JP2011101595A - 永久磁石埋込型モータの回転子 - Google Patents

永久磁石埋込型モータの回転子 Download PDF

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Abstract

【課題】極間部の磁束密度波形の高調波成分を低減して、誘起電圧の高調波、コギングトルクを低減できる永久磁石埋込型モータの回転子を提供する。
【解決手段】この発明に係る永久磁石埋込型モータの回転子は、複数枚の電磁鋼板を積層して形成される回転子鉄心と、この回転子鉄心の軸方向に形成され、軸心を中心とする略正多角形の各辺に対応する部位に形成された永久磁石挿入穴と、この永久磁石挿入穴に挿入される永久磁石と、永久磁石挿入穴の外周鉄心部に形成され、永久磁石挿入穴に沿って離隔配置された複数個のスリットと、このスリットの径方向外側端と回転子鉄心の外周との間に設けられ、径方向の幅が磁極中心から極間部に向けて徐々に広くなる外側薄肉部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図4

Description

この発明は、永久磁石埋込型モータの回転子に関するもので、特に永久磁石挿入穴に沿って設けられるスリット形状に関する。
電機子反作用磁束を軽減すると共に、外周部鉄心の磁束分布を改善することにより、騒音や振動の少ない高効率な永久磁石電動機を提供するために、回転子鉄心中にその軸心を中心とする略正多角形の各辺に対応する部位に形成された永久磁石収容孔と、この磁石収容孔にそれぞれ挿入された永久磁石と、永久磁石収容孔の外周部鉄心に形成され、径方向に細長く、かつ、永久磁石収容孔に沿って離隔配置された4個以上のスリット孔とを備え、スリット孔の径方向外側端のピッチを略等しくし、径方向内側端のピッチを永久磁石の中央部を大きくし、中央部から端部に離れるに従って小さくした永久磁石電動機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−94968号公報 特開2006−81338号公報 特開2005−245148号公報 特開2003−189518号公報
前記特許文献1に記載された永久磁石電動機の回転子のスリット孔形状は、径方向外側端のピッチを略等しくし、径方向内側端のピッチを永久磁石の中央部を大きくし、中央部から端部に離れるに従って小さくすることにより、誘起電圧の高調波を低減していた。しかし、スリット孔の形状が複雑となり加工費が増加する。また、スリット孔の径方向外側端と回転子鉄心の外周との間の薄肉部を均一、または磁極中央部の薄肉部を広くして、誘起電圧高調波を低減しているが、極間部のスリット孔を広くしていないため、誘起電圧の高調波成分を低減できていない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、極間部の磁束密度波形の高調波成分を低減して、誘起電圧の高調波、コギングトルクを低減できる永久磁石埋込型モータの回転子を提供することを目的とする。
この発明に係る永久磁石埋込型モータの回転子は、複数枚の電磁鋼板を積層して形成される回転子鉄心と、この回転子鉄心の軸方向に形成され、軸心を中心とする略正多角形の各辺に対応する部位に形成された永久磁石挿入穴と、この永久磁石挿入穴に挿入される永久磁石と、永久磁石挿入穴の外周鉄心部に形成され、永久磁石挿入穴に沿って離隔配置された複数個のスリットと、このスリットの径方向外側端と回転子鉄心の外周との間に設けられ、径方向の幅が磁極中心から極間部に向けて徐々に広くなる外側薄肉部とを備えたことを特徴とする。
この発明に係る永久磁石埋込型モータの回転子は、スリットの外側薄肉部が磁極中心から極間部に向けて徐々に広くなることにより、極間部の磁束密度波形の高調波成分が低減でき、誘起電圧の高調波、コギングトルクを低減することが可能である。
比較のために示す一般的な永久磁石埋込型モータの回転子を示す図で、打ち抜き後の電磁鋼板1の平面図。 比較のために示す一般的な永久磁石埋込型モータの回転子を示す図で、回転子2の斜視図。 比較のために示す一般的な永久磁石埋込型モータの回転子を示す図で、回転子2の断面図。 実施の形態1を示す図で、電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図。 実施の形態1を示す図で、回転子2表面の1極分の磁束密度分布を従来のものと比較した図。 実施の形態1を示す図で、電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態1を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。 実施の形態2を示す図で、電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図。 実施の形態2を示す図で、電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図。 実施の形態2を示す図で、電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図。 実施の形態2を示す図で、回転子2の永久磁石6付近の部分平面図。
実施の形態1.
