JP2011103779A - 微生物菌液調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コロニーの選択及び釣菌の並列処理を行い、処理速度を向上させることができる微生物菌液調整装置を提供する。
【解決手段】シャーレ100を載せる試料台と、撮像ステージ103と、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段と、画像表示手段109と、画像と比較するための比較手段と、釣菌手段と、釣菌ステージ108と、撮像前の複数個のシャーレを蓄えておく第1のバッファステーション101と、撮像後複数個シャーレを蓄えておく第2のバッファステーション106と、シャーレを順次供給する第1、第2および第3の搬送手段102、105、107と、制御部120とを備え、前記選択手段は、各シャーレ100について、撮像されたシャーレ内のコロニーの外観的特徴から釣菌すべき菌体を自動選択するものである微生物菌液調整装置。
【選択図】図1

Description

本発明は微生物分析装置に係り、特に検体中に含まれる微生物の同定及び薬剤感受性検査を実施するために、検体中の微生物を培養し、微生物コロニーを選択し、選択したコロニーの菌液を調整する前処理装置に関する。
微生物分析装置は、医療現場における検体検査において、検体中に含まれる微生物の種を同定し、微生物の抗生剤に対する感受性を測定することに利用される。検体から検出された微生物に対して、効果のある薬剤の種類およびその濃度を決定して治療方針をたてることは適正な抗菌薬治療を行う上で非常に重要である。
ここで、検体検査の流れの一例を、以下に説明する。まず、採取した検体(例えば、血液、喀痰、糞便等)を染色し、顕微鏡で観察する。陽性反応が観察されたら、検体をシャーレの培地(例えば、寒天等)の上に移動し、該シャーレをインキュベータに投入する。一昼夜後、シャーレをインキュベータから取り出すと、培地上に微生物のコロニーが複数種類発生する。この複数種類のコロニーの中から1種類の微生物を選択して釣菌し、試験管に移し、生理食塩水を用いて濃度調整して複数種類の濃度の菌液を調整する。複数種類の濃度に調整した菌液は微生物検査装置に投入され、菌の同定及び薬剤感受性を調べられる。
上記のような検体検査を、迅速かつ正確に行うために、各作業を自動化した微生物分析
装置が提案されている。例えば、特許文献1には、細菌類の自動分析装置が開示されている。特許文献1に記載の細菌類の自動分析装置は、試験液作製部、プレインキュベーション部、トップアガー分注部、プレーティング部、プレート収納部、コロニーカウント部、データ処理部、試験管移送手段、プレート収納ラック移送手段を有し、試験液の作製からコロニー数を計数する一連の分析操作を高精度で自動的に行うことができる。
特許文献2には、コロニーの位置検出を行う画像処理装置と、回転動作機構と、上下動作機構を有しワークの搬送を行うエレベータ部と、ロボット操作により釣菌及び植菌位置を決めながら釣菌及び植菌行う釣菌/植菌部と、ワークの移動搬送を行うワーク搬送部と、ワークの蓋の開閉を制御するフタ開閉部と、液体培地の分注を行う液体分注部と、寒天培地の分注動作を行う寒天分注部と、微生物資源のデータ管理、運転モード指示等の制御動作を行うホストコンピュータ部とを備えた微生物スクリーニング装置が開示されている。特許文献2に記載の微生物スクリーニング装置は、土壌微生物のスクリーニングに当たって必要な各種動作を自動化するとともに、菌株やデータの管理を完全に行って、信頼性を高めることを目的とする。
特許文献3には、微生物集落の検査方法及び装置が開示されている。特許文献3に記載の微生物集落の検査方法及び装置は、シャーレの画像、コロニー発生前の画像及びコロニー発生後の画像を比較し、コロニー発生後の画像から、撮像系の汚れや培地上の残渣を除去し、正確なコロニー数のカウントを行うことができる。あらかじめシャーレに印刷されたマークを各画像で合わせることによって、画像の正確な比較ができるとされている。
特許文献4には、コロニーの採取方法及び装置が開示されている。特許文献4に記載のコロニーの採取方法及び装置は、コロニーの位置基準手段を設け、コロニーの空間的絶対位置を把握し、釣菌するコロニーの場所を正確に把握することを目的とする。
特開2002‐98704号公報 特開平9‐47281号公報 特開2005‐143425号公報 特開2000‐171360号公報
通常、コロニーの培養には一夜以上の時間を要するが、検査室の規模によっては数百枚以上のシャーレを検査する場合がある。この数百枚のシャーレを一枚一枚、コロニーを培養し、シャーレ内で生育した複数のコロニーから最適なコロニーを選択して釣菌治具によって釣菌し、生理用食塩水にて希釈またはコロニーを追加して、所望の濁度になっているかをモニターしながら菌懸濁液を調整することは、多大な時間と人件費を要する。そこでこれらのコロニー生育から菌懸濁液の調整までの作業を自動化できる装置の開発が望まれている。
