JP2011094508A - 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置 - Google Patents

可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011094508A
JP2011094508A JP2009247591A JP2009247591A JP2011094508A JP 2011094508 A JP2011094508 A JP 2011094508A JP 2009247591 A JP2009247591 A JP 2009247591A JP 2009247591 A JP2009247591 A JP 2009247591A JP 2011094508 A JP2011094508 A JP 2011094508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
exhaust
internal combustion
combustion engine
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009247591A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuki Iwatani
一樹 岩谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2009247591A priority Critical patent/JP2011094508A/ja
Publication of JP2011094508A publication Critical patent/JP2011094508A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

【課題】この発明は、可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置に関し、内燃機関の始動中に、着火性を悪化させることなくエンジン回転数を速やかに上昇させることを目的とする。
【解決手段】吸気弁の開弁特性を変更可能とする吸気可変動弁機構40と、排気弁の開弁特性を変更可能とする排気可変動弁機構42とを備える。始動時に初爆が発生した後に、内部EGRガス量が増えるように吸気弁の開き時期を進角させるとともに吸気弁のリフト量および作用角を大きくする。その後の始動中に、筒内壁温度が所定の壁温閾値よりも高い場合に、排気効率が高まるように排気弁の開き時期を進角させる。
【選択図】図3

Description

この発明は、可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、内燃機関用可変動弁機構の制御装置が開示されている。この従来の制御装置は、冷間始動時に初爆が発生すると、内燃機関の吸気系へ逆流する排気ガス量が初爆発生前に比して増加するように可変動弁機構を制御するようにしている。
特開2002−195059号公報 特開2005−220809号公報 特開2008−280996号公報 特開2006−307656号公報 特開2005−325692号公報
上述した特許文献1に記載の技術のように、初爆発生後に、吸気系へ逆流する高温の排気ガス量(すなわち、内部EGRガス量)を初爆発生前に比して増加させるようにすると、圧縮端温度が上昇し、燃料の着火性を向上させることができる。しかしながら、始動中にこのような制御を維持し続けると、内部EGRガス量の存在によって排気効率が低いままとなり、吸入空気量を十分に確保できないままとなる。その結果、始動中のエンジン回転数の上昇が遅れ、始動に要する時間が長くなることが懸念される。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関の始動中に、着火性を悪化させることなくエンジン回転数を速やかに上昇させ得る可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置であって、
排気弁の開弁特性を変更可能とする排気可変動弁機構および吸気弁の開弁特性を変更可能とする吸気可変動弁機構のうちの少なくとも前記排気可変動弁機構と、
内燃機関の始動中に、前記排気可変動弁機構および前記吸気可変動弁機構のうちの少なくとも前記排気可変動弁機構を用いて、内部排気再循環ガス量が増えるように正または負のバルブオーバーラップ期間を設定もしくは拡大するオーバーラップ設定手段と、
前記内燃機関の筒内壁温度を取得する壁温度取得手段と、
前記オーバーラップ設定手段により前記バルブオーバーラップ期間が設定もしくは拡大されている始動中において、前記筒内壁温度が所定の壁温閾値よりも高い場合に、前記排気可変動弁機構を用いて前記内燃機関の排気効率が高まるように前記排気弁の開弁特性を制御する排気効率向上制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段と、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記壁温閾値をより高い値に補正する壁温閾値補正手段と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段と、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御を停止する制御停止手段と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、
前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段を更に備え、
前記オーバーラップ設定手段は、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始される際に、当該オーバーラップ設定手段により設定もしくは拡大されていた前記バルブオーバーラップ期間を減少させるオーバーラップ低減手段と、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御を停止して、前記バルブオーバーラップ期間を再び設定もしくは拡大するオーバーラップ再設定手段と、を含むことを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が実行される際に、前記筒内壁温度が高いほど、燃料噴射量をより大きく減量する噴射量補正手段を更に備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記内燃機関の制御装置は、
前記排気可変動弁機構とともに前記吸気可変動弁機構を備えるものであって、
