JP2011121410A - 水中翼を備えた船舶 - Google Patents

水中翼を備えた船舶 Download PDF

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Abstract

【課題】船体のピッチング動及びローリング動を抑制することと,船首側におけるトリム角θを任意の角度に調節設定することを一つの水中翼によって行なう。
【解決手段】船体1における船底面7より下方の部位に,水平横向きの水中翼6を設けることによって,船体における船首側に上向きの揚力Fを付与するように構成して成る船舶において,前記水中翼6を,前記船体1に対して前後に移動することに加えて,前記船体1に対して左右に移動する。
【選択図】図5

Description

本発明は,船体における船底面より下方の部位に,水平横向きの水中翼を設けて成る船舶に関するものである。
先行技術としての特許文献1,2及び3の各々には,船体における船底面より下方の部位で,且つ,前記船体における重心点よりも船首側の部分に,水平横向きした水中翼を設けて成る船舶が各々記載されている。
特に,前記先行技術のうち特許文献2には,前記のことに加えて,前記水中翼における右側の部分と,左側の部分との両方との各々にフラップを設けて,この両フラップを別々に傾斜動することが記載されている。
これら先行技術は,そのいずれも,前記船体における船首側に,前記水中翼による上向きの揚力にて重心点を中心として持ち上げる方向のモーメントを作用することにより,前記船体における船首側を持ち上げて船首側のトリム角を大きくして,船体における走行抵抗の低減を図るというものである。
特開平06−092285号公報 特開平08−119183号公報 特開2001−130478号公報
一般に,水に浮かんでいる船体は,その船底面に水圧が断続的に当たること,及び,波並びにうねり等に起因し,その重心点を中心にして,船首側におけるトリム角が大きくなったり小さくなったりするように,船首側が上下にピッチング動することに加えて,左舷又は右舷が互いに逆方向に上下動するようにローリング動する。
これに対し,特許文献1及び3に記載の技術は,前記水中翼を,船舶が走り出したときにおける前進位置と,後方への格納位置との間を往復動するものであるものの,前記水中翼を,通常の走行時には前進位置に固定するという構成である。
つまり,前記特許文献1及び3に記載の技術における水中翼は,その迎え角(前記上向きの揚力を得るための角度)及び前後方向の位置が固定されていることにより,一切,前記水中翼による上向きの揚力を増減したり,或いは,船体における船首側を上向きに持ち上げる方向のモーメントを増減したりするものではないから,前記船体における船首側が上下動するピッチング動を抑制することはできないばかりか,前記船首側のトリム角を任意に調節設定することができないという問題がある。
しかも,前記水中翼による上向きの揚力は,船体の速度に比例して増大することに加えて,船首側の船底面に当たる水圧は,船体の速度に比例して増大するものでありながら,前記特許文献1及び3に記載の技術における水中翼は,前記したように,一切,前記水中翼による上向きの揚力を増減したり,或いは,船体における船首側を上向きに持ち上げる方向のモーメントを増減したりするものではないから,船体の速度を高速にしたときに,船首側を持ち上げるときにおけるトリム角度が必要以上に大きくなり過ぎることになって,ピッチング動が増大するばかりか,高速時における船体の安定性が著しく悪化するという問題がある。
一方,前記特許文献2に記載の技術によると,左右のフラップを同時に同じ方向に傾斜動することにより,船体におけるピッチング動を抑制することができるとともに,船首側のトリム角を任意に調節設定することができ,また,前記左右のフラップを別々に相対的に傾斜動することにより,船体の左右へのローリング動を抑制することができる。
しかし,その反面,水中翼の左右にフラップを設ける分だけ構造が複雑になるのであり,しかも,前記水中翼における水中抵抗が大きいという問題があるばかりか,前記水中翼の船体に対する支持と,両フラップの操作とを別々の部材にて行なうという構成であることにより,水中抵抗が一層に増大するとともに,構造がより複雑になり,大型化及び重量のアップを招来するという問題がある。
