以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係わるMRI装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るMRI装置1の構成を示す図である。図1に示すように、MRI装置1は、撮像機構10と計算機システム30とを有する。撮像機構10は、静磁場磁石11、傾斜磁場電源13、傾斜磁場コイル15、寝台駆動部17、寝台19、送信部21、送信用RFコイル23、受信用RFコイル25、及び受信部27を有する。
静磁場磁石11は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。発生された磁場の均一度が良い空間領域が撮像に利用される。静磁場磁石11としては、例えば、永久磁石や超伝導磁石等が使用される。ここで静磁場磁石11の中心軸をZ軸、鉛直方向の軸をX軸、Z軸とX軸とに直交する軸をY軸に規定する。
傾斜磁場電源13は、計算機システム30内のインタフェース部31を介して撮像制御部33から供給される制御信号に従って、傾斜磁場コイル15に電流を供給する。傾斜磁場電源13は、傾斜磁場コイル15に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル15に傾斜磁場を発生させる。
傾斜磁場コイル15は、静磁場磁石11の内側に取り付けられる。傾斜磁場コイル15は、傾斜磁場電源13から供給された電流に従って傾斜磁場を発生する。傾斜磁場は、磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶことにする)に位置情報を付加するために発生される。具体的には、傾斜磁場は、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場、及びリードアウト用傾斜磁場を含む。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の位相をエンコードするために利用される。リードアウト用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の周波数をエンコードするために利用される。
寝台駆動部17は、寝台19上の天板20を長手方向(Z軸方向)に移動するために寝台19を駆動する。具体的には、寝台駆動部17は、計算機システム30内のインタフェース部31を介して撮像制御部33から供給される制御信号に従って寝台19に駆動信号を供給する。
寝台19は、天板20を長手方向(Z軸方向)や上下方向(X軸方向)に移動可能に支持する。寝台19は、寝台駆動部17からの駆動信号の供給を受けて天板20を移動する。天板20には、被検体Pが載置される。通常、天板20の長手方向が静磁場磁石11の中心軸(Z軸)に平行するように寝台19が設置される。天板20は、静磁場磁石11内側の空洞(ボア)内に挿入される。
送信部21は、被検体P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を送信用RFコイル23を介して被検体Pに送信する。具体的には、送信部21は、送信用RFコイル23を介してインタフェース部31を介して撮像制御部33から供給される制御信号に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)を送信用RFコイル23に供給する。より詳細には、送信部21は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、及び高周波電力増幅部等を内蔵する。発振部は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動するRF信号を発生する。位相選択部は、発生されたRF信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相が選択されたRF信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数が変換されたRF信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅が変調されたRF信号を増幅する。増幅されたRF信号は、送信用RFコイル23に供給される。
