JP2011119411A - 有機電界発光素子および表示装置 - Google Patents

有機電界発光素子および表示装置 Download PDF

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明史 中村
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Abstract

【課題】発光効率が高く、かつ信頼性の向上した有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】少なくともアルミニウムを含む陽極11と、陰極31との間に発光層23を含む有機層20を備えている。有機層20は、陽極11と発光層23との間に、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層21を有している。正孔注入層21がスルホン酸誘導体により構成されていることにより、正孔注入性が向上し、陽極11からの正孔が発光層23へ効率よく輸送される。
【選択図】図1

Description

本発明は、カラーディスプレイなどに用いられる有機電界発光素子およびそれを用いた表示装置に関する。
近年、ディスプレイ、バッテリ、トランジスタあるいは記録デバイスなどに、有機物質を薄膜化して用いる有機電界発光(有機EL)、有機太陽電池、有機トランジスタあるいは有機メモリなどに関する技術、いわゆる有機エレクトロニクスが脚光を浴びている。
この中でも、有機ELに関しては、次世代のディスプレイ技術として注目を集めている。具体的には、1987年にイーストマン・コダック社のタンらにより、低電圧駆動および高輝度発光が可能な有機電界発光素子が発表された。この有機電界発光素子は、陽極および陰極の間に有機層を備え、その有機層が正孔輸送層、発光層および電子輸送層などを含む積層構造を有している。
それ以来、有機電界発光素子についての研究開発が盛んになされているが、長寿命が要求されるディスプレイに用いるものとしては、発光寿命が短く、十分な寿命特性が得られていなかった。そこで、寿命特性の向上を目的として、有機層に用いられる有機材料(有機EL材料)、特に正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料について検討されている。具体的には、正孔輸送材料として、カルバゾール誘導体を用いる技術が提案されている。
このような有機EL材料の研究により、携帯電話用あるいはMP3プレーヤ用のディスプレイやカムコーダ用ビューファインダなどのディスプレイとしての使用には、十分な寿命特性が確保できるようになった。これによって、車載オーディオ用途あるいはモバイル機器用途のディスプレイとして商品化が進められているが、CRTや液晶ディスプレイなどのテレビ用のディスプレイとしての表示寿命までには至っていない。このため、さらに寿命特性を向上させ、CRTやプラズマディスプレイあるいは液晶ディスプレイに代わるホームユースの表示装置に用いられる有機電界発光素子の開発が進められている。
この表示装置に用いられる有機電界発光素子としては、上面発光型の有機電界発光素子が知られている。具体的には、例えば、図4に示したように、上面発光型の有機電界発光素子101は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)などの駆動回路を有する駆動基板102上に、光反射性の陽極103、有機層104および光透過性の陰極105がこの順で積層された構成を有している。有機層104は、陽極103側から順に、正孔輸送層104A、発光層104Bおよび電子輸送層104Cを有している。これにより、駆動基板102の反対側(陰極105側)から発光光を取り出せるため、発光部の開口率を向上させるうえで有利となる。この開口率の向上によって、有機層104に印加する電流密度を低く抑えても、十分な発光輝度が得られるため、寿命特性の向上に繋がることになる。
このような上面発光型の有機電界発光素子における陽極は、陰極側から発光光を効率的に取り出すために、反射率の高い材料により構成されている。この材料としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。しかしながら、アルミニウムは、仕事関数が比較的小さいため、有機層に対して十分に正孔を注入することが難しく、良好な発光効率が得られにくい。そこで、このことを補うために、副成分金属として、銅、パラジウム、金あるいはニッケルなどの仕事関数が高い金属を20〜30%含むアルミニウム合金を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、陽極の材料としては、アルミニウムを主成分とし、副成分金属としてパラジウムなどよりも安価であると共にアルミニウムの仕事関数よりも相対的に低いネオジム等を用いることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合には、陽極上に設けられた正孔注入層の材料として、アザトリフェニレンやトリフェニレンの誘導体が用いられている。ところが、これらの正孔注入性の材料は、結晶性が強いため、微結晶薄膜になりやすく、これにより剥離、水分の浸入が生じ、長時間駆動するとダークスポットが成長しやすくなり、信頼性に問題があった。
ところで、有機層を構成する各層は、通常、真空蒸着法などの気相法により成膜されている。この場合、例えば、陽極上に異物が存在すると、その異物の上に有機層が成膜されるため、陽極上に被覆されない箇所(非被覆部)が生じる。そして、その非被覆部が生じた状態で有機層の上に、陰極を設けると、非被覆部において陽極と陰極とが短絡し、その短絡が生じた画素において発光しないことになる。これによっても、信頼性が低下しやすいという問題がある。
そこで、これらの問題を解決するために、正孔注入層として、アニリン誘導体に電子受容物質をドーピングした混合層を、塗布法により形成することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−234193号公報 特開2006−079836号公報 特開2002−151272号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、塗布条件および塗布後の焼成条件等によっては、陽極からの正孔注入性に大きく影響する電子受容性物質が、膜中において凝集して偏在することにより、発光効率が低下しやすいという問題があった。また、正孔注入層において、2種類以上の混合物が用いられているため、均質な組成を保つことが難しいという問題もあった。これらのことから、さらに発光効率および信頼性の高い有機電界発光素子が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光効率が高く、かつ信頼性の向上した有機電界発光素子および表示装置を提供することにある。
本発明の有機電界発光素子は、少なくともアルミニウム(Al)を含む陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に、発光層を含む有機層とを備え、有機層は、陽極と発光層との間に、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層を有するものである。また、本発明の表示装置は、本発明の有機電界発光素子を備えたものである。
ここで、スルホン酸誘導体は、構造中に1あるいは2以上のスルホン酸基を有する化合物であるが、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層には、正孔注入層中にスルホン酸誘導体以外のものを含むことを排除するものではない。例えば、スルホン酸誘導体の合成時に用いる溶媒あるいはその溶媒に含まれる不純物や、正孔注入層あるいはそれ以外の有機層を形成する際に混入する不純物や水などが正孔注入層中に含まれていることを否定するものではない。
本発明の有機電界発光素子および表示装置では、陽極と発光層との間にスルホン酸誘導体からなる正孔注入層を有している。これにより、少なくともアルミニウムを含む陽極から発光層への良好な正孔注入性が得られるため、有機層に対して電界を印加すると、発光層が印加された電流に対して効率よく発光する。その上、正孔注入層がスルホン酸誘導体の他に、他の化合物を含む場合やスルホン酸誘導体以外の化合物により構成されている場合と比較して、製造時の環境に左右されることなく、均質性の高い正孔注入層が得られるため、良好な正孔注入性を長期間維持できる。
本発明の有機電界発光素子または表示装置によれば、少なくともアルミニウムを含む陽極と発光層との間にスルホン酸誘導体からなる正孔注入層を有するようにしたので、発光層への良好な正孔注入性が得られることにより、高い発光効率を得ることができる。その上、均質性の高い正孔注入層が得られるため、長時間駆動しても発光強度が維持され、寿命特性等の信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る有機電界発光素子の断面構成を表す模式図である。 図1に示した有機電界発光素子を備えた表示装置の断面構成を表す模式図である。 実験例における正孔注入層の厚さと駆動電圧との関係を表す特性図である。 従来の有機電界発光素子の構成を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明する順序は以下の通りである。
1.有機電界発光素子(上面発光型の例)
2.表示装置(有機電界発光素子の使用例)
3.変形例
[1.有機電界発光素子(上面発光型の例)]
図1は、本発明の一実施の形態に係る有機電界発光素子1の断面構成を表している。有機電界発光素子1(有機EL素子)は、例えばカラーディスプレイなどの表示装置に用いられるものであり、基板10上に、陽極11、有機層20および陰極31をこの順で備えている。また、有機層20は、陽極11側から順に、正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23および電子輸送層24を積層した構造を有している。ここでは、発光層23から発せられる光(以下、発光光という)が陰極31側から取り出される上面発光型について説明する。
