図1は本発明の一の実施の形態に係るインクジェット方式の画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、シート状の透明な基材(例えば、プラスチックフィルム)9上に複数の色成分の画像を重ねて記録するプリンタである。画像記録装置1は、インクの微小液滴を基材9に向けて吐出するヘッド21、ヘッド21を図1中のX方向へと基材9に沿って移動するヘッド移動機構22、ヘッド21の下方にてX方向に垂直なY方向へと基材9を移動させる送り機構3、各種演算を行う演算部4、ヘッド21、ヘッド移動機構22、送り機構3および演算部4に接続される本体制御部10を備える。
送り機構3は、図示省略のモータに接続された2つのベルトローラ31、および、2つのベルトローラ31の間に掛けられたベルト32を有する。基材9は、モータ331の駆動により回転する第1ローラ911から引き出され、テンション調整機構341を介してベルト32上へと導かれて吸引吸着により保持される。そして、基材9は、ベルト32と共にヘッド21の下方を通過して(+Y)側へと移動し、テンション調整機構342を介してモータ332の駆動により回転する第2ローラ912に巻き取られる。なお、画像記録装置1では、第2ローラ912から基材9を引き出し、ヘッド21の下方にて(−Y)側へと移動して、第1ローラ911にて巻き取ることも可能となっている。ヘッド移動機構22は、X方向に伸びるレールを有し、図示省略のモータを駆動することにより、ヘッド21が当該レールに案内されつつX方向に移動する。
図2はヘッド21の底面図である。ヘッド21には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタのインクをそれぞれ吐出する6個のモジュール211(図2では、2つのモジュールのみに符号211を付している。後述の図3において同様。)がX方向に配列され、これらのモジュール211に対して(−X)側かつ(−Y)側にずれた位置にホワイトのインクを吐出するモジュール211aが配置される。各モジュール211,211aには、それぞれがインクの微小液滴を基材9に向けて(図1中の(−Z)方向に)吐出する複数の吐出口210が形成され、複数の吐出口210は基材9に平行な面(XY平面に平行な面)上においてY方向に一定のピッチにて配列される。なお、図2の各モジュール211,211aには5個の吐出口210のみが図示されているが、実際には、多数の吐出口が形成されている。各色のインクは紫外線硬化剤を含んでおり、紫外線硬化性を有している。本実施の形態では、モジュール211,211aが圧電素子を有することにより吐出口210からの微小液滴の吐出が実現されるが、他の手法により微小液滴を吐出するモジュールが採用されてもよい。
また、ヘッド21には、複数のモジュール211,211aの(−X)側に2つの光照射部212,212aが設けられ、複数のモジュール211,211aの(+X)側にも2つの光照射部212,212aが設けられる。(−X)側および(+X)側の2つの光照射部212は、Y方向に関して(その中央が)複数のモジュール211とおよそ同位置に配置され、(−X)側および(+X)側の2つの光照射部212aは、Y方向に関して1つのモジュール211aとおよそ同位置に配置される。これらの光照射部212,212aは図示省略の光源に接続されており、各光照射部212,212aにより、基材9上においてY方向に伸びる線状の領域に紫外線が照射される。後述するように、ヘッド21がX方向に連続移動しつつ複数のモジュール211,211aからインクが吐出されるため、基材9上に着弾したインクは、その直後に光照射部212,212aからの紫外線により硬化する。
図3は、画像記録時におけるヘッド21の基材9に対する相対移動を示す図である。なお、図3では、ホワイト以外の色のインク(本実施の形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタのインクであり、以下、ホワイトのインクと区別するために「カラーインク」という。)を吐出する6個のモジュール211および2個の光照射部212のみを模式的に図示している。
画像記録時には、図3中に実線にて示すヘッド21がインクを吐出しつつ(−X)方向(図3中にて符号A1を付す矢印の方向)に移動し、図3中に二点鎖線にて示すように、ヘッド21が基材9の(−X)側へと到達した後に基材9が(+Y)側に所定距離だけ移動する(すなわち、図3中にて符号A2を付す矢印の方向にヘッド21が基材9に対して相対的に副走査する。)。そして、ヘッド21がインクを吐出しつつ(+X)方向(図3中にて符号A3を付す矢印の方向)に移動し、基材9の(+X)側へと到達した後に基材9が(+Y)側に移動する。このように、画像記録装置1ではヘッド21が基材9に対してX方向に相対的に主走査するとともに、主走査が完了する毎に、Y方向に相対的に副走査する。
実際には、カラーインク用の複数のモジュール211の(−Y)側に配置されるホワイトのモジュール211a(図2参照)により、基材9上の各部位にホワイトの画像(背景)が先行して記録され、当該画像上にカラーインク用の複数のモジュール211からのカラーインクによりカラーの画像が記録される。なお、基材9の裏面に画像を記録する際には、基材9を図1の第2ローラ912から引き出し、ヘッド21の下方にて(−Y)側へと移動して、基材9が第1ローラ911にて巻き取られる。これにより、カラーインク用の複数のモジュール211により、基材9上の各部位にカラーの画像が先行して記録され、当該画像上にホワイトのモジュール211aによりホワイトの背景が記録される。
図4は、画像記録装置1の機能構成を示すブロック図である。演算部4は、外部から入力されるカラーの画像のデータ(すなわち、各画素がホワイトを除く複数の色成分の階調値を有する画像データであり、以下、「元画像データ」という。)を記憶する画像メモリ41、複数の色成分(ホワイトを除く。)の閾値マトリクスをそれぞれ記憶するメモリである複数のマトリクス記憶部42(SPM(Screen Pattern Memory)とも呼ばれる。)、元画像データと閾値マトリクスとを色成分毎に比較する比較部である比較器43(ハーフトーン化回路)、および、本体制御部10における制御に利用される各種信号を生成する制御信号生成部44を備える。なお、元画像データと閾値マトリクスとを比較する比較部はソフトウェアにて実現されてもよい。また、本体制御部10は、ヘッド21の基材9に対する相対移動を制御する移動制御部102、および、ヘッド21の相対移動に同期してヘッド21の複数の吐出口210からのインクの吐出を制御する吐出制御部101を備える。
次に、画像記録装置1が画像を記録する動作について説明する。なお、画像記録装置1が基材9上に画像を記録する際には、後述の閾値マトリクス生成処理により、予め閾値マトリクスが色成分毎に生成されて、図4のマトリクス記憶部42に記憶されている。
画像記録装置1では、外部のコンピュータから演算部4の画像メモリ41にカラーの元画像データが入力されて記憶される。図5は、元画像データ70および閾値マトリクス710を抽象的に示す図である。元画像データ70および閾値マトリクス710のそれぞれでは、主走査方向に対応する行方向(図5中にてx方向として示す。)、および、副走査方向に対応する列方向(図5中にてy方向として示す。)に複数の画素または複数の要素が配列されている。以下の説明では、元画像データは0〜255までの階調範囲にて表現されるものとする。また、単に階調範囲におけるレベルを意味する場合に、画像データにおける画素の値(画素値)である階調値と区別して、各階調値を階調レベルと呼ぶ。