前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御の開始から所定時間を経過した後に前記内燃機関の始動が完了しない場合に、前記吸気可変動弁機構を用いて吸入空気量が減少するように前記吸気弁の開弁特性を制御する吸気弁制御手段を更に備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記吸気弁制御手段によって吸入空気量が減少させられる際に、前記筒内壁温度が高いほど、燃料噴射量をより大きく減量する噴射量補正手段を更に備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、第6または第7の発明において、
前記吸気弁制御手段は、前記所定時間を経過した後に前記内燃機関の始動が完了しない場合において吸入空気量を減少させる際に、空気過剰率が所定値以上となる範囲内において前記吸気弁の開弁特性を制御することを特徴とする。
第1の発明によれば、始動中に筒内壁温度が低い時には、内部排気再循環ガス量が増やされることにより、低温下での着火性を十分に確保することができる。そのうえで、本発明によれば、筒内壁温度が高くなってきたことで着火性が確保されてきたのを確認した後に、排気効率を高めるべく排気弁の開弁特性が制御される。このため、始動中に、着火性を悪化させることなく(すなわち、失火を抑制しつつ)エンジン回転数を速やかに上昇させることができる。
第2の発明によれば、排気効率を高めるべく排気弁の開弁特性を制御し始めた後に失火が生ずるのを抑制できるようになる。
第3の発明によれば、排気効率を高めた後に失火が生じた場合に、排気効率を高める制御が停止されることで、内部排気再循環ガス量が再び増加する方向に排気弁の開弁特性が変更されることになる。これにより、着火性が確保され易くなるので、失火状態から速やかに回復させることが可能となる。
第4の発明によれば、バルブオーバーラップ期間の減少を伴って排気効率を高めた後に失火が生じた場合に、バルブオーバーラップ期間が再び設定等される。これにより、着火性が確保され易くなるので、失火状態から速やかに回復させることが可能となる。
第5の発明によれば、筒内壁温度の上昇に合わせて始動中の燃料噴射量を減量することで、不要な燃料噴射を抑制することができる。
第6の発明によれば、排気効率が高まるように排気弁の開弁特性を制御し始めた後に所定時間が経過しても始動が完了しないような場合において、吸入空気量の減少によって筒内に吸入されたガスの圧縮ロスを低減させることで、始動性を向上させることができる。
第7の発明によれば、上記所定時間が経過しても始動が完了しないような場合において上記のように吸入空気量を減少させる際に、空気過剰率を良好に確保しつつ、不要な燃料噴射を抑制することが可能となる。
第8の発明によれば、上記所定時間が経過しても始動が完了しないような場合において、スモーク排出量を増やすことなく、早期に始動させられるようになる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 始動時における燃焼室壁温度(筒内壁温度)とエンジン回転数の変化を表した図である。 本発明の実施の形態1において始動中に用いられるバルブ制御A、B、Cを説明するためのリフトカーブである。 着火時および失火時のエンジン回転数の挙動を表した図である。 各気筒における着火(初爆)の有無を判定するために、ECUが実行するルーチンを示すフローチャートである。 始動中に筒内壁温度を逐次算出するために、ECUが実行するルーチンを示すフローチャートである。 始動性向上の目的で始動中に吸排気弁の開弁特性を制御するために、本発明の実施の形態1においてECUが実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1において始動中に用いられる吸排気弁の各バルブタイミングを表した図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3において始動中に用いられるバルブ制御Dを説明するためのリフトカーブである。 バルブ制御Dに与える制限、およびそのような制限を伴うバルブ制御Dとともに行われる燃料噴射量Qの制御を説明するためのタイムチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、圧縮着火式の内燃機関10を備えている。ここでは、圧縮着火式内燃機関の一例として、内燃機関10は、直列4気筒型のディーゼルエンジンであるものとする。
内燃機関10の各気筒には、燃料を筒内に直接噴射するインジェクタ12が設置されている。各気筒のインジェクタ12は、共通のコモンレール14に接続されている。図示しない燃料タンク内の燃料は、サプライポンプ16によって所定の燃圧まで加圧されて、コモンレール14内に蓄えられ、コモンレール14から各インジェクタ12に供給される。
内燃機関10の排気通路18は、排気マニホールド20により枝分かれして、各気筒の排気ポートに接続されている。本実施形態の内燃機関10は、ターボ過給機22を備えている。排気通路18は、ターボ過給機22の排気タービンに接続されている。また、排気通路18におけるターボ過給機22の下流側には、排気ガスを浄化するための排気浄化装置24が設けられている。
内燃機関10の吸気通路26の入口付近には、エアクリーナ28が設けられている。エアクリーナ28を通って吸入された空気は、ターボ過給機22の吸気圧縮機で圧縮された後、インタークーラ30で冷却される。インタークーラ30を通過した吸入空気は、吸気マニホールド32により、各気筒の吸気ポートに分配される。
インタークーラ30と吸気マニホールド32との間には、吸気絞り弁34が設置されている。また、エアクリーナ28の下流近傍には、吸入空気量を検出するエアフローメータ36が設置されている。また、吸気絞り弁34の下流側には、吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ38が設置されている。
また、図1に示すシステムは、各気筒の吸気弁(図示省略)の開弁特性を変更可能とする吸気可変動弁機構40と、排気弁(図示省略)の開弁特性を変更可能とする排気可変動弁機構42とを備えている。
より具体的には、ここでは、吸気可変動弁機構40は、吸気弁のリフト量および作用角を連続的に変更できる機能(リフト可変機能)と、油圧もしくはモータを用いて吸気カム(図示省略)の位相を変更することにより吸気弁の開閉時期を変更できる機能(位相可変機能)とを具備する機構であるものとする。また、排気可変動弁機構42は、吸気可変動弁機構40と同様の位相可変機能を具備する機構であるものとする。更に、吸気可変動弁機構40は、吸気カム軸の回転位置(進角量)を検知するための吸気カム角センサ44を備えており、排気可変動弁機構42は、吸気カム角センサ44と同様の構成を有する排気カム角センサ46を備えている。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種のセンサに加え、エンジン回転数を検出するためのクランク角センサ52や内燃機関10の冷却水温度を検出するための水温センサ54等が接続されているとともに、上述した各種のアクチュエータが接続されている。ECU50は、それらのセンサ信号や情報に基づき、所定のプログラムに従って各アクチュエータを駆動させることにより、内燃機関10の運転状態を制御する。