基板10は、例えば、ガラスなどの透明基板や、シリコン基板や、フィルム状のフレキシブル基板などを含んで構成されている。また、基板10は、複数の有機電界発光素子1を用いた表示装置において駆動方式がアクティブマトリックス方式である場合には、画素ごとにTFTなどの駆動回路が設けられたものなどでもよい。この場合の基板10には、画素ごとに、陽極11がマトリックス状に設けられており、これによりアクティブマトリックス方式の表示装置では、各画素が独立して駆動する。
陽極11は、発光層23に電界を印加する一方の電極であり、可視光を反射できるように形成されている。陽極11は、可視光の実質的全波長成分を反射できるように形成されていることが好ましい。発光効率が向上するからである。陽極11は、少なくともアルミニウムを含んで構成されている。アルミニウムは、反射率が高いうえに、比較的安価であるため、陽極11がアルミニウムを含むことにより、発光効率が向上すると共に、製造コストが低く抑えられるからである。陽極11を構成する材料としては、例えば、アルミニウムを主成分として含み、かつ副成分としてアルミニウムよりも相対的に仕事関数が低い元素を含む合金(以下、アルミニウム合金という)が好ましい。陽極11の安定性が向上すると共に十分な正孔注入性が得られるからである。アルミニウム合金が含む副成分としては、中でも、ランタノイド系列元素が好ましい。ランタノイド系列元素の仕事関数は高くはないが、陽極11がランタノイド系列元素を含むアルミニウム合金により構成されることにより、十分な正孔注入性が得られると共に安定性がより向上するからである。また、アルミニウム合金は、副成分として、ランタノイド系列元素の他に、ケイ素や銅などを含んでいてもよい。アルミニウム合金に含まれる副成分元素の含有量は、10重量%以下であることが好ましい。これにより、陽極11では、良好な反射率が得られ、導電性も高くなり、さらに基板10との密着性も向上する。更に、有機電界発光素子1を製造する際に、アルミニウム合金の反射率が良好かつ安定的に維持される共に、高い加工精度および化学的安定性が得られる。
また、陽極11は、その構成材料として上記のアルミニウム合金を用いる場合には、例えば、複数の層により形成されていてもよい。具体的には、このアルミニウム合金を含む層を第1層とし、有機層20側に優れた光透過性を有する第2層を設けた2層構造としてもよい。この優れた光透過性を有する第2層を構成する材料としては、上記のアルミニウム合金の酸化物、タングステンの酸化物、モリブデンの酸化物、ジルコニウムの酸化物、クロムの酸化物、タンタルの酸化物、バナジウムの酸化物、スズの酸化物、亜鉛の酸化物、ITOあるいはIZOなどが挙げられる。中でも、アルミニウム合金の酸化物は、アルミニウム合金を含む第1層を形成したのちに、超高真空中に保持していなければ、その第1層の表面が酸化されて自然に形成される。このため、真空蒸着法やスパッタ法などの成膜工程を行わなくてもよいことから好ましい。また、アルミニウム合金を含む層を第1層とし、この第1層と基板10との間に、陽極11と基板10との密着性を向上させるために、導電性を有する第2層を形成してもよい。この導電性を有する第2層を構成する材料としては、例えば、ITOやIZOなどの透明導電性材料などが挙げられる。なお、陽極11では、上記で説明した2層構造の双方を併せて有していてもよい。すなわち、基板10との密着性を向上させるための導電性を有する層と、その上に設けられた上記したアルミニウム合金を含む層と、その上に設けられた優れた光透過性を有する層とを備えた3層構造としてもよい。
なお、陽極11の主成分は、アルミニウムに限らず、例えば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタルあるいはニオブ、またはこれらのうちの1種あるいは2種以上を含む合金や、それらの酸化物などでもよい。その他に、陽極11の主成分は、酸化スズ、ITO、酸化亜鉛あるいは酸化チタンなどでもよい。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併せて用いてもよい。
有機層20が備えた正孔注入層21は、陽極11において生じた正孔を正孔輸送層22に効率よく注入するためのものである。正孔注入層21は、1種あるいは2種以上のスルホン酸誘導体により構成され、スルホン酸誘導体は、電子受容性を有している。これにより、正孔注入層21が正孔輸送層22の側から電子を受容して陽極11へ輸送することによって、陽極11からの正孔をより効率よく正孔輸送層22に注入できる。すなわち、スルホン酸誘導体が電子受容性物質として作用することにより、陽極11から発光層23への正孔注入性が向上するため、駆動電圧が低く抑えられ、高い発光効率が得られると共に、寿命特性を向上させることができる。更に、正孔注入層21がスルホン酸誘導体のみから構成されることにより、製造時の環境に左右されることなく、正孔注入層21の均質性が向上するため、ダークスポットの発生や長時間の駆動によるダークスポットの成長が抑制されるうえに、陽極11との密着性も高いため、信頼性が向上する。なお、正孔注入層21には、上記の特性(効果)に影響しなければ、スルホン酸誘導体の他に、不純物や水が含まれていてもよい。正孔注入層21中における不純物等の含有量は、例えば2重量%程度である。
スルホン酸誘導体は、1あるいは2以上のスルホン酸基を有する化合物であれば任意であるが、例えば、式(1)で表される化合物が挙げられる。優れた正孔注入性が得られるからである。式(1)に示したもののうちの1種を単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、他のスルホン酸誘導体と併せて用いてもよい。
Figure 2011119411
(B1は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環もしくは複素環を有する3価の基である。R1およびR2は、カルボキシル基あるいは水酸基である。)
式(1)に示した化合物は、水酸基あるいはカルボキシル基を有するスルホン酸化合物である。式(1)中で説明したB1は、上記のようにベンゼン環等を有していれば、ベンゼン環等にさらに置換基が導入されていてもよい。ベンゼン環等に導入される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、あるいはスルホン酸基などが挙げられる。B1に結合したスルホン酸基は、B1に含まれるベンゼン環等を構成する炭素原子と結合してもよいし、ベンゼン環等に導入された置換基と結合してもよいが、ベンゼン環等を構成する炭素原子と結合していることが好ましい。高い正孔注入性が得られるからである。このことは、B1に結合するR1およびR2についても同様である。R1およびR2は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。
式(1)に示した化合物の具体例としては、式(1−1)で表される化合物(5−スルホサリチル酸)あるいは式(1−2)で表される化合物(4−スルホフタル酸)などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。ただし、式(1)に示した化合物は、以下の化合物に限定されない。
Figure 2011119411
また、スルホン酸誘導体としては、例えば、式(2)で表される化合物、式(3)で表される構造部を有する化合物、あるいは式(4)で表される構造部を有する高分子化合物などが挙げられる。優れた正孔注入性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、他のスルホン酸誘導体と併せて用いてもよい。
Figure 2011119411
(Z1は、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。B2は、ナフタレン環もしくはアントラセン環を有する(n1 +1)価の基である。R3は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)で表される構造部を有する基、式(6)で表される構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数はaである。aは1以上の整数である。n1 は1以上4以下の整数である。)
Figure 2011119411
(Z2は、各々独立して、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。B3は、ナフタレン環もしくはアントラセン環を有する(n2 +2)価の基である。R4は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体である。bは1以上の整数である。n2 は1以上4以下の整数である。)
Figure 2011119411
(iは1以上の整数である。)
Figure 2011119411
(Z3およびZ4は、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基(−S(=O)−)あるいはスルホニル基(−S(=O)2−)、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基である。)
式(2)に示した化合物は、ナフタレン環あるいはアントラセン環と1あるいは2以上のスルホン酸基とを有する化合物である。式(2)中で説明したZ1について、酸素原子は−O−(オキソ基あるいはエーテル結合)、硫黄原子は−S−(チオ基あるいはチオエーテル結合)を表している。このことは、以降においても同様である。また、式(2)中で説明したB2は、ナフタレン環等を有していれば、ナフタレン環等にさらに置換基が導入されていてもよい。ナフタレン環等に導入される置換基としては、例えば、ハロゲン原子あるいは炭化水素基などが挙げられる。このため、B2に結合するZ1およびスルホン酸基は、B2に含まれるナフタレン環等を構成する炭素原子と結合してもよいし、ナフタレン環等に導入された置換基と結合してもよいが、ナフタレン環等を構成する炭素原子と結合していることが好ましい。高い正孔注入性が得られるからである。また、式(2)中で説明したR3の詳細は以下の通りである。炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、脂環式あるいは芳香族環などの環状構造を含んでいてもよい。中でも、炭化水素基は、芳香族環を含むことが好ましい。高い正孔注入性が得られるからである。炭化水素基等(炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基および式(6)に示した構造部を有する基)の誘導体は、炭化水素基等に含まれる水素原子のうちの1または2以上が他の原子あるいは原子団により置換された基であり、すなわち炭化水素基等に置換基が導入された基である。その置換基は、炭化水素基やハロゲン原子やスルホン酸基でもよいし、それ以外の基でもよい。この誘導体の意味することは以降においても同様である。