本発明は,これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「船体における船底面より下方の部位に,水平横向きの水中翼を設けることによって,船体における船首側に上向きの揚力を付与するように構成して成る船舶において,
前記水中翼は,前記船体に対して前後に移動する構成であることに加えて,前記船体に対して左右に移動する構成である。」
ことを特徴としている。
請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記水中翼の前後への移動は,船体における前後方向の長手中心線と実質的に直交するピッチング軸を中心としての回転にて行なう一方,前記水中翼の左右への移動は,前記前後方向の長手中心線と実質的に平行に延びるローリング軸を中心としての回転にて行なう構成である。」
ことを特徴としている。
請求項3は,
「前記請求項2の記載において,前記ピッチング軸及びローリング軸のうち一方の軸は,前記船体に軸支されている一方,他方の軸は,前記一方の軸に軸支されており,この他方の軸に取付けた翼ブラケットに,前記水中翼を取付ける。」
ことを特徴としている。
請求項4は,
「前記請求項3の記載において,前記翼ブラケットに対する前記水中翼の取付け部は,取付け及び分解可能に構成されている。」
ことを特徴としている。
請求項5は,
「前記請求項3又は4の記載において,前記翼ブラケットに対する前記水中翼の取付け部は,前記水中翼に過剰外力が作用したときに当該水中翼が翼ブラケットから外れる構成にされている。」
ことを特徴としている。
請求項1に記載したように,船体の船首側に上向きの揚力を付与するために水中翼を,前記船体に対して前後に移動することにより,船体の重心点から前記水中翼までのモーメント距離が増減し,ひいては,船体における船首側を上向きに持ち上げる方向のモーメントが増減することができる。
そこで,前記水中翼を,船体の船首側におけるトリム角が大きくなったときに後方に移動することで,前記船首側を上向きに持ち上げる方向のモーメントが小さくなって前記トリム角を減少できる一方,前記トリム角が小さくなったときに前方に移動することで,前記船首側を上向きに持ち上げる方向のモーメントが大きくなって前記トリム角を増加できるというように,トリム角の変動を小さい範囲に規制できるから,ピッチング動を確実に抑制することができる。
しかも,前記水中翼を前後方向における適宜位置に移動することで,前記船体の船首側におけるトリム角を,必要以上に大きくなり過ぎることを確実に防止しつつ,任意に調節設定することができる。
これに加え,請求項1に記載したように,前記水中翼を,前記船体に対して左右に移動することにより,この水中翼による上向きの揚力の作用線は,前記船体を前後方向から見たときにおける船体の重心点より左右にずれた(偏心した)位置を通るようになって,前記水中翼による船体に対する上向きの揚力が,船体に,当該船体の重心点を中心としての左右への傾きを修正する復元力として作用することになるから,船体におけるローリング動を確実に抑制することができる。
これにより,前記したピッチング動の抑制,トリム角の調節設定及びローリング動の抑制を,一つの水中翼によって行なうことができるから,前記特許文献2のように水中翼にフラップを設けたもの比べて,構造を著しく簡単にできて,大型化及び重量のアップを回避できるとともに,水中抵抗を大幅に低減できる。
次に,請求項2によると,前記水中翼によるピッチング動の抑制制御及びトリム角の調節設定と,前記水中翼によるローリング動の抑制制御とが,前記水中翼のピッチング軸を中心とする回転と,前記水中翼のローリング軸を中心とする回転によって,別々に,単独で行なうことができるから,二つの抑制制御,つまり,ピッチング動の抑制制御及びローリング動の抑制制御の確実性及び正確性を確保できる。
しかも,前記水中翼を,ピッチング軸を中心としての回転にて前後移動するという構成にしたことにより,前記水中翼において上向きの揚力を得るための迎え角は,当該水中翼の回転による前後移動によって変化し,ひいては,前記水中翼による上向きの揚力は,当該水中翼の回転による前後移動によって大きくなったり小さくなったりするように増減するから,前記水中翼を船体に対して前後動することと相俟って,船首側におけるトリム角を任意に設定することの効果,及びピッチング動を抑制することの効果を一層に助長できる。
また,請求項3によると,一つの水中翼によるピッチング動の抑制制御及びローリング動の抑制制御が,簡単で,且つ,小型の機構で達成できる。
