JP2011114165A - 素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法 - Google Patents

素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法 Download PDF

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昭典 番場
Tadashi Koike
匡 小池
Nobuyuki Manabe
信之 真鍋
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Abstract

【課題】基板と素子分離層との剥離やクラックが発生し難く、凹状の溝を有する基板上に平坦な素子分離層を形成することができる素子分離材料用塗布液の作製方法等を提供する。
【解決手段】素子分離材料用塗布液の作製方法では、Si(OR(Rは炭素数2〜6個の有機基)で表される第1のアルコキシシラン化合物と、R Si(OR4−n(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、または、フェニル基、Rは炭素数2〜6個の有機基、nは1〜3の整数)で表される第2のアルコキシシラン化合物と、第1の溶媒との混合液を作製する。第1のアルコキシシラン化合物と第2のアルコキシシラン化合物とは、全アルコキシシラン化合物に対する第2のアルコキシシラン化合物のモル比が0.09〜0.9となるように混合する。この混合液を加水分解、縮合して絶縁膜形成前駆体を作製し、これに第2の溶媒を加え、塗布液を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体装置のシャロートレンチアイソレーション(STI:Shallow Trench Isolation)構造に用いられる素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法に関する。
半導体素子製造時に基板に凹状の溝(トレンチ溝)を形成し、その溝内に素子分離層、例えば、シリコン酸化膜を成膜することで、STI構造を作製する技術が広く利用されている。このようにトレンチ溝内に成膜されるシリコン酸化膜は、電気的に各素子を分離する役割を持つことから、絶縁性、耐電圧性など優れた電気的特性が必要となる。
一般にSTI構造のトレンチ部に、シリコン酸化膜を形成する手法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)やスパッタなどの乾式で膜を形成する方法や、有機溶剤に溶解、若しくは分散したポリシラザンやシリコーン樹脂をスピンコート等の手法により塗布する方法(特許文献1〜4参照)が提案、実施されている。
特開2005−285818号公報 特開2006−310448号公報 特開2008−101206号公報 特開2008−266119号公報
CVDやスパッタなどの乾式膜形成方法は、膜材料を基板上部から堆積させるものであり、凹状の溝構造がそのまま維持され易く、また、高アスペクト比の凹(トレンチ)構造を埋め込むことは困難である。このため、局所的にボイドが発生したり、高品位なシリコン酸化膜が得られにくくなる。また、これらの手法では膜の形成に時間を要することや、装置が非常に高価になるという問題もある。
一方、ポリシラザンやシリコーン樹脂を塗布する方法では、短時間で薄膜の形成が可能であるが、塗布後の乾燥、熱処理工程で溶剤の揮発や膜成分の硬化に伴う薄膜の収縮が起こり、これによって凹部の底部や側面で基板と薄膜との剥離やクラックが生じ易いという問題がある。特に、ポリシラザン系の材料においては、窒素原子等の不純物が膜内に残留して、シリコン酸化膜の電気的特性を悪化させるなど、高品質なシリコン酸化膜を得ることが困難である。
また、これらのいずれの方法も、溝を含む基板全体にシリコン酸化膜を形成した後に、CMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)処理を施すことにより溝内部のみにシリコン酸化膜を残す工程を必要としている。このCMP処理により半導体素子へのダメージが発生し、歩留まりの低下を招く原因となってしまう。このため、CMP処理を施すことなく(CMPレス工程で)、溝内部にシリコン酸化膜を形成することが求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基板と素子分離層との剥離やクラックが発生し難く、凹状の溝を有する基板上に平坦な素子分離層を形成することができる素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、CMPレス工程で溝内部にシリコン酸化膜を形成するための素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る素子分離材料用塗布液の作製方法は、
半導体装置のシャロートレンチアイソレーション構造の素子分離層の形成に用いられる素子分離材料用塗布液の作製方法であって、
アルコキシシラン化合物と第1の溶媒との混合液を作製する混合液作製工程と、
