(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10の斜視図である。プロジェクタ10は、投射ユニット12および支持部材14を有する。投射ユニット12は円柱状に形成され、その中心軸が水平方向を向くように支持部材14に支持される。このとき支持部材14は、投射ユニット12を回動可能に支持する。
図2は、投射ユニット12の構造を示す斜視図である。投射ユニット12は、筐体20、光学系22、および駆動機構24を有する。筐体20は、円筒状部分30および2つの側壁32、34を有する。側壁32、34は、円筒状部分30の両端の開口を各々が覆うよう設けられる。図2は、投射ユニット12の内部が見えるよう側壁32が円筒状部分30から外された状態を示している。なお、円筒状部分30に代えて、他の形状の筒状部分が設けられてもよい。例えば開口部の形状が正六角形や正八角形などの正多角形となる筒状部分が設けられてもよい。
筐体20は、光学系22を収容する。光学系22は、筐体20の内部に固定される。円筒状部分30には、開口部30aが設けられている。光学系22は、この開口部30aを介して画像を外部に投射する。このため、筐体20を回転させることにより、水平方向に対する画像の投射角度を変化させることができる。
駆動機構24は、モータ40、伝達機構42、およびシャフト44を有する。側壁32、34の各々の中心には挿通孔が設けられており、この挿通孔にシャフト44が回転可能に挿通される。こうして支持部材14は、筐体20を回動可能に支持し、円筒状部分30は、その中心軸が投射ユニット12の回動軸となる。シャフト44の両端部は支持部材14に固定される。モータ40は、板状に形成されたモータベース46を介して筐体20に固定される。モータ40は、ギヤを含む伝達機構42を介してシャフト44に回転駆動力を与える。シャフト44は支持部材14に固定されており回転不能とされているため、モータ40が作動することにより筐体20がシャフト44を中心に回動する。このようにモータ40は、筐体20を支持部材14に対し回動させる駆動源として機能する。
筐体20は、駆動機構24を収容する。このように駆動機構24を筐体20が収容することにより、投射ユニット12の外部の構成を簡略化することができ、デザイン性の高いプロジェクタ10を提供することができる。
筐体20の内部には、光学系22や後述する光源を冷却するための冷却ファン(図示せず)が設けられている。側壁32、34の各々には通気孔が設けられており、冷却ファンは、この通気孔を介して外部との間でエアを吸排気することで、筐体20内部の温度を抑制している。このように筐体20を円筒状とし、この側壁32、34に通気孔を設けることで、通気孔の面積を広くとることができ、筐体20内部の温度を良好に抑制することができる。なお、通気孔は側壁32、34の一方に設けられてもよい。
図3は、投射ユニット12の回動軸と垂直な平面によるプロジェクタ10の断面図である。図3において投射ユニット12が回動する中心軸を「回動軸O」とする。開口部30aの内部周辺には、透明カバー58が取り付けられている。透明カバー58は、開口部30aを通じた外部から筐体20内部への異物の進入を阻止する。ここで、透明カバー58は、筐体20が描く円よりも突出すると筐体20の回動が妨げられるため、筐体20から突出しないことが重要である。
また、透明カバー58は、ワイドコンバージョンレンズでもよい。透明カバー58にワイドコンバージョンレンズを用いた場合、透明カバー58と同様に筐体20内部への異物の侵入を阻止するばかりでなく、画像を一段と大きく拡大して投射することが可能となる。
更に、ワイドコンバージョンレンズを用いる構成にした場合に、ワイドコンバージョンレンズが後述の投射レンズ60の一部の機能を担うようにすることで、投射レンズ60を小さくすることが可能となり、光学系22の体積を小さくすることができる。
光学系22は、第1光学系50、第2光学系52、および光源ユニット54を有する。第1光学系50は、投射レンズ60と、複数の光学部材を含む。これら投射レンズ60と複数の光学部材とは、共通の第1光軸X1を持つ。また、第1光学系50における第1光路は、図3におけるPを始点として投射レンズ60を透過して第1光軸X1に沿っている。第2光学系52もまたレンズなどの複数の光学部材を含み、これら複数の光学部材は、共通の第2光軸X2を持つ。また、第2光学系52における第2光路は、図3におけるQを始点として第2光軸X2に沿って後述する反射型液晶素子66に向かう。光源ユニット54もまた複数の光学部材を含み、これら複数の光学部材は、共通の第3光軸X3を持つ。また、光源ユニット54における第3光路は、後述する光源62を始点として第3光軸X3に沿って後述するミラー84に向かう。第1光軸X1と第2光軸X2とは互いに交わり、また、第2光軸X2と第3光軸X3とは互いに交わる。更に、第1光路と第2光路は、互いの端部であるPで繋がり、第2光路と第3光路は、互いの端部であるQで繋がる。以下、便宜上第1光路を第1光軸X1、第2光路を第2光軸X2、第3光路を第3光軸X3として説明する。