元画像データ70が画像メモリ41にて記憶されると、元画像データ70を色成分毎に閾値マトリクス710と比較することにより、元画像データが示す多階調の画像(顕在化した画像であり、以下、「元画像」という。)を表現するためのカラーのハーフトーン画像データ(実際には、基材9上に記録された場合にFMスクリーンにより表現される画像)が生成される。以下の説明では、元画像に基づいて当該元画像を表現するハーフトーン画像を基材9上に記録する処理のみならず、元画像データ70からハーフトーン画像データを生成する処理もハーフトーン化と呼ぶ。
元画像データ70のハーフトーン化の際には、図5に示すように元画像データ70が示す全体の領域を同一の大きさの多数の領域に分割してハーフトーン化の単位となる繰り返し領域71が設定される。各マトリクス記憶部42は1つの繰り返し領域71に相当する記憶領域を有し、この記憶領域の各アドレス(座標)に閾値が設定されることにより閾値マトリクス710を記憶している。そして、概念的には元画像データ70の各繰り返し領域71と各色成分の閾値マトリクス710とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の当該色成分の階調値(画素値)と閾値マトリクス710の対応する閾値とが比較されることにより、基材9上のその画素の位置に描画(当該色のドットの形成)を行うか否かが決定される。
実際には、図4の比較器43が有するアドレス発生器からのアドレス信号に基づいて画像メモリ41から元画像データ70の1つの画素の階調値が色成分毎に読み出される。一方、アドレス発生器では元画像データ70中の当該画素に相当する繰り返し領域71中の位置を示すアドレス信号も生成され、各色成分の閾値マトリクス710における1つの閾値が特定されてマトリクス記憶部42から読み出される。そして、画像メモリ41からの階調値とマトリクス記憶部42からの閾値とが比較器43にて色成分毎に比較されることにより、各色成分の2値の出力画像データにおけるその画素の位置(アドレス)の階調値が決定される。したがって、一の色成分に着目した場合に、図5に示す多階調の元画像データ70において、階調値が閾値マトリクス710の対応する閾値よりも大きい位置には、例えば、階調値「1」が付与され(すなわち、ドットが置かれ)、残りの画素には階調値「0」が付与され(すなわち、ドットは置かれず)、2値の出力画像データが当該色成分のハーフトーン画像データとして生成される。
以上のように、図4の演算部4は、入力された元画像データが有する複数の階調値と、閾値マトリクス710が有する複数の閾値とを、比較器43により互いに対応する画素位置(閾値マトリクス710では要素位置)において比較することにより、元画像をハーフトーン化する(すなわち、当該元画像を表現するハーフトーン画像を基材9上に記録する)ためのハーフトーン画像データを生成するハーフトーン画像データ生成部となっている。演算部4はハーフトーン画像データ生成装置と捉えることもできる。
制御信号生成部44では、ハーフトーン画像データに従ってヘッド21の制御信号(ON/OFF信号)が生成され、本体制御部10に出力される。なお、制御信号生成部44では、送り機構3のタイミング信号や送り量、あるいは、ヘッド移動機構22によるヘッド21の移動速度や移動量等を示す信号も生成され、本体制御部10へと出力される。
図1の画像記録装置1では、元画像データ70において最初に記録される部分(例えば、最も(+y)側の複数の繰り返し領域71)のハーフトーン画像データ(の部分)が各色に対して生成されると、移動制御部102が、ヘッド移動機構22および送り機構3を駆動することによりヘッド21の主走査、および、ヘッド21の間欠的な副走査が開始され、上記ハーフトーン化処理(ハーフトーン画像データの生成処理)に並行して、ヘッド21の基材9に対する相対移動に同期しつつヘッド21の各モジュール211に含まれる複数の吐出口210からのインクの吐出が吐出制御部101により制御される。
ここで、ハーフトーン画像データは基材9上に画像を記録するためのデータであるため、ハーフトーン画像データの複数の画素は基材9上に配列して設定されていると捉えることができ、吐出制御部101では、ドット形成部であるヘッド21の基材9に対する相対移動に同期して、各吐出口210の基材9上の吐出位置(すなわち、ドットの形成位置)に対応するハーフトーン画像データの階調値が「1」である場合には当該吐出位置にドットが形成され、ハーフトーン画像データの階調値が「0」である場合には当該吐出位置にはドットは形成されない。このようにして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタのそれぞれに関して、複数の吐出口210にそれぞれ対応する基材9上の複数の吐出位置を基材9に対して相対的に移動しつつ、複数の吐出位置における元画像データ70の階調値と閾値マトリクス710の対応する閾値との比較結果(すなわち、ハーフトーン画像データ)に従って、複数の吐出口210からのインクの吐出が制御される。実際には、ホワイトのインクを吐出するモジュール211aの吐出制御も行われる。
画像記録装置1では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタに関して、ハーフトーン画像データを生成しつつ当該ハーフトーン画像データに従って画像を記録する動作が並行して行われ、基材9上(正確には、ホワイトの背景上)にカラーの元画像を表現するカラーのハーフトーン画像が記録される。基材9上にハーフトーン画像の全体が記録されると、ヘッド21の基材9に対する相対移動が停止し、画像記録装置1における画像記録動作が終了する。
次に、画像記録装置1にて用いられる閾値マトリクスの生成について説明する。図6は、閾値マトリクスを生成するコンピュータ6の構成を示す図である。
コンピュータ6は、各種演算処理を行うCPU61、基本プログラムを記憶するROM62および各種情報を記憶するRAM63をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインにはさらに、情報記憶を行う固定ディスク65、各種情報の表示を行うディスプレイ66、操作者からの入力を受け付けるキーボード67aおよびマウス67b、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体81から情報の読み取りを行ったり記録媒体81に情報の書き込みを行う読取/書込装置68、並びに、外部との通信を行う通信部69が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。
コンピュータ6には、事前に読取/書込装置68を介して記録媒体81からプログラム810が読み出され、固定ディスク65に記憶される。そして、プログラム810がRAM63にコピーされるとともにCPU61がRAM63内のプログラムに従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ6が、既述の閾値マトリクス710を生成する閾値マトリクス生成装置としての処理を行う。閾値マトリクス710のデータは、読取/書込装置68にて(コンピュータを含む)電子装置読み取り/書き込み可能な記録媒体82に記録され、記録媒体82が画像記録装置1の演算部4にて読み取られることによりマトリクス記憶部42に記憶される。もちろん、通信部69を介して閾値マトリクス710のデータが演算部4に送信されてもよい。
図7はコンピュータ6が実現する機能構成を示すブロック図であり、図8はコンピュータ6が閾値マトリクスを生成する処理の流れを示す図である。以下、図8の処理の流れに沿って一の色の閾値マトリクスを生成する処理について説明する。なお、他の色の閾値マトリクスの生成については後述する。