前記混合液作製工程により作製された混合液を加水分解、縮合して絶縁膜形成前駆体を作製する絶縁膜形成前駆体作製工程と、
前記絶縁膜形成前駆体作製工程により作製された絶縁膜形成前駆体に第2の溶媒を加えることにより塗布液を作製する塗布液作製工程と、を備え、
前記混合液作製工程では、
前記アルコキシシラン化合物に、
Si(OR(Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。)で表される第1のアルコキシシラン化合物と、
Si(OR4−n(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、または、フェニル基を示す。Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。nは1〜3の整数である。)で表される第2のアルコキシシラン化合物と、を用い、
前記第1のアルコキシシラン化合物と前記第2のアルコキシシラン化合物とを、全アルコキシシラン化合物に対する前記第2のアルコキシシラン化合物のモル比が0.09〜0.9となるように混合する、ことを特徴とする。
前記絶縁膜形成前駆体作製工程では、例えば、
前記加水分解触媒及び水を添加した溶液を30℃以下の温度で加水分解させる加水分解工程と、
前記加水分解工程で加水分解された溶液を40℃以上の温度で縮合反応を進める縮合反応工程と、
前記縮合反応工程で縮合反応が進められた溶液を、減圧下で前記加水分解工程で加えられた水および一部の加水分解触媒と溶媒を除去する除去工程と、
を備えている。
本発明の第2の観点に係る素子分離材料用塗布液は、
本発明の第1の観点に係る素子分離材料用塗布液の作製方法により作製され、
前記絶縁膜形成前駆体は、(Si−O)の繰り返し単位を主骨格としたポリマーであり、その分子の末端に炭素数2〜6個のアルコキシル基を有している、ことを特徴とする。
本発明の第3の観点に係る素子分離層用薄膜の形成方法は、
本発明の第2の観点に係る素子分離材料用塗布液を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜形成工程により形成された塗膜中の溶媒を除去して塗膜を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された塗膜を焼成して薄膜を形成する薄膜形成工程と、
を備える、ことを特徴とする。
本発明の第4の観点に係る素子分離層用薄膜は、
本発明の第3の観点に係る素子分離層用薄膜の形成方法により形成された、ことを特徴とする。
本発明の第5の観点に係る基板は、
シャロートレンチアイソレーション構造を有する基板であって、
トレンチ構造を有するシリコン基板上に、本発明の第3の観点に係る素子分離層用薄膜の形成方法により形成した薄膜を有することを特徴とする。
本発明の第6の観点に係る基板の形成方法は、
シャロートレンチアイソレーション構造を有する基板の形成方法であって、
トレンチ構造を有するシリコン基板上に、本発明の第3の観点に係る素子分離層用薄膜の形成方法により薄膜を形成する、ことを特徴とする。
本発明によれば、基板と素子分離層との剥離やクラックが発生し難く、凹状の溝を有する基板上に平坦な素子分離層を形成することができる。
本発明の実施例1の塗布液中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを示す図である。 本発明の実施例1のSiウエハのラインパターンを示す図である。 本発明の実施例1のSiウエハ上に絶縁膜が形成された状態を示す図である。 本発明の実施例1の電流電圧特性を示す図である。
以下、本発明の素子分離材料用塗布液の作製方法、素子分離材料用塗布液、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、及び、基板の形成方法について説明する。
(素子分離材料用塗布液の作製方法)
本発明の素子分離材料用塗布液の作製方法は、半導体装置のSTI構造の素子分離層の形成に用いられる素子分離材料用塗布液の作成方法であって、アルコキシシラン化合物と第1の溶媒との混合液を作製する混合液作製工程と、作製した混合液を加水分解、縮合して絶縁膜形成前駆体を作製する絶縁膜形成前駆体作製工程と、作製した絶縁膜形成前駆体に第2の溶媒を加えることにより塗布液を作製する塗布液作製工程と、を備えている。
混合液作製工程では、アルコキシシラン化合物に第1の溶媒を加え、混合液を作製する。
混合液作製工程で用いられるアルコキシシラン化合物には、以下に示すアルコキシシラン化合物Aと、アルコキシシラン化合物Bと、の混合物が用いられる。
アルコキシシラン化合物A:Si(OR
(Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。すなわち、ORは炭素数2〜6個のアルコキシル基を示す。)
アルコキシシラン化合物B:R Si(OR4−n
(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、または、フェニル基を示す。Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。すなわち、OR炭素数2〜6個のアルコキシル基を示す。nは1〜3の整数である。)
