JP2011105884A - 洗浄液、および液滴吐出装置 - Google Patents

洗浄液、および液滴吐出装置 Download PDF

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英和 森山
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敦 傳田
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光宏 磯部
Naoyuki Toyoda
直之 豊田
佳和 ▲濱▼
Yoshikazu Hama
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Abstract

【課題】液滴吐出装置の導体パターン形成用インクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消できる洗浄液、このような洗浄液を用いた液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄液は、液滴吐出方式による導体パターンの形成に用いられ、金属粒子が水系分散媒に分散した導体パターン形成用インクを吐出する液滴吐出装置を洗浄するための洗浄液であって、セラミックス粒子と、前記セラミックス粒子が分散する水系分散媒とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄液、および液滴吐出装置に関する。
電子回路または集積回路などに使われる配線の製造には、例えばフォトリソグラフィ法が用いられている。このフォトリソグラフィ法は、予め導電膜を塗布した基板上にレジストと呼ばれる感光材を塗布し、回路パターンを照射して現像し、レジストパターンに応じて導電膜をエッチングすることで導体パターンからなる配線を形成するものである。このフォトリソグラフィ法は真空装置などの大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
これに対して、液体吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いて導体パターン(配線)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、導電性微粒子を分散させた導体パターン形成用インクを基板に直接パターン塗布し、その後、溶媒を除去して導体パターン前駆体を得、焼結させることにより導体パターンに変換する。この方法によれば、フォトリソグラフィが不要となり、プロセスが大幅に簡単なものになるとともに、原材料の使用量も少なくてすむというメリットがある。また、この方法によれば、従来の方法と比較して、微細な導体パターンを形成することが可能であり、回路密度の向上に有利である。
ところで、導体パターンの形成に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行うため、大量の液滴を長時間にわたって連続で吐出することが求められる。また、導体パターンの形成に用いるインク(産業用)では、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、一般に、吐出時の液切れも悪く、インクジェットヘッドの吐出部(ノズル)や吐出面にインクが残存しやすい。この結果、継続して吐出した場合、インクに含まれる成分が液滴吐出装置のインクの流路に付着し、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になる。また、導体パターンの形成に用いるインク(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、組成に制限が多く、乾燥性や再溶解性等の特性が十分ではなく、金属粒子等の固形分が析出、あるいは凝集して、液滴吐出ヘッドの吐出部の目詰まりを起こしやすく、液滴の飛行曲がりを頻発する。このような場合、導体パターン形成用インクによって基板上に形成されたパターンは、十分に均一な厚さ、幅を有することが困難であった。このように、目的とする形状のパターンを形成できない場合、結果として形成した導体パターンの一部に断線が生じやすいものとなっていた。また、導体パターンが目的とする形状とならないことにより、導体パターンが目的とする周波数特性(Q値)からずれた特性を有してしまう問題があった。特に、近年の配線の微細化、狭ピッチ化による回路基板の高密度化に伴い、このような問題の発生が顕著であった。
このため、例えば、液滴吐出装置のセラミックス基板のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(つば吐き)や、吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法により、液滴吐出ヘッドやインクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法のみでは、十分に凝集物、付着物を取り除くことができず、再び液滴の吐出を行うと比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、吐出部が再び目詰まりする問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、セラミックス回路基板の生産性を極端に落とすものとなっていた。
特開2007−84387号公報
本発明の目的は、液滴吐出装置の導体パターン形成用インクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消できる洗浄液、このような洗浄液を用いた液滴吐出装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の洗浄液は、液滴吐出方式による導体パターンの形成に用いられ、金属粒子が水系分散媒に分散した導体パターン形成用インクを吐出する液滴吐出装置を洗浄するための洗浄液であって、
セラミックス粒子と、前記セラミックス粒子が分散する水系分散媒とを含むことを特徴とする。
これにより、液滴吐出装置の導体パターン形成用インクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消できる洗浄液を提供することができる。
本発明の洗浄液では、前記セラミックス粒子は、金属酸化物を含むことが好ましい。
セラミックス粒子は、上述した中でも、金属酸化物を含むことが好ましい。このような化合物は、化学的に安定であり、安定して洗浄液中で分散される。また、比較的硬度が高いため、好適に吐出口の汚れを除去し、この結果、導体パターン形成用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の洗浄液では、前記金属酸化物は、酸化アルミニウムまたは、酸化亜鉛、酸化チタンであることが好ましい。
これらの化合物は、硬度が高いものであり、比較的高い洗浄性を有している。また、洗浄液を用いて洗浄された液滴吐出装置を用いて形成される導体パターンは、目的とした性能をより確実に発揮でき、信頼性の高いものとなる。
本発明の洗浄液では、前記セラミックス粒子は、ガラス材料を含むことが好ましい。
ガラス材料は、インクの流路に付着した汚れを吸着する機能を有しており、一旦削り取られた汚れを吸着して、好適にインクの流路を洗浄することができる。
本発明の洗浄液では、前記セラミックス粒子の平均粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましい。
これにより、セラミックス粒子の洗浄効果を特に優れたものとすることができる。
本発明の洗浄液では、洗浄液中における前記セラミックス粒子の含有量は、1wt%以上30wt%以下であることが好ましい。
これにより、インクの流路に金属粒子が付着することを防止できるとともに、洗浄後においてセラミックス粒子がインクの流路に残存することを防止することができる。
本発明の洗浄液では、洗浄液と前記導体パターン形成用インクとは、ともに分散剤を含み、
洗浄液中に含まれる分散剤は、前記導体パターン形成用インク中に含まれる分散剤を構成する成分の少なくとも一部を含むものであることが好ましい。
これにより、洗浄液は、より洗浄性に優れたものとなる。また、洗浄後において、インクの流路中の洗浄液と導体パターン形成用インクとの置換を素早く行うことができる。
本発明の洗浄液では、洗浄液は、分散剤として、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、かつ、COOH基の数がOH基の数と同数またはCOOH基の数がOH基の数よりも多いヒドロキシ酸またはその塩を含むことが好ましい。
これにより、セラミックス粒子の洗浄効果が十分に発揮されるとともに、一旦遊離した銀等の汚れがインクの流路に再付着しにくいものとなる。
本発明の洗浄液では、前記導体パターン形成用インクは、前記セラミックス粒子に含まれる成分のうち少なくとも1つを含んで構成された基板上に付与されることが好ましい。
これにより、セラミックス粒子が液滴吐出装置のインクの流路に残存してしまった場合であっても、セラミックス粒子の形成される導体パターンへの影響が小さいものとなる。また、導体パターン形成用インクと基板とが同一の成分を含むことにより、導体パターンの基板への密着性が優れるものとなり、導体パターンは、信頼性の高いものとなる。
本発明の液滴吐出装置は、導体パターンの形成に用いられ、液滴吐出ヘッドより金属粒子が水系分散媒に分散した導体パターン形成用インクを吐出する液滴吐出装置であって、
前記導体パターン形成用インクを貯留するインク貯留槽と、液滴吐出装置の洗浄に用いられる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽とを有し、
前記洗浄液は、セラミックス粒子と、前記セラミックス粒子が分散する水系分散媒とを含むことを特徴とする。
これにより、液滴吐出装置の導体パターン形成用インクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消できる洗浄液を用いた液滴吐出装置を提供することができる。
インクジェット装置(液滴吐出装置)の好適な実施形態の一例を示す斜視図である。 図1の液滴吐出装置が備えるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)の概略構成を説明するための模式図である。 液滴吐出装置を用いて製造される配線基板(セラミックス回路基板)の好適な実施形態の一例を示す縦断面図である。 図3に示す配線基板(セラミックス回路基板)の製造方法の概略の工程を示す説明図である。 図3の配線基板(セラミックス回路基板)の製造工程説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、インクジェット装置(液滴吐出装置)の好適な実施形態の一例を示す斜視図、図2は、図1の液滴吐出装置が備えるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)の概略構成を説明するための模式図、図3は、液滴吐出装置を用いて製造される配線基板(セラミックス回路基板)の好適な実施形態の一例を示す縦断面図、図4は、図3に示す配線基板(セラミックス回路基板)の製造方法の概略の工程を示す説明図、図5は、図3の配線基板(セラミックス回路基板)の製造工程説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《洗浄液》
本発明の洗浄液(クリーニングインク)は、導体パターンの形成に用いられる液滴吐出装置の洗浄をするものであり、特に、後述するような導体パターン形成用インク(以下単にインクともいう)による液滴吐出装置の汚れ、目詰まり等を好適に解消するものである。
ところで、導体パターンの形成に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行うため、大量の液滴を長時間にわたって連続で吐出することが求められる。また、導体パターンの形成に用いるインク(産業用)では、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、一般に、吐出時の液切れも悪く、インクジェットヘッドの吐出部(ノズル)にインクが残存しやすい。この結果、継続して液滴を吐出した場合、インクに含まれる成分が液滴吐出装置のインクの流路に付着し、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になる。また、導体パターンの形成に用いるインク(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、組成に制限が多く、乾燥性や再溶解性等の特性が十分ではなく、金属粒子等の固形分が乾燥、あるいは凝集して液滴吐出ヘッドの吐出部の目詰まりを起こしやすくなる。この結果、液滴吐出装置は、液滴吐出時における液滴量の均一性、吐出性が劣るものとなり、液滴の飛行曲がりが頻発し、形成される導体パターンは、信頼性の低いものとなる。このような場合、導体パターン形成用インクによって基板上に形成されたパターンは、十分に均一な厚さ、幅を有することが困難であった。このように、目的とする形状のパターンを形成できない場合、結果として形成した導体パターンの一部に断線が生じやすいものとなっていた。特に、近年の配線の微細化、狭ピッチ化による回路基板の高密度化に伴い、このような問題の発生が顕著であった。