特許文献1に記載の分析装置は、コロニーを選択する手段を備えていない。また、特許文献2、3及び4は、1つの画像でコロニー位置の検出と釣菌を実施しているため、コロニーの選択および釣菌の並列処理ができず、処理速度が向上しにくい。
従って、本発明の目的は、コロニーの選択及び釣菌の並列処理を行い、処理速度を向上させることができる微生物菌液調整装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、
シャーレを載せる試料台と、
シャーレの上面からシャーレ内を撮像し、その画像を記憶する記憶手段を有する撮像ステージと、
シャーレの中の微生物のコロニーを自動的に検出し、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段と、
シャーレの上面からシャーレ内の画像を表示するための画像表示手段と、
前記撮像ステージで撮像した画像を記憶手段から読み出し、前記画像表示手段で表示した画像と比較するための比較手段と、
シャーレ内の微生物のコロニーを釣菌するための駆動部を含んだ釣菌手段と、
前記釣菌手段と、前記画像表示手段と、前記比較手段と、前記選択手段を備えた釣菌ステージと、
撮像前の複数個のシャーレを蓄えておく第1のバッファステーションと、
撮像後の複数個シャーレを蓄えておく第2のバッファステーションと、
前記第1のバッファステーションから前記撮像ステージに撮像前のシャーレを順次供給する第1の搬送手段と、
前記撮像ステージから前記第2のバッファステーションに撮像後のシャーレを順次供給する第2の搬送手段と、
前記第2のバッファステーションから前記釣菌ステージに釣菌前のシャーレを順次供給する第3の搬送手段と、
前記撮像ステージ、前記釣菌ステージ、前記第1のバッファステーション、前記第2のバッファステーション、前記第1の搬送手段、前記第2の搬送手段及び前記第3の搬送手段を制御する制御部とを備え、
前記選択手段は、各シャーレについて、撮像されたシャーレ内のコロニーの外観的特徴から釣菌すべき菌体を自動選択するものであることを特徴とする微生物菌液調整装置を提供する。
また、本発明は上記目的を達成するため、上記の本発明に係る微生物菌液調整装置において、以下のような実施態様を含む。
(1)前記撮像ステージと前記釣菌ステージが異なる領域にある。
(2)前記撮像ステージと前記釣菌ステージが独立して操作可能である。
(3)前記選択手段は、コロニー撮像時にシャーレ画像の座標原点と座標軸を設定し、釣菌するコロニーの座標を記憶する。
(4)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有する。これによってシャーレ上のマーカーとコロニーの位置関係を特定することができる。
(5)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーが描画されたシートを貼り付けられている。
(6)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーが描画されたシートを貼り付けられている。
(7)前記シャーレが、回転方向の角度座標原点を特定するためのマーカーを有する。
(8)前記シャーレに、装置内部にて、座標原点を特定するためのマーカーを追加する。

(9)前記画像表示手段において、コロニーを釣菌する際に取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸を検出し、撮像ステージで取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸に対して、平行移動、回転移動、拡大、縮小の座標補正や座標のゆがみ補正を行うことを特徴とする。
(10)前記釣菌手段は、コロニー釣菌時に前記座標原点と座標軸を検出して、釣菌するコロニーの座標位置に釣菌位置を移動して釣菌を実施する。
(11)コロニーの釣菌ステージ上の座標を入力する手段と、入力した座標位置に釣菌手段を移動させる手段と、シャーレを該微生物検査用微生物コロニー釣菌手段に搭載後、座標原点を特定し、釣菌手段を入力された座標位置に移動する手段を有する。
(12)装置外部またはユニット外部から入力する座標情報がシャーレ上のコロニー位置である。
また、本発明は、上記目的を達成するため、
シャーレを載せる試料台と、
シャーレの上面からシャーレ内を撮像し、その画像を記憶する記憶手段を有する撮像ステージと、