図7の第1閾値決定部51では、後述するマトリクス領域の全ての位置に閾値を配置することにより、全階調範囲0〜255内の一の階調レベルにて一様な画像データ(すなわち、全ての画素が同じ階調値を有する画像データであり、以下、「仮元画像データ」ともいう。)から生成されるハーフトーン画像データ(以下、「仮ハーフトーン画像データ」ともいう。)に従って、基材9上にハーフトーン画像を記録した場合に、当該ハーフトーン画像の周波数スペクトルがブルーノイズ特性を示すような閾値マトリクス(最終的に生成される閾値マトリクス710と区別するために、以下、「初期閾値マトリクス」という。)が生成される(ステップS11)。なお、後述する他の閾値マトリクス生成処理のステップS11の処理では、マトリクス領域内の一部の位置に一部の閾値のみが配置されるため、図8のステップS11では、一般化した処理の内容が記載されている。
図9は、初期閾値マトリクスを生成する処理の流れを示す図であり、図8のステップS11にて行われる処理を示している。本実施の形態では、特開2008−199154号公報(特許文献2)と同様の手法により、初期閾値マトリクスが生成される。
具体的には、まず、一の色の閾値マトリクスを記憶する領域であって、主走査方向に対応する行方向および副走査方向に対応する列方向にて規定されるマトリクス領域が設定されるとともに、マトリクス領域内に配置される基本タイルが準備される。
図10.Aおよび図10.Bは、第1閾値決定部51にて準備される2種類の基本タイル731,732をそれぞれ示す図である。基本タイル731,732とは、マトリクス領域内においてその位置における仮想ドット(基材9上に形成されるドットではなく、第1閾値決定部51の処理における仮想的なドット)の存在を示す2つのON要素721、および、仮想ドットの不存在を示す2つのOFF要素722から成る2行2列の要素配列であり、図10.Aおよび図10.Bでは、ON要素721に平行斜線を付すことによりON要素721とOFF要素722とを区別して図示している。
続いて、図11に示すように、マトリクス領域72内にて一の種類の複数の基本タイル731が行方向(x方向)および列方向(y方向)に配列され、要素マトリクス720が構成される(ステップS111)。図11では、複数の基本タイル731が行方向および列方向に9行9列にて配列されて、18行18列にて要素が配列される要素マトリクス720が構成されている。なお、要素マトリクス720の大きさ(すなわち、ステップS111にて配列される基本タイル731の個数)は生成する予定の閾値マトリクスの大きさに応じて適宜変更されてよく、正方行列である必要もない。以下の説明では、要素マトリクス720がK行L列の要素配列であるものとし、図11中の各基本タイル731の位置をタイル位置と呼ぶ。
マトリクス領域72内に図10.Aの基本タイル731が一様に配列されると、任意の1つのタイル位置の基本タイル731が他の種類の基本タイル732(以下、「置換基本タイル732」と呼ぶ。)に置き換えられる。ここでは、図11中の左上の基本タイル731aが選択されて、図12中に太線の矩形にて囲んで示すように置換基本タイル732aに置き換えられる。
続いて、マトリクス領域72内の各タイル位置に対して後述の評価関数を用いて評価値が算出される。そして、後述するように、評価値に基づいて既存の置換基本タイル732aから最も離れた1つのタイル位置が特定され、当該タイル位置の基本タイル731が置換基本タイル732に置き換えられる。このとき、元画像データ70のハーフトーン化時には閾値マトリクス710が図5に示す繰り返し領域71に対応して上下左右に反復適用されることから、置換基本タイル732aは要素マトリクス720内に存在するもの以外に、図12中に太い破線にて示すように、要素マトリクス720(以下、「中央の要素マトリクス720」とも呼ぶ。)の8近傍に想定される要素マトリクス720(図12中に二点鎖線にて示す。)内にも繰り返し存在するものとされる。また、後述するように、置換基本タイルへの置き換え処理は複数回繰り返されて複数の基本タイル731が置換基本タイル732に置き換えられる。したがって、n番目に置き換えられる基本タイル731のタイル位置を求める際におけるマトリクス領域72内の座標(xt,yt)の各タイル位置の評価値Etn(xt,yt)は、中央の要素マトリクス720およびこの要素マトリクス720の8近傍に想定される要素マトリクス720の番号をrとし、r番目の要素マトリクス720内のm番目に置き換えられた置換基本タイル732のx方向およびy方向の位置をそれぞれxtmrおよびytmrとして、数1により求められる。
マトリクス領域72内の各タイル位置に対して評価値が算出されると、評価値が最小となるタイル位置が特定される。例えば、図12の要素マトリクス720では図12中にて符号731bを付す基本タイルが特定され、この基本タイル731bが、図13中に太線の矩形にて囲んで示すように置換基本タイル732bに置き換えられる。ここで、数1の評価関数では、評価値として、中央の要素マトリクス720およびこの要素マトリクス720の8近傍に想定される要素マトリクス720における既存の置換基本タイル732と、中央の要素マトリクス720内の各タイル位置との間の距離の二乗の逆数の和が求められるため、評価値が最小となるタイル位置は、閾値マトリクス710の反復適用を前提として既存の置換基本タイル732から最も離れたものとなる。
第1閾値決定部51では、要素マトリクス720において各タイル位置に対して数1を用いて評価値を算出し、評価値が最小となるタイル位置の基本タイル731を置換基本タイル732に置き換える処理が、所定回数(例えば、要素マトリクス720内のタイル位置数の30〜70%に相当する回数)だけ繰り返される。このとき、図14.Aに示すように評価値が最小となるタイル位置の基本タイル731cを、図14.Bに示すように置換基本タイル732cに置き換えた際に、4行4列の要素配列において中央の2行2列の要素が全てON要素721となる場合や、図15.Aに示すように評価値が最小となるタイル位置の基本タイル731dを、図15.Bに示すように置換基本タイル732dに置き換えた際に、4行4列の要素配列において中央の2行2列の要素が全てOFF要素722となる場合には、基本タイル731c,731dの置換基本タイル732c,732dへの置き換えがキャンセルされ、評価値が次に小さいタイル位置の基本タイル731が置換基本タイル732に置き換えられる。
以上のようにして、閾値マトリクスの反復適用を考慮しつつ(すなわち、反復適用を前提としつつ)、ON要素721またはOFF要素722のみが2行2列に並ぶことを禁止する禁止条件に従うとともに、既存の置換基本タイル732から最も離れたタイル位置に新たな置換基本タイル732を実質的に配置する処理が、所定回数だけ繰り返される。その結果、図16に示すように、それぞれが複数種類の基本タイル731,732のいずれかである複数の基本タイルがマトリクス領域72内に配列された要素マトリクス720が取得される(ステップS112)。図16の要素マトリクス720では、同一種類の基本タイル731,732が不規則に分散しているため、ON要素721およびOFF要素722のそれぞれも不規則に配列されている。なお、図16では置き換えられた置換基本タイル732を太線の矩形にて囲んで示している。以下の説明では、図16の要素マトリクス720を基本要素マトリクス720と呼ぶ。
