JP2011115229A - 使い捨て着用物品 - Google Patents

Abstract

【課題】着用中に位置ずれを生じることなく、臀部カバー部に配設された臀部弾性収縮要素によって排泄された便が着用者の肌に押し付けられることのない使い捨て着用物品の提供。
【解決手段】
後部域１４が、前部域１３と対向する後ウエスト主体部１８と、股下域１５に隣接する臀部カバー部１９とを有し、後ウエスト主体部１８がウエスト開口２２寄りに隣接する上側域３１と、股下域１５に隣接する下側域３２とに区分されており、臀部カバー部１９の所定幅における伸長応力が、後ウエスト主体部１８の下側域３２の所定幅における伸長応力よりも低い着用物品。
【選択図】図１

Description

本発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、着用者の臀部を被覆する臀部カバー部を有する使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。

従来、着用者の臀部を被覆する部位を有する使い捨て着用物品は公知である。例えば、特許文献１は、前後部域と、股下域と、前後部域を形成する弾性ウエスト部材と、弾性ウエスト部材の内面に接合された吸液性構造体とを含み、後部域から股下域側に延びる臀部カバー部とを有する使い捨て着用物品に関する。

特開２００８−１７８６８２号公報

特許文献１に開示された発明に係る着用物品は、前部域と、後部域と、後部域から下方に延びる臀部カバー部とにおいて、複数条のストランド状の弾性収縮要素が配置されているので、前後部域が着用者の身体にフィットするとともに、おむつの着用中における臀部カバー部の浮き上がりや捩れを防止することができる。また、前部域と後部域とにおいて伸長力のバランスをとっているので、着用中に、おむつが着用者の前方または後方に大きくずれにくい。

しかし、かかる着用物品においては、着用状態において、臀部カバー部を斜め上方に引き上げる力をより効果的に発揮させるために、臀部カバー部に配設された弾性収縮要素の伸長率を後部域の下側域に配設された弾性収縮要素の伸長率よりも高くしているので、その伸長力と吸液性構造体に配設された弾性収縮要素の伸長力とによって、吸液性構造体が着用者の肌に強く密着しすぎて、排泄された便が着用者の肌に押し付けられるおそれがある。

本発明の課題は、着用中に位置ずれを生じることなく、臀部カバー部に配設された臀部弾性収縮要素によって排泄された便が着用者の肌に押し付けられ難い使い捨て着用物品の提供にある。

前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、縦方向及びそれに直交する横方向と、前部域と、後部域と、前記前後部域間に位置する股下域と、ウエスト開口及び一対のレッグ開口と、前記前後部域を形成する環状の弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルの内面に取り付けられた、前記股下域の少なくとも一部を形成する吸液性構造体とを含む使い捨て着用物品である。

本発明の特徴とするところは、前記後部域が、前記前部域と対向する後ウエスト主体部と、前記股下域に隣接する臀部カバー部とを有し、前記後ウエスト主体部が前記ウエスト開口寄りに隣接する上側域と、前記股下域に隣接する下側域とに区分されており、前記臀部カバー部の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも低いことにある。

本発明は、前記特徴とする構成のほかに、以下の好ましい実施の態様を含む。
（１）前記臀部カバー部が、前記後ウエスト主体部に隣接する上部と、前記股下域に隣接する下部とに区分されており、少なくとも前記上部の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも低い。
（２）前記前部域が、前記ウエスト開口に隣接する上側域と、前記股下域に隣接する下側域とに区分されており、前記前部域の下側域の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも高い。
（３）前記前部域には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条の前ウエスト弾性収縮要素が配設されており、前記後部域には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条の後ウエスト弾性収縮要素が配設されており、前記臀部カバー部には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条のストリング又はストランド状の臀部弾性収縮要素が配設されており、前記臀部弾性収縮要素どうしの離間寸法が、前記前後ウエスト弾性収縮要素どうしの離間寸法よりも大きい。
（４）前記臀部弾性収縮要素が、前記吸液性構造体の位置する領域において非弾性化されている。
（５）前記臀部カバー部が前記上部と前記下部との間に位置する中間部を有しており、前記中間部には、前記臀部弾性収縮要素が配設されていない。