送信用RFコイル23は、傾斜磁場コイル15の内周側に配置される。送信用RFコイル23は、送信部21から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。
受信用RFコイル25は、傾斜磁場コイル13の内周側に配置される。受信用RFコイル25は、励起された対象原子核から発生される電磁波を電磁気的に検出し、検出された電磁波のエネルギーに応じたアナログの電気信号を生成する。生成された電気信号はMR信号と呼ばれている。MR信号は、受信部27に供給される。
受信部27は、励起された対象原子核から発生される電磁波のエネルギーに応じたMR信号を受信用RFコイル25を介して受信する。具体的には、受信部27は、インタフェース部31を介して撮像制御部33から供給される制御信号に従って、受信用RFコイル25からのMR信号を受信する。そして受信部27は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を生成する。より詳細には、受信部27は、増幅部、検波部、及びA/D変換部等を内蔵する。増幅部は、受信用RFコイル25からのMR信号を増幅する。検波部は、増幅されたMR信号を検波する。A/D変換部は、検波されたMR信号をA/D変換し、デジタルのMR信号を生成する。
計算機システム30は、インタフェース部31、撮像制御部33、再構成部35、重要関心領域設定部37、接合領域設定部39、画像接合部41、画像処理部43、表示部45、操作部47、記憶部49、及びシステム制御部51を有している。
インタフェース部31は、傾斜磁場電源13、寝台駆動部17、送信部21、及び受信部27に接続される。インタフェース部31は、これら傾斜磁場電源13、寝台駆動部17、送信部21、及び受信部27と計算機システム30との間で送受信される各種信号を計算機システム30に入力したり、計算機システム30から出力したりする。
撮像制御部33は、広領域撮像に関する撮像条件を設定する。広領域撮像とは、天板20を断続的に移動させながら複数の撮像領域をそれぞれ撮像することにより、結果的に個々の撮像領域よりも広い領域を撮像することである。ここで、1回の撮像における撮像領域を単体領域、広領域撮像により撮像される撮像領域を広領域と呼ぶことにする。広領域撮像に関する撮像条件としては、例えば、広領域の位置及びサイズや、単体領域の位置及びサイズが挙げられる。天板20の移動方向に沿って隣り合う単体領域の位置は、隣り合う単体領域の一部分が解剖学的に重複するように設定される。撮像制御部33は、被検体Pを広領域撮像するために、設定された撮像条件に従って傾斜磁場電源13、寝台駆動部17、送信部21、及び受信部27にそれぞれ制御信号を供給する。また撮像制御部33は、広領域撮像の前に、広領域撮像に関する撮像条件を決定するためのプレ撮像を行なう。
再構成部35は、受信部27からインタフェース部31を介して供給されたMR信号を再構成処理してMR画像を生成する。広領域撮像のために生成された単体領域に関するMR画像が単体画像である。隣り合う単体領域に関する単体画像は、解剖学的に略同一な部分に関する画素領域(以下、重複領域と呼ぶことにする)を含む。また、再構成部35は、単体領域の位置情報を単体画像に関連付ける。単体領域の位置情報は、撮像制御部33により供給される。プレ撮像により生成されたMR画像は、広領域撮像に関する撮像条件を設定するために利用される。以下、プレ撮像により生成されたMR画像をスキャンプラン画像と呼ぶことにする。再構成部35は、プレスキャンにおける撮像領域の位置情報をスキャンプラン画像に関連付ける。単体画像やスキャンプラン画像としては、例えば、T1強調画像、T2強調画像、プロトン密度強調画像等のあらゆるMR画像が利用可能である。
重要関心領域設定部37は、ユーザにより操作部47を介してなされた指示又は画像処理に従って、臨床的に重要な関心領域を設定する。以下、臨床的に重要な関心領域を重要関心領域と呼ぶことにする。重要関心領域の位置は、単体画像やスキャンプラン画像、後述する広領域画像等の種々のMR画像上で指定される。
