JP2011111539A - フタロシアニン系顔料粗製物の製造方法および製造装置 - Google Patents

フタロシアニン系顔料粗製物の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度のフタロシアニン系顔料粗製物を安定に環境負荷を低減して製造する方法を提供すること。
【解決手段】(1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア、(2)炭素骨格源としてフタル酸類はたは無水フタル酸類、フタルイミド類、(3)中心カチオン源の3要素を原料として合成するフタロシアニン系顔料組成物の製造方法において、製造中に発生する窒素源含有ガスを誘導し、冷却捕集容器中に当該ガス中の窒素源を炭酸系アンモニウム塩として捕集する工程を含むことを特徴とするフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。さらには、捕集された炭酸系アンモニウム塩が固体又は水溶液又は分散体である事を特徴とするフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は(1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア、(2)炭素骨格源としてフタル酸類または無水フタル酸類、フタルイミド類、(3)中心カチオン源の3要素を原料として合成するフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法において、高純度のフタロシアニン系顔料粗製物を安定に環境負荷を低減して製造する方法に関する。
銅フタロシアニンに代表される従来のフタロシアニン系顔料粗製物の製造法としては不活性反応媒体中、無水フタル酸、尿素、銅または銅化合物を触媒の存在下加熱反応させる方法が知られているが、窒素源である尿素の使用量を減少させるなど生産性を向上させる目的で、反応を以下の2段に分けて行う2段合成法が特開昭51−34926号公報等に開示されている。即ち、無水フタル酸類と窒素源とを反応させる第1の工程(フタルイミド化反応)と、得られた反応液と尿素、銅化合物とを触媒の存在下反応させる第2の工程(環化反応)からなるものである。さらに第2の工程で発生する窒素源含有ガスを次ロットのフタルイミド化反応の窒素源に再使用する事で連続的に反応させれば生産性も向上するため工業的に有利である。特開平10−310717号公報には上記の方法が不活性反応媒体として炭化水素系の溶剤を用いた場合においても円滑に進行できる製造方法を開示している。
しかしながらこれらの方法においても環化反応で発生する窒素源含有ガスはフタルイミド化反応が必要とする量に比べて大過剰である為、最終的には余分の窒素源を大量に反応容器から排出する事になる。環化反応においては、窒素源中の窒素原子の一部はフタロシアニン骨格に取りこまれ、一部は余分の窒素源含有ガスとして反応容器外へ高温のガス状態で排出される。環化反応で発生する窒素源含有ガスを減じる意図で予め尿素の仕込み量を減らすと収率の低下や反応時間の遅延を招いてしまうので生産性の点から妥当ではない。尿素は仕込み量の全てがフタロシアニン系顔料粗製物の原料として振舞うのではなく、一部は環化反応の進行を補助する役割を有していると思われ、その結果大量の仕込み量を必要とすると思われる。窒素源を環境に排出すると湖沼の富栄養化等の環境破壊に結びつく為、工業用水中に回収した後、活性汚泥処理や触媒酸化処理等の排出物処理を甚大なコストをかけて行う必要が生じていた。また、この2段合成法では環化反応時に発生した窒素源含有ガスをガス状態のままフタルイミド化反応に用いる必要がある。この方式ではガス発生の時期とフタルイミド化反応のタイミングを厳密に合致させる事が必要となる。タイミングがずれるとフタルイミド化反応時の窒素源量が減少し収率低下や純度低下をもたらす。さらにこの方法は2個の反応容器の連結稼働を必須とするので設備や工程の管理が複雑なものとなりトラブルの発生も生じやすく安定生産を続けにくかった。
特開昭51−34926号公報 特開平10−310717号公報
本発明は、(1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア、(2)炭素骨格源としてフタル酸類または無水フタル酸類、フタルイミド類、(3)中心カチオン源を原料として合成するフタロシアニン系顔料粗製物の製造において、フタロシアニン系顔料粗製物の環化反応段階で発生する窒素源含有ガス中の窒素源を炭酸系アンモニウム塩として一旦捕集する工程とそれを可能にする製造装置を含んでいる。取り扱いが容易で活用の自由度が高い固体の炭酸系アンモニウム塩として捕集する事で窒素源の利用量をコントロールし排出窒素源量を低減し排出物処理コストと環境負荷を低減させる方法を提供する事が本発明の課題である。さらに窒素源を有効活用しながら製造プロセスを簡素化し製造コストの低減と製造安定化をもたらす事も本発明の課題である。
すなわち、本発明は、(1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア、(2)炭素骨格源としてフタル酸類はたは無水フタル酸類、フタルイミド類、(3)中心カチオン源の3要素を原料として合成するフタロシアニン系顔料組成物の製造方法において、製造中に発生する窒素源含有ガスを誘導し、冷却捕集容器に当該ガス中の窒素源を炭酸系アンモニウム塩として捕集する工程を含む、または酸と必要に応じて酸アンモニウム溶液を充填した捕集容器中に当該ガス中の窒素源を酸アンモニウム塩として捕集する工程を含むことを特徴とするフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、捕集された炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩が固体又は水溶液又は分散体である事を特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、炭酸系アンモニウム塩がカルバミン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムの少なくとも一種を含むことを特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、捕集容器に充填される酸と酸アンモニウム溶液が硫酸、酢酸、塩酸、硝酸のいずれか、およびこれらの酸アンモニウム溶液である事を特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、捕集された炭酸系アンモニウム塩をフタロシアニン系顔料組成物製造の窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、捕集された炭酸系アンモニウム塩を、炭素骨格源のフタル酸類または無水フタル酸類からフタルイミドを合成するフタルイミド化反応の窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、捕集された炭酸系アンモニウム塩を加熱ガス化容器中でガス化して窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に関する。
また、本発明は、反応容器、合成溶剤還流用コンデンサー、冷却捕集容器または捕集容器、最終ガス排出口の順に連結されていることを特徴とする、上記のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に用いる製造装置に関する。
また、本発明は、冷却捕集容器または捕集容器が炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の取り出し口と必要であれば以下の少なくとも一つを具備することを特徴とする上記の製造装置に関する。
