルギーの吸収量が消費量を上回った場合には、生体内の組織や臓器において脂肪の過剰蓄積が起こり、肥満や脂質異常症等の症状が生じる。これらの症状は、動脈硬化、糖尿病、脂質異常症等の生活習慣病の発症にも関与していることが分かっている。そのため、血中脂質濃度を適正なレベルに維持あるいは改善することは、生活習慣病の予防に非常に重要であると考えられている。
また、近年、予防的な観点から、ヒトの健康状態や食品機能を科学的に研究する機能性食品、特にその有効成分の研究が盛んになされている。アブラナ科植物由来のイソチオシアネート化合物およびその配糖体(グルコシノレート)は、抗菌活性、ガン予防効果等様々な生理活性作用にて注目を集めている(非特許文献1)。アブラナ科植物において、グルコシノレートを実質的に含まないわさび含水溶媒抽出物を有効成分とする前駆脂肪細胞の分化抑制作用剤または脂肪分解作用剤に関する開示がある(特許文献1)。一方、マカまたはベンジルグルコシノレートを有効成分とする抗肥満作用および血中脂質低下作用に関する特許出願はあるが(特許文献2)、アルケニルグルコシノレートを有効成分とすることを特徴とする脂質吸収抑制剤に関する開示はない。
Y.Zhangら、プロシーディングス・オブ・ザ・ニュートリ ション・ソサイアティ(Proc Nutr Soc.)、第65巻、68−75頁、2006年
本発明の目的は、植物食品由来で副作用が少なく、持続的かつ予防的な摂取あるいは投与可能な脂質吸収抑制剤、ならびにそれを配合してなる医薬品および飲食品を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく、植物食品由来で安全性が高く、脂質吸収抑制作用を示す物質について鋭意検討した結果、アブラナ科植物由来のグルコシノレート、特にアルケニルグルコシノレートに脂質吸収抑制効果があることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)アルケニルグルコシノレートを有効成分として含有することを特徴とする脂質吸収抑制剤;
(2)前記アルケニルグルコシノレートのアルケニル基が、炭素数3〜7個の直鎖または分枝状のアルケニル基である(1)記載の剤;
(3)前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレート、5−ヘキセニルグルコシノレート、6−へプテニルグルコシノレート、2−メチル−2−プロペニルグルコシノレート、3−メチル−3−ブテニルグルコシノレート、1−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の剤;
(4)前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の剤;
(5)前記アルケニルグルコシノレートが、アブラナ科植物(Brassicaceae)を原料とした、(1)〜(4)のいずれかに記載の剤;
(6)前記アブラナ科植物が、大和マナ(Brassica rapa L.)である(5)記載の剤;
(7)前記アルケニルグルコシノレートを含有するものとして大和マナ抽出物を用いることを特徴とする(1)記載の剤;
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の剤を配合してなる飲食品;
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の剤を配合してなる医薬品;
などに関する。
(1)アルケニルグルコシノレートを有効成分として含有することを特徴とする脂質吸収抑制剤;
(2)前記アルケニルグルコシノレートのアルケニル基が、炭素数3〜7個の直鎖または分枝状のアルケニル基である(1)記載の剤;
(3)前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレート、5−ヘキセニルグルコシノレート、6−へプテニルグルコシノレート、2−メチル−2−プロペニルグルコシノレート、3−メチル−3−ブテニルグルコシノレート、1−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の剤;
(4)前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の剤;
(5)前記アルケニルグルコシノレートが、アブラナ科植物(Brassicaceae)を原料とした、(1)〜(4)のいずれかに記載の剤;
(6)前記アブラナ科植物が、大和マナ(Brassica rapa L.)である(5)記載の剤;
(7)前記アルケニルグルコシノレートを含有するものとして大和マナ抽出物を用いることを特徴とする(1)記載の剤;
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の剤を配合してなる飲食品;
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の剤を配合してなる医薬品;
などに関する。