更にまた,請求項4によると,水中翼を,船体の大きさや船速度に応じた最適の形状・寸法にした水中翼に取付け替えすることができる。
特に,請求項5によると,前記水中翼が障害物への接触又は衝突した場合に,この接触又は衝突による破損を,前記水中翼にとどめることができるから,前記船体が,前記水中翼が障害物への接触又は衝突することによる前記船体の損傷を回避できる。
本発明の実施の形態による船舶の側面図である。 図1の図1のII−II視平面図である。 図1のIII −III 視正面図である。 図1及び図2のIV−IV視拡大断面図である。 図4及び図6のV−V視拡大断面図である。 図4のVI−VI視拡大断面図である。 図4及び図5のVII −VII 拡大断面図である。 船体が右又は左に傾くようにローリングした状態を示す図である。 別の実施の形態において図4と同じ箇所の断面図である。
以下,本発明の実施の形態を,図1〜図8の図面について説明する。
これらの図において,符号1は,水面2に浮かんでいる船体を示し,この船体1は,例えば強化合成樹脂(FRP)製で,例えば漁船とかクルーザ等に使用されるもので,運転キャビン3が設けられている。
また,前記船体1における船尾には,当該船体1における船室内に搭載したエンジン4にて回転駆動される推進機(スクリュー)5が設けられているほか,図示しない舵取り装置が設けられている。
符号6は,前記船体1における船底面7よりも適宜深さだけ深い部位に,水平横向きに延びるように配設した水中翼を示している。
この水中翼6は,図1及び図2に示すように,船体1における重心点Gよりも適宜の距離(モーメント距離)(L)だけ前側に位置するとともに,図2(平面図)に示すように,船体1における前後方向の長手中心線8の上に位置している。
更に,前記水中翼6は,前記船体1が白抜き矢印Aで示すように前進することに対して迎え角(α)を有し,前記船体1が白抜き矢印Aで示すように前進するとき,常に,上向きの揚力(F)を得ることができるものであり,この上向きの揚力(F)によって,前記船体1のうち前記重心点Gよりも前側の船首側の部分に,これを持ち上げる方向のモーメント(M)を作用することにより,船首側の水面2に対する上向きのトリム角θを大きくするように構成している。
そして,前記水中翼6は,以下に詳しく説明するように,前記船体1における船室内に設けた作動制御機構9により,図1及び図2に示すように,前記船体1に対して,前記長手中心線8と直交又は略直交,つまり,前記長手中心線8と実質的に直交するピッチング軸線(P)を中心としての回転にて前後に移動されることに加えて,図3に示すように,前記船体1に対して,前記長手中心線8に沿って平行又は略平行,つまり,前記長手中心線8と実質的に平行に延びるローリング軸線(R)を中心としての回転にて左右に移動される構成である。
この場合,前記水中翼6は,その前後への移動に際して,最前側に位置したとき,前記迎え角(α)及び前記重心点(G)からのモーント距離(L)のうちいずれか一方又は両方が最も大きくなって,前記上向きの揚力(F)が最大になり,ひいては,持ち上げる方向のモーメント(M)も最大になるが,前記最前側の位置から後退動することにより,前記迎え角(α)及び前記重心点(G)からのモーメント距離(L)のうちいずれか一方又は両方が次第に小さくなって,前記上向きの揚力(F)が次第に減少し,ひいては,持ち上げる方向のモーメント(M)も次第に減少するという構成になっている。
これにより,前記水中翼6を,図5に実線で示すように,前方に移動した場合には,前記持ち上げる方向のモーメント(M)が増大して,船首側のトリム角(θ)が大きくなる一方,また,前記水中翼6を,図5に一点鎖線で示すように,後方に移動した場合には,前記持ち上げる方向のモーメント(M)が減少して,船首側のトリム角(θ)が小さくなるから,前記水中翼6における前後方向への位置を調節することによって,前記船首側のトリム角(θ)を任意に設定できる。
なお,図示の実施の形態においては,前記水中翼6を,前記図5に一点鎖線で示す位置から更に後方に移動すると,この水中翼6における迎え角(α)がゼロになり,当該水中翼6は揚力を発生しない状態になったのち,迎え角(α)がマイナス側に移行して,当該水中翼6による揚力が下向きになるように構成している。
また,前記水中翼6を,図5に二点鎖線で示すように,船底7に近接する位置まで移動したとき,当該水中翼6は殆ど作用しない状態に格納できるように構成されている。