続いて、図16の基本要素マトリクス720において、全てのON要素721の集合をハイライトドットパターン741として、ハイライトドットパターン741上において任意の1つのON要素721が選択される。ここでは、最も(−x)側かつ最も(−y)側のON要素721aが選択されたものとし、図17にクロスハッチングを付す矩形にて示すように、このON要素721aに仮想ドットが配置される。そして、ハイライトドットパターン741上において各ON要素721に対して数1と同様の評価関数を用いて評価値が算出されることにより、既存の仮想ドットから最も離れた1つのON要素721が特定され、当該ON要素721に新たな仮想ドットが追加される。このとき、既述の基本タイルの置き換え処理と同様に、元画像データ70のハーフトーン化時の閾値マトリクスの反復適用が考慮される。
例えば、図17のハイライトドットパターン741では図17中にて符号721bを付すON要素が評価値が最小となるものとして特定され、このON要素721に新たな仮想ドットが追加される。ハイライトドットパターン741上の各ON要素721に対して評価値を算出し、評価値が最小となるON要素721に新たな仮想ドットを追加する上記処理は、全てのON要素721に仮想ドットが配置されるまで繰り返される。このように仮想ドットを追加する位置の順序である点灯順序が決定される(ステップS113)。
点灯順序が決定されると、図17の基本要素マトリクス720において、全てのOFF要素722の集合をシャドウドットパターン742として、シャドウドットパターン742上において、任意の1つのOFF要素722が選択され、当該OFF要素722を除く全てのOFF要素722に仮想ドットが配置される。続いて、上記点灯順番の決定処理と同様にして、シャドウドットパターン742上において各OFF要素722に対して評価値が算出されることにより、仮想ドットが不存在のOFF要素722から最も離れた1つのOFF要素722の仮想ドットが削除される。シャドウドットパターン742上の各OFF要素722に対して評価値を算出し、評価値が最小となるOFF要素722の仮想ドットを削除する上記処理は、全てのOFF要素722の仮想ドットが削除されるまで繰り返される。このように仮想ドットを削除する位置の順序である消灯順序が決定される(ステップS114)。
以上のようにして点灯順序および消灯順序が決定されると、シャドウドットパターン742において消灯順序が大きい要素から順に、(K×L/2+1)(既述のように、基本要素マトリクス720はK行L列の要素配列である。)から1ずつ増加する整数の番号がその位置に割り当てられ、これにより、要素マトリクス720の各要素に、仮元画像データの階調レベルの増加(全範囲に亘る増加)に従って、当該要素の位置に対応するハーフトーン画像中の画素にドットを形成するか否かが決定される。そして、元画像データが0〜255までの256(8bit)階調にて表現される場合には、0〜254の範囲に変換された順番が閾値として各要素に割り当てられ(すなわち、255階調に圧縮され)、初期閾値マトリクスが生成される(ステップS115)。
ここで、初期閾値マトリクスの生成では、ハイライトドットパターン741およびシャドウドットパターン742のそれぞれにおいて、任意の1つの要素を特定し、その後、閾値マトリクスの反復適用を考慮しつつ、特定済み要素から最も離れた要素を特定済み要素に変更する処理を繰り返すことにより、仮想ドットの点灯順序または消灯順序が決定されるため、仮に、全階調範囲内の一の階調レベルの仮元画像データから初期閾値マトリクスを用いてハーフトーン画像(すなわち、当該階調レベルにおけるドットパターン)を生成した場合、当該ハーフトーン画像ではドットが不規則かつ均一に分散し(すなわち、ドットの粗密が少なくなり)、当該ハーフトーン画像の周波数スペクトルが、低周波側よりも高周波側にて強度が高くなるブルーノイズ特性を示すこととなる。実際には、仮元画像データの階調レベルの増大に従ってハーフトーン画像における周波数スペクトルのピークは高周波側に移動するものとなる。
マトリクス領域72内の全ての位置に閾値が配置されて初期閾値マトリクスが生成されると(図8:ステップS11)、図7の第2閾値決定部52では、マトリクス領域72において、一部の閾値の配置が修正される(ステップS12)。なお、後述する他の閾値マトリクス生成処理では、ステップS11の処理にて一部の要素のみに閾値が配置され、ステップS12の処理にて残りの要素に閾値が配置されるため、図8のステップS12では、一般化した処理の内容が記載されている。
図18は、初期閾値マトリクスにおける閾値の配置を修正する処理の流れを示す図であり、図8のステップS12にて行われる処理を示している。
閾値の配置を修正する際には、まず、初期閾値マトリクスの各要素(位置)に対して、当該要素の閾値Thを最大閾値(ここでは、254)にて除することにより、正規化された閾値(0以上1.0以下のいずれかの値であり、後述の処理にて当該要素が選択される確率に係る値であるため、以下、「選択評価値」という。)Prが求められる(すなわち、(Pr=Th/254))(ステップS121)。続いて、0以上1.0未満の2つの乱数R1,R2が生成され、乱数R1よりも大きい選択評価値を有する要素のうち1つの要素L1がランダムに選択され、乱数R2よりも大きい選択評価値を有する要素のうち1つの要素L2がランダムに選択される(ステップS122)。要素Lの選択評価値をPr(L)として表す場合、(Pr(L1)>R1)、(Pr(L2)>R2)となる。以下、ステップS122の処理にて選択される要素L1,L2を対象要素と呼ぶ。
初期閾値マトリクスにおける2つの対象要素L1,L2が特定されると、第2閾値決定部52では、対象要素L1の閾値(正規化前の閾値)と対象要素L2の閾値とが交換(スワップ)される(ステップS123)。要素Lの閾値をTh(L)として表す場合、ステップS123の処理は、
Temp=Th(L1)
Th(L1)=Th(L2)
Th(L2)=Temp
のように表すことができる。
上記ステップS122,S123の処理は、所定回数(本実施の形態では、初期閾値マトリクスの要素数の半分の回数)だけ繰り返される(ステップS124)。ここで、初期閾値マトリクスにおける各要素の選択評価値は、正規化前の閾値に比例するため、上記ステップS122の処理では、閾値が大きい要素ほど2つの対象要素L1,L2のいずれかとして選択される確率が高くなる。また、選択評価値が乱数R1,R2よりも大きい複数の要素から対象要素L1,L2がランダムに選択されるため、上記ステップS123の処理では、大きい閾値ほど元の初期閾値マトリクス(すなわち、第1閾値決定部51により生成された直後の初期閾値マトリクス)における位置からランダムな位置へと変更される可能性が高くなる。換言すれば、小さい閾値は元の初期閾値マトリクスにおける位置から変更される可能性が低い。ステップS122,S123の処理の繰り返し回数は、好ましくは閾値マトリクスの要素数の0.1倍以上10倍以下とされる。
所定回数の閾値の交換が完了すると(ステップS124)、閾値の配置が変更(修正)された初期閾値マトリクスは、閾値マトリクス710として記録媒体82に記録され、既述のように記録媒体82が画像記録装置1の演算部4にて読み取られることによりマトリクス記憶部42に記憶される。
