以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本実施の形態にかかる水晶振動子1には、図1に示すように、ATカット水晶からなる水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、この水晶振動片2を保持し、水晶振動片2を気密封止するためのベース4(本発明でいう封止部材)と、ベース4に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋6(本発明でいう封止部材)が設けられている。
この水晶振動子1では、ベース4と蓋6とからパッケージが構成され、ベース4と蓋6とが、Sn合金からなる接合材71により接合されて、気密封止された内部空間11が形成される。この内部空間11では、水晶振動片2が、ベース4に導電性バンプ72を用いてFCB法(Flip Chip Bonding)により電気機械的に超音波接合されている。
次に、この水晶振動子1の各構成について図1〜3を用いて説明する。
ベース4は、透過性材料のSiと添加剤とを含むホウケイ酸ガラスからなり、図1,2に示すように、底部41と、ベース4の一主面42の主面外周に沿って底部41から上方に延出した壁部44と、から構成された箱状体に成形されている。ベース4は、平面視矩形状の直方体の一枚板をフォトリソ法によりエッチングして成形される。ベース4の平面視の寸法は、2.5mm×2.0mm以下に設定されている。なお、本実施の形態では、平面視の寸法が1.6mm×1.2mmに設定されたベース4を用いる。
ベース4の壁部44の天面は、蓋6との接合面であり、この接合面には、蓋6と接合するための第1接合層45が設けられている。第1接合層45は、図2に示すように、MoからなるMo膜451が形成され、その上にシード層であるAuからなるAu膜452が形成された複数の層の積層構造からなる。このうち、Moは、その熱膨張係数が3.7×10-6〜5.3×10-6/℃であり、熱膨張係数がCr(6.8×10-6/℃)よりも低い熱膨張材料(以下、この熱膨張材料を低熱膨張材料という)である。また、Mo膜451は、スパッタ法によりスパッタ形成されている(下記するメタル膜92の一部)。Au膜452は、スパッタ法によりスパッタ形成されたスパッタリング膜(下記するメタル膜92の他部)と、スパッタリング膜上にメッキ形成されたメッキ膜(下記するAu膜93)とから構成される。
ベース4には、底部41と壁部44とによって囲まれたキャビティ46が形成され、このキャビティ46は、図1,2に示すように、平面視略矩形状に形成され、キャビティ46の壁面がテーパー状に形成されている。本実施の形態では、キャビティ46は、平面視長方形に形成されている。
また、ベース4の筐体裏面(他主面43)の四隅にキャスタレーション47が形成されている(図1,2参照)。これらキャスタレーション47は、筐体側面に形成され、ベース4の他主面43の四隅に沿って形成されている。
また、ベース4には、水晶振動片2の励振電極31,32それぞれと電気機械的に接合する一対の電極パッド51,52と、外部部品や外部機器と電気的に接続する外部端子電極53,54と、電極パッド51と外部端子電極53、および電極パッド52と外部端子電極54を電気的に接続させる配線パターン(図示省略)とが、形成されている。これら電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとによりベース4の電極55が構成される。電極パッド51,52は、ベース4のキャビティ46の短辺方向に対向する隅部であって、長手方向の一端部に形成され、外部端子電極53,54は、キャスタレーション47に形成されている。これら電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとは、第1接合層45と同一材料による構成からなり、第1接合層45と同時に形成される。
また、ベース4には、図1,2に示すように、水晶振動片2の励振電極31,32をキャビティ46内からキャビティ46外へ導通させるためのビア48が形成されている。このビア48を介して、配線パターンが、ベース4の一主面42の電極パッド51,52から他主面43の外部端子電極53,54にかけてパターン形成されている。ビア48の内側面481は、ベース4の一主面42および他主面43に対して傾斜を有しテーパー状に形成されている。ビア48は、ベース4の他主面43にあたるビア48の他端の径が最大となり、ベース4の一主面42にあたるビア48の一端の径が最小となる。また、ビア48の内部には、Cuから構成される導通部材56が充填されている。
蓋6は、図1,3に示すように、透過性材料のSiと添加剤とを含むホウケイ酸ガラスからなり、平面視矩形状の直方体の一枚板に成形されている。この蓋6には、下面に蓋と接合する第2接合層61が形成されている。蓋6の平面視の寸法は、2.5mm×2.0mm以下に設定されている。なお、本実施の形態では、平面視の寸法が1.6mm×1.2mmに設定された基板を用いる。