このため、例えば、液滴吐出装置のセラミックス基板のない部分で液滴を吐出する方法(つば吐き)や、ピエゾを高周波数で微振動させて、吐出部付近に付着したインクのメニスカス表面を振動させる方法、吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法により、液滴吐出ヘッドや、インクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法のみでは、液滴吐出装置内にある凝集物、付着物を十分には取り除くことができず、吐出を再開した場合に、比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、再び吐出部の目詰まり等が発生する問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、セラミックス回路基板の生産性を極端に落とすものとなっていた。また、流路や液滴吐出ヘッドに限らず、インク吸引キャップにおいても同様に吸引孔で目詰まりを発生してしまい、液滴吐出ヘッドのクリーニング時にインク吸引不良を起こす原因となっていた。さらに、導体パターンの形成に用いるインク(産業用)は、溶剤で洗浄しただけでは凝集しやすく、かつ導体を形成してしまうため、液滴吐出装置内で付着した場合、様々な問題の原因となっていた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、液滴吐出装置のインクを好適に洗浄できる洗浄液を用いることで、上記のような問題を解消できることを見出し、本発明に至った。すなわち、過酷な条件下で長期間にわたる吐出を安定して行うため、液滴吐出装置のインクの流路等を洗浄し、凝集した金属粒子等の固形物等を取り除き、インクの流路への汚れの付着、吐出部やインク吸引キャップの目詰まり等を解消するための洗浄液を発明するに至った。
そして、本発明の洗浄液は、セラミックス粒子とセラミックス粒子を分散する分散媒を含んでいる。
セラミックス粒子は、比較的硬度が高いものであり、導体パターン形成用インクの流路に対して研磨剤として機能する。この結果、液滴吐出ヘッドの吐出部付近において金属粒子が析出した場合であっても、セラミックス粒子が析出した金属粒子を速やかに削り取り、液滴吐出ヘッドの吐出口付近に金属粒子が蓄積することが防止される。このため、本発明の洗浄液を用いて導体パターン形成用インクの流路を洗浄した場合、導体パターン形成用インクの飛行曲がりや、液滴の吐出量の不安定化が防止され、液滴の吐出安定性に優れたものとなる。そして、本発明の洗浄液を用いて導体パターン形成用インクの流路を洗浄した場合、導体パターン形成用インクにより微細なパターンを精度よく描画でき、形成される導体パターンは、断線が防止された信頼性の高いものとなる。
[セラミックス粒子]
上述したように、洗浄液は、セラミックス粒子を含んでいる。
また、セラミックス粒子は、後述する水系分散媒中に分散している。
セラミックス粒子として用いることのできるセラミックス材料としては、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ランタニウム、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化チタニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸塩、二酸化ケイ素等のガラス材料、炭化ケイ素等の炭化物、窒化ケイ素等の窒化物、蛍石等のハロゲン化物、酸化アンチモン、酸化ビスマス等または、これらの混合物等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、セラミックス粒子は、上述した中でも、金属酸化物を含むことが好ましい。このような化合物は、化学的に安定であり、安定して洗浄液中で分散される。また、比較的硬度が高いため、好適に吐出口の汚れを除去し、この結果、導体パターン形成用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
特に、金属酸化物としてセラミックス粒子が、酸化アルミニウムまたは酸化チタンを含む場合、以下のような効果が得られる。これらの化合物は、硬度が高いものであり、比較的高い洗浄性を有している。また、これらの化合物は、融点が比較的高いものであるため、洗浄液がインクの流路に残存した場合であっても、導体パターン形成用インクによって形成される導体パターンにおいて導体パターンの前駆体を焼結する際には溶融せず、粒子として存在する。この結果、導体パターンの銀粒子が溶融した際に液状の銀の表面張力によって、これらのセラミックス粒子が押し出され、形成される導体パターンからセラミックス粒子が排除される。この結果、形成される導体パターンは、目的とした性能をより確実に発揮でき、信頼性の高いものとなる。また、特に、酸化アルミニウムおよび酸化チタンは、基板となるセラミックス成形体の構成材料として一般に用いられるものであり、セラミックス成形体から形成されるセラミックス基板への影響も少ないもとなる。
また、セラミックス粒子は、上述した中でも、ガラス材料を含むことが好ましく、二酸化ケイ素またはケイ酸塩を含むことがより好ましい。ガラス材料は、インクの流路に付着した汚れを吸着する機能を有しており、一旦削り取られた汚れを吸着して、好適にインクの流路を洗浄することができる。また、洗浄液がインクの流路に残存した場合であっても、導体パターン形成用インクによって形成される導体パターンにおいて、このような化合物は、焼結中に少なくともその一部が溶融することにより、導体パターンと基板との密着性の向上に寄与することができ、導体パターンの信頼性をより高くすることができる。特に、二酸化ケイ素およびケイ酸塩は、基板となるセラミックス成形体の構成材料として一般に用いられるものであり、セラミックス成形体に二酸化ケイ素またはケイ酸塩が含まれる場合、セラミックス成形体から形成されるセラミックス基板への影響も少ないものとなると同時に、導体パターンとセラミックス基板との密着性がより向上し、導体パターンの信頼性がより高いものとなる。
また、セラミックス粒子の平均粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましく、20nm以上2000nm以下であることがより好ましい。これにより、インクの流路に付着した金属粒子を取り除くことができる。すなわち、セラミックス粒子の洗浄効果を特に優れたものとすることができる。この結果、洗浄後の液滴吐出装置を用いて、微細な導体パターン前駆体を容易に精度よく形成することができる。
なお、本明細書では、「平均粒径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
また、洗浄液中におけるセラミックス粒子(セラミックス粒子がコロイドとして存在する場合には、セラミックスコロイド粒子)の含有量は、1wt%以上30wt%以下であることが好ましく、3wt%以上25wt%以下であることがより好ましい。これにより、インクの流路に金属粒子が付着することを防止できるとともに、洗浄後においてセラミックス粒子がインクの流路に残存することを防止することができる。
また、セラミックス粒子は、その表面に分散剤が付着したセラミックスコロイド粒子として、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、セラミックスコロイド粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、セラミックス粒子の洗浄性能が好適に発揮されるとともに、インクの流路にセラミックス粒子が残存しにくくなる。
また、セラミックスコロイド粒子の熱重量分析における500℃までの加熱減量は、1wt%以上25wt%以下が好ましい。これにより、セラミックスコロイド粒子の分散安定性安定性を特に優れたものとすることができ、セラミックス粒子による洗浄効果をより顕著なものとすることができる。
[分散剤]
洗浄液は、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤は、インクの流路に付着した銀粒子をセラミックス粒子が削り取った際に、遊離した銀粒子に付着して銀コロイド粒子を形成する。このため、一旦、分散した銀粒子が再度インクの流路に付着することを防止することができ、洗浄液の洗浄効果を高めることができる。
また、分散剤は、セラミックス粒子に付着して、それぞれ、セラミックスコロイド粒子を形成する。このようなセラミックスコロイド粒子は、分散安定性に優れるため、好適に洗浄性能が発揮されるとともに、洗浄後において、インクの流路に残存しにくいものとなる。
分散剤としては、特に限定されないが、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、かつ、COOH基の数がOH基と同じか、それよりも多いヒドロキシ酸またはその塩を含むことが好ましい。これらの分散剤は、銀粒子やセラミックス粒子の表面に吸着してコロイド粒子を形成し、分散剤中に存在するCOOH基の電気的反発力によって銀コロイド粒子やセラミックスコロイド粒子を水溶液中に均一に分散させてコロイド液を安定化する働きを有する。これにより、セラミックス粒子の洗浄効果が十分に発揮されるとともに、一旦遊離した銀等の汚れがインクの流路に再付着しにくいものとなる。これに対して、分散剤中のCOOH基とOH基の数が3個未満であったり、COOH基の数がOH基の数よりも少ないと、銀コロイド粒子やセラミックスコロイド粒子の分散性が十分に得られない場合がある。
このような分散剤としては、例えば、クエン酸、りんご酸、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸三アンモニウム、りんご酸二ナトリウム、タンニン酸、ガロタンニン酸、五倍子タンニン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、分散剤は、COOH基とSH基とを合わせて2個以上有するメルカプト酸またはその塩を含んでいてもよい。これらの分散剤は、メルカプト基が銀粒子やセラミックス粒子の表面に吸着してコロイド粒子を形成し、分散剤中に存在するCOOH基の電気的反発力によってコロイド粒子を水溶液中に均一に分散させてコロイド液を安定化する働きを有する。これにより、上述したような、ヒドロキシ酸またはその塩と同様の効果を得ることができる。これに対して、分散剤中のCOOH基とSH基の数が2個未満すなわち片方のみであると、銀コロイド粒子やセラミックスコロイド粒子の分散性が十分に得られない場合がある。
このような分散剤としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオジプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸、メルカプト酢酸ナトリウム、メルカプトプロピオン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ナトリウム、メルカプトコハク酸二ナトリウム、メルカプト酢酸カリウム、メルカプトプロピオン酸カリウム、チオジプロピオン酸カリウム、メルカプトコハク酸二カリウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
洗浄液中に含まれる分散剤は、前記導体パターン形成用インク中に含まれる分散剤を構成する成分の少なくとも一部を含むことが好ましく、導体パターン形成用インク中に含まれる分散剤と組成がほぼ同一であることがより好ましい。析出した付着物は、導体パターン形成用インクの元の分散剤が付着していると考えられるため、セラミックス粒子によって遊離した付着物に、さらに、導体パターン形成用インクに含まれる分散剤と同一の洗浄液中にある分散剤が付着することにより、容易に遊離した付着物がコロイド粒子として洗浄液中に分散することができる。このため、洗浄液は、より洗浄性に優れたものとなる。また、洗浄後において、インクの流路中の洗浄液と導体パターン形成用インクとの置換を素早く行うことができる。
