JP2011104517A - 食品加工残液の資源化方法及び資源化システム - Google Patents

食品加工残液の資源化方法及び資源化システム Download PDF

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Abstract

【課題】
低コストであり商業化に適した食品加工残液の資源化方法及び資源化システムを提供すること。
【解決手段】
食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理工程と、該前処理工程で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮工程とを有する食品加工残液の資源化方法、及び、食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理手段と、該前処理手段で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮手段とを有する食品加工残液の資源化システム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、食品加工残液の資源化方法及び資源化システムに関し、詳しくは、低コストであり商業化に適した食品加工残液の資源化方法及び資源化システムに関する。
環境汚染対策や、資源リサイクルのために、食品加工残液の資源化の要望が高まっている。
例えば、食品加工残液の一つである発酵蒸留残渣については、1993年に日本を含む多数の国々でロンドン条約(廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)が採択された。発酵蒸留残渣は現在同条約の除外品目として認められているが、現実問題としてはこのまま従来の海洋投棄を継続することは困難な情勢であり、全量陸上処理することを目標に業界での努力がなされてきた。
発酵蒸留残渣、例えば焼酎粕には通常水分と固形分が含まれ、水分は90重量%以上含まれ、固形分には多量のたんぱく質、でん粉、繊維分等が含まれている。
かかる発酵蒸留残渣の陸上処理として焼却処理も考えられるが、焼却設備や助燃剤としての燃料コストの負担が大きくなるため、好ましい手法とは言えない。
飼料価格の高騰の影響もあいまって、近年、発酵蒸留残渣を家畜飼料として利用する動きが高まっている。
我国の蒸留酒の代表例である焼酎は、その製造工程において、一般に、製品である焼酎とほぼ同量の蒸留残渣液(焼酎粕)を生じる。
焼酎粕は、海洋投棄や堆肥化(農地への散布)などによって処分されていたが、腐敗性が強いため、汚染や悪臭の発生を防止する点から規制され、新たな処分法が必要となっている。
焼酎粕は、ヒトが消化できないセルロース成分を含んでいるため、そのまま食材にすることはできないが、クエン酸などのオキシカルボン酸類、グルタミン酸などのアミノ酸類、ポリフェノール類などを含有するほか、粗タンパク成分も含まれているので、家畜用の配合飼料としての価値は高い。
しかし、焼酎粕は、外気温下で半日乃至一日放置すると、腐敗臭が発生し、家畜の嗜好性も低下する欠点がある。
焼酎粕は、通常、DM(乾物量)含有率(重量%)が僅か5〜10%程度であるが、これを濃縮することによって、上記のような腐敗を防止することができる。
つまり、焼酎粕はクエン酸や酢酸などの腐敗を防止する成分を比較的多く含有しているため、濃縮により腐敗防止成分の濃度を上昇させることで、腐敗防止性(抗菌性)が改善される。さらに、同時に、粗タンパク等の栄養分の濃度も上昇し、また濃縮による減容効果も得られるため、飼料価値や流通性、さらに、配合飼料としての配合の自由度が向上する。
濃縮による上記効果を得るためには、焼酎粕中のDM含有率が、少なくとも30%以上まで濃縮されていることが必要である。
一般的に、液体の濃縮には、蒸発法や膜法が用いられているが、焼酎粕の場合は、固形分の他に、糖蜜等の粘着成分を多く含むため、そのままの性状で膜(透析膜、浸透膜、イオン交換膜)を用いる濃縮法を適用することが困難であるため、蒸発法が適用されている。
蒸発法としては、燃費のよい多重効用缶による蒸発が専ら行われているが、通常の多重効用缶は、液体を処理の対象としているため、濃縮後において、焼酎粕が十分な流動性を保っている必要がある。
さらに、実用化においては、ローリー車等による輸送時や、冬場の貯蔵タンク中においても、流動性が維持されることを考慮する必要があり、濃縮焼酎粕に対する流動性の要求は高い。
その好ましい流動性は、約5℃まで冷却される冬場の貯蔵タンク中において、振動型粘度計で測定する数値として100mPsec(100cP)程度のレベルまでである。