式(5)中で説明したZ3および式(6)中で説明したZ4について、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基は、それらの原子あるいはP(=O)基を含んでいれば、その他に水素原子やハロゲン原子や置換基を有していてもよい。
式(3)に示した構造部を有する化合物は、その繰り返し単位の中にナフタレン環あるいはアントラセン環と1あるいは2以上のスルホン酸基とを有する化合物である。式(3)中で説明したZ2は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。Z2のその他の詳細は式(2)中のZ1と同様である。また、式(3)中で説明したB3に関する詳細は、式(2)中のB2と同様であると共に、式(3)中で説明したR4に関する詳細は式(2)中のR3と同様である。
式(4)に示した構造部を有する高分子化合物は、スチレンスルホン酸誘導体である。式(4)中に説明したiは、例えばスチレンスルホン酸誘導体の重合度を表し、1以上であれば任意であるが、1000程度が好ましい。高い正孔注入性が得られると共に、塗布法により容易に正孔注入層21が形成されるからである。なお、i=1000程度とは、iが1000以上のものと、iが1000より小さいものとが混合されている状態を表し、iの平均が1000程度であることを表している。
式(2)に示した化合物の具体例としては、式(2−1)あるいは式(2−2)で表される化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。また、式(3)に示した構造部を有する化合物の具体例としては、式(3−1)で表される構造部を有する化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。ただし、式(2)に示した化合物および式(3)に示した構造部を有する化合物は、以下に示した化合物に限定されない。また、式(4)に示した構造部を有する高分子化合物の具体例としては、式(4)中のiが1000程度の高分子化合物が挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。
Figure 2011119411
(式(3−1)中において、bは5である。)
また、スルホン酸誘導体としては、例えば、式(7)で表される化合物、式(8)で表される化合物、式(9)および式(10)のうちの少なくとも式(9)で表される構造部を有する化合物、あるいは、式(11)および式(12)のうちの少なくとも式(11)で表される構造部を有する化合物などが挙げられる。優れた正孔注入性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、他のスルホン酸誘導体と併せて用いてもよい。
Figure 2011119411
(R5〜R9は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L1は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z5は、水素原子、スルフィニル基あるいはスルホニル基、または、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基、または、L1が単結合の場合にはハロゲン原子あるいは硫黄原子である。n1 は1以上の整数である。mは1以上4以下の整数である。)
Figure 2011119411
(R10〜R14は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L2およびL3は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z6は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数は(n2 +1)である。Z7は、水素原子、スルフィニル基あるいはスルホニル基、または、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基、または、L2およびL3が単結合の場合にはハロゲン原子あるいは硫黄原子であり、その価数はp1 である。mは1以上4以下の整数である。n2 およびp1 は1以上の整数である。)
Figure 2011119411
(R15〜R19は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L4〜L6は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z8は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数は(n3 +2)である。Z9は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体である。mは1以上4以下の整数である。n3 およびq1 は1以上の整数である。q2 は0以上の整数である。ただし、q1 およびq2 は1≦q1+q2≦10000を満たす。)
Figure 2011119411
(R20〜R30は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L7およびL8は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z10〜Z12は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、Z10の価数は(n4 +1)、Z11の価数は(p2 +1)である。mは1以上4以下の整数である。n4 、p2 およびu1 は1以上の整数である。u2 は0以上の整数である。ただし、u1 およびu2 は1≦u1+u2≦10000を満たす。)
式(7)に示した化合物等は、いずれも1,4−ベンゾジオキサン骨格のベンゼン環に1あるいは2以上のスルホン酸基が導入された1,4−ベンゾジオキサンスルホン酸化合物である。
式(7)に示した化合物について、R5〜R9は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。R5〜R9の詳細は以下の通りである。ハロゲン原子の種類は、フッ素、塩素あるいはヨウ素など、任意であるが、中でもフッ素が好ましい。より高い正孔注入性が得られるからである。炭化水素基は、その炭素数やその構造などは任意であり、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基あるいはフェニル基などである。炭化水素基の誘導体は、例えば、ハロゲン化アルキル基などである。式(7)中で説明したL1について、単結合は、R8およびR9が導入された炭素原子とZ5とが直接結合することを表している。式(7)中で説明したZ5の詳細は、以下の通りである。炭化水素基等およびそれらの誘導体については、上記した式(2)中のR3についての炭化水素基等と同様である。窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基については、式(4)中で説明したZ4についての窒素原子を含む基等と同様である。ただし、Z5は、L1が単結合である場合には、ハロゲン原子あるいは硫黄原子である。
式(8)に示した化合物について、R10〜R14は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。このことは、L2およびL3、ならびに、Z6およびZ7についても同様である。R10〜R14に関する詳細は、式(7)中のR5〜R9に関する詳細と同様であると共に、L2およびL3に関する詳細は、式(7)中のL1に関する詳細と同様である。また、Z6およびZ7に関する詳細は、それらの基の価数を除き式(7)中のZ5と同様であるが、L2およびL3が共に単結合の場合には、ハロゲン原子あるいは硫黄原子である。
式(9)および式(10)のうちの少なくとも式(9)に示した構造部を有する化合物(以下、式(9)に示した構造部を有する化合物という)について、R15〜R19は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。このことは、L4〜L6、ならびにZ8およびZ9についても同様である。R15〜R19に関する詳細は、式(7)中のR5〜R9に関する詳細と同様であると共に、L4〜L6に関する詳細は、式(7)中のL1に関する詳細と同様である。また、Z8およびZ9に関する詳細は、それらの基の価数を除き式(7)中のZ5と同様である。なお、Z9は、2価以上の基でもよい。
式(11)および式(12)のうちの少なくとも式(11)に示した構造部を有する化合物(以下、式(11)に示した構造部を有する化合物という)について、R20〜R30は、同じ種類の基でもよいし、異なる種類の基でもよい。このことは、L7およびL8、ならびにZ10〜Z12についても同様である。R20〜R30に関する詳細は、式(7)中のR5〜R9に関する詳細と同様であると共に、L7およびL8に関する詳細は、式(7)中のL1に関する詳細と同様である。また、Z10〜Z12に関する詳細は、それらの基の価数を除き式(7)中のZ5と同様である。