洗浄液中における分散剤の含有量は、特に限定されないが、0.1wt%以上20wt%以下であることが好ましく、0.3wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。これにより、上述したようなセラミックス粒子や銀粒子の分散効果を顕著に発揮できるとともに、分散剤が多すぎて、洗浄後において分散剤が残存し、洗浄液と導体パターン形成用インクとの置換に時間がかかることを防止することができる。
[水系分散媒]
次に、水系分散媒について説明する。
本発明において、「水系分散媒」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系分散媒は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。
また、洗浄液中に含まれる水系分散媒は、後述する導体パターン形成用インクを構成する水系分散媒とほぼ同じ組成のものであるのが好ましい。これより、インクとの置換性が特に優れたものとなり、残存したインクと素早く混合、置換することができる。
水系分散媒の具体例としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロパンジオール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、洗浄液中における水系分散媒の含有量は、95〜65wt%であることが好ましく、85〜75wt%であることがより好ましい。これにより、洗浄液の粘度を好適なものとすることができ、洗浄液としての特性をより高いものとすることができる。
[乾燥抑制剤]
また、洗浄液は、乾燥抑制剤を含むことが好ましい。乾燥抑制剤は、洗浄後にインク流路が乾燥するのを防止する機能を有している。これにより、洗浄後にインクを再充填する際に、気泡の混入を防止することができ、また、インクの再充填を容易に行うことができる。
このような乾燥抑制剤としては、下記式(I)で示される化合物、糖アルコール、アルカノールアミン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの化合物は、上述したように水系分散媒の揮発を防止する機能を有するとともに、水酸基やカルボニル基等の極性基を多く有し、このため、金属酸化物がこれらに包み込まれるようにして洗浄液中に安定して分散する。このため、導体パターン形成用インクがセラミックス粒子として金属酸化物を含み、かつ、上記の化合物を含む場合、洗浄液中におけるセラミックス粒子の分散安定性は特に優れたものとなり、洗浄液の洗浄性が特に優れたものとなる。
Figure 2011105884
(ただし、R、R’は、それぞれ、Hまたはアルキル基である。)
上記式(I)で表される化合物は、水素結合性の高い成分である。このため、水との親和性が高く、適度な水分を保持することができ、インクの流路における水系分散媒の不本意な揮発を防止することができる。
上述したように、本発明で用いる上記式(I)で表される化合物中における、R、R’は、それぞれ、水素またはアルキル基であるが、R、R’は、ともに水素であるのが好ましい。すなわち、尿素であるのが好ましい。これにより、上述したような保湿性を特に高いものとすることができる。また、セラミックス粒子が上述したようなコロイド粒子として存在する場合に、特に優れた分散安定性を示すものとなり、洗浄液の洗浄性が特に優れたものとなる。
アルカノールアミンは、保湿性の高い成分であるとともに、金属粒子やセラミックス粒子が前述したようなコロイド粒子である場合に、コロイド粒子表面の分散剤の官能基を活性化させることができ、セラミックス粒子の分散安定性をより高いものとすることができる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等各種のものを挙げることができる。
また、アルカノールアミンは、第3級アミンであるのが好ましい。第3級アミンは、アルカノールアミンの中でも、特に保湿性が高く、上記効果をより顕著なものとすることができる。
また、第3級アミンの中でも、取り扱いやすさや、保湿性の高さ等の観点から、特に、トリエタノールアミンを用いるのが好ましい。
糖アルコールは、糖類のアルデヒド基およびケトン基を還元して得られるものである。
また、糖アルコールは、高い保湿性を有する化合物である。
糖アルコールとしては、例えば、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、スレイトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール、ドルシトール、イディトール、グリセリン(グリセロール)、イノシトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、導体パターン形成用インクに乾燥抑制剤が含まれている場合、洗浄液に含まれる乾燥抑制剤としては、前記導体パターン形成用インク中に含まれる分散剤を構成する成分の少なくとも一部を含むものであるが好ましい。これにより、洗浄後において、インクの流路中の洗浄液と導体パターン形成用インクとの置換を素早く行うことができる。
上述したような乾燥抑制剤の洗浄液中における含有量は、3wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。これにより、インクの流路における水系分散媒の不本意な揮発をより効果的に防止することができる。
[その他の成分]
洗浄液は、その他の成分を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、後述する導体パターン形成用インクに用いる成分が挙げられ、具体的には、表面張力調整剤、有機バインダー、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、チオ尿素等が挙げられる。
上述したような洗浄液は、後述する導体パターン形成用インクより25℃での表面張力が低いものであることが好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置の洗浄部位に好適に洗浄液が濡れ広がることができる。このため、洗浄後における洗浄部位に残存する汚れが特に少ないものとなる。
25℃における洗浄液の表面張力は、特に限定されないが、例えば、15〜45dyn/cmであるのが好ましく、20〜40dyn/cmであるのがより好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置の洗浄部位に好適に洗浄液が濡れ広がることができ、洗浄液の洗浄性を優れたものとすることができる。また、洗浄液が微量に残存した場合であっても、後述するインクの表面張力への影響を極めて少ないものとすることができる。なお、本明細書において、表面張力は、JIS K 3362に準拠して測定される値を採用することができる。
洗浄液は、後述する導体パターン形成用インクより25℃における粘度が低いものであることが好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置の洗浄部位に好適に洗浄液が濡れ広がることができる。また、洗浄時において、洗浄液は、インクの流路内での流速を早いものとすることができる。このため、洗浄後における洗浄部位に残存する汚れが特に少ないものとなる。
25℃における洗浄液の粘度は、特に限定されないが、例えば、20mPa・s以下であるのが好ましく、10mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、洗浄時において、液滴吐出装置の洗浄部位に好適に洗浄液が濡れ広がることができ、洗浄液の洗浄性を優れたものとすることができる。また、洗浄液が微量に残存した場合であっても、後述するインクの粘度への影響を極めて少ないものとすることができる。なお、本明細書において、粘度の値としては、振動式粘度計を用いて25℃で測定して求められる値を採用することができ、特に、JIS Z8809に準拠して25℃で測定して求められる値を採用することができる。
以下、上述したような洗浄液が好適に用いられる、導体パターン形成用インクについて説明する。
《導体パターン形成用インク》
次に、導体パターン形成用インクについて説明する。
導体パターン形成用インク(以下、単にインクともいう)は、基板上に導体パターンを形成するのに用いるインクであり、特に、液滴吐出法によって導体パターンを形成するのに用いるインクである。
なお、本実施形態では、金属粒子を水系分散媒に分散してなる分散液として、銀粒子が分散した分散液を用いた場合について代表的に説明する。
また、導体パターンが形成される基板は、いかなるものであってもよいが、本実施形態では、基板としてセラミックスを主として構成されたセラミックス基板を用いることとする。また、本実施形態では、セラミックスとバインダーとを含む材料で構成されたシート状のセラミックス成形体(セラミックスグリーンシート)に導体パターン形成用インクを付与するものとして説明する。なお、セラミックス成形体は、後述するように焼結処理され、セラミックス基板となる。
以下、導体パターン形成用インクの各構成成分について詳細に説明する。
[水系分散媒]
水系分散媒としては、上述した、洗浄液と同様の液体を用いることができる。
特に、水系分散媒は、前述した洗浄液を構成する水系分散媒とほぼ同等の組成を有するものを用いることが好ましい。これにより、洗浄後にインクを再充填する際のインクの置換性をより高いものとすることができる。
また、導体パターン形成用インク中における水系分散媒の含有量は、25wt%以上60wt%以下であることが好ましく、30wt%以上50wt%以下であることがより好ましい。これにより、インクの粘度を好適なものとしつつ、分散媒の揮発による粘度の変化を少ないものとすることができる。
[銀粒子]
次に、銀粒子(金属粒子)について説明する。
銀粒子は、形成される導体パターンの主成分であり、導体パターンに導電性を付与する成分である。
また、銀粒子は、インク中において分散している。
銀粒子の平均粒径は、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、10nm以上30nm以下であるのがより好ましい。これにより、インクの吐出安定性をより高いものとすることができるとともに、微細な導体パターンを容易に形成することができる。
また、インク中に含まれる銀粒子(分散剤が表面に吸着していない銀粒子(金属粒子))の含有量は、0.5wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上45wt%以下であるのがより好ましい。これにより、導体パターンの断線をより効果的に防止することができ、より信頼性の高い導体パターンを提供することができる。
また、銀粒子(金属粒子)は、その表面に分散剤が付着した銀コロイド粒子(金属コロイド粒子)として、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、銀粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、インクの吐出安定性が特に優れたものとなる。また、このように、銀コロイド粒子が安定してインク中に存在することにより、より容易に微細な導体パターンを形成することができる。また、インクによって形成されたパターン(導体パターン前駆体)において銀粒子が均一に分布し、クラック、断線等が発生しにくいものとなる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、上述したような、洗浄液に用いることのできる分散剤を用いることができる。
インク中における銀コロイド粒子の含有量は、1wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。銀コロイド粒子の含有量が前記下限値未満であると、銀の含有量が少なく、導体パターンを形成した際、比較的厚い膜を形成する場合に、複数回重ね塗りする必要が生じる。一方、銀コロイド粒子の含有量が前記上限値を超えると、銀の含有量が多くなり、分散性が低下し、これを防ぐためには攪拌の頻度が高くなる。
また、銀コロイド粒子の熱重量分析における500℃までの加熱減量は、1wt%以上25wt%以下であるのが好ましい。コロイド粒子(固形分)を500℃まで加熱すると、表面に付着した分散剤等が酸化分解され、大部分のものはガス化されて消失する。500℃までの加熱による減量は、銀コロイド粒子中の分散剤の量にほぼ相当すると考えられる。加熱減量が1wt%未満であると、銀粒子に対する分散剤の量が少なく、銀粒子の充分な分散性が低下する。一方、25wt%を超えると、銀粒子に対する残留分散剤の量が多なり、導体パターンの比抵抗が高くなる。但し、比抵抗は、導体パターンの形成後に加熱焼結して有機分を分解消失させることである程度改善することができる。そのため、基板として、より高温で焼結されるセラミックス成形体等を用いた場合このような効果をように得ることができる。