光源ユニット54は、光学系22に光を供給する光源62を有する。第1の実施形態では、光源62に水銀放電灯が採用されている。ミラー80は、光源62が発する光を反射する。光源ユニット54は、光学部材としてカラーホイール82およびミラー84を有する。ミラー80によって反射された光は、カラーホイール82を通過してミラー84によって再度反射される。ミラー84によって反射された光は、第2光学系52に供給される。
画像出力ユニット56は、反射型液晶素子66およびワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68を有する。第2光学系52を通過した光は、ワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68を透過し、反射型液晶素子66によって外部に投射すべき投射像として反射され、再びワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68に戻る。反射型液晶素子66による投射像はワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68を反射して第1光学系50に供給され、投射レンズ60を透過して外部に投射される。以上より、第1光軸X1と第2光軸X2とは、ワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68上のP点において交差し、第2光軸X2と第3光軸X3とはミラー84上のQ点において繋がる。
このとき第1光軸X1と第2光軸X2とは、ワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68を介しており直角に交差する。また、第2光軸X2と第3光軸X3とは略直角に交差する。このように複数の光軸を、互いに繋がる光軸同士で直交させることにより、回動軸Oを複数の光軸によって広い範囲で囲むことができる。なお、互いに繋がる光軸同士の成す角度は直角に限定されないことは勿論であり、例えば鈍角または鋭角であってもよい。以上のように、反射型液晶素子66、ワイヤーグリッドもしくは偏光ビームスプリッタ68、ミラー80、およびミラー84の各々は、光を反射する反射部として機能する。
なお、第1の実施形態では、第1光軸X1、第2光軸X2、および第3光軸X3の3本の光軸が回動軸Oを囲むように光学系22が構成されているが、回動軸Oを囲む光軸の本数が3本に限られないことは勿論である。例えば、光学系22が互いに繋がる2本の光軸を持つよう内部の光学部品が構成され、この2本の光軸が回動軸Oを囲むように光学系22が構成されていてもよい。また、光学系22が互いに繋がる4本以上の複数の光軸を持つよう内部の光学部品が構成され、この複数の光軸が回動軸Oを囲むように光学系22が構成されてもよい。
このように光学系22は、互いに角度をもって繋がる光軸X1、X2、およびX3を持つ。このうち、第1光軸X1および第2光軸X2を含む平面は、回動軸Oと垂直となるよう、第1光学系50および第2光学系52が配置されている。以下、この平面を「第1平面f1」という。
第1の実施形態に係るプロジェクタ10では、光学系22は、光軸X1、X2、およびX3が回動軸Oを囲むように構成される。すなわち、第1光学系50、第2光学系52、および光源ユニット54は、回動軸Oを囲むように構成される。これにより、回動軸Oを中心に回動させたときに光学系22が通過する領域を抑制することができる。このため、プロジェクタ10の占有体積を抑制することができる。また、第1光学系50、第2光学系52、および光源ユニット54を回動軸Oを中心に周方向に分散させることができ、回動軸O周辺の重量の偏りを抑制することができる。このため、投射ユニット12の駆動力を抑制でき、モータ40の小型化を実現できる。また、投射ユニット12の安定した支持を容易に実現することができる。
また、光学系22は、投射レンズ60を含む第1光学系50と光源62を含む光源ユニット54とが、回動軸Oが間に挟まれるよう配置される。光学系22の中で投射レンズ60は大きく質量も大きい。また、水銀放電灯である光源62も一般的に質量が大きい。このように質量が大きい部品を含む2つの光学系を回動軸Oが間に挟まれるよう配置することで、回動軸Oを中心とした重量の偏りを低減させることができ、より安定した投射ユニット12の回動を実現することができる。