接合領域設定部39は、重複領域のうちの重要関心領域以外の領域(以下、無関心領域と呼ぶことにする)の少なくとも一部分を接合領域に設定する。例えば、接合領域設定部39は、接合対象の単体画像に関連付けられた位置情報に従って、重複領域の範囲を特定する。次に接合領域設定部39は、特定された重複領域の範囲に応じて無関心領域の範囲を特定する。そして接合領域設定部39は、特定された無関心領域の範囲内で接合領域を設定する。
画像接合部41は、接合領域に基づいて複数の単体画像を接合することにより広領域に関する単一の広領域画像を生成する。具体的には、画像接合部41は、接合対象の単体画像に関連付けられた位置情報に従って、単体画像上の接合領域の位置を特定する。そして画像接合部41は、特定された接合領域で複数の単体画像を接合する。典型的には、画像接合部41は、隣り合う単体領域に関する2つの単体画像を接合する。
画像処理部43は、単体画像やスキャンプラン画像、広領域画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理部43は、重要関心領域や無関心領域、接合領域を強調するために単体画像やスキャンプラン画像、広領域画像に画像処理を施す。
表示部45は、単体画像や広領域画像、撮像条件等を表示する。表示部45としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が利用可能である。
操作部47は、ユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。具体的には、操作部47は、広領域のサイズや位置、単体領域のサイズや位置、その他の種々の撮像条件の入力を受付ける。また操作部47は、重要関心領域の位置の入力を受け付ける。操作部47としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切り替えスイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
記憶部49は、複数の単体領域に関する複数の単体画像のデータを記憶する。また、記憶部49は、MR信号や広領域に関する広領域画像のデータを記憶してもよい。
システム制御部51は、MRI装置1の中枢として機能する。システム制御部51は、広領域画像を生成するために、MRI装置1に含まれる各部を制御する。具体的には、システム制御部51は、重要関心領域が接合領域とならないように、単体画像を生成し接合する第1の広領域画像生成処理と、重要関心領域が接合領域とならないように、予め記憶されている単体画像を接合する第2の広領域画像生成処理とを選択的に実行する。
以下、システム制御部51による制御のもとに行なわれる第1の広領域画像生成処理と第2の広領域画像生成処理との動作例について説明する。以下、2つの単体領域に関する2つの単体画像を接合して広領域画像を生成する場合を例に挙げて説明する。また撮像断面はサジタル断面であるものとする。サジタル断面は、XZ面に平行する。
図2は、第1の広領域画像生成処理の典型的な流れを示す図である。第1の広領域画像生成処理は、例えば、ユーザにより操作部47を介して第1の広領域画像生成処理の開始指示がなされることを契機としてシステム制御部51により開始される。
まずシステム制御部51は、撮像制御部33を制御して被検体をプレ撮像し、再構成部35を制御してスキャンプラン画像のデータを生成させる(ステップSA1)。具体的には、まずステップSA1において撮像制御部33は、プレ撮像用の撮像条件で撮像する。プレ撮像は、例えば、重要関心領域を決定するために行なわれる。他には、プレ撮像は、広領域撮像における広領域の位置やサイズ、単体領域の位置やサイズ等の撮像条件を決定するために行なわれる。スキャンプラン画像の画質は重要視されないので、プレ撮像に関する撮像条件は、広領域撮像に関する撮像条件よりも粗く設定される。例えば、プレ撮像における位相エンコード数は、広領域撮像よりも低く設定される。プレ撮像に関する撮像領域は、少なくとも重要関心領域を含むものとする。ステップSA1において再構成部35は、プレ撮像に関するMR信号をフーリエ変換し、サジタル断面に関するスキャンプラン画像のデータを生成する。
スキャンプラン画像のデータが生成されるとシステム制御部51は、重要関心領域設定部37に重要関心領域の設定処理を行なわせる(ステップSA2)。ステップSA2において重要関心領域設定部37は、スキャンプラン画像上において重要関心領域を設定する。重要関心領域の設定方法は、マニュアルで設定する方法と画像処理で自動的に設定する方法とがある。まずは、マニュアルで設定する方法について説明する。