本発明により、副作用が少なく、経口的に、持続的かつ予防的な摂取あるいは投与可能なアブラナ科(Brassicaceae)植物由来のグルコシノレート類、特にアルケニルアルキルグルコシノレートを有効成分として含有することを特徴とする脂質吸収抑制剤、ならびに肥満抑制剤、さらにそれを配合してなる飲食品および医薬品を提供することができる。
以下において、本発明を詳細に説明する。本発明において、グルコシノレートとは、アブラナ科植物を中心に、植物の葉、茎、根、および種子に広く存在しているカラシ油配糖体(イソチオシアネート配糖体)と呼ばれるもので、下記一般式(1)で示される化合物群である。グルコシノレート類は、アブラナ科植物内在性のミロシナーゼにより対応するイソチオシアネート類に変換される。
[式中、Rは炭素置換基をあらわす]
本発明におけるアルケニルグルコシノレートとは、一般式(1)において、Rで示される炭素置換基がアルケニル基である化合物またはその塩であり、アルケニルグルコシノレートとしては、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレート、5−ヘキセニルグルコシノレート、6−ヘプテニルグルコシノレート、2−メチル−2−プロペニルグルコシノレート、3−メチル−3−ブテニルグルコシノレート、1−ペンテニルグルコシノレートなどが挙げられる。好ましいグルコシノレートとしては、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレートが用いられる。
本発明のアルケニルグルコシノレートは、アブラナ科植物由来のものが利用されるが、そのアブラナ科植物としては、ブロッコリー、タカナ、キャベツ、ハクサイ、大和マナ、小松菜、カリフラワー、カブ、チンゲンサイ、ミズナ、ノザワナなどがある。
以上のようにアルケニルグルコシノレートを含有するアブラナ科植物自体またはその抽出物を有効成分として用いることが出来る。例えば、大和マナ自体を有効成分として用いる場合、採取した大和マナを水洗し必要により凍結乾燥、熱風乾燥あるいは低温乾燥したものを粉砕し粉末状物にしたもの、または、大和マナの細断物あるいは粉末状物を水や有機溶媒、あるいはその混合物にて抽出したもの、あるいはその抽出液を濃縮して得られた濃縮物(エキス)、あるいはその濃縮物を真空乾燥、スプレー乾燥、凍結乾燥をして粉末化したものなどが用いられる。抽出有機溶媒としては、水および水溶性溶媒が用いられる。水溶性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよびイソブタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などが用いられる。これら水溶性溶媒と水は、単独でも2種類以上を混合して用いても良い。
グルコシノレート化合物は、試薬として市販されているものは購入により入手可能であるが、種々の化学合成によっても得られる。例えば、種々の化学的方法によっても得ることができる(Tetrahedron,36,779−783(1980)等)。
かくして得られたアルケニルグルコシノレートは、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルケニルグルコシノレートまたはそれを含有するアブラナ科植物の抽出物は、単独で摂取することは可能であるが、各種飲食品に添加して使用することができる。
かかる飲食品としては、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料等の各種飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む)、そば、うどん、素麺、はるさめ、中華麺、即席麺等の麺類、パン、クッキー、ケーキ、煎餅等の焼き菓子類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート菓子類、プリン、ゼリー、アイスクリーム類等の冷菓類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品類、加工乳、発酵乳等の乳製品類、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品類、みそ、醤油、ソース、たれ等の調味料類、スープ、シチュー、サラダ、漬物類等の各種総菜類その他種々の形態の健康・栄養補助食品、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ形態の食品などが挙げられ、これらを製造するに当り通常用いられる補助的な原料や添加物と共に添加することができる。
このような補助的な原料及び添加物としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
本発明のアルケニルグルコシノレートまたはアブラナ科植物抽出物を飲食品添加物として用いる場合の有効成分の摂取量は、その摂取形態、摂取方法、摂取目的および摂取するヒトの性別や年齢、体重、症状によって異なるが、成人1日当たり好ましくはアルケニルグルコシノレートとして0.0001〜100mg/kg体重、より好ましくは0.01〜1mg/kg体重である。