実際には、一の色の閾値マトリクス710が完成すると、図19に示すように、閾値マトリクス710およびこの閾値マトリクス710の8近傍に想定される8個の閾値マトリクス710(図19中にて二点鎖線にて示す。)が配置されたマトリクス領域72において、閾値マトリクス710の外形を示す矩形T1を、元の閾値マトリクス710の位置からx方向およびy方向に所定の距離だけシフトさせ、シフト後の矩形T1(図19中にて破線にて示す。)内に含まれる閾値の配列が抽出されて、他の色の閾値マトリクス710が取得される。本実施の形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの閾値マトリクス710が準備されるため、矩形T1のシフト量を互いに変更することにより、上記ステップS11,S12の処理により生成される閾値マトリクス710以外の残りの5色の閾値マトリクス710も取得され、演算部4のマトリクス記憶部42に記憶される。
図20.Aないし図20.Dは、複数の階調レベルの仮元画像データを閾値マトリクス710を用いてハーフトーン化した場合に形成されるドットにより記録されるハーフトーン画像を示す図である。図20.Aは最もハイライト側の階調レベル(すなわち、0%の濃度)近傍の第1階調レベルに対応するハーフトーン画像であり、図20.Bは第1階調レベルよりも高い第2階調レベルに対応するハーフトーン画像であり、図20.Cは第2階調レベルよりも高い第3階調レベルに対応するハーフトーン画像であり、図20.Dは第3階調レベルよりも高い第4階調レベルに対応するハーフトーン画像である。なお、便宜上、ドットを矩形で図示しているが、画像記録装置1によって形成されるドットは円形である。図20.Aないし図20.Dでは、ドットに符号79を付している(後述の図22.A、図22.B、図23、図25および図27において同様)。
図21は、閾値マトリクス710を用いて生成されるハーフトーン画像の周波数スペクトルを示す図であり、図21の最上段は図20.Aのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示し、上から2段目は図20.Bのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示し、上から3段目は図20.Cのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示し、最下段は図20.Dのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示している。
既述のように、上記ステップS12の処理では、小さい閾値は元の初期閾値マトリクスにおける位置から変更される可能性が低いため、図20.Aおよび図20.Bに示すように、比較的低い第1および第2階調レベルのハーフトーン画像ではドットが不規則かつ均一に分散し、図21の最上段および2段目に示すように、これらのハーフトーン画像の周波数スペクトルは、低周波側よりも高周波側にて強度が高くなるブルーノイズ特性を示している。実際には、仮元画像データの階調レベルの増大に従ってハーフトーン画像における周波数スペクトルのピークは高周波側に移動している。
一方で、上記ステップS12の処理では、大きい閾値ほど元の初期閾値マトリクスにおける位置からランダムな位置へと変更される可能性が高くなるため、図20.Cおよび図20.Dに示すように、中間の第3階調レベルおよび比較的高い第4階調レベルのハーフトーン画像では、ドットの配置に粗密が生じている(すなわち、ドット間の距離が不均一となっている。)。そして、図20.Cのハーフトーン画像の周波数スペクトルでは、図21の3段目に示すように、図21の2段目の周波数スペクトルに比べて、低周波側にて強度が増大し、高周波側にて強度が低下しており、図20.Dのハーフトーン画像の周波数スペクトルでは、図21の最下段に示すように、低周波側の強度と高周波側の強度との差がさらに減小し、全周波数における強度が均一となる状態であるホワイトノイズ特性に近づいている。
図22.Aおよび図22.Bは、仮元画像データを初期閾値マトリクスを用いてハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像を示す図である。図22.Aは最もハイライト側の階調レベル近傍の階調レベルに対応するハーフトーン画像であり、図22.Bはおよそ中間の階調レベルに対応するハーフトーン画像である。また、図23は、図22.Bのハーフトーン画像の場合と同じ階調レベルの仮元画像データを閾値マトリクス710を用いてハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像を示す図である。
図24は、ハーフトーン画像の周波数スペクトルを示す図であり、図24の最上段は図22.Aのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示し、上から2段目は図22.Bのハーフトーン画像の周波数スペクトルを示し、最下段は図23のハーフトーン画像の周波数スペクトルを示している。
初期閾値マトリクスを用いて仮元画像データから生成されるハーフトーン画像では、図22.Aおよび図22.Bに示すようにドットが不規則かつ均一に分散しており、図24の最上段および2段目に示すように、最もハイライト側の階調レベル近傍の階調レベルおよびおよそ中間の階調レベルの双方にて、周波数スペクトルが、低周波側よりも高周波側にて強度が高くなるブルーノイズ特性を示している。この場合、ハーフトーン画像における粒状性の発生を抑制することは可能となるが、吐出口210からの液滴の吐出方向のばらつき等により、中間の階調レベルおよび比較的高い階調レベルにて筋ムラが発生してしまう。
これに対し、閾値マトリクス710を用いて仮元画像データから生成されるハーフトーン画像では、図23に示すようにドットの配置に粗密が生じており、図24の最下段に示すように、周波数スペクトルにおいて低周波側の強度と高周波側の強度との差が、初期閾値マトリクスを用いて生成されるハーフトーン画像の場合(図24の上から2段目参照)に比べて小さくなっている。実際には、最もシャドウ側の階調レベルに近づくに従って、ハーフトーン画像における周波数スペクトルはホワイトノイズ特性に近づいており(図21参照)、その結果、液滴の吐出方向のばらつき等が生じる場合であっても、中間の階調レベルから最もシャドウ側の階調レベル(すなわち、100%の濃度)近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて筋ムラの発生を抑制することができる。また、最もハイライト側の階調レベル近傍では、初期閾値マトリクスと同様の特性を有する(すなわち、ハーフトーン画像の周波数スペクトルがブルーノイズ特性を有する)ことにより、最もハイライト側の階調レベル近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて粒状性が生じることを抑制することができる。なお、比較的低い階調レベルでは、ハーフトーン画像においてドット間の距離が大きくなるため、液滴の吐出方向のばらつき等の影響は軽微となり、比較的高い階調レベルでは、ハーフトーン画像においてドットの密度が高くなるため、粒状性の影響は軽微となる。
また、上記閾値マトリクスの生成処理では、全階調範囲においてハーフトーン画像にてブルーノイズ特性を示す初期閾値マトリクスを生成し、当該初期閾値マトリクスにおいて、比較的高い閾値の配置を修正することにより、ハーフトーン画像において粒状性および筋ムラの発生を抑制することが可能な閾値マトリクス710を容易に生成することが実現される。なお、初期閾値マトリクスを修正する際に、仮に各要素の閾値自体を変更すると、閾値マトリクスにおいて同じ値の閾値の個数(すなわち、同じ閾値を有する要素数)が初期閾値マトリクスにおける個数から変化するため、ハーフトーン画像においてトーンジャンプが生じる虞があるが、図18のステップS121〜S124の処理では、2つの位置の閾値の交換により閾値の配置が修正されるため、ハーフトーン画像においてトーンジャンプが生じることもない。