図4は、図3の視点Rから光学系22を見た図である。光源62には水銀放電灯が採用されている。水銀放電灯では、点灯方向により内部圧力や温度分布が変化する。水銀放電灯を用いて高い信頼性を維持するためには、光源62から射出した光の光軸の向きは一定であることが好ましい。ここで、光軸が第1平面f1に含まれるように光源62を配置すると、光源62から射出した光の光軸の向きが投射ユニット12の回動と共に変化することとなる。このため、第1の実施形態では、光源62を、その光軸が回動軸Oと平行となるよう配置している。光源62をこのように配置しているため、光源62が発した光を光学系22に供給すべく、光源62が発した光を反射するミラー80が設けられている。
ここで、例えばこの第1平面f1に第3光軸X3も含むようミラー80を当該平面と交差する位置に配置した場合、その分だけ光源62が突出し、回動軸方向における光学系22の幅が大きくなり、プロジェクタ10の小型化が困難となる。このため、光源62およびミラー80は、光軸X1およびX2を含む第1平面f1を挟むように配置される。これにより、回動軸方向における光学系22の幅を抑制することができる。
更に、光源62およびミラー80は、光軸X1およびX2を含む第1平面f1を挟むように配置することにより、シャフト44およびシャフト保持部品に対しての均等に光学系重みがかかるようにできるため、スムーズな回転動作とモータの小型化を可能となる。
なお、光源62が水銀放電灯に限られないことは勿論であり、水銀放電灯以外の放電灯や、フィラメントを用いた白熱灯、或はLED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子によって構成されてもよい。
図5は、光学系22の第1光学系50および第2光学系52を模式的に示す図である。第1光学系50および第2光学系52の各々は、第1光軸X1および第2光軸X2を含む第1平面f1上において回動軸Oを通過する直線と自身の光軸がその光学系22内部にて直交するよう配置される。
具体的には、第1光学系50における第1光軸X1の両端部を第1端部X11および第2端部X12とする。第1光軸X1は、第1端部X11と第2端部X12との間の点13にて、回動軸Oを通過する直線と直交する。また、第2光学系52における第2光軸X2の両端部を第1端部X21および第2端部X22とする。第2光軸X2は、第2端部X12と第2端部X22との間の点23にて、回動軸Oを通過する直線と直交する。
このように光学系内部において光軸と回動軸Oを通過する直線とが直交するよう光学系を設けることにより、回動軸Oを中心に光学系を回動させたときの光学系の軌跡の体積を抑制することができる。このため、投射ユニット12の回動を考慮したプロジェクタ10の占有サイズを抑制することができる。
なお、第1の実施形態では、第1光軸X1は、第1端部X11と第2端部X12と略中央の点13にて、回動軸Oを通過する直線と直交する。第2光軸X2は、第2端部X12と第2端部X22との略中央の点23にて、回動軸Oを通過する直線と直交する。このように光学系の内部において、光軸の略中央と回動軸Oを通過する直線とが直交するよう光学系を設けることにより、回動軸Oを中心に光学系を回動させたときの光学系が通過する領域をさらに抑制することができる。
図6は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10を制御する制御ユニット100の回路図である。制御ユニット100は、MPU120、ビデオプロセッサ122、光源ドライバ124、およびファンコントローラ126を有する。MPU120は、駆動制御部として機能し、駆動機構24による筐体20の回動を制御する。ビデオプロセッサ122は画像制御部として機能し、外部へ投射すべき画像の画像データを生成する。具体的には、ビデオプロセッサ122は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)から読み取られた画像データに、反射型液晶素子66に映し出すための画像処理を施して画像データを生成する。反射型液晶素子66は、生成された画像データが示す画像を表示する。こうして表示された画像の反射光が第1光学系50を介して外部に投射される。
光源ドライバ124は、光源62の点灯、消灯、および光源62が発する光の輝度を制御する。ファンコントローラ126は、筐体20の内部に設けられる上述の冷却ファンの作動を制御することにより、筐体20内部の温度を制御する。筐体20の内部には温度センサ(図示せず)が設けられており、その検出結果はファンコントローラ126もしくはMPU120に出力される。ファンコントローラ126は、筐体20内の温度を所定範囲に維持させるよう、温度センサの検出結果などを利用して冷却ファンのオンオフおよび回転数を制御する。