(1) 冷却捕集容器の内壁に炭酸系アンモニウム塩の剥離用柔軟層または昇温層
(2) 炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の水溶液化用水または水蒸気導入口
(3) 冷却捕集容器内部に捕集された炭酸系アンモニウム塩固体を再ガス化できる加熱部位
(4) 冷却気流吹き込み口
(5) 冷却捕集容器の内部に冷却液体
(6) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の掻き取り、剥離、撹拌などを行う動乱部位
(7) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液
(8)液体を噴霧できるノズル
(9)液体を循環できる外部タンクとポンプ
(10)捕集容器、冷却捕集容器または外部タンクに酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液、または冷却液体などを注入排出できる注入口または排出口
(11)冷却捕集容器の内部に冷却可能な内壁の面積を増大させる突起部位
また、本発明は、捕集された炭酸系アンモニウム塩をガス化して窒素源として再使用する加熱ガス化容器を反応容器に連結することを特徴とする上記の製造装置に関する。
また、本発明は、環化反応とフタルイミド化反応を各々別の反応容器で行う2段合成法の製造装置においては、各々あるいは何れかが冷却捕集容器または捕集容器を有することを特徴とする、上記の製造装置に関する。
本発明によって、フタロシアニン系顔料組成物の製造中に発生する窒素源含有ガスを冷却捕集容器中に誘導し当該ガス中の窒素源を炭酸系アンモニウム塩として一旦捕集する事が可能となった。または酸と必要に応じて酸アンモニウム溶液を充填した捕集容器中に誘導し当該ガス中の窒素源を酸アンモニウム塩として捕集する事が可能となった。実施例の結果が示す様に10%硫酸水溶液相容器の増加分として認識される最終排出ガス中の窒素源の漏れ量は本発明を適用する事によって激減する。捕集された窒素源はフタロシアニン系顔料組成物やその他の化成品の原料や肥料などへ用いる事ができる。製造排出物を減らせるので環境負荷の少ないフタロシアニン系顔料組成物の製造方法を提供できる。本発明のフタロシアニン系顔料組成物の製造方法により、高純度のフタロシアニン系顔料粗製物を安定に、かつ環境負荷を低減して提供することに成功した。
図1は設備例1である。(基本設備) 図2は設備例2である。(設備1に窒素源吹き込み装置として加熱ガス化容器 を連結) 図3は設備例3である。(設備1に窒素源吹き込み装置としてアンモニアボンベ を連結) 図4は設備例4である。(比較例) 図5は実施例の白色固体と幾つかのアンモニウム塩との赤外吸収スペクトル比較である。(KBr錠剤法) 図6は実施例の白色固体と幾つかのアンモニウム塩との熱重量分析比較である。(窒素気流中、昇温速度10℃/分) 図7は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図8は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図9は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図10は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図11は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図12は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図13は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図14は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図15は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図16は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図17は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図18は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図19は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図20は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図21は冷却捕集容器または捕集容器の例である。 図22は冷却捕集容器または捕集容器の例である。
以下の(1)〜(3)に示す3要素を原料として合成するフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法においては、1段合成法と2段合成法が存在する。
(1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア
(2)炭素骨格源としてフタル酸類または無水フタル酸類、フタルイミド類
(3)中心カチオン源
1段合成法は(1)と、(2)のうちのフタル酸類または無水フタル酸類と、(3)の3要素を一度に混合し環化反応を行う。
2段合成法は以下の2工程から成る。
第1の工程(フタルイミド化反応)
(1)と、(2)のうちのフタル酸類または無水フタル酸類の2要素のみを先行して反応させる工程。
第2の工程(環化反応)
第1の工程で得られたフタルイミド類を含む反応液と、(1)と、(3)との3要素を反応させる工程。
炭素骨格源として(2)のうちのフタルイミド類を購入などで原料として準備し、(1)と(3)との3要素を反応させる合成法は2段合成法の第2の工程のみを行った事に該当する。
本発明において環化反応とは原料(1)(2)(3)の3要素が全て混合された直後からフタロシアニン環を形成するまでの反応を指す。環化反応を行う反応容器を環化用反応容器と定義する。
フタルイミド化反応は環化用反応容器を流用し、環化反応に先だって行う事もできるが、一旦別の反応容器で行っても良い。フタルイミド化を専門に行う反応容器をフタルイミド化用反応容器として区別する。これまでの2段合成法では一般的にフタルイミド化用反応容器と環化用反応容器を連結してフタロシアニン系顔料粗製物を製造する。
本発明において窒素源とはフタロシアニン環骨格やその前駆体となるフタルイミド類の化学構造に必要な窒素成分を与える原料である。窒素源としては尿素、炭酸系アンモニウム塩、アンモニアが挙げられる。1段合成法においては窒素源として尿素のみあるいはこれに炭酸系アンモニウム塩あるいはアンモニアを混合して用いる事ができる。2段合成法においてはフタルイミド化反応に尿素、炭酸系アンモニウム塩、アンモニアの何れを単独で窒素源として用いても高収率で反応が進行するが混合して用いてもかまわない。続く環化反応においては一般的には尿素のみを用いる場合に高収率で反応が進行するが一部を炭酸系アンモニウム塩あるいはアンモニアに置き換える事も可能である。窒素分子(N2)は化学反応を起こしにくいので窒素源には該当しない。ここで炭酸系アンモニウム塩とは炭酸アンモニウムおよびその類似体である。ここで言う類似体とはアニオン側にCO2あるいはCO3部位を有しアルキル部位を有さない好ましくは分子量200以下の低分子量のアンモニウム塩を指す。分解に伴い二酸化炭素とアンモニアを放出しやすい共通の性質を有する。具体例としては、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、蟻酸アンモニウムなどが挙げられる。