蓋6の第2接合層61は、図3に示すように、MoからなるMo膜611が形成され、その上にシード層であるAuからなるAu膜612が形成された複数の層の積層構造からなる。この蓋6の第2接合層61は、蓋6の下面61の外周に沿って形成されている。Mo膜611は、スパッタ法によりスパッタ形成されている。Au膜612は、スパッタ法によりスパッタ形成されている。
また、蓋6の第2接合層61上に、接合材71が積層されている。接合材71は、第2接合層61上に積層してメッキ形成されたAuとSnとの合金からなるAn/Sn膜711と、このAn/Sn膜711上に積層して形成されたAu膜712とから構成される。Au膜712は、An/Sn膜711上に積層してメッキ形成されたAuストライクメッキ膜と、Auストライクメッキ膜上に積層してメッキ形成されたAuメッキ膜とから構成される。
水晶振動片2は、ATカット水晶片の基板21からなり、その外形は、図1,4に示すように、平面視略矩形状の(両主面22,23が略矩形状に形成された)一枚板の直方体となっている。なお、本実施の形態では、水晶振動片2の対向する平面視長辺のことを、一側辺24と他側辺25という。
この水晶振動片2には、振動領域を構成する振動部26と、外部電極であるベース4の電極パッド51,52と接合する接合部27とが設けられ、振動部26と接合部27とが一体成形されて基板21が構成される。また、接合部27では、基板21の平面視短辺の中央部分の位置を切り欠いている。
この水晶振動片2には、励振を行う一対の励振電極31,32と、ベース4の電極パッド51,52と電気機械的に接合する一対の端子電極33,34と、一対の励振電極31,32を一対の端子電極33,34に引き出す引出電極35,36とが形成されている。一対の励振電極31,32は、引出電極35,36により引回されて一対の端子電極33,34にそれぞれ電気的に接続されている。
一対の励振電極31,32は、基板21の両主面22,23であって振動部26の平面視中央に対向して形成されている。これら一対の励振電極31,32は、例えば、基板21側からCr、Auの順に積層して形成されたCr−Au膜により構成される。これら一対の励振電極31,32の厚さ寸法は、0.03μm〜0.1μmの範囲に設定され、本実施の形態では、一対の励振電極31,32の厚さ寸法は0.3μmである。
一対の端子電極33,34は、接合部27の他主面23に形成されている。一対の端子電極33,34のうち一端子電極33は、基板21の一側辺24を含むその近傍に形成され、他端子電極34は、他側辺25を含むその近傍に形成されている。これら一対の端子電極33,34は、例えば、励振電極31,32と同様に、基板21側からCr、Auの順に積層して形成されたCr−Au膜により構成される。また、一対の端子電極33,34は、図4に示すように、上層と下層からなる二層構造となっており、上層はAuから構成され、下層はCr―Auから構成されている。下層の主面(平面視の面)の面積は、上層の主面(平面視の面)の面積に対して大きい。これら一対の端子電極33,34の厚さ寸法は、1μm〜5μmの範囲に設定され、本実施の形態では、一対の端子電極33,34の厚さ寸法は2μmである。
引出電極35,36は、振動部26および接合部27に形成され、振動部26から接合部27に亘り、対向せずに基板21の両主面22,23に形成されている。これら引出電極35,36は、例えば、励振電極31,32と同様に、基板21側からCr、Auの順に積層して形成されたCr−Au膜により構成される。これら引出電極35,36の厚さ寸法は、0.03μm〜0.1μmの範囲に設定され、本実施の形態では、引出電極35,36の厚さ寸法は0.3μmである。
上記した構成からなる水晶振動子1では、図1に示すように、ベース4と水晶振動片2とは、導電性バンプ72を介してFCB法により電気機械的に超音波接合される。この接合により、水晶振動片2の励振電極31,32が、引出電極35,36、端子電極33,34、導電性バンプ72を介してベース4の電極パッド51,52に電気機械的に接合され、ベース4に水晶振動片2が搭載される。そして、水晶振動片2が搭載されたベース4に、蓋6が接合材71を介して加熱溶融により(具体的にはFCB法により)電気機械的に接合(具体的には超音波接合)され、水晶振動片2を気密封止した水晶振動子1が製造される。導電性バンプ72には、非流動性部材のメッキバンプが用いられている。
次に、この水晶振動子1およびベース4の製造方法について図面を用いて説明する。
ベース4を多数個形成するホウケイ酸ガラスからなるウエハ8の両主面81,82を洗浄する(図5参照)。
ウエハ8の洗浄を終えると、図6に示すように、その両主面81,82にMoからなるMo層をスパッタ法によりスパッタ形成する。Mo層の形成後、Mo層上に、Au層をスパッタ法によりスパッタ形成して積層し、保護層91を形成する。
保護層91をウエハ8の両主面81,82に形成した後に、図7に示すように、保護層91上にレジストをスピンコート法により塗布し、ポジレジスト層94を形成する。
ポジレジスト層94を保護層91上に形成した後に、図8に示すように、予め設定したパターン形成を行うために露光および現像を行なう。なお、ここで予め設定したパターン形成とは、ベース4の外形とキャビティ46とビア48とのパターン形成のことをいう。
