JP2011103105A - 照明制御方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 照明装置の照度調整を速やかに実施する。
【解決手段】 画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から、照明設定値を一段階変化させたときに生じる画像処理対象の画像濃度の分散値の変化量Δy/Δxを算出し、算出された変化量Δy/Δxの絶対値が所定の基準値εよりも小さくなっていない場合は、上記算出された変化量Δy/Δxの正負と絶対値の大小に正の相関の傾向を有するように求めた照明制御量で仮の照明設定値を更新してから、照明設定値を一段階変化させたときに生じる画像処理対象の画像濃度の分散値の変化量Δy/Δxを算出する処理を繰り返し、算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量Δy/Δxの絶対値が所定の基準値εよりも小さくなると、その時点の仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置にて画像処理対象の良好な検出を行うために該画像処理対象に対する照明の照度を調整する照明制御方法及び装置に関するものである。
印刷装置では、印刷対象を取り替えて順次印刷処理を行う場合の各印刷対象の版との相対位置の位置決めや、1つの印刷対象に重ね刷りを行う場合の該印刷対象における印刷位置の位置合わせのために、版や印刷対象の所要個所、たとえば、対角となる2個所に予めアライメントマークを設けておき、該各アライメントマークをカメラで撮影し、その撮影されたアライメントマークの位置を所定の基準位置に合わせることで、上記版や印刷対象のアライメントを取ることがある。
ところで、上記のように版や印刷対象等に設けたアライメントマークのような特定の画像処理対象をカメラで撮影し、該カメラの撮影画像中で画像処理対象の検出を行う場合、通常は、カメラの撮影画像を画像処理することで、該撮影画像中における背景より上記画像処理対象を識別して検出するようにしてあり、この際、画像処理対象の検出精度を高めるためには、上記撮影画像中における背景と画像処理対象とのコントラスト(画像処理対象と背景の濃淡差の絶対値)をできるだけ大きくすることが有利に働く。
上記のようにカメラの撮影画像中における背景と画像処理対象とのコントラストを大きくするための手法の1つとしては、上記画像処理対象の背景とのコントラストが大きくなるように、照明装置による画像処理対象及び背景に対する照明の照度を調節する手法がある。
上記照明装置による照明の照度の調節を行う具体的な手法としては、たとえば、照明装置を無点灯の状態から一段階ずつ照度を上げて画像処理対象と背景の照明を行うと共に、各段階の照度で照明される画像処理対象と背景についてのコントラストを計測して、該コントラストが最大になる照明装置の照度を探索するようにした手法が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2007−156968号公報
ところが、上記特許文献1に示された従来の照明装置による照明の照度を調整する手法では、照明装置を無点灯の状態から照度を一段階ずつ上げるごとに、画像処理対象と背景とのコントラストを計測して、そのコントラストが最適であるか否かを判断する必要がある。
そのために、上記照明装置の照度を制御する制御装置の分解能が多段の場合、たとえば、上記照明装置の制御装置としてPLCを用いて8bit(0−255)の分解能で制御を行う場合には、最大でその分解能に応じた回数である255回もの照明装置の照度の変更を行うと共に、照度を変更させる都度、その照度で照明される画像処理対象と背景とのコントラストが最適か否かの判断を行う必要があることから、最適な照度を得るまでに要する処理時間が嵩んでしまう。よって、上記照明装置の照度調整が、印刷装置では印刷速度の高速化を図る場合の制限となる等、製品の大量生産を行う場合の生産速度に影響する虞が生じる。
なお、カメラの撮影画像を画像処理して該撮影画像中における背景より画像処理対象を識別して検出する際における検出精度を高めるためには、背景と画像処理対象とのコントラストを大きくすることのほかに、カメラにより撮影した画像処理対象の画像濃度の分散値(カメラ画像における平均的な明るさからの画像処理対象の濃度差の絶対値)を大きくすることも有利に働く。
そこで、本発明者は、カメラにより撮影した画像処理対象の画像処理を行う際に、該画像処理対象と背景との良好なコントラストを得ることができるようにするため、あるいは、上記画像処理対象の良好な画像濃度の分散値を得ることができるようにするための照明装置の照度を探索するのに要する時間を短縮するための工夫、研究を重ねた。その結果、カメラにより撮影した画像処理対象の画像濃度の分散値や、撮影した画像処理対象の背景とのコントラストは、照明装置の照度の一段階変化当たりの変化量(感度)が該照明装置の照度が最適な照度に近づくに連れて次第に小さくなるという特性を有しており、この特性を利用することで、上記照明装置の照度を一段階変化させることに伴って生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値やコントラストの変化量(感度)の大小を基に、上記照明装置の照度が最適な照度に近い照度になっているか否かを判断でき、したがって、照明装置の照度を一段階変化させたときの上記画像濃度の分散値やコントラストの変化量(感度)の大小と、そのときの照明装置の照度を最適な照度に近づけるために必要とされる該照明装置における照度の制御量の大小とに相関関係があることを見出して、本発明をなした。