有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリル基、グリシジル基などが挙げられ、炭素数2〜6個の有機基としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが挙げられる。これらの有機基は、その有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子等に置換されていてもよい。
アルコキシシラン化合物の原料としてアルコキシシラン化合物Aとアルコキシシラン化合物Bとの混合物が用いられるのは、後述する塗布液の焼成工程時に発生する薄膜の収縮に伴う応力発生を効果的に抑制することができるためである。これは、アルコキシシラン化合物BのR置換基は、焼成工程中に熱若しくは酸化分解され骨格を形成するが、絶縁膜形成前駆体が有するアルコキシル基と分解温度が異なるため、アルコキシル基が分解された際に、その末端が活性状態になるためである。このため、塗布膜(薄膜)と基板との相互作用若しくは結合を形成し、薄膜と基板との密着性が向上する。また、Rとしてメチル基、又は、フェニル基とすることが好ましい。これらがSiに結合した置換基は比較的耐熱性が高く、例えば、300℃以上の加熱処理により分解が進行するためである。
アルコキシシラン化合物Aとしては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシシラン化合物Bとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシシラン化合物Aとアルコキシシラン化合物Bとの混合割合は、全アルコキシシラン化合物に対するアルコキシシラン化合物Bのモル比(B/(A+B))が0.09〜0.9である。
アルコキシシラン化合物との混合液を形成する第1の溶媒としては、モノアルコール系、多価アルコール系、多価アルコール部分エーテル系、ケトン系、エステル系などの適当な極性溶媒が用いられる。
モノアルコール系の溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
多価アルコール系の溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
多価アルコール部分エーテル系の溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。
ケトン系の溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
エステル系の溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような溶媒をアルコキシシラン化合物に所定量を加えることにより、混合液が作製される。この溶媒の量は、アルコキシシラン化合物の種類、形成される塗布液の塗布方法等によって異なるが、全アルコキシシラン化合物1モルに対して、例えば、0.1〜10モルの範囲で選定される。
なお、アルコキシシラン化合物A、Bに炭素数1個のアルコキシル基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合、アルコキシシラン化合物A、Bを30モル%以下の割合で使用するか、若しくは、炭素数2個以上のアルコール系の溶媒を使用し、アルコキシル基置換反応を行うことにより、結果的に炭素数2〜6個のアルコキシシラン化合物としてもよい。このような溶剤としては、アルコキシル基と置換反応が可能な溶剤であって、その炭素数がアルコキシシラン化合物の炭素数と同数若しくはこれより多い溶剤が用いられる。
絶縁膜形成前駆体作製工程では、混合液作製工程で作製された混合液に、加水分解触媒と水とを加え、加水分解、縮合させ、絶縁膜形成前駆体を形成する。
加水分解触媒としては、酸触媒およびアルカリ触媒のいずれも用いることができるが、酸触媒を用いることが好ましい。
酸触媒としては、無機酸や有機酸を用いることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸などが挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などが挙げられる。
アルカリ触媒としては、無機塩基や有機塩基を用いることができる。
無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
有機塩基としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミンなどのアルカノールアミン類、これらのアルカノールアミン類の各種N置換体、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミンなどのアルコキシアルキルアミン類などが挙げられる。
これらの加水分解触媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加水分解触媒の添加量は、アルコキシシラン化合物1モルに対して、例えば、0.00001〜1モルの範囲で選定される。
