JP2011113916A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的単純な形状の高透磁率部材を用いて加熱効率を向上させることができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】誘導加熱調理器は、加熱コイル21の下方に、その径方向に延びる複数の第1高透磁率部材26と、当該第1高透磁率部材26に比し径方向の長さが短く設定された複数の第2高透磁率部材27とを備える。第2高透磁率部材27は、その内周側端部27dが第1高透磁率部材26の内周側端部26dよりも径方向外側に位置するように配置されている。
【選択図】図3
【解決手段】誘導加熱調理器は、加熱コイル21の下方に、その径方向に延びる複数の第1高透磁率部材26と、当該第1高透磁率部材26に比し径方向の長さが短く設定された複数の第2高透磁率部材27とを備える。第2高透磁率部材27は、その内周側端部27dが第1高透磁率部材26の内周側端部26dよりも径方向外側に位置するように配置されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、被加熱調理器具を載置するトッププレートの下方に加熱コイルを配置し、この加熱コイルに高周波電流を供給して被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱調理器に関する。
従来より、上記誘導加熱調理器では、加熱コイルに高周波電流を供給する時に発生する磁束によって、トッププレート上の被加熱調理器具(例えば金属製の鍋)に生じる渦電流を利用して当該鍋を加熱する。この誘導加熱調理器にあっては、加熱コイルの下方に、磁路を形成するための高透磁率材料を放射状に配置したものが供されている。
例えば特許文献1には、加熱コイルの下方に、フェライトからなる8本の高透磁率部材が配置された電磁誘導加熱調理器が開示されている。この高透磁率部材は、加熱コイルの周方向に等間隔で配置された棒状の本体部と、この本体部における外周側端部の上面側に形成された円弧部とからなり、当該円弧部は加熱コイルの外側に位置して周方向に延びている。この誘導加熱調理器によれば、特に高透磁率部材の円弧部によって、加熱コイル外側の領域において磁束密度を均一にすることができる。
ところで、高透磁率部材を構成するフェライトは脆く、割れや欠損が発生しやすいことから、単純な形状で構成することが望ましい。しかしながら、特許文献1の高透磁率部材は、その本体部に対して円弧部が段状をなし且つ直交するように周方向へ張出す等、複雑な形状をなしている。
また、複数の高透磁率部材における棒状の本体部は、周方向に等間隔で配置されているため、内周に向かうに従い当該本体部同士が互いに近接して比較的密に隣合う一方、外周に向かうに従い互いの離間距離が増大し比較的疎に配列されることとなる。即ち、特許文献1の高透磁率部材において本体部のみの単純な形状を想定した場合(つまり従来の一般的構成の場合)、加熱コイルの外周側部で高透磁率部材が疎となるは不可避となり、全周にわたって磁束密度を均一することは困難である。このように、従来の誘導加熱調理器では、高透磁率部材が存する部分でのみ磁束密度を径方向に略均一にすることができるにすぎず、鍋の外周側部を均一に加熱することができないという課題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的単純な形状の高透磁率部材を用いて加熱効率を向上させることができる誘導加熱調理器を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の誘導加熱調理器は、被加熱調理器具を載置するトッププレートの下方に加熱コイルを配置すると共に、前記加熱コイルの下方に複数の高透磁率部材を配置し、前記加熱コイルに高周波電流を供給して前記被加熱調理器具を誘導加熱するものであり、前記複数の高透磁率部材は、前記加熱コイルの径方向に延びる複数の第1高透磁率部材、及び前記第1高透磁率部材に比し前記径方向の長さが短く設定された複数の第2高透磁率部材であって、前記第1高透磁率部材は、その端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有し、前記第2高透磁率部材は、その端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有し、当該第2高透磁率部材の内周側端部が前記第1高透磁率部材の内周側端部よりも前記径方向の外側に位置するように配置されていることを特徴とする。