[有機バインダー]
また、導体パターン形成用インクは、有機バインダーを含んでいてもよい。有機バインダーは、導体パターン形成用インクによって形成された導体パターン前駆体において、銀粒子の凝集を防止するものである。すなわち、形成された導体パターン前駆体において、有機バインダーは、銀粒子同士の間に存在することで銀粒子同士が凝集して、パターンの一部に亀裂(クラック)が生じることを防止できる。また、焼結時においては、有機バインダーは、分解されて除去されることができ、導体パターン前駆体中の銀粒子同士は、結合して導体パターンを形成する。
有機バインダーとしては、特には限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール#200(重量平均分子量200)、ポリエチレングリコール#300(重量平均分子量300)、ポリエチレングリコール#400(平均分子量400)、ポリエチレングリコール#600(重量平均分子量600)、ポリエチレングリコール#1000(重量平均分子量1000)、ポリエチレングリコール#1500(重量平均分子量1500)、ポリエチレングリコール#1540(重量平均分子量1540)、ポリエチレングリコール#2000(重量平均分子量2000)等のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール#200(重量平均分子量:200)、ポリビニルアルコール#300(重量平均分子量:300)、ポリビニルアルコール#400(平均分子量:400)、ポリビニルアルコール#600(重量平均分子量:600)、ポリビニルアルコール#1000(重量平均分子量:1000)、ポリビニルアルコール#1500(重量平均分子量:1500)、ポリビニルアルコール#1540(重量平均分子量:1540)、ポリビニルアルコール#2000(重量平均分子量:2000)等のポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリグリセリンエステル等のポリグリセリン骨格を有するポリグリセリン化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリグリセリンエステルとしては、例えば、ポリグリセリンのモノステアレート、トリステアレート、テトラステアレート、モノオレエート、ペンタオレエート、モノラウレート、モノカプリレート、ポリシノレート、セスキステアレート、デカオレエート、セスキオレエート等が挙げられる。
この中でも、有機バインダーとして、ポリグリセリン化合物を用いた場合、以下のような効果が得られる。
ポリグリセリン化合物は、導体パターン形成用インクによって形成された導体パターン前駆体を乾燥(脱分散媒)した際に、導体パターン前駆体にクラックが発生するのを特に好適に防止することができる。これは、以下のように考えられる。導体パターン形成用インク中にポリグリセリン化合物が含まれることにより、銀粒子(金属粒子)の間に高分子鎖が存在することとなり、ポリグリセリン化合物が銀粒子同士の距離を適度なものとすることができる。さらに、ポリグリセリン化合物は比較的沸点が高いため、水系分散媒の除去時においては除去されず、銀粒子の周囲に付着する。以上により、水系分散媒除去時において、ポリグリセリン化合物が銀粒子を包み込んだ状態が長く続き、水系分散媒の揮発による急激な体積収縮が避けられるとともに銀の粒成長(凝集)が妨げられる結果、導体パターン前駆体中のクラックの発生が抑制されると考えられる。
また、ポリグリセリン化合物は、導体パターンを形成する際の焼結時において、断線が発生するのをより確実に防止することができる。これは、以下のように考えられる。ポリグリセリン化合物は、比較的沸点あるいは分解温度が高い。このため、導体パターン形成用インクから導体パターンを形成する過程において、水系分散媒が蒸発した後、比較的高い温度まで、ポリグリセリン化合物を、蒸発或いは熱(酸化)分解せずに、導体パターン前駆体中に存在させることができる。したがって、ポリグリセリン化合物が蒸発或いは熱(酸化)分解するまでは、銀粒子の周囲にポリグリセリン化合物が存在し、銀粒子同士の接近と凝集とを抑制することができ、ポリグリセリン化合物が分解した後には、より均一に銀粒子同士を接合させることができる。さらに、焼結時においてパターン中の銀粒子(金属粒子)の間に高分子鎖(ポリグリセリン化合物)が存在することとなり、ポリグリセリン化合物が銀粒子同士の距離を保つことができる。また、このポリグリセリン化合物は、適度な流動性を有している。このため、ポリグリセリン化合物を含むことにより、導体パターン前駆体は、セラミックス成形体の温度変化による膨張・収縮への追従性が優れたものとなる。
以上より、形成された導体パターンに断線が生じることをより確実に防止することができると考えられる。
また、このようなポリグリセリン化合物を含むことにより、インクの粘度をより適度なものとすることができ、インクジェットヘッドからの吐出安定性をより効果的に向上させることができる。また、成膜性も向上させることができる。
ポリグリセリン化合物としては、上述した中でも、ポリグリセリンを用いるのが好ましい。ポリグリセリンは、セラミックス成形体の温度変化による膨張・収縮への追従性が特に優れるとともに、セラミックス成形体の焼結後には、導体パターン中からより確実に除去することができる成分である。その結果、導体パターンの電気的特性をより高いものとすることができる。さらに、ポリグリセリンは、水系分散媒への溶解度も高いので、好適に用いることができる。
有機バインダーは、その重量平均分子量が300以上3000以下であるのが好ましく、400以上1000以下であるのがより好ましく、400以上600以下であるのがさらに好ましい。これにより、導体パターン形成用インクによって形成されたパターンを乾燥した際に、クラックの発生をより確実に防止することができる。これに対し、有機バインダーの重量平均分子量が前記下限値未満であると、有機バインダーの組成によっては、水系分散媒を除去する際に有機バインダーが分解しやすい傾向があり、クラックの発生を防止する効果が小さくなる。また、有機バインダーの重量平均分子量が前記上限値を超えると、有機バインダーの組成によっては、排除体積効果等によりインク中への溶解性、分散性が低下する場合がある。
また、インク中に有機バインダーの含有量は、1wt%以上30wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。これにより、インクの吐出安定性を特に優れたものとしつつ、クラック、断線の発生をより効果的に防止することができる。これに対して、有機バインダーの含有量が前記下限値未満であると、有機バインダーの組成によっては、クラックの発生を防止する効果が小さくなる場合がある。また、有機バインダーの含有量が前記上限値を超えると、有機バインダーの組成によっては、インクの粘度を十分に低いものとすることが困難な場合がある。
[乾燥抑制剤]
また、導体パターン形成用インクは、乾燥抑制剤を含んでいてもよい。乾燥抑制剤は、インク中の水系分散媒の不本意な揮発を防止するものである。その結果、インクジェット装置の吐出部付近において水系分散媒が揮発することを防止でき、インクの粘度の上昇、乾燥が抑えられる。導体パターン形成用インクは、このような乾燥抑制剤を含む結果、インクの液滴の吐出安定性が特に優れたものとなる。すなわち、インクの液滴の重量のばらつきが小さいものとなり、目詰まり、飛行曲がり等が少ないものとなる。また、特に、インクジェット装置に導体パターン形成用インクを充填した後に、長期間(例えば、5日間)運転を行わずにインクジェット装置を待機状態とした場合であっても、導体パターン形成用インクは、均一な量で、目的とする位置に精度よく吐出させることができる。
このような乾燥抑制剤としては、特に限定されないが、例えば、上述したような、洗浄液に用いることのできる乾燥抑制剤を用いることができる。
上記式(I)で表される化合物は、水素結合性の高い成分である。このため、水との親和性が高く、適度な水分を保持することができ、導体パターン形成用インクの水系分散媒の不本意な揮発を防止することができる。
また、上記化合物は、比較的燃焼しやすく、導体パターンを形成する際には導体パターン内からより容易に除去(酸化分解)することができる。
また、導体パターン形成用インクによって形成されたパターンを乾燥(脱分散媒)する際に、水系分散媒が揮発とともに、上記化合物の濃度が上昇する。これにより、導体パターン前駆体の粘度が上昇するため、導体パターン前駆体を構成するインクの不本意な部位への流れ出しがより確実に防止される。その結果、形成される導体パターンをより高い精度で所望の形状とすることができる。
また、上記式(I)で表される化合物は、金属粒子(銀粒子)が前述したように表面に分散剤が付着したコロイド粒子である場合、表面の分散剤と水素結合により結合し、金属粒子の分散安定性を向上させる効果を有している。これにより、導体パターン形成用インクの吐出安定性に優れるとともに、保存安定性にも優れたものとなる。
このような上記式(I)で表される化合物のインク中における含有量は、5wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、8wt%以上20wt%以下であるのがより好ましく、10wt%以上18wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、導体パターン形成用インクの不本意な乾燥をより効率よく防止することができる。その結果、インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
アルカノールアミンは、上述したように、保湿性の高い成分であるとともに、金属粒子が前述したようなコロイド粒子である場合に、コロイド粒子表面の分散剤の官能基を活性化させることができ、金属粒子の分散安定性をより高いものとすることができる。
導体パターン形成用インク中におけるアルカノールアミンの含有量は、1wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上7wt%以下であるのがより好ましい。これにより、導体パターン形成用インクの吐出安定性をより優れたものとすることができる。
糖アルコールは、上述したように、高い保湿性を有する化合物である。また、糖アルコールは、分子量あたりの酸素数が多いため、雰囲気が糖アルコールの分解温度に達すると、容易に分解して除去される。このため、導体パターンを形成する際には、導体パターンの温度を糖アルコールの分解温度よりも高くすることで、導体パターン内から糖アルコールを確実に除去(酸化分解)することができる。
上述したような糖アルコールの、導体パターン形成用インク中における含有量は、3wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。これにより、導体パターン形成用インクの水系分散媒の揮発をより確実に抑制することができ、導体パターン形成用インクは、より長期にわたって液滴の吐出安定性が特に優れたものとなる。
[表面張力調整剤]
また、導体パターン形成用インクには、表面張力調整剤を含んでいてもよい。
表面張力調整剤は、導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角を所定の角度に調整するために用いられる。
表面張力調整剤としては、各種界面活性剤を用いることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、アセチレングリコール系化合物を含むことが好ましい。
アセチレングリコール系化合物は、少ない添加量で、導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角を所定の範囲に調整することができる。このように、導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角を所定の範囲に調整することにより、より微細な導体パターンを形成することができる。また、吐出した液滴内に気泡が混入した場合であっても、速やかに気泡を除去することができる。その結果、形成される導体パターンでのクラック、断線の発生をより効果的に防止することができる。
アセチレングリコール系化合物としては、例えば、サーフィノール104シリーズ(104E、104H、104PG−50、104PA等)、サーフィノール400シリーズ(420、465、485等)、オルフィンシリーズ(EXP4036、EXP4001、E1010等)(「サーフィノール」および「オルフィン」は、日信化学工業株式会社の商品名)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、インク中には、HLB値が異なる2種以上のアセチレングリコール系化合物を含んでいるのが好ましい。導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角を所定の範囲により容易に調整することができる。