そこで、従来は、蒸発法に供される焼酎粕中の繊維質を構成するセルロースを、セルラーゼ処理によって分解し、液の粘度を下げることが行われている。
また、特許文献2や3では、まず焼酎粕を固液分離に供し、液体分を蒸発させて濃縮していた。
特開2004−298023号公報 特開2006−217850号公報 特開2007−222795号公報
しかし、従来は、蒸発法に供される前の段階で、液体分中のDM含有率が5〜10%、すなわち水分含有量が90〜95%あった。この水分を蒸発させて、DM含有率を少なくとも30%程度にまで濃縮させるために消費する熱エネルギーは膨大であり、コストと収益がつりあわず、商業化するために問題があった。
そこで、本発明の課題は、低コストであり商業化に適した食品加工残液の資源化方法及び資源化システムを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理工程と、
該前処理工程で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮工程とを有することを特徴とする食品加工残液の資源化方法。
(請求項2)
膜濃縮工程は、逆浸透膜、NF膜又は半透膜を備える逆浸透工程からなることを特徴とする請求項1記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項3)
膜濃縮工程は、イオン交換膜を備える電気透析工程からなることを特徴とする請求項1記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項4)
膜濃縮工程で得られた濃縮有価物を減圧濃縮してDM含有率が30wt%以上の濃縮有価物を得る減圧濃縮工程を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項5)
前処理工程によって得られた固体分を乳酸発酵に供して発酵有価物を得る乳酸発酵工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項6)
前記前処理工程は、スクリュープレス工程又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーン処理工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第1の固液分離工程と、MF膜工程又はUF膜工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第2の固液分離工程とからなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項7)
前記食品加工残液は、焼酎粕であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
(請求項8)
食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理手段と、
該前処理手段で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮手段とを有することを特徴とする食品加工残液の資源化システム。
(請求項9)
膜濃縮手段は、逆浸透膜、NF膜又は半透膜を備える逆浸透手段からなることを特徴とする請求項8記載の食品加工残液の資源化システム。
(請求項10)
膜濃縮手段は、イオン交換膜を備える電気透析手段からなることを特徴とする請求項8記載の食品加工残液の資源化システム。
(請求項11)
膜濃縮手段で得られた濃縮有価物を減圧濃縮してDM含有率が30wt%以上の濃縮有価物を得る減圧濃縮手段を有することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
(請求項12)
前処理手段によって得られた固体分を乳酸発酵に供して発酵有価物を得る乳酸発酵手段を有することを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
(請求項13)
前記前処理手段は、スクリュープレス又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーンの何れか1又は2以上を組み合わせてなる第1の固液分離手段と、MF膜又はUF膜の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第2の固液分離手段とからなることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
(請求項14)
前記食品加工残液は、焼酎粕であることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