プロジェクタ10にはコントロールパネル(図示せず)が設けられており、このコントロールパネルに、正転ボタン130、逆転ボタン132、S/Eボタン134、ISボタン136、およびHSボタン138が配置されている。正転ボタン130は、正転方向、すなわち水平方向に対する投射方向の角度を増加させるよう投射ユニット12を回動させるときに押すべきボタンとして設けられている。逆転ボタン132は、逆転方向、すなわち水平方向に対する投射方向の角度を減少させるよう投射ユニット12を回動させるときに押すべきボタンとして設けられている。
S/Eボタン134は、プロジェクタ10の電源をオンにして使用状態とするとき、また、プロジェクタ10の電源をオフにして不使用状態とするときに押すべきボタンとして設けられている。ISボタン136は、後述する収納位置を設定するときに押すべきボタンとして設けられている。HSボタン138は、後述する初期位置を設定するときに押すべきボタンとして設けられている。
また、図示しないが、投射方向を初期位置(水平位置)と天井投影位置(垂直位置)との間で移動させる指示を発する切替えスイッチが備えられており、ユーザは簡単にそれぞれの位置にプロジェクタ10の投射方向をセットすることができる。なお、初期位置及び天井投影位置は、任意の位置に設定することができる。
なお、プロジェクタ10とは別体のリモコンが設けられてもよい。MPU120は、リモコンへの操作入力を無線で取得可能に設けられてもよい。このリモコンに、正転ボタン130、逆転ボタン132、S/Eボタン134、ISボタン136、またはHSボタン138、上記切替えスイッチが配置されていてもよい。これによって、ユーザは、プロジェクタ10から離れた位置でプロジェクタ10の電源オン、オフ、正転、逆転などの指示をプロジェクタ10の与えることができる。
制御ユニット100には、ポテンショメータ140が設けられている。ポテンショメータ140は、シャフト44に対する筐体20の回動角度を検出する角度センサとして機能する。なお、ポテンショメータ140に代えてジャイロセンサが設けられてもよい。ジャイロセンサを用いることにより、例えば傾斜した台上にプロジェクタ10を置いた場合においても、水平方向に対して正確な角度で投射ユニット12を回動させることができる。また、制御ユニット100には、それぞれ光センサとして機能する第1フォトインタラプタ142および第2フォトインタラプタ144が、それぞれPI−1端子およびPI−2端子を介して接続されている。
図7は、ユーザによるプロジェクタ10の操作手順を示すフローチャートである。投射ユニット12が後述する収納位置にあり、プロジェクタ10が投射可能状態となっていることを示すスタートフラグがオフに設定されているときにユーザによってS/Eボタン134が押されると、MPU120は、外部へ画像を投射可能な投射可能状態が選択されたことを示すスタート要求を取得する。このときMPU120は、スタートフラグをオンに設定する。次にMPU120は、後述する初期位置まで筐体20を回動させるよう駆動機構24を制御する(S10)。
図8(a)は、投射ユニット12が収納位置にあるときのプロジェクタ10の斜視図であり、図8(b)は、投射ユニット12が収納位置にあるときのプロジェクタ10の断面図である。投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30aは下方の所定位置に位置する。支持部材14は、投射ユニット12が収納位置にあるときに開口部30aを遮蔽するよう形成される。
このように開口部30aが下方を向き、さらに支持部材14によって遮蔽されることにより、透明カバー58への異物の付着を抑制することができる。このため、透明カバー58への異物の付着による投射像への影響を低減させることができる。
図9(a)は、投射ユニット12が初期位置にあるときのプロジェクタ10の斜視図であり、図9(b)は、投射ユニット12が初期位置にあるときのプロジェクタ10の断面図である。投射ユニット12が工場出荷時の初期位置にあるとき、第1光軸X1が水平方向に向くときの位置に開口部30aが位置する。支持部材14は、投射ユニット12が初期位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう形成される。
図7に戻る。スタートフラグがオンにされると、ファンコントローラ126は、冷却ファンを作動させ、光源ドライバ124は、光源62に電流を供給して光源62による発光を開始する。初期位置まで回動された後は、ユーザは、正転ボタン130を押すことにより投射ユニット12を正転させることができ、また、逆転ボタン132を押すことにより投射ユニット12を逆転させることができる(S12)。