特に、インク中に含まれる2種以上のアセチレングリコール系化合物のうち、最もHLB値が高いアセチレングリコール系化合物のHLB値と、最もHLB値が低いアセチレングリコール系化合物のHLB値との差が、4以上12以下であるのが好ましく、5以上10以下であるのがより好ましい。これにより、より少ないアセチレングリコール系化合物の添加量で、導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角を所定の範囲により容易に調整することができる。
インク中に2種以上のアセチレングリコール系化合物を含むものを用いる場合、最もHLB値の高いアセチレングリコール系化合物のHLB値は、8以上16以下であるのが好ましく、9以上14以下であるのがより好ましい。
また、インク中に2種以上のアセチレングリコール系化合物を含むものを用いる場合、最もHLB値の低いアセチレングリコール系化合物のHLB値は、2以上7以下であるのが好ましく、3以上5以下であるのがより好ましい。
インク中に含まれる表面張力調整剤の含有量は、0.001wt%以上1wt%以下であるのが好ましく、0.01wt%以上0.5wt%以下であるのがより好ましい。これにより、導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角をより効果的に所定の範囲に調整することができる。
[その他の成分]
なお、導体パターン形成用インクの構成成分は、上記成分に限定されず、上記以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、導体パターン形成用インクには、上記成分の他、1,3−プロパンジオールが含まれていてもよい。これにより、インクジェットヘッドの吐出部付近における水系分散媒の揮発をより効果的に抑制することができるとともに、インクの粘度をより適度なものとすることができ、吐出安定性がさらに向上する。
インク中に1,3−プロパンジオールを含む場合、その含有量は、0.5wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、2wt%以上10wt%以下であるのがより好ましい。これにより、インクの吐出安定性をより効果的に向上させることができる。
また、例えば、導体パターン形成用インクは、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールを含んでいてもよい。導体パターン形成用インクは、上述した尿素以外にも、チオ尿素を含んでいてもよい。
導体パターン形成用インクとセラミックス成形体との接触角は、特に限定されないが、40°以上80°以下であることが好ましく、50°以上80°以下であることがより好ましい。接触角が小さすぎると、微細な線幅の導体パターンを形成するのが困難となる場合がある。一方、接触角が大きすぎると、吐出条件等によっては、均一な線幅の導体パターンを形成するのが困難となる場合がある。また、着弾した液滴とセラミックス成形体との接触面積が小さくなりすぎてしまい、着弾した液滴が着弾位置からずれてしまう場合がある。
また、導体パターン形成インクの粘度は、特に限定されないが、3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましく、4mPa・s以上15mPa・s以下であることがより好ましい。これにより、液滴の吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、セラミックス成形体に着弾したインクの濡れ広がりを防止することができ、微細な線幅の導体パターン前駆体を形成することができる。
導体パターン形成用インクは、洗浄液中のセラミックス粒子に含まれる成分のうち少なくとも1つを含んで構成された基板上に付与されることが好ましい。これにより、セラミックス粒子が液滴吐出装置のインクの流路に残存してしまった場合であっても、セラミックス粒子の形成される導体パターンへの影響が小さいものとなる。また、導体パターン形成用インクと基板とが同一の成分を含むことにより、導体パターンの基板への密着性が優れるものとなり、導体パターンは、信頼性の高いものとなる。
《液滴吐出装置》
次に、本発明の洗浄液が適用される液滴吐出装置の一例について説明する。
本実施形態において、導体パターン形成用インクの吐出は、図1および図2に示すインクジェット装置(液滴吐出装置)100を用いることにより行うことができる。
図1は、インクジェット装置100の斜視図である。図1において、X方向はベース130の左右方向であり、Y方向は前後方向であり、Z方向は上下方向である。
インクジェット装置100は、図2に示すインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド。以下、単にヘッドと呼ぶ)110と、ベース130と、テーブル140と、インク貯留槽150と、洗浄液貯留槽160と、テーブル位置決め手段170と、ヘッド位置決め手段180と、制御装置190とを有している。
ベース130は、テーブル140、テーブル位置決め手段170、およびヘッド位置決め手段180等の液滴吐出装置100の各構成部材を支持する台である。
テーブル140は、テーブル位置決め手段170を介してベース130に設置されている。また、テーブル140は、基材S(本実施形態ではセラミックス成形体15)を載置するものである。
また、テーブル140の裏面には、ラバーヒータ(図示せず)が配設されている。テーブル140上に載置されたセラミックス成形体15は、その上面全体がラバーヒータにて所定の温度に加熱されるようになっている。
セラミックス成形体15に着弾したインク1は、その表面側から水系分散媒の少なくとも一部が蒸発する。このとき、セラミックス成形体15は加熱されているので、水系分散媒の蒸発が促進される。そして、セラミックス成形体15に着弾したインク1は、乾燥とともにその表面の外縁から増粘し、つまり、中央部に比べて外周部における固形分(粒子)濃度が速く飽和濃度に達することから表面の外縁から増粘していく。外縁の増粘したインク1は、セラミックス成形体15の面方向に沿う自身の濡れ広がりを停止するため、着弾径しいては線幅の制御が容易になる。
セラミックス成形体15の加熱温度としては、例えば、40℃以上100℃以下で行うのが好ましく、50℃以上70℃以下で行うのがより好ましい。このような条件とすることにより、水系分散媒が蒸発した際に、クラックが発生するのをより効果的に防止することができる。
テーブル位置決め手段170は、第1移動手段171と、モータ172とを有している。テーブル位置決め手段170は、ベース130におけるテーブル140の位置を決定し、これにより、ベース130におけるセラミックス成形体15の位置を決定する。
第1移動手段171は、Y方向と略平行に設けられた2本のレールと、当該レール上を移動する支持台とを有している。第1移動手段171の支持台は、モータ172を介してテーブル140を支持している。そして、支持台がレール上を移動することにより、基材Sを載置するテーブル140は、Y方向に移動および位置決めされる。
モータ172は、テーブル140を支持しており、θz方向にテーブル140を揺動および位置決めする。
ヘッド位置決め手段180は、第2移動手段181と、リニアモータ182と、モータ183、184、185とを有している。ヘッド位置決め手段180は、ヘッド110の位置を決定する。
第2移動手段181は、ベース130から立設する2本の支持柱と、当該支持柱同士の間に当該支持柱に支持されて設けられ、2本のレールを有するレール台と、レールに沿って移動可能でヘッド110を支持する支持部材(図示せず)とを有している。そして、支持部材がレールに沿って移動することにより、ヘッド110は、X方向に移動および位置決めされる。
リニアモータ182は、支持部材付近に設けられており、ヘッド110のZ方向の移動および位置決めをすることができる。
モータ183、184、185は、ヘッド110を、それぞれα,β,γ方向に揺動および位置決めする。
以上のようなテーブル位置決め手段170およびヘッド位置決め手段180とにより、インクジェット装置100は、ヘッド110のインク吐出面115Pと、テーブル140上の基材Sとの相対的な位置および姿勢を、正確にコントロールできるようになっている。
図2に示すように、ヘッド110は、インクジェット方式(液滴吐出方式)によってインク1をノズル(突出部)118から吐出するものである。本実施形態では、ヘッド110は、圧電体素子としてのピエゾ素子113を用いてインクを吐出させるピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、インク1に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えないなどの利点を有する。
ヘッド110は、ヘッド本体111と、振動板112と、ピエゾ素子113とを有している。
ヘッド本体111は、本体114と、その下端面にノズルプレート115とを有している。そして、本体114を板状のノズルプレート115と振動板112とが挟み込むことにより、空間としてのリザーバ116およびリザーバ116から分岐した複数のインク室117が形成されている。
リザーバ116には、図示せぬインクタンクよりインク1が供給される。リザーバ116は、各インク室117にインク1を供給するための流路を形成している。
また、ノズルプレート115は、本体114の下端面に装着されており、インク吐出面115Pを構成している。このノズルプレート115には、インク1を吐出する複数のノズル118が、各インク室117に対応して開口されている。そして、各インク室117から対応するノズル118に向かって、インク流路が形成されている。
振動板112は、ヘッド本体111の上端面に装着されており、各インク室117の壁面を構成している。振動板112は、ピエゾ素子113の振動に応じて振動可能となっている。
ピエゾ素子113は、その振動板112のヘッド本体111と反対側に、各インク室117に対応して設けられている。ピエゾ素子113は、水晶等の圧電材料を一対の電極(不図示)で挟持したものである。その一対の電極は、駆動回路191に接続されている。
そして、駆動回路191からピエゾ素子113に電気信号を入力すると、ピエゾ素子113が膨張変形または収縮変形する。ピエゾ素子113が収縮変形すると、インク室117の圧力が低下して、リザーバ116からインク室117にインク1が流入する。また、ピエゾ素子113が膨張変形すると、インク室117の圧力が増加して、ノズル118からインク1が吐出される。なお、印加電圧を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形速度を制御することができる。すなわち、ピエゾ素子113への印加電圧を制御することにより、インク1の吐出条件を制御し得るようになっている。
制御装置190は、インクジェット装置100の各部位を制御する。例えば、駆動回路191で生成する印加電圧の波形を調節してインク1の吐出条件を制御したり、テーブル位置決め手段170およびヘッド位置決め手段180を制御することにより基板Sへのインク1の吐出位置を制御する。
また、インク貯留槽150は、インク1を貯留する。インク貯留槽150は、搬送路151を介して、リザーバ116に接続されており、インク貯留槽150に貯留されたインク1は、液滴吐出時等における必要に応じてリザーバ116に供給される。
また、搬送路151には、その途中に分岐路152が設けられており、分岐路152を介して洗浄液貯留槽160と接続されている。
洗浄液貯留槽160は、洗浄液2を貯留する。洗浄液貯留槽160は、分岐路152および搬送路151を介してリザーバ116等のインク1の流路に接続されている。そして、洗浄時においては、リザーバ116へ洗浄液2が搬送されてインク1と置換されて貯留され、貯留された洗浄液2をインク1の流路に沿って流すことにより、リザーバ116、インク室117等にあるインク1の流路の洗浄が行われる。
このようにインク貯留槽150および洗浄液貯留槽160を有することにより、より簡便かつ確実にインク1の流路を洗浄することができる。また、洗浄後に、効率よくインク1を流すことができ、素早く洗浄液2をインク1に置換できる。結果として、インクジェット装置100を効率よく作動させることができ、導体パターン20およびセラミックス回路基板30の生産性を優れたものとすることができる。
《液滴吐出装置の洗浄方法》
上述したようなインクジェット装置100に対して、本発明の洗浄液を用いてインクの流路を洗浄することができる。