本発明によれば、濃縮有価物の流動性に優れるとともに、低コストであり商業化に適した食品加工残液の資源化方法及び資源化システムを提供することができる。
また、本発明によれば、廃棄物を生じることなく、食品加工残液中の有価物の全量資源化が可能な食品加工残液の資源化方法及び資源化システムを提供することができる。
本発明に係る食品加工残液の資源化システムの一実施形態を示すフローシート
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明において食品加工残液としては、焼酎粕を好ましく例示できる。焼酎粕としては、焼酎の製造過程でアルコール分を蒸留した後に残存する固形分を多く含んだ液状物が含まれ、例えば芋焼酎粕、麦焼酎粕、米焼酎粕、黒糖焼酎粕またはこれらの混合物などの焼酎粕や、ウィスキーの醗酵過程で生成する蒸留粕なども含まれる。本発明は、これら焼酎粕の中でも、特に濃縮が困難である芋焼酎粕に好ましく適用される。
図1は、本発明に係る食品加工残液の資源化システムの一実施形態を示すフローシートである。同図において、1は前処理手段、2は膜濃縮手段、3は減圧濃縮手段、そして、4は乳酸発酵手段である。
本発明において、前処理手段1は、食品加工残液を固液分離して、固体分と液体分とに分離する。
本実施形態では、前処理手段1は、第1の固液分離手段11及び第2の固液分離手段12からなる。
第1の固液分離手段11としては、スクリュープレス又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーンを好ましく例示でき、これらの1又は2以上を組み合わせて構成してもよい。
第1の固液分離手段11によって分離される固体分の含水率は80%以下であり、好ましくは75%以下である。このような固体分の分離は、第1の固液分離手段11として、スクリュープレス又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーンを用いることによって好適に成され、特にスクリュープレスを用いることで含水率が75%以下の固体分を好適に分離することができる。
含水率が80%以下の固体分は、腐敗を生じ難く、後述する室温放置の乳酸発酵によるサイレージ化を好ましく適用できる。
なお、固液分離手段11として、通常のデカンターの使用は好ましくない。食品加工残渣が焼酎粕、特に芋焼酎粕である場合は、液の粘性が高いため、デカンターのような徹底した固液分離を行うと、固体分が多くの液を伴った状態で分離され、含水率を低下させることが困難である。本発明者の試験によれば、デカンターを用いた場合は、85%程度という高い含水率の固体分が得られ、固体分が腐敗しやすい問題を生じた。そのため、室温放置の乳酸発酵によるサイレージ化が適用困難であるばかりか、冷蔵保存が必要となり、エネルギーコストが増大する。乳酸発酵を用いずに、乾燥飼料化を行う場合は、設備費及び運転費が大となる。また、デカンターを用いた場合は、液体分の多くが固体分とともに除去されてしまうため、スクリュープレス又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーンを用いた場合と比較して、液体分の収量が大幅に減少し、結果として、濃縮有価物の収量が低下する。
第1の固液分離手段11によって得られた液体分は、第2の固液分離手段12に供される。
第2の固液分離手段12としては、MF膜(精密濾過膜)又はUF膜(限外濾過膜)を好ましく例示でき、これらの1又は2以上を組み合わせて構成してもよい。
前段の第1の固液分離手段11によって、大型の固形分が除去されているため、MF膜又はUF膜を用いても、目詰まりの発生を防止することができる。
本発明において、第2の固液分離手段12では、第1の固液分離手段11よりも小径な固体分を除去の対象とし、最終的には粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分を得る。
1μm以上の固体分を除去することにより、液体分に不溶性の固体分のほぼ全てが除去されるため、後段の膜濃縮手段2を適用しても膜の目詰まりが防止され、更に、濃縮後の濃縮有価物の流動性を向上することができる。特に焼酎粕においては、濃縮後の流動性が失われやすいことが問題となるが、1μm以上の固体分を除去した場合は、濃縮後の流動性が大幅に向上する効果が得られる。さらに、腐敗細菌の大部分は1μm以上の大きさを有し、これらも固形分として除去されるため、腐敗防止効果も向上する。
前処理手段1によって得られた液体分は、膜濃縮手段2に供される。
本発明において、膜濃縮手段2は、膜を介した電位勾配又は浸透圧勾配に逆らう電位又は圧力の作用により、液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する。