具体的には、正転ボタン130がユーザによって押されている間、MPU120は、投射ユニット12を正転方向に回動させる回動要求を取得する。MPU120は、正転方向の回動要求を継続して取得している間、投射ユニット12を正転させるよう駆動機構24を制御する。また、逆転ボタン132がユーザによって押されている間、MPU120は、投射ユニット12を逆転方向に回動させる回動要求を取得する。MPU120は、逆転方向の回動要求を継続して取得している間、投射ユニット12を逆転させるよう駆動機構24を制御する。
ユーザは、正転ボタン130または逆転ボタン132を押して投射ユニット12を回動させた後にISボタン136を押すことにより、そのときの投射ユニット12の位置を収納位置として設定することができ、HSボタン138を押すことにより、そのときの投射ユニット12の位置を初期位置として設定することができる(S14)。
具体的には、ISボタン136が押されると、MPU120は、収納位置変更要求を取得する。収納位置変更要求を取得すると、MPU120は、そのときのポテンショメータ140による検出角度を取得し、取得した角度を収納位置として設定する。このようにMPU120は、ISボタン136が押されることにより収納位置変更要求を取得したときは、エンド要求を取得したときに回動させるべき収納位置を収納位置変更要求に基づいて変更する。
なお、MPU120は、開口部30aが支持部材14によって遮蔽される投射ユニット12の所定角度範囲を、収納位置として設定できる投射ユニット12の角度範囲として予め保持する。MPU120は、投射ユニット12がこの所定角度範囲内にあるときに収納位置変更要求を取得した場合、新たに収納位置を設定する。MPU120は、投射ユニット12がこの所定範囲外にあるときに収納位置変更要求を取得した場合、新たな収納位置の設定を回避し、それまで設定されてた収納位置を維持する。
また、HSボタン138が押されると、MPU120は、初期位置変更要求を取得する。初期位置変更要求を取得すると、MPU120は、そのときのポテンショメータ140による検出角度を取得し、取得した角度を初期位置として設定する。このようにMPU120は、HSボタン138が押されることにより初期位置変更要求を取得したときは、スタート要求を取得したときに回動させるべき初期位置を初期位置変更要求に基づいて変更する。
なお、MPU120は、支持部材14による開口部30aの遮蔽が解除される投射ユニット12の所定角度範囲を、初期位置として設定できる投射ユニット12の角度範囲として予め保持する。MPU120は、投射ユニット12がこの所定角度範囲内にあるときに初期位置変更要求を取得した場合、新たに初期位置を設定する。MPU120は、投射ユニット12がこの所定範囲外にあるときに初期位置変更要求を取得した場合、新たな初期位置の設定を回避し、それまで設定されていた初期位置を維持する。
図10は、プロジェクタ10の使用環境の一例を示す図である。図10に示すように、プロジェクタ10がテーブル152に置かれたときも、プロジェクタ10の水平方向前方にはテレビ154が配置され、スクリーン150がその上に配置される場合が考えられる。このような場合、投射方向が水平方向を向く工場出荷時の初期位置をそのまま維持すると、ユーザはS/Eボタン134を押して投射ユニット12を初期位置に回動させた後も、正転ボタン130を押して投射方向がスクリーン150に向くよう投射ユニット12を回動させる必要が生じる。このように、初期位置を設定するためのHSボタン138が設けられていることにより、ユーザは、スクリーン150が向く方向に初期位置を設定しておくことで、その後はS/Eボタン134を押すだけで投射方向をスクリーン150に向けることが可能となる。なおユーザは、HSボタン138を利用して、天井に画像を投射すべく、鉛直上方に投射方向が向くよう初期位置を設定することもできる。
図7に戻る。スタートフラグがオンに設定されているときにユーザによってS/Eボタン134が押された場合、MPU120は、外部へ画像を投射しない非投射状態が選択されたことを示すエンド要求を取得する。エンド要求を取得すると、MPU120は、スタートフラグをオフに設定し、支持部材14によって開口部30aが遮蔽される収納位置まで筐体20を回動させるよう駆動機構24を制御する(S16)。
スタートフラグがオフにされると、ファンコントローラ126は、冷却ファンを停止させ、光源ドライバ124は、光源62への電流の供給を停止して光源62による発光を停止させる。なお、冷却ファン停止後の投射ユニット12内部の温度上昇を抑制するため、ファンコントローラ126は、光源62の発光を停止してから所定時間経過後に冷却ファンを停止させてもよい。