図1に示す内燃機関10のように圧縮着火式のディーゼルエンジンでは、火花点火式のガソリンエンジンに比べ、そもそも低温時(冷間時)の始動性が良くない。更に、ディーゼルエンジンが上記可変動弁機構40、42のような可変動弁機構を備えていると、その効果を引き出すためにピストンのリセスを大きくとる必要が生ずる。これにより、圧縮比が低下するので、低温時の始動性がより悪化し易くなる。従って、このようなディーゼルエンジンでは、低温時の始動性を十分に確保することが要求される。
[実施の形態1の始動時制御の概要]
本実施形態の始動時制御は、始動中に、吸気可変動弁機構40および排気可変動弁機構42による吸排気弁の開弁特性の制御を行うことにより、低温時の始動性の向上を図るものである。
ここで、冷間始動時において、失火が生ずることで爆発トルクが発生しないと、始動ができなくなる。このため、冷間始動時に燃料の着火性を確保することは重要である。しかしながら、失火は発生していないにもかかわらず、トルク不足により始動がはかどらない場合もある。従って、冷間始動時において、吸排気弁の制御を用いて単に着火性を高めようとするだけでは、良好な始動性を得られない場合がある。また、始動中に最適な吸排気弁の制御状態は、その時々の燃焼状態によって異なるものとなる。厳密には、そのような最適な制御状態は、初爆(始動開始後の最初の着火)の発生前後で異なるし、その瞬間に着火しているか失火しているかでも異なり、また、筒内壁温度や内燃機関の個体差によって大きな影響を受けるものである。
図2は、始動時における燃焼室壁温度(筒内壁温度)とエンジン回転数の変化を表した図である。図3は、本発明の実施の形態1において始動中に用いられるバルブ制御A、B、Cを説明するためのリフトカーブである。尚、図2(B)中のバルブ制御Dは、後述する実施の形態3において使用される制御である。
図2(B)に示すように、バルブ制御Aは、始動開始(クランキング開始)から初爆発生までの期間において使用される制御である。バルブ制御Bは、初爆発生後であって筒内壁温度が所定のモード移行閾値Tcylよりも低い場合に使用される制御である。バルブ制御Cは、筒内壁温度が上記モード移行閾値Tcyl以上である場合に使用される制御である。
図3の各図において、「吸気バルブ基準位置」および「排気バルブ基準位置」と示されたリフトカーブは、内燃機関10の停止状態(可変動弁機構40、42の初期状態)における吸排気弁のリフトカーブを示している。ここでは、これらのリフトカーブでは、吸気弁は、排気上死点よりも遅角側の時期で開かれたうえで、吸気下死点よりも遅角側の時期で閉じられるように設定されている。排気弁は、膨張下死点よりも進角側の時期で開かれたうえで、排気上死点よりも遅角側であって吸気弁の開き時期よりも進角側の時期で閉じられるようになっている。
図3(A)に示すように、バルブ制御Aでは、吸気弁の開弁特性は、上記吸気バルブ基準位置に対し、正のバルブオーバーラップ期間(O/L)が発生しない範囲内で開き時期および閉じ時期が進角するように制御されるとともに、リフト量および作用角が大きくなるように制御される。尚、排気弁の開弁特性は、上記排気バルブ基準位置のままである。
バルブオーバーラップ期間が設けられていると吸気弁の開弁時に生ずる吹き返しによって吸入空気量が減少してしまうのに対し、上記のバルブ制御Aによれば、そのような吹き返しを防止しつつ、なるべく吸気弁を早開きすることによって可能な限り多くの空気を筒内に吸入させることができ、また、吸気弁の閉じ時期を吸気下死点に近づけることにより実圧縮比を高めることができる。これにより、圧縮行程において筒内のガスを圧縮する際の圧力および温度が上昇し易くなり、着火性が向上し、早期に初爆を発生し易くすることができる。
図3(B)に示すように、バルブ制御Bでは、吸気弁の開弁特性は、上記バルブ制御Aに対し、正のバルブオーバーラップ期間を形成して内部EGRガス量が増えるように吸気弁の開き時期および閉じ時期が進角側の時期に制御されるとともに、リフト量および作用角が更に大きくなるように制御される。尚、排気弁の開弁特性は、上記排気バルブ基準位置のままである。
上記のバルブ制御Bによれば、初爆発生後において、正のバルブオーバーラップ期間が設定されていることで、着火・燃焼が発生した場合に、高温の排気ガスを筒内に残留させることができ(すなわち、高温の内部EGRガス量(内部排気再循環ガス量)を増やすことができ)、圧縮端温度を向上させることができる。また、吸気弁の閉じ時期を吸気下死点に近づけることにより実圧縮比を高めることができる。これにより、上記バルブ制御Aに比して、着火性をより向上させることができ、次のサイクルにおける着火をより確実に確保できるようになる。また、着火・燃焼の発生により、筒内壁温度が上昇し易くなる。尚、バルブ制御Bの実行時において失火が生じた場合には、高温の既燃ガスが無くなるので、当該バルブ制御Bのままでは内部EGRガス量の増加による着火性向上効果を得られなくなる。このため、この場合には、図3に示すように、着火・燃焼が行われるようになるまでバルブ制御Aに一旦戻すようにしても良い。
図3(C)に示すように、バルブ制御Cでは、吸気弁の開弁特性は、上記バルブ制御Bのままであるのに対し、排気弁の開弁特性は、上記バルブ制御Bに対し、排気効率が向上するように排気弁の開き時期が進角側の時期に制御される。また、排気可変動弁機構42の構成によれば、排気弁の開き時期の進角は、排気弁の閉じ時期の進角も伴うので、これにより、正のバルブオーバーラップ期間が無くなることになる。
上記のバルブ制御Bは、主として着火性を向上させるものであるため、トルク不足が原因で内燃機関10の始動がはかどらない場合には、始動性向上効果が無い。従って、そのような場合にバルブ制御Bを継続し続けると、内部EGRガス量の存在によって排気効率が低いままとなり、吸入空気量を十分に確保できないままとなる。その結果、始動中のエンジン回転数の上昇が遅れ、始動性を悪化させる可能性もある。
上記のバルブ制御Cによれば、排気弁の開き時期の進角によって、内燃機関10の排気効率が高められる。排気効率を向上させることは、より確実に排気ガスを筒内から排出させることを意味する。このため、排気効率の向上によって、吸入空気量の増加によるトルクの増加を図ることができ、エンジン回転数の速やかな上昇を図ることができる。しかしながら、その一方で、排気効率を高めると、始動時の失火抑制のうえで有効な高温の残留ガス(内部EGRガス)の減少を伴ってしまう。また、このような内部EGRガスの減少は、本実施形態のバルブ制御Bからバルブ制御Cへの移行のように、バルブオーバーラップ期間を無くしつつ排気効率を高めた場合には、より顕著である。以上より、バルブ制御Bからバルブ制御Cへの移行は、着火性が確保されている状況であれば、エンジン回転数の速やかな上昇を図ることができる一方で、そうでない状況での早過ぎる移行がなされると、失火発生が懸念されるものであるといえる。