したがって、本発明の目的とするところは、カメラにより撮影した画像処理対象の画像処理を行う際に、該画像処理対象と背景との良好なコントラスト、又は、画像処理対象の良好な画像濃度の分散値を得るために必要とされる照明装置の照度を探索するのに要する時間を短縮できて、照明装置の照度の調整を速やかに行うことができる照明制御方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から、照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出し、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求めて、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返すようにし、更に、算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する照明制御方法とする。
又、請求項2に対応して、画像処理対象を照明するための照明装置と、該照明装置により照明された画像処理対象のカメラによる撮影画像中における上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストを算出する画像処理装置と、該画像処理装置より上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの算出結果が入力される制御器を備え、且つ上記制御器を、画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する機能と、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求め、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返す機能と、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する機能を備えてなるものとした構成を有する照明制御装置とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から、照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出し、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求めて、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返すようにし、更に、算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する照明制御方法、及び、画像処理対象を照明するための照明装置と、該照明装置により照明された画像処理対象のカメラによる撮影画像中における上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストを算出する画像処理装置と、該画像処理装置より上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの算出結果が入力される制御器を備え、且つ上記制御器を、画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する機能と、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求め、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返す機能と、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する機能を備えてなるものとした構成を有する照明制御装置としてあるので、カメラにより撮影した画像処理対象の画像処理を行う際に背景より該画像処理対象の検出を良好に行うことが可能になる画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストが得られる画像処理用の照明設定値を速やかに求めることができる。
(2)したがって、画像処理対象の良好な画像濃度の分散値又はコントラストを得るために必要とされる照明装置の照度を探索するのに要する時間を、照明設定値を一段階ずつ変化させる場合に比して大幅に短縮できて、照明装置の照度の調整を速やかに行うことができる。
(3)よって、上記照明装置の照度調整が、印刷装置では印刷速度の高速化を図る場合の制限となる虞や、製品の大量生産を行う場合の生産速度に影響する虞を未然に防止するのに有利な構成とすることができる。
本発明の照明制御方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。 図1の照明制御装置の制御器における処理手順のフローを示す図である。 図1の照明制御装置の照明装置の照明設定値をxとし、画像処理対象の画像濃度の分散値をyとして、両者の相関関係を示す概要図である。 