また、水の添加量は、原料のアルコキシシラン化合物中の全アルコキシル基1モルに対して、0.3〜0.8倍モルの範囲で選定される。かかる範囲で調整することにより、絶縁膜形成前駆体のアルコキシル基が適正な量に調整されるためである。
混合液に加水分解触媒及び水を加えた溶液の加水分解、縮合方法としては、まず、この溶液を30℃以下の温度、例えば、室温(例えば、20℃)で所定時間、例えば、1時間撹拌し、この溶液を加水分解させる。
次に、40℃以上の温度、例えば、50〜70℃で所定時間、例えば、2〜200時間撹拌し、加水分解された溶液の縮合反応を進める。
続いて、この溶液とほぼ当量の溶媒を加える。新たに加えられる溶媒としては、前述の混合液作製工程の溶媒で挙げたものと同様のものが挙げられる。
新たに溶媒が加えられた後、所定の温度、かつ、減圧下、例えば、30〜90℃で0.1k〜50kPa(0.001〜0.5bar)の条件でさらに縮合反応を進めるとともに、加水分解に使用した水や一部の加水分解触媒や溶媒を除去する。また、比較的減圧度が高い場合は、温度を実質的に30℃以下とすることも可能で、この場合、縮合反応の進行を抑制しながら除去することができる。これにより、絶縁膜形成前駆体が形成される。
塗布液作製工程では、形成された絶縁膜形成前駆体を、好ましくは、pH7前後に調整した後、その固形分濃度が所定の濃度となるように溶媒を留去または添加する。固形分濃度としては、塗布液が塗布可能な粘度になるような濃度であればよく、例えば、0.5〜50wt%程度であり、コーティング方式や、膜厚の設定によっても最適値は異なるが、塗布液の経時的変化の観点から、1〜35wt%であることが好ましい。
第2の溶媒としては、モノアルコール系、多価アルコール系、多価アルコール部分エーテル系、ケトン系、エステル系などの適当な極性溶媒が用いられる。これらの溶媒は、前述の混合液作製工程の溶媒のところで挙げたものと同様のものが挙げられる。これにより、塗布液が作製される。
なお、素子分離材料用塗布液の作製方法では、アルコキシシラン化合物として炭素数1個のアルコキシル基を有するアルコキシシラン化合物を用いてもよい。この場合、アルコキシシラン化合物を30モル%以下の割合で使用するか、若しくは、炭素数2個以上のアルコール系の溶媒を使用し、アルコキシル基置換反応を行うことにより、結果的に炭素数2〜6個のアルコキシシラン化合物としてもよい。このような溶剤としては、アルコキシル基と置換反応が可能な溶剤であって、その炭素数がアルコキシシラン化合物の炭素数と同数若しくはこれより多い溶剤が用いられる。
また、素子分離材料用塗布液の作製方法において、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。さらに、本発明の素子分離材料用塗布液の作製方法において、本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば、成膜助剤、滑剤などを添加していてもよい。また、フィラーとして、コロイド状シリカやコロイド状アルミナなどの金属酸化物粒子を添加してもよい。
(素子分離材料用塗布液)
このような素子分離材料用塗布液の作製方法により作製された素子分離材料用塗布液は、アルコキシシラン化合物が加水分解、縮合された絶縁膜形成前駆体と、絶縁膜形成前駆体の濃度を所望の濃度に調製する溶媒とを備え、絶縁膜形成前駆体は、(Si−O)の繰り返し単位を主骨格としたポリマーであり、その分子の末端に炭素数2〜6個のアルコキシル基を有している。
炭素数2〜6個のアルコキシル基としては、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキソキシ基、アセチルアセトナート基などが挙げられる。
このように、本発明の素子分離材料用塗布液の絶縁膜形成前駆体が炭素数2〜6個のアルコキシル基を有するので、後述する塗布膜の乾燥、焼成工程で、絶縁膜形成前駆体分子の運動が容易になる。これにより、形成される薄膜(素子分離層)表面の平坦度が向上する。また、置換基の分解、収縮が起こる際に、骨格が固定化するタイミングが遅くなり、結果として、収縮に伴う応力が緩和され、クラック等が発生し難くなる。なお、分子の末端がSi-OHのような活性な構造の場合には、乾燥段階で、既に骨格の成長が進み、固定化されるため、薄膜の収縮時の応力が緩和されず、クラックの発生が起こり易くなる。
また、本発明の素子分離材料用塗布液の絶縁膜形成前駆体が炭素数2〜6個のアルコキシル基を有するので、絶縁膜形成前駆体自体の経時安定性が良く、塗布工程においても雰囲気の影響を受け難く、安定的に使用しやすくなる。
なお、絶縁膜形成前駆体の分子の末端に炭素数1個のアルコキシル基を有する場合、アルコキシル基が加水分解しやすく、安定性が十分ではない。このような塗布液では、経時的に変化する可能性が高く、また、塗布工程においても雰囲気中の水分の影響を受けやすく安定的に使用することが困難となる。
一方、絶縁膜形成前駆体が炭素数7以上のアルコキシル基を有する場合、絶縁膜形成前駆体調製時の加水分解反応が進行し難く、絶縁膜形成前駆体の分子量調整が困難となる。また、アルコキシル基(置換基)が大きくなるために、加熱処理時の脱離による体積収縮が大きくなり、所望の効果が得られ難くなる。