図3は、マニュアルによる重要関心領域R1の設定処理を説明するための図である。まずステップSA2においては、ステップSA1において生成されたスキャンプラン画像I1が表示部45に表示される。スキャンプラン画像I1は、被検体Pの脊柱が描出されたサジタル断面に関する。重要関心領域R1の位置は、スキャンプラン画像I1上で指定される。重要関心領域設定部37は、ユーザによる操作部47を介した指定された位置に重要関心領域R1を設定する。重要関心領域R1は、ユーザにより操作部47を介して任意の位置に設定可能である。例えば、図3の場合、重要関心領域R1は、椎間板に点指定される。点指定されると重要関心領域設定部37は、指定された点を重要関心領域R1に設定する。なお重要関心領域R1の形状は、点のみに限定されない。例えば、重要関心領域設定部37は、指定された点を含むZ軸に沿って一定幅を有する帯状の領域を重要関心領域に設定してもよい。また、重要関心領域R1の位置は、上述の点指定のみに限定されない。例えば、Z軸方向に沿って一定幅を有する帯状の領域で指定されてもよい。
次に画像処理による重要関心領域の設定処理について説明する。図4は、画像処理による重要関心領域R2の設定処理について説明するための図である。図4に示すスキャンプラン画像I2は、図3と同様に被検体Pの脊柱が描出されたサジタル断面に関する。スキャンプラン画像I2が生成されると重要関心領域設定部37は、例えば、重要関心領域設定部37は、特定対象に特化した画像認識処理をスキャンプラン画像I2に施す。例えば、特定対象が椎体の場合、形状に基づく画像認識が利用可能である。画像認識により、重要関心領域R2が自動的に特定される。
なお上述の画像処理による重要関心領域の設定処理においては、画像処理部43による画像処理が施されていないスキャンプラン画像が利用されるとした。しかしながら、上述の設定処理はこれに限定されない。例えば、ステップSA2におけるスキャンプラン画像の他の例としては、画像認識に適した画像処理が画像処理部43により施されたスキャンプラン画像であってもよい。このようなスキャンプラン画像としては、例えば、エッジ強調されたスキャンプラン画像が挙げられる。また血管が特定部位の場合、スキャンプラン画像は、造影前のT1強調画像と造影後のT1強調画像との差分画像(すなわち血管画像)等であってもよい。
重要関心領域が設定されるとシステム制御部51は、接合領域設定部39に接合領域の設定処理を行なわせる(ステップSA3)。ステップSA3において接合領域設定部39は、重要関心領域の位置に応じて接合領域を自動的に設定する。以下、重要関心領域がマニュアルで設定された場合と画像処理で設定された場合とに分けて、接合領域の設定方法を説明する。
図5は、重要関心領域R1がマニュアルで設定された場合における接合領域R3の設定処理について説明するための図である。図5に示すように、接合領域R3は、重要関心領域R1に重ならない位置に設定される。接合領域R3は、Z軸に沿って幅を有する帯状領域であっても、Z軸に沿って幅を有さない線状領域であってもよい。接合領域R3の形状は、ユーザにより操作部47を介して任意に設定可能である。
図6は、重要関心領域R2が画像処理で設定された場合における接合領域R4の設定処理について説明するための図である。図6に示すように、接合領域は、重要関心領域R2に重ならない位置に設定される。図6に示すように、重要関心領域R2が複数ある場合、接合領域R4は、例えば、複数の重関心領域R2の間に設定される。
接合領域が設定されるとシステム制御部51は、撮像制御部33に撮像条件の設定処理を行なわせる(ステップSA4)。ステップSA4において撮像制御部33は、ステップSA2において設定された重要関心領域の位置とステップSA3において設定された接合領域の位置とに基づいて第1撮像に関する撮像条件と第2撮像に関する撮像条件とを設定する。本実施形態に特徴的な撮像条件としては、例えば、広領域の位置及びサイズと単体領域の位置及びサイズとがある。なお広領域や単体領域の位置は、典型的には、広領域や単体領域のZ軸に沿う中心位置により規定されるものとする。