式(7)に示した化合物の具体例としては、例えば、式(7−1)あるいは式(7−2)で表される化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。また、式(8)に示した化合物の具体例としては、例えば、式(8−1)〜式(8−4)で表される化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。また、式(9)に示した構造部を有する化合物の具体例としては、例えば、式(9−1)で表される構造部を有する化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。さらに、式(11)に示した構造部を有する化合物の具体例としては、例えば、式(11−1)で表される構造部を有する化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。ただし、式(7)に示した化合物、式(8)に示した化合物、式(9)に示した構造部を有する化合物および式(11)に示した構造部を有する化合物は、以下に示した化合物に限定されない。
Figure 2011119411
(式(7−2)中において、a、bおよびcは2≦a+b+c≦4を満たす整数である。)
Figure 2011119411
Figure 2011119411
Figure 2011119411
(式(9−1)中においてq1 =5である。式(11−1)中において、u1 は5であり、ビフェニル骨格に結合する3つの酸素原子はビフェニル骨格を構成する炭素原子のいずれかに結合し、ビフェニル骨格に結合する7つのフッ素原子はビフェニル骨格を構成する炭素原子のうちの酸素原子が結合していない炭素原子に結合している。)
また、スルホン酸誘導体としては、例えば、式(13)で表される構造部を有する化合物などが挙げられる。優れた正孔注入性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、他のスルホン酸誘導体と併せて用いてもよい。
Figure 2011119411
(x、yおよびzは1以上の整数である。)
式(13)に示した構造部を有する化合物は、フッ素化されたエーテルスルホン酸誘導体である。式(13)中のx、yおよびzは、1以上の整数であれば、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。式(13)に示した構造部を有する化合物の具体例としては、例えば、式(13)中のx、yおよびzの合計が20以下の化合物などが挙げられる。十分な正孔注入性が得られるからである。
なお、スルホン酸誘導体であれば、上記した式(1)に示した化合物等に限定されるものではないが、上記した式(1)に示した化合物等のうちの1種あるいは2種以上を用いて正孔注入層21を形成することにより、より高い正孔注入性が得られる。
正孔注入層21の膜厚は、特に限定されないが、5nm以上50nm以下であることが好ましい。その範囲外よりも駆動電圧を低く抑えることができるため、発光効率と共に寿命特性などの信頼性が向上するからである。中でも、正孔注入層21の膜厚は、10nm以上35nm以下が好ましい。より高い効果が得られるからである。
正孔注入層21を形成する方法としては、湿式方式(塗布法)が好ましい。これにより、正孔注入層21を形成する前に、陽極11およびその周縁部の上に異物があったとしても、その異物による短絡が抑制される。具体的には、湿式方法を用いて形成した有機膜は、陽極11上に異物があったとしても、非被覆部が生じないように、陽極11を良好に被覆できる。このため、陰極31の形成時において、有機層20の非被覆部によって生じるおそれがある電極間の短絡の発生が抑制され、これにより、非発光の素子が生じにくくなる。その結果、歩留まりが向上し、低コスト化が可能になり、真空蒸着法などの気相法を用いた場合と比べると、さらに低コスト化が可能になる。湿式方式としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、あるいはスプレー法などの一般的な方法が挙げられる。湿式方式で有機層20の各層を形成する場合に用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、トルエン、またはメタノールなどが挙げられる。
上記の溶媒の他に、粘度、沸点などを調整するために、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジクリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルカルビトール、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトンまたは乳酸エチルなどの溶媒を混合して用いてもよい。
正孔輸送層22は、正孔注入層21から注入された正孔を発光層23へ効率よく輸送するためのものである。この正孔輸送層22を構成する材料としては、例えば、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、あるいはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−フェニル−N−(2−ナフチル)−4’−アミノビフェニル−4−イル]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPTE)などが挙げられる。なお、正孔注入層21を正孔輸送層22として用いてもよい。
発光層23は、陽極11と陰極31との間で電界が印加された際に、陽極11側から注入された正孔と、陰極31側から注入された電子とが再結合し、光を発生する領域である。発光層23を構成する材料としては、発光機能(正孔と電子との再結合の場を提供し、この再結合を発光につなげる機能)と共に、例えば、電荷の注入機能および電荷の輸送機能を有するものが好ましい。これにより、発光効率が向上する一方で、正孔輸送層22および後述する電子輸送層24を設けなくとも、発光することが可能となる。ここでいう電荷の注入機能とは、電界印加時において、正孔注入層21からの正孔を注入することができると共に、陰極31からの電子を注入することができる機能のことである。また、電荷の輸送機能とは、注入された正孔および電子を電界の力で移動させる機能のことである。すなわち、この発光層23は、正孔輸送性を有する正孔輸送層22および電子輸送性を有する電子輸送層24を兼ね備えたものでもよい。
発光層23は、例えば、ホストとなる化合物(ホスト材料)に対して、各色(青色、緑色、赤色)の発光色素(発光性ゲスト材料)がドーピングされており、電界が印加されると、その発光色素の色調に従って、各色を発光する。
ホスト材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、インデン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ナフタセン誘導体、トリフェニレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ピセン誘導体、フルオランテン誘導体、アセフェナントリレン誘導体、ペンタフェン誘導体、ペンタセン誘導体、コロネン誘導体、ブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体あるいはビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体などが挙げられる。具体的には、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)などが挙げられる。
また、発光性ゲスト材料としては、発光効率が高い材料、例えば、低分子蛍光色素、蛍光性の高分子、さらには金属錯体等の有機発光材料が用いられる。以下で各色の発光ゲスト材料について説明する。
青色の発光性ゲスト材料とは、約400nm〜490nmの波長範囲に発光のピークを有する化合物のことであり、このような有機化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、スチリルアミン誘導体あるいはビス(アジニル)メテンホウ素錯体などが挙げられる。具体的には、アミノナフタレン誘導体、アミノアントラセン誘導体、アミノクリセン誘導体、アミノピレン誘導体、スチリルアミン誘導体あるいはビス(アジニル)メテンホウ素錯体が挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上が好ましく用いられる。
緑色の発光性ゲスト材料とは、約490nm〜580nmの波長範囲に発光のピークを有する化合物ことであり、このような有機化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、インデノ[1,2,3−cd]ペリレン誘導体あるいはビス(アジニル)メテンホウ素錯体ピラン系色素などが挙げられる。具体的には、アミノアントラセン誘導体、フルオランテン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、インデノ[1,2,3−cd]ペリレン誘導体あるいはビス(アジニル)メテンホウ素錯体が挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上が好ましく用いられる。
赤色発光性ゲスト材料とは、約580nm〜700nmの波長範囲に発光のピークを有する化合物のことであり、このような有機化合物としては、ニールレッドや、DCM1({4−ジシアノメチレン−2−メチル―6(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン})あるいはDCJT({4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(ジュロリジルスチリル)−ピラン})などのピラン誘導体や、スクアリリウム誘導体や、ポルフィリン誘導体や、クロリン誘導体や、ユーロジリン誘導体などが挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上が好ましく用いられる。
なお、発光層23は、上記した各色の発光性ゲスト材料を用いて、それらのうちの1色を発光するようにしてもよいし、各色のうちの1色を発光する層を積層して発光光を白色としてもよい。すなわち、発光層23は、青色発光層、緑色発光層あるいは赤色発光層のうちのいずれかでもよいし、それらを積層して白色発光層としてもよい。もちろん、上記以外の色調を発光するようにしてもよい。