図1乃至図3は比較のために示す一般的な永久磁石埋込型モータの回転子を示す図で、図1は打ち抜き後の電磁鋼板1の平面図、図2は回転子2の斜視図、図3は回転子2の断面図である。
図1に示す、一般的な永久磁石埋込型モータ(4極)の回転子に使用する打ち抜き後の電磁鋼板1は、電磁鋼板1中にその軸心を中心とする略正四角形(正多角形の一例)の各辺に対応する部位に形成された永久磁石挿入穴1aと、永久磁石挿入穴1aの外周部鉄心に形成され、径方向に細長く、かつ、永久磁石挿入穴1aに沿って離隔配置された複数個(図1では6個)のスリット1bとを備える。また、電磁鋼板1の中央部に、シャフト挿入穴1cが形成されている。電磁鋼板1の素材は、例えば、板厚0.35〜0.5mmの無方向性電磁鋼板である。
図2により、回転子2の構成を説明する。図1の電磁鋼板1を所定枚数積層して、所定幅の回転子鉄心2aを形成する。永久磁石挿入穴1aに、例えば、希土類磁石で構成される永久磁石を挿入後、端板3を回転子鉄心2aの軸方向両端面に装着し、リベット4で固定する。そして、シャフト挿入穴1cに、シャフト5を圧入や焼嵌等により嵌合する。このようにして、回転子2が完成する。
図3は回転子2の断面図である。永久磁石挿入穴1aに永久磁石6が挿入されている。永久磁石6の中心と、永久磁石挿入穴1aの磁極中心が略一致するように永久磁石6は配置される。永久磁石挿入穴1aの外周部鉄心に、スリット1bが径方向に細長く、かつ、永久磁石挿入穴1aに沿って離隔配置されている。図3では、1極当たり6個のスリット1bがある。そして、スリット1bは、磁極中心の左右に3個ずつ対称に配置される。スリット1bの径方向外側端と回転子鉄心2aの外周との間の外側薄肉部1d、及びスリット1bの径方向内側端と永久磁石挿入穴1aとの間の内側薄肉部1eは、全てのスリット1bにおいて均一になっている。
一般的に、スリット1bの外側薄肉部1d、内側薄肉部1eは、磁束の漏れを抑制したり、高調波を低減するために、加工可能な最小の幅により形成されることが多い。一般的に積層電磁鋼板の厚み(0.35〜0.5mm)が、加工可能な最小寸法である。しかし、スリット1bの外側薄肉部1d、内側薄肉部1eが均一であると、外側薄肉部1dが磁気飽和し、ギャップ(ステータ(図示せず)と回転子2との間の隙間)の磁束密度波形に高調波が含まれてしまう。そのため、ステータの誘起電圧の高調波成分の増加、コギングトルクの悪化へとつながる。
図4乃至図12は実施の形態1を示す図で、図4は電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図、図5は回転子2表面の1極分の磁束密度分布を従来のものと比較した図、図6は電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図、図7乃至図12は回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。
図4に示すように、永久磁石挿入穴1aの外周鉄心部に沿って、径方向に細長く、離隔配置されるスリット1bの外側薄肉部1dの幅を、極中心側からd1、d2、d3とする。尚、このスリット1bの外側薄肉部1dの幅は、極中心に対して左右対称である。本実施の形態では、d1、d2、d3が次式を満たすことを特徴とする。
d1<d2<d3 (1)
即ち、磁極中心から極間部に向けて、スリット1bの外側薄肉部1dの幅を徐々に大きくする。このように構成することにより、極間部付近の磁束密度の高調波を低減することができる。尚、スリット1bの外側薄肉部1dの幅は、極中心に対して非対称にしても同様の効果があリ、かつ、スキューの効果もある。