また、本発明の誘導加熱調理器は、被加熱調理器具を載置するトッププレートの下方に加熱コイルを配置すると共に、前記加熱コイルの下方に複数の高透磁率部材を配置し、前記加熱コイルに高周波電流を供給して前記被加熱調理器具を誘導加熱するものであり、前記高透磁率部材は、前記加熱コイルの径方向に延び且つ内周側よりも外周側が幅広な形状をなして周方向に並べて配置されると共に、当該高透磁率部材の端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有することを特徴とする。
加熱コイルの径方向に延びる高透磁率部材にあって、第2高透磁率部材はその内周側端部が第1高透磁率部材の内周側端部よりも前記径方向の外側に位置するように配置され、或は、高透磁率部材は内周側よりも外周側が幅広に形成される。従って、加熱コイルの下方において、複数の高透磁率部材を、内周側のみならず外周側においても比較的密に配置することができ、その全周にわたって磁束密度を極力均一にすることができる。
また、高透磁率部材(第1高透磁率部材及び第2高透磁率部材を含む)は、その端部に上方たる加熱コイル側へ突出する突出部を有するため、磁束が下方に漏れるのを防止することができる。よって、高透磁率部材の形状の複雑化を招くことなく、加熱コイルと被加熱調理器具との電磁結合を良好にすることができ、総じて誘導加熱による加熱効率を極力高めることができる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4を参照しながら説明する。ここで、図1は、システムキッチンのカウンタートップに誘導加熱調理器10を組込んだ状態を示しており、同図における左方及び右方が、誘導加熱調理器10の前方及び後方である。
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4を参照しながら説明する。ここで、図1は、システムキッチンのカウンタートップに誘導加熱調理器10を組込んだ状態を示しており、同図における左方及び右方が、誘導加熱調理器10の前方及び後方である。
誘導加熱調理器10は、後述する加熱手段や空冷手段等を内蔵し上面を開放した略矩形箱状の調理器本体11と、その上面に装着されたトッププレート12とを具備して構成されている。誘導加熱調理器10は、キッチンの天板13に形成された開口部13aに調理器本体11部分が落とし込まれることにより、トッププレート12の裏面側において天板13の開口部13a周縁で支持されている。調理器本体11の正面である前面には、その右側に操作パネル部14が設けられており、この操作パネル部14に調理のための条件設定を操作するダイヤルや、液晶表示部を備えたカンガルー式操作部(何れも図示せず)等が配設されている。図示は省略するが、調理器本体11の左側には、シーズヒータを内蔵したロースター手段が配備されていて、その前面に出し入れ可能な扉が設けられ、これに内部の焼き網や受け皿が連動するようになっている。
一方、誘導加熱調理器10の上面を構成するトッププレート12は、例えば透明な耐熱強化ガラス製にて平坦な矩形板状に形成されており、この上面に、被加熱調理器具として二点鎖線で示す鍋16等が載置されるようになっている。トッププレート12の後部には、右側に位置して吸気用の開口部17が設けられると共に、右側に位置して吸気用の開口部(図示せず)が設けられている。
前記調理器本体11内に配設された加熱手段及び空冷手段について説明する。
調理器本体11内の内枠部材11aには、左右一対の支持部材20(図1中、1個のみ示す)が設けられている。図1、図2に示すように、支持部材20は全体として円盤状をなしており、その中心部に中央開口部20aが形成されると共に、上面側に段下がり状をなす環状の凹部20bが形成されている。この支持部材20の凹部20bに、IH用の加熱コイル21が支持されると共に、支持部材20の下面側に後述する高透磁率部材23が配設されている。誘導加熱手段たる加熱コイル21は、高周波電流が供給されることにより、トッププレート12上の鍋16に渦電流を発生させ、この渦電流により生じたジュール熱で鍋16を加熱するようになっている。尚、図示は省略するが、誘導加熱調理器10は、前記シーズヒータ、加熱コイル21の他、一対の加熱コイル21の後方中央に位置するラジエントヒータ等の加熱手段を備えている。