一方、アルケニルグルコシノレートは、1種あるいは2種以上を組み合わせて、医薬品の素材として用いることができる。本発明の脂質吸収抑制剤は、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができる。本発明の脂質吸収抑制剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
アルケニルグルコシノレートを治療目的あるいは予防的目的の医薬として用いる場合の投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的および投与される患者の年齢、体重、症状によって異なるが、成人1日当たり好ましくは0.001〜2000mg/kg体重であり、より好ましくは0.01〜200mg/kg体重である。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の変更を加えて実施することが出来ることは言うまでもない。
試験サンプルのうち、2−プロペニルグルコシノレート(シニグリン; Sinigrin)は、東京化成工業株式会社から購入したものを使用した。
製造例1 (3−ブテニルグルコシノレート(BUGLS;Gluconapin)の単離・精製)
大和マナの種100gを80℃に熱した1000mLの蒸留水で20分間処理し、ミロシナーゼを失活させた。その後、常温に戻したマナの種を蒸留水ごと、30秒間ホモジナイズし、さらに80℃で1時間加熱した。その後、遠心分離(3100rpm,5min)することで、マナの種の熱水抽出液と残渣を得た。また、残渣には500mlの蒸留水を加え、もう一度、熱水抽出を行い、得られた熱水抽出液も1回目の熱水抽出液と合わせた。続いて、熱水抽出液に1M酢酸亜鉛を30mL添加し、攪拌することでタンパク質を沈殿させ、遠心分離(3100rpm,5min)を行うことで、除タンパクを行った。得られた上清は、陰イオン交換樹脂(DEAE Sephadex A−25)により精製し、0.1MK2SO4溶出画分を得た。この画分を濃縮乾固し、70℃のメタノールで抽出した。その抽出液を−30℃のエタノールに滴下し、エタノール溶液を遠心分離(3100rpm,5min)し、得られた沈殿を凍結乾燥することで、3−ブテニルイソチオシアネート配糖体(3−ブテニルグルコシノレート)を単離した。本品は、黄色不定形粉末として得られ、水に可溶であった。高分解能ESI−MSにより得られた分子イオンピークの値[m/z 372.04285 (M−H)−Δ−0.04mmu]より、分子式がC11H19NO9S2であり、3−ブテニルイソチオシアネート配糖体の分子式と一致した。本品の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルデータを以下に示す。そして、これらのスペクトルの解析から、本品は3−ブテニルイソチオシアネート配糖体であると決定した。
大和マナの種100gを80℃に熱した1000mLの蒸留水で20分間処理し、ミロシナーゼを失活させた。その後、常温に戻したマナの種を蒸留水ごと、30秒間ホモジナイズし、さらに80℃で1時間加熱した。その後、遠心分離(3100rpm,5min)することで、マナの種の熱水抽出液と残渣を得た。また、残渣には500mlの蒸留水を加え、もう一度、熱水抽出を行い、得られた熱水抽出液も1回目の熱水抽出液と合わせた。続いて、熱水抽出液に1M酢酸亜鉛を30mL添加し、攪拌することでタンパク質を沈殿させ、遠心分離(3100rpm,5min)を行うことで、除タンパクを行った。得られた上清は、陰イオン交換樹脂(DEAE Sephadex A−25)により精製し、0.1MK2SO4溶出画分を得た。この画分を濃縮乾固し、70℃のメタノールで抽出した。その抽出液を−30℃のエタノールに滴下し、エタノール溶液を遠心分離(3100rpm,5min)し、得られた沈殿を凍結乾燥することで、3−ブテニルイソチオシアネート配糖体(3−ブテニルグルコシノレート)を単離した。本品は、黄色不定形粉末として得られ、水に可溶であった。高分解能ESI−MSにより得られた分子イオンピークの値[m/z 372.04285 (M−H)−Δ−0.04mmu]より、分子式がC11H19NO9S2であり、3−ブテニルイソチオシアネート配糖体の分子式と一致した。本品の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルデータを以下に示す。そして、これらのスペクトルの解析から、本品は3−ブテニルイソチオシアネート配糖体であると決定した。
1H−NMR(D2O):5.94(1H,m,H10),5.17(1H,dd,J=1.25&17.24Hz,H−11a),5.09(1H,dd,J=1.25&10.50Hz,H−11b),5.04(1H,d,J=9.83Hz,H1),3.90(1H,d,J=12.59Hz,H−6a),3.72(1H,dd,J=5.63&12.59,H−6b),3.57−3.47(4H,m,H2,H3,H4 and H5),2.84(2H,m,CH2−9),2.49(2H,m,CH2−8).