図7は、ステップSA3における撮像条件の設定処理を説明するための図である。広領域の位置とサイズとは、ユーザにより操作部47を介して撮像制御部33により設定される。広領域の位置とサイズとは、広領域が重要関心領域と接合領域R5とを含むように設定される。広領域のサイズは、例えば、Z軸に沿って60cmであるとする。広領域の位置とサイズとが設定されると、第1単体領域と第2単体領域との位置とサイズとが設定される。第1単体領域と第2単体領域との位置とサイズとは、第1単体領域と第2単体領域とのそれぞれが接合領域R5を含むように設定させる。すなわち第1単体領域と第2単体領域との重複領域が接合領域を含むように、第1単体領域と第2単体領域との位置とサイズとは設定される。また、第1単体領域のサイズと第2単体領域のサイズとは、静磁場の不均一性や傾斜磁場の非直線性に起因する画像の乱れが生じないように決定される。例えば、第1単体領域のサイズと第2単体領域のサイズとは、Z軸に沿って45cmであるとする。そしてステップSA3の開始時点においては、天板20はZ=0に位置しているものとする。以下、Z=0を現在位置PPと呼ぶことにする。現在位置PPは、例えば、傾斜磁場に関する磁場中心の位置に一致する。第1単体画像の位置P1は、例えば、現在位置PPからZ軸に沿って+7.5cmの位置に設定される。第2単体画像の位置P2は、例えば、現在位置PPからZ軸に沿って―7.5cmの位置に設定される。すなわち第1単体領域と第2単体領域との重複領域のサイズは、Z軸に沿って30cmとなる。また、撮像制御部33は、設定された第1単体領域と第2単体領域との位置とサイズとに応じて天板移動位置を設定する。
本実施形態に特徴的な他の撮像条件としては、例えば、リードアウト方向(周波数方向)がある。リードアウト方向は、撮像時間の短縮のため、Z軸方向に設定されるとよい。これは、広領域のサイズが単体領域のサイズより大きいことによる。
撮像条件が設定されるとシステム制御部51は、撮像制御部33を制御して第1単体領域を撮像し、再構成部35を制御して第1単体領域に関する第1単体画像を生成させる(ステップSA5)。具体的には、撮像制御部33は、ステップSA3において設定された第1単体領域の位置と天板20の位置とが一致するように、寝台19を制御して天板20を移動させる。そして撮像制御部33は、各部を制御して、ステップSA3において設定された第1単体領域のサイズで被検体Pを撮像する。撮像により生成されたMR信号に基づいて再構成部35は、第1単体画像を再構成する。また、再構成部35は、第1単体画像に第1単体領域の位置情報を関連付ける。第1単体画像のデータは、記憶部49に記憶される。
第1単体領域が撮像されるとシステム制御部51は、撮像制御部33を制御して第2単体領域を撮像し、再構成部35を制御して第2単体領域に関する第2単体画像を生成させる(ステップSA6)。具体的には、撮像制御部33は、ステップSA3において設定された第2単体領域の位置と天板20の位置とが一致するように、寝台19を制御して天板20を移動させる。そして撮像制御部33は、各部を制御して、ステップSA3において設定された第2単体領域のサイズで被検体Pを撮像する。撮像により生成されたMR信号に基づいて再構成部35は、第2単体画像を再構成する。また、再構成部35は、第2単体画像に第2単体領域の位置情報を関連付ける。第2単体画像のデータは、記憶部49に記憶される。
第2単体領域が撮像されるとシステム制御部51は、画像接合部41に接合処理を行なわせる(ステップSA7)。ステップSA7において画像接合部41は、第1単体画像と第2単体画像とを接合領域で接合することにより広領域画像を生成する。具体的には、画像接合部41は、第1単体画像に関連付けられた位置情報に従って第1単体画像内の接合領域の位置を特定する。また、画像接合部41は、第2単体画像に関連付けられた位置情報に従って第2単体画像内の接合領域の位置を特定する。そして画像接合部41は、特定された接合領域で第1単体画像と第2単体画像とを接合する。
図8は、接合処理を説明するための図である。図8に示すように、第1単体領域に関する第1単体画像I3と第2単体領域に関する第2単体画像I4とは、重複領域R6を有している。そして重複領域R6のうちの一部に重要関心領域R7が設定されている。また、重複領域R6のうちの重要関心領域R7以外の領域に接合領域R8が設定されている。画像接合部41は、接合領域R8で第1単体画像I3と第2単体画像I4とを接合し広領域画像I5を生成する。