また、絶縁膜形成前駆体の分子の末端がアルコキシル基でない、例えば、Si-OHの場合には、塗布液中の経時的な変化が顕著で、安定的に使用することが難しくなってしまう。
さらに、本発明の素子分離材料用塗布液の絶縁膜形成前駆体がアルコキシル基を有するので、後述する塗布膜の焼成過程で、アルコキシル基が分解された際に、その末端が活性状態になる。このため、塗布膜(薄膜)と基板との相互作用若しくは結合を形成し、薄膜と基板との密着性が向上する。なお、分子の末端がSi-OHの場合には、焼成過程において、活性基が減少するのみで、薄膜と基板との相互作用や結合の形成が行われにくく、このため、薄膜と基板との密着性が得られにくくなる。
(素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、および、基板の形成方法)
次に、素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、および、基板の形成方法について説明する。本発明の素子分離層用薄膜、素子分離層用薄膜の形成方法、基板、および、基板の形成方法では、スピンコートなどの所定の塗布方法により、凹状の溝(トレンチ溝)が形成された基板上に、本発明の素子分離材料用塗布液からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥、焼成処理することにより、素子分離層(薄膜)および薄膜を有する基板を形成する。
まず、本発明の素子分離材料用塗布液を所定の塗布方法により、基板上に本発明の素子分離材料用塗布液からなる塗膜を形成する。
所定の塗布方法としては、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの方法が挙げられる。
ここで、基板には、その表面にトレンチ溝(凹状の溝)が形成されており(図2参照)、塗膜がトレンチ溝を埋めるとともに基板の表面を覆うように形成される。このときのトレンチ溝は、深さは2μm以下、Line/Space=0.01〜50μm/0.01〜50μmである。なお、基板としては、例えば、シリコンウエハ、SiOウエハ、SiNウエハなどの半導体基板、ガラス基板、ガラスセラミックス基板、金属基板などが挙げられる。
次に、塗膜が塗布された基板を、例えば、加熱雰囲気下で乾燥し、塗膜中の溶媒を除去する。ここで、塗膜中の絶縁膜形成前駆体が炭素数2〜6個のアルコキシル基を有するので、乾燥処理において、絶縁膜形成前駆体分子の運動が容易になる。これにより、塗膜(薄膜)表面の平坦度が向上する。
乾燥温度は、80〜200℃であることが好ましく、100〜170℃であることがさらに好ましい。また、乾燥時間は、乾燥雰囲気中の物質の種類などよって異なるが、例えば、0.5分〜1時間程度である。
続いて、乾燥された薄膜を焼成し、絶縁膜形成前駆体のアルコキシド、他の有機置換基を分解除去し、SiOを主とする素子分離層用薄膜を形成する。ここで、塗膜中の絶縁膜形成前駆体が炭素数2〜6個のアルコキシル基を有するので、焼成処理において、絶縁膜形成前駆体分子の運動が容易になる。これにより、塗膜(薄膜)表面の平坦度が向上する。また、置換基の分解、収縮が起こる際に、骨格が固定化するタイミングが遅くなり、結果として、収縮に伴う応力が緩和され、クラック等が発生し難くなる。さらに、アルコキシル基が分解された際に、その末端が活性状態になるため、塗膜(薄膜)と基板との相互作用若しくは結合を形成し、薄膜と基板との密着性が向上する。
焼成処理は、加熱雰囲気として、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、水蒸気雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。焼成温度は、300〜1000℃であることが好ましい。焼成時間は、焼成雰囲気中の物質の種類などによって異なるが、例えば、15分〜10時間程度である。これにより、基板上に薄膜が形成され、トレンチ構造内に薄膜が形成されたSTI構造を有する基板が形成される。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明がこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)塗布液の調製
メチルトリエトキシシラン(MTES)40.75gとテトラエトキシシラン(TEOS)47.62g(B/(A+B)=5/(5+5)=0.5)とEtOH 43.62gとの混合液に硝酸5.20gと水(HO)12.81g(0.52倍モル)とを添加して室温で1時間撹拌を行った後、50℃で50時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。次に、この溶液と等量のメチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、80℃、8.8kPa(88mbar)の条件でさらに重縮合反応を進めるとともに水、溶媒を適当量留去した。最後に、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)とMIBKを添加して、固形成分濃度16wt%の絶縁膜形成前駆体を含む透明な塗布液Aを調製した。