スリット1bの外側薄肉部1dの幅を、(1)式のように変化させることにより、回転子表面の磁束密度がどのようになるか解析した。結果を図5に示す。比較のために、従来の一般的な、スリット1bの外側薄肉部1dの幅が均一な回転子(図3の回転子)のデータも示す。図5の実線が図3の回転子の磁束密度であり、破線が本実施の形態(図4の電磁鋼板1を用いる回転子、)の磁束密度である。尚、図5に示す磁束密度は、1極分である。また、電気角0[deg]、180[deg]が極間部、電気角90[deg]が磁極中心に対応する。
図5に示すように、各磁束密度波形には、高調波が含まれるが、本実施の形態(図4の回転子)は、従来の図3の回転子よりも、正弦波に近づくことが解る。そのため、本実施の形態(図4の回転子)は、従来の図3の回転子よりも、ステータの誘起電圧の高調波成分、コギングトルク、高調波鉄損、トルクリップルが低減する。
図6は変形例で、磁極中心に対して最も遠い、極間部に最も近いスリット1bの外側薄肉部1dの幅を、他のスリット1bの外側薄肉部1dの幅よりも大きくし、その他のスリット1bの外側薄肉部1dの幅は均一にしたものである。即ち、式で示すと、次式のようになる。
d1=d2<d3 (2)
回転子2から発生する磁束はスリット1bなしの状態では矩形波状となる。スリット1bを設けることにより正弦波状の波形に近づく。また、ステータの誘起電圧は磁束の時間変化により発生するため、磁束の急激な変化をなくすことにより、誘起電圧の高調波成分を低減することができる。永久磁石埋込型モータの回転子2において、磁束の変化が一番大きいところは極間部であり、極間部付近の磁束の変化を滑らかにすることが、誘起電圧の高調波成分を低減するのに大きな効果がある。つまり、図6のように、極間部に一番近いスリット1bの外側薄肉部1dを他のスリット1bよりも広げることにより、外側薄肉部1dの磁気飽和による磁束密度の急激な変化がなくなるため、ステータの誘起電圧の高調波成分を低減することができる。
図7に示すように、永久磁石6の周方向の長さは、永久磁石挿入穴1aの周方向の長さよりも短い。そして、永久磁石6は、永久磁石挿入穴1aの略中心に配置されるので、永久磁石6の両端に、永久磁石6が存在しない部分ができる。この永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在しない部分の外周鉄心部にスリット1bを設けると、このスリット1bにより永久磁石6が発生する磁束を調整することができる。そして、スリット1bの外側薄肉部1dを磁極中心から極間部に向けて徐々に広げることによっても(d1<d2<d3)、極間部に流れ込む磁束の量を調整することができるため、両者によりさらにステータの誘起電圧の高調波、コギングトルク、振動、トルクリプルを低減することができる。
図8は図7の変形例であり、極間部に近いスリット1bの外側薄肉部1dの幅を、他のスリット1bの外側薄肉部1dの幅より広くしている。極間部に一番近いスリット1bよりも永久磁石6が磁極中心部側に存在する時は(永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在しない部分の外周鉄心部にスリット1bを設ける)、極間部に流れ込む磁束の量を調整しているのは、ほぼ外側のスリット1bのみである。また、前述したように、極間部の磁束がステータの誘起電圧の高調波に与える影響が大きい。そのため、極間部に一番近いスリット1bの外側薄肉部1dのみを広くしても、図7のものと同様の効果を奏する。
図9は、図8の変形例であり、磁極中心部から最も遠い、極間部に最も近いスリット1bと永久磁石挿入穴1aとを連通させている。そのスリット1bは、永久磁石挿入穴1aの永久磁石6の存在しない部分と連通している。連通させる前は、外側薄肉部1dと内側薄肉部1eとの二箇所に薄肉部が存在したが、連通させることにより、薄肉部は外側薄肉部1dの一箇所となる。他のスリット1bの外側薄肉部1dの幅は、図9では均一であるが、図7のように磁極中心から極間に向けて徐々に広くなるものでもよい。