本発明においてフタロシアニン系顔料粗製物の製造における炭素骨格源とはフタロシアニン環骨格に必要な炭素骨格成分を与える原料である。炭素骨格源としてはオルトフタル酸を代表例とするフタル酸類、または無水フタル酸を代表例とする無水フタル酸類、またはフタルイミドを代表例とするフタルイミド類が挙げられる。各々のベンゼン核に塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリ−ル基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基等を有していてもかまわない。ベンゼン核が連なってナフタレン核やアントラセン核を形成していてもかまわない。ベンゼン核の一部の炭素が窒素に置き換わってピリジン核やピラジン核、キノリン核を形成していてもかまわない。また各々のカルボニル基(=O)がイミノ基(=NH)やアミノ基(−NH2)に置き換ったものも、各々が窒素源と化合してフタロシアニン系顔料粗製物を生成する途上の化学構造に匹敵するのでこの範疇に含まれる。フタル酸類やフタルイミド類は塩を形成していてもかまわない。フタル酸類はそのカルボン酸末端が酸アミド化され、さらに脱水されてシアノ基に変化していてもかまわない。
本発明においてフタロシアニン系顔料粗製物の製造における中心カチオン源とはフタロシアニン骨格の中心元素を与える原料である。中心カチオン源が銅化合物の場合、通常銅フタロシアニンの合成に用いられるすべての銅塩を使用することができる。例としてはハロゲン化銅、酸化銅、リン酸銅、硝酸銅、水酸化銅、酢酸銅、硫酸銅等が有り、塩化銅(I)が最も好ましい。塩化銅(II)、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、アルミニウムなどの金属塩も中心カチオン源に含まれるがこれらに限らない。又、フタロシアニン骨格の中心元素が水素である無金属フタロシアニン類に至らしめる原料も本発明における中心カチオン源である。アルカリ金属や希土類金属などの様に一旦フタロシアニン環の環化反応の際に中心元素として取り込まれ、酸洗浄などで脱離して水素に交換される金属の塩などがこれに該当する。また、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)の様に金属塩では無いが環化反応を容易に進行させて無金属フタロシアニン類を生成させる強塩基などもこれに該当する。
本発明のフタロシアニン系顔料粗製物の製造において、前記原料を用いて行われる環化反応は、反応容器中これに必要な高温条件で進行する。100℃以上、400℃以下の温度が一般的である。
環化反応には反応を円滑に進行させる為に触媒を用いても良い。通常フタロシアニン系顔料粗製物の合成に用いられるすべての触媒を使用することができ、その例としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物、タンクステン酸アンモニウム、リンタングステン酸アンモニウム等のタングステン化合物、ヒ素バナジウム化合物、ほう酸、またはチタン、スズ、アンチモンのハロゲン化物あるいはオキシハロゲン化物が有り、中でもモリブデン酸アンモニウムが優れている。
本発明のフタロシアニン系顔料粗製物の製造において、環化反応には合成溶剤を必ずしも必要としない。原料が加熱に伴い溶融状態となり、フタロシアニン環を形成するいわゆる固相法をも含む。しかし合成溶剤を使用する方が製造も円滑に進行し、高収率で高純度のフタロシアニン系顔料粗製物を得やすいので一般的にはこれを用いる。用いる溶剤は高沸点で溶剤と原料が副反応を起こしにくいものが好適である。合成溶剤の例としてはニトロベンゼン、ニトロトルエン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、ナフタレン、アルキルベンゼン、アルキルトルエン、アルキルキシレン、パラフィン、ナフテン、ケロシン等の不活性溶剤を用いるのが有利である。
本発明における環化反応においては高温に伴う反応容器内の原料や溶剤のガス化、膨張、さらには反応の進行に伴う発生ガスにより反応容器内の圧力が上昇しやすい。反応容器に設置された圧力調節用減圧弁の操作で反応中の内圧を一定の圧力に保ち続ける加圧法が広く用いられている。加圧法は原料のガス化に伴う拡散を抑え、反応効率を高めるので高収率で高純度のフタロシアニン系顔料粗製物を得やすい製造方法である。本発明は反応中の内圧を特に定めるものではなく、減圧弁が開放された常圧状態にも、加圧法に該当する数十kgf/cm2までの内圧状態にも適用される。
本発明において、窒素源含有ガスとはフタロシアニン系顔料粗製物の製造中の化学反応に伴って発生する窒素源を含有するガスを指す。窒素源含有ガスは殆ど窒素源のみがガス化した状態の場合とそれ以外の成分が混合した状態がある。窒素源含有ガスに含まれ得る窒素源以外の成分には二酸化炭素、窒素(N2)、水蒸気、溶剤などがある。
本発明において、捕集容器とは反応容器内で発生する窒素源含有ガスを取り込んで体積が大きいガス状態の窒素源をこれより体積が小さい固体、液体、溶液、分散体などの状態に変化させ、窒素源の捕集を容易にする容器の総称である。この際反応容器内のガス温度未満に冷却する事を通じて捕集効果を得るものを特に冷却捕集容器と呼ぶ。冷却捕集容器は、外部に冷媒を接触させて内壁温度を低下させた物や、内部に冷媒を有して内温を低下させさせた物が該当する。冷媒は固体、液体、気体の何れでもかまわない。
冷却捕集容器または捕集容器は必ずしも密閉容器である必要はない。この場合、容器の解放部が本特許における最終ガス排出口に該当する。
本発明において発明者は詳細な検討の結果、環化反応中に発生する窒素源含有ガスを環化用反応容器に連結した冷却捕集容器に導く事により、ガス中に大量に存在する窒素源の殆どを常温常圧における固体物として選択的に捕集することに成功した。白色固体物は強いアンモニア臭を示す。
実施例の冷却捕集容器で捕集した白色固体物の赤外スペクトル(IR)、熱重量分析(TG)特性を炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム(以上関東化学社製)、カルバミン酸アンモニウム(メルク社製)と比較した。赤外スペクトルの比較では白色固体物は炭酸系アンモニウム塩である炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムと類似している事がわかる(図5)。熱重量分析測定の比較より白色固体物はカルバミン酸アンモニウムの熱特性に一致する(図6)。又、(株)東興化学研究所製のアンモニアメータTi−9001で白色固体物とカルバミン酸アンモニウム(メルク社製)の水溶液を中のアンモニウム含有量を比較しても同等の値が得られる。実施例では白色固体物を無水フタル酸からフタルイミドを合成する窒素源として再利用する際、量的にも矛盾無く作用している。さらに白色固体物をカルバミン酸アンモニウムに置き換えて実験しても同様の実験結果が得られる。これらから、冷却捕集容器中に捕集された白色固体物はカルバミン酸アンモニウムが主成分であると認める事ができる。
カルバミン酸アンモニウムは尿素が水分子を1個取り込んだ化学種に該当する。環化反応時の脱水過程を促進する脱水剤として尿素が機能した結果発生したと考えられる。カルバミン酸アンモニウムは生成条件や保存条件により類似構造に該当する炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウム等の混入を伴う場合があるので、大局的には大量の炭酸系アンモニウム塩を冷却捕集容器中に回収された窒素源として捕集したと言う事ができる。実施例には捕集された白色固体物をフタロシアンニン類合成のフタルイミド化反応段階に適用した例が含まれている。結果は捕集された白色固体物が窒素源として再使用可能である事を証明している。