(2)絶縁膜形成前駆体の構造
この塗布液Aをスピンコート法によりノンドープSiウエハ上に塗布し、120℃で1.5分間の乾燥を行ってコーティング液中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを確認した。この結果を図1に示す。図1に示すように、2900cm−1付近にエトキシ基に帰属されるC−Hのピークを確認した。このため、絶縁膜形成前駆体には、その分子の末端に炭素数2〜6個のアルコキシル基(エトキシ基)を有していることを確認した。また、1270cm−1付近にSi−CHに帰属されるSi−Cのピークを確認した。
(3)限界膜厚
Siウエハ上に塗布液Aを種々の条件でスピンコート法により塗布した。この塗布膜は120℃で1.5分間の乾燥を行った後、赤外線ランプ加熱装置(アルバック理工社製:QHC−P610CP)にて、N減圧下で900℃まで20℃/minで昇温を行い、2時間保持した。そして、大気雰囲気で900℃、2時間処理を行って絶縁膜を形成し、各膜厚におけるクラックの有無を光学顕微鏡にて観察した。この結果、800nmからクラックが発生したが、700nm以上での耐クラック性能を確認した。
(4)ラインパターンに対する埋め込み性
図2に示すようなLine/Space=0.25μm/0.5μm、深さ:0.5μmのラインパターンを持ったSiウエハ上に塗布液Aをスピンコート法により塗布した。この塗布膜は、石英チューブを取り付けた赤外線加熱炉(アルバック理工社製:RHL−E416)にて、N/O=4/1雰囲気中で120℃、5分間の加熱をした後、N減圧下で400℃まで5℃/min、更に900℃まで5℃/minで昇温を行い、2時間保持した。そして、HO/O=1/9雰囲気で900℃、1時間処理を行って絶縁膜を形成した。絶縁膜が形成された形成Siウエハを切断し、切断面を走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、図3に示すように、Siウエハ(基板)上に平坦な絶縁膜(薄膜)が形成されていることを確認した。また、Siウエハのラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていることを確認した。
(5)電気的特性
p型低抵抗Siウエハ(抵抗率:0.02Ω・cm以下)上に塗布液Aをスピンコート法により塗布し、前述と同様の方法で焼成を行い、絶縁膜を形成した。形成された絶縁膜の膜厚は207nmであった。絶縁膜表面並びにSiウエハ裏面にアルミを蒸着してMIM構造キャパシタを作製し、電気的特性を評価した。このとき、絶縁膜表面にはマスクを介して、φ=100、250、500、1000μmの上部電極を形成した。誘電率は容量―電圧(C−V)測定より算出し、3.48あった。また、図4に示すように、電流―電圧(I―V)測定からリーク電流は1MV/cmで2×10−10A/cm、5MV/cmで3×10−8A/cmであり、絶縁破壊強度(印加電圧を変化させ、瞬間に多量のリーク電流が生じたときの値)は7MV/cmであった。
なお、C−V測定には、アジレント・テクノロジー社製Agilent4294Aプレシジョン・インピーダンス・アナライザ、カスケードマイクロテック社製MICROCHAMBER付きマニュアルプローバを用いた。測定条件は以下の通りである。
OSC FREQ:300kHz、
OSC LEVEL:500mVolt、
BIAS:-40〜40V
I−V測定にはアジレント・テクノロジー社製Agilent4156Cプレシジョン半導体パラメータ・アナライザ、アジレント・テクノロジー社製Agilent41501B SMU/パルス・ジェネレータ・エクスパンダ、カスケードマイクロテック社製MICROCHAMBER付きマニュアルプローバを用いた。測定条件は以下の通りである。
START:0V、
STOP:−200V、
STEP:−1V
(実施例2)
MTES 7.11gとTEOS 83.49g(B/(A+B)=0.9/(9.1+0.9)=0.09)とEtOH 42.05gとの混合液に硝酸5.01gと水12.35gを添加して室温で1時間撹拌を行った後、50℃で50時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。その他は実施例1と同様の手順で行い、固形成分濃度17wt%の絶縁膜形成前駆体を含む透明な塗布液Bを得た。この塗布液B中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを確認したところ、2900cm−1付近にエトキシ基に帰属されるC−Hのピーク、1270cm−1付近にSi−CHに帰属されるSi−Cのピークを観察した。
塗布液Bに関しても、実施例1と同様に、限界膜厚、ラインパターンに対する埋め込み性、及び、電気的特性を評価した。塗布液Bでは750nmからクラックが発生したが、700nm以上での耐クラック性能を確認した。ラインパターン上に成膜した断面をFE−SEMで観察したところ、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていた。形成された絶縁膜の膜厚は219nmであり、誘電率は3.65、リーク電流は1MV/cmで4×10−10A/cm、5MV/cmで5×10−8A/cm、絶縁破壊強度は7MV/cmであった。
