JP2011099054A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進し、ポリ乳酸樹脂のより高い成型加工性や耐熱性を実現するのに好適な結晶核剤とポリ乳酸樹脂とを含む樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
ポリ乳酸樹脂と、式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩とを含有することを特徴とする、ポリ乳酸樹脂組成物。

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関し、より詳細には、ポリ乳酸樹脂とフェニルホスホン酸マンガン塩とを含有する樹脂組成物に関する。
自然環境保護の見地から、自然環境中で生分解可能な脂肪族ポリエステルに関する研究が精力的に行われている。中でもポリ乳酸樹脂は、融点が160〜180℃と高く、透明性に優れるため、例えば容器、フィルム等の包装材料、衣料、フロアマット、自動車用内装材等の繊維材料、及び電気・電子製品の筺体や部品等の成型材料として期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂は結晶化速度が遅いため、特に延伸が行われない射出成形等によって製造される場合、成形物は結晶化度が低くなりやすく、60℃前後のガラス転移温度を越えると軟化しやすくなるという欠点を有している。結晶化度を上げるために、射出成形時の金型温度を高くし、金型内での冷却時間を長くする方法が試みられているが、この方法では成形サイクルが長くなるために生産性に課題を有する。ポリ乳酸樹脂成形物を高い生産性で製造し、幅広い用途で利用するために、結晶化速度及び結晶化度を高め、成形加工性や耐熱性を改善する試みがなされている。
一般的にポリ乳酸樹脂の結晶化速度を高める方法としては、結晶核剤を添加する方法が知られている。結晶核剤とは、結晶性高分子の一次結晶核となり結晶成長を促進し、結晶サイズを微細化すると共に、結晶化速度を高める働きをする。ポリ乳酸樹脂の結晶核剤としては、特定の粒径以下のタルク又は窒化ホウ素からなる無機粒子(特許文献1)、特定の式で表されるアミド化合物(特許文献2)、特定の式で表されるソルビトール系誘導体(特許文献3)、及び特定の式で表されるリン酸エステル金属塩(特許文献4)などが開示されている。また、特定のホスホン酸化合物金属塩、具体的にはフェニルホスホン酸亜鉛が優れた性能を示すことが開示されている(特許文献5)。
特開平8−3432号公報 特開平10−87975号公報 特開平10−158369号公報 特開2003−192883号公報 国際公開2005/097894号パンフレット
前述したとおり、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度及び結晶化度を高めるために様々な結晶核剤が提案されているが、近年、ポリ乳酸樹脂のより高い成型加工性や耐熱性を実現するために、さらに有効な結晶核剤の開発が望まれている。
従って本発明の目的は、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進するのに好適な結晶核剤とポリ乳酸樹脂とを含む樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を進めた結果、ポリ乳酸樹脂に結晶核剤として特定のホスホン酸化合物のマンガン塩を添加することにより、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を高め、かつ耐熱性、成形加工性に優れたポリ乳酸樹脂組成物が得られることを
見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、第1観点として、ポリ乳酸樹脂と、式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩とを含有することを特徴とする、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基を表す。)
第2観点として、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、前記式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩を0.01乃至10質量部含有する、第1観点に記載のポリ乳酸樹脂組成物に関する。
第3観点として、式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩からなる結晶核剤に関する。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基を表す。)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、フェニルホスホン酸のマンガン塩を結晶核剤として用いることにより、ポリ乳酸樹脂の結晶化促進効果が向上されたものとなり、ひいては、耐熱性、成形加工性に優れたポリ乳酸樹脂組成物を提供することができる。
図1は、合成例1で製造したフェニルホスホン酸マンガン一水和物の薄桃色粉末の走査型顕微鏡(SEM)像を示す図である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、特定のフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩とポリ乳酸樹脂を含有することを特徴とする。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明において使用するフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩に用いるフェニルホスホン酸化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
上記式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物において、式中のR1及びR2は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1乃至10のアルキル基;メトキシカルボニ