ビデオプロセッサ122は、ポテンショメータ140から、投射ユニット12が向く回動方向への角度を取得する。具体的には、ビデオプロセッサ122は、工場出荷時の収納位置をゼロ度として、そこから正転方向に何度回動しているかをポテンショメータ140の検出結果から算出する。ビデオプロセッサ122は、こうして取得した角度に応じて、矩形に投射されるべき画像が台形状に歪んで投射される台形歪みを低減させるよう補正する台形補正を施して、外部へ投射すべき画像を生成する。
しかし、例えば投射ユニット12の回動が終了した後もこの台形補正を継続すると、例えばプロジェクタ10が置かれる台の振動などに基づいて台形補正が施され、投射された画像の外形が振動と同期して微小に変化する状態が生じ得る。このためビデオプロセッサ122は、回動要求に応じた筐体20の回動が終了した場合、新たな回動要求が取得されるまで台形補正を回避する。
具体的には、ビデオプロセッサ122は、正転ボタン130が押されて投射ユニット12が正転している間、すなわち正転方向の回動要求を取得している間は、台形補正を施して画像データを生成する。また、ビデオプロセッサ122は、逆転ボタン132が押されて投射ユニット12が逆転している間、すなわち逆転方向の回動要求を取得している間は、投射ユニット12が向く回動方向の角度に基づいて台形補正を施して画像データを生成する。また、ビデオプロセッサ122は、スタートフラグがオフのときにS/Eボタン134が押されて投射ユニット12が収納位置から初期位置に回動している間、およびスタートフラグがオンのときにS/Eボタン134が押されて投射ユニット12が収納位置に戻る間は、投射ユニット12が向く回動方向の角度に基づいて台形補正を施して、反射型液晶素子66に入力すべき画像データを生成する。
しかし、ビデオプロセッサ122は、投射ユニット12が回動していないときは、台形補正を回避して、反射型液晶素子66に入力すべき画像データを生成する。具体的には、正転ボタン130および逆転ボタン132のいずれも押されていないとき、およびS/Eボタン134が押されたことによる初期位置または収納位置への移動中でないときは、ビデオプロセッサ122は、台形補正を回避して画像データを生成する。ビデオプロセッサ122は、このように台形補正を回避しているときは、投射ユニット12への次の回動要求を取得するまで、台形補正の回避を継続する。これにより、プロジェクタ10が置かれる台の振動などによる投射像の外形の変化を抑制することができる。
また、ポテンショメータ140とMPU120との間の信号線には、ローパスフィルタが設けられている。ローパスフィルタは、ポテンショメータ140からMPU120に送られる検出信号の高周波成分をカットする。これにより、微小な振動が角度検出値としてポテンショメータ140からMPU120に送られることを回避することができ、微細な振動による投射像への影響を低減させることができる。
また、MPU120は、デジタル化されたポテンショメータ140の角度検出データを時間軸方向に平均化する。これにより、急激な角度変化を緩和させ、投射像への影響を低減させることができる。時間軸方向への平均方法は、例えば移動平均法でもよく、積分による平均法でもよい。
ここで、投射ユニット12の回動範囲には規制が設けられている。具体的には、投射ユニット12は、開口部30aが支持部材14によって遮蔽される第1規制位置から、投射方向が鉛直上方に向く第2規制位置まで回動可能に設けられている。
なお、第1規制位置は、開口部30aが支持部材14によって遮蔽される位置に設定されていればよく、第2規制位置は、鉛直上方に限らず開口部30aが支持部材14によって遮蔽されない位置であれば何れの位置でもよい。
図11(a)は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10が第1規制位置にあるときを模式的に示す図である。第1フォトインタラプタ142および第2フォトインタラプタ144の各々は、受光素子と発光素子を有している。MPU120は、S/Eボタン134が押されて電源がオンにされ、スタートフラグがオンに設定されている間、第1フォトインタラプタ142および第2フォトインタラプタ144の各々の発光素子を発光させた状態とする。
第1フォトインタラプタ142は、側壁32に対向するよう配置されている。側壁32には、反射マーカ32aがその表面に取り付けられている。反射マーカ32aは、投射ユニット12が第1規制位置にあるときに第1フォトインタラプタ142に対向する位置に配置される。
したがって、投射ユニット12が第1規制位置に到達すると、第1フォトインタラプタ142の受光素子による検出結果が、HighからLowに変化する。MPU120は、第1フォトインタラプタ142の検出値がLowになったときに、投射ユニット12が第1規制位置に達したと判定し、投射ユニット12の回動を停止させるよう駆動機構24を制御する。