図18のステップS121の処理では、所定の階調レベルに対応する値(階調レベルを順次増大した場合に、当該階調レベルの仮元画像データの階調値との比較により、ハーフトーン画像において対応する位置にドットが初めて形成される閾値であり、本実施の形態では、所定の階調レベルよりも1だけ小さい閾値)以下の閾値を有する要素に対する選択評価値が強制的に0に変更されてもよい。この場合、所定の階調レベルに対応する値以下の閾値に対して、ステップS122,S123の処理による閾値の交換が行われないため、所定の階調レベル以下の階調レベルの仮元画像データから閾値マトリクスを用いて生成されるハーフトーン画像では、初期閾値マトリクスを用いて生成されるハーフトーン画像とドットの配置が同一となる。これにより、最もハイライト側の階調レベル近傍におけるハーフトーン画像においてブルーノイズ特性を確実に維持することが可能となる。
初期閾値マトリクスは、ブルーノイズ特性を有するハーフトーン画像が生成可能なものであるならば、他の手法により生成されてもよく、例えば、マトリクス領域72内をハイライトドットパターン741とシャドウドットパターン742とに区別することなく、マトリクス領域72の全体に対して、既述の図9のステップS113(または、ステップS114)の処理を行うことにより点灯順序が決定されて、初期閾値マトリクスが生成されてもよい。この場合も、仮元画像データを初期閾値マトリクスを用いてハーフトーン化したときに記録される図25のハーフトーン画像では、ドットが不規則かつ均一に配置される。実際には、ドットの配置は等方性を有するため、図25のハーフトーン画像の空間周波数特性を2次元の周波数空間に表すと、図26に示すように、リング状の強度が高い領域(図26中の白い領域)β1が表れ、当該領域β1の内側の領域よりも、外側の領域にて強度が高くなる。図26では、平行斜線の間隔が広いほど高い強度を示している(後述の図28において同様)。
また、異方性を有するハーフトーン画像が生成可能な初期閾値マトリクスが生成されてもよく、例えば、特開2008−294702号公報(特許文献3)と同様の手法が用いられてもよい。この場合、行方向および列方向に複数の要素が配列されたマトリクス領域において、特定方向に伸びる複数の線状領域が特定方向に垂直な方向に隙間なく配列される。また、全階調範囲を複数に分割した複数の階調範囲が予め設定され、複数の線状領域が特定方向に垂直な方向に沿って当該複数の階調範囲に対応する複数の要素グループに順次割り当てられる。続いて、既述のステップS113,S114の処理と同様に、各要素グループにおいて、任意の1つの要素を特定し、その後、閾値マトリクスの反復適用を考慮しつつ、特定済み要素から最も離れた要素を特定済み要素に変更する処理を繰り返すことにより、当該要素グループに対応する階調範囲内の階調レベルの増加に伴って当該要素グループ内にて仮想ドットを追加する要素の順序を示す点灯順序、または、当該階調範囲内の階調レベルの減小に伴って当該要素グループ内にて仮想ドットを削除する要素の順序を示す消灯順序が決定される。そして、複数の要素グループに対する点灯順序または消灯順序に従って、マトリクス領域内の各要素の閾値が決定される。
上記処理にて生成される初期閾値マトリクスを用いて、仮元画像データをハーフトーン化すると、図27のハーフトーン画像が得られ、このハーフトーン画像では、ドットが不規則に配置されつつドットの配置が方向性を有している。実際には、一の方向のみに着目した場合に、ドットの配置は均一となっており、図27のハーフトーン画像の空間周波数特性を2次元の周波数空間に表すと、図28に示すように、楕円環状の強度が高い領域(図28中の白い領域)β2が表れる。図28では、当該領域β1の内側の領域よりも、外側の領域にて強度が高くなっており、図27のハーフトーン画像はブルーノイズ特性を有している。
次に、閾値マトリクスの他の生成手法について説明する。本処理例では、最もハイライト側の階調レベルから所定の階調レベルに至る第1階調範囲(例えば、0〜10%の濃度範囲に対応する階調範囲)が予め設定されており、まず、マトリクス領域の全体に対して、任意の一の要素に仮想ドットが配置される。続いて、各要素と既存の仮想ドットとの距離が長いほど評価値が大きくなる評価関数を用いて他の全ての要素の評価値が算出され、評価値が最大となる要素に仮想ドットが配置される。上記処理は、所定の階調レベルに対応する個数の仮想ドット(すなわち、マトリクス領域と同じサイズの当該階調レベルの仮元画像データをハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像において形成されるべき個数のドット)がマトリクス領域内に配置されるまで繰り返されることにより、マトリクス領域において所定の階調レベルに対応する値以下の全ての閾値が配置される(図8:ステップS11)。
上記のようにしてマトリクス領域において一部の閾値が配置されると、所定の階調レベルから最もシャドウ側の階調レベルに至る第2階調範囲内の階調レベルに対応する閾値がマトリクス領域内の残りの要素に配置される(ステップS12)。具体的には、マトリクス領域内の閾値が配置されていない全ての要素に対して上記の評価関数を用いて評価値が算出される。続いて、既に閾値が配置された要素を除く各要素に対して、例えば(−0.1)〜(+0.1)の範囲内の乱数が個別に求められ、当該要素の評価値に乱数が加算される。そして、乱数を加算した評価値が最大となる要素が特定され、当該要素に仮想ドットが配置される。上記処理は、全ての要素に仮想ドットが配置されるまで繰り返されることにより、マトリクス領域において所定の階調レベルに対応する値よりも大きい複数の閾値が配置される。
このとき、既述のように、上記評価関数による評価値は各要素が既存の仮想ドットから離れるほど大きくなり、評価値の算出、乱数の加算および仮想ドットの配置の処理の繰り返し回数が少ない段階では、仮想ドット間の距離は比較的大きいため、乱数を加算した評価値において、上記評価関数による評価値の影響が大きくなり、既存の仮想ドットから離れた要素に仮想ドットが配置されやすくなる。一方で、評価値の算出、乱数の加算および仮想ドットの配置の処理の繰り返し回数が多くなると、仮想ドット間の距離が小さくなるため(すなわち、残りの各要素において、既存の仮想ドットからの距離が短くなるため)、上記評価関数による評価値の影響が小さくなり、仮想ドットの配置対象の要素がランダムに特定されやすくなる。よって、仮想ドットの個数が増加するに従って、仮想ドットの配置において粗密が生じやすくなる。
以上の処理により生成される閾値マトリクスでは、最もハイライト側の階調レベルから所定の階調レベルに至る第1階調範囲では、ハーフトーン画像がブルーノイズ特性を有することにより、ハーフトーン画像に粒状性が生じることを抑制することができる。また、所定の階調レベル(すなわち、中間の階調レベル)から最もシャドウ側の階調レベルに至る第2階調範囲内では、最もシャドウ側の階調レベルに近づくに従って、ハーフトーン画像の周波数スペクトルがホワイトノイズ特性に近づくこととなるため、ドットの形成位置のばらつきによる筋ムラの発生を抑制することができる。