電子輸送層24は、陰極31から注入された電子を発光層23に効率よく輸送するためのものである。電子輸送層24を構成する材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)が挙げられ、その他、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベンあるいは1,10−フェナントロリンまたはこれらの誘導体や金属錯体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
陰極31は、発光層23に電界を印加する一方の電極であり、光透過性の材料により構成されている。これにより、発光層23からの発光光およびその発光光が陽極11表面において反射した光が、陰極31から外側へ取り出されることとなる。この陰極31は、発光層23側に仕事関数が小さい材料を用いた層が形成されており、発光層23側から順に第1陰極層31Aおよび第2陰極層31Bが積層されている。
第1陰極層31Aは、光透過性が良好であると共に、仕事関数が小さく、かつ電子輸送層24に電子を効率よく注入することが可能な材料により構成されている。このような材料としては、例えば、Li2 O、Cs2 O、LiFあるいはCaF2 などのアルカリ金属酸化物、アルカリ金属弗化物、アルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ土類弗化物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
また、第2陰極層31Bは、薄膜のMgAg電極材料やCa電極材料などの光透過性を有し、かつ導電性が良好な材料により構成されている。また、有機電界発光素子1が、特に陽極11と陰極31との間で発光光を共振させて取り出すキャビティ構造を備える場合には、第2陰極層31Bは、例えば、Mg−Ag(9:1)10nm厚のような半透過性反射材料を用いて構成してもよい。
なお、陰極31は、必要に応じて、第2陰極層31B上に、電極の劣化抑制のための封止電極として第3陰極層(図示せず)を積層した構造でもよい。
陰極31の各層(第1陰極層31A、第2陰極層31Bおよび必要に応じて第3陰極層)を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法あるいはプラズマCVD法などが挙げられる。
このような有機電界発光素子1は、例えば、以下のように製造することができる。
まず、基板10上に陽極11を蒸着法やスパッタリング法などにより形成し、続いて、陽極11上に、有機層20を形成する。この場合には、まず、陽極11の上に、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層21をスピンコート法等の湿式方式(塗布法)により形成する。続いて、正孔注入層21の上に、真空蒸着法などの気相方式により、正孔輸送層22、発光層23および電子輸送層24をこの順で積層する。これにより、有機層20が形成される。最後に、電子輸送層24の上に、蒸着法などにより、第1陰極層31Aおよび第2陰極層31Bをこの順で積層して、陰極31を形成する。これにより、図1に示した有機電界発光素子が完成する。なお、ここでは、有機層20のうち、正孔輸送層22、発光層23および電子輸送層24を真空蒸着法など気相方式により形成したが、湿式方式により形成してもよい。これにより、上記したように異物混入による短絡の発生がより抑制され、歩留まり等がより向上する。
この有機電界発光素子1では、陽極11と陰極31との間に電圧が印加され、有機層20に電界がかかると、陽極11からの正孔が、正孔注入層21により正孔輸送層22へ効率よく注入される。この注入された正孔を正孔輸送層22が発光層へ効率よく輸送する。その一方で、陰極31からの電子が電子輸送層24を介して発光層23に輸送される。このように陽極11側から移動してきた正孔と、陰極31側から移動してきた電子とが、発光層23において再結合し、光を発することとなる。この発光層23からの発光光と、この発光光が陽極11の表面で反射した光とが陰極31を透過して射出される。
本実施の形態の有機電界発光素子1では、陽極11と発光層23との間にスルホン酸誘導体からなる正孔注入層21を有している。これにより、少なくともアルミニウムを含む陽極11から発光層23への良好な正孔注入性が得られるため、有機層20に対して電界を印加すると、発光層23が印加された電流に対して効率よく発光する。その上、正孔注入層21がスルホン酸誘導体の他に、他の化合物(例えば、アニリン誘導体など)を含む場合やスルホン酸誘導体以外の化合物(例えば、アザトリフェニレン誘導体など)により構成されている場合と比較して、製造時の環境に左右されることなく、均質性の高い正孔注入層21が得られるため、良好な正孔注入性を長期間維持できる。よって、高い発光効率が得られると共に、寿命特性などの信頼性を向上させることができる。更に、安価なアルミニウムを陽極11に用いることに加えて、正孔注入層21に高価なアニリン誘導体を用いる必要がないため、低コスト化が可能となる。
また、アルミニウムは反射率が高いため、少なくともアルミニウムを含む陽極11を用いることにより、陰極31を透過する光量を確保することができる。すなわち、駆動電圧を低く抑えることも可能となる。さらに、陽極11が、アルミニウムを主成分として含み、かつ副成分としてアルミニウムよりも仕事関数が低い元素を含むようにすれば、十分な正孔注入性が得られると共に安定性が向上するため、良好な発光効率を維持しつつ、信頼性をより向上させることができる。
この場合、正孔注入層21を構成するスルホン酸誘導体が、式(1)に示した化合物を含む、または、式(2)に示した化合物、式(3)で表される構造部を有する化合物および式(4)に示した構造部を含む高分子化合物のうちの少なくとも1種を含む、または、式(7)に示した化合物、式(8)に示した化合物、式(9)に示した構造部を有する化合物および式(11)に示した構造部を有する化合物のうちの少なくとも1種を含む、または、式(13)に示した構造部を有する化合物を含むことにより、より高い発光効率が得られると共に、寿命特性などの信頼性をより向上させることができる。
特に、正孔注入層21が塗布法により形成されることにより、高い発光効率が得られるうえに、陽極11上の異物による短絡の発生が抑えられるため、リーク素子が減少し、信頼性をさらに向上させることができる。その上、コストが抑えられ、歩留まりが向上する。
さらに、正孔注入層21の厚さを5nm以上50nm以下にすることにより、駆動電圧をより低く抑えることができるため、より高い発光効率が得られると共に、寿命特性がより向上するため、特に信頼性を向上させることができる。
次に、上記した有機電界発光素子1の適用例について説明する。ここで、表示装置を例に挙げると、上記した有機電界発光素子1は以下のように用いられる。
[2.表示装置]
図2は表示装置の断面構成を表している。この表示装置は、TFTなどの駆動回路(図示せず)を備えた基板10の上に絶縁層12および有機電界発光素子1R,1G,1Bを有する構成となっている。また、この表示装置では、有機電界発光素子1R,1G,1Bの上に、それらを覆うように保護層32が形成され、この保護層32上に設けられた接着層33により接着された封止用基板40により全面にわたって封止されている。すなわち、ここで説明する表示装置の駆動方式は、アクティブマトリックス方式である。
基板10は、ガラスなどの透明基板や、シリコン基板や、フィルム状のフレキシブル基板などの上に、有機電界発光素子1R,1G,1BごとにTFTなどの駆動回路(図示せず)および平坦化絶縁膜(図示せず)が設けられている。
有機電界発光素子1R,1G,1Bは、上記した有機電界発光素子1と同様の構成を有している。ここでは、有機電界発光素子1R,1G,1Bから取り出される光は、表示装置において、それぞれ赤色、緑色および青色を呈することとする。なお、ここでは、後述する封止用基板40がカラーフィルタ(図示せず)を有しているので、有機電界発光素子1R,1G,1Bが有する発光層23は、同一の構成を有しているが、それぞれ異なる構成を有していてもよい。その場合には、有機電界発光素子1R,1G,1Bにおいて、それぞれの発光層23が含む発光性ゲスト材料が異なることとなる。
絶縁層12は、有機電界発光素子1R,1G,1Bの陽極11と陰極31との絶縁性を確保すると共に発光領域を正確に所望の形状にするためのものである。この絶縁層12は、基板10の上において、有機電界発光素子1R,1G,1Bの各陽極11との間に、各陽極11を取り囲み、開口部を形成するように設けられている。このような絶縁層12は、例えばポリイミドなどの感光性樹脂により構成されている。なお、ここでは、有機層20および陰極31は、絶縁層12の上にも連続して設けられているが、発光光が生じるのは絶縁層12の開口部(陽極11の上部)だけである。
保護層32は、有機層20に水分などが侵入することを防止するためのものであり、透過水性および吸水性の低い材料により構成されると共に十分な厚みを有している。また、保護層32は、発光層23で発生した光に対する透過性が高く、例えば80%以上の透過率を有する材料により構成されている。このような保護層32は、例えば、厚さが2μm〜3μm程度であり、アモルファスな絶縁性材料により構成されている。具体的には、アモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x x )あるいはアモルファスカーボン(α−C)が好ましい。これらのアモルファスな絶縁性材料は、グレインを構成しないので透水性が低く、良好な保護層32となる。また、保護層32は、ITOのような透明導電性材料により構成されていてもよい。
接着層33は、例えば、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂により構成されている。