更にまた,前記船体1のうち前記作動制御機構9が設けられる部分における船底は,図4及び図5に示すように,舟形にした外船底体10と,平板にした内船底板11との二重底に構成されている。
前記作動制御機構9は,図4〜図7に示すように構成されている。
すなわち,この作動制御機構9は,前記船体1における内部の船底板11の上面に配設したボックス体12と,このボックス体12の内部に回転自在に軸支した回転制御体13と,この回転制御体13に回転自在に軸支した前後一対の翼ブラケット14a,14bとで構成されている。
前記水中翼6には,当該水中翼6から前記外船底板10に穿設した開口部15を通って上向きに延びる流線型断面の翼支柱16を一体に設けて,この翼支柱16の上端を,前記前後一対の翼ブラケット14a,14bの下端に,例えば複数本のボルト17にて締結することにより,前記水中翼6を,前記作動制御機構9に対して着脱可能に取付けるように構成している。
この水中翼6の着脱可能な構成により,前記水中翼6は,船体の大きさや船速度に応じた最適の形状・寸法にした水中翼に任意に取付け替えすることができる。
この着脱可能な取付けは,前記ボルト17による締結に代えて,他の手段を採用することができる。
また,前記水中翼6の前記一対の翼ブラケット14a,14bへの着脱可能な取付けに際しては,例えば,その取付け用ボルト17を細径にすることによって,前記水中翼6が障害物への接触又は衝突することによって,前記水中翼6に所定値を越えての外力が作用した場合に,前記ボルト17が切断して,前記水中翼6が一対の翼ブラケット14a,14bから外れるように構成している。
これにより,前記水中翼6が障害物への接触又は衝突した場合に,この接触又は衝突による破損を,前記水中翼6にとどめることができる。
前記作動制御機構9におけるボックス体12は,下面のみを開放した平面視で矩形の箱型であり,前記船体1の内部のうち船底板11の上面に対して着脱可能に取付けられている。
この取付けに際しては,前記内船底板11に穿設した貫通孔の内周を三角縁11aに構成して,この三角縁11aを,前記ボックス体12におけるフランジ部12aと押さえ板18とで,その間にシール用のガスケット19を介挿した状態で複数本のボルトの締結により挟み付けるという構成にしており,これにより,船体1内への水の浸入を阻止するようにしている。
前記作動制御機構9における回転制御体13は,前記ボックス体12の内部に位置して,その中空状の本体20の左右両側から外向きに突出するピッチング軸21,22の各々を,前記ボックス体12のうち前方を向いて左右両側板12b,12cに取付けたベアリングハウス23,24にベアリング軸受け25,26にて回転自在に軸支することにより,前記ピッチング軸線(P),つまり,前記ピッチング軸21,22を中心として回転するように構成されている。
前記回転制御体13における中空状本体20の内部には,図7に示すように,一本のローリング軸27が,前記ローリング軸線(R)と一致するように挿入されており,このローリング軸27は,前後一対のベアリング軸受け28,29にて回転自在に軸支されている。この場合,前記ローリング軸27の軸線は,前記ピッチング軸21,22の軸線を含む平面上に位置している。
また,前記ローリング軸27の両端は,前記回転制御体13における本体20から前向き及び後ろ向きに突出しており,この両突出端27a,27bには,前記一対の翼ブラケット体14a,14bが,スプライン嵌合にて固着されている。
一方,前記両ピッチング軸21,22のうち前方を向いて右側のピッチング軸21の一端は,前記ボックス体12における右側面板12bの外側,つまり,前記船体1における船室内に突出しており,この突出端21aには,ピッチングアーム30の基端部が回転自在に被嵌されている。
前記ピッチングアーム30は,前記ピッチング軸21に対し,その基端部とピッチング軸21との間に設けた安全ピン31にて回転不能に固着されており,このピッチングアーム30の上端は,前記船体1における船室内に設けたピッチング用アクチェータとしての油圧シリンダ32におけるピストンロッド32aに連結されている。
このピッチング用油圧シリンダ32は,そのピストンロッド32aの伸長動にて前記回転制御体13を前記ピッチング軸線(P)の回りに反時計方向に回転することにより,前記水中翼6を,前方向に移動する一方,前記ピストンロッド32aの短縮動にて前記回転制御体13を前記ピッチング軸線(P)の回りに時計方向に回転することにより,前記水中翼6を,後方向に移動するという構成である。