調理器本体11内の内枠部材11aには、左右一対の支持部材20(図1中、1個のみ示す)が設けられている。図1、図2に示すように、支持部材20は全体として円盤状をなしており、その中心部に中央開口部20aが形成されると共に、上面側に段下がり状をなす環状の凹部20bが形成されている。この支持部材20の凹部20bに、IH用の加熱コイル21が支持されると共に、支持部材20の下面側に後述する高透磁率部材23が配設されている。誘導加熱手段たる加熱コイル21は、高周波電流が供給されることにより、トッププレート12上の鍋16に渦電流を発生させ、この渦電流により生じたジュール熱で鍋16を加熱するようになっている。尚、図示は省略するが、誘導加熱調理器10は、前記シーズヒータ、加熱コイル21の他、一対の加熱コイル21の後方中央に位置するラジエントヒータ等の加熱手段を備えている。
また、調理器本体11内には、冷却ファン22a及びファンモータ22bからなる空冷手段としての冷却装置22が設けられている。冷却装置22による冷却対象は、高透磁率部材23をはじめ、加熱手段たる加熱コイル21、当該加熱手段を駆動制御すべく加熱コイル21に高周波電流を供給するインバータユニット24aや、マイクロコンピュータを主とした制御装置、電気部品等の電装品24である。特に、高透磁率部材23は、自身の鉄損、或は加熱コイル21、ラジエントヒータ、トッププレート12上の鍋16等からの熱的影響によって温度が上昇する。この点、高透磁率部材23は、キュリー温度(例えば200〜250℃)に到達すると、強磁性の性質が失われヨークの機能を果たさなくなる虞があることから、冷却する必要性が高い。そこで、調理器本体11の内部には、冷却ファン22aが回転することにより、吸気用の開口部17から吸入された空気が、インバータユニット24a等の電装品24や支持部材20等を経由して排気用の開口部に至る冷却風路(図1、図2の矢印参照)が形成されている。そして、冷却装置22は、当該冷却風路に風の流れを生じさせることで、支持部材20に配設された高透磁率部材23及び加熱コイル21や、電装品24が有する発熱性の素子等を冷却するようになっている。
続いて、磁路を形成する高透磁率部材23について、図3、図4も参照しながら説明する。
高透磁率部材23として、加熱コイル21の径方向に沿って複数個(例えば8個)の第1高透磁率部材26が放射状に配置されると共に、第1高透磁率部材26に比しその長さ寸法が短く設定された複数個(例えば8個)の第2高透磁率部材27が放射状に配置されている。尚、図3、図4では、説明の便宜上、支持部材20を省略すると共に加熱コイル21を模式的に示している。また、以下の説明において、第1高透磁率部材26と第2高透磁率部材27とを総称する際、高透磁率部材26,27或は高透磁率部材23を用いるものとする(つまり符号26,27と符号23とは同じ高透磁率部材を指す)。
高透磁率部材23として、加熱コイル21の径方向に沿って複数個(例えば8個)の第1高透磁率部材26が放射状に配置されると共に、第1高透磁率部材26に比しその長さ寸法が短く設定された複数個(例えば8個)の第2高透磁率部材27が放射状に配置されている。尚、図3、図4では、説明の便宜上、支持部材20を省略すると共に加熱コイル21を模式的に示している。また、以下の説明において、第1高透磁率部材26と第2高透磁率部材27とを総称する際、高透磁率部材26,27或は高透磁率部材23を用いるものとする(つまり符号26,27と符号23とは同じ高透磁率部材を指す)。
第1高透磁率部材26は、透磁率の高い金属材料(例えばフェライト)からなり、例えば四角柱状をなして加熱コイル21の径方向に延びる本体部26aを有する。第1高透磁率部材26の本体部26aには、内周側端部(一端側端部)に位置して上方たる加熱コイル21側に突出する内側突出部26bが一体に形成されている。また、第1高透磁率部材26は、本体部26aの外周側端部(他方側端部)に加熱コイル21側へ突出する外側突出部26cが一体形成され、全体として比較的単純な「コ」字状をなす。本体部26aの長さ寸法L1aは、加熱コイル21内縁部21aから外縁部21bまでの径方向寸法L0よりも長尺に設定されている(L1a>L0)。図4に示すように、内側突出部26bにおける上方への突出寸法L1bは、外側突出部26cにおける上方への突出寸法L1cよりも小さく設定されている(L1c>L1b)。また、第1高透磁率部材26は、内側突出部26bと本体部26aと外側突出部26cとにわたって同じ断面積の四角柱状をなしている。具体的には、本体部26aにおける加熱コイル21の径方向に対して垂直な断面(図4中、A1a線に沿う断面)と、各突出部26b、26cにおける突出方向に対して垂直な断面(A1b線、A1c線に沿う断面)とが、当該突出部26b、26cの上端面28b、28cと同一形状をなす。つまり、突出部26b、26c及び本体部26aは、磁束の方向に垂直な断面の断面積(以下、磁路断面積と称す)が一定となるように構成されている。