封止用基板40は、有機電界発光素子1R,1G,1Bの陰極31側に位置しており、接着層33と共に有機電界発光素子1R,1G,1Bを封止するものである。この封止用基板40は、有機電界発光素子1R,1G,1Bで発生した光を透過可能なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板40には、例えば、カラーフィルタ(図示せず)が設けられている。これにより、有機電界発光素子1R,1G,1Bで発生した光を取り出すと共に、有機電界発光素子1R,1G,1Bならびにその間の配線(図示せず)において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっていてもよい。
カラーフィルタは、封止用基板40のどちら側の面に設けられてもよいが、有機電界発光素子1R,1G,1Bの側に設けられることが好ましい。カラーフィルタが表面に露出せず、接着層33により保護することができるからである。また、発光層23とカラーフィルタとの間の距離が狭くなることにより、有機電界発光素子1R,1G,1Bから射出された光が隣接する他の色のカラーフィルタに入射して混色を生じることを避けることができるからである。カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタ(いずれも図示せず)を有しており、有機電界発光素子1R,1G,1Bに対応して順に配置されている。赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタは、それぞれ例えば矩形形状で隙間なく形成されている。これらの赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されていてもよい。この顔料を選択することにより、目的とする赤、緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。
この表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、基板10を用意し、その上に、例えばスパッタリング法により、陽極11を形成し、例えばドライエッチングにより所定の形状に成形する。
続いて、基板10の全面にわたり、陽極11を覆うように感光性樹脂を塗布し、例えばフォトリソグラフィ法により発光領域に対応して開口部を設け、焼成することにより、絶縁層12を形成する。
そののち、例えば、上記した有機電界発光素子1を製造する際の手順と同様の手順により、有機層20を形成したのち、有機層20の上に陰極31を形成する。このようにして、有機電界発光素子1R,1G,1Bを形成する。
有機電界発光素子1R,1G,1Bを形成したのち、これらの上に保護層32を形成する。保護層32の形成方法は、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法またはCVD法が好ましい。また、保護層32は、陰極31を大気に暴露することなく、陰極31の形成と連続して行うことが望ましい。大気中の水分や酸素により有機層20が劣化してしまうのを抑制することができるからである。さらに、有機層20の劣化による輝度の低下を防止するため、保護層32の成膜温度は常温に設定すると共に、保護層32の剥がれを防止するために膜のストレスが最小になる条件で成膜することが望ましい。
また、例えば、封止用基板40の上に、赤色フィルタの材料をスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングして焼成することにより赤色フィルタを形成する。続いて、赤色フィルタと同様にして、青色フィルタおよび緑色フィルタを順次形成する。
そののち、保護層32の上に、接着層33を形成し、この接着層33を介して封止用基板40を貼り合わせる。その際、封止用基板40のカラーフィルタを形成した面を、有機電界発光素子1R,1G,1B側にして配置することが好ましい。以上により、図2に示した表示装置が完成する。
このような表示装置では、画像データに基づいて選択された各有機電界発光素子1R,1G,1Bにおいて、陽極11および陰極31の間に駆動電圧が印加されると、有機層20に電界がかかる。この電界がかかった有機層20では、発光層23において正孔と電子とが再結合して発光光が生じる。この発光光は、カラーフィルタおよび封止用基板40を透過して取り出される。
この表示装置によれば、有機電界発光素子1R,1G,1Bが、上記した有機電界発光素子1と同様の構成を有していることにより、高い発光効率が得られると共に、寿命特性などの信頼性を向上させることができる。この他の作用効果については、上記した有機電界発光素子1と同様である。
[3.変形例]
なお、本実施の形態における有機電界発光素子1では、有機層20を構成する正孔注入層21、正孔輸送層22、発光層23および電子輸送層24をそれぞれ単層で形成する場合について主に説明したが、各層を複数層で形成するようにしてもよい。この場合においても、同様の作用効果を得ることができる。
また、上記した実施の形態および変形例では、単一の有機層20を備えた有機電界発光素子について説明したが、有機層20を積層して、いわゆるスタック型としてもよい。このスタック型とは、マルチフォトンエミッション素子(MPE素子)とも呼ばれる構成であり、例えば、特開2003−272860号公報に記載されている。このように、複数の有機層20が絶縁性の電荷発生層を介して積層された場合でも、同様の作用効果を得ることができる。
本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1)
以下の手順により、図1に示した有機電界発光素子1を作製した。
まず、30mm×30mmのガラスからなる基板10上に、陽極11を形成した。この場合には、第1層として、ランタノイド系元素であるネオジウム(Nd)を10重量%含むアルミニウム合金層(AlNd層;厚さ150nm)を蒸着した。続いて、この第1層を大気に暴露し、陽極11の第2層として、厚さ5nmのアルミニウム合金の自然酸化膜を第1層の表面に形成した。なお、陽極11の反射率は、波長450nmの光に対して90%以上であった。
続いて、陽極11の上に、発光領域となる2mm×2mmの開口部を有するように、RFスパッタ法により酸化ケイ素(SiO2 )からなる絶縁層を形成した。
次に、陽極11および絶縁層上に有機層20を形成した。まず、陽極11上に、厚さ20nmの正孔注入層21を形成した。この場合、正孔注入層21を構成する材料として、式(1)に示した化合物である式(1−1)に示した化合物(5−スルホサリチル酸)を用いた。これを、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)に固形分濃度1.5重量%で溶解させた。この溶液を用いて、大気雰囲気下で、スピンコート法(3000rpm、120秒)により塗布膜を形成した。続いて、大気雰囲気の加熱炉により、この塗布膜を200℃、30分間加熱し、乾燥させたのち、大気中にて室温(25℃、湿度40%)まで冷却させた。
続いて、正孔注入層21上に、厚さ118nmの正孔輸送層22を蒸着法により形成した。この際、蒸着速度は0.2〜0.4nm/秒とした。この場合には、正孔輸送層22を形成する材料としては、式(14)で表される化合物(α−NPD)を用いた。
Figure 2011119411
次に、正孔輸送層22上に、膜厚30nmの発光層23を蒸着法により形成した。この場合には、ホスト材料として式(15)で表される化合物(ADN)を用い、発光性ゲスト材料(ドーパント)として式(16)で表される化合物(アミノクリセン誘導体)をドーピングした。蒸着速度は、それぞれ2.0nm/秒(ホスト材料)、0.11nm/秒(発光性ゲスト材料)として、発光性ゲスト材料のドーピング量は濃度が膜厚比で5%となるようにした。
Figure 2011119411
Figure 2011119411
続いて、発光層23上に、厚さ20nmの電子輸送層24を蒸着法により形成した。この場合には、式(17)で表される化合物(Alq3)を2nm/秒の蒸着速度で蒸着した。これにより、有機層20が形成された。
Figure 2011119411
次に、有機層20上に、第1陰極層31Aおよび第2陰極層31Bを有する陰極31を真空蒸着法により形成した。この場合には、LiFよりなる厚さ約0.3nmの第1陰極層31Aを、0.01nm/秒の蒸着速度で形成したのち、MgAg(体積比9:1)よりなる厚さ10nmの第2陰極層31Bを1.5nm/秒(Mg)および0.17nm/秒(Ag)の蒸着速度で形成した。これにより、図1に示した有機電界発光素子1が完成した。なお、本実験例では、上記した有機電界発光素子1を100個作製した。このことは以下の実験例1−2〜1−19においても同様である。
(実験例1−2)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(1)に示した化合物である式(1−2)に示した化合物(4−スルホフタル酸)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−3)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(2)に示した化合物である式(2−1)に示した化合物(ナフタレンジスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−4)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(2)に示した化合物である式(2−2)に示した化合物(ナフタレンジスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−5)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(3)に示した構造部を有する化合物である式(3−1)に示した構造部を有する化合物(ナフタレンジスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(3−1)中のb=5のものを用いた。
(実験例1−6)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(4)に示した構造部を有する高分子化合物(スチレンスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(4)中のiが1000程度のものを用いた。