13C−NMR(D2O):166.6(C7),139.6(C10),118.8(C11),84.6(C1),82.9(C5),79.9(C3),74.8(C2),72.0(C4),63.4(C6),36.8 and 35.4(C8 and C9).
13C−NMR(D2O):166.6(C7),139.6(C10),118.8(C11),84.6(C1),82.9(C5),79.9(C3),74.8(C2),72.0(C4),63.4(C6),36.8 and 35.4(C8 and C9).
製造例2 (フェネチルグルコシノレート(PEGLS)の単離・精製)
キバナクレスの種100gを80℃に熱した1000mLの蒸留水で20分間処理し、ミロシナーゼを失活させた。その後、常温に戻した種を蒸留水ごと、30秒間ホモジナイズし、さらに80℃で1時間加熱した。その後、遠心分離(3100rpm,5min)することで、キナバクレスの種の熱水抽出液と残渣を得た。また、残渣には500mlの蒸留水を加え、もう一度、熱水抽出を行い、得られた熱水抽出液も1回目の熱水抽出液と合わせた。続いて、熱水抽出液に1M酢酸亜鉛を30mL添加し、攪拌することでタンパク質を沈殿させ、遠心分離(3100rpm,5min)を行うことで、除タンパクを行った。得られた上清は、陰イオン交換樹脂(DEAE Sephadex A−25)により精製し、0.1MK2SO4溶出画分を得た。この画分を濃縮乾固し、70℃のメタノールで抽出した。その抽出液を−30℃のエタノールに滴下し、エタノール溶液を遠心分離(3100rpm,5min)し、得られた沈殿を凍結乾燥することで、フェネチルグルコシノレート(フェネチルイソチオシアネート配糖体)が黄色不定形粉末として得られた。本品は、高分解能ESI−MSにより得られた分子イオンピークの値[m/z 422.05850 (M−H)−、Δ−0.0mmu]より、分子式がC15H21NO9S2であり、フェネチルグルコシノレートの分子式と一致した。また、1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルデータを以下に示すが、これらのデータは文献値(Fitoterapia,72巻760−764頁2001年)と良く一致した。
キバナクレスの種100gを80℃に熱した1000mLの蒸留水で20分間処理し、ミロシナーゼを失活させた。その後、常温に戻した種を蒸留水ごと、30秒間ホモジナイズし、さらに80℃で1時間加熱した。その後、遠心分離(3100rpm,5min)することで、キナバクレスの種の熱水抽出液と残渣を得た。また、残渣には500mlの蒸留水を加え、もう一度、熱水抽出を行い、得られた熱水抽出液も1回目の熱水抽出液と合わせた。続いて、熱水抽出液に1M酢酸亜鉛を30mL添加し、攪拌することでタンパク質を沈殿させ、遠心分離(3100rpm,5min)を行うことで、除タンパクを行った。得られた上清は、陰イオン交換樹脂(DEAE Sephadex A−25)により精製し、0.1MK2SO4溶出画分を得た。この画分を濃縮乾固し、70℃のメタノールで抽出した。その抽出液を−30℃のエタノールに滴下し、エタノール溶液を遠心分離(3100rpm,5min)し、得られた沈殿を凍結乾燥することで、フェネチルグルコシノレート(フェネチルイソチオシアネート配糖体)が黄色不定形粉末として得られた。本品は、高分解能ESI−MSにより得られた分子イオンピークの値[m/z 422.05850 (M−H)−、Δ−0.0mmu]より、分子式がC15H21NO9S2であり、フェネチルグルコシノレートの分子式と一致した。また、1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルデータを以下に示すが、これらのデータは文献値(Fitoterapia,72巻760−764頁2001年)と良く一致した。
1H−NMR(D2O):7.38(4H,m,H11 and H12),7.31(1H,t,J=7.00Hz,H13),4.89(1H,d,J=9.71Hz,H1),3.84(1H,d,J=12.80Hz,H−6a),3.67(1H,dd,J=5.10&12.80Hz,H−6b),3.47(4H,m,H2,H3,H4 and H5),3.05(4H,m,CH2−8 and CH2−9).