そして、8個の第1高透磁率部材26は、前記支持部材20に対して周方向に等角度間隔で配設されることにより、図3に示すように放射状に配置されることとなる。この場合、第1高透磁率部材26は、内側突出部26bが加熱コイル21内縁部21aの内側に位置し、外側突出部26cが加熱コイル21外縁部21bの外側に位置するように配置される。
第2高透磁率部材27は、透磁率の高い金属材料(例えばフェライト)からなり、例えば四角柱状をなして加熱コイル21の径方向に延びる本体部27aを有する。第2高透磁率部材27は、本体部27aの外周側端部にのみ加熱コイル21側に突出する外側突出部27cが一体形成され、全体として比較的単純な「L」字状をなす。第2高透磁率部材27における本体部27aの長さ寸法L2aは、第1高透磁率部材26における本体部26aの長さ寸法L1aよりも短く設定されている(L1a>L2a)。第2高透磁率部材27は、第1高透磁率部材26と同様、磁路断面積が一定となるように構成されており、本体部27aにおけるA2a線に沿う断面と、突出部27cにおけるA2c線に沿う断面とが、当該突出部27cの上端面29cと同一形状をなす。
そして、8個の第2高透磁率部材27は、当該第2高透磁率部材27と第1高透磁率部材26とが加熱コイル21の周方向に等間隔角度で交互に並ぶように、支持部材20の下面側に配設される。この場合、第2高透磁率部材27は、その内周側端部27dが第1高透磁率部材26の内周側端部26dよりも加熱コイル21の径方向外側に位置するように配置される。つまり、加熱コイル21の周方向における8個の第1高透磁率部材26の占有領域は、加熱コイル21の内周側よりも外周側が相対的に小さくなることから、その外周側の第1高透磁率部材26,26間のスペースを利用して、前記占有領域を補完するように第2高透磁率部材27を配置するのである。
こうして、第1高透磁率部材26及び第2高透磁率部材27は、何れも支持部材20に対して放射状をなすように取付け固定され、当該高透磁率部材26,27とトッププレート12との間に所定の隙間が存するように支持される。
次に、上記構成の誘導加熱調理器10の作用について説明する。
被調理物を収容した鍋16がトッププレート12の所定位置に載置され、操作パネル部14で必要な入力操作が行われると、インバータユニット24aから加熱コイル21に高周波電流が供給されることにより、鍋16の加熱が開始される。この場合、加熱コイル21の下側には、その内周側から外周側にわたって高透磁率部材26,27が比較的密に配置されているため、加熱コイル21直上の磁束密度を極力均一にすることができる。特に、加熱コイル21側に突出する第1高透磁率部材26の突出部26b、26c及び第2高透磁率部材27の突出部27cによって、加熱コイル21と鍋16との電磁結合が良好になり、下方への漏れ磁束が少なくなる。また、前述のように高透磁率部材26,27において、磁路断面積が均一であるため、局部的な磁気飽和(それ以上の磁束を通すことができない状態になること)が防止され、磁束が流れやすくなっている。このように、高透磁率部材26,27を利用することで、加熱コイル21から発生する磁束により、鍋16を内周側から外周側にわたって均一に効率良く加熱することができる。
被調理物を収容した鍋16がトッププレート12の所定位置に載置され、操作パネル部14で必要な入力操作が行われると、インバータユニット24aから加熱コイル21に高周波電流が供給されることにより、鍋16の加熱が開始される。この場合、加熱コイル21の下側には、その内周側から外周側にわたって高透磁率部材26,27が比較的密に配置されているため、加熱コイル21直上の磁束密度を極力均一にすることができる。特に、加熱コイル21側に突出する第1高透磁率部材26の突出部26b、26c及び第2高透磁率部材27の突出部27cによって、加熱コイル21と鍋16との電磁結合が良好になり、下方への漏れ磁束が少なくなる。また、前述のように高透磁率部材26,27において、磁路断面積が均一であるため、局部的な磁気飽和(それ以上の磁束を通すことができない状態になること)が防止され、磁束が流れやすくなっている。このように、高透磁率部材26,27を利用することで、加熱コイル21から発生する磁束により、鍋16を内周側から外周側にわたって均一に効率良く加熱することができる。