そこで、本実施形態では、筒内壁温度が上記モード移行閾値Tcyl以上となった場合、すなわち、確実な着火が可能と判断できるレベルにまで筒内壁温度が高まったと判定された場合において、バルブ制御Bからバルブ制御Cに移行するようにした。これにより、内部EGRガス量の減少に伴って失火が発生し易くなるのを防止しつつ、排気効率の向上によりエンジン回転数を速やかに高めて始動性を向上させることができる。
[実施の形態1における具体的な処理]
(着火(初爆)判定手法)
図4は、着火時および失火時のエンジン回転数の挙動を表した図である。より具体的には、図4は、#1気筒において着火が発生し、#3気筒において失火が発生した場合における、90°CA間隔での瞬時のエンジン回転数の一例を表している。
図4において、#1気筒の圧縮上死点(#1TDC)におけるエンジン瞬時回転数ωa1とその90°CA後のエンジン瞬時回転数ωb1との間の回転数変化は、#1気筒における着火・爆発の影響による変化を示している。一方、次の#3気筒においては、失火が発生しているので、2つのエンジン瞬時回転数ωa3、ωb3の間に大きな変化は生じない。従って、以下の図5に示すルーチンのように、クランク角センサ52を用いて取得したエンジン瞬時回転数ωの変化量を各気筒に対して算出し、当該変化量の大小を判定することで、各気筒における着火(初爆)の発生の有無を判定することができる。
図5は、各気筒における着火(初爆)の有無を判定するために、ECU50が実行するルーチンを示すフローチャートである。
図5に示すルーチンでは、先ず、クランク角センサ52やカム角センサ44、46を利用して、気筒判別信号が読み込まれる(ステップ100)。これにより、気筒判別を行ったうえで、クランク角センサ52の出力に基づいて、任意の#n気筒の圧縮上死点におけるエンジン瞬時回転数ωaとその90°CA後のエンジン瞬時回転数ωbとが読み込まれる(ステップ102)。
次に、上記エンジン瞬時回転数ωa、ωbの変化量を示すパラメータとして、両者の2条の差(ωb−ωa)が算出される(ステップ104)。次いで、この差(ωb−ωa)が所定の着火判定値αより小さいか否かが判別される(ステップ106)。
その結果、(ωb−ωa)<αが不成立である場合には、失火していると判断され、#n気筒において着火(初爆)が発生していることを示す着火フラグがOFFとされる(ステップ108)。一方、(ωb−ωa)<αが成立する場合には、着火(初爆)が発生していると判断され、#n気筒の着火フラグがONとされる(ステップ110)。
(筒内壁温度の取得手法)
始動開始からの経過時間や始動中のエンジン回転数などに基づいて筒内壁温度を推定する手法が従来から知られている。しかしながら、このような手法だと、始動中に失火が生じていることで筒内壁温度の上昇が遅い場合や、内燃機関の個体差の影響がある場合に、筒内壁温度を精度良く取得するが困難である。そこで、本実施形態では、以下の図6のルーチンで示すように、始動初期の筒内壁温度情報(例えば、冷却水温度)を基にしたうえで、始動開始後の着火・失火の発生状況に基づく判断によって、始動中の筒内壁温度を逐次算出するようにしている。
図6は、始動中に筒内壁温度を逐次算出するために、ECU50が実行するルーチンを示すフローチャートである。尚、本ルーチンによる筒内壁温度の算出は、気筒毎に行うようにしてもよく、或いは、所定の代表気筒に対して行うようにしてもよい。
図6に示すルーチンでは、先ず、始動開始後の初回のサイクルであるか否かが判別される(ステップ200)。
その結果、初回のサイクルである場合には、筒内壁温度の初期値(現在の冷却水温度の出力値)が読み込まれる(ステップ202)。一方、初回のサイクルでない場合には、前回の筒内壁温度tcyloが読み込まれる(ステップ204)。
次に、今回の筒内壁温度の算出対象気筒に対して、上記図5に示すルーチンの実行結果に基づき、着火の有無が判定される(ステップ206)。その結果、着火していると判定された場合には、前回の筒内壁温度tcyloに所定の加算値tupを加えた値が、今回の筒内壁温度tcylとして算出される(ステップ208)。
一方、上記ステップ206において着火していない(すなわち、失火している)と判定された場合には、前回の筒内壁温度tcyloから所定の減算値tdnを減じた値が、今回の筒内壁温度tcylとして算出される(ステップ210)。ECU50は、外気温度と前回の筒内壁温度tcyloとの関係で上記減算値tdnを定めたマップ(図示省略)を記憶しており、本ステップ210ではそのようなマップを参照して、減算値tdnが取得される。
以上説明した図6に示すルーチンによれば、始動開始後の実際の失火発生状況を考慮し、また、内燃機関の個体差の影響を受けにくくしつつ、始動中に変化する筒内壁温度を精度良く取得することができる。
(実施の形態1のメイン制御)
図7は、始動性向上の目的で始動中に吸排気弁の開弁特性を制御するために、本実施の形態1においてECU50が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。尚、本ルーチンは、始動開始から始動完了までの期間に渡って起動されるものとする。また、本ルーチンにおける後述の初爆発生有無の判定(ステップ300)および筒内壁温度の判定(ステップ304)は、ここでは、全気筒に対してそれぞれの判定が成立した場合に正式に成立したと判定するものとし、全気筒に対して吸排気弁の開弁特性の制御を切り替えるものとする。しかしながら、吸排気弁の開弁特性を気筒毎に変更可能とする可変動弁機構を備えている場合であれば、上記判定の成否を気筒毎に行うようにし、気筒毎に吸排気弁の開弁特性の制御を切り替えてもよい。
図7に示すルーチンでは、先ず、初爆が発生したか否かが、上記図5に示すルーチンの手法を用いて判別される(ステップ300)。その結果、未だ初爆が発生していないと判定された場合には、吸排気弁の開弁特性の制御として、吸気量(実圧縮比)最大モード(上記バルブ制御Aに相当)が設定される(ステップ302)。図8は、本発明の実施の形態1において始動中に用いられる吸排気弁の各バルブタイミングを表した図である。本ステップ302では、図8(A)に示す吸気量最大モードが選択され、バルブオーバーラップ期間が生じない範囲で吸気弁の開閉時期(特に開き時期)が進角されるとともに、吸気弁のリフト量および作用角が拡大される。