極間部に一番近いスリット1bにより、極間部に流れ込む磁束量を調整可能であるが、薄肉部が加工可能な最小寸法よりも小さくできないため、連通していない時のスリット1bの両薄肉部(外側薄肉部1d、内側外側薄肉部1e)を最小寸法にしても、極間部への流れ込む磁束量が多すぎる場合がある。極間部に一番近いスリット1bと永久磁石6が存在しない永久磁石挿入穴1aを連通させることにより、薄肉部が外側薄肉部1dの一箇所となるため、極間部への流れ込む磁束量の調整幅が大きくなり、永久磁石6の幅、材質に合ったスリット1bの形状を選択できる幅が広がる。
また、今まで電磁鋼板1のスリット1bを金型により打ち抜く際には、永久磁石挿入穴1aとスリット1bとの内側薄肉部1eが小さいため、他の部分とは別工程により製作していた。図9のような形状(極間部に最も近いスリット1bと永久磁石挿入穴1aとが連通する)にすることにより、外側のスリット1bと永久磁石挿入穴1aを同時に打ち抜くことが可能であり、回転子2の製造工程が少なくなり、打ち抜きコスト、金型費用の低減が可能である。
図10は図9において、極間部に最も近いスリット1b以外のスリット1bも永久磁石挿入穴1aと連通させ、さらに連通部の幅(w2)をスリット1bの幅(w1)より小さくした例である。図10に示すように、永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在する部分の外周鉄心部のスリット1bも永久磁石挿入穴1aと連通させると、そのスリット1bの薄肉部が外側薄肉部1dの一箇所となり、図9と同じ理由で、磁束量の調整幅が広がるため、誘起電圧の高調波を低減するために選択できる薄肉部の形状の幅が広がる。
但し、永久磁石6が存在することにより、永久磁石6が空気と直接触れるため、永久磁石6のパーミアンスが低下し、磁力の低下、減磁耐力の低下を招く。そこで、永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在する部分とスリット1bとを連通させる部分の幅を、スリット1bの幅よりも狭くすることで、永久磁石6のパーミアンスの低下を防ぐことができる。また、永久磁石挿入穴1aとスリット1bが一体構造となるため、加工性が向上し、打ち抜きコスト、金型の費用削減の低減が可能である。
図11は図10の変形例で、永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在する部分と連通するスリット1bの形状を台形(楔状)にしたものである。連通部の幅(w2)が、スリット1bの径方向外側端の幅(w1)より小さい。このような形状にしても、図10の回転子2と同様の効果を奏する。
図12に示す回転子2は、永久磁石6を永久磁石挿入穴1aの略中心に位置決めするための永久磁石位置決め突起7を設けたものである。永久磁石位置決め突起7は、永久磁石挿入穴1aの両端部付近に設けられる。磁極中心線と永久磁石位置決め突起7の中心との距離をA、極間部に最も近く、永久磁石挿入穴1aに連通するスリット1bの磁極中心側の端と磁極中心線との距離をB、永久磁石挿入穴1aに連通するスリット1bの極間部側の端と磁極中心線との距離をCとする。
永久磁石挿入穴1aに対して、永久磁石6の幅が狭いときは、永久磁石6の位置決めを行うため、永久磁石位置決め突起7や段差を追加する必要がある。しかし、永久磁石位置決め突起7を追加することにより、その部分の永久磁石挿入穴1aの径方向の幅が狭くなり、磁束の漏れが大きくなる。