図9は、接合処理を説明するための他の図である。図9に示すように、画像接合部41は、第1単体画像I3を接合領域R8の端まで切り取り、第2単体画像I4を接合領域R8の端まで切り取る。ここで接合領域R8の端は、接合領域R8の両端のうちの第1単体領域の端側である。換言すれば接合領域R8の端は、接合領域R8の両端のうちの第2単体領域の内側である。そして画像接合部41は、切り取られた第1単体画像I3と第2単体画像I4とを繋ぎ合わせる。すなわち、接合処理に利用される第1単体画像I3のサイズと第2単体画像I4のサイズとは、通常一致しない。例えば、切り取られた第1単体画像I3のサイズは、第1単体領域と同様のサイズであり、切り取られた第2単体画像I4のサイズは、第2単体領域から重複領域R6を除いた領域のサイズとなる。接合(繋ぎ合わせ)の際、例えば、歪み補正が行なわれても良い。
なお接合方法は、上記方法のみに限定されない。例えば、第1単体画像上の接合領域と第2単体画像上の接合領域とを加算平均することにより第1単体画像と第2単体画像とを接合してもよい。
広領域画像が生成されるとシステム制御部51は、表示部45に表示処理を行なわせる(ステップSA8)。ステップSA8において表示部45は、広領域画像を表示する。広領域画像中の重要関心領域は、接合領域に位置していない。重要関心領域が接合領域に重なることに起因する重要関心領域の画質低下は、広領域画像上において発生していない。これに伴いユーザは、重要関心領域を広領域画像上で明瞭に視認できる。
ステップSA8が行なわれると第1の広領域画像生成処理が終了する。
上述の説明においては、単一のスライス(断面)について撮像する方法を例に挙げた。しかしながら、本実施形態は、単一のスライスのみに限定されない。本実施形態は、複数のスライスを撮像する場合、すなわちマルチスライス撮像にも適用可能である。マルチスライス撮像の場合、本実施形態に係る接合領域の設定方法は、大きく分けて2種類ある。第1の設定方法において接合領域設定部39は、上述の方法をスライス一つ一つに適用して複数のスライスのそれぞれに接合領域を設定する。第2の設定方法において接合領域設定部39は、複数のスライスのうちの特定のスライスについて設定された接合領域の位置に基づいて、残りのスライスに関する接合領域を設定する。
図10は、第2の設定方法について説明するための図である。図10に示すように、4枚のスライス、すなわちスライス71、スライス72、スライス73、スライス74を撮像する場合を例に挙げて説明する。スライス71〜74は、サジタル断面をY軸方向に傾けた、互いに平行なオブリーク断面であるとする。また、上述の方法によりスライス72に接合領域82が設定されたとする。この場合、まず接合領域設定部39は、接合領域82を通るスライス72の法線Nを計算する。法線Nが計算されると接合領域設定部39は、法線Nとスライス71とが交わる位置、法線Nとスライス73とが交わる位置、法線Nとスライス74とが交わる位置を計算する。そして接合領域設定部39は、法線Nとスライス71とが交わる位置をスライス71に関する接合領域81、法線Nとスライス73とが交わる位置をスライス73に関する接合領域83、法線Nとスライス74とが交わる位置をスライス74に関する接合領域84に設定する。このようにして接合領域設定部39は、複数のスライスのそれぞれに接合領域を設定する。
次にシステム制御部51による制御のもとに行なわれる第2の広領域画像生成処理について説明する。図11は、第2の広領域画像生成処理の典型的な流れを示す図である。第2の広領域画像生成処理は、例えば、ユーザにより操作部47を介して第2の広領域画像生成処理の開始指示がなされることを契機としてシステム制御部51により開始される。なお第2の広領域画像生成処理の開始以前において第1単体画像と第2単体画像とが生成され記憶部49に記憶されているものとする。第1単体画像と第2単体画像とは、解剖学的に略同一な重複領域を有しているものとする。