(実施例3)
MTES 75.19gとTEOS 10.90g(B/(A+B)=8.9/(1.1+8.9)=0.89)とEtOH 45.23gとの混合液に硝酸5.39gと水13.29gを添加して室温で1時間撹拌を行った後、50℃で48時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。その他は実施例1と同様の手順で行い、固形成分濃度14wt%の絶縁膜形成前駆体を含む透明な塗布液Cを得た。この塗布液C中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを確認したところ、2900cm−1付近にエトキシ基に帰属されるC−Hのピーク、1270cm−1付近にSi−CHに帰属されるSi−Cのピークを観察した。
塗布液Cに関しても、実施例1と同様に、限界膜厚、ラインパターンに対する埋め込み性、及び、電気的特性を評価した。塗布液Cでは750nmからクラックが発生したが、700nm以上での耐クラック性能を確認した。ラインパターン上に成膜した断面をFE−SEMで観察したところ、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていた。形成された絶縁膜の膜厚は209nmであり、誘電率は3.55、リーク電流は1MV/cmで3×10−10A/cm、5MV/cmで4×10−8A/cm、絶縁破壊強度は7MV/cmであった。
(実施例4)
フェニルトリエトキシシラン(PhTES) 28.40gとTEOS 64.15g(B/(A+B)=2.8/(7.2+2.8)=0.28)とEtOH 40.66gとの混合液に硝酸4.84gと水11.94gを添加して室温で1時間撹拌を行った後、50℃で50時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。その他は実施例1と同様の手順で行い、固形成分濃度16wt%の絶縁膜形成前駆体を含む透明な塗布液Dを得た。この塗布液D中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを確認したところ、2900cm−1付近にエトキシ基に帰属されるC−Hのピークを観察した。
塗布液Dに関しても、実施例1と同様に、限界膜厚、ラインパターンに対する埋め込み性、及び、電気的特性を評価した。塗布液Dでは750nmからクラックが発生したが、700nm以上での耐クラック性能を確認した。ラインパターン上に成膜した断面をFE−SEMで観察したところ、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていた。形成された絶縁膜の膜厚は210nmであり、誘電率は3.45、リーク電流は1MV/cmで1×10−10A/cm、5MV/cmで2×10−8A/cm、絶縁破壊強度は7MV/cmであった。
(比較例1)
TEOS 91.07g(B/(A+B)=0/(10+0)=0)とEtOH 41.71gとの混合液に硝酸4.97gと水12.25gを添加して室温で1時間撹拌を行った後、70℃で75時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。その他は実施例1と同様の手順で行い、固形成分濃度18.5wt%の絶縁膜形成前駆体を含む透明な塗布液Eを得た。この塗布液E中に含まれる縮合物のFT−IRスペクトルを確認したところ、2900cm−1付近にエトキシ基に帰属されるC−Hのピーク、1270cm−1付近にSi−CHに帰属されるSi−Cのピークを観察した。
塗布液Eに関しても、実施例1と同様に、限界膜厚、ラインパターンに対する埋め込み性、及び、電気的特性を評価した。塗布液Eでは600nmからクラックが発生し、700nm以上での耐クラック性能が確認できなかった。ラインパターン上に成膜した断面をFE−SEMで観察したところ、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていた。形成された絶縁膜の膜厚は182nmであり、誘電率は3.65、リーク電流は1MV/cmで3×10−10A/cm、5MV/cmで1×10−8A/cm、絶縁破壊強度は7MV/cmであった。
(比較例2)
MTES 85.41g(B/(A+B)=10/(0+10)=1)とEtOH 45.71gとの混合液に硝酸5.45gと水13.43gを添加して室温で1時間撹拌を行った後、50℃で48時間撹拌を行って加水分解・重縮合した。その他は実施例1と同様の手順で行い、固形成分濃度13wt%の絶縁膜形成前駆体を含む塗布液Fを得た。しかし、この塗布液F中には粒子が目視で確認され、塗布液としての液状性が不良であった。
液状性、限界膜厚、及び、ラインパターンに対する埋め込み性に関する結果を表1に示し、電気的特性に関する結果を表2に示す。