露光および現像を行ない所定のパターン形成した後に、図9に示すように、露出した保護層91をメタルエッチングする。
メタルエッチングを終えた後に、図10に示すように、保護層91をマスクとし、エッチング液を用いたウェットエッチング法によりベース4の外形の一部とキャビティ46とビア48とをエッチング形成する。
ウエハ8のエッチングを終えた後に、図11に示すように、ポジレジスト層94を剥離除去する。
ポジレジスト層94を剥離除去した後に、図12に示すように、保護層91をメタルエッチングして除去し、ウエハ8の両主面81,82全面を露出させる。
保護層91をメタルエッチングした後に、ウエハ8(両主面81,82やビア48の内側面481など)に、MoからなるMo層をスパッタ法によりスパッタ形成する。Mo層の形成後、Mo層上に、AuからなるAu層をスパッタ法によりスパッタ形成して積層し、図13に示すように、メタル層92を形成する。ここで形成したメタル層92が、Mo膜451と、Au膜452のスパッタリング膜となる。
メタル層92をウエハ8の両主面81,82に形成した後に、メタル層92上にレジストをディップコート法により塗布し、新たなポジレジスト層94を形成する。
ポジレジスト層94をメタル層92上に形成した後に、図14に示すように、ビア48上のポジレジスト層94に対して露光および現像を行ない、ビア48のパターン形成を行う。
露光および現像を行い露出したビア48に、図15に示すように、Cuからなる導通部材56を充填する。
ビア48内に導通部材56を充填した後に、図16に示すように、ポジレジスト層94を剥離除去する。
ウエハ8からポジレジスト層94を剥離除去した後、メタル層92上にレジストをディップコート法により塗布し、新たなポジレジスト層94を形成する。
ポジレジスト層94をメタル層92上に形成した後に、ベース4の第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54とを形成する位置上のポジレジスト層94に対して露光および現像を行ない、図17に示すように、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54とを形成する位置上のポジレジスト層94のパターン形成を行う。
露光および現像を行い露出したメタル層92上に、図18に示すように、AuからなるAu層93をメッキ形成し、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54との外形を形成する。ここで形成したAu膜93が、Au膜452のメッキ膜となる。
第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54とを形成した後に、図19に示すように、ポジレジスト層94を剥離除去する。
ウエハ8からポジレジスト層94を剥離除去した後、図20に示すように、ウエハ8上にレジストをディップコート法により塗布し、新たなポジレジスト層94を形成する。
ポジレジスト層94をウエハ8上に形成した後に、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとを形成するために、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとを形成する位置以外のウエハ8上のポジレジスト層94の露光および現像を行ない、図21に示すように、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとのパターン形成を行う。
第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとのパターン形成を行なった後に、図22に示すように、露光および現像を行い露出したメタル層92をメタルエッチングして除去し、第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとを形成する。
第1接合層45と電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとを形成した後に、図23に示すように、ポジレジスト層94を剥離除去し、ベース4をウエハ8に多数個形成する。
ベース4をウエハ8に多数個形成した後に、多数個のベース4を個別分割して多数個のベース4を個片化し、多数個の図2に示すベース4を製造する。
図2に示すベース4に、図4に示す水晶振動片2を配し、導電性バンプ72を介してベース4に水晶振動片2をFCB法により電気機械的に超音波接合して、ベース4に水晶振動片2を搭載保持する。また、別工程で、蓋6の第2接合層61上に接合材71を積層する。その後、水晶振動片2を搭載保持したベース4を蓋6に配し、ベース4の第1接合層45と蓋6の第2接合層61とを接合材71を介してFCB法により電気機械的に超音波接合して、図1に示す水晶振動子1を製造する。
なお、上記のベース4の製造工程のうち、上記のフォトリソ法によってパターン形成されたメタル層92およびAu層93により、Mo膜451およびAu膜452からなる電極55をベース4に形成する工程を、電極形成工程という。