本発明によれば、臀部カバー部の所定幅における伸長応力が、後ウエスト主体部の下側域の所定幅における伸長応力よりも低いので、おむつの前後で伸長応力のバランスがとれるとともに、着用者の内面に排泄された便が、臀部カバー部によって着用者の肌に強く押し付けられることはない。

本発明の第１実施形態に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつの斜視図。 おむつのシール部を剥離して前後方向に伸展した状態のその内面から見た一部破断平面図。 図２に示されたＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図。 図２に示されたＩＶ−ＩＶ線断面図。 吸液性構造体と、前後ウエストパネルの第１及び第２内面シートと、第１及び第２固定シートとを除いた状態を示す平面図。 本発明の第２実施形態を示す図５と同様の平面図。 本発明の第３実施形態を示す図５と同様の平面図。

＜第１実施形態＞
図１は、本発明に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつ１０の斜視図、図２は、おむつ１０のシール部２１を剥離して前後方向に伸展した状態のその内面から見た一部破断平面図、図３は、図２に示されたＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図、図４は、図２に示されたＩＶ−ＩＶ線断面図である。

図１及び２に示すとおり、使い捨ておむつ１０は、縦方向Ｙ及びそれに直交する横方向Ｘと、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面と、環状の弾性ウエストパネル１１と、弾性ウエストパネル１１の肌対向面側に取り付けられた吸液性構造体１２と、前部域１３と、後部域１４と、前後部域１３，１４間を縦方向Ｙに延びる股下域１５とを含む。

弾性ウエストパネル１１は、前部域１３を形成する前ウエストパネル１６と、後部域１４を形成する後ウエストパネル１７とから構成されている。

前ウエストパネル１６は、吸液性構造体１２と交差し、横方向Ｘに延びる内端縁１６ａと、縦方向Ｙにおいて内端縁１６ａと離間対向して横方向Ｘに延びる外端縁１６ｂと、内外端縁１６ａ，１６ｂ間において縦方向Ｙに延びる、両側縁１６ｃ，１６ｄとによって、横長の略矩形状に画成されている。

同様に、後ウエストパネル１７は、吸液性構造体１２と交差し、横方向Ｘに延びる内端縁１７ａと、縦方向Ｙにおいて内端縁１７ａと離間対向して横方向Ｘに延びる外端縁１７ｂと、内外端縁１７ａ，１７ｂ間において縦方向Ｙに延びる両側縁１７ｃ，１７ｄとによって、横長の略矩形状に画成されている。後ウエストパネル１７は、おむつ１０の前部域１３と対向する後ウエスト主体部１８と、後ウエスト主体部１８から股下域１５側に延び、着用者の臀部と対向する臀部カバー部１９とを有する。

前ウエストパネル１６の両側縁１６ｃ，１６ｄと後ウエストパネル１７の両側縁１７ｃ，１７ｄの一部（後ウエスト本体１８の両側縁）とは、互いに重ね合わせられて、縦方向Ｙに千鳥状パターンを有するシーム部２１の接合によって連結され、ウエスト開口２２と一対のレッグ開口２３とが画成されている（図１参照）。前記接合は、公知の接合手段、例えば、熱エンボス加工、ソニックなどの各種の熱溶着手段によってなされる。

前部域１３は、説明の便宜上、前ウエストパネル１６の外端縁１６ｂ側に位置する上側域２４と、股下域１５側に位置する下側域２５とに区分されている。

前ウエストパネル１６は、肌対向面に位置する第１内面シート２６と、非肌対向面に位置する第１外面シート２７と、第１内面シート２６と第２外面シート２７との間に介在された、横方向Ｘへ延びる複数条のストリング又はストランド状の上下方前ウエスト弾性収縮要素２８，２９とを含む。上方前ウエスト弾性収縮要素２８は、上側域２４の縦方向Ｙのほぼ全域において、縦方向Ｙにおいて所与寸法離間して配置され、下方前ウエスト弾性収縮要素２９は、下側域２５の縦方向Ｙのほぼ全域において、縦方向Ｙに所与寸法離間して配置されている。前ウエストパネル１６は、上下方前ウエスト弾性収縮要素２８，２９が、横方向Ｘへ伸長下に、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して第１内面シート２６と第１外面シート２７との間に固定されることで、同方向へ収縮可能に弾性化されている。