表1及び表2に示すように、アルコキシシラン化合物Aとアルコキシシラン化合物Bとの混合割合が、全アルコキシシラン化合物に対するアルコキシシラン化合物Bのモル比(B/(A+B))が0.09〜0.9の範囲である実施例1〜4では、限界膜厚700nm以上の良好な絶縁膜が形成されていることが確認できた。また、Siウエハ上に平坦な絶縁膜が形成されているとともに、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていることが確認できた。
また、塗布液中の絶縁膜形成前駆体の分子の末端官能基にプロポキシ基、n−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基を有する場合について、同様の手順でSiウエハ上に絶縁膜を形成したところ、分子の末端官能基にエトキシ基を有する場合と同様に、限界膜厚700nm以上の良好な絶縁膜がSiウエハ上に平坦に形成され、また、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていることが確認できた。このため、全アルコキシシラン化合物に対するアルコキシシラン化合物Bのモル比(B/(A+B))を0.09〜0.9の範囲とし、分子の末端官能基に炭素数2〜6個のアルコキシル基を有することにより、限界膜厚700nm以上の良好な絶縁膜がSiウエハ上に平坦に形成され、また、ラインパターンに対して隙間がなく絶縁膜が埋め込まれていることが確認できた。したがって、基板と素子分離層との剥離やクラックが発生し難く、凹状の溝を有する基板上に平坦な素子分離層を形成することができる。また、CMPレス工程で溝内部にシリコン酸化膜を形成することができる。

Claims (7)

  1. 半導体装置のシャロートレンチアイソレーション構造の素子分離層の形成に用いられる素子分離材料用塗布液の作製方法であって、
    アルコキシシラン化合物と第1の溶媒との混合液を作製する混合液作製工程と、
    前記混合液作製工程により作製された混合液を加水分解、縮合して絶縁膜形成前駆体を作製する絶縁膜形成前駆体作製工程と、
    前記絶縁膜形成前駆体作製工程により作製された絶縁膜形成前駆体に第2の溶媒を加えることにより塗布液を作製する塗布液作製工程と、を備え、
    前記混合液作製工程では、
    前記アルコキシシラン化合物に、
    Si(OR(Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。)で表される第1のアルコキシシラン化合物と、
    Si(OR4−n(Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、または、フェニル基を示す。Rは炭素数2〜6個の有機基を示す。nは1〜3の整数である。)で表される第2のアルコキシシラン化合物と、を用い、
    前記第1のアルコキシシラン化合物と前記第2のアルコキシシラン化合物とを、全アルコキシシラン化合物に対する前記第2のアルコキシシラン化合物のモル比が0.09〜0.9となるように混合する、ことを特徴とする素子分離材料用塗布液の作製方法。
  2. 前記絶縁膜形成前駆体作製工程では、
    前記加水分解触媒及び水を添加した溶液を30℃以下の温度で加水分解させる加水分解工程と、
    前記加水分解工程で加水分解された溶液を40℃以上の温度で縮合反応を進める縮合反応工程と、
    前記縮合反応工程で縮合反応が進められた溶液を、減圧下で前記加水分解工程で加えられた水および一部の加水分解触媒と溶媒を除去する除去工程と、
    を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の素子分離材料用塗布液の作製方法。
  3. 請求項1又は2に記載の素子分離材料用塗布液の作製方法により作製され、
    前記絶縁膜形成前駆体は、(Si−O)の繰り返し単位を主骨格としたポリマーであり、その分子の末端に炭素数2〜6個のアルコキシル基を有している、ことを特徴とする素子分離材料用塗布液。
  4. 請求項3に記載の素子分離材料用塗布液を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜形成工程により形成された塗膜中の溶媒を除去して塗膜を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程により乾燥された塗膜を焼成して薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    を備える、ことを特徴とする素子分離層用薄膜の形成方法。
  5. 請求項4に記載の素子分離層用薄膜の形成方法により形成された、ことを特徴とする素子分離層用薄膜。
  6. シャロートレンチアイソレーション構造を有する基板であって、
    トレンチ構造を有するシリコン基板上に、請求項4に記載の素子分離層用薄膜の形成方法により形成した薄膜を有することを特徴とする基板。
  7. シャロートレンチアイソレーション構造を有する基板の形成方法であって、
    トレンチ構造を有するシリコン基板上に、請求項4に記載の素子分離層用薄膜の形成方法により薄膜を形成する、ことを特徴とする基板の形成方法。
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