前記ピッチング用油圧シリンダ32による前記水中翼6の前後移動に際して,前記船体1,前記水中翼6及び作動制御機構9等のいずれかを破損させるような過剰の荷重が作用したときに,前記安全ピン31が切断することにより,前記水中翼6は前記ピッチング用油圧シリンダ32から切り離されるように構成されており,これにより前記船体1,前記水中翼6及び作動制御機構9等の損傷を回避するようにしている。
一方,前記両ピッチング軸21,22のうち前方を向いて左側のピッチング軸22は,中空軸に構成され,その内部には,ローリング駆動軸33が回転自在に挿入されており,このローリング駆動軸33の一端に固着した主動傘歯車34を,前記ローリング軸27に固着した従動傘歯車35に噛合することにより,前記ローリング駆動軸33の回転によって前記ローリンク軸27を回転駆動するように構成している。
前記ローリング駆動軸33から前記ローリング軸27への回転伝達に際しては,前記ローリング駆動軸33における主動傘歯車34に,前記ローリング軸27に回転自在に被嵌した第1アイドラ傘歯車36を噛合し,この第1アイドラ傘歯車36に,前記回転制御体13の回転自在に内蔵した第2アイドラ傘歯車37を噛合し,そして,この第2アイドラ傘歯車37を,前記ローリング軸27における従動傘歯車35に噛合するという構成になっている。
これにより,前記ローリング駆動軸33から前記ローリング軸27への回転伝達が,主動傘歯車34から従動傘歯車35を経てローリング軸27に至る経路と,前記主動傘歯車34から第1アイドラ傘歯車36,第2アイドラ傘歯車37及び従動傘歯車35を経てローリング軸27に至る経路との二つの経路になるから,前記各傘歯車34,35,36,37を小型化することができるとともに,耐久性を向上することができる。
また,前記した構成によると,前記各傘歯車34,35,36,37は,同じ平面に配設した前記ピッチング軸21,22,ローリング軸27及びローリング駆動軸33に設けられているから,高さ寸法を低くすることができる。
そして,前記ボックス体12の左側面板12cにおけるベアリングハウス24には,歯車ケース38が取付けられており,この歯車ケース38の内部には,回転体39が回転自在に設けられ,この回転体39には,前記歯車ケース38内から突出する軸端部40を,ピッチング軸線(P)上に一体に備え,この軸端部40には,ローリングアーム41の基端部が回転自在に被嵌されている。
前記ローリングアーム41は,前記回転体39に対し,その基端部と回転体39との間に設けた安全ピン42にて回転不能に固着されており,このローリングアーム41の上端は,前記船体1における船室内に設けたローリング用アクチェータとしての油圧シリンダ43におけるピストンロッド43aに連結されている。
このローリング用油圧シリンダ43は,そのピストンロッド43aの伸長動により,前記回転体39を前記ピッチング軸線(P)の回りに回転し,そのピストンロッド32aの短縮動により,前記回転体39を前記ピッチング軸線(P)の回りに逆方向に回転するという構成である。
また,前記歯車ケース38の内部のうち,前記ローリング用油圧シリンダ43に連結されている前記回転体39と,前記ピッチング軸22及び前記ローリング駆動軸33との間には,前記回転体39から前記ローリング駆動軸33には回転伝達するが,前記ローリング駆動軸33から前記回転体39には回転伝達を遮断した状態で,前記ローリング駆動軸33を前記ピッチング軸22の回転によって逆方向に同じ回転角度だけ回転するように構成した二列構成の遊星歯車機構44が設けられている。
この遊星歯車機構44は,前記回転体39の内周面に一体に設けた第1内歯車45と,前記ローリング駆動軸33の一端にスプライン嵌合した第1外歯車46と,前記歯車ケース38の内部に固着して設けた第2内歯車47と,前記ピッチング軸22の一端に一体に設けた第2外歯車48と,前記ベアリングハウス24及び前記回転体39にて回転自在に軸支したリテーナ49とから成り,前記リテーナ49には,前記第1内歯車45と前記第1外歯車46との両方に噛合する複数個の第1遊星歯車50を設けるとともに,前記第2内歯車47と前記第2外歯車48との両方に噛合する複数個の第2遊星歯車51を設けて成るという構成である。