洗浄は、いかなるときに行ってもよいが、例えば、液滴吐出の休止時、導体パターン形成用インク1の交換、補給時、インクジェット装置100を作動させる前後、液滴吐出ヘッド交換時、インクの流路にある部品の交換時等に行うことができる。このような期間に定期的に洗浄液による洗浄を行うことにより、インクジェット装置100のインクの流路における汚れの付着、ノズル118の目詰まりを確実に防止することができる。また、液滴吐出装置100の各部品の寿命を極めて長いものとすることができ、例えば、ヘッド110の劣化による交換を少ないものとすることができる。
導体パターン形成用インク1の流路としては、例えば、リザーバ116、インク室117、ノズル118等が挙げられる。特に、ノズル(吐出口)118は、金属粒子等が凝集、析出しやすく、この結果、目詰まり、液滴の飛行曲がりが頻発しやすいものであった。しかしながら、洗浄液2を用いて洗浄を行うことにより、これらの問題を確実に解決することができる。
また、洗浄液2によるインクジェット装置100の洗浄は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、インク1が通常流れる方向に沿って洗浄液2を流路に流すものであってもよい。また、例えば、インク1が通常流れる方向とは反対の方向に沿って洗浄液2を流路に流すものであってもよい。また、例えば、インクジェット装置100の洗浄部位に洗浄液2を塗布するものであってもよいし、噴霧するものであってもよい。
このように、洗浄液2を、インクジェット装置100における導体パターン形成用インク1の流路に接触させることによってインクジェット装置100を洗浄し、導体パターン形成用インク1の流路に残存した金属粒子等の凝集体、流路への付着物を確実に除去することができる。また、金属粒子等の固形分の流路への再付着を確実に防止することができる。
特に、本発明の洗浄液は、金属粒子等の固形分を容易に分散、溶解することができるものである。このため、洗浄液は、流路等に付着した凝集物、固形物を確実に除去することができる。また、洗浄後において、容易に導体パターン形成用インクと混合することができるため、確実に導体パターン形成用インクの流路から洗浄液を除去することができ、導体パターン形成用インクのインクジェット装置への充填を素早く行うことができる。以上のように上述したような洗浄液を用いて洗浄を行うことにより、インクジェット装置を用いて行った液滴の吐出は、吐出量が安定し、目詰まり等の少ないものとなり、長期に渡って吐出量、飛行精度等が安定したものとなる。また、このようなインクジェット装置を用いて形成した導体パターンは、導通率が高く、信頼性の高いものとなる。また、容易かつ効率よく洗浄を行うことができる。このため、本発明の洗浄液を用いることにより、インクジェット装置(液滴吐出装置)は、長期にわたってインクの液滴の吐出の安定性に優れたものとなり、信頼性の高いセラミックス回路基板を効率よく生産することができるものとなる。
《導体パターンおよび配線基板》
次に、上述したような導体パターン形成用インクおよび液滴吐出装置用いて製造される導体パターンおよび配線基板について説明する。
図3に示すように、配線基板(セラミックス回路基板)30は、セラミックス基板31が多数(例えば10枚から20枚程度)積層されてなる積層基板32と、この積層基板32の最外層、すなわち一方の側の表面に形成された、微細配線等からなる導体パターン(回路)21とを有して形成されたものである。
積層基板32は、積層されたセラミックス基板31、31間に、導体パターン(回路)20を備えている。
導体パターン20は、導体パターン形成用インク1により形成されたパターン(導体パターン前駆体、以下、単に前駆体ともいう。)10を加熱する(焼結する)ことにより形成される薄膜状の導体パターンであって、銀粒子が相互に結合されてなり、少なくとも導体パターン表面において前記銀粒子同士が隙間なく結合している。
このような導体パターン20は、洗浄液2(本発明の洗浄液)が適用された、液滴吐出装置100を用いて形成されている。このため、その導体パターン前駆体10は、精度よく形成されており、この結果、導体パターン20は、断線が防止された信頼性の高いものとなっている。
導体パターン20の比抵抗は、20μΩcm未満であることが好ましく、15μΩcm以下であることがより好ましい。このときの比抵抗は、インクの付与後、160℃で加熱、乾燥した後の比抵抗をいう。上記比抵抗が20μΩcm以上になると、導電性が要求される用途、すなわち回路基板上に形成する電極等に用いることが困難となる。
なお、上記のような導体パターン20は、携帯電話やPDA等の移動通話機器の高周波モジュール、インターポーザー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、加速度センサー、弾性表面波素子、アンテナや櫛歯電極等の異形電極、その他各種計測装置等の電子部品等に適用することができる。
なお、導体パターン20は、導体パターン前駆体10を焼結処理として160℃以上で20分以上の条件で加熱することにより得られる。なお、この導体パターン前駆体10の焼結は、後述するようにセラミックス成形体15の脱脂、焼結とともに行うことができる。
なお、導体パターン20Aも、導体パターン20と同様に、導体パターン形成用インクにより形成されたものとなっている。
セラミックス基板31は、シート状をなしており、導体パターン20を支持する。
また、セラミックス基板31には、導体パターン20に接続するコンタクト(ビア)33が形成されている。このような構成によって導体パターン20は、上下に配置された導体パターン20、20間が、コンタクト33によって導通したものとなっている。
なお、セラミックス基板31は、後述するように、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等のセラミックス粉末と、バインダーとを含む材料をシート状にし、その後、加熱処理(焼結処理)することにより得られる基板である。
以上のような配線基板30は、洗浄液2(本発明の洗浄液)が適用された、液滴吐出装置100を用いて形成されているため、導体パターン20の断線が防止されたものとなり、信頼性の高いものとなっている。
また、上述したような配線基板30は、各種の電子機器に用いられる電子部品となるものであり、各種配線や電極等からなる回路パターン、積層セラミックスコンデンサ、積層インダクター、LCフィルタ、複合高周波部品等を基板に形成してなるものである。
《配線基板の製造方法》
次に、上述したような配線基板の製造方法を、図4の概略工程図を参照して説明する。
以下、各工程について詳細に説明する。
[セラミックス成形体形成工程(基板準備工程)]
まず、原料粉体として、平均粒径が1μm以上2μm以下のアルミナ(Al)や酸化チタン(TiO)等からなるセラミックス粉末(セラミックス材料)と、平均粒径が1μm以上2μm以下のホウ珪酸ガラス等からなるガラス粉末とを用意し、これらを適宜な混合比、例えば1:1の重量比で混合する。
なお、このとき、基板(セラミックス成形体15)の材料として、導体パターン形成用インク中のセラミックス粒子に含まれる成分のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、得られるセラミックス成形体15と導体パターン前駆体10との間での密着性が高まり、最終的に製造される配線基板30におけるセラミックス基板31と導体パターン20との密着性を高めることができる。この結果、導体パターン20および配線基板30は、より信頼性の高いものとなる。
また、特に、基板(セラミックス成形体15)の材料として、ガラス材料を含むことにより、以下のような効果が得られる。ガラス材料は、焼結時において溶融し、導体パターン20を形成されるセラミックス基板31に固定、密着させる機能を有している。このため、形成される導体パターン20および配線基板30はより信頼性の高いものとなる。特に、洗浄液のセラミックス粒子にガラス材料が含まれている場合、このような効果は顕著なものとなる。
次に、得られた混合粉末に適宜なバインダー(結合剤)や可塑剤、有機溶剤(分散剤)等を加え、混合・撹拌することにより、スラリーを得る。ここで、バインダーとしては、ポリビニルブチラールが好適に用いられるが、これは水に不溶であり、かつ、いわゆる油系の有機溶媒に溶解しあるいは膨潤し易いものである。
次に、得られたスラリーを、ドクターブレード、リバースコーター等を用いてPETフィルム上にシート状に形成し、製品の製造条件に応じて数μm以上数百μm以下の厚さのシートに成形し、その後、ロールに巻き取る。
続いて、製品の用途に合わせて切断し、さらに所定寸法のシートに裁断する。本実施形態では、例えば1辺の長さを200mmとする正方形状に裁断する。
次に、必要に応じて所定の位置に、COレーザー、YAGレーザー、機械式パンチ等によって孔開けを行うことでスルーホール(貫通孔)を形成する。
そして、このスルーホールに、金属粒子が分散した厚膜導電ペーストを充填することにより、コンタクト33となるべき部位(コンタクト前駆体16)を形成する。厚膜導電ペーストとしては、後述するような導体パターン形成用インクを用いることができる。
以上により、複数の基板(セラミックス成形体15)を準備する。
[導体パターン前駆体形成工程]
以上のようにして得られたセラミックス成形体15の一方の側の表面に、導体パターン20となる導体パターン前駆体10を、コンタクト前駆体16に連続した状態に形成する。すなわち、図5(a)に示すようにセラミックス成形体15上に、前述したような導体パターン形成用インク(以下単にインクともいう)1を液滴吐出(インクジェット)法により付与し、前記導体パターン前駆体10を形成する。
本実施形態において、導体パターン形成用インクの吐出は、上述したようなインクジェット装置(液滴吐出装置)100を用いることにより行うことができる。インクジェット装置100を用いることにより、インク1を、セラミックス成形体15(基材S)上の所望する場所に所望の量、精度良く吐出し、配することができる。
特に、インクジェット装置100は、洗浄液貯留槽160を備えている。このため、定期的に洗浄液2によってインクの流路が洗浄された場合、インクジェット装置100の液滴の吐出安定性は優れたものとなっているこのような場合、図2(a)に示したように導体パターン前駆体10を、長時間にわたって、精度良くしかも容易に形成することができる。また、インク1の付与を一時的に停止して、長期間放置した場合であっても、ヘッド110のノズル118の目詰まりが防止されており、極めて短時間の予備運転で、インク1についての優れた液滴の吐出安定性が得られる。
なお、形成した導体パターン前駆体10について、さらに乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、上記の液滴吐出時におけるセラミックス成形体15の加熱温度と同様の条件で行うことができる。
また、液滴吐出方法によりインク1を付与してから、セラミックス成形体15を加熱して水等の分散媒を蒸発させ、当該加熱後の導体パターン前駆体10の上に再度インク1を付与する、といった工程を繰り返し行うことで、厚膜の導体パターン前駆体10を形成してもよい。このような場合、セラミックス成形体15に一旦付与されたインク1の粘度が上昇することから、インク1がセラミックス成形体15上に過度に濡れ広がることを防止し、導体パターン前駆体10の厚さ、線幅等をより精度よく目的のものとすることができる。
また、この場合において、分散媒を蒸発させた後のインク1に乾燥抑制剤が含まれる場合、形成された導体パターン前駆体10が完全に乾燥しない状態でもパターンが流失してしまうおそれがない。従って、一旦、インク1を付与して乾燥してから長時間放置し、その後、再度インク1を付与することが可能になる。
また、この場合において、上述したような有機バインダーをインク1が含む場合、有機バインダー(特に、ポリグリセリン化合物)は、化学的、物理的に安定な化合物であるので、インクを付与して乾燥してから長時間放置してもインクが変質するおそれがなく、再度インクを付与することが可能になり、均質なパターンを形成できる。これにより、導体パターン前駆体10自体が多層構造になるおそれがなく、この結果、層間同士の間の比抵抗が上昇して導体パターン20全体の比抵抗が増大するおそれがない。
上記の工程を経ることによって、本実施形態の導体パターン20は、従来のインクによって形成された導体パターンに比べて厚く形成することができる。より具体的には5μm以上の厚みのものを形成することができる。
このようにして導体パターン前駆体10を形成したら、同様の工程により、導体パターン前駆体10を形成したセラミックス成形体15を必要枚数、例えば10枚から20枚程度作製する。
[積層工程]
次いで、これらセラミックス成形体15からPETフィルムを剥がし、図5(b)に示すようにこれらを積層することにより、積層体17を得る。
この際に、積層するセラミックス成形体15については、上下に重ねられるセラミックス成形体15間で、それぞれの導体パターン前駆体10が必要に応じてコンタクト前駆体16を介して接続するように配置する。