そこで、磁極中心線と永久磁石位置決め突起7の中心との距離Aが、永久磁石挿入穴1aに連通するスリット1bの磁極中心側の端と磁極中心線との距離Bと、永久磁石挿入穴1aに連通するスリット1bの極間部側の端と磁極中心線との距離Cとの間に収まるように、永久磁石位置決め突起7を配置する。つまりB<A<Cとすることにより、永久磁石位置決め突起7により永久磁石挿入穴1aの径方向の幅が狭くなる部分を少なくすることが可能となり、磁束の漏れが小さくなり、誘起電圧の低下を防ぐことができる。
B<A<Cを満たしても、永久磁石位置決め突起7の周方向の幅が、スリット1bの周方向の幅に対し無視できない程度の大きさの場合は、永久磁石位置決め突起7により永久磁石挿入穴1aの径方向の幅が狭くなる部分ができる。従って、永久磁石位置決め突起7の全体が、永久磁石挿入穴1aに連通するスリット1bの周方向の幅内に収まるように、永久磁石位置決め突起7の周方向の幅及び位置とするのが好ましい。
本実施の形態は、回転子2の径が小さい場合や、多極化により、スリット1bの形状を複雑化できない時に特に有効であり、スリット1bの幅、間隔が一定にしなければならない時に適用すると、特に効果がある。
実施の形態2.
図13乃至図16は実施の形態2を示す図で、図13乃至図15は電磁鋼板1の永久磁石挿入穴1a付近の部分平面図、図16は回転子2の永久磁石6付近の部分平面図である。
図13に示すように、永久磁石挿入穴1aの外周鉄心部に沿って、径方向に細長く、離隔配置されるスリット1bの内側薄肉部1eの幅を、極中心側からD1、D2、D3とする。尚、このスリット1bの内側薄肉部1eの幅は、極中心に対して左右対称である。本実施の形態では、D1、D2、D3が次式を満たすことを特徴とする。
D1<D2<D3 (3)
即ち、磁極中心から極間部に向けて、スリット1bの内側薄肉部1eの幅を徐々に大きくする。尚、スリット1bの外側薄肉部1dの幅は、極中心に対して非対称にしても同様の効果があリ、かつ、スキューの効果もある。
図13の電磁鋼板1を用いると、回転子2が小さい場合、または多極化した場合に有利である。スリット1b間の間隔が狭く、また、打ち抜き精度からスリット1bを移動できないときに、極間部に流れ込む磁束量をスリット1bの内側薄肉部1eにて調整するものである、図13のように、磁極中心から極間部に向けて徐々に内側薄肉部1eを広くすることにより、磁極中心から極間部に向けて磁束量が徐々に変化し、回転子2表面の磁束密度分布が正弦波状に近づき、ステータの誘起電圧の高調波成分、コギングトルクの低減が可能である。
また、図14に示すように、磁束密度の変化が激しい極間部付近の磁束量を調整するため、磁極中心に対して最も遠い、極間部に最も近いスリット1bの内側薄肉部1eの幅を、他のスリット1bの内側薄肉部1eの幅よりも大きくし、その他のスリット1bの内側薄肉部1eの幅は均一にしたものである。即ち、式で示すと、次式のようになる。
D1=D2<D3 (4)
磁束の変化の激しい極間部に最も近いスリット1bの内側薄肉部1eの厚さを他のスリット1bの内側薄肉部1eの厚さより広くしても、ステータの誘起電圧の高調波成分、コギングトルクを低減できる。
図15は図14の変形例で、極間部に最も近いスリット1bの外側薄肉部1dを除き、外部に連通させている。
極間部に一番近いスリット1bにより、極間部に流れ込む磁束量を調整可能であるが、薄肉部が加工可能な最小寸法よりも小さくできないため、連通していない時のスリット1bの両薄肉部(外側薄肉部1d、内側薄肉部1e)を最小寸法にしても、極間部への流れ込む磁束量が多すぎる場合がある。極間部に一番近いスリット1bを外部と連通させることにより、薄肉部が内側薄肉部1eの一箇所となるため、極間部への流れ込む磁束量の調整幅が大きくなり、永久磁石6の幅、材質に合ったスリット1bの形状を選択できる幅が広がる。
