JP2011093871A - 抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害微生物の感染防御機能を有する新たな植物抽出物を含有する抗ウイルス剤または抗菌剤の提供。
【解決手段】ヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物、特にケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含有することを特徴とする抗ウイルス剤又は抗菌剤。特にインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を有する。
【選択図】なし
【解決手段】ヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物、特にケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含有することを特徴とする抗ウイルス剤又は抗菌剤。特にインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗ウイルス剤または抗菌剤に関するものである。
輸送機関の発達により、新型インフルエンザウイルスやSARS等によるパンデミックが頻発している現在、ウイルスや細菌といった有害微生物の制御及び感染防御は強く求められているテーマである。そのため、有害微生物の制御及び感染防御に有効な薬剤や物質の開発が進められている。そして、これらの薬剤や物質の開発においては、植物が病害抵抗性等を有することから植物中に存在する生理活性物質が着目され、種々の植物抽出物について研究が行われている。例えば、特許文献1には、センダンの抽出物を含有するインフルエンザウイルスの感染予防剤が記載されている。
一方、ヤシャブシ(夜叉五倍子、学名Alnus firma)は、カバノキ科ハンノキ属に属する落葉樹である。日本固有種で東北南部以南、四国、九州に多く分布する樹木であり、古来より果実は褐色の染料として用いられている。そして、特許文献2には、ヤシャブシの抽出物が化粧料組成物として用いられることが記載されている。
しかしながら、ヤシャブシ抽出物にはメラニン生成抑制機能及び活性酸素抑制機能を有することが見出されているが(特許文献2)、ヤシャブシ抽出物の他の生理活性機能については見出されていなかった。
本発明は、有害微生物の感染防御機能を有する新たな植物抽出物を含有する抗ウイルス剤または抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明者は、多種多数の植物体から植物抽出物を抽出し、それらの生理活性機能について研究を行った。この結果、ヤシャブシ抽出物が有害微生物の感染防御機能に優れることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の抗ウイルス剤は、ヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、抗ウイルス剤中に含まれるヤシャブシの抽出物がウイルスに作用し、ウイルスを死滅させる等して、ウイルスを不活化する。
また、本発明の抗ウイルス剤は、抽出物が温熱水抽出または亜臨界抽出により得られることを特徴とする。
上記構成によれば、抗ウイルス効果を有するヤシャブシの抽出物を得るにあたり、適当かつ迅速な抽出方法が選択される。
また、本発明の抗ウイルス剤は、抽出物が、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、ヤシャブシ抽出物には、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンといったフラボノイド類成分が含まれる。
また、本発明の抗ウイルス剤は、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする。
上記構成によれば、抗ウイルス剤中に含まれるヤシャブシの抽出物は、インフルエンザウイルスに作用し、インフルエンザウイルスを死滅させる等してインフルエンザウイルスを不活化する。
さらに、本発明の抗菌剤はヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、抗菌剤中に含まれるヤシャブシの抽出物が細菌に作用し、細菌を死滅させる等して、細菌を不活化する。
また、本発明の抗菌剤は、抽出物が温熱水抽出または亜臨界抽出により得られることを特徴とする。
上記構成によれば、抗菌効果を有するヤシャブシの抽出物を得るにあたり、適当かつ迅速な抽出方法が選択される。
また、本発明の抗菌剤は、抽出物が、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、ヤシャブシ抽出物中にはケンフェロール、カテキン、ケルセチンといったフラボノイド類成分が含まれる。
また、本発明の抗菌剤は、歯周病菌に対する抗菌活性を有することを特徴とする。
上記構成によれば、抗菌剤中に含まれるヤシャブシの抽出物は、歯周病菌に作用し、歯周病菌を死滅させる等して歯周病菌を不活化する。
本発明によれば、有害微生物の増殖抑制機能・感染防御機能に優れた植物由来の成分からなる抗ウイルス剤または抗菌剤を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る抗ウイルス剤または抗菌剤について説明する。
ヤシャブシ(夜叉五倍子、学名Alnus firma)とは、カバノキ科ハンノキ属に属する落葉樹である。本発明において、ヤシャブシの抽出物とは、ヤシャブシの実、枝、樹皮、果穂、葉及び茎を抽出対象物とし、これらに抽出処理を施して得られたものをいう。
ヤシャブシの抽出にあたっては、ヤシャブシの植物体を直接用いてもよいが、たとえば、ヤシャブシの枝や実などを乾燥させて粗破砕した木材チップ又は未加工の枝や実などを適当な大きさに裁断したものを準備し、それを用いて抽出処理を行うことができる。また、予めセルラーゼ、ペクチナーゼ等の酵素処理を施したヤシャブシ酵素処理物を用いて抽出処理を行うことができる。
ヤシャブシの抽出にあたっては、ヤシャブシの植物体を直接用いてもよいが、たとえば、ヤシャブシの枝や実などを乾燥させて粗破砕した木材チップ又は未加工の枝や実などを適当な大きさに裁断したものを準備し、それを用いて抽出処理を行うことができる。また、予めセルラーゼ、ペクチナーゼ等の酵素処理を施したヤシャブシ酵素処理物を用いて抽出処理を行うことができる。
ヤシャブシの抽出物は、抽出材料を抽出溶媒に浸漬又は接触させて抽出処理を行うことにより得られ、抽出方法は特に限定されない。抽出処理は常圧下及び加圧下のいずれでも行うことができる。抽出温度は0℃〜150℃、好ましくは室温〜120℃の範囲であり、抽出時間は1分〜24時間、好ましくは1分〜3時間で抽出され得る。抽出に用いる溶媒には水若しくは有機溶媒又はそれらを組み合わせたものを用いることができる。具体的な抽出溶媒としては、水、メタノール・エタノール・ポリエチレングリコール・グリセリン・ソルビトールなどのアルコール類、アセトン・ジメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、取り扱いの容易さ及び製剤とするときの安全性から水若しくはエタノール又はそれらの混合物が望ましい。抽出装置としては特に限定されないが、具体的には、加熱抽出装置、加圧熱水抽出装置、ソックスレー抽出装置、亜臨界抽出装置、超臨界抽出装置、超音波抽出装置などを利用することができる。
温熱水抽出とは50℃以上の含水溶媒を用いて行う抽出処理のことをいう。本発明の実施形態に係る温熱水抽出物は、ヤシャブシの木材チップ又は実の破砕物等の抽出対象物を50℃以上の含水溶媒に接触または浸漬させ、3分〜24時間、好ましくは3分〜3時間、より好ましくは5分