シャーレの中の微生物のコロニーを自動的に検出し、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段と、
シャーレの上面からシャーレ内の画像を表示するための画像表示手段と、
前記撮像ステージで撮像した画像を記憶手段から読み出し、前記画像表示手段で表示した画像と比較するための比較手段と、
シャーレ内の微生物のコロニーを釣菌するための駆動部を含んだ釣菌手段と、
前記釣菌手段と、前記画像表示手段と、前記比較手段と、前記選択手段を備えた釣菌ステージと、
撮像前の複数個のシャーレを蓄えておく第1のバッファステーションと、
撮像後の複数個シャーレを蓄えておく第2のバッファステーションと、
前記第1のバッファステーションから前記撮像ステージに撮像前のシャーレを順次供給する第1の搬送手段と、
前記撮像ステージから前記第2のバッファステーションに撮像後のシャーレを順次供給する第2の搬送手段と、
前記撮像ステージ、前記釣菌ステージ、前記第1のバッファステーション、前記第2のバッファステーション、前記第1の搬送手段、及び前記第2の搬送手段を制御する制御部とを備え、
前記撮像ステージと前記釣菌ステージが共通の領域内にあることを特徴とする微生物菌液調整装置を提供する。
また、本発明は上記目的を達成するため、上記の本発明に係る微生物菌液調整装置において、以下のような実施態様を含む。
(13)前記撮像ステージと前記釣菌ステージが独立して操作可能である。
(14)前記選択手段は、コロニー撮像時にシャーレ画像の座標原点と座標軸を設定し、釣菌するコロニーの座標を記憶する。
(15)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有する。
(16)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有し、前記マーカーが前記シャーレに直接描画してある。
(17)前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーが描画されたシートを貼り付けられている。
(18)前記シャーレが、回転方向の角度座標原点を特定するためのマーカーを有する。
(19)前記シャーレに、装置内部にて、座標原点を特定するためのマーカーを追加する。
(20)前記表示装置において、コロニーを釣菌する際に取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸を検出し、撮像ステージで取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸に対して、平行移動、回転移動、拡大、縮小の座標補正や座標のゆがみ補正を行う。
(21)前記釣菌手段は、コロニー釣菌時に前記座標原点と座標軸を検出して、釣菌するコロニーの座標位置に釣菌位置を移動して釣菌を実施する。
本発明によれば、コロニーの選択及び釣菌の並列処理を行うことができ、微生物検査のスループットを向上させることができる。
本発明に係る微生物菌液調整装置の1例を示す模式図である。 シャーレ中のコロニーの画像の1例を示す平面模式図である。 シャーレ中のコロニーの画像の1例を示す平面模式図である。 図3‐Aのマーカー周辺部の部分拡大平面模式図である。 シャーレと、回転ステージと、フォトセンサを示す断面模式図である。 本発明に係る微生物菌液調整装置の他の例を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施の形態に限定されることはない。
(微生物菌液調整装置の構成)
図1は、本発明に係る微生物菌液調整装置の1例を示す模式図である。まず患者から採取した検体中の微生物の有無を確認するために、検体をシャーレ100内の寒天培地に塗布し、インキュベータに投入してシャーレ内の微生物を培養する。培養は通常、12時間以上行われる。検体中に微生物がいる場合、培養後シャーレ100内に微生物コロニーが発生する。
微生物コロニーが生育したシャーレ100を、第1のバッファステーション101にセットする。バッファステーション101の構造は特に限定されないが、複数の段が設けられてあって、複数個のシャーレが縦方向に収納されていてもよいし、空間が許せばシャーレが横方向に広げて収納されていてもよい。第1のバッファステーション101にセットされたシャーレは、第1の搬送手段102によって1枚ずつ撮像ステージ103に搬送される。各シャーレには、個々を区別するための識別コードが設けられていることが好ましい。識別子としてはシャーレにあらかじめバーコードラベルをはっておき、これを読み取るものであってもよいし、第1のバッファステーションにおいて、個々のシャーレを収納する位置に対応した識別コードを微生物菌液調整装置にセットする前に制御部120に入力しておいてもよい。