一方、冷却装置22による空冷は、ファンモータ22bへの通電によって、冷却ファン22aが回転駆動されることにより行われる。図1、図2に矢印で示すように、調理器本体11内で前記冷却風路を流れる空気は、その一部が支持部材20の中央開口部20aを通じて、トッププレート12と加熱コイル21との間を流れ、加熱コイル21や高透磁率部材26,27等が冷却される。この場合、高透磁率部材26,27において、内側突出部26bが外側突出部26c,27cよりも低いため、加熱コイル21の中心側(中央開口部20a側)から空気が導入され易くなっている。また、導入された空気は、高透磁率部材26,27が放射状に均等に配置されているため、突出部26b、26c,27cに効率良くあたり、外側突出部26c,27c上端面28c,29cとトッププレート12との間の隙間、或は周方向に隣り合う外側突出部26c,27c間の間隙を通して、径方向外側に流れることとなる。この空気の流れにより、高透磁率部材26,27が特に突出部26b、26c,27cにて効率的に放熱することで、高透磁率部材26,27を速やかに冷却することができる。
以上のように、本実施形態における高透磁率部材23は、加熱コイル21の径方向に延びる複数の第1高透磁率部材26、及び第1高透磁率部材26に比し前記径方向の長さが短く設定された複数の第2高透磁率部材27であって、第2高透磁率部材27は、その内周側端部27dが第1高透磁率部材26の内周側端部26dよりも前記径方向の外側に位置するように配置されている。従って、加熱コイル21の下方において、複数の高透磁率部材26,27を、互いに干渉しないよう、内周側のみならず外周側においても比較的密に配置することができ、その全周にわたって磁束密度を極力均一にすることができる。
また、第1高透磁率部材26は、その端部に加熱コイル21側へ突出する突出部26b,26cを有し、第2高透磁率部材27は、その端部に加熱コイル21側へ突出する突出部27cを有する。これにより、各高透磁率部材26,27の形状の複雑化を招くことなく、加熱コイル21と鍋16との電磁結合を良好にすることができ、総じて誘導加熱による加熱効率を極力高めることができる。特に、アルミや銅等から構成された被加熱調理器具の場合には、磁界を当該被加熱調理器具側に集束させる効果が大きく、実用上において有用である。また、これによれば、前記空冷手段により生成された空気が、各突出部26b,26c,27c当たり易くなるため、夫々の高透磁率部材26,27における冷却性能を向上させで過昇温を防止することができる。
第1高透磁率部材26の内周側端部と外周側端部とに突出部26b,26cを設け、第2高透磁率部材27の外周側端部にのみ突出部27cを設けた。これによれば、第1高透磁率部材26について、比較的単純な「コ」字状とし、内側の突出部26b及び外側の突出部26cを加熱コイル21の内側及び外側にて突出させ、その余の部分(本体部26a)を加熱コイル21の下面側に沿って配置することができる。従って、双方の突出部26b,26cによって、前述した第1高透磁率部材26と鍋16との電磁結合をより良好にすることができると共に、冷却作用を促進することができる。また、第2高透磁率部材27について、比較的単純な「L」字状とし、外側の突出部27cのみ加熱コイル21の外側に突出させ、その余の部分(本体部27a)を加熱コイル21の下面側に沿って配置することができる。従って、第1高透磁率部材26と第2高透磁率部材27とで、加熱コイル21下面側の磁束密度をより均一にすることができると共に、第2高透磁率部材27の突出部27cで第1高透磁率部材26の突出部26cと同様の効果を得ることができる。
第1高透磁率部材26と第2高透磁率部材27とを、加熱コイル21の周方向に交互に配置した。これによれば、加熱コイル21の下面側において、第1高透磁率部材26と第2高透磁率部材27とが互いに干渉せず、且つ双方の部材26,27を極力近接させてバランス良く密に配置することが可能となる。また、周方向に隣合う第1高透磁率部材26の外側突出部26cと第2高透磁率部材27の外側突出部27cとの間の隙間を利用して冷却風の流路を確保することができ、空冷手段等による冷却に好適な構造とすることができる。
第1高透磁率部材26の内周側端部に設けられた突出部26bは、その外周側端部に設けられた突出部26cよりも突出寸法が小さく設定されている。このため、複数の第1高透磁率部材26を周方向に密なピッチで配置しても、突出部26bとトッププレート12との間の隙間を利用して冷却風の流路を確保することができる。
第1高透磁率部材26は突出部26b、26c以外の部分(本体部26a)における径方向に対して垂直な断面の断面積と、突出部26b、26cにおける突出方向に対して垂直な断面の断面積とが同一に設定され、第2高透磁率部材27も同様に、本体部27aにおける断面積と、突出部27における断面積とが同じ大きさに設定されている。これによれば、夫々の高透磁率部材26,27の各部位において、磁路断面積を一定にして局部的な磁気飽和を防止することができ、高透磁率部材26,27の使用量を極力少なくすることができる。
<その他の実施形態>