13C−NMR(D2O):166.2(C7),143.4(C10),131.6(C11 and C12),129.5(C13),84.5(C1),82.9(C5),79.9(C3),74.7(C2),71.9(C4),63.4(C6),36.8 and 35.4(C8 and C9).
13C−NMR(D2O):166.2(C7),143.4(C10),131.6(C11 and C12),129.5(C13),84.5(C1),82.9(C5),79.9(C3),74.7(C2),71.9(C4),63.4(C6),36.8 and 35.4(C8 and C9).
製造例3 (大和マナ熱水抽出物の調製)
収穫した大和マナは凍結乾燥し、粉砕、粉末化させた。大和マナ凍結乾燥粉末5gは、80−90℃に熱した200mLの蒸留水で60分間抽出した。その後、常温に戻し、遠心分離(3100rpm,5min)、ろ過することで、大和マナの熱水抽出液を得た。その抽出液を凍結乾燥させることで、大和マナ熱水抽出物を得た。大和マナ熱水抽出物1g中に、3−ブテニルグルコシノレート2.96mg、4−ペンテニルグルコシノレート2.79mg、フェネチルグルコシノレート0.73mgが含まれていた。なお、大和マナ熱水抽出液中のグルコシノレート(GLS)の定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析(Cosmosil5C18−MSII,0.05%入りCH3OH:0.05%TFA=5/995−(20min)−83/917−(30min)−274/726−(5min)−1000/0−(10min)−1000/0,1.0mL/min,235nm)の結果、BUGLSおよびPEGLSを定量した。Pentenyl GLSはBUGLS換算で定量した。
収穫した大和マナは凍結乾燥し、粉砕、粉末化させた。大和マナ凍結乾燥粉末5gは、80−90℃に熱した200mLの蒸留水で60分間抽出した。その後、常温に戻し、遠心分離(3100rpm,5min)、ろ過することで、大和マナの熱水抽出液を得た。その抽出液を凍結乾燥させることで、大和マナ熱水抽出物を得た。大和マナ熱水抽出物1g中に、3−ブテニルグルコシノレート2.96mg、4−ペンテニルグルコシノレート2.79mg、フェネチルグルコシノレート0.73mgが含まれていた。なお、大和マナ熱水抽出液中のグルコシノレート(GLS)の定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析(Cosmosil5C18−MSII,0.05%入りCH3OH:0.05%TFA=5/995−(20min)−83/917−(30min)−274/726−(5min)−1000/0−(10min)−1000/0,1.0mL/min,235nm)の結果、BUGLSおよびPEGLSを定量した。Pentenyl GLSはBUGLS換算で定量した。
製造例4 (4−ペンテニルグルコシノレートの確認)
製造例3で調整した大和マナ熱水抽出液中の未同定グルコシノレートのピークをHPLC(Cosmosil5C18−MSII,0.05%入りCH3OH:0.05%TFA=5/995−(20min)−83/917−(30min)−274/726−(5min)−1000/0−(10min)−1000/0,1.0mL/min,235nm)により分離精製し、LC−MS分析した結果は、m/z 386.05(M−H)−であり、この未同定グルコシノレートは、4−ペンテニルグルコシノレートと同定した。
製造例3で調整した大和マナ熱水抽出液中の未同定グルコシノレートのピークをHPLC(Cosmosil5C18−MSII,0.05%入りCH3OH:0.05%TFA=5/995−(20min)−83/917−(30min)−274/726−(5min)−1000/0−(10min)−1000/0,1.0mL/min,235nm)により分離精製し、LC−MS分析した結果は、m/z 386.05(M−H)−であり、この未同定グルコシノレートは、4−ペンテニルグルコシノレートと同定した。
実施例1 (脂質負荷試験法)
ddYマウス(雄、6週齢)は1週間予備飼育してから、試験に使用した。24時間の絶食後、マウス(各群8匹ずつ)に蒸留水(コントロール群)または試験サンプル溶液(サンプル投与群)を、ゾンデを用いて経口投与後すぐにコーン油(8ml/kg)を経口投与した。血液サンプルは摂取後0、1、2、3、4、5、6、7、8時間まで経時的に尾採血した。血漿は遠心分離により得、トリグリセリド濃度はトリグリセリドEテストワコーキットにより測定した。AUC(Area Under Curve)値は、血漿トリグリセリド濃度の経時的変化のグラフから、総脂質吸収量の指標として算出した。