一方、上記ステップ300において初爆が発生したと判定された場合には、次いで、上記図6に示すルーチンの手法によって算出された筒内壁温度tcylが所定のモード移行閾値Tcyl以上であるか否かが判別される(ステップ304)。本ステップ304におけるモード移行閾値Tcylは、始動中に失火を十分に抑制できると判断できる温度にまで筒内壁温度が上昇したか否かを判断する値として、事前に評価・決定されてECU50内に記憶されたものである。
上記ステップ304において、筒内壁温度tcylがモード移行閾値Tcylよりも低いと判定された場合には、吸排気弁の開弁特性の制御として、内部EGR増量モード(上記バルブ制御Bに相当)が設定される(ステップ306)。図8(B)に示すように、内部EGR増量モードでは、吸気量最大モードに対し、正のバルブオーバーラップ期間が生ずるように吸気弁の開閉時期が更に進角されるとともに、吸気弁のリフト量および作用角が更に拡大される。
一方、上記ステップ304において筒内壁温度tcylがモード移行閾値Tcyl以上であると判定された場合には、吸排気弁の開弁特性の制御として、排気効率向上モード(上記バルブ制御Cに相当)が設定される(ステップ308)。図8(C)に示すように、排気効率向上モードでは、内部EGR増量モードと比べ、排気弁の開き時期が進角される。
以上説明した図7に示すルーチンによれば、初爆発生直後の筒内壁温度が低い時には、内部EGRガスを増やすべくバルブオーバーラップ期間を設けることで着火性が十分に確保される。そのうえで、筒内壁温度がモード移行閾値Tcyl以上となったことで失火を十分に抑制できると判断できる温度にまで上昇した際に、排気効率を向上させるべく、排気弁の開き時期の進角による排気効率向上モード(バルブ制御Cに相当)が実行される。このような手法によれば、筒内壁温度の高低に基づき、内部EGR増量モードから排気効率向上モードへの移行の是非が判断されるので、筒内壁温度が上昇した後に、失火の抑制を図りつつ、エンジン回転数を速やかに上昇させることができ、始動性を向上させることができる。
また、既述したように、内部EGR増量モードから排気効率向上モードへの移行のタイミングが早過ぎると(筒内壁温度が十分に上昇していない状況で排気効率向上モードへ移行すると)、内部EGRガスの減少により失火の発生が懸念される。これに対し、本実施形態では、上記図6に示すルーチンの手法によって、始動開始後の実際の失火発生状況を考慮し、また、内燃機関の個体差の影響を受けにくくしつつ、筒内壁温度を精度良く取得することができる。このため、排気効率向上モードへの移行のタイミングを適切なものとすることができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、排気効率向上モード(バルブ制御C)時に、排気弁の開き時期の進角によって排気効率を向上させるようにしている。しかしながら、本発明において排気効率が高まるように排気弁の開弁特性を制御する手法は、これに限定されるものではない。すなわち、その時々の吸排気弁の開弁特性の制御状態に応じて、例えば、排気弁のリフト量の増大や排気弁の閉じ時期の遅角を、排気弁の開き時期の進角に代え、或いはそれとともに適宜用いるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、内部EGR増量モード(バルブ制御B)において、内部EGRガス量を増やすべく、正のバルブオーバーラップ期間を設定するようにしている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、内部EGRガス量を増やすべく、正のバルブオーバーラップ期間を拡大したり、負のバルブオーバーラップ期間を設定もしくは拡大したりするものであってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、吸気可変動弁機構40および排気可変動弁機構42の双方を備える内燃機関10を対象に説明を行ったが、本発明において、内部EGRガス量が増えるように正または負のバルブオーバーラップ期間を設定等し、また、排気効率が高まるように排気弁の開弁特性を制御するための構成としては、排気可変動弁機構のみを備え、排気弁の開弁特性の調整のみによって実現されるものであってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、内部EGR増量モードから排気効率向上モードへの移行時に、バルブオーバーラップ期間の減少を伴う制御例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、筒内壁温度が所定の壁温閾値よりも高い場合において排気効率が高まるように排気弁の開弁特性を制御する際には、例えば、排気弁のリフト量を高くすることによって排気効率を高める手法が用いられる場合がそうであるように、必ずしもバルブオーバーラップ期間の減少を伴う態様で排気効率が高まるように排気弁の開弁特性が制御されるようになっていなくてもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ306の処理を実行することにより前記第1の発明における「オーバーラップ設定手段」が、上記図6に示すルーチンの一連の処理を実行することにより前記第1の発明における「壁温度取得手段」が、上記ステップ304の判定が成立する場合に上記ステップ308の処理を実行することにより前記第1の発明における「排気効率向上制御手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に図7に示すルーチンに代えて後述する図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができるものである。
上述した実施の形態1において、内部EGR増量モードから排気効率向上モードへの移行の判定に用いる筒内壁温度のモード移行閾値Tcylは、ECU50に予め記憶された値とされている。このようなモード移行閾値Tcylが固定された値であると、内燃機関の個体差の影響によって、上記移行のタイミングが早過ぎることで失火が生じたり、逆に遅過ぎることでエンジン回転数の上昇がはかどらなかったりし、これにより、始動性が悪化する可能性がある。
そこで、本実施形態では、内部EGR増量モードから排気効率向上モードへの移行後に失火が生じた場合には、上記モード移行閾値Tcylをより高い値に補正・学習するようにした。更に、そのような失火が生じた場合には、前の制御モードである内部EGR増量モードに一旦戻すようにした。
[実施の形態2における具体的な処理]
図9は、上記の機能を実現するために、本実施の形態2においてECU50が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。尚、図9において、実施の形態1における図7に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図9に示すルーチンでは、ステップ300において初爆が既に発生していると判定された場合には、次いで、前回のサイクルで排気効率向上モードが使用されていた場合に失火が生じていないか否かが判別される(ステップ400)。当該失火の有無の判定は、例えば、上記図5に示すルーチンの手法を利用して行うことができる。