図16は、磁極中心に対して最も遠いスリット1bを永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在しない部分の外周鉄心部に配置した回転子2の永久磁石6付近の断面図である。図16に示すように、磁極中心に対して最も遠いスリット1bを永久磁石挿入穴1aの永久磁石6が存在しない部分の外周鉄心部に配置することにより、永久磁石6から極間部へ流れる磁束がすべて磁極中心に対して最も遠いスリット1bの内側薄肉部1eを通る。極間部の磁束が誘起電圧の高調波に与える影響が大きいため、磁極中心に対して最も遠いスリット1bの内側薄肉部1eの幅を広げることにより、ステータの誘起電圧の高調波成分、コギングトルク、トルクリプルの低減をする事ができる。
また、実施の形態1と同様、本実施の形態でも、回転子2の径が小さい場合や、多極化により、スリット1bの形状を複雑化できない時に特に有効であり、スリット1bの幅、間隔が一定にしなければならない時に適用すると、特に効果がある。
尚、上記実施の形態1、2では、永久磁石6を、1極当たり1個の構成としたが、複数に分割して配置してもよい。例えば、2分割の場合は、V字形の配置となる。さらに、3分割の場合は、バスタブ形の配置となる。
実施の形態3.
実施の形態1又は実施の形態2の永久磁石埋込型モータの回転子2を、送風機用電動機に搭載することにより、騒音や振動の少ない高効率な送風機用電動機が得られる。
実施の形態4.
実施の形態1又は実施の形態2の永久磁石埋込型モータの回転子2を、圧縮機用電動機に搭載することにより、騒音や振動の少ない高効率な圧縮機用電動機が得られる。
1 電磁鋼板、1a 永久磁石挿入穴、1b スリット、1c シャフト挿入穴、1d
外側薄肉部、1e 内側薄肉部、2 回転子、2a 回転子鉄心、3 端板、4 リベット、5 シャフト、6 永久磁石、7 永久磁石位置決め突起。

Claims (5)

  1. 複数枚の電磁鋼板を積層して形成される回転子鉄心と、
    この回転子鉄心の軸方向に形成され、軸心を中心とする略正多角形の各辺に対応する部位に形成された永久磁石挿入穴と、
    この永久磁石挿入穴に挿入される永久磁石と、
    前記永久磁石挿入穴の外周鉄心部に形成され、前記永久磁石挿入穴に沿って離隔配置された複数個のスリットと、
    このスリットの径方向外側端と前記回転子鉄心の外周との間に設けられ、径方向の幅が磁極中心から極間部に向けて徐々に広くなる外側薄肉部とを備えたことを特徴とする永久磁石埋込型モータの回転子。
  2. 磁極中心から最も遠く、かつ極間部に最も近い前記スリットの前記外側薄肉部の径方向の幅を、他のスリットの前記外側薄肉部の径方向の幅よりも広くし、他のスリットの前記外側薄肉部の径方向の幅は略均一としたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石埋込型モータの回転子。
  3. 前記永久磁石挿入穴の前記永久磁石が存在しない部分の外周鉄心部に、前記磁極中心から最も遠く、かつ極間部に最も近い前記スリットを設けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の永久磁石埋込型モータの回転子。
  4. 前記磁極中心から最も遠く、かつ極間部に最も近い前記スリットと、前記永久磁石挿入穴とを連通させることを特徴とする請求項3記載の永久磁石埋込型モータの回転子。
  5. 前記永久磁石挿入穴の両端部付近に、前記永久磁石の周方向の位置決めとなる永久磁石位置決め突起を設け、この永久磁石位置決め突起を前記永久磁石挿入穴と連通する前記スリットの周方向幅内に収めたことを特徴とする請求項4記載の永久磁石埋込型モータの回転子。
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