撮像ステージ103に搬送されたシャーレ100は、シャーレの画像を撮像するための画像撮像用カメラ104の真下の位置で停止する。通常シャーレは蓋の内側に付着した水滴の落下を避けるために蓋を下に、底面を上にして取り扱われる。シャーレは、カメラ104の真下の位置で停止するまでの搬送経路の途中で、底面が下になるように上下反転させて蓋を取り外されていることが好ましい。撮像カメラ104を用いて、シャーレの画像を取得する。画像はコロニーの位置を特定できるために必要な分解能(通常0.1mm程度)で撮像する。シャーレ全体の像を取得すると所望の解像度が得られない場合は、シャーレを固定したステージまたはカメラを移動させ、撮像倍率を大きくして撮像してもよい。そして1枚の、または複数画像を合成した1枚のシャーレ像を得る。
撮像された画像は、制御部120内にある記憶手段(メモリ)に記憶される。その後、撮像されたシャーレ像を用いて、シャーレの中の微生物コロニーが自動的に検出され、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段によって、釣菌するコロニーが選択される。選択されたコロニーは、シャーレ内に定められた原点と座標軸によって座標を与えられ、記憶部に記憶される。選択手段及び座標の与え方については、後段で詳細に説明する。釣菌するコロニーの座標の記憶を終了したシャーレ100は、第2の搬送手段105によって、第2のバッファステーション106に搬送される。第2のバッファステーション106は、第1のバッファステーション101と同様に、複数の段が設けられてあって、複数個のシャーレが縦方向に収納されていてもよいし、空間が許せばシャーレが横方向に広げて収納されていてもよい。ここで、空間の制約などがある場合、第1のバッファステーション101と第2のバッファステーション106を共用してもよい。この場合、例えば、バファステーションに積層されたシャーレの下方から撮像するシャーレを順次抜き出し、撮像及び所定の処理が終わったら積層されたシャーレの最上部に順次積層していけば、積層したシャーレの順番を変えないで、管理することができる。このようにして1つのバッファステーションを2つのバッファステーションとして機能させることができる。
第2のバッファステーション106に収納されたシャーレは、次に第3の搬送手段107によって、釣菌ステージ108に搬送される。撮像ステージ103と釣菌ステージ108は異なる領域に設置されている。これらはそれぞれ独立して操作を行うことができる。釣菌ステージ108には、画像表示手段109と、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に動くことができる駆動部を備えた釣菌治具110と、釣菌治具のレール111と、試験管112と、菌液濃度調整系113と、画像出力装置121が備えられている。画像出力装置121は、制御部120の記憶手段から、撮像ステージで撮像されたシャーレの画像を読み出す。また、画像表示手段109で表示されたシャーレの画像を表示する。撮像された画像と表示された画像は、画像出力装置内の比較手段によって比較される。撮像された画像のシャーレの原点、座標軸、及び釣菌するコロニー座標を記憶手段から読み出し、表示された画像と位置を合わせ、目的とするコロニーを釣菌する。撮像された画像と表示された画像の比較手段は後段で詳細に説明する。
釣菌後、コロニーは試験管112に投入され、菌液濃度調整系113で所望の濃度に調整される。濃度は、コロニーの量か、溶媒(例えば、生理食塩水等)の量を増減することで調整される。濃度の調整が完了した試験管112は懸濁液排出系114の懸濁液ラック115に搭載され適宜装置外部に搬出される。
撮像ステージ104、釣菌ステージ108、第1のバッファステーション101、第2のバッファステーション106、第1の搬送手段102、第2の搬送手段106及び第3の搬送手段107は、制御部120によって自動で制御される。
図1においては制御部と画像出力装置が別の筐体を有しているが、これらは一体にしてあってもよい。
(コロニー座標の取得方法)
次に、コロニーの座標の取得方法について説明する。図2は、シャーレ中のコロニーの画像の1例を示す平面模式図である。検体中に微生物が含まれている場合、培養後、培地に連続的な非孤立コロニー201が確認される。図2に示すようなシャーレの画像から、画像処理によって座標原点を定義し、コロニーの座標を取得する。画像処理の方法の1例について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