その結果、排気効率向上モードの使用時に失火が生じていると判定された場合には、筒内壁温度のモード移行閾値Tcylの補正・学習が実行される(ステップ402)。具体的には、現在のモード移行閾値Tcylに所定の学習値tclygを加えた値が、新しいモード移行閾値Tcylとなるように補正することにより、モード移行閾値Tcylがより高い値に修正される。また、このような学習により得られた後の新しいモード移行閾値Tcylは、今回の始動時における以後の処理だけでなく、ECU50に記憶されたうえで次回の始動時にも反映される。
上記ステップ402が実行された後のステップ304においては、新しいモード移行閾値Tcylに基づいて、筒内壁温度の判定が実行される。そして、筒内壁温度が新しい(高めの)モード移行閾値Tcylよりも低い場合には、ステップ306の処理に進み、制御モードが排気効率向上モードから内部EGR増量モードに一旦戻される。更に、筒内壁温度が新しい(高めの)モード移行閾値Tcyl以上となった場合には、ステップ308に進み、制御モードが排気効率向上モードに再び戻される。
以上説明した図9に示すルーチンによれば、内部EGR増量モードから排気効率向上モードに移行した後に失火が生じた場合には、筒内壁温度の上記モード移行閾値Tcylがより高い値となるように補正・学習される。これにより、排気効率向上モードへの移行後に失火が生ずるのを抑制できるようになる。また、このようにモード移行閾値Tcylを高めの値に補正することで、失火→内部EGR増量モードに移行→着火→排気効率向上モードに移行→失火となるハンチングを良好に防止することができる。更に、学習後のモード移行閾値TcylをECU50に記憶させておき、次回の始動時に反映させることで、内燃機関に個体差があっても個々の内燃機関にとって最適となるように、始動する度に当該閾値Tcylの精度を向上させることができる。
また、上記ルーチンによれば、内部EGR増量モードから排気効率向上モードに移行した後に失火が生じた場合には、制御モードが排気効率向上モードから内部EGR増量モードに一旦戻される。排気効率向上モードに移行した後に失火が生じた場合には、その理由は筒内壁温度の不足によるものと判断することができる。このような場合に、一旦内部EGR増量モードに戻し、内部EGRガス量の増大により着火性を確保することにより、失火状態から速やかに回復させることが可能となる。
尚、上述した実施の形態2においては、上記ステップ400の処理を実行することにより前記第2、第3、および第4の発明における「失火判定手段」が、上記ステップ402の処理を実行することにより前記第2の発明における「壁温閾値補正手段」が、それぞれ実現されている。
また、ECU50が、上記ステップ402における補正後のモード移行閾値Tcylに基づく上記ステップ304の判定が不成立となった場合に再び上記ステップ306の処理を実行することにより、前記第3の発明における「制御停止手段」および前記第4の発明における「オーバーラップ再設定手段」がそれぞれ実現されている。
また、ECU50が、上記ステップ304の判定が成立した場合にバルブオーバーラップ期間が無くなるように排気弁の開弁特性を制御するバルブ制御Cを伴うステップ306の処理を実行することにより、前記第4の発明における「オーバーラップ低減手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に図9に示すルーチンに代えて後述する図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができるものである。
上述した実施の形態1、2のように始動中に排気効率向上モードを実行した後に所定時間が経過しても始動が完了しない場合には、筒内に吸入される空気量が多過ぎるために、圧縮行程における当該空気の圧縮ロス(圧縮仕事)が大きくなり、始動がはかどっていないものと考えられる。そこで、本実施形態では、排気効率向上モードへの移行後の所定時間内に始動が完了しない場合には、以下のような制御を実行するようにした。
図10は、本発明の実施の形態3において始動中に用いられるバルブ制御Dを説明するためのリフトカーブである。より具体的には、本実施形態では、上述したバルブ制御A〜Cに加え、バルブ制御Dが用いられる。
バルブ制御Dは、上記図2にも示すように、バルブ制御C(すなわち、排気効率向上モード)の使用開始後に所定時間が経過しても始動が完了しない場合に使用されるものである。
図10に示すように、バルブ制御Dでは、吸気弁の開弁特性は、上記バルブ制御B、Cに対し、リフト量および作用角が小さくなるとともに開き時期が排気上死点よりも遅角するように制御される。一方、排気弁の開弁特性は、上記バルブ制御Cのままとされる。
図11は、上記バルブ制御Dに与える制限、およびそのような制限を伴うバルブ制御Dとともに行われる燃料噴射量Qの制御を説明するためのタイムチャートである。
図11(A)は、始動中のエンジン回転数の変化を表している。図11(B)に示すように、上記のバルブ制御Dによって吸気弁のリフト量(および作用角)の減少および開き時期の遅角化(すなわち、進角量の減少)を行うと、図11(C)に示すように、吸入空気量が減少する。その結果、筒内に吸入されたガスの圧縮ロスを低減させることができる。これにより、上記所定時間が経過しても始動が完了しないような場合において、始動性を向上させることができる。
ただし、上記バルブ制御Dによって吸入空気量を何らの配慮なしに減少させていくと、スモークの排出量が増加することが懸念される。そこで、本実施形態では、バルブ制御Dの実行に伴うスモークの排出量の増加を抑制すべく、図11(D)に示すように、バルブ制御Dの実行時の吸気弁のリフト量(進角量)の減少を空気過剰率λで制限をかけるようにした。言い換えれば、空気過剰率λが所定値以上となる範囲内で吸気弁のリフト量(進角量)を減少させるようにした。
また、単に空気過剰率λによって制限をかけるようにすると、吸気弁のリフト量等を十分に減少させられなくなる。一方、空気過剰率λを高くするには、燃料噴射量Qを減らせばよいが、減らし過ぎると、失火の発生が懸念される。ところで、始動中には、着火性確保のために過剰に燃料が噴射されるのが通常である。従って、図11(E)に示すように、始動中に筒内壁温度が上昇するのに伴って着火性が向上するので、それに伴い燃料噴射量の減量が可能である。また、この減量は、着火性確保のための過剰な増量分の減量であるので、これにより、爆発トルクの低下は生じない。そこで、本実施形態では、始動中の筒内壁温度の上昇に応じて燃料噴射量をより多く減量することで空気過剰率λを確保しつつ、空気過剰率λが所定値以上となる範囲内で吸気弁のリフト量等を減少させるようにした。尚、バルブ制御Dの実行時において失火が生じた場合には、筒内壁温度が不足していると判断して、制御モードをバルブ制御Bに一旦戻すようにしても良い。