図5〜図11は、本発明の第2〜第4実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
図5〜図11は、本発明の第2〜第4実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
図5及び図6は、本発明の第2実施形態の高透磁率部材31を示す図3及び図4相当図である。即ち、加熱コイル21の下側には、複数個(例えば16個)の高透磁率部材31が加熱コイル21の周方向に等角度間隔で配置されている。高透磁率部材31は、例えばフェライトからなり、全体として内周側よりも外周側が幅広な形状をなしている。具体的には、高透磁率部材31は、加熱コイル21の径方向に延び平板状をなす本体部31aと、本体部31aの内周側端部及び外周側端部に夫々一体形成された内側突出部31b及び外側突出部31cとからなる。そして、高透磁率部材31は、内周側から外周側に向かうに従い周方向寸法が大きくなるように形成され、全体として(平面視にて)略扇形状をなす。高透磁率部材31は、第1実施例と同様、内側突出部31bの突出寸法L1bが、外側突出部31cの突出寸法L1cよりも小さく設定されている。
上記のように、高透磁率部材31は、加熱コイル21の径方向に延び且つ内周側よりも外周側が幅広な形状をなして周方向に並べて配置される。このため、周方向に隣合う高透磁率部材31,31間に形成される隙間を利用して冷却風の流路を確保することができ、高透磁率部材31の過昇温を防止することができる。また、上記構成によれば、複数の高透磁率部材31を、内周側端部(突出部31b)のみならず外周側端部(突出部31c)においても周方向に比較的密に均等配置することができる。また、高透磁率部材31は、その端部に突出部31b、31cを有するため、高透磁率部材31の形状の複雑化を招くことなく、加熱コイル21と鍋16との電磁結合を良好にすることができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に、複数の高透磁率部材31は何れも同一形状をなすため、製造コストを抑制することができる。
図7及び図8に示す第3実施形態の高透磁率部材33は、第2実施形態の高透磁率部材31と以下の点で相違する。即ち、高透磁率部材33の外側突出部33cには、加熱コイル21の径方向に沿う溝34が形成されている。この溝34は、外側突出部33c上端部における周方向の中間部に位置して、内側と外側とを連通するように形成されている。これによれば、周方向に高透磁率部材33を密なピッチで配置しても、外側突出部33cの溝34にて内外を連通する冷却風の流路を確保することができ、冷却風による冷却効果を一層高めることができる。
図9及び図10に示す第4実施形態の高透磁率部材35は、第2実施形態の高透磁率部材31と以下の点で相違する。即ち、高透磁率部材35は、本体部35aにおける加熱コイル21の径方向に対して垂直な断面の断面積と、内側突出部35b及び外側突出部35cにおける突出方向に対して垂直な断面の断面積とが夫々同じ大きさに設定されている。具体的には、図11のS1、S2、S3、S4は、図10のA3a線、A3b線、A3c線、A3d線に沿う夫々の断面における断面積を示している。同図に示すように、各断面における断面積S1〜S4は同一であり(S1=S2=S3=S4)、高透磁率部材35は、磁路断面積が一定となるように構成されている。これによれば、高透磁率部材35の各部位35a,35b,35cにおいて局部的な磁気飽和を防止することができる。また、扇形状をなす高透磁率部材35にあっては、外周側ほど高透磁率部材35の厚みを小さくすることができ、特に外側突出部35cの薄形化を図ることができ、高透磁率部材35の使用量を極力少なくすることができる。
本発明は、上記した所謂組込み式の誘導加熱調理器に限定されるものではなく、誘導加熱が可能な誘導加熱調理器全般に適用できるものである。高透磁率部材は、フェライトに限定されるものではなく、透磁率が比較的高い材料で構成されていればよい。
第1実施形態〜第4実施形態の如く、高透磁率部材26,27,31,33,35は、上方へのみ突出する単純な形状とすることができ、安価で簡単な構成とすることができる。この高透磁率部材26,27,31,33,35の形状、使用本数等、適宜変更することができる。例えば、高透磁率部材33の外側突出部33cに溝34を設けたが、この溝34を、内側突出部33bに設けたり、他の高透磁率部材26,27,31,35等の各突出部に設けるようにしてもよい。