なお、MPU120は、第1フォトインタラプタ142の検出値がHighになったときに、ポテンショメータ140の検出値をリセットすることによるゼロ点補正を施してもよい。これにより、投射ユニット12の位置が徐々にずれていく事態を回避することができる。
図11(b)は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10が第2規制位置にあるときを模式的に示す図である。第2フォトインタラプタ144は、側壁34に対向するよう配置されている。側壁34には、反射マーカ34aがその表面に取り付けられている。反射マーカ34aは、投射ユニット12が第2規制位置にあるときに第2フォトインタラプタ144に対向する位置に配置される。
したがって、投射ユニット12が第2規制位置に到達すると、第2フォトインタラプタ144の受光素子による検出値が、HighからLowに変化する。MPU120は、第2フォトインタラプタ144の検出結果がLowになったときに、投射ユニット12が第2規制位置に達したと判定し、投射ユニット12の回動を停止させるよう駆動機構24を制御する。
(第2の実施形態)
図12(a)は、第2の実施形態に係るプロジェクタ220が初期位置にあるときを模式的に示す図である。図12(b)は、第2の実施形態に係るプロジェクタ220が第2規制位置周辺にあるときを模式的に示す図である。なお、特に言及しない限り第2の実施形態に係るプロジェクタ220の構成は第1の実施形態のプロジェクタ10と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
プロジェクタ220は、第1フォトインタラプタ142および第2フォトインタラプタ144に代えて、フォトインタラプタ226が設けられる。フォトインタラプタ226はMPU120に接続されており、フォトインタラプタ226の検出結果はMPU120に入力される。第1フォトインタラプタ142および第2フォトインタラプタ144と異なり、フォトインタラプタ226には透過型のものが採用される。また、反射マーカ32aおよび反射マーカ34aに代えて、遮蔽板224が設けられる。
フォトインタラプタ226は、側壁32のわずかに下方に配置される。遮蔽板224は、円弧状に形成され、側壁32の外周に沿うよう取り付けられる。このとき遮蔽板224は、投射ユニット12が第1規制位置から第2規制位置まで回動する間、フォトインタラプタ226に対向するよう配置される。また、遮蔽板224は、投射ユニット12が第1規制位置にあるときにその一端がフォトインタラプタ226に対向し、投射ユニット12が第2規制位置にあるときにその他端がフォトインタラプタ226に対向するよう配置される。なお、遮蔽板224は側壁34の外周に沿うよう取り付けられてもよく、また、円筒状部分30の外周に沿うよう取り付けられてもよい。
MPU120は、投射ユニット12を逆転させているとき、すなわち逆転方向の回動要求を取得しているときにフォトインタラプタ226の検出値がHighからLowに変化したときに、投射ユニット12が第1規制位置に達したと判定して投射ユニット12の逆転を停止させる。このときポテンショメータ140のゼロ点補正を実行する点は、第1の実施形態と同様である。
MPU120は、投射ユニット12を正転させているとき、すなわち正転方向の回動要求を取得しているときにフォトインタラプタ226の検出値がHighからLowに変化したときに、投射ユニット12が第2規制位置に達したと判定して投射ユニット12の正転を停止させ、フォトインタラプタ226の検出値がLowからHighに変化する位置まで逆転させてフォトインタラプタ226の検出値がHigh状態になるように保つ。このように一つのフォトインタラプタ226を用いても、投射ユニット12が回動規制範囲を超えて回動することを回避することができる。
以上より、MPU120は、フォトインタラプタ226の検出値がHighのときに正転方向または逆転方向への回動要求を取得した場合に投射ユニット12を回動要求に従って回動させる。
なお、フォトインタラプタ226による検出値がHighのときにコンセントが抜かれるなどして電源がオフにされた場合、MPU120は、次にコンセントが入れられたときに投射ユニット12を逆転させ、フォトインタラプタ226による検出値がLowになったところで投射ユニット12の回動を停止させる。このときMPU120は、上述と同様にポテンショメータ140のゼロ点補正を実行する。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係るプロジェクタ240を模式的に示す図である。なお、特に言及しない限り第3の実施形態に係るプロジェクタ240の構成は第1の実施形態のプロジェクタ10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