[実施の形態3における具体的な処理]
図12は、上記の機能を実現するために、本実施の形態3においてECU50が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。尚、図12において、実施の形態2における図9に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図12に示すルーチンでは、上記ステップ300において初爆が既に発生していると判定された後に、排気効率向上モードの開始から所定時間が経過したか否かが判別される(ステップ500)。その結果、当該所定時間が経過していない場合には、ステップ304以降の処理が実行される。
一方、上記ステップ500において上記所定時間が経過したと判定された場合には、排気効率向上モードを実行したにもかかわらず始動がはかどっていないと判断することができる。この場合には、吸排気弁の開弁特性の制御および燃料噴射量Qの制御として、吸入空気量低減モードが実行される(ステップ502)。この吸入空気量低減モードでは、上記バルブ制御Dが選択されて、吸気弁のリフト量および作用角が小さくなるとともに開き時期が排気上死点よりも遅角するように制御される。また、既述したように、この吸気弁のリフト量等の調整は、始動中の筒内壁温度が高くなるほど燃料噴射量の減量をより多くしつつ、空気過剰率λが所定値以上となる範囲内で実行される。
以上説明した図12に示すルーチンによれば、排気効率向上モードへの移行後の所定時間内に始動が完了しない場合には、上述した吸入空気量低減モードが実行される。これにより、上記所定時間内に始動がはかどらない場合に、スモーク排出量を増やすことなく、早期に始動させられるようになる。
ところで、上述した実施の形態3においては、吸入空気量低減モードにおけるバルブ制御Dの実行時に、吸気弁の開き時期の遅角とリフト量および作用角の減少によって、吸入空気量を低減させるようにしている。しかしながら、本発明において吸入空気量を低減するように吸気弁の開弁特性を制御する手法は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、吸気弁の閉じ時期が吸気下死点から離れるように、当該閉じ時期の進角量または遅角量を調整するものであってもよい。
また、上述した実施の形態3においては、排気効率向上モードへの移行後の所定時間内に始動が完了しない場合において吸入空気量低減モードを実行する際に、空気過剰率λが所定値以上となる範囲内での吸気弁のリフト量等の調整とともに、始動中の筒内壁温度が高くなるほど燃料噴射量の減量をより多くなるように燃料噴射量を制御するようにしている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、そのような筒内壁温度に応じた燃料噴射量の減量制御は、吸入空気量低減モードの実行の有無にかかわらず、筒内壁温度tcylがモード移行閾値Tcyl以上であるような場合において排気効率向上モードが実行される際に、行うようにしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU50が上述した実施の形態3の末尾に記載された筒内壁温度に応じた燃料噴射量の減量制御を実行することにより、前記第5の発明における「噴射量補正手段」が実現されている。
また、ECU50が上記ステップ502の処理を実行することにより、前記第6の発明における「吸気弁制御手段」および前記第7の発明における「噴射量補正手段」がそれぞれ実現されている。
10 内燃機関
12 インジェクタ
18 排気通路
26 吸気通路
40 吸気可変動弁機構
42 排気可変動弁機構
44 吸気カム角センサ
46 排気カム角センサ
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 クランク角センサ
54 水温センサ

Claims (8)

  1. 排気弁の開弁特性を変更可能とする排気可変動弁機構および吸気弁の開弁特性を変更可能とする吸気可変動弁機構のうちの少なくとも前記排気可変動弁機構と、
    内燃機関の始動中に、前記排気可変動弁機構および前記吸気可変動弁機構のうちの少なくとも前記排気可変動弁機構を用いて、内部排気再循環ガス量が増えるように正または負のバルブオーバーラップ期間を設定もしくは拡大するオーバーラップ設定手段と、
    前記内燃機関の筒内壁温度を取得する壁温度取得手段と、
    前記オーバーラップ設定手段により前記バルブオーバーラップ期間が設定もしくは拡大されている始動中において、前記筒内壁温度が所定の壁温閾値よりも高い場合に、前記排気可変動弁機構を用いて前記内燃機関の排気効率が高まるように前記排気弁の開弁特性を制御する排気効率向上制御手段と、
    を備えることを特徴とする可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段と、
    前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記壁温閾値をより高い値に補正する壁温閾値補正手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段と、
    前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御を停止する制御停止手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関に失火が生じているか否かを判定する失火判定手段を更に備え、
    前記オーバーラップ設定手段は、
    前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始される際に、当該オーバーラップ設定手段により設定もしくは拡大されていた前記バルブオーバーラップ期間を減少させるオーバーラップ低減手段と、
    前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が開始された後に前記内燃機関に失火が生じていると判定された場合に、前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御を停止して、前記バルブオーバーラップ期間を再び設定もしくは拡大するオーバーラップ再設定手段と、を含むことを特徴とする請求項1または2記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  5. 前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御が実行される際に、前記筒内壁温度が高いほど、燃料噴射量をより大きく減量する噴射量補正手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関の制御装置は、