画像処理によって、シャーレの外周(円形)を求めて、その中心位置と半径を求める。シャーレの外周内にあるコロニーを輪郭検出によって抽出する。輪郭検出には、ハイパスフィルタ、ソーベルフィルタなどの輪郭を検出するフィルタを使用することができる。得られたコロニーの輪郭から、コロニー直径が0.1mmから2mmのコロニーを選び、かつもっとも画面の左側に位置するコロニーをコロニーA202とし、もっとも右側に位置するコロニーをコロニーB203とし、それぞれの輪郭内の面積の重心を求める。コロニーA202の重心を座標原点とし、座標原点からコロニーB203の重心に向かう方向をX座標軸204と定義する。X座標軸204から、90度反時計回りに回転させた方向にY座標軸205を定義する。座標軸が決定された後、画面内の各コロニーの重心を求め、各々の座標を求めてシャーレの識別コードおよびシャーレ画像と共に、制御部120に記録する。
次に、別の方法について説明する。図3‐Aは、シャーレ中のコロニーの画像の1例を示す平面模式図である。シャーレにあらかじめアライメントターゲットとなる十字型のマーカーC301およびマーカーD302を付加しておく。図2で説明したように、コロニーの輪郭検出によって、マーカーも検出される。図3‐Bは、図3‐Aのマーカー周辺部の部分拡大平面模式図である。マーカーC301の十字の中心の点を始点303と呼び、これを座標原点とする。マーカーD302の十字の中心の点を終点304と呼ぶことにする。マーカーCの始点303とマーカーDの終点304を結ぶ線をX座標軸305とし、直行するY座標軸306を定義する。座標軸が決定された後、画面内の各コロニーの重心を求め、各々の座標を求めてシャーレの識別コードおよびシャーレ画像と共に、制御部120に記録する。
マーカーの形状は、一点を一義的に定義できものであれば特に限定されない。十字型、四角形型、三角形型あるいはI字型等の形状を使用することができる。また、マーカーは、シャーレに直接印刷されていてもよいし、刻印されていてもよい。シャーレの製造時に、シャーレを樹脂成型する型にマーカーのパターンを設けて、マーカーを有するシャーレを作製してもよい。シャーレに、マーカーをシールで貼り付けてもよい。また、シャーレの底部にマーカーを作製すると、コロニーは厚さのある培地上に生育するので、マーカーとコロニーの高さが異なると両者に同時に焦点を合わせられなくなる可能性がある。このように撮像系の焦点深度を考慮しなければならない撮像系の場合、培地の表面に樹脂のフィルムなどでできたマーカーのシールを貼付してもよい。原点及び座標は撮像後に定義するため、マーカーの位置精度は不問である。
マーカーは微生物菌液調整装置に投入される前にシャーレに設けられていてもよいが、該装置内部にて、設けられてもよい。
(選択手段)
次に、釣菌するコロニーの選択手段について説明する。撮像ステージ103においてコロニーの画像とコロニーの座標を制御部120内の記憶手段に記憶した後、オペレータが画像をレビューする。オペレータは画面に表示されたコロニーを見て、釣菌するコロニーを選択する。選択の方法は、例えば画面上、マウスカーソルを移動して選択してもよいし、タッチスクリーンに表示させて、画面上をタッチすることで選択してもよい。オペレータがコロニーを選択した後、微生物菌液調整装置はそのコロニーの輪郭検出を行い、その輪郭の重心を釣菌すべきコロニーの座標として制御部120を介して記憶する。
(比較手段)
次に、釣菌ステージにおいて、オペレータが選択したコロニーを検出して釣菌する方法について説明する。シャーレが釣菌ステージに搬送されると、画像表示手段109において、シャーレの画像を取得し、画像出力装置121に表示される。また、該シャーレの識別子が確認され、制御部120内の記憶手段に記憶されている、該シャーレの撮像された画像が、画像出力装置121に読み出される。画像表示手段で取得されたシャーレの画像の輪郭検出が行われ、撮像された画像と、表示された画像が、画像出力装置121内の比較手段によって比較される。シャーレは、バッファステーションにセットするときや搬送手段で搬送される際に、その位置がずれ、撮像された画像と表示した画像は回転方向にずれている可能性がある。コロニーを座標原点として使用した時は、撮像した画像とある回転角で傾いた表示された画像とをおなじルールで座標原点を求められない場合がある。表示画像が回転したことによって、もっとも左のコロニーと、最も右のコロニーが異なるからである。コロニーを座標原点とした場合は、シャーレの外郭より求めたシャーレの中心を回転中心として、表示画像を数度ずつメモリ上で仮想的に回転させる。そしてパターンマッチングによって表示画像の回転位置を合わせた状態とし、その状態で座標原点を算出する。座標原点が決定したら、記憶していたコロニー座標を読み出して、新たに決定した座標原点からコロニー座標の位置に駆動部を含んだ釣菌治具110を移動して釣菌する。