後部域１４の後ウエスト主体部１８は、説明の便宜上、後ウエストパネル１７の外端縁１７ｂ側に位置する上側域３１と、股下域１５側に位置する下側域３２とに区分されている。

臀部カバー部１９は、説明の便宜上、後ウエスト主体部１８寄りに隣接する上部１９Ｕと、股下域１５に隣接する下部１９Ｄと、上部１９Ｕと下部１９Ｄとの間に位置する中間部１９Ｍとに区分されている。また、臀部カバー部１９は、吸液性構造体１２の横方向Ｘの外方に位置する両側部１９Ａ，１９Ｂを有する。両側部１９Ａ、１９Ｂは、吸液性構造体１２に固定されておらず、フリーな状態となっている。なお、本実施形態では、臀部カバー部１９は、上部１９Ｕ、中間部１９Ｍと下部１９Ｄとに３つに区分されているが、上部１９Ｕと下部１９Ｄとに２つに区分されていてもよい。

後ウエストパネル１７は、肌対向面側に位置する第２内面シート３３と、非肌対向面側に位置する第２外面シート３４と、第２内面シート３３と第２外面シート３４との間に介在された、横方向Ｘへ延びる複数条のストリング又はストランド状の上下方後ウエスト弾性収縮要素３５，３６と臀部弾性収縮要素３７とを含む。

上方後ウエスト弾性収縮要素３５は、上側域３１の縦方向Ｙのほぼ全域において、縦方向Ｙに所与寸法離間して配置され、下方後ウエスト弾性収縮要素３６は、下側域３２の縦方向Ｙのほぼ全域において、縦方向Ｙに所与寸法離間して配置されている。後ウエストパネル１７は、上下方後ウエスト弾性収縮要素３５，３６が、横方向Ｘへ伸長下に、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して第２内面シート３３と第２外面シート３４との間に固定されることで、同方向へ収縮可能に弾性化されている。

臀部弾性収縮要素３７は、臀部カバー部１９の上部１９Ｕから下部１９Ｄにかけて縦方向Ｙに所与寸法離間して配置されており、具体的には、上部１９Ｕには２本、中間部１９Ｍと下部１９Ｄにそれぞれ１本ずつ配置されている。臀部カバー部１９の両側部１９Ａ，１９Ｂは、臀部弾性収縮要素３７の収縮作用によって、曲状を呈している。

吸液性構造体１２は、前後端縁とそれらに直交する両側縁とによって画成された、股下域１５を中心として前後部域１３，１４に延びる縦長方形状であって、前部域１３に位置する前端部１２Ａと、後部域１４に位置する後端部１２Ｂと、前後端部１２Ａ，１２間に位置し、股下域１５を形成する中間部１２Ｃとを有する。

吸液性構造体１２は、肌対向面側に位置する透液性の内面シート４０と、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合からなる吸液性コアを液拡散性シートで被覆してなる吸液性芯材４１と、非肌対向面側に位置し、吸液性芯材の外面を被覆する、好ましくは非透液性の被覆シート４２とを有する。吸液性芯材４１は、その縦方向Ｙの中央部が内方へ凹となり幅狭になっている。吸液性芯材４１と被覆シート４２との間には、プラスチック材料から形成された防漏シート４３が配置されている。

被覆シート４２は、吸液性芯材４１の周縁から外方へ延びており、その延出した部位によって、吸液性芯材４１の両端縁の縦方向Ｙの外方において横方向Ｘに延びるエンドフラップ４４と、吸液性芯材４１の両側縁の横方向Ｘの外方において縦方向Ｙに延びるサイドフラップ４５とが形成されている。サイドフラップ４５には、縦方向Ｙに延びる３条のストリング又はストランド状の弾性部材から形成されたレッグ弾性収縮要素４６Ｒ，４６Ｌが収縮可能に配置されている。したがって、サイドフラップ４５とレッグ弾性収縮要素４６Ｒ，４６Ｌとは、着用者のレッグ回りに密接するガスケットカフ機能を有する。