図1の照明制御装置における照明装置の照明設定値を一段階変化させたときに得られる画像処理対象の画像濃度の分散値の変化量と、上記照明装置の照明設定値を最適照度設定値に近づけるためにその後必要とされる照明制御量との相関関係の傾向の概要を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は本発明の照明制御方法及び装置の実施の一形態を示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、本発明の照明制御装置のシステム構成は、図1に示すように、画像処理対象(撮影対象)1を撮影するためのカメラ2と、該カメラ2の撮影個所を照明するための照明装置3と、該照明装置3に電力を供給する照明用電源4と、上記カメラ2により撮影した上記画像処理対象1の画像を基にカメラ2の撮影画像中における該画像処理対象1の画像濃度の分散値yを算出する画像処理装置5と、該画像処理装置5より入力される上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの算出値に応じて上記照明用電源4へ照明設定値xの制御指令を、たとえば、8bit(0−255)の分解能で与えて、照明用電源4より照明装置3へ上記255段階の分解能の照明設定値xに応じた電力供給を行わせることで、上記照明装置3より画像処理対象1に対して行う照明の照度を上記照明設定値xに応じて変化させるための制御器6を備えた構成とする。
ここで、上記制御器6における制御の内容に即して本発明の照明制御方法について詳述する。
すなわち、本発明者の得た知見によれば、通常、上記カメラ2により撮影した画像処理対象1の画像濃度の分散値yと、上記照明装置3の照明設定値xとの間には、図3にその概要を示す如き相関関係があり、最適な画像処理対象1の画像濃度の分散値yが得られる照度となるときの照明装置3の照明設定値(以下、最適照明設定値と云う)をXoとすると、上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yは、上記照明装置3の照明設定値xが最適照明設定値Xoに一致するときにピーク値Yoを取るほぼ山型のグラフとなる。更に、照明設定値xを0−255の分解能のうちの或る照明設定値xより一段階変化させて照明装置3の照度を変化させるときに、上記或る照明設定値xの上記最適照明設定値Xoから照度不足側(図上左側)及び照度過剰側(図上右側)へのずれが大きい場合は、該照明設定値xの一段階変化に伴う上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が大きく、上記或る照明設定値xが上記最適照明設定値Xoに近付くに連れて、該照明設定値xの一段階変化当たりの上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が次第に小さくなるという特性がある。
したがって、上記照明装置3の照明設定値xを、所要の照明設定値xより一段階変化させたときに、画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が大きい場合は、そのときの照明設定値xの最適照明設置値Xoからのずれ量が大きいと判断でき、一方、画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が小さい場合は、そのときの照明設定値xの最適照明設置値Xoからのずれ量が小さいと判断できる。
更に、所要の照明設定値xを、照度を増加させる方向(図では右方向)に一段階変化させたときに、画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)が正の値となる場合(画像濃度の分散値yが増加する場合)は、そのときの照明設定値xが最適照明設定値Xoよりも小さいと判断でき、一方、上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)が負の値となる場合(画像濃度の分散値yが減少する場合)は、そのときの照明設定値xが最適照明設定値Xoよりも大きくなっていると判断できる。
よって、照明設定値xを1回に変化させる量を照明制御量cとすると、所要の照明設定値xを最適照明設定値Xoに近づけるためには、上記所要の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)が正の値となる場合は、照明制御量cも正の値として照明設定値xを増加させるようにすればよく、一方、上記所要の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)が負の値となる場合は、照明制御量cも負の値として照明設定値xを減少させるようにすればよい。
しかも、上記したように、照明設定値xを一段階プラス方向に変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値の大小が、そのときの照明設定値xの最適照明設定値Xoのずれ量の大小に対応しているのであるから、上記所要の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が大きい場合は、上記照明制御量cの絶対値も大きく設定することで、そのときの照明設定値xの最適照明設定値Xoからの大きなずれ量を一度に解消でき、一方、上記所要の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が小さい場合は、上記照明制御量cの絶対値を小さく設定すれば、そのときの照明設定値xの最適照明設定値Xoとの小さいずれ量を細かく補正することができるようになる。
したがって、所要の照明設定値xを速やかに且つ適切に最適照明設定値Xoに近づけるための照明制御量cは、図4にその概要を示す如く、所要の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させた場合に得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)に対し、正の相関の傾向を有するように設定すればよいこととなる。