ところで、図18の処理にて初期閾値マトリクスの閾値の配置が修正される場合も、各要素の閾値に比例する選択評価値が用いられ、選択評価値が高いほど閾値の交換が行われる可能性が高くなるため、図18のステップS122の処理では、所定の階調値に対応する値以下の閾値を有する要素が選択される可能性は限りなく低くなる。したがって、ステップS122の処理は、所定の階調値に対応する値よりも大きい複数の閾値が配置されたマトリクス領域72の複数の位置(すなわち、初期閾値マトリクスの複数の要素)のうち2つの位置を選択する処理と捉えることができる。よって、図18の処理により生成される閾値マトリクス710も、ステップS11の処理にて一部の閾値を配置し、ステップS12の処理にて残りの閾値を配置する上記の閾値マトリクス生成処理と同様に、実質的には、最もハイライト側の階調値から所定の階調値(好ましくは5%以上30%以下の濃度範囲内の階調値)に至る第1階調範囲内の第1の階調値のみを複数有する(すなわち、一様に有する)第1の仮元画像データと比較されたときに生成される第1の仮ハーフトーン画像データに従って、ハーフトーン画像が基材9上に記録される場合に、当該ハーフトーン画像がブルーノイズ特性を示し、所定の階調値から最もシャドウ側の階調値に至る第2階調範囲内の第2の階調値のみを複数有する第2の仮元画像データと比較されたときに生成される第2の仮ハーフトーン画像データに従って、ハーフトーン画像が基材9上に記録される場合に、当該ハーフトーン画像が示す特性が、第2の階調値が最もシャドウ側の階調レベルに近づくに従ってホワイトノイズ特性に近づくように、複数の閾値が配置されたものであるといえる。
また、マトリクス領域において全ての閾値を配置する場合と、所定の階調レベルに対応する値以下の閾値のみを配置する場合とを含む図8のステップS11の処理は、第1階調範囲内の階調値において周波数スペクトルがブルーノイズ特性を示すハーフトーン画像が生成されるように、所定の階調レベルに対応する値以下の全ての閾値を含む閾値を配置する処理と捉えることができる。また、図8のステップS12の処理は、第2階調範囲内における階調値の増大に従って周波数スペクトルがホワイトノイズ特性に近づくハーフトーン画像が生成されるように、マトリクス領域において、所定の階調レベルに対応する値よりも大きい複数の閾値を配置する、または、当該複数の閾値の配置を修正する処理と捉えることができる。
次に、画像記録装置1の他の動作例について説明する。本動作例に係る画像記録装置1のヘッド21の各吐出口は、異なる量の微小液滴を吐出して基材9上に複数サイズのドットの形成が可能とされ、ここでは、最も小さなSサイズのドット、Sサイズよりも大きなMサイズのドット、および、Mサイズよりも大きなLサイズのドットのいずれかが形成可能となっている。もちろん、ヘッド21が、2種類のサイズのドット、あるいは、4種類以上のサイズのドットを形成するものであってもよく、本動作例では、ヘッド21が2以上のサイズのドットが形成可能であればよい。
本動作例に係る画像記録装置1において実際の画像記録に用いられる閾値マトリクスの各閾値は、Sサイズのドット形成の要否を決定するためのサブ閾値、Mサイズのドット形成の要否を決定するためのサブ閾値、および、Lサイズのドット形成の要否を決定するためのサブ閾値の集合とされる。ただし、図4のマトリクス記憶部42では、閾値マトリクスが、Sサイズ用のサブ閾値の2次元配列であるサブ閾値マトリクス、Mサイズ用のサブ閾値の2次元配列であるサブ閾値マトリクス、および、Lサイズ用のサブ閾値の2次元配列であるサブ閾値マトリクスに分解されて記憶されている。サブ閾値マトリクスにおいて互いに対応するサブ閾値はSサイズ用のサブ閾値マトリクスにて最も小さく、Lサイズ用のサブ閾値マトリクスにて最も大きくなっている。なお、サブ閾値マトリクスについては後述する。
画像記録装置1において各色成分のハーフトーン画像データを生成する際には、まず、元画像データの各画素の階調値とSサイズ用のサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値とが比較される。実際には、1画素ずつ比較されるが、概念的には、元画像データにおいて、階調値がサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値よりも大きい位置の画素には、例えば、階調値「1」が付与され、残りの画素には階調値「0」が付与されて仮の出力画像データが生成される。続いて、元画像データの各画素の階調値とMサイズ用のサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値とが比較され、階調値がサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値よりも大きい位置の出力画像データ中の画素は、階調値が「2」に変更され、残りの画素の階調値はそのまま保持されて、仮の出力画像データが更新される。そして、元画像データの各画素の階調値とLサイズ用のサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値とが比較され、階調値がサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値よりも大きい位置の出力画像データ中の画素は、階調値が「3」に変更され、残りの画素の階調値はそのまま保持されて、元画像データの階調値と閾値マトリクスの対応する閾値との比較結果である4値の出力画像データがハーフトーン画像データとして取得される。
なお、既述のように、閾値マトリクスの各要素において互いに対応するサブ閾値はSサイズ用のサブ閾値マトリクスにて最も小さく、Lサイズ用のサブ閾値マトリクスにて最も大きくなっている。したがって、元画像データとSサイズ用のサブ閾値マトリクスとの比較において、階調値がサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値以下となる元画像データの画素は、Mサイズ用のサブ閾値マトリクスおよびLサイズ用のサブ閾値マトリクスのそれぞれの対応するサブ閾値との比較においても必ず当該サブ閾値以下となり、階調値がMサイズ用のサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値以下となる元画像データの画素は、Lサイズ用のサブ閾値マトリクスの対応するサブ閾値との比較においても必ず当該サブ閾値以下となるため、このような元画像データ中の画素については、他のサブ閾値マトリクスとの比較が省略されてもよい。
画像記録装置1では、各色成分に関して、上記のようにしてハーフトーン画像データを生成しつつ、ハーフトーン画像データの生成された部分を記録する処理が行われる。ハーフトーン画像を記録する際には、吐出制御部101ではヘッド21の基材9に対する相対移動に同期して、各吐出口の基材9上の吐出位置に対応するハーフトーン画像データの階調値が「1」である場合には当該吐出位置にSサイズのドットが形成され、ハーフトーン画像データの階調値が「2」である場合には当該吐出位置にMサイズのドットが形成され、ハーフトーン画像データの階調値が「3」である場合には当該吐出位置にLサイズのドットが形成され、ハーフトーン画像データの階調値が「0」である場合には当該吐出位置にはドットは形成されない。このようにして、ヘッド21の相対移動(すなわち、複数の吐出口にそれぞれ対応する基材9上の複数の吐出位置の走査)に並行して、複数の吐出口の基材9上の吐出位置における元画像データの階調値と閾値マトリクスの対応する閾値との比較結果に従って、複数の吐出口からのインクの吐出が制御され、基材9上にハーフトーン画像が記録される。
次に、サブ閾値マトリクスの生成手法について一の色成分に着目して説明する。なお、他の色成分のサブ閾値マトリクスも同様の処理により生成される。演算部4では、閾値マトリクス710が入力されると、予め記憶される変換テーブルを利用してサブ閾値マトリクスが生成される。