サイドフラップ４５を形成する被覆シート４２の両側部は、吸液性構造体１２上で、その一部が内方へ向かって折り返されており、縦方向Ｙへ延びる一対の折り返し部４８Ｒ，４８Ｌが形成されている。折り返し部４８Ｒ，４８Ｌ内には、縦方向Ｙに延びる２条のストリング又はストランド状の弾性部材からなるカフ弾性収縮要素４９がホットメルト接着剤を介して収縮可能に取り付けられている。おむつ１０の着用状態において、折り返し部４８Ｒ，４８Ｌ及びサイドフラップ４４の一部は、カフ弾性収縮要素４９の収縮作用によって、内面シート４０から離間してバリアカフを形成し、排泄物の横漏れを防止する。

レッグ弾性収縮要素４６Ｒ，４６Ｌ及びカフ弾性収縮要素４９を構成する弾性収縮要素としては、線径が約４００〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が２．０〜３．０倍のストリング又はストランドを好適に用いることができる。また、弾性収縮要素どうしの離間寸法（ピッチ）は、３．０〜６．０ｍｍであることが好ましい。また、所要の伸長力を有する限りにおいては、図示されている本数に限らず、１本又は複数本配設されていてもよいし、それに応じて、弾性収縮要素の線径、離間寸法、伸長倍率などを適宜自由に設定することができる。

吸液性構造体１２の前端縁及びその近傍は、ホットメルト接着剤を介して前ウエストパネル１６の肌対向面に固定されており、また、その内面は、前ウエストパネル１６の内面において横方向Ｘに延びる、第１固定シート５１によって被覆されている。吸液性構造体１２の後端縁及びその近傍は、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して後ウエストパネル１７における後ウエスト主体部１８の肌対向面に固定されており、また、その内面は、横方向Ｘに延びる、第２固定シート５２によって被覆されている。

前ウエストパネル１６を形成する第１内面シート２６と第１外面シート２７、後ウエストパネル１７を形成する第２内面シート３３と第２外面シート３４とは、それぞれ、一枚のシート部材をウエスト開口２２の縁部において折り返して形成されたものであって、互いに対向する両シートのうちの少なくとも一方の内面に塗工された、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して互いに接合されている。なお、第１内面シート２６と第１外面シート２７、第２内面シート３３と第２外面シート３４とをそれぞれ別体のシート部材から形成してもよい。本発明においてシートどうしが重なり合っている部位は、特に記載がされている場合を除き、ホットメルト接着剤などの接着剤を介して接合されていてもよいし、接合されていなくともよい。

また、本実施形態では、前後ウエストパネル１６，１７は、複数条の弾性収縮要素を配設することによって弾性を付与されているが、臀部カバー部を除き、前後ウエストパネル１６，１７を構成するシート部材自体が弾性収縮性を有するものであってもよいし、ストリング又はストランド状の弾性収縮要素ではなく、テープ又はシート状の弾性収縮要素を用いて弾性を付与してもよい。

さらに、臀部カバー部１９が、後ウエスト主体部１８から一連に延びるのではなく、それとは別体に形成されていてもよいし、後ウエスト主体部１８を形成するシート部材とは異なるシート部材から形成されていてもよい。臀部カバー部１９を後ウエスト主体部１８を形成するシート部材とは異なるシート部材から形成する場合には、後ウエスト主体部１８を形成するシート部材と同様若しくはそれ以上の可撓性を有するシート部材から形成することが好ましい。

図５は、吸液性構造体１２と、前後ウエストパネル１６，１７の第１及び第２内面シート２６，３３と、第１及び第２固定シート５１，５２とを省略した状態を示す平面図である。図５では、吸液性構造体１２と吸液性芯材４１との外形が破線で示されている。