これにより,前記ローリング用油圧シリンダ43による前記回転体39の正逆回転は,前記第1内歯車45,第1遊星歯車50及び第1外歯車46を介して前記ローリング駆動軸33に伝達され,このローリング駆動軸33における正逆回転が前記各傘歯車34,35,36,37を介して前記ローリング軸27に伝達され,このローリング軸27が,正逆回転するから,このローリング軸27に一対の翼ブラケット14a,14bを介して取付けられている前記水中翼6は,図3及び図4に示すように,前記ローリング軸線(R),つまり,前記ローリング軸27を中心としての回転にて左右に往復して移動される。
ところで,前記遊星歯車機構44を設けない構成にした場合には,前記ローリング用油圧シリンダ43を伸縮作動しない状態,つまり,前記回転体39及びローリング駆動軸33を回転することなく前記ローリング軸27を回転しない状態で,前記ピッチング用油圧シリンダ32のみを伸縮作動することで,前記回転制御体13におけるピッチング軸21,22をピッチング軸線(P)の回りに回転したとき,換言すると,前記水中翼6を前後にのみ移動したときに,前記ローリング軸27が,これに設けた従動傘歯車35が非回転に維持されているローリング駆動軸33における主動傘歯車34に噛合していることに基づいて,前記ピッチング軸21,22の回転に追従して回転するから,前記水中翼6が,その前後動に連動して左右に傾斜動されるという不都合が招来することになる。
これに対して,実施の形態のように前記遊星歯車機構44を設けた場合には,前記回転体39を回転しない状態で,前記回転制御体13を,ピッチング軸21,22によりピッチング軸線(P)の回りに回転したとき,前記ローリング軸27は,ローリング軸線(R)の回りに同じ方向に同じ角度だけ回転する。
これと同時に,この回転制御体13の回転が,前記遊星歯車機構44における第2外歯車48,リテーナ49,第1外歯車46を経て前記ローリング駆動軸33に伝達され,前記ローリング軸駆動33が,前記回転制御体13と同じ方向に同じ回転角度だけ回転されることになるから,前記ローリング軸27と前記ローリング駆動軸33とは,その間における回転の位相差がなくなり,前記水中翼6が,その前後動に連動して左右に移動されるのを回避することができる。
この状態から前記ローリング用油圧シリンダ43を伸縮作動することによって,前記回転体39を,前記ローリング軸線(R)の回りに回転すると,この回転が,第1内歯車45,第1遊星歯車50及び第1外歯車46を経て前記ローリング駆動軸33に伝達され,この回転が,前記回転制御体13の回転による前記ローリング駆動軸33に重ね合わされる。
この結果,前記ローリング軸27は,前記回転制御体13における回転に影響を受けず,前記回転体39の回転に比例して回転されることになる。
これにより,前記ピッチングアーム30及びローリングアーム41の両方を用いて,前記水中翼6における前後の移動と,左右への移動とを別々に独立して行なうことができる。
前記ローリング用油圧シリンダ43による前記水中翼6の左右への移動に際して,前記船体1,前記水中翼6及び作動制御機構9等のいずれかを破損させるような過剰の荷重が作用したときに,前記安全ピン42が切断することにより,前記前記水中翼6は前記ローリング用油圧シリンダ43から切り離されるように構成されており,これにより前記船体1,前記水中翼6及び作動制御機構9等の損傷を回避するようにしている。
この構成において,前記船体1が,その前後方向から見て,左右に傾斜するようにローリング動した場合には,前記水中翼6を,前記船体1に対して,当該船体1におけるローリング動の方向とは逆方向に傾斜するように移動する。
例えば,前記船体1が,図8(A)に実線で示すように,前方を向いて,二点鎖線で示す水平の状態から右側に傾くようにローリング動した場合には,前記水中翼6を,前記船体1に対して,当該船体1における右傾斜のローリング動の方向とは逆の方向,つまり,左方向に移動する。
すると,この水中翼6によって得られる上向きの揚力(F)の作用線は,前記船体1における重心点(G)の右側を通ることになって,前記船体1には,この上向きの揚力(F)が傾きを修正する復元力として作用するから,船体1は,水平に戻される。
また,前記船体1が,図8(B)に実線で示すように,前方を向いて,二点鎖線で示す水平の状態から左側に傾くようにローリング動した場合には,前記水中翼6を,前記船体1に対して,当該船体1における左傾斜のローリング動の方向とは逆の方向,つまり,右方向に移動する。