その後、セラミックス成形体15を構成するバインダーのガラス転移点以上に加熱しつつ、各セラミックス成形体15同士を圧着する。これにより、積層体17を得る。
[加熱工程]
このようにして積層体17を形成したら、例えば、ベルト炉などによって加熱処理する。これにより、各セラミックス成形体15は焼結されることで、図3に示すようにセラミックス基板31となり、また、導体パターン前駆体10は、これを構成する銀コロイド粒子が焼結して配線パターンや電極パターンからなる導体パターン(回路)20となる。そして、このように積層体17が加熱処理されることで、この積層体17は図3に示した積層基板32となる。
ここで、積層体17の加熱温度としては、セラミックス成形体15中に含まれるガラス材料の軟化点以上とするのが好ましく、具体的には、600℃以上900℃以下とするのが好ましい。また、加熱条件としては、適宜な速度で温度を上昇させ、かつ下降させるようにし、さらに、最大加熱温度、すなわち前記の600℃以上900℃以下の温度では、その温度に応じて適宜な時間保持するようにする。
このようにガラスの軟化点以上の温度、すなわち前記温度範囲にまで加熱温度を上げることにより、得られるセラミックス基板31のガラス成分を軟化させることができる。したがって、その後常温にまで冷却し、ガラス成分を硬化させることにより、積層基板32を構成する各セラミックス基板31と導体パターン20との間がより強固に固着するようになる。
また、このような温度範囲で加熱することにより、得られるセラミックス基板31は、900°以下の温度で焼結されて形成された、低温焼結セラミックス(LTCC)となる。
ここで、セラミックス成形体15上に配されたインク1中の金属は、加熱処理によって互いに融着し、連続することによって導電性を示すようになる。
このような加熱処理によって導体パターン20は、セラミックス基板31中のコンタクト33に直接接続させられ、導通させられて形成されたものとなる。ここで、この導体パターン20が単にセラミックス基板31上に載っているだけでは、セラミックス基板31に対する機械的な接続強度が確保されず、したがって衝撃等によって破損してしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では、前述したようにセラミックス成形体15中のガラスを一旦軟化させ、その後硬化させることにより、導体パターン20をセラミックス基板31に対し強固に固着させている。したがって、形成された導体パターン20は、機械的にも高い強度を有するものとなる。
なお、このような加熱処理により、導体パターン20Aについても前記導体パターン20と同時に形成することができ、これによってセラミックス回路基板(配線基板)30を得ることができる。
以上のようなセラミックス回路基板30の製造方法では、導体パターンの形成に際し、インク1を使用しているため、ヘッド110のノズル118における目詰まりが防止され、導体パターン前駆体10を精度よく形成できる。この結果、得られる導体パターン20は、断線が防止された信頼性の高いものとなる。また、製造されるセラミックス回路基板30も、信頼性の高いものとなる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、金属粒子を溶媒に分散してなる分散液として、コロイド液を用いる場合について説明したが、コロイド液でなくてもよい。
また、前述した実施形態では、導体パターン形成用インクは、銀粒子が分散したものとして説明したが、銀以外のものであってもよい。金属粒子に含まれる金属としては、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。金属粒子が合金である場合、前記金属が主とするもので、他の金属を含む合金であってもよい。また、上記金属同士が任意の割合で混ざった合金であってもよい。また、混合粒子(例えば、銀粒子と銅粒子とパラジウム粒子とが任意の比率で存在するもの)が液中に分散したものであってもよい。これら金属は、抵抗率が小さく、かつ、加熱処理によって酸化されない安定なものであるから、これらの金属を用いることにより、低抵抗で安定な導体パターンを形成することが可能になる。
また、例えば、前述した実施形態では、液滴吐出方式としてピエゾ方式を用いたが、これに限定されず、例えば、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。
また、例えば、前述した実施形態では、導体パターン前駆体を形成する基板として、セラミックス成形体を用いることして説明したが、これに限定されない。導体パターン前駆体の形成に用いられる基板としては、特に限定されず、例えば、セラミックス焼結体、アルミナ焼結体、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ガラス等からなる基板等が挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[1]洗浄液および導体パターン形成用インクの調製
各実施例および各比較例における洗浄液および導体パターン形成用インクは、以下のようにして製造した。
[洗浄液の調製]
(洗浄液1)
イオン交換水と、セラミックス粒子としてのコロイダルシリカ(二酸化ケイ素のコロイド液、平均粒子径:30nm固形分のうち、二酸化ケイ素の含有量:30wt%)と、表1に示す乾燥抑制剤と、分散剤としてのクエン酸3ナトリウム2水和物、タンニン酸とを表1に示す配合量で混合することにより、洗浄液1を得た。
(洗浄液2〜14)
洗浄液の各材料の種類および配合量を表1に示すように変更した以外は、前記洗浄液1と同様にして洗浄液2〜14を得た。
表1に、製造した各洗浄液の組成を示す。なお、表中、二酸化ケイ素をSiO、酸化アルミニウム(酸化アルミニウムコロイド液、NANOBYK−3600、ビックケミージャパン社製、平均粒子径:40nm、固形分のうち、酸化アルミニウムの含有量:91wt%)をAl、酸化チタンをTiO2、酸化亜鉛(平均粒子径:20nm)をZnO20、酸化亜鉛(平均粒子径:40nm)をZnO40、酸化亜鉛(平均粒子径:60nm)をZnO60、トリエタノールアミンをTEA、尿素をUr、キシリトールをXyl、タンニン酸をTA、クエン酸3ナトリウム2水和物をCNa、メルカプト酢酸をTGAとした。なお、クエン酸3ナトリウム2水和物等の水和物については、水和した水は、水の含有量として記載した。また、酸化チタンとしては、酸化チタンコロイド液(平均粒子径:100nm、固形分のうち、酸化チタンの含有量:85wt%)を用いた。また、酸化亜鉛(平均粒子径:20nm)としては、酸化亜鉛コロイド液(NANOBYK−3820、ビックケミージャパン社製、固形分のうち、酸化亜鉛の含有量:89wt%)を、酸化亜鉛(平均粒子径:40nm)としては、酸化亜鉛コロイド液(NANOBYK−3840、ビックケミージャパン社製、固形分のうち、酸化亜鉛の含有量:91wt%)を、酸化亜鉛(平均粒子径:60nm)としては、酸化亜鉛コロイド液(NANOBYK−3860、ビックケミージャパン社製、固形分のうち、酸化亜鉛の含有量:91wt%)を用いた。また、表中のセラミックスコロイド粒子の含有量は、固形分量である。
Figure 2011105884
[導体パターン形成用インクの調製]
(導体パターン形成用インク1)
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌を行い、銀コロイド液を得た。得られた銀コロイド液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、3000rpm、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大金属コロイド粒子を除去した。
この銀コロイド液に、表2に示す乾燥抑制剤と、ポリグリセリンと、表面張力調整剤としてのサーフィノール104PG−50(日信化学工業社製)およびオルフィンEXP4036(日信化学工業社製)とを添加し、さらに濃度調整用のイオン交換水を添加して調整し、導体パターン形成用インク1とした。このときの銀コロイド液のpHが6〜11の範囲にないときは、1N−NaOH水溶液を用いて銀コロイド液のpHを6〜11に調整した。さらに濃度調整用のイオン交換水を添加して調整し、導体パターン形成用インク1(インク1)とした。
(導体パターン形成用インク2〜6)
導体パターン形成用インクの各材料の種類および配合量を表2に示すように変更した以外は、前記導体パターン形成用インク1と同様にして導体パターン形成用インク2〜6(インク2〜インク6)を得た。
(導体パターン形成用インク7)
導体パターン形成用インクを以下のように調製した以外は、前記実施例1と同様にして洗浄液および導体パターン形成用インクを調製した。
50mmol/Lの濃度の硝酸銀水溶液:1000mLを撹拌しながら、低分子量の硫黄化合物としてメルカプト酢酸:3.0gを添加した後、26wt%アンモニア水にて水溶液のpHを10.0に調整した。室温下、この水溶液に還元剤として400mmol/Lの濃度の水素化ホウ素ナトリウム水溶液:50mLを急速に添加することにより還元反応を行いメルカプト酢酸を粒子表面に有する銀コロイド粒子を溶液中で生成させた。
こうして得られたコロイド溶液を20wt%硝酸を用いてpHを3.0に調整し、銀コロイド粒子を沈降させた後、真空濾過器で濾別し、濾液の電気伝導度が10.0μS/cm以下になるまで水洗して、銀コロイド粒子の湿ケーキを得た。
この銀コロイド粒子の湿ケーキを濃度が10wt%になるように水に添加し、撹拌しながら26wt%アンモニア水にてpHを9.0に調整して再分散させて、さらに濃縮して銀コロイド液を得た。
以下、導体パターン形成用インク1と同様にして導体パターン形成用インク7(インク7)を調製した。
表2に、製造した各導体パターン形成用インクの組成を示す。なお、表中、トリエタノールアミンをTEA、モノエタノールアミンをMEA、ジエタノールアミンをDEA、尿素をUr、キシリトールをXyl、ソルビトールをSorとした。
Figure 2011105884
[液滴吐出装置に用いる洗浄液および導体パターン形成用インクの選定]
(実施例1〜19)
上記のように製造した各洗浄液および各導体パターン形成用インクのうち、表3に示すように洗浄液および導体パターン形成用インクをそれぞれ選定し、各実施例における洗浄液および導体パターン形成用インクとした。
(比較例1、2)
上記のように製造した各洗浄液および各導体パターン形成用インクのうち、表3に示すように洗浄液および導体パターン形成用インクをそれぞれ選定し、各実施例における洗浄液および導体パターン形成用インクとした。
また、表中には、各実施例および各比較例で得られた洗浄液および導体パターン形成用インクの粘度および表面張力の値を合わせて示した。なお、「粘度」の欄には、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された25℃における粘度を示し、「表面張力」の欄には、JIS K 3362に準拠して測定される25℃における表面張力を示した。
Figure 2011105884
[2]洗浄液の洗浄性、置換性評価
各実施例、各比較例の導体パターン形成用インクを、内径:2mm、長さ:30cmのテフロンチューブ(「テフロン」は登録商標)に封入し、各実施例、各比較例の洗浄液を、1.0ml/minの流速で、60秒間、テフロンチューブ(「テフロン」は登録商標)に流した。洗浄液を流し終えた際に、チューブ内に残存するインクを目視によって観察し、下記の3段階の基準に従い、評価した。チューブ内にインクが残存していないと、チューブ内は、金属粒子等が好適に分散された状態で除去され、洗浄液で置換されたものと考えられる。すなわち、洗浄液の洗浄性、置換性が高いものと考えられる。
A:チューブ内にインクが確認されない。
B:チューブ内にかすかにインクが残存しているのが確認される。
C:チューブ内にはっきりとインクが残存しているのが確認される。
この結果を表3に示す。
[3]液滴吐出の安定性評価(安定吐出性評価)
[3.1]着弾位置精度評価