図５に示すとおり、第１外面シート２７と第２外面シート３４との内面には、横方向Ｘに延びる、縦方向Ｙに所与寸法離間した複数条のストリング又はストランド状の弾性収縮要素２８，２９，３５，３６，３７が配設されている。各弾性収縮要素は、合成又は天然のゴム弾性を有する材料から形成されている。また、例えば、幼児用のおむつの場合における、おむつ１０の各部の寸法は、Ｌ，Ｍ，Ｓなどの各種のサイズの種類によって異なるものであるが、Ｌサイズの場合には、おむつ１０の縦方向Ｙにおける全長が４７０〜５１０ｍｍ，前部域１３及びそれに対応する後ウエスト主体部１８の縦方向Ｙにおける長さ寸法が９５〜１２５ｍｍ，臀部カバー部１９の縦方向Ｙにおける長さ寸法が４５〜６５ｍｍである。以下、各種の寸法は、Ｌサイズのおむつ１０における場合のものである。なお、大人用のおむつの場合であっても各寸法比は同様である。

上方前ウエスト弾性収縮要素２８は、前ウエストパネル１６の外端縁１６ｂ寄りに位置する、線径が４５０〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が２．４〜２．８倍の４本の弾性収縮要素と、線径が４５０〜５００ｄｅｘ、伸長倍率が１．８〜２．４倍の１１本の弾性収縮要素とから形成されており、各弾性収縮要素間の離間寸法は、５．０〜６．０ｍｍである。

下方前ウエスト弾性収縮要素２９は、線径が４５０〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が１．８〜２．４倍の５本の弾性収縮要素から形成されており、各弾性収縮要素間の離間寸法は、５．０〜６．０ｍｍである。また、最下に位置する下方前ウエスト弾性収縮要素２９と第１外面シート２７の下端縁との離間寸法Ｒ１は、５．０〜２０．０ｍｍである。

上方後ウエスト弾性収縮要素３５は、ウエスト開口縁部寄りに位置する、線径が４５０〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が２．４〜２．８倍の５本の弾性収縮要素と、線径が４５０〜５００ｄｅｘ、伸長倍率が１．８〜２．４倍の１１本の弾性収縮要素とから形成されており、各弾性収縮要素間の離間寸法は、５．０〜６．０ｍｍである。

下方後ウエスト弾性収縮要素３６は、線径が４５０〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が１．８〜２．４倍の５本の弾性収縮要素から形成されており、各弾性収縮要素間の離間寸法は、５．０〜７．０ｍｍである。

臀部弾性収縮要素３７は、線径が４５０〜５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が１．８〜２．６倍の４本の弾性収縮要素から形成されている。上部１９Ｕの下方に位置する臀部弾性収縮要素３７と中間部１９Ｍに位置する臀部弾性収縮要素３７との離間寸法Ｒ２と、中間部１９Ｍに位置する臀部弾性収縮要素３７と下部１９Ｄに位置する臀部弾性収縮要素３７との離間寸法Ｒ３とは、１５．０〜２５．０ｍｍである。さらに、下部１９Ｄの臀部弾性収縮要素３７と第２外面シート３４の下端縁との離間寸法Ｒ４は、５．０〜２０．０ｍｍである。

各弾性収縮要素が上記設定条件を満たす場合において、後ウエスト主体部１８の下側域３２と臀部カバー部１９との所定幅における伸長応力の相関関係についていえば、後ウエスト主体部１８の下側域３２＞臀部カバー部１９となっている。具体的には、後ウエスト主体部１８の下側域３２の所定幅における伸長応力は、０．１４〜０．３５Ｎ／２０ｍｍであり、また、臀部カバー部１９の所定幅における伸長応力は、０．１４〜０．１７Ｎ／ｍｍである。なお、本実施形態における「所定幅」とは、各領域における縦方向Ｙの長さ（２０ｍｍ）をいう。

各領域３２，１９の所定幅における伸長応力の測定方法は以下のとおりである。

まず、おむつ１０から後部域１４の下側域３２と臀部カバー部１９とをそれぞれ所要領域、具体的には、２０ｍｍ×３４５ｍｍ（縦方向Ｘ×横方向Ｙ）の大きさに切り取り試料とした。次に、これらの試料の横方向Ｙの一端部を引張試験機（例えば、インストロンタイプの引張試験機など）の一方のチャックに挟持させ、該試料の他端部を他方のチャックに挟持させて、横方向Ｘにおける引張試験を行った。測定は、各試料の自然な状態、すなわち、各弾性収縮要素が自然に収縮している状態におけるチャック間距離をＰ、各弾性収縮要素を収縮がない状態にまで引っ張った時におけるチャック間距離をＱとして、チャック間距離が（Ｐ＋Ｑ）／２となるように引っ張り、約１分間放置した後のチャック間にかかる応力を計測し、各試料の幅寸法（縦方向の長さ；２０ｍｍ）を所定幅として各試料の伸長応力とした。