表示された画像は、比較手段によって回転移動の他にも、平行移動、拡大、縮小等の座標補正や、座標のゆがみの補正を行うことができる。
また、表示画像を仮想的に回転させてシャーレ画像との相関を計算する代わりに、シャーレに回転角補正用のマーカーを設けることができる。図4シャーレと、回転ステージと、フォトセンサを示す断面模式図である。シャーレの側面401に回転方向のアライメント用のマーカー403を設ける。マーカーは、例えば線状のマークを印刷、刻印、成形、貼付などの方法で設けることができる。撮像ステージは、シャーレの中心と同軸の回転ステージ402を有し、その円周部分には、側壁のマーカー403を検知するフォトセンサ404が設けられる。ステージにシャーレがセットされた後に、回転ステージ402を回転させて、フォトセンサ404がマーカー403を検出した位置でステージを停止して撮像する。釣菌ステージも同様に回転ステージとフォトセンサを有し、このフォトセンサを検知する位置とカメラの位置関係を、撮像ステージのそれと一致させておく。シャーレをステージ上で回転させてフォトセンサがマーカー403を検知した位置でステージを停止して撮像すれば、回転方向にずれのない、撮像画像と表示画像を取得することができる。
(釣菌手段)
釣菌は、図1で示すように釣菌治具がレール111を移動してシャーレの釣菌を行うコロニー上に移動して釣菌を行っても良いし、シャーレが釣菌治具の真下に移動して釣菌を行ってもよい。
本発明に係る微生物菌液調整装置によれば、撮像ステージで撮像を終えたシャーレから順次釣菌を開始することができる。したがって撮像と釣菌を平行して行うことが出来るため、スループットを向上させることができる。
図5は、本発明に係る微生物菌液調整装置の別の1例を示す模式図である。図5の装置の構成では、撮像ステージと釣菌ステージが共通の領域内に配置される。図1の場合と同様に、これらはそれぞれ独立して操作を行うことができる。画像の撮像と画像の表示は、画像撮像及び表示カメラ504を用いて行う。制御部520は、撮像及び釣菌ステージ503、第1のバッファステーション501、第2のバッファステーション508、第1の搬送手段502、第2の搬送手段507、画像撮像及び表示カメラを制御する。また、制御部520は、撮像した画像を記憶する記憶手段と、撮像した画像から釣菌するコロニーを選択する選択手段と、撮像した画像と表示した画像を比較する比較手段が内臓されている。
図5の微生物菌液調整装置では、撮像が終了したシャーレや釣菌を終了したシャーレをバッファステーションに蓄積しておくことができるため、分析の効率を高めることができる。例えばオペレータのいない休憩中や夜間中に撮像を行い、撮像後のシャーレをバッファステーションに蓄積する。オペレータは、休憩終了後や次の日の始業開始後、選択手段によって釣菌するコロニーを選択する。コロニーが選択されたシャーレから、順次釣菌を開始し、釣菌が終了したシャーレもバッファステーションに蓄積しておく。このように図5に示した装置を用いると、作業の待ち時間を作ることなく、分析のスループットを向上させることができる。また、撮像ステージと釣菌ステージを一体化しているので、図1の装置と比較して、装置構成を簡単にすることができ、装置の小型化、コスト低減等の効果を得ることができる。
以上説明した通り、本発明に係る微生物菌液調整装置によれば、画像の撮像と釣菌を並列して処理を行うことができるため、数百枚の検体を処理する場合においても処理の待ち時間を作ることなく、効率的に分析を行うことができる。
100…シャーレ、101…第1のバッファステーション、102…第1の搬送手段、103…撮像ステージ、104…画像撮像用カメラ、105…第2の搬送手段、106…第2のバッファステーション、107…第3の搬送手段、108…釣菌ステージ、109…画像表示手段、110…釣菌治具、111…レール、112…試験管、113…菌液濃度調整系、114…懸濁液排出系、115…懸濁液ラック、120…制御部、121…画像出力装置、201…非孤立コロニー、202…コロニーA、203…コロニーB、204…X座標軸、205…Y座標軸、301…マーカーC、302…マーカーD、303…始点、304…終点、305…X座標軸、306…Y座標軸、401…シャーレの側面、402…回転ステージ、403…マーカー、404…フォトセンサ、500…シャーレ、501…第1のバッファステーション、502…第1の搬送手段、503…撮像及び釣菌ステージ、504…画像撮像及び表示カメラ、505…試験管、506…菌液濃度調整系、507…第2の搬送手段、508…第2のバッファステーション、509…第3の搬送手段、510…懸濁液排出系、511…懸濁液ラック、520…制御部。

Claims (26)

  1. シャーレを載せる試料台と、