ル基、エトキシカルボニル基等の炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基である。R1及びR2は同一でも又は相異なっていてもよい。
上記式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物の具体例としては、フェニルホスホン酸、4−メチルフェニルホスホン酸、4−エチルフェニルホスホン酸、4−n−プロピルフェニルホスホン酸、4−イソプロピルフェニルホスホン酸、4−n−ブチルフェニルホスホン酸、4−イソブチルフェニルホスホン酸、4−tert−ブチルフェニルホスホン酸、3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、3,5−ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸、2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、2,5−ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられる。
これら化合物は市販品をそのまま好適に使用できる。
本発明で用いられるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩の製造に用いるマンガン化合物としては特に限定されず、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、或いは酸化物、水酸化物等を使用できる。
上記化合物もまた、市販品をそのまま好適に使用できる。
フェニルホスホン酸化合物のマンガン塩を製造するには、まず前記フェニルホスホン酸化合物と前記マンガン化合物を、適当な媒体中で混合して反応させる。
ここで用いられる媒体としては特に限定されないが、反応効率の面から原料であるフェニルホスホン酸化合物が可溶であることが好ましい。また、最終的な生成物を回収することを考慮すると、フェニルホスホン酸マンガン塩が難溶である溶媒が好ましい。
このような溶媒としては、例えば水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これら溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、取扱いの容易さや経済性を考慮すると水を使用することがより好ましい。
上記反応において、前記フェニルホスホン酸化合物と前記マンガン化合物の仕込み量は、モル比で、前記フェニルホスホン酸化合物:マンガン化合物=2:1乃至1:100であることが好ましい。
上記反応の実際の手順としては、例えば原料となる上記マンガン化合物を含む溶液又はスラリーに、前記フェニルホスホン酸化合物の溶液を添加することによって行われる。ここでマンガン化合物を含む溶液若しくはスラリー、又はフェニルホスホン酸化合物の溶液に使用する溶媒としては前出の媒体が挙げられる。このとき、前記溶液又はスラリーを攪拌翼などで攪拌しながら滴下するのが好ましい。
このときの反応温度は、使用する溶媒の凝固点以上沸点以下であれば特に限定されないが、通常0乃至250℃の範囲から適宜選択される。例えば水中での反応であれば、0乃至100℃であり、好ましくは10乃至100℃である。なお、反応温度は生成されるフェニルホスホン酸マンガン塩の大きさに影響を及ぼし得る。すなわち、反応温度が高温になるほど、析出したフェニルホスホン酸マンガン塩の溶解度が高まることで、生成物(フェニルホスホン酸マンガン塩)の再溶解と再結晶化が起こりやすくなり、生成物のサイズが増大しやすい。このため、より粒子径の小さいフェニルホスホン酸マンガン塩を製造する場合には、上記反応の温度は30℃以下に保つことが望ましい。
また、前記反応を水性媒体中、特に水中で行う場合、反応混合物のpH域が酸性になると、生成されるフェニルホスホン酸マンガン塩の溶解度が高まり、上述の理由により生成物(フェニルホスホン酸マンガン塩)のサイズが増大しやすい。このため、より粒子径の小さいフェニルホスホン酸マンガン塩を製造する場合には、反応混合物に塩基を加え中和してもよい。
上記反応混合物を中和させる塩基としては特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができる。
具体的には例えばこれらの塩基の水溶液を上記式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物の水溶液と混合する、又は反応終了後の反応混合物に添加することによって実施される。
上記反応終了後、媒体を濾過もしくは留去した後、必要により溶媒で洗浄し、乾燥することにより、フェニルホスホン酸マンガン塩を得ることができる。なお得られるマンガン塩は未反応のフェニルホスホン酸化合物を含まないことが好ましい。
このときの乾燥温度としては、媒体の種類によって適宜選択でき、また、減圧条件を適用してもよい。
媒体として水を用いた場合、乾燥温度は常圧では100乃至500℃であることが好ましく、より好ましくは120乃至200℃である。100℃より低い温度では媒体(水)を除去しきれず、また500℃より高い温度では、フェニルホスホン酸マンガン塩の分解を誘発する虞がある。
上述の製造方法を経て得られるフェニルホスホン酸マンガン塩は、微小な板状形状を有する。その長軸長は0.05乃至1μmであり、好ましくは0.05乃至0.5μmである。
また、このようにして得られたフェニルホスホン酸マンガン塩は、必要に応じて、ホモミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサーなどの剪断力を有する混合機や、ボールミル、ピンディスクミル、パルベライザー、イノマイザー、カウンタージェットミルなどの粉砕機を用いて、さらに微小の形状とすることができる。また水、水と混合可能な有機溶媒及びこれらの混合溶液を用いたボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、アトライター、アルティマイザーなどの湿式粉砕機でもさらに微小な形状にすることができる。