液体分は、上述の前処理手段1によって、不溶性の固形分がほぼ除去されているため、膜濃縮手段2によって濃縮される対象は、主に液体分に溶解又は分子拡散した有価物である。
かかる膜濃縮手段2としては、電位勾配に逆らう電位の作用により脱水濃縮を行う電気透析手段、又は、浸透圧勾配に逆らう圧力の作用により脱水濃縮を行う逆浸透手段を好ましく例示できる。
電気透析手段としては、例えば、一般に用いられるイオン交換膜を備えた電気透析装置を用いることができる。電気透析手段を用いた場合、液体分は、K、Na、クエン酸、コハク酸、酢酸及びグルタミン酸等のイオン性の有価物を含む濃縮有価物と、糖質、ポリフェノール類及びタンパク質等の非イオン性の有価物を含む処理水とに分離される。
電気透析手段によって得られる濃縮有価物は、タンパク質や糖質等の腐敗成分を含まないため、長期保存が可能であり、そのままの状態で製品として出荷することができる。また、電気透析手段において、電位の印加に用いる電極に有価物を電着させて、濃縮有価物を電極上に濃縮して得ることもできる。しかし、電気透析手段では、イオンを分離対象としているため、非イオン性の有価物を濃縮有価物側に保持することができず、処理水側に逃がすことになる。さらに、大量に生成する処理水を廃水処理するために高いコストをかける必要がある。
一方、逆浸透手段としては、逆浸透膜、NF(ナノフィルター)膜又は半透膜を備えた膜分離装置を好ましく例示できる。これらの膜は、ナノオーダーの孔を備え、好ましくは、2nm以下の孔を備えている。逆浸透手段を用いた場合、液体分は、全ての有価物を含む濃縮有価物と透過液(処理水)とに分離される。
上述の電気透析手段と異なり、逆浸透手段は、非イオン性の有価物についても、濃縮有価物側に保持することが可能であり、つまり、液体分に含まれる有価物の全量を資源化することが可能となる。特に、非イオン性の有価物には、飼料化等において重要な栄養源である糖質、ポリフェノール類及びタンパク質が含まれており、これらを濃縮有価物側に保持することの効果は大きい。また、電気透析手段の処理水に相当する分画として、ほぼ純水の純度で透過液(処理水)を回収できるため、透過液(処理水)についても資源化の用途が広く、廃水処理のためのコストが不要である。
膜濃縮手段2は、液体分の温度を40〜60℃の範囲に保つための昇温手段を備えることが好ましい。液体分の温度を40〜60℃の範囲に保つことにより、液体分の流動性を高めて、脱水濃縮を速やかに行うことができる。
本発明において、膜濃縮手段2によって、液体分の水が、好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%程度除去された濃縮有価物を得ることが好ましい。60%を超える水を除去することも可能であるが、長い処理時間を要し、更に、電位又は圧力の設定を大きくしなければならないため、低効率且つコスト高となる場合がある。
本発明では、膜濃縮手段2によって、上記のように、大半の水を除去することで、後段の減圧濃縮手段を適用した場合に、濃縮のために消費される所要熱量を、大幅に削減することができる。
本発明において、膜濃縮手段2によって得られた濃縮有価物は、減圧濃縮手段3に供して、更なる濃縮を行うことが好ましい。
減圧濃縮手段3としては、多重効用缶のような、蒸発による濃縮手段を好ましく例示できる。
前処理手段1によって、固形分が除去されているため、濃縮有価物の流動性を保ったまま、DM(乾物量)含有率が30%以上の濃縮有価物を得ることができる。なお、本明細書において、DM含有率という表現を用いた場合、液に含有される乾物は、溶解している状態と、分散している状態のいずれであってもよい。
上述した膜濃縮手段2として、電気透析手段を用いた場合は、減圧濃縮手段3の設定温度は、好ましくは、50℃〜100℃である。多重効用缶を用いる場合は、4重缶を用いることができる。
一方、上述した膜濃縮手段2として、逆浸透手段を用いた場合は、減圧濃縮手段3の設定温度は、好ましくは、50℃〜75℃である。この温度範囲であれば、効率的に減圧濃縮を行うことができるとともに、タンパク質等の有価物が変性することを防ぐことができる。多重効用缶を用いる場合は、3重効用缶を用いることが好ましい。
食品加工残液又は食品加工残液の前処理によって得られた液体分に対しては、膜濃縮手段3に供される前の何れかの段階で、適宜、酵素処理を行うことが好ましい。酵素処理に用いる酵素としては、セルラーゼ、アミラーゼ又はペクチナーゼ等を好ましく例示でき、これらの1又は2以上を組み合わせて用いることができる。酵素処理により、液体分中の成分を低分子化することができるため、前処理手段1及び膜濃縮手段2における分離を速やかに行うことが可能となり、更に、減圧濃縮手段3によって得られる濃縮有価物の流動性を向上して、処理速度を向上することができる。