プロジェクタ240は、駆動機構24に代えて、ギヤ242、ウォームギヤ244、およびモータ246を有する。ギヤ242は、シャフト44に固定されている。ウォームギヤ244はモータ246のモータ軸に取り付けられ、ギヤ242に噛み合うよう配置される。モータ246は、筐体20に固定される。こうしてモータ246が作動することにより、ウォームギヤ244、ギヤ242を介して筐体20に対してシャフト44に回転駆動力が与えられる。シャフト44は支持部材14に固定されているため、筐体20がシャフト44を中心に回動する。
このようにウォームギヤを用いて駆動機構を構成することによって、外力による筐体20の回動を回避することができる。このため、ユーザが誤って投射ユニット12を回動させることによって、投射ユニット12が向く角度をMPU120が誤って認識するなどを回避することができる。
(第4の実施形態)
図14(a)は、第4の実施形態に係るプロジェクタ260が初期位置にあるときを模式的に示す図である。図14(b)は、第4の実施形態に係るプロジェクタ260が第2規制位置にあるときを模式的に示す図である。なお、特に言及しない限り第4の実施形態に係るプロジェクタ260の構成は第1の実施形態のプロジェクタ10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
プロジェクタ260では、側壁32に代えて側壁262が設けられる。また、プロジェクタ260は、ソレノイド264を有する。ソレノイド264はMPU120に接続されており、MPU120は、ソレノイド264のオンオフを制御する。側壁262の外周部には、凹部262a、係止部262b、および摺動部262cが設けられている。凹部262aは、摺動部262cの外周から矩形に凹むよう形成されている。摺動部262cは、側壁262の他の外周よりも半径が小さい円弧状に形成されている。係止部262bは、径方向に延びる端縁として形成される。
ソレノイド264は、プランジャ264aの先端が摺動部262cに当接するよう配置される。プランジャ264aは、ソレノイド264がオフのときは摺動部262cに向けて付勢された状態となる。
ソレノイド264をオンにすると、プランジャ264aが摺動部262cから離間するよう引っ込む。しかし、プランジャ264aは、ソレノイド264がオンにされても係止部262bまたは凹部262aに係止されるよう、引っ込み量が規制されている。このため、ソレノイド264のオンオフにかかわらず、投射ユニット12が第1規制位置を超えて逆転すること、および第2規制位置を超えて正転することが回避される。
MPU120は、投射ユニット12を逆転させているときにプランジャ264aが凹部262aに当接して投射ユニット12の回転が規制され、ポテンショメータ140の検出値が変化しなくなったときに、投射ユニット12が第1規制位置に到達したと判定する。このときMPU120は、ソレノイド264をオフにして凹部262aにプランジャ264aを挿入する。これにより、投射ユニット12に外力が与えられた場合においても、プランジャ264aが凹部262aの側壁に突き当たるため、投射ユニット12の回動が係止される。したがって、ユーザが誤って投射ユニット12を回動させることにより、投射ユニット12が向く角度をMPU120が誤って認識するなどを回避することができる。このときMPU120がゼロ点補正を実行する点は上述と同様である。
プロジェクタ260が使用状態のとき、すなわちスタートフラグがオンにされているとき、MPU120は、ソレノイド264をオンにして投射ユニット12を回動可能状態とする。MPU120に正転方向の回動要求が与えられているときにプランジャ264aが係止部262bに当接してポテンショメータ140の検出値が変化しなくなった場合、MPU120は、投射ユニット12が第2規制位置に到達したと判定する。このときMPU120は、投射ユニット12の回動を停止させる。このように投射ユニット12が第2規制位置にあるとき、投射ユニット12のそれ以上の正転方向への回動はプランジャ264aと係止部262bによって規制されるため、投射ユニット12に外力が与えられても投射ユニット12が第2規制位置からさらに正転方向に回動することを回避することができる。
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、各実施例の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施例として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。