なお、上記式(1)で表わされるフェニルホスホン酸のマンガン塩からなる結晶核剤も本発明の対象である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含まれるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマーを含む。ポリ乳酸樹脂がコポリマーの場合、コポリマーの配列様式はランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーのいずれであっても良い。また、ポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマーを主体とした、他樹脂とのブレンドポリマーであっても良い。他樹脂とは、後述するポリ乳酸樹脂以外の生分解性樹脂、汎用の熱可塑性樹脂、汎用の熱可塑性エンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
ポリ乳酸としては特に限定されるものではないが、例えばラクチドを開環重合させたものや、乳酸のD体、L体、ラセミ体などを直接重縮合させたものが挙げられる。ポリ乳酸の数平均分子量は、一般に10,000から500,000程度である。またポリ乳酸樹脂を熱、光、放射線などを利用して架橋剤で架橋させたものも使用できる。
またポリ乳酸樹脂以外の生分解性樹脂の例としては、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸の共重合体などのポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペ
ート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、変性でんぷん、酢酸セルロース、キチン、キトサン、リグニンなどが挙げられる。
汎用の熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンコポリマー、ポリブチレン(PB)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)又はポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などのポリスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
汎用のエンジニアリングプラスチックの例としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
上記ポリ乳酸樹脂組成物におけるフェニルホスホン酸マンガン塩の添加量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、無水物換算で0.01乃至10質量部であることが好ましい。より好ましくは0.02乃至5質量部、さらに好ましくは0.03乃至2質量部である。前記フェニルホスホン酸マンガン塩の添加量が0.01質量部未満ではポリ乳酸樹脂の結晶化速度を十分に高めることが困難になる。また10質量部を超えても結晶化速度の速いポリ乳酸樹脂が得られるが、それ以上結晶化速度が速くなるわけではない。
本発明において、ポリ乳酸樹脂にフェニルホスホン酸マンガン塩を配合する方法は特に制限されることなく、公知の方法によって行うことができる。例えばポリ乳酸樹脂とフェニルホスホン酸マンガン塩を各種ミキサーで混合し、単軸あるいはニ軸押出機などを用いて混練すればよい。混練は通常150〜220℃程度の温度で行われる。また、フェニルホスホン酸マンガン塩を高濃度で含有するマスターバッチを生成し、これをポリ乳酸樹脂に添加する方法も可能である。またポリ乳酸樹脂の重合段階で、フェニルホスホン酸マンガン塩を添加することもできる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、公知の無機充填剤を使用することができる。例えばガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、クレー、ウオラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの無機充填剤の形状は、繊維状、粒状、板状、針状、球状、粉末のいずれでもよい。これらの無機充填剤は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、300質量部以内で使用できる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、公知の難燃剤を使用することができる。例えば臭素系や塩素系などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン系難燃剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、シリコーン系化合物などの無機系難燃剤、赤リン、リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼンなどのリン系難燃剤、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、アルキルホスホン酸メラミン、フェニルホスホン酸メラミン、硫酸メラミン、メタンスルホン酸メラムなどのメラミン系難燃剤、PTFEなどのフッ素樹脂などが挙げられる。これらの難燃剤は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、200質量部以内で使用できる。
また上記の成分以外に、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、衝撃改良剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、離型剤、滑剤、可塑剤、相溶化剤、発泡剤、香料、抗菌抗カビ剤、シラン系、チタン系、アルミニウム系等の各種カップリング剤、その他の各種充填剤、その他の結晶核剤など、一般的な合成樹脂の製造時に通常使用される各種添加剤と併用することができる。
なお本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、一般の射出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形などの成形方法を適用することができ、これら成形を経て各種の成形品を容易に得ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
[合成例1]