図29は、変換テーブルを示す図である。変換テーブルは、仮元画像データの各階調レベルと各サイズのドットの吐出率(仮元画像データから導かれる仮ハーフトーン画像データに従って基材9上に形成される各サイズのドット数の全画素数に対する割合)とを対応付けるものである。図29において、Sサイズのドットの吐出率を示す直線La1の傾きはr1であり、直線La1と横軸(すなわち、吐出率0を示す直線)との交点の階調レベルは0であり、演算部4では、閾値マトリクス710の各要素の閾値をr1で除した商をこの要素の新たな値(すなわち、サブ閾値)とするマトリクスがSサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクスとして生成される。
また、Mサイズのドットの吐出率を示す直線La2の傾きはr2であり、直線La2と横軸との交点の階調レベルはP1であり、この場合、閾値マトリクス710の各要素の閾値をr2で除した商にP1を加えた値をこの要素の新たな値とするマトリクスがMサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクスとして生成される。さらに、Lサイズのドットの吐出率を示す直線La3の傾きはr3であり、直線La3と横軸との交点の階調レベルはP2であり、この場合、閾値マトリクス710の各要素の閾値をr3で除した商にP2を加えた値をこの要素の新たな値とするマトリクスがLサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクスとして生成される。このようにして閾値マトリクス710の各要素の閾値を変換テーブルを利用して変換することにより、Sサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクス、Mサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクス、および、Lサイズのドット形成用のサブ閾値マトリクスにそれぞれ含まれる複数のサブ閾値が決定される。
ここで、図29の変換テーブルにおいて2つの直線La1,La2および横軸により囲まれる領域(最も間隔の狭い平行斜線を付す領域)α1の各階調レベルの位置における縦軸方向の幅は、当該階調レベルにて均一な仮元画像データをハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像におけるSサイズのドットの吐出率を示している。また、2つの直線La2,La3および横軸により囲まれる領域(2番目に間隔の狭い平行斜線を付す領域)α2の各階調レベルの位置における縦軸方向の幅は、当該階調レベルの仮元画像データをハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像におけるMサイズのドットの吐出率を示している。さらに、直線La3、最もシャドウ側の階調レベルP4を示す直線、および、横軸により囲まれる領域(最も間隔の広い平行斜線を付す領域)α3の各階調レベルの位置における縦軸方向の幅は、当該階調レベルの仮元画像データをハーフトーン化した場合に記録されるハーフトーン画像におけるLサイズのドットの吐出率を示している。
上記サブ閾値マトリクスの生成処理では、各階調レベルの仮元画像データに基づいて記録されるハーフトーン画像において、図29の変換テーブルに従った吐出率にて各サイズのドットが形成されるように、閾値マトリクス710からサブ閾値マトリクスが生成されており、仮元画像データの階調レベルが0からP1の間では、Sサイズのドットのみによりハーフトーン画像が記録される。また、仮元画像データの階調レベルがP1からP2の間では、SサイズのドットおよびMサイズのドットのみによりハーフトーン画像が記録され、仮元画像データの階調レベルがP2からP3の間では、Sサイズのドット、MサイズのドットおよびLサイズのドットによりハーフトーン画像が記録される。さらに、仮元画像データの階調レベルがP3からP4の間では、Lサイズのドットのみによりハーフトーン画像が記録される。
このように、上記処理例にて生成される閾値マトリクスを用いて記録されるハーフトーン画像では、最もハイライト側の階調レベル0近傍の階調値を有する元画像データ中の領域が最小のサイズのドットのみにより表現され、最もシャドウ側の階調レベルP4近傍の階調値を有する元画像データ中の領域が最大のサイズのドットのみにより表現されることとなる。その結果、最もハイライト側の階調レベル近傍の階調値を有する元画像データの画素群に対応するハーフトーン画像中の領域では、小さいドット(Sサイズのドット)が均一に分散することにより、滑らかな画像を記録することができ、最もシャドウ側の階調レベル近傍の階調値を有する元画像データの画素群に対応するハーフトーン画像中の領域では、大きな粗密がある配置にて大きいドット(Lサイズのドット)が形成されることにより、筋ムラをさらに抑制することができる。
もちろん、最もハイライト側の階調レベル近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて、Mサイズのドットが含まれてもよく、また、最もシャドウ側の階調レベル近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて、Mサイズのドットが含まれてもよい。
以上のように、画像記録装置1の演算部4では、所定の画素位置(画素群)において最もハイライト側の階調値近傍に対応する元画像データの階調値が入力されたときに、ヘッド21が最大を除くサイズのドットのみを当該画素位置に対応する基材9上の位置に形成するようなハーフトーン画像データが生成され、所定の画素位置において最もシャドウ側の階調値近傍に対応する元画像データの階調値が入力されたときに、ヘッド21が最小を除くサイズのドットのみを当該画素位置に対応する基材9上の位置に形成するようなハーフトーン画像データが生成される。その結果、最もハイライト側の階調レベル近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて、ブルーノイズ特性を有する画像(ドットパターン)が最大を除くサイズのドットのみにより記録されることにより、滑らかな画像を記録することができ、最もシャドウ側の階調レベル近傍に対応するハーフトーン画像中の領域にて、ホワイトノイズ特性を有する画像が最小を除くサイズのドットのみにより記録されることにより、ホワイトノイズ特性を強調して筋ムラをさらに抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
画像記録装置1では、基材9がヘッド21に対して主走査方向に移動し、ヘッド21が基材9に対して副走査方向に間欠移動することにより、画像の記録が行われてもよい。また、図1中のX方向に多数の吐出口が配列され、基材9がヘッド21の下方をY方向に連続的に移動することにより、高速な画像記録が行われてもよい。
画像記録装置1は、プラスチックフィルム等の基材9以外に、プリント用紙(連続紙またはカット紙)等、他の対象物上に画像を記録するものであってもよい。また、図8の処理により生成される閾値マトリクスは、電子写真方式のプリンタやCTP(Computer To Plate)用の製版装置等、元画像をハーフトーン化したハーフトーン画像を対象物に記録する他の画像記録装置にて用いられてもよい。例えば、電子写真方式のプリンタ等では、複数の光出射部から感光体上に光を照射してドットを形成する形成部が設けられ、この場合に、感光体上の複数の光照射位置の間隔がばらついている場合等でも、上記閾値マトリクスを用いることにより、記録される画像(静電潜像)にて筋ムラが発生することを抑制することができる。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。