ところで、本発明において、前処理手段1によって分離された固体分は、乳酸発酵手段4に供されることが好ましい。前処理手段を複数の固液分離手段を組み合わせて構成している場合は、各々の固液分離手段によって分離された固体分を、単独又は混合して乳酸発酵に供することができる。乳酸発酵によって得られた発酵有価物は、例えばサイレージ化に好適である。更に、本発明において、固液分離手段1及び前処理手段2から得られる固体分は、含水率が80%以下であるため腐敗防止性が高く、室温放置による乳酸発酵が適用可能であり、省エネルギー化を実現できる。
このように、本発明において、固体分を乳酸発酵に供して発酵有価物を得ることにより、上述の濃縮有価物と併せて、廃棄物を生じることなく、食品加工残液中の有価物の全量資源化が可能となる。
次に、上記の構成を有する食品加工残液の資源化システムを用いた資源化方法について説明する。
まず、食品加工残液は、前処理手段に導入され、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理工程に供される。
前記前処理工程は、好ましくは、スクリュープレス工程又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーン処理工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第1の固液分離工程と、MF膜工程又はUF膜工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第2の固液分離工程とからなる。
前記前処理工程で得られた液体分は、膜濃縮手段に導入され、脱水濃縮して濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮工程に供される。
前記膜濃縮工程は、好ましくは、逆浸透膜、NF膜又は半透膜を備える逆浸透工程からなるか、又は、イオン交換膜を備える電気透析工程からなる。
前記膜濃縮工程で得られた濃縮有価物は、好ましくは、減圧濃縮手段に導入され、減圧濃縮してDM含有率が30wt%以上の濃縮有価物を得る減圧濃縮工程に供されることである。
一方、前記前処理工程によって得られた固体分は、好ましくは、乳酸発酵手段に導入され、乳酸発酵によって発酵有価物を得る乳酸発酵工程に供されることである。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(実施例1)
芋焼酎粕を、第1の固液分離手段、第2の固液分離手段及び膜濃縮手段に供し、濃縮有価物を得た。
<試験方法>
・第1の固液分離手段:スクリュープレスを、定格の通常運転条件で用いた。
・第2の固液分離手段:5μm孔径膜、1μm孔径膜を順に設けて用いた。
・膜濃縮手段:Binch BW−RO膜に相当する膜面積約7cmの逆浸透平膜を、18℃、ボンベ圧0.98MPa及び1.47MPaの条件下で用いた。
<評価方法>
膜濃縮手段における逆浸透平膜の液透過量を測定し、液温20℃における換算フラックスを算出したところ、ボンベ圧0.98MPaの条件下では1.5L/h・m、ボンベ圧1.47MPaの条件下では2.9L/h・mであることがわかった。
更に、第1の固液分離手段で得られた液体分、第2の固液分離手段で得られた液体分、膜濃縮手段で得られた処理水及び濃縮有価物について、以下の評価を行った。
・DM含有率(wt%):液を105℃で乾燥し、乾燥重量をもって固形分重量とした。
・有機物含有率(wt%):上記固形分を800℃強熱に供し、完全燃焼後の減量をもって有機物重量とした。
・クエン酸、酢酸及び酢酸エチル濃度(mg/L):カラムとして島津社製「Shimpack SCR−101H」を用いて、高速液体クロマトグラフ(島津社製「LC6A」)により、クエン酸、酢酸及び酢酸エチルの各々の濃度を測定した。
・カリウム濃度:原子吸光法を用いてカリウム濃度を測定した。
結果を表1に示す。
(実施例2)
<試験方法>
膜濃縮手段として、逆浸透平膜に代えて、膜面積約7cmのNF平膜を、18℃、ボンベ圧0.98MPaの条件で用いた以外は、実施例1と同様にして濃縮有価物を得た。
<評価方法>
膜濃縮手段におけるNF平膜の液透過量を測定し、液温20℃における換算フラックスを算出したところ、5.8L/h・mであることがわかった。
更に、膜濃縮手段で得られた処理水及び濃縮有価物について、実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例3)
芋焼酎粕を、酵素処理手段、第1の固液分離手段、第2の固液分離手段及び膜濃縮手段に供し濃縮有価物を得た。