すると,この水中翼6によって得られる上向きの揚力(F)の作用線は,前記船体1における重心点(G)の左側を通ることになって,前記船体1には,この上向きの揚力(F)が傾きを修正する復元力として作用するから,船体1は,水平に戻される。
すなわち,前記水中翼6を,船体1に対して左右方向に移動することにより,前記船体1における左右へのローリング動を,所定の範囲内に維持するように確実に抑制することができる。
前記図示の実施の形態においては,前記二重底に構成した船底板10,11のうち外船底板10の上面には,当該外船底板10に穿設の開口部15を塞ぐようにした左右一対の蓋プレート78,79を,船体1に対して左右外向きに自在にスライド移動するように配設し,この両蓋プレート78,79は,前記水中翼6が船体1に対して左右に移動しておらず,従って,その翼支柱16が,図4に実線で示すように垂直の状態にあるときには,図示しないばね等にて互いに接近して,前記開口部15を塞いでいるが,前記水中翼6が前記船体1に対して右方向に移動すると,右側蓋プレート78のみがそのばねに抗して,当該水中翼6における翼支柱16と一緒に右外向きに移動し,前記水中翼6が前記船体1に対して左方向に移動すると,左側蓋プレート79のみがそのばねに抗して,当該水中翼6における翼支柱16と一緒に左外向きに移動するという構成にしている。
これにより,前記開口部15における開口面積を,前記両蓋プレート78,79にて,常に,必要最小限にできるので,内外船底板10,11の間への水の巻き込みを少なくできて,前記船体1における抵抗を低減できる。
この場合,前記とは別の実施の形態としては,図9に示すように,前記外船底板10における内面又は外面に,その開口部15を塞ぐように上向き椀型にしたゴム等の軟質弾性板80を密接し,この軟質弾性板80を,前記水中翼6における翼支柱16に,当該翼支柱16と一緒に左右に移動するように取付けるという構成にすることができる。
これによると,前記開口部15を,前記軟質弾性板80にて常に塞いだ状態に維持することができるので,水の巻き込みをより少なくでき,ひいては,前記船体1における抵抗をより低減できる。
1 船体
2 水面
6 水中翼
7 船底面
8 長手中心線
9 作動制御機構
10 外船底板
11 内船底板
12 ボックス体
13 回転制御体
14a,14b 翼ブラケット
15 外船底板の開口部
16 翼支柱
21,22 ピッチング軸
27 ローリング軸
30 ピッチングアーム
32 ピッチング用油圧シリンダ(アクチェータ)
33 ローリング駆動軸
34 主動傘歯車
35 従動傘歯車
36,37 アイドラ傘歯車
39 回転体
41 ローリングアーム
43 ローリング用油圧シリンダ(アクチェータ)
44 遊星歯車機構
78,79 蓋プレート
80 軟質弾性板
G 重心点(船体の)
F 揚力
M モーメント
L モーメント距離
θ トリム角
P ピッチング軸線
R ローリング軸線

Claims (5)

  1. 船体における船底面より下方の部位に,水平横向きの水中翼を設けることによって,船体における船首側に上向きの揚力を付与するように構成して成る船舶において,
    前記水中翼は,前記船体に対して前後に移動する構成であることに加えて,前記船体に対して左右に移動する構成であることを特徴とする水中翼を備えた船舶。
  2. 前記請求項1の記載において,前記水中翼の前後への移動は,船体における前後方向の長手中心線と実質的に直交するピッチング軸を中心としての回転にて行なう一方,前記水中翼の左右への移動は,前記前後方向の長手中心線と実質的に平行に延びるローリング軸を中心としての回転にて行なう構成であることを特徴とする水中翼を備えた船舶。
  3. 前記請求項2の記載において,前記ピッチング軸及びローリング軸のうち一方の軸は,前記船体に軸支されている一方,他方の軸は,前記一方の軸に軸支されており,この他方の軸に取付けた翼ブラケットに,前記水中翼を取付けることを特徴とする水中翼を備えた船舶。
  4. 前記請求項3の記載において,前記翼ブラケットに対する前記水中翼の取付け部は,取付け及び分解可能に構成されていることを特徴とする水中翼を備えた船舶。
  5. 前記請求項3又は4の記載において,前記翼ブラケットに対する前記水中翼の取付け部は,前記水中翼に過剰外力が作用したときに当該水中翼が翼ブラケットから外れる構成にされていることを特徴とする水中翼を備えた船舶。
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