本発明の方法で捕集された炭酸系アンモニウム塩は常温常圧で固体の窒素含有比が高い窒素源であるので保存や秤量、運搬、窒素源としての再使用などの点においてその後の取り扱いが容易で活用の自由度が高い。
捕集された窒素源をフタルイミド化段階で再使用する際は反応に必要な量のみを正確に仕込む事が容易なので余分の窒素源を殆ど排出させない事が可能となる。
また、再使用のタイミングを選択できるのでこれまでの2段合成法の様に窒素源の有効活用の為に2つの反応容器を連結稼働する必然性は無くなる。
捕集された炭酸系アンモニウム塩をフタロシアニン系顔料粗製物製造の窒素源として再使用する場合、固体のままで使用する事もできるが、加熱が可能な容器(加熱ガス化容器)に充填してガス化して用いる事もできる。加熱の温度は炭酸系アンモニウム塩のガス化温度以上であり、50〜300℃が好ましい。加熱ガス化容器は反応容器に連結されるがガスを吹き込む管の先端は反応液中に位置しても反応液に接触していなくてもかまわない。先端が反応液中に位置している方が反応は定量的に無駄なく進行するのでより好ましい。
捕集された炭酸系アンモニウム塩は保存や運搬が容易なので、フタロシアニン系顔料粗製物の製造に再使用する必然性も無くなる。他の化学製品製造の原料や、肥料、脱硝剤などへ再資源化する事も可能となる。再資源化の際、炭酸系アンモニウム塩の水溶液が好まれる事もあるので、冷却捕集容器に予め水を入れておき、容器中で直接水溶液にする方法も本発明の範囲に含まれる。
また取り出しを容易にするなどの目的で冷却捕集容器に予め冷媒として有機溶剤や水などを入れておき、容器中で分散体にする方法も本発明の範囲に含まれる。
本発明において反応容器に連結される冷却捕集容器は環化反応時に発生する窒素源含有ガスから炭酸系アンモニウム塩を捕集するのであるから、内温が合成温度未満である必要がある。さらには捕集される炭酸系アンモニウム塩のガス化温度未満である必要がある。捕集の効率は冷却捕集容器内の温度が低いほど良く、さらに冷却捕集容器内にガスが滞留する時間が長い程良く、さらには冷却捕集容器内の表面や容器内の冷媒に窒素源含有ガスが触れる機会が多い程良い。
これらの観点から本発明の冷却捕集容器は反応容器に連結した内温50〜−30℃程度の範囲のものが一例であるが反応容器内のガス温度未満であれば限定しない。炭酸系アンモニウム塩の捕集効率の向上を目的として−30℃より低い温度領域を用いる事も本発明の範疇である。
ここで述べた内温とは、冷却捕集容器内部の中で、内壁温度、冷媒温度、気体温度のうち最も低い部分の温度を指す。
さらに冷却捕集容器は内部に冷却可能な内壁の面積を増大させる突起部位を有する事ができる。突起部位はその内側に冷媒を接触させて突起部位の表面温度を低下させたものが好ましい。突起部位の形状は、板状、チューブ状、錐状、螺旋状、網目状などが考えられるがこれに限らない。突起部位の突出方向を重力方向に一致させたものは、突起部の表面に炭酸系アンモニウム塩を固体として析出させた後、突起部の表面温度を上げる、または打撃や振動を与える事によってこの固体を剥離させ、容易に落下させる事ができるので回収時の作業性の点で好ましい。この場合、突起部の表面が冷却から加熱までの温度コントロールが可能であるとさらに好ましい。温度コントロールは突起部の内側に必要に応じて冷媒や熱媒を通す、または電熱線やペルチエ素子の利用などが考えられるがこの限りでは無い。
捕集された炭酸系アンモニウム塩を冷却捕集容器から取り出す場合は固体として取り出す場合、水溶液などの液体として取り出す場合、加熱して再ガス化して取り出す場合がある。固体として取り出す場合は冷却捕集容器の内壁などから容易に剥離できる方が作業上好ましい。容器の内壁に濾布や樹脂フィルムなどの柔軟層を設けたり、容器の内面の温度を一時的に上げて剥離を促進したり、炭酸系アンモニウム塩との表面張力の差が大きな素材を内壁に用いたりして剥離を容易にする事が望ましい。又、容器全体をも樹脂などの柔軟な素材で作成することもこれに該当する。さらに容器内に回転羽根やスクリュー、引っ掻き板などの動乱部位を配置して固体の炭酸系アンモニウム塩を取り出す方法を用いても良い。
炭酸系アンモニウム塩を固体として取り出す為に窒素源含有ガスに直接冷却用不活性ガスを吹きかけて、粉状あるいは粒状に析出した炭酸系アンモニウム塩を冷却捕集容器内に捕集する方法を用いても良い。この場合、用いる冷却用不活性ガスの種類は窒素源含有ガスに対して不活性な物が良い。二酸化炭素、窒素、空気等が1例であるがこれに限らない。冷却用不活性ガスはガス中に気体や霧状の水分や溶剤分を含んでいてもかまわない。冷却用不活性ガスの温度は捕集する炭酸系アンモニウム塩のガス化温度未満である事が望ましい。液体窒素が気化する−273℃以上50℃以下が用いる事のできる冷却用不活性ガス温度の1例である。冷却用不活性ガスの吹き込み口は冷却捕集容器の窒素源含有ガス導入側入り口付近、または容器内に設置する事が望ましいが冷却捕集容器に近接していれば限定しない。さらに容器内に回転羽根やスクリュー、引っ掻き板などの動乱部位を配置する事により、炭酸系アンモニウム塩の析出効率を向上させる、析出物を取り出しやすくしても良い。容器壁面に打撃や振動、変形を与えて剥離させる方法を用いても良い。
炭酸系アンモニウム塩を水溶液や有機溶剤への分散体として取り出す場合は冷却捕集容器に液体導入口を連結してこれを行う。水や有機溶剤などの液体は冷却捕集容器に窒素源含有ガスを導入する前に冷却捕集容器内に満たされていても良いし、窒素源含有ガスを導入した後に満たされても良い。導入される液体量は冷却捕集容器に対して充填仕切っても良いし、一部の充填でもかまわない。
炭酸系アンモニウム塩を水溶液として取り出す場合は、炭酸系アンモニウム塩の一部が水に溶解しきれずに分散していてもかまわない。
水は水蒸気の状態で導入されても良い。この場合、水蒸気は一旦窒素源含有ガスと高温状態で混合され、冷却捕集容器内で冷却されて水溶液として凝集する。
これらに用いられる水は必要に応じて酸を含有していても良い。酸の種類としては硫酸、酢酸、塩酸などが1例である。
さらに容器内に回転羽根やスクリュー、引っ掻き板などの動乱部位を配置して炭酸系アンモニウム塩が水に溶解あるいは水に分散しやすくして取り出す方法を用いても良い。
炭酸系アンモニウム塩を再ガス化して取り出す場合は炭酸系アンモニウム塩をガス化するに足りる加熱部位を冷却捕集容器に具備する。この場合、ガスを反応容器に導入できる配管にして前述した加熱ガス化容器にとしての役割を兼ねる事もできる。
以上の様に冷却捕集容器は炭酸系アンモニウム塩の取り出し口と必要であれば以下の少なくとも一つを具備することができる。また、これらは複数併用する事ができる。
(1) 冷却捕集容器の内壁に炭酸系アンモニウム塩の剥離用柔軟層または昇温層
(2) 炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の水溶液化用水または水蒸気導入口
(3) 冷却捕集容器内部に捕集された炭酸系アンモニウム塩固体を再ガス化できる加熱部位
(4) 冷却気流吹き込み口
(5) 冷却捕集容器の内部に冷却液体
(6) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の掻き取り、剥離、撹拌などを行う動乱部位
(7) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液
(8) 液体を噴霧できるノズル
(9) 液体を循環できる外部タンクとポンプ
(10)捕集容器、冷却捕集容器または外部タンクに酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液、または冷却液体などを注入排出できる注入口または排出口
(11)冷却捕集容器の内部に冷却可能な内壁の面積を増大させる突起部位
冷却捕集容器または捕集容器の例を図7〜図22に示す。