ddYマウス(雄、6週齢)は1週間予備飼育してから、試験に使用した。24時間の絶食後、マウス(各群8匹ずつ)に蒸留水(コントロール群)または試験サンプル溶液(サンプル投与群)を、ゾンデを用いて経口投与後すぐにコーン油(8ml/kg)を経口投与した。血液サンプルは摂取後0、1、2、3、4、5、6、7、8時間まで経時的に尾採血した。血漿は遠心分離により得、トリグリセリド濃度はトリグリセリドEテストワコーキットにより測定した。AUC(Area Under Curve)値は、血漿トリグリセリド濃度の経時的変化のグラフから、総脂質吸収量の指標として算出した。
試験サンプルとして、3−ブテニルグルコシノレート(BUGLS)、2−プロペニルグルコシノレート(Sinigrin)をそれぞれ80μmol/kgを水20mLに溶解した溶液を使用した場合の0〜8時間の時間毎の血漿トリグリセリド濃度を図1に、8時間の血漿トリグリセリドAUC値を図2に示した。一方、PEGLS80μmol/kg、大和マナ熱水抽出物1g/kg(BUGLS,4−ペンテニルグルコシノレートの総和量は34μmol/kg相当量)を水20mLに溶解した溶液を使用した場合の0〜8時間の時間毎の血漿トリグリセリド濃度を図3に、8時間の血漿トリグリセリドAUC値を図4に示した。
以上の結果、3−ブテニルグルコシノレートおよび2−プロペニルグルコシノレートは、80μmol/kgで有意に脂質吸収抑制作用を示した。一方、3−ブテニルグルコシノレートおよび4−ペンテニルグルコシノレートを含有する大和マナ熱水抽出物(アルケニルグルコシノレートの含有量合計は、34μmol/kgに相当する量)は、脂質吸収抑制傾向を示した。しかし、フェネチルグルコシノレートは、80μmol/kgでも殆ど脂質吸収抑制作用を示さなかった。
本発明により、アルケニルグルコシノレートを有効成分として含有する、副作用が少なく、持続的かつ予防的な摂取あるいは投与可能な脂質吸収抑制剤、ならびにそれを配合してなる医薬品および飲食品を提供することができる。
Claims (9)
- アルケニルグルコシノレートを有効成分として含有することを特徴とする脂質吸収抑制剤。
- 前記アルケニルグルコシノレートのアルケニル基が、炭素数3〜7個の直鎖または分枝状のアルケニル基である請求項1記載の剤。
- 前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレート、5−ヘキセニルグルコシノレート、6−へプテニルグルコシノレート、2−メチル−2−プロペニルグルコシノレート、3−メチル−3−ブテニルグルコシノレート、1−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の剤。
- 前記アルケニルグルコシノレートが、2−プロペニルグルコシノレート、3−ブテニルグルコシノレート、4−ペンテニルグルコシノレートから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の剤。
- 前記アルケニルグルコシノレートが、アブラナ科植物(Brassicaceae)を原料とした、請求項1〜4のいずれか1項記載の剤。
- 前記アブラナ科植物が、大和マナ(Brassica rapa L.)である請求項5記載の剤。
- 前記アルケニルグルコシノレートを含有するものとして大和マナ抽出物を用いることを特徴とする請求項1記載の剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の剤を配合してなる飲食品。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の剤を配合してなる医薬品。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
WO2013035333A1 (ja) * | 2011-09-08 | 2013-03-14 | 株式会社ロッテ | 口腔用組成物 |
JP2016210788A (ja) * | 2016-07-22 | 2016-12-15 | 株式会社ロッテ | 口腔用組成物 |
-
2009
- 2009-12-14 JP JP2009282337A patent/JP2011121919A/ja active Pending
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WO2013035333A1 (ja) * | 2011-09-08 | 2013-03-14 | 株式会社ロッテ | 口腔用組成物 |
JP2013056855A (ja) * | 2011-09-08 | 2013-03-28 | Lotte Co Ltd | 口腔用組成物 |
US10201493B2 (en) | 2011-09-08 | 2019-02-12 | Lotte Co., Ltd. | Method of reducing oral biofilm |
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