    前記排気可変動弁機構とともに前記吸気可変動弁機構を備えるものであって、
    前記排気効率向上制御手段による前記排気弁の開弁特性の前記制御の開始から所定時間を経過した後に前記内燃機関の始動が完了しない場合に、前記吸気可変動弁機構を用いて吸入空気量が減少するように前記吸気弁の開弁特性を制御する吸気弁制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  7. 前記吸気弁制御手段によって吸入空気量が減少させられる際に、前記筒内壁温度が高いほど、燃料噴射量をより大きく減量する噴射量補正手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
  8. 前記吸気弁制御手段は、前記所定時間を経過した後に前記内燃機関の始動が完了しない場合において吸入空気量を減少させる際に、空気過剰率が所定値以上となる範囲内において前記吸気弁の開弁特性を制御することを特徴とする請求項6または7記載の可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置。
JP2009247591A 2009-10-28 2009-10-28 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置 Pending JP2011094508A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009247591A JP2011094508A (ja) 2009-10-28 2009-10-28 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009247591A JP2011094508A (ja) 2009-10-28 2009-10-28 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011094508A true JP2011094508A (ja) 2011-05-12

Family

ID=44111705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009247591A Pending JP2011094508A (ja) 2009-10-28 2009-10-28 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011094508A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012225287A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Hitachi Automotive Systems Ltd 可変動弁装置のコントローラ及び内燃機関の可変動弁装置
JP2015187423A (ja) * 2014-03-27 2015-10-29 マツダ株式会社 圧縮着火式エンジンの始動装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012225287A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Hitachi Automotive Systems Ltd 可変動弁装置のコントローラ及び内燃機関の可変動弁装置
JP2015187423A (ja) * 2014-03-27 2015-10-29 マツダ株式会社 圧縮着火式エンジンの始動装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007056776A (ja) 内燃機関の制御装置
WO2014061405A1 (ja) 内燃機関の筒内圧検出装置
JP4670710B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2014043812A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5549603B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2011144782A (ja) 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置
JP2010121505A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP6301597B2 (ja) 筒内噴射エンジンの制御装置
JP2009085198A (ja) ガソリンエンジンの制御装置
JP2008196377A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2011094508A (ja) 可変動弁機構を備える内燃機関の制御装置
JP5490646B2 (ja) 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置
JPWO2011083577A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5593132B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2008051017A (ja) 予混合圧縮自着火内燃機関
JP4615503B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5925099B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2010031745A (ja) 内燃機関の制御装置
JP3811313B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2009216035A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4269124B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4946345B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4114201B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4396253B2 (ja) 内燃機関の吸気制御装置
JP2006329035A (ja) 内燃機関の制御装置