まずシステム制御部51は、重要関心領域設定部37に重要関心領域の設定処理を行なわせる(ステップSB1)。ステップSB1において重要関心領域設定部37は、種々のMR画像上にユーザにより操作部47を介して又は画像処理により重要関心領域を設定する。具体的には、まずステップSB1においてMR画像が表示部45に表示される。表示されるMR画像としては、例えば、第1単体領域に関するスキャンプラン画像と第2単体領域に関するスキャンプラン画像とを簡便に接合(すなわち、従来において一般的に行なわれている画像接合)して生成されたMR画像が用いられる。また、ステップSB1において表示されるMR画像は、広領域画像であってもよい。重要関心領域の設定方法は、ステップSA2と同様である。
重要関心領域が設定されるとシステム制御部51は、接合領域設定部39に接合領域の設定処理を行なわせる(ステップSB2)。ステップSB2において接合領域設定部39は、重複領域上の無関心領域の少なくとも一部分に接合領域を自動的に設定する。接合領域の設定方法は、ステップSA3と同様である。
接合領域が設定されるとシステム制御部51は、画像接合部41に接合処理を行なわせる(ステップSB3)。ステップSB3において画像接合部41は、重要関心領域と接合領域とを含む第1単体画像と第2単体画像とを記憶部49から読み出す。画像接合部41は、読み出された第1単体画像と第2単体画像とを接合領域で接合し、広領域画像を生成する。接合方法は、ステップSA7と同様である。
広領域画像が生成されるとシステム制御部51は、表示部45に表示処理を行なわせる(ステップSB4)。ステップSB4において表示部45は、広領域画像を表示する。
ステップSB4が行なわれると第2の広領域画像生成処理が終了する。
第2の広領域画像生成処理は、予め生成された単体画像に基づいて広領域画像を生成する。すなわち第2の広領域画像生成処理を利用すれば、重複範囲内で接合領域の位置を変更することにより、広領域画像を何度でも生成し直すことができる。
上述のように本実施形態に係るMRI装置1は、重複領域のうちの重要関心領域をユーザからの指示又は画像処理により設定する。重要関心領域が設定されるとMRI装置1は、重複領域のうちの重要関心領域以外の領域を接合領域に設定する。そしてMRI装置1は、第1単体画像と第2単体画像とを接合領域で接合して広領域画像を生成する。従って重要関心領域が接合領域に重なることに起因する重要関心領域の画質低下は、広領域画像上において発生していない。これに伴いユーザは、重要関心領域を広領域画像上で明瞭に視認できる。軸長(Z軸に沿う長さ)の短い静磁場磁石が搭載されている場合等、Z軸に沿う磁場均一性が良好でない場合に本実施形態は特に有効である。
(変形例)
本実施形態において接合領域は、重要関心領域の設定後に設定されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の変形例においては、ユーザにより操作部47を介して接合領域が設定される。以下、変形例に係るMRI装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図12は、変形例に係るMRI装置2の構成を示す図である。図12に示すように、MRI装置2は、撮像機構10と計算機システム60とを有する。計算機システム60は、インタフェース部31、撮像制御部33、再構成部35、接合領域設定部53、画像接合部41、画像処理部43、表示部45、操作部47、記憶部49、及びシステム制御部51を有する。
以下、接合領域設定部53による接合領域の設定処理について説明する。
図13は、変形例に係る接合領域の設定処理について説明するための図である。図13に示すように、接合領域の設定処理においてスキャンプラン画像I6が表示部45に表示される。スキャンプラン画像I6は、サジタル断面に関する。また、スキャンプラン画像I6は、広領域に関する。スキャンプラン画像I6が表示されるとユーザは、操作部47を介して接合領域R9の位置を指定する。接合領域設定部53は、ユーザにより操作部47を介して指定された位置に接合領域R9を設定する。接合領域R9は、重複領域上に設定される。また接合領域は、典型的には、重複領域上であって、臨床的に関心がない領域に設定される。
上述のように変形例に係るMRI装置2は、重要関心領域を設定することなく、直接的に接合領域を設定する。従ってMRI装置2は、重要関心領域の設定に関する手間や処理時間を削減できる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。