このように、後ウエスト主体部１８の下側域３２の所定幅における伸長応力が臀部カバー部１９の所定幅における伸長応力よりも高く、所要の大きさを有することから、後ウエスト主体部１８は着用者の身体に安定的にフィットする。また、臀部カバー部１９は、その伸長応力が後ウエスト主体部１８の下側域３２のそれよりも低く、所要の大きさに抑えられているので、着用者の臀部を締め付けて排泄された便が着用者の身体に向かって押し付けられ難くなる。

また、前部域１３の下側域２５の所定幅における伸長応力は、おむつ１０の前後方向において伸長応力の釣り合いをとるために、後ウエスト主体部１８の下側域３２の所定幅における伸長応力よりも高くなるように設定されている。すなわち、おむつ１０の後方には、臀部カバー部１９が設けられているので、前部域１３の下側域２５と後ウエスト主体部１８の下側域３２との所定幅における伸長応力が互いに等しい場合には、臀部カバー部１９の伸長応力によって、おむつ１０が後方へ引っ張られるおそれがあるが、前部域１３の下側域２５の所定幅における伸長応力が後ウエスト主体部１８の下側域３２のそれよりも高いことから、おむつ１０の前後方向においてウエスト周り方向へ作用する引っ張り力のバランスが取れ、着用中におむつ１０が後方にずり下がることを抑制することができる。さらに、かかるウエスト周り方向へ作用する引っ張り力のバランスを良くするために、各領域における所定幅の伸長応力の相関関係が、前部域１３の下側域２５＝後ウエスト主体部１８の下側域３２＋臀部カバー部１９、若しくは前部域１３の下側域２５＝後ウエスト主体部１８の下側域３２＋臀部カバー部１９の上部１９Ｕの関係にあることが好ましい。本実施形態においては、主として各弾性収縮要素における離間寸法（ピッチ）を調整することによって、所定幅における伸長応力の相関関係をもたせている。これにより、例えば、所定幅における伸長応力の相関関係が後ウエスト主体部１８の下側域３２＞臀部カバー部１９の場合には、臀部弾性収縮要素３７の離間寸法が下方後ウエスト弾性収縮要素３６のそれよりも大きくなるので、縦方向Ｙに形成される皺も比較的に大きくなり、柔軟性が向上するとともに、見た目にも柔らかな印象を与えることができる。また、離間寸法（ピッチ）を調整するほかに、各弾性収縮要素の離間寸法をほぼ同等にして、その太さ、伸長倍率を調整することによって、かかる相関関係を生じさせてもよい。

＜第２実施形態＞
図６は、本発明におけるおむつ１０の第２実施形態を示す図５と同様の平面図である。本実施形態のおむつ１０は、第１実施形態のおむつ１０と基本的な構成が同一であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。

本実施形態のおむつ１０では、吸液性構造体１２の配置領域において、臀部カバー部１９が非弾性化されている。ここで、非弾性化とは、臀部カバー部１９の臀部弾性収縮要素３７が、吸液性構造体１２の配置領域において、切断、除去されて実質的に存在していない場合と、臀部弾性収縮要素３７が該領域に存在するが、臀部弾性収縮要素３７が収縮性を発現しない場合とを意味する。

吸液性芯材１２の配置領域において、上部１９Ｕ及び下部１９Ｄの臀部弾性収縮要素３７が非弾性化されているので、排泄物が着用者の肌に付着することをさらに抑制することができる。なお、図示していないが、臀部弾性要素３７は、吸液性構造体１２の両側部にまで延びていてもよい。この場合には、臀部弾性要素３７の伸長応力によって吸液性構造体１２の位置ずれを防止することができるとともに、吸液性芯材４１にはかかる伸長応力が作用することはないので、その吸液性能を阻害するおそれはない。