前記加熱手段として、トッププレート12と加熱コイル21との間に板状加熱体を配置する等、加熱コイル21を含む他の加熱手段を用いるようにしてもよい。この板状加熱体について、本願出願人が出願した特開2009−129821号に開示した構成と同じであり、その説明を省略するが、上記高透磁率部材は、前述のように過昇温を防止することができるので、高透磁率部材の近傍に板状加熱体等の発熱体を配置することができる等、設計の自由度を高めることができる。
図面中、10は誘導加熱調理器、12はトッププレート、16は被加熱調理器具、21は加熱コイル、23は高透磁率部材、26は第1高透磁率部材(高透磁率部材)、26b,26cは突出部、26dは内周側端部、27は第2高透磁率部材(高透磁率部材)、27cは突出部、27dは内周側端部、31は高透磁率部材、31b,31cは突出部、33は高透磁率部材、33b,33cは突出部、34は溝、35は高透磁率部材、35b,35cは突出部、S1〜S4は断面積を示す。
Claims (7)
- 被加熱調理器具を載置するトッププレートの下方に加熱コイルを配置すると共に、前記加熱コイルの下方に複数の高透磁率部材を配置し、前記加熱コイルに高周波電流を供給して前記被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱調理器において、
前記複数の高透磁率部材は、前記加熱コイルの径方向に延びる複数の第1高透磁率部材、及び第1高透磁率部材に比し前記径方向の長さが短く設定された複数の第2高透磁率部材であって、
前記第1高透磁率部材は、その端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有し、
前記第2高透磁率部材は、その端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有し、当該第2高透磁率部材の内周側端部が前記第1高透磁率部材の内周側端部よりも前記径方向の外側に位置するように配置されていることを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記第1高透磁率部材は、その内周側端部と外周側端部とに前記突出部が設けられる共に、前記第2高透磁率部材は、その外周側端部にのみ前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記第1高透磁率部材と前記第2高透磁率部材とを、前記加熱コイルの周方向に交互に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の誘導加熱調理器。
- 被加熱調理器具を載置するトッププレートの下方に加熱コイルを配置すると共に、前記加熱コイルの下方に複数の高透磁率部材を配置し、前記加熱コイルに高周波電流を供給して前記被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱調理器であって、
前記高透磁率部材は、前記加熱コイルの径方向に延び且つ内周側よりも外周側が幅広な形状をなして周方向に並べて配置されると共に、当該高透磁率部材の端部に前記加熱コイル側へ突出する突出部を有することを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記高透磁率部材の内周側端部に設けられた突出部は、当該高透磁率部材の外周側端部に設けられた突出部よりも突出寸法が小さく設定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記高透磁率部材の前記突出部には、前記加熱コイルの径方向に沿う溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記高透磁率部材は、当該高透磁率部材の前記突出部以外の部分における前記径方向に対して垂直な断面の断面積と、前記突出部における突出方向に対して垂直な断面の断面積とが同じ大きさに設定されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の誘導加熱調理器。
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KR101875061B1 (ko) * | 2016-04-19 | 2018-07-05 | 류태문 | 가열장치의 히팅판 |
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2009
- 2009-11-30 JP JP2009271636A patent/JP2011113916A/ja active Pending
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