反応容器から冷却捕集容器または捕集容器に連結する配管は途中で炭酸系アンモニウム塩が析出して詰まらせる事を防止する目的で炭酸系アンモニウム塩のガス化温度以上にする必要がある。50℃〜300℃程度が適切な配管の温度条件の一例である。環化反応時に合成溶剤を用いる場合、合成溶剤もガス化するので、発生ガスを冷却捕集容器または捕集容器に導く途中に合成溶剤還流用コンデンサーを設けて適切な温度で冷却し、溶剤を反応容器側へ還流させる必要がある。これを施さないと合成溶剤が冷却捕集容器または捕集容器中に炭酸系アンモニウム塩と混合して捕集されてしまう。
コンデンサーの温度は合成溶剤の沸点と反応温度によって異なるが反応温度より数十℃下で炭酸系アンモニウム塩のガス化温度以上である必要がある。環化の反応温度を180℃とした場合60℃〜120℃程度が適切なコンデンサーの温度条件の一例である。環化反応とフタルイミド化反応を各々別の反応容器で行う2段合成法の製造装置においては、各々あるいは何れかに冷却捕集容器または捕集容器を連結する事ができる。反応容器と冷却捕集容器または捕集容器の間には合成溶剤還流用コンデンサーが挿入されている事が望ましい。また、フタルイミド化用反応容器、環化用反応容器の各反応容器には反応後の生成物から溶剤を減圧留去する目的で減圧容器を連結した場合、減圧容器内から発生する窒素源含有ガスを補足する目的で冷却捕集容器または捕集容器を連結することができる。
合成溶剤還流用コンデンサーを経て合成用の溶剤の大半を反応容器に還流させた後であっても、窒素源含有ガスは少量の水蒸気や残存溶剤をガス中に含んでいる場合がある。捕集する窒素源へのこれらの混入を防ぐ必要がある場合に水蒸気除去部位や残存溶剤ガス除去部位をコンデンサーと冷却捕集容器または捕集容器の間に設置する事ができる。水蒸気除去部位は断熱膨張や冷却部への接触を利用する事で結露させたり、モレキュラーシーブスやシリカゲル塩化カルシウム、脱水性ゼオライトなどの脱水剤を利用してガス中の水分を除去できる部位である。残存溶剤ガス除去部位は活性炭などの吸着剤を利用してガス中の残存溶剤を除去できる部位である。
本発明において、最終排出ガスとは後述する「設備例の説明」に示された一連の設備例の最終ガス排出口から排出されるガスを指す。この最終ガス排出口にスクラバーや活性汚泥層、触媒酸化処理設備などの新たな処理設備を連結した場合、そこから環境に排出されるガスを指すものではない。本発明では最終排出ガス中の窒素源含有量の低減を目的としている。その効果を計量する目的で実施例では最終ガス排出口に10%硫酸水溶液の液相容器と連結して液相の重量変化を調べている。ガス中に窒素源が残存すると硫酸と中和して塩を形成し液相中に溶解するので重量の増加が認められる。窒素源が炭酸系アンモニウム塩の場合、硫酸溶液との接触で炭酸ガスが放出されるのでその分は重量の増加分に含まれない。最終排出ガスが二酸化炭素や窒素(N2)などの不活性であれば重量は増加しない。実施例で測定された重量増加はわずか(生成したフタロシアニン系顔料粗製物重量比1%未満)であったので、本発明の製造設備は窒素源を殆ど排出せずにフタロシアニン系顔料粗製物の合成を行える事が分かる。
以上の各部位は反応容器、合成溶剤還流用コンデンサー、冷却捕集装置、最終ガス排出口の順に連結されている。必要に応じて各部位間に水蒸気除去部位や残存溶剤ガス除去部位など他の部位を挿入しても良い。
10%硫酸水溶液の液相容器は実際の製造設備に必須の設備ではない。
以下、本発明を実施例と比較例により説明する。例中、「部」及び「%」は特に断らないかぎり重量によるものである。
各例で使用する製造設備は下記設備例1〜設備例7を用いた。また、各例において最終ガス排出口には10%硫酸水溶液の液相容器を連結して残存窒素源による重量変化を調べた。
各例において環化用反応容器から取り出した反応物は、減圧蒸留により溶剤を留去した後、2%硫酸3000部を加え、90℃で30分加熱、攪拌後、濾過、温水洗浄、乾燥してフタロシアニン系顔料粗製物とした。このとき、各例において合成溶剤還流用コンデンサーの温度は90℃である。また、各反応容器や冷却捕集容器または捕集容器内のガス圧を測定する為に用いた圧力ゲージは、常圧に対する加算圧力を示す設定になっている。従って、0kgf/cm2の圧力ゲージ値は常圧に該当する。
(設備例の説明)
設備例 1: 基本設備。環化用反応容器から発生する窒素源含有ガスから炭酸系アンモニウム塩を捕集する冷却捕集容器または捕集容器を連結(図1を参照)。
設備例 2: 設備1に窒素源吹き込み装置として加熱ガス化容器 を連結。冷却捕集容器で捕集した窒素源のうちフタルイミド化に必要量をこれに仕込む。冷却捕集容器にヒーターを装着しガス化容器の機能を付加しても良い(図2を参照)。
設備例 3: 設備1に窒素源吹き込み装置としてアンモニアボンベ を連結。フタルイミド化にアンモニアを使用。冷却捕集容器に捕集された窒素源は全て別の用途で再利用する(図3を参照)。
設備例 4(比較例): 環化反応時に排出される窒素源含有ガスは排出口より排出される(図4を参照)。
設備例 5: 2段合成法の製造設備(特開平10−310717号公報に記載の設備)に窒素源吹き込み装置と冷却捕集容器または捕集容器を連結。窒素源吹き込み装置はフタルイミド化用反応容器に連結する。冷却捕集容器または捕集容器は環化用反応容器側に連結し、環化反応時に発生する窒素源含有ガスから炭酸系アンモニウム塩を捕集する。
設備例 6: 2段合成法の製造設備(特開平10−310717号公報に記載の設備)に冷却捕集容器または捕集容器を連結。冷却捕集容器または捕集容器はフタルイミド化用反応容器側に連結し、環化反応時に発生する窒素源含有ガスをフタルイミド化用反応容器側に一旦吹き込んだ後、余剰の窒素源含有ガスから炭酸系アンモニウム塩を捕集する。
設備例 7(比較例):2段合成法の製造設備(特開平10−310717号公報に記載の設備)。
実施例1
設備例1を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
反応容器に合成溶剤としてターシャリーペンチルベンゼン(226部)、窒素源として尿素(138部)、炭素骨格源としてフタルイミド(147部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を仕込み、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度98.1%のフタロシアニン系顔料粗製物136部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は81部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.6部であった。
実施例2
設備例1を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
反応容器に合成溶剤としてターシャリーブチルキシレン(226部)、窒素源として尿素(207部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)、中心カチオン源として塩化銅(II)(33.5部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を仕込み、反応温度180℃で6時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は10℃、圧力ゲージ値は1kgf/cm2に保った。純度97.6%のフタロシアニン系顔料粗製物135部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は91部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.8部であった。
実施例3
設備例3を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