＜第３実施形態＞
図７は、本発明におけるおむつ１０の第３実施形態を示す図５と同様の平面図である。本実施形態のおむつは、第１実施形態のおむつ１０と基本的な構成が同一であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。

本実施形態では、臀部カバー部１９の上部１９Ｕと下部１９Ｄにのみ臀部弾性収縮要素３７が配設されており、中間部１９Ｍには臀部弾性収縮要素３７が配設されていない。このため、上部１９Ｕ及び下部１９Ｄが臀部弾性収縮要素３７の伸長力によって着用者の肌に当接するのに対し、中間部１９Ｍは外方へ膨らんだ状態となり、着用者の肌と中間部１９Ｍとの間には横方向Ｘへ延びる空隙部が形成される。これにより、臀部カバー部１９の両側部１９Ａ，１９Ｂは、着用者の臀部の形状に沿った湾曲状を有することができ、着用者の身体を締め付けることなくフィットすることができるとともに、おむつ１０の背面視においてふんわりと柔らかな印象を与え、フリル形状と相俟って、より下着のような外観を呈することができる。

１０ 使い捨て着用物品
１１ 弾性ウエストパネル
１２ 吸液性構造体
１３ 前部域
１４ 後部域
１５ 股下域
１８ 後ウエスト主体部
１９ 臀部カバー部
１９Ｕ 臀部カバー部の上部
１９Ｍ 臀部カバー部の中間部
１９Ｄ 臀部カバー部の下部
２２ ウエスト開口
２３ レッグ開口
２４ 前部域の上側域
２５ 前部域の下側域
２８ 上方前ウエスト弾性収縮要素
２９ 下方前ウエスト弾性収縮要素
３１ 後ウエスト主体部の上側域
３２ 後ウエスト主体部の下側域
３５ 上方後ウエスト弾性収縮要素
３６ 下方後ウエスト弾性収縮要素
３７ 臀部弾性収縮要素
Ｘ 横方向
Ｙ 縦方向

Claims (6)

1. 縦方向及びそれに直交する横方向と、前部域と、後部域と、前記前後部域間に位置する股下域と、ウエスト開口及び一対のレッグ開口と、前記前後部域を形成する環状の弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルの内面に取り付けられた、前記股下域の少なくとも一部を形成する吸液性構造体とを含む使い捨て着用物品において、
   前記後部域が、前記前部域と対向する後ウエスト主体部と、前記股下域に隣接する臀部カバー部とを有し、
   前記後ウエスト主体部が前記ウエスト開口寄りに隣接する上側域と、前記股下域に隣接する下側域とに区分されており、
   前記臀部カバー部の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも低いことを特徴とする前記着用物品。
2. 前記臀部カバー部が、前記後ウエスト主体部に隣接する上部と、前記股下域に隣接する下部とに区分されており、少なくとも前記上部の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも低い請求項１記載の着用物品。
3. 前記前部域が、前記ウエスト開口に隣接する上側域と、前記股下域に隣接する下側域とに区分されており、前記前部域の下側域の所定幅における伸長応力が、前記後ウエスト主体部の前記下側域の所定幅における伸長応力よりも高い請求項１又は２記載の着用物品。
4. 前記前部域には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条の前ウエスト弾性収縮要素が配設されており、前記後部域には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条の後ウエスト弾性収縮要素が配設されており、前記臀部カバー部には、前記縦方向に所与寸法離間し、前記横方向へ延びる複数条のストリング又はストランド状の臀部弾性収縮要素が配設されており、前記臀部弾性収縮要素どうしの離間寸法が、前記前後ウエスト弾性収縮要素どうしの離間寸法よりも大きい請求項１〜３のいずれかに記載の着用物品。
5. 前記臀部弾性収縮要素が、前記吸液性構造体の位置する領域において非弾性化されている請求項４に記載の着用物品。
6. 前記臀部カバー部が前記上部と前記下部との間に位置する中間部を有しており、前記中間部には、前記臀部弾性収縮要素が配設されていない前記請求項４または５記載の着用物品。

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