    シャーレの上面からシャーレ内を撮像し、その画像を記憶する記憶手段を有する撮像ステージと、
    シャーレの中の微生物のコロニーを自動的に検出し、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段と、
    シャーレの上面からシャーレ内の画像を表示するための画像表示手段と、
    前記撮像ステージで撮像した画像を記憶手段から読み出し、前記画像表示手段で表示した画像と比較するための比較手段と、
    シャーレ内の微生物のコロニーを釣菌するための駆動部を含んだ釣菌手段と、
    前記釣菌手段と、前記画像表示手段と、前記比較手段と、前記選択手段を備えた釣菌ステージと、
    撮像前の複数個のシャーレを蓄えておく第1のバッファステーションと、
    撮像後の複数個シャーレを蓄えておく第2のバッファステーションと、
    前記第1のバッファステーションから前記撮像ステージに撮像前のシャーレを順次供給する第1の搬送手段と、
    前記撮像ステージから前記第2のバッファステーションに撮像後のシャーレを順次供給する第2の搬送手段と、
    前記第2のバッファステーションから前記釣菌ステージに釣菌前のシャーレを順次供給する第3の搬送手段と、
    前記撮像ステージ、前記釣菌ステージ、前記第1のバッファステーション、前記第2のバッファステーション、前記第1の搬送手段、前記第2の搬送手段及び前記第3の搬送手段を制御する制御部とを備え、
    前記選択手段は、各シャーレについて、撮像されたシャーレ内のコロニーの外観的特徴から釣菌すべき菌体を自動選択するものであることを特徴とする微生物菌液調整装置。
  2. 前記撮像ステージと前記釣菌ステージが異なる領域にあることを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  3. 前記撮像ステージと前記釣菌ステージが独立して操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  4. 前記選択手段は、コロニー撮像時にシャーレ画像の座標原点と座標軸を設定し、釣菌するコロニーの座標を記憶することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  5. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  6. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有し、前記マーカーが前記シャーレに直接描画してあることを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  7. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーが描画されたシートを貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  8. 前記シャーレが、回転方向の角度座標原点を特定するためのマーカーを有することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  9. 前記シャーレに、装置内部にて、座標原点を特定するためのマーカーを追加することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  10. 前記画像表示手段において、コロニーを釣菌する際に取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸を検出し、撮像ステージで取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸に対して、平行移動、回転移動、拡大、縮小の座標補正や座標のゆがみ補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  11. 前記釣菌手段は、コロニー釣菌時に前記座標原点と座標軸を検出して、釣菌するコロニーの座標位置に釣菌位置を移動して釣菌を実施することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  12. コロニーの釣菌ステージ上の座標を入力する手段と、入力した座標位置に釣菌手段を移動させる手段と、シャーレを該微生物検査用微生物コロニー釣菌手段に搭載後、座標原点を特定し、釣菌手段を入力された座標位置に移動する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  13. 装置外部またはユニット外部から入力する座標情報がシャーレ上のコロニー位置であることを特徴とする請求項1に記載の微生物菌液調整装置。