(実験例1−7)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(7)に示した化合物である式(7−1)に示した化合物(1,4−ベンゾジオキサンスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経てた。
(実験例1−8)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(7)に示した化合物である式(7−2)に示した化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(7−2)中のa+b+c=2〜4のものを用いた。
(実験例1−9)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(8)に示した化合物である式(8−1)に示した化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経てた。
(実験例1−10)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(8)に示した化合物である式(8−4)に示した化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−11)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(8)に示した化合物である式(8−2)に示した化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−12)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(8)に示した化合物である式(8−3)に示した化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
(実験例1−13)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(11)に示した構造部を有する化合物として、式(11−1)に示した構造部を有する化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(11−1)中のu1 が5のものを用いた。
(実験例1−14)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(9)に示した構造部を有する化合物である式(9−1)に示した構造部を有する化合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(9−1)中のq1 =5のものを用いた。
(実験例1−15)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(13)に示した構造部を有する化合物(フッ素化されたエーテルスルホン酸化合物)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(13)中のx、yおよびzが3≦x+y+z≦20のものを用いた。
(実験例1−16)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(1−1)に示した化合物と式(9−1)に示した構造部を有する化合物との混合物(モル比1:1)を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。ここでは式(9−1)に示した構造部を有する化合物として式(9−1)中のq1 =5のものを用いた。
次に、実験例1−1〜1−16に対する比較例として、実験例1−17〜1−19について説明する。
(実験例1−17)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(18)に示したアニリン5量体と式(1−1)に示した化合物とをモル比(式(18):式(1−1))で1:3にて混合した混合物を用いたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
Figure 2011119411
(実験例1−18)
正孔注入層21を形成する際に、式(1−1)に示した化合物に代えて、式(19)に示したアザトリフェニレン誘導体を用いると共に、真空蒸着法(蒸着速度1nm/秒、膜厚20nm)によって形成したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。
Figure 2011119411
(実験例1−19)
正孔注入層21を設けずに、式(14)に示した化合物(α―NPD)を用いた正孔輸送層22の膜厚を138nmとしたことを除き、実験例1−1と同様の手順を経てた。
これらの実験例1−1〜1−19の有機電界発光素子1について、駆動電圧および発光効率を測定すると共に発光寿命を評価し、さらに、ダークスポット成長およびリーク素子数を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
駆動電圧および発光効率を測定する際には、電流密度を10mA/cm2 とした。また、発光寿命を評価する際には、電流密度;ピーク100mA/cm2 、duty;50%として駆動した時の初期輝度に対する相対輝度が10%低下するまでの時間を測定した。また、ダークスポット成長は、電流密度10mA/cm2 における初期のダークスポット総面積と、1000時間駆動後のダークスポット総面積とを測定し、それらの面積比=[(1000時間駆動後のダークスポット総面積)/(初期のダークスポット総面積)]により評価した。なお、上記した特性評価は、いずれも酸素濃度が0.5ppm以下の窒素ガス雰囲気中において、雰囲気温度25℃、露点温度−80℃の条件で行った。また、駆動電圧および発光効率はリーク素子を除く素子の平均値であり、発光寿命およびダークスポットの成長の結果はリークしていない一つの素子の結果である。
Figure 2011119411
表1に示したように、実験例1−1〜1−16では、実験例1−17〜1−19と比較して、駆動電圧、発光効率、寿命、ダークスポットの成長およびリーク素子数において、いずれも良好な素子特性を示した。
実験例1−1〜1−16と実験例1−17とを比較すると、実験例1−17では、駆動電圧、発光効率、寿命およびダークスポットの成長の点で劣っていた。この実験例1−17の結果は、以下によるものと考えられる。実験例1−17では、正孔注入層21がアニリン誘導体とスルホン酸誘導体とを混合して形成されている。このため、正孔注入層21の形成工程における焼成後の冷却工程において、大気中の水分が膜表面に結露し、その結露部分でスルホン酸誘導体が凝集する。これにより、正孔注入層21中においてスルホン酸誘導体とアニリン誘導体との分布の偏りが生じ、スルホン酸誘導体が疎の部分では、非発光状態もしくは低輝度状態、すなわち、ダークスポットとなる。そして、このような分布の偏りが、駆動電圧の上昇および発光効率の低下を引き起こし、分布の偏りが駆動時間と共に進行したため、発光寿命が短くなり、ダークスポットが成長した。これに対して、実験例1−1〜1−16でも上記した結露は起こりうるが、正孔注入層21がスルホン酸誘導体のみで形成されていることにより、結露してもスルホン酸誘導体の分布の偏りが起こることはない。
実験例1−18では、実験例1−1〜1−16と比較して、駆動電圧、発光効率および寿命は、ほぼ同等であるが、リーク素子数が増大した。これは、実験例1−18の正孔注入層21を真空蒸着法によって成膜したことにより、陽極11上に存在した異物の有機層20による被覆率が低かったため、陽極11と陰極31の間で短絡が生じた素子が多くなったものと考えられる。また、実験例1−17では、正孔注入層21は、陽極11との付着力も低いため、膜剥がれによるダークスポットの成長が速くなったものと考えられる。
実験例1−19では、正孔注入層21を形成していないので、発光層23への正孔注入性が低かったため、駆動電圧が上昇し、発光効率が低下したものと考えられる。また、実験例1−19では、有機層20が塗布法で成膜された層を持たないため、リーク素子数が多くなったものと考えられる。
これらのことから、少なくともアルミニウムを含む陽極11を備えた有機電界発光素子1では、以下のことが確認された。すなわち、正孔注入層21が、スルホン酸誘導体のみから形成されることにより、駆動電圧を低く抑えつつ、高い発光効率を得ることができると共に、寿命特性等が向上するため、信頼性を向上させることができる。
(実験例2−1〜2−10)
正孔注入層21を構成する材料を含む溶液濃度(固形分濃度0.2〜2.5重量%)および塗布膜を形成する際のスピンコートの回転数(750〜6000rpm)を調整することにより、表2に示したように正孔注入層21の膜厚を変更すると共に、正孔輸送層22の膜厚を変更したことを除き、実験例1−14と同様に有機電界発光素子を作製した。この場合、正孔注入層21の膜厚を、3,4,5,10,20,35,50,55,60,70nmとし、各正孔注入層21に対応する正孔輸送層22の膜厚を、それぞれ135,134,133,128,118,103,88,83,78,68nmとした。これらの実験例2−1〜2−10の有機電界発光素子について、駆動電圧を測定したところ、表2および図3に示した結果が得られた。なお、実験例2−5は、実験例1−14と同じである。
Figure 2011119411
図3(A)は、駆動電圧と正孔注入層21の膜厚との相関関係を表したものである。また、図3(B)は、図3(A)の膜厚10nm以下の部分を拡大したものである。更に、表2は正孔注入層21の各膜厚における駆動電圧の数値データの一覧である。これらの結果から、正孔注入層21の膜厚は5nm以上50nm以下において駆動電圧が低く抑えられることがわかった。すなわち、少なくともアルミニウムを含む陽極11を備えた有機電界発光素子1では、正孔注入層21の膜厚は5nm以上50nm以下であることが好ましいことが確認された。
ちなみに、正孔注入層21の膜厚が5nm未満における駆動電圧の急激な上昇は、正孔注入層21による陽極11の被覆が不完全になったため、正孔注入層21として機能する十分な膜厚に達していないものと考えられる。また、正孔注入層21の膜厚が50nmより厚い場合における駆動電圧の急激な上昇は、正孔注入層21の抵抗による電圧降下が顕著に影響したものと考えられる。