撹拌機を装備した500mL反応フラスコに、塩化マンガン(II)四水和物[和光純薬工業(株)製 特級]19.8g(0.1mol)及び水248gを加え、撹拌することで塩化マンガン水溶液を調製した。この水溶液に、室温(およそ25℃)で撹拌下、フェニルホスホン酸[日産化学工業(株)製]15.8g(0.1mol)を水90gに溶解させた水溶液、及び5N水酸化ナトリウム水溶液40mL(0.2mol)の混合溶液をおよそ5分間で滴下した。滴下終了後、生成したスラリーを濾過し、結晶を水で十分に洗い流した。得られた湿品を200℃で12時間乾燥することで、薄桃色粉末のフェニルホスホン酸マンガン一水和物22.5gを得た(収率98%)。
得られたフェニルホスホン酸マンガン一水和物のSEM[日本電子(株)製 電界放出型走査電子顕微鏡 JSM−7400F]画像を図1に示す。
得られたフェニルホスホン酸マンガンのTG−DTA測定[(株)リガク製 ThermoPlus2/TG−DTA8120]を行った。測定は、室温(およそ25℃)から10℃/分で200℃まで昇温し、その後10℃/分で冷却した。その結果、昇温時170乃至200℃で水分子1個分に相当する約8%の重量減が観測され、冷却時およそ130℃から同程度の重量増加が観測された。このことより、乾燥直後のフェニルホスホン酸マンガンは無水物であるが、空気中で室温まで冷却すると速やかに一水和物となることが示唆された。
[合成例2]
撹拌機を装備した300mL反応フラスコに、酸化マンガン(II)[和光純薬工業(株)製]10.0g(0.14mol)及び水90gを加え、酸化マンガンの水スラリーを調製した。このスラリーに、室温(およそ25℃)で撹拌下、フェニルホスホン酸[日産化学工業(株)製]22.1g(0.14mol)を水125gに溶解させた水溶液をおよそ10分間で滴下した。そのまま5時間撹拌後、スラリーを濾過し、結晶を水で十分に洗い流した。得られた湿品を200℃で12時間乾燥することで、薄桃色粉末のフェニルホスホン酸マンガン一水和物24.4gを得た(収率76%)。
[比較合成例1]
撹拌機を装備した500mL反応フラスコに、塩化亜鉛[和光純薬工業(株)製]13.6g(0.1mol)及び水200gを加え、撹拌することで塩化亜鉛水溶液を調製した。この水溶液に、室温(およそ25℃)で撹拌下、フェニルホスホン酸[日産化学工業(株)製]15.8g(0.1mol)を水90gに溶解させた水溶液、及び5N水酸化ナトリウム水溶液40mL(0.2mol)の混合溶液をおよそ5分間で滴下した。滴下
終了後、生成したスラリーを濾過し、結晶を水で十分に洗い流した。得られた湿品を200℃で12時間乾燥することで、白色粉末のフェニルホスホン酸亜鉛20.8gを得た(収率94%)。
[比較合成例2]
撹拌機を装備した300mL反応フラスコに、酸化亜鉛[ハクスイテック(株)製 2種]10.0g(0.12mol)及び水90gを加え、酸化亜鉛の水スラリーを調製した。このスラリーに、室温(およそ25℃)で撹拌下、フェニルホスホン酸[日産化学工業(株)製]19.4g(0.12mol)を水110gに溶解させた水溶液をおよそ10分間で滴下した。そのまま5時間撹拌後、スラリーを濾過し、結晶を水で十分に洗い流した。得られた湿品を120℃で12時間乾燥することで、白色粉末のフェニルホスホン酸亜鉛25.5gを得た(収率96%)。
[実施例1]
ポリ乳酸樹脂[トヨタ自動車(株)製 トヨタエコプラスチック U’z S−09]100質量部を、クロロホルム1,900質量部に溶解させて、5質量%ポリ乳酸樹脂溶液を調製した。この溶液に、結晶核剤として合成例1で得られたフェニルホスホン酸マンガン一水和物1質量部を加えた後、30分間超音波処理[ガスクロ工業(株)(現:ジーエルサイエンス(株))製 大型超音波バス(150W)]し、続けて3時間撹拌、さらに再度30分間超音波処理を施すことで結晶核剤を溶液に分散させた。得られたポリ乳酸樹脂組成物をシャーレ上にキャストし、ホットプレート上50℃で溶媒を除去することで、結晶核剤が分散したポリ乳酸樹脂フィルムを得た。
このサンプルを小片に切り取り、DSC測定[(株)リガク製 ThermoPlus2/DSC8230]を行った。測定は、窒素気流下10℃/分で200℃まで昇温しそのまま5分間保持、その後5℃/分で冷却した。冷却時に観測されるポリ乳酸樹脂の結晶化に由来する発熱ピーク頂点の温度から、結晶化温度Tc、及び発熱量ΔHを測定した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、結晶核剤として合成例2で得られたフェニルホスホン酸マンガン一水和物を用いた以外は同様の操作、測定を行った。得られた結果を表1に合わせて示す。[比較例1]
実施例1において、結晶核剤として比較合成例1で得られたフェニルホスホン酸亜鉛を用いた以外は同様の操作、測定を行った。得られた結果を表1に合わせて示す。
[比較例2]
実施例1において、結晶核剤として比較合成例2で得られたフェニルホスホン酸亜鉛を用いた以外は同様の操作、測定を行った。得られた結果を表1に合わせて示す。
[比較例3]
実施例1において、結晶核剤を用いなかったこと以外は同様の操作、測定を行った。得られた結果を表1に合わせて示す。
表1に示すように、フェニルホスホン酸マンガン一水和物を用いた実施例1及び実施例2の樹脂組成物は、フェニルホスホン酸亜鉛を用いた比較合成例1及び比較合成例2と比べて高い結晶化温度並びに結晶化発熱量を示すとする結果が得られた。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸樹脂と、式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩とを含有することを特徴とする、ポリ乳酸樹脂組成物。
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基を表す。)
  2. ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、前記式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩を0.01乃至10質量部含有する、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 式(1)で表されるフェニルホスホン酸化合物のマンガン塩からなる結晶核剤。
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至10のアルコキシカルボニル基を表す。)
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