本実施の形態にかかる水晶振動子1によれば、水晶振動片2の励振電極31,32を気密封止するベース4と蓋6とが設けられ、ベース4と蓋6とがSn合金から構成された接合材71を用いて接合され、ベース4はSiを含む材料からなり、ベース4の接合面には、Crの熱膨張係数よりも低い熱膨張係数を有する熱膨張材料を含む第1接合層45が形成されるので、ベース4がポーラスな材質ではなく、その厚さを薄くすることができ、水晶振動子1の低背化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、Auよりも安価な材料であるMoを第1接合層45に用いているので、コスト削減を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、Sn合金から構成された接合材71を介してベース4と蓋6とを接合するため、ベース4の第1接合層45が接合材71に拡散するのを抑えて、第1接合層45がベース4から剥離するのを抑えることができる。その結果、接合材71とベース4との接合強度を向上させることができ、その結果、接合材71を介したベース4と蓋6との接合強度を向上させることができる。
また、低熱膨張材料にMoが用いられ、ベース4と蓋6とが接合材71を用いて加熱溶融(FCB法)により接合される。ここでいうMoは、物性上、Siを含む材料からなるベース4や蓋6との密着性が強く、また、接合材71が第1接合層45へ拡散するのを抑えることができる。そのため、加熱溶融した接合材71の影響がベース4や蓋6に及ぶのを抑制することができる。
また、ベース4に対して低熱膨張材料であるMo膜451上にシード層であるAu膜452が積層され、蓋6に対して低熱膨張材料であるMo膜611上にシード層であるAu膜612が積層されるので、ベース4のMo膜451にAu膜452を安定的に形成させ、蓋6のMo膜611にAu膜612を安定的に形成させることができ、さらに、ベース4と蓋6との接合面それぞれに形成されたベース4のMo膜451および蓋6のMo膜611に、接合材71が拡散するのを抑制することができ、その結果、ベース4と蓋6と接合材71との接合状態を安定させることができる。
また、ホウケイ酸ガラスからなるベース4は添加剤を含むので、第1接合層45にNiを用いた(本実施の形態と異なる形態の)場合と比較して、第1接合層45がバリアの役割を成して、接合材71とベース4との反応を抑えることができ、ベース4に対する第1接合層45の形成強度を保つことができる。その結果、本実施の形態によれば、ベース4から第1接合層45が剥がれるのを抑えることができ、ベース4に対する第1接合層45の形成が良好となる。
また、Siを含む材料からなるベース4に低熱膨張材料を含む電極55が形成されるので、ベース4への電極55の接合が安定する。特に、ベース4に低い熱膨張係数を有するものを適用した場合、両者(ベース4と電極55)の低い熱膨張特性が相まって、ベース4への電極55の接合がさらに安定する。
また、本実施の形態にかかる水晶振動子1のベース4の製造方法によれば、ベース4にSiと添加剤とを含むホウケイ酸ガラスを用い、ベース4に電極55を形成する電極形成工程を有し、電極形成工程では、Crの熱膨張係数よりも低い熱膨張係数を有する熱膨張材料を用いてスパッタ法により電極55を形成するので、ベース4がポーラスな材質ではなく、その厚さを薄くすることができ、水晶振動子1の低背化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、電極形成工程を有するので、電極55がポーラス状態となるのを抑制して、電極55にピンホールが形成されるのを抑えることができる。この効果は、特に電極55にCrを用いた場合と比較して顕著である。また、電極55としてCrを用いた(本実施の形態と異なる形態の)場合、さらに添加剤が原因となってベース4に対する電極55の形成不良(剥がれなど)が起こるが、本実施の形態によれば、ベース4に対する電極55の形成不良(剥がれなど)が起こるのを抑えて、ベース4に対する電極55の形成が良好となる。
さらに、本実施の形態にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、ベース4にホウケイ酸ガラスを用いているので、ベースにセラミック材料を用いた従来技術の問題を解決することができる。具体的に、Siを含むベース4は、セラミック材料のようなポーラスな材質ではなく、ベース4の強度を保つためには一定の高さを有する必要はなく、任意の高さに設定することができる。すなわち、ベース4の低背化を図ることができる。さらに、従来技術に示すように、ベースにセラミック材料を用いた場合、本実施の形態でいう電極55にCrからなるCr層と、AuからなるAu層を積層した電極を採用することが多い。このような電極の構成の場合、水晶振動子の製造工程において加熱プロセスを行うと、CrがAuに拡散していき、ベースから電極が剥がれ易くなるが、本実施の形態によれば、このような不具合は生じない。
なお、本実施の形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子を適用しているが、これに限定されるものではなく、圧電振動を行う圧電振動片の励振電極を気密封止する圧電振動デバイスであれば、他のデバイスであってもよく、例えば水晶発振器であってもよい。