<試験方法>
・酵素処理手段:アミラーゼ、ペクチナーゼ各0.1g/Lを添加し、50℃で5時間振盪処理した。
・第1の固液分離手段:700μmスクリーンを用いた。
・第2の固液分離手段:1μm孔径膜を用いた。
・膜濃縮手段:NF平膜を、20℃、ボンベ圧0.98MPaの条件で用いた。
<評価方法>
膜濃縮手段におけるNF平膜の液透過量を測定し、液温20℃における換算フラックスを算出したところ、9.0L/h・mであることがわかった。
更に、第2の固液分離手段で得られた液体分、膜濃縮手段で得られた処理水及び濃縮有価物について、実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2011104517
1:前処理手段、
11:第1の固液分離手段
12:第2の固液分離手段
2:膜濃縮手段
3:減圧濃縮手段
4:乳酸発酵手段

Claims (14)

  1. 食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理工程と、
    該前処理工程で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮工程とを有することを特徴とする食品加工残液の資源化方法。
  2. 膜濃縮工程は、逆浸透膜、NF膜又は半透膜を備える逆浸透工程からなることを特徴とする請求項1記載の食品加工残液の資源化方法。
  3. 膜濃縮工程は、イオン交換膜を備える電気透析工程からなることを特徴とする請求項1記載の食品加工残液の資源化方法。
  4. 膜濃縮工程で得られた濃縮有価物を減圧濃縮してDM含有率が30wt%以上の濃縮有価物を得る減圧濃縮工程を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
  5. 前処理工程によって得られた固体分を乳酸発酵に供して発酵有価物を得る乳酸発酵工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
  6. 前記前処理工程は、スクリュープレス工程又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーン処理工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第1の固液分離工程と、MF膜工程又はUF膜工程の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第2の固液分離工程とからなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
  7. 前記食品加工残液は、焼酎粕であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の食品加工残液の資源化方法。
  8. 食品加工残液を固液分離して、含水率が80%以下の固体分と、粒径が1μm以上の固体分が除去された液体分とに分離する前処理手段と、
    該前処理手段で得られた液体分を脱水濃縮して、濃縮有価物と処理水とに分離する膜濃縮手段とを有することを特徴とする食品加工残液の資源化システム。
  9. 膜濃縮手段は、逆浸透膜、NF膜又は半透膜を備える逆浸透手段からなることを特徴とする請求項8記載の食品加工残液の資源化システム。
  10. 膜濃縮手段は、イオン交換膜を備える電気透析手段からなることを特徴とする請求項8記載の食品加工残液の資源化システム。
  11. 膜濃縮手段で得られた濃縮有価物を減圧濃縮してDM含有率が30wt%以上の濃縮有価物を得る減圧濃縮手段を有することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
  12. 前処理手段によって得られた固体分を乳酸発酵に供して発酵有価物を得る乳酸発酵手段を有することを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
  13. 前記前処理手段は、スクリュープレス又は600μm〜800μmの孔を備えたスクリーンの何れか1又は2以上を組み合わせてなる第1の固液分離手段と、MF膜又はUF膜の何れか1又は2以上を組み合わせてなる第2の固液分離手段とからなることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
  14. 前記食品加工残液は、焼酎粕であることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の食品加工残液の資源化システム。
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