  14. シャーレを載せる試料台と、
    シャーレの上面からシャーレ内を撮像し、その画像を記憶する記憶手段を有する撮像ステージと、
    シャーレの中の微生物のコロニーを自動的に検出し、検出されたコロニーの一部を選択する選択手段と、
    シャーレの上面からシャーレ内の画像を表示するための画像表示手段と、
    前記撮像ステージで撮像した画像を記憶手段から読み出し、前記画像表示手段で表示した画像と比較するための比較手段と、
    シャーレ内の微生物のコロニーを釣菌するための駆動部を含んだ釣菌手段と、
    前記釣菌手段と、前記画像表示手段と、前記比較手段と、前記選択手段を備えた釣菌ステージと、
    撮像前の複数個のシャーレを蓄えておく第1のバッファステーションと、
    撮像後の複数個シャーレを蓄えておく第2のバッファステーションと、
    前記第1のバッファステーションから前記撮像ステージに撮像前のシャーレを順次供給する第1の搬送手段と、
    前記撮像ステージから前記第2のバッファステーションに撮像後のシャーレを順次供給する第2の搬送手段と、
    前記撮像ステージ、前記釣菌ステージ、前記第1のバッファステーション、前記第2のバッファステーション、前記第1の搬送手段、及び前記第2の搬送手段を制御する制御部とを備え、
    前記撮像ステージと前記釣菌ステージが共通の領域内にあることを特徴とする微生物菌液調整装置。
  15. 前記撮像ステージと前記釣菌ステージが独立して操作可能であることを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  16. 前記選択手段は、コロニー撮像時にシャーレ画像の座標原点と座標軸を設定し、釣菌するコロニーの座標を記憶することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  17. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  18. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーを有し、前記マーカーが前記シャーレに直接描画してあることを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  19. 前記シャーレが、座標原点を特定するためのマーカーが描画されたシートを貼り付けられていることを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  20. 前記シャーレが、回転方向の角度座標原点を特定するためのマーカーを有することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  21. 前記シャーレに、装置内部にて、座標原点を特定するためのマーカーを追加することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  22. 前記表示装置において、コロニーを釣菌する際に取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸を検出し、撮像ステージで取得したシャーレ画像の座標原点と座標軸に対して、平行移動、回転移動、拡大、縮小の座標補正や座標のゆがみ補正を行うことを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  23. 前記釣菌手段は、コロニー釣菌時に前記座標原点と座標軸を検出して、釣菌するコロニーの座標位置に釣菌位置を移動して釣菌を実施することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  24. コロニーの釣菌ステージ上の座標を入力する手段と、入力した座標位置に釣菌手段を移動させる手段と、シャーレを該微生物検査用微生物コロニー釣菌手段に搭載後、座標原点を特定し、釣菌手段を入力された座標位置に移動する手段を有することを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  25. 装置外部またはユニット外部から入力する座標情報がシャーレ上のコロニー位置であることを特徴とする請求項14に記載の微生物菌液調整装置。
  26. 請求項1又は14記載の微生物菌液調整装置において、前記第1のバッファステーションと前記第2のバッファステーションを共用することを特徴とする微生物菌液調整装置。
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