また、本実施の形態では、ベース4と蓋6とから水晶振動子1のパッケージを構成しているが、これに限定されるものではなく、ベース4と水晶振動片2と蓋6とを積層し、サンドイッチ構造とした水晶振動子1のパッケージであってもよい。このサンドイッチ構造の水晶振動子1では、水晶振動片2の両主面22,23にベース4や蓋6と接合するための接合層(例えば、上記の第1接合層45や第2接合層61と同構成の接合層)が形成され、ベース4と水晶振動片2とが接合材71を介して接合され、水晶振動片2と蓋6とが接合材71を介して接合される。この場合、例えば、水晶振動片2の励振電極32がベース4と水晶振動片2とによって気密封止され、水晶振動片2の励振電極32が蓋6と水晶振動片2とによって気密封止される。
また、本実施の形態では、箱状体のベース4と一枚板の蓋6とから本体筐体が構成されているが、これに限定されるものではなく、箱状体のベースと箱状体の蓋とから本体筐体が構成されてもよく、一枚板のベースと箱状体の蓋とから本体筐体が構成されてもよい。
また、本実施の形態では、ベース4に第1接合層45が形成され、蓋6に第2接合層61が形成されているが、これに限定されるものではなく、ベース4に第2接合層61が形成され、蓋6に第1接合層45が形成されてもよい。
また、本実施の形態では、ベース4と蓋6とを接合する前に蓋6に接合材71を形成しているが、これに限定されるものではなく、ベース4と蓋6とを接合する前にベース4に接合材71を形成してもよい。
また、本実施の形態では、平坦な基板21に形成された一対の端子電極33,34が二層構造となっているが、これに限定されるものではなく、一対の端子電極33,34を形成する基板部分の水晶が凸状に成形され、この凸状に形成された基板部分に、CrとAuとを用いた一層構造もしくは複数層構造の一対の端子電極が形成されてもよい。
また、本実施の形態では、一対の端子電極33,34が二層構造となっているが、これに限定されるものではなく、一層構造であっても、三層構造以上の複数層構造であってもよい。
また、本実施の形態では、ベース4の第1接合層45がMo膜451とAu膜452とから構成されているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、例えば、第1接合層45がMo膜のみから構成されてもよい。
また、本実施の形態では、ベース4の第1接合層45にMo膜451を用いているが、これに限定されるものではなく、Mo膜451の代わりにWからなるW膜を用いてもよい。
また、本実施の形態では、ベース4のシード層として、AuからなるAu膜452を用いているが、これに限定されるものではなく、接合材71(特にSn)が低熱膨張材料であるMo膜451に拡散するのを抑えるものであれば、他の材料であってもよい。
また、本実施の形態では、蓋6の第2接合層61がMo膜611とAu膜612とから構成されているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、例えば、第2接合層61がMo膜のみから構成されてもよい。
また、本実施の形態では、蓋6の第2接合層61にMo膜611を用いているが、これに限定されるものではなく、Mo膜611の代わりにWからなるW膜を用いてもよい。
また、本実施の形態では、蓋6のシード層として、AuからなるAu膜612を用いているが、これに限定されるものではなく、接合材71(特にSn)が拡散するのを抑えるものであれば、他の材料であってもよい。
また、本実施の形態では、Cuから構成される導通部材56はCuから構成されているが、これに限定されるものではなく、AuとSnとの溶融拡散によりAuとSnとが均一に混在したSn合金から構成されてもよい。この場合、ビア48内では、ベース4の両主面42,43における導通部材56の端面が、AuとSnが溶融拡散によりそれぞれ主面42,43の面方向に引っ張られてベース4の両主面42,43に対して凹形状となる。このAuとSnの溶融拡散によりベース4と導通部材56との接合を良好にし、ベース4と導通部材56との間に隙間が生じるのを抑制して、ベース4に対する導通部材56の充填不良を抑えることができる。
また、本実施の形態では、振動部26と接合部27の厚みを同じ厚みとしているが、これに限定されるものではなく、振動部26の厚みを薄くし、高周波化に対応させてもよい。
また、本実施の形態では、接合材71として、AuとSnとからなるSn合金を用いているが、Sn合金に含まれるのはAuに限定されるものではなく、Ag,Cu,Niであってもよく、また、これらの材料を複数合わせてもよい。
また、本実施の形態では、Mo膜451とAu膜452とからなる電極55をベース4に形成する工程を電極形成工程とし、電極55は電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンの全電極構成となっているが、電極形成工程により形成する電極55の構成は、これに限定されるものではなく、電極パッド51,52と外部端子電極53,54と配線パターンとのいずれかであってもよい。
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。