なお、カメラ2により撮影した画像処理対象1の画像処理を行って、該画像処理対象1の検出を良好に行うためには、通常、該画像処理対象1の画像濃度の分散値yが、ある一定の基準値、たとえば、図3における基準値Ys以上であればよく、必ずしも、上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yのピーク値Yoである必要はない。
以上の点に鑑みて、上記制御器6は、予め、上記図4に示した如き照明制御量cと、照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させた場合に得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)との相関関係の傾向を示すグラフを蓄積して備えてなる構成とする。なお、図4に示した照明設定値xの照度増加方向への一段階変化当りに対する上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)と、照明制御量cとの正の相関の傾向は、画像処理対象1を撮影するカメラ2と照明装置3との位置関係や、使用するカメラ2や照明装置3の特性等、種々の要因により変化するため、上記照明装置3の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させたときに得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)と、そのときの照明設定値xの最適照明設定値Xoからのずれを解消させるための照明制御量cとの正の相関の傾向を実験データで大まかに求めて、グラフを設定しておくようにすればよく、この際、上記グラフは、必ずしも図4に示したような直線とならずに途中で傾きが変化するものであってもよい。
上記制御器6よる具体的な制御手順は、図2のようにしてある。
すなわち、上記制御器6では、先ず、照明装置3の仮の照明設定値Xnを設定し、それに基づく制御指令を照明用電源4へ与えることで、照明装置3により上記仮の照明設定値Xnに応じた照度で画像処理対象1の照明を行わせる(ステップ1:S1)。
次に、上記制御器6は、上記仮の照明設定値Xnを照度を増加させる方向へ一段階変化させた照明設定値Xn+1に基づく制御指令を照明用電源4へ与えることで、照明装置3による画像処理対象1に対する照明の照度を、上記仮の照明設定値Xnに応じた照度から照度増加方向一段階変化分に応じて変化させ(ステップ2:S2)、このとき生じる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)を算出する(ステップ3:S3)。
次いで、上記ステップ3(S3)で算出された仮の照明設定値Xnより照度増加方向一段階変化に伴う画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値が、予め設定してある基準値εよりも小さくなっているか否か、すなわち、条件式(|Δy/Δx|<ε)が満たされているか否かを判断する(ステップ4:S4)。
なお、上記基準値εは、前述したように或る照明設定値xを一段階変化させて照明装置3の照度を変化させるときに、上記或る照明設定値xが最適照明設定値Xoに近付いていれば、照明設定値xの一段階変化当たりの上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の絶対値は小さくなるという特性に鑑みて、所定の値に定めるようにしてあるものとする。
上記ステップ4(S4)において、上記条件式(|Δy/Δx|<ε)が満たされていない場合は、ステップ5(S5)へ進んで、上記ステップ3(S3)で算出された仮の照明設定値Xnより照度増加方向への一段階変化に伴う画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の値を基に、図4の照明設定値xを照度増加方向へ一段階変化させた場合に得られる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)と、照明制御量cとの相関関係の傾向を示すグラフから導かれる照明制御量cを、その時点で設定されている仮の照明設定値Xnに足しこんで仮の照明設定値Xnを更新する。
その後は、上記ステップ5(S5)で更新された新たな仮の照明設定値Xnに基づいてステップ2(S2)からステップ4(S4)までの処理を行い、該ステップ4(S4)にて上記条件式(|Δy/Δx|<ε)が満たされていると判断されるようになるまでの間は、ステップ5(S5)で図4のグラフから導かれる照明制御量cに応じて、仮の照明設定値Xnを順次更新しながら、ステップ2(S2)からステップ4(S4)までの処理を順次繰り返して行うようにする。
上記ステップ4(S4)で、上記条件式(|Δy/Δx|<ε)が満たされていると判断される場合は、上記制御器6では、ステップ6(S6)へ進んで、その時点で設定されている仮の照明設定値Xnの値を、画像処理用の照明設定値xとして設定して、照明用電源4へ制御指令を与えるようにしてある。これにより、画像処理対象1を照明する照明装置3の照度が、上記画像処理用の照明設定値xに応じた照度に調整されるようになるため、上記画像処理対象1の画像処理を行うときに、該画像処理対象1の背景からの検出を良好に行うことができるようになる。