室温25℃、相対湿度50%、クラス100のクリーンルーム内に設置した図1、図2に示すようなインクジェット装置に、前記各実施例および各比較例の導体パターン形成用インクを充填し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、インクジェットヘッドの各ノズルから、150000発(150000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、前記各実施例および各比較例の洗浄液にて、インクの流路を洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、導体パターン形成用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続きインクジェットヘッドの各ノズルから、150000発(150000滴)の液滴の連続吐出を行った。導体パターン形成用インクを充填した後の、インクジェットヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された150000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.03μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.03μm以上、0.08μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.08μm以上、0.12μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.12μm以上。
[3.2]連続吐出試験(目詰まり評価)
室温25℃、相対湿度50%、クラス100のクリーンルーム内に設置した図1、図2に示すようなインクジェット装置内に、前記各実施例および各比較例の導体パターン形成用インクを充填し、インクジェット装置を30時間、連続で運転させることにより、導体パターン形成用インクの吐出を行った。このとき、6時間おきに洗浄液を用いて、洗浄を行い、再び、導体パターン形成用インクを充填して吐出を行った。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを再び充填した。充填は、導体パターン形成用インクをインクの流路内に、1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。連続運転後における、インクジェットヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上、1.0%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[3.3]液滴吐出量の安定性評価
室温25℃、相対湿度50%、クラス100のクリーンルーム内に設置した図1、図2に示すようなインクジェット装置内に、前前記各実施例および各比較例の導体パターン形成用インクを充填し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、インクジェットヘッドの各ノズルから、100000発(100000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、前記各実施例および各比較例の洗浄液にて、導体パターン形成用インクの流路を洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを再び充填した。充填は、導体パターン形成用インクをインクの流路内に、1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続きインクジェットヘッドの各ノズルから、100000発(100000滴)の液滴の連続吐出を行った。インクジェットヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。すなわち、インクの流路等に、インクによる汚れや凝集体等による目詰まりが少ないと考えられる。
A:ΔW/Wの値が、0.020未満。
B:ΔW/Wの値が、0.020以上、0.420未満。
C:ΔW/Wの値が、0.420以上、0.720未満。
D:ΔW/Wの値が、0.720以上。
これらの結果を表3に合わせて示す。
[4]セラミックスグリーンシートの作製
まず、以下のようにしてセラミックスグリーンシート(セラミックス成形体)を用意した。
平均粒径が1〜2μm程度のアルミナ(Al)と酸化チタン(TiO)等からなるセラミックス粉末と、平均粒径が1〜2μm程度のホウ珪酸ガラス等からなるガラス粉末とを1:1の重量比で混合し、バインダー(結合剤)としてポリビニルブチラール、可塑剤としてジブチルフタレートを加え、混合・撹拌することにより得たスラリーを、ドクターブレードでPETフィルム上にシート状に形成したものをセラミックスグリーンシートとし、1辺の長さを200mmとする正方形状に裁断したものを使用した。
[5]配線基板の作製および配線基板の導通評価
各実施例および比較例で得られた洗浄液および導体パターン形成用インクを、それぞれ図1、図2に示すようなインクジェット装置に投入した。
次に、上記のインクジェット装置を、インクジェットヘッドを描画位置から外した待機状態で室温25℃、相対湿度50%、クラス100のクリーンルーム環境下に1週間放置した。次に、インクジェット装置について、予備運転として導体パターン形成用インクの吐出を12時間行い、その後、洗浄液にて導体パターン形成用インクの流路の洗浄を行った。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、インクジェット装置のインクの流路に同じインクを再び充填した。
次に、上記セラミックスグリーンシートを60℃に昇温保持した。各ノズルからそれぞれ1滴当り15ngの液滴を順次吐出し、線幅が40μm、厚み15μm、長さが10.0cmのライン(前駆体)を20本描画した。各ライン間の距離は、500μmとした。そして、このラインが形成されたセラミックスグリーンシートを乾燥炉に入れ、60℃で30分間加熱して乾燥した。
上記のようにして、ラインが形成されたセラミックスグリーンシートを第1のセラミックスグリーンシートとした。この第1のセラミックスグリーンシートを各インクにつき、20枚ずつ作成した。なお、1つのセラミックスグリーンシートにラインを描画する毎に、洗浄液にて洗浄を行った。
得られた各シートについて、クラックがあるか否かを確認した。この結果を表3に示した。なお、表3には、第1のセラミックスグリーンシートのうち、ラインにクラックの入っていない良品の数を示した。
次に、別のセラミックスグリーンシートに上記の金属配線の両端位置に機械式パンチ等によって孔開けを行うことで計40箇所に直径100μmのスルーホールを形成し、得られた各実施例および比較例の導体パターン形成用インクを充填することでコンタクト(ビア)を形成した。さらに、このコンタクト(ビア)上に2mm角のパターンを、得られた各実施例および比較例の導体パターン形成用インクを用いて上記液滴吐出装置を用いて端子部を形成した。
この端子部が形成されたセラミックスグリーンシートを第2のセラミックスグリーンシートとした。
次に、第2のセラミックスグリーンシートの下に第1のセラミックスグリーンシートを積層し、さらに無加工のセラミックスグリーンシートを補強層として2枚積層し、生の積層体を得た。この生の積層体を各インクにつき、第1のセラミックスグリーンシート20枚それぞれに作成し、各インクにつき20ブロックずつ作成した。
次に、生の積層体を、95℃の温度において、250kg/cmの圧力で30秒間プレスした後、大気中において、昇温速度:66℃/時間で約6時間、昇温速度:10℃/時間で約5時間、昇温速度:85℃/時間で約4時間といった連続的に昇温する昇温過程を経て、最高温度:890℃で30分間保持するといった焼結プロファイルに従って焼結し、セラミックス回路基板を得た。
冷却後、各セラミックス回路基板について、20本の導体パターン上に形成された端子部間にテスタをあて、それぞれ導通の有無を確認し、導通率が100%であったものを良品とした。なお、導通率は、各セラミックス回路基板中にある導通のあった導体パターンの数を、形成した導体パターンの数(20本)で除したものとした。
これらの結果を表3に合わせて示す。
表3から明らかなように、本発明の洗浄液は、洗浄性に優れ、導体パターン形成用インクとの置換性に優れていた。また、洗浄液によって洗浄されたインクジェット装置を用いて導体パターン形成用インクの吐出を行ったところ、液滴の着弾位置精度、吐出量の均一性に優れ、飛行曲がり、目詰まりが好適に防止されていた。また、本発明の洗浄液を用いたインクジェット装置で製造したセラミックス回路基板は、導通率に優れ、信頼性に優れたものであった。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、導体パターン形成用インク中における銀コロイド粒子の含有量を20wt%、30wt%に変更したところ、上記と同様の結果が得られた。
1…導体パターン形成用インク(インク) 2…洗浄液 10…導体パターン前駆体(前駆体) 15…セラミックス成形体(セラミックスグリーンシート) 16…コンタクト前駆体 17…積層体 20、20A…導体パターン(回路) 30…セラミックス回路基板(配線基板) 31…セラミックス基板 32…積層基板 33…コンタクト 100…インクジェット装置(液滴吐出装置) 110…インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド、ヘッド) 111…ヘッド本体 112…振動板 113…ピエゾ素子 114…本体 115…ノズルプレート 115P…インク吐出面 116…リザーバ 117…インク室 118…ノズル(突出部) 130…ベース 140…テーブル 150…インク貯留槽 151…搬送路 152…分岐路 160…洗浄液貯留槽 170…テーブル位置決め手段 171…第1移動手段 172…モータ 180…ヘッド位置決め手段 181…第2移動手段 182…リニアモータ 183、184、185…モータ 190…制御装置 191…駆動回路 S…基材

Claims (10)

  1. 液滴吐出方式による導体パターンの形成に用いられ、金属粒子が水系分散媒に分散した導体パターン形成用インクを吐出する液滴吐出装置を洗浄するための洗浄液であって、
    セラミックス粒子と、前記セラミックス粒子が分散する水系分散媒とを含むことを特徴とする洗浄液。
  2. 前記セラミックス粒子は、金属酸化物を含む請求項1に記載の洗浄液。
  3. 前記金属酸化物は、酸化アルミニウムまたは、酸化亜鉛、酸化チタンである請求項2に記載の洗浄液。
  4. 前記セラミックス粒子は、ガラス材料を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の洗浄液。
  5. 前記セラミックス粒子の平均粒子径は、10nm以上300nm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄液。
  6. 洗浄液中における前記セラミックス粒子の含有量は、1wt%以上30wt%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄液。
  7. 洗浄液と前記導体パターン形成用インクとは、ともに分散剤を含み、
    洗浄液中に含まれる分散剤は、前記導体パターン形成用インク中に含まれる分散剤を構成する成分の少なくとも一部を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の洗浄液。
  8. 洗浄液は、分散剤として、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、かつ、COOH基の数がOH基の数と同数またはCOOH基の数がOH基の数よりも多いヒドロキシ酸またはその塩を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄液。
  9. 前記導体パターン形成用インクは、前記セラミックス粒子に含まれる成分のうち少なくとも1つを含んで構成された基板上に付与される請求項1ないし8のいずれかに記載の洗浄液。
  10. 導体パターンの形成に用いられ、液滴吐出ヘッドより金属粒子が水系分散媒に分散した導体パターン形成用インクを吐出する液滴吐出装置であって、
    前記導体パターン形成用インクを貯留するインク貯留槽と、液滴吐出装置の洗浄に用いられる洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽とを有し、
    前記洗浄液は、セラミックス粒子と、前記セラミックス粒子が分散する水系分散媒とを含むことを特徴とする液滴吐出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018127573A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 荒川化学工業株式会社 電子材料用リンス剤
CN113386466A (zh) * 2019-02-22 2021-09-14 株式会社斯库林集团 图案形成装置、图案形成方法及喷出数据生成方法
KR102667007B1 (ko) * 2024-02-21 2024-05-17 주식회사 파인솔루션 Ocr 레진 글래스 코팅 장치

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