第1の工程として、反応容器に合成溶剤としてターシャリーブチルキシレン(226部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)を仕込み、120℃に昇温した後、アンモニアボンベより窒素源としてアンモニア(18部)を吹き込みながら180℃に昇温した。180℃に到達後、1時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。反応後、冷却捕集容器に溜まった水を除去した。
第2の工程として、反応容器内の反応物を120℃に放冷後、窒素源として尿素(138部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を追加し、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を5kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度96.2%のフタロシアニン系顔料粗製物135部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は81部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.5部であった。
実施例4
設備例1を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
反応容器に合成溶剤としてターシャリーペンチルベンゼン(226部)、窒素源として尿素(138部)、炭素骨格源として4−メチルフタルイミド(161部)、中心カチオン源として塩化アルミニウム(33.3部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を仕込み、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度96.7%のフタロシアニン系顔料粗製物130部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は75部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は1.1部であった。
実施例5−1
設備例1を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
第1の工程として、反応容器にまず合成溶剤としてターシャリーペンチルベンゼン(266部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)を仕込み、80℃に昇温した。実施例1と同様の実験で捕集された冷却捕集容器中の白色固体物(炭酸系アンモニウム塩)のうち41部を加え、180℃に昇温した。180℃に到達後、1時間加熱を続けた。昇温途中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら100℃付近で急激に発生するガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。さらに昇温途中、130℃付近でガスの発生が穏やかになり脱水反応段階に至った頃、圧力調節用減圧弁を開放して反応容器の圧力を常圧付近に保ち水蒸気を放出した。この間、冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。反応後、冷却捕集容器に溜まった水を除去した。ここまでの10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.5部であった。反応生成物をNMRで確認すると無水フタル酸は98%フタルイミドに変化していた。
第1の工程で仕込んだ白色固体物の重量は白色固体物をカルバミン酸アンモニウムと見た場合、無水フタル酸に対してモル比0.55に該当する重量である。カルバミン酸アンモニウムの1分子は2個の窒素原子を含有するので、窒素源としてほぼ定量的に無水フタル酸のフタルイミド化反応に使いきる仕込み比である。 最終排出ガス中の残留窒素源量を反映する10%硫酸水溶液相容器の重量増加が少ない事からも仕込んだ窒素源として冷却捕集容器中で回収された白色固体物(炭酸系アンモニウム塩)を利用してフタルイミド化反応を定量的に行う事が可能である事がわかる。
第2の工程として、反応容器内の反応物を120℃に放冷後、窒素源として尿素(138部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を追加し、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度98.3%のフタロシアニン系顔料粗製物135部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は73部、10%硫酸水溶液相容器の新たな重量増加は0.6部であった。
実施例5−2
実施例5−1の白色固体物をカルバミン酸アンモニウム(関東化学社製)に置き換えて合成を行い、同様の結果を得た。白色固体物がカルバミン酸アンモニウム主体の炭酸系アンモニウム塩である事を示唆できる。得られた結果のみ列挙する。
第1の工程 フタルイミド化率(NMR) ―― 98%
10%硫酸水溶液相容器の重量増加 ―― 0.4部
第2の工程 フタロシアニン系顔料粗製物 純度97.9% 136部
10%硫酸水溶液相容器の新たな重量増加 ―― 0.7部
冷却捕集容器で捕集された白色固体物量 ―― 83部
実施例 6
設備例2を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
第1の工程として、反応容器にまず合成溶剤として蒸留温度範囲190〜220℃のターシャリーアルキルベンゼン(266部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)を仕込み、180℃に昇温した。実施例1と同様の実験で捕集された冷却捕集容器中の白色固体物(炭酸系アンモニウム塩;41g)を加熱ガス化容器に仕込み、100℃〜200℃で加熱ガス化しながら反応容器に導き2時間撹拌した。ガス化容器中の白色固体物を全てガス化し使いきった。
反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら水蒸気を含む発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。この間、冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。反応後、冷却捕集容器に溜まった水を除去した。ここまでの10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.4部であった。反応生成物をNMRで確認すると無水フタル酸は97%フタルイミドに変化していた。
第2の工程として、反応容器内の反応物を120℃に放冷後、窒素源として尿素(138部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を追加し、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度97.1%のフタロシアニン系顔料粗製物132部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は78部、10%硫酸水溶液相容器の新たな重量増加は0.8部であった。
実施例 7
設備例5を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。窒素源吹き込み装置として加熱ガス化容器を連結した。