このように、本発明の照明制御方法及び装置によれば、仮の照明設定値Xnが与えられると、その仮の照明設定値Xnより照度を増加させる方向へ照明設定値xを一段階変化させることに伴って生じる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)の正負とその絶対値の大小を基に、該仮の照明設定値Xnを最適照明設定値Xo付近の値とするべく次に制御する照明制御量cの正負とその絶対値の大小を定めるようにしてあるため、最初に与えられる仮の照明設定値xが最適照明設定値Xoより大幅にずれている場合は、絶対値の大きな照明制御量cで最適照明設定値Xoに近づけることができると共に、仮の照明設定値Xnが最適照明設定値Xoに近付くにしたがって、照明制御量cの絶対値を小さくして仮の照明制御量Xnをより最適照明設定値Xoに近づけるように補正できる。このため、カメラ2により撮影した画像処理対象1の画像処理を行う際に背景より該画像処理対象1の検出を良好に行うことが可能になる図3における基準値Ys以上の画像濃度の分散値yが得られる画像処理用の照明設定値xを速やかに求めることができる。
したがって、本発明の照明制御方法及び装置によれば、照明設定値xを一段階ずつ変化させる場合に比して、画像処理対象1の良好な画像濃度の分散値yを得るために必要とされる照明装置3の照度を探索するのに要する時間を短縮できて、照明装置3の照度の調整を速やかに行うことができる。
よって、上記照明装置3の照度調整が、印刷装置では印刷速度の高速化を図る場合の制限となる虞や、製品の大量生産を行う場合の生産速度に影響する虞を未然に防止するのに有利な構成とすることができる。
上記実施の形態においては、カメラ2により撮影した画像処理対象1の画像処理を行う際に背景より該画像処理対象1の検出を良好に行うことが可能になる画像濃度の分散値yを得るための画像処理用の照明設定値xを求めるものとして説明したが、上記画像処理対象1の画像濃度の分散値yに代えて、画像処理対象1と背景との良好なコントラストを得るため画像処理用の照明設定値xを求める場合に適用してもよい。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図3ではカメラ2により撮影した画像処理対象1の画像濃度の分散値yと、上記照明装置3の照明設定値xの相関関係を示すグラフが、最適照明設定値Xoを中心として照度減少側と照度増加側で左右対象となる場合について示したが、必ずしも最適照明設定値Xoを中心として照度減少側と照度増加側で左右対象となっていなくてもよく、この場合は、制御器6において、図2におけるステップ4(S4)にて、|Δy/Δx|<εとなっているか否かの判断を行うことに代えて、(Δy/Δx)の値が、所定の絶対値が小さい正の値となる上限値と、所定の絶対値が小さい負の値となる下限値の間の範囲内にあるか否かを判断するようにすればよい。
制御器6では、図2のステップ2(S2)とステップ3(S3)で、仮の照明設定値Xnを照度増加側へ一段階変化させるときに生じる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)を算出するものとして示したが、仮の照明設定値Xnを照度減少側へ一段階変化させるときに生じる画像処理対象1の画像濃度の分散値yの変化量(Δy/Δx)を算出するようにしてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 画像処理対象
2 カメラ
3 照明装置
5 画像処理装置
6 制御器
x 照明設定値
Xn 仮の照明設定値
y 画像濃度の分散値
ε 基準値
c 照明制御量

Claims (2)

  1. 画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から、照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出し、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求めて、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返すようにし、更に、算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定することを特徴とする照明制御方法。
  2. 画像処理対象を照明するための照明装置と、該照明装置により照明された画像処理対象のカメラによる撮影画像中における上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストを算出する画像処理装置と、該画像処理装置より上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの算出結果が入力される制御器を備え、且つ上記制御器を、画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する機能と、該算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなっていない場合は、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の正負と絶対値の大小に基づいて、正の相関傾向となるように照明制御量の正負と絶対値の大小を求め、該求められた照明制御量で上記仮の照明設定値を更新して、上記画像処理対象に照明装置より仮の照明設定値に基づく照度の照明を当てた状態から照明設定値を一段階変化させたときに生じる上記画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量を算出する処理を繰り返す機能と、上記算出された画像処理対象の画像濃度の分散値又はコントラストの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さくなると、その時点での仮の照明設定値を画像処理用の照明設定値に設定する機能を備えてなるものとした構成を有することを特徴とする照明制御装置。
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