なお、本実施例では示していないが、式(9−1)に示した構造部を有する化合物以外の他のスルホン酸誘導体(式(1−1)に示した化合物等)を用いて、正孔注入層21の厚さを上記のように変化させて駆動電圧を測定したところ、駆動電圧は実験例2−1〜2−10と同じ傾向を示した。その一方で、スルホン酸誘導体とアニリン誘導体とを含む正孔注入層21の厚さを上記のように変化させて駆動電圧を測定したところ、いずれの厚さにおいても駆動電圧は、実験例2−1〜2−10よりも著しく高くなった。すなわち、本実施例の有機電界発光素子1では、正孔注入層21の厚さに依存することなく、駆動電圧を低く抑えることができるため、高い発光効率が得られ、かつ信頼性が向上する。特に、正孔注入層21の厚さを上記の範囲にすることにより、駆動電圧をより低く抑えることができるため、発光効率および信頼性をより向上させることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施の形態および実施例では、上面発光型の有機電界発光素子について説明したが、下面発光型としてもよい。この場合には、基板を透明材料により構成し、基板上に、上記した陰極、有機層および陽極の順で積層し、その有機層を陰極側から順に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層および正孔注入層が積層した構造にする。
また、上記した実施の形態では、アクティブマトリックス方式の表示装置について説明したが、パッシブ方式の表示装置であってもよい。
1,1R,1B,1G…有機電界発光素子、10…基板、11…陽極、12…絶縁層、20…有機層、21…正孔注入層、22…正孔輸送層、23…発光層、24…電子輸送層、31…陰極、31A…第1陰極層、31B…第2陰極層、32…保護層、33…接着層、40…封止用基板。

Claims (10)

  1. 少なくともアルミニウム(Al)を含む陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と陰極との間に、発光層を含む有機層とを備え、
    前記有機層は、前記陽極と前記発光層との間に、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層を有する
    有機電界発光素子。
  2. 前記スルホン酸誘導体は、式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2011119411
    (B1は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環もしくは複素環を有する3価の基である。R1およびR2は、カルボキシル基あるいは水酸基である。)
  3. 前記スルホン酸誘導体は、式(2)で表される化合物、式(3)で表される構造部を有する化合物および式(4)で表される構造部を有する高分子化合物のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2011119411
    (Z1は、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。B2は、ナフタレン環もしくはアントラセン環を有する(n1 +1)価の基である。R3は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)で表される構造部を有する基、式(6)で表される構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数はaである。aは1以上の整数である。n1 は1以上4以下の整数である。)
    Figure 2011119411
    (Z2は、各々独立して、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。B3は、ナフタレン環もしくはアントラセン環を有する(n2 +2)価の基である。R4は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体である。bは1以上の整数である。n2 は1以上4以下の整数である。)
    Figure 2011119411
    (iは1以上の整数である。)
    Figure 2011119411
    (Z3およびZ4は、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基(−S(=O)−)あるいはスルホニル基(−S(=O)2−)、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基である。)
  4. 前記スルホン酸誘導体は、式(7)で表される化合物、式(8)で表される化合物、式(9)および式(10)のうちの少なくとも式(9)で表される構造部を有する化合物、ならびに、式(11)および式(12)のうちの少なくとも式(11)で表される構造部を有する化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2011119411
    (R5〜R9は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L1は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z5は、水素原子、スルフィニル基あるいはスルホニル基、または、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基、または、L1が単結合の場合にはハロゲン原子あるいは硫黄原子である。n1 は1以上の整数である。mは1以上4以下の整数である。)
    Figure 2011119411
    (R10〜R14は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L2およびL3は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z6は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数は(n2 +1)である。Z7は、水素原子、スルフィニル基あるいはスルホニル基、または、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基、または、L2およびL3が単結合の場合にはハロゲン原子あるいは硫黄原子であり、その価数はp1 である。mは1以上4以下の整数である。n2 およびp1 は1以上の整数である。)
    Figure 2011119411
    (R15〜R19は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L4〜L6は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z8は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、その価数は(n3 +2)である。Z9は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体である。mは1以上4以下の整数である。n3 およびq1 は1以上の整数である。q2 は0以上の整数である。ただし、q1 およびq2 は1≦q1+q2≦10000を満たす。)
    Figure 2011119411
    (R20〜R30は、水素原子あるいはハロゲン原子、または、炭化水素基あるいはその誘導体である。L7およびL8は、単結合、または、酸素原子、硫黄原子あるいは−NH−である。Z10〜Z12は、炭化水素基、1,3,5−トリアジン環を有する基、式(5)に示した構造部を有する基、式(6)に示した構造部を有する基あるいはそれらの誘導体であり、Z10の価数は(n4 +1)、Z11の価数は(p2 +1)である。mは1以上4以下の整数である。n4 、p2 およびu1 は1以上の整数である。u2 は0以上の整数である。ただし、u1 およびu2 は1≦u1+u2≦10000を満たす。)
    Figure 2011119411
    (Z3およびZ4は、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基あるいはスルホニル基、または、窒素原子、ケイ素原子、リン原子もしくはP(=O)基のいずれかを含む基である。)
  5. 前記スルホン酸誘導体は、式(13)で表される構造部を有する化合物を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2011119411
    (x、yおよびzは1以上の整数である。)
  6. 前記正孔注入層は、塗布法により形成される、請求項1に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記正孔注入層の厚さは、5nm以上50nm以下である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
  8. 前記陽極は光反射性、前記陰極は光透過性をそれぞれ有し、
    前記発光層から発せられた光を前記陰極側から射出する、請求項1に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記陽極は、アルミニウムを主成分として含み、かつ副成分としてアルミニウムよりも仕事関数が低い元素を含む、請求項7に記載の有機電界発光素子。
  10. 少なくともアルミニウムを含む陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と陰極との間に、発光層を含む有機層とを有する有機電界発光素子を備え、
    前記有機層は、前記陽極と前記発光層との間に、スルホン酸誘導体からなる正孔注入層を有する
    表示装置。
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