第1の工程として、フタルイミド化用反応容器を用い、反応容器にまず合成溶剤としてターシャリーペンチルベンゼン266部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)を仕込み、180℃に昇温した。実施例1と同様の実験で捕集された冷却捕集容器中の白色固体物(炭酸系アンモニウム塩;41部)を加熱ガス化容器に仕込み、100℃〜150℃で加熱ガス化しながら反応容器に導き2時間撹拌した。加熱ガス化容器の白色固体物を全てガス化し使いきった。
反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を2.5kgf/cm2に保ちながら水蒸気を含む発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。この間、冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。反応後、冷却捕集容器に溜まった水を除去した。ここまでの10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.6部であった。
反応生成物をNMRで確認すると無水フタル酸は97%フタルイミドに変化していた。
第2の工程として、フタルイミド化用反応容器の反応物を環化用反応容器に送り、120℃に放冷後、窒素源として尿素(138部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を追加し、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度97.5%のフタロシアニン系顔料粗製物137部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は84部、新たな10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.5部であった。
実施例 8
設備例6を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
第1の工程の準備として、フタルイミド化用反応容器に、合成溶剤として蒸留温度範囲190〜220℃のターシャリーアルキルベンゼン(266部)、炭素骨格源として無水フタル酸(148部)を仕込み、180℃に昇温した。
第2の工程として、環化用反応容器に合成溶剤として蒸留温度範囲190〜220℃のターシャリーアルキルベンゼン(266部)、炭素骨格源としてフタルイミド(147部)、窒素源として尿素(138部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)の混合物を準備し、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃しフタルイミド化用反応容器へ導き第1の工程のフタルイミド化反応を同時に行った。冷却捕集容器の内壁温度は0℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。純度97.2%のフタロシアニン系顔料粗製物135部を得た。冷却捕集容器で捕集された白色固体物は37部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は1.1部であった。第1の工程のNMR測定によるフタルイミド化率は98%であった。
実施例 9
設備例1を用いて以下の様な操作で合成反応を行った。
反応容器に合成溶剤としてターシャリーペンチルベンゼン(226部)、窒素源として尿素(138部)、炭素骨格源としてフタルイミド(147部)、中心カチオン源として塩化銅(I)(24.8部)、触媒としてモリブデン酸アンモニウム(1部)を仕込み、反応温度180℃で3時間反応を行った。反応中、圧力調節用減圧弁で反応容器の圧力ゲージ値を3kgf/cm2に保ちながら発生ガスを反応容器から逃し冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器は予め200部の水を入れておき、水の温度は3℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。冷却捕集容器中の水を容器中に設けた撹拌羽根で撹拌しながら、発生ガスを水の表面に導いた。反応後、純度97.9%のフタロシアニン系顔料粗製物137部を得た。冷却捕集容器中には白色固体物が溶けた水溶液が得られ、反応後の重量増加分は67部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.7部であった。
実施例10
設備例1を用いて反応容器内は実施例9と同じ条件で合成反応を行った。
発生ガスを反応容器から逃し、途中水300部を気化した150℃の水蒸気と混合後、冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の内壁温度は20℃、圧力ゲージ値は0kgf/cm2に保った。反応後、純度97.6%のフタロシアニン系顔料粗製物137部を得た。冷却捕集容器中には白色固体物が溶けた水溶液が得られ、水300部に対する反応後の重量増加分は97部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.9部であった。
実施例11
設備例1を用いて反応容器内は実施例9と同じ条件で合成反応を行った。
発生ガスを反応容器から逃し、冷却捕集容器へ導いた。冷却捕集容器の入り口で−20℃の窒素ガスと混合した。冷却捕集容器の内壁温度は20℃、圧力ゲージ値は0.2kgf/cm2に保った。冷却捕集容器中には粉状の白色固体物が得られた。反応後、純度97.5%のフタロシアニン系顔料粗製物135部を得た。冷却捕集容器中の白色固体物は95部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は1.1部であった。
実施例12
設備例1を用いて反応容器内は実施例9と同じ条件で合成反応を行った。
発生ガスを反応容器から逃し、捕集容器へ導いた。捕集容器中には43%の硫酸アンモニウム溶液840部と145部の98%硫酸を充填しておき撹拌羽根で撹拌した。反応後硫酸アンモニウムの析出物が得られた。反応後、純度96.8%のフタロシアニン系顔料粗製物133部を得た。捕集容器中の硫酸アンモニウムは190部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.9部であった。
実施例13
設備例6を用いて反応容器内は実施例8と同じ条件で合成反応を行った。
フタルイミド化用反応容器から得られる発生ガスを逃し、捕集容器へ導いた。捕集容器中には43%の硫酸アンモニウム溶液840部と100部の98%硫酸を充填しておき撹拌羽根で撹拌した。反応後硫酸アンモニウムの析出物が得られた。捕集容器中の硫酸アンモニウムは110部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.6部であった。
純度97.7%のフタロシアニン系顔料粗製物134部を得た。第1の工程のNMR測定によるフタルイミド化率は97%であった。
実施例14
設備例6を用いて反応容器内は実施例8と同じ条件で合成反応を行った。
フタルイミド化用反応容器から得られる発生ガスを逃し、捕集容器へ導いた。捕集容器中には670部の15%硫酸を充填しておき、この液をノズルで噴霧しながら循環し、ガスを捕捉した(スクラバー捕捉)。反応後硫酸アンモニウムの水溶液が得られたので濃縮後、乾燥し得られた硫酸アンモニウムは110部、10%硫酸水溶液相容器の重量増加は0.5部であった。
純度97.5%のフタロシアニン系顔料粗製物131部を得た。第1の工程のNMR測定によるフタルイミド化率は96%であった。
実施例15
設備例6を用いて反応容器内は実施例8と同じ条件で合成反応を行った。
フタルイミド化用反応容器から得られる発生ガスを逃し、捕集容器へ導いた。捕集容器中には100部の19%硫酸アンモニウム溶液を充填しておき、670部の15%硫酸を発生ガス量に応じてpH0.8〜8.0の範囲を保ちながら注入した。反応後硫酸アンモニウムの水溶液が得られたので濃縮後、乾燥し得られた硫酸アンモニウムは138部、10%硫酸水溶液相容器のー重量増加は0.7部であった。
純度97.8%のフタロシアニン系顔料粗製物133部を得た。第1の工程のNMR測定によるフタルイミド化率は97%であった。
実施例16
実施例1で冷却捕集容器に捕集された白色固体物78部に25%水酸化ナトリウム水溶液を320部加え、95℃で2時間加熱した。発生ガスを800部の冷水に導きアンモニア水を得た。
実施例17
設備例6を用いて反応容器内は実施例8と同じ条件で合成反応を行った後、環化用反応容器から反応物を溶剤ごと減圧容器へ移し、溶剤を減圧留去した後、減圧容器に25%水酸化ナトリウム水溶液を50部加え、95℃で1時間加熱した。発生ガスを捕集容器中の150部の15%硫酸に導き濃縮し、31部の硫酸アンモニムを得た。
実施例18
実施例1で冷却捕集容器に捕集された白色固体物78部に水40部と98%硫酸98部の混合物を加えた。生成した132部の硫酸アンモニウムのうち100部が析出した分散体を得た。
実施例19
実施例1で冷却捕集容器に捕集された白色固体物78部に水50部を加え60℃で加熱した。法冷後、30部の炭酸アンモニウムが析出した分散体を得た。
比較例 1
設備例4を用いて合成反応を行った。
合成に用いる原料と合成条件は実施例1と同様である。
純度97.7%のフタロシアニン系顔料粗製物を134部得た。10%硫酸水溶液相容器の重量増加は41部であった。
比較例 2
設備例7を用いて合成反応を行った。
合成に用いる原料と合成条件は実施例8と同様である。
純度97.3%のフタロシアニン系顔料粗製物を137部得た。10%硫酸水溶液相容器の重量増加は21部であった。フタルイミド化用反応容器のNMR測定によるフタルイミド化率は98%であった。
1. 環化用反応容器(撹拌羽、仕込み口付属)
2. 捕集容器又は冷却捕集容器
3. 合成溶剤還流用コンデンサー
4. 環化用反応容器の圧力調節用減圧弁
5. 最終ガス排出口(最終排出ガス中の窒素源量を調べる際はこの先に10%硫酸水溶液の液相容器に導いて重量変化を調べる)
6. 捕集容器又は冷却捕集容器の圧力調節用減圧弁
7. 環化用反応容器の圧力ゲージ(常圧時の測定値=0kgf/cm2
8. 捕集容器又は冷却捕集容器の圧力ゲージ(常圧時の測定値=0kgf/cm2
9. 加熱ガス化容器(炭酸系アンモニウム塩を仕込み後ガス化する)
10. アンモニアボンベ
11. 冷媒(斜線部;水、溶剤でもかまわない)
12. 酸または酸溶液(網線部;必要に応じて酸アンモニウム溶液を加える)、または酸アンモニウム溶液
13. 水蒸気
14. 冷却気体
15. 動乱部位(掻き取り羽根、撹拌羽根など)
16. 突起部位(突起の内側に冷媒を循環させる事ができる)
17. 外部タンク
18. 循環用配管
19. 液送ポンプ(円内矢印は液送方向)
20. 酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液、または冷却液体などの注入
21. ノズルによる液体の噴霧

Claims (11)

  1. (1)窒素源として尿素または炭酸系アンモニウム塩またはアンモニア、(2)炭素骨格源としてフタル酸類はたは無水フタル酸類、フタルイミド類、(3)中心カチオン源の3要素を原料として合成するフタロシアニン系顔料組成物の製造方法において、製造中に発生する窒素源含有ガスを誘導し、冷却捕集容器に当該ガス中の窒素源を炭酸系アンモニウム塩として捕集する工程を含む、または酸と必要に応じて酸アンモニウム溶液を充填した捕集容器中に当該ガス中の窒素源を酸アンモニウム塩として捕集する工程を含むことを特徴とするフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  2. 捕集された炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩が固体又は水溶液又は分散体である事を特徴とする請求項1記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  3. 炭酸系アンモニウム塩がカルバミン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1または2記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  4. 捕集容器に充填される酸と酸アンモニウム溶液が硫酸、酢酸、塩酸、硝酸のいずれか、およびこれらの酸アンモニウム溶液である事を特徴とする請求項1〜3いずれか記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  5. 捕集された炭酸系アンモニウム塩をフタロシアニン系顔料組成物製造の窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  6. 捕集された炭酸系アンモニウム塩を、炭素骨格源のフタル酸類または無水フタル酸類からフタルイミドを合成するフタルイミド化反応の窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  7. 捕集された炭酸系アンモニウム塩を加熱ガス化容器中でガス化して窒素源として再使用する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法。
  8. 反応容器、合成溶剤還流用コンデンサー、冷却捕集容器または捕集容器、最終ガス排出口の順に連結されていることを特徴とする、請求項1〜7記載のフタロシアニン系顔料粗製物の製造方法に用いる製造装置。
  9. 冷却捕集容器または捕集容器が炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の取り出し口と必要であれば以下の少なくとも一つを具備することを特徴とする請求項8記載の製造装置。
    (1) 冷却捕集容器の内壁に炭酸系アンモニウム塩の剥離用柔軟層または昇温層
    (2) 炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の水溶液化用水または水蒸気導入口
    (3) 冷却捕集容器内部に捕集された炭酸系アンモニウム塩固体を再ガス化できる加熱部位
    (4) 冷却気流吹き込み口
    (5) 冷却捕集容器の内部に冷却液体
    (6) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に炭酸系アンモニウム塩または酸アンモニウム塩の掻き取り、剥離、撹拌などを行う動乱部位
    (7) 冷却捕集容器または捕集容器の内部に酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液
    (8)液体を噴霧できるノズル
    (9)液体を循環できる外部タンクとポンプ
    (10)捕集容器、冷却捕集容器または外部タンクに酸アンモニウムを含んで良い酸または酸溶液、または酸アンモニウム溶液、または冷却液体などを注入排出できる注入口または排出口
    (11)冷却捕集容器の内部に冷却可能な内壁の面積を増大させる突起部位
  10. 捕集された炭酸系アンモニウム塩をガス化して窒素源として再使用する加熱ガス化容器を反応容器に連結することを特徴とする請求項8または9記載の製造装置。
  11. 環化反応とフタルイミド化反応を各々別の反応容器で行う2段合成法の製造装置においては、各々あるいは何れかが冷却捕集容器または捕集容器を有することを特徴とする、請求項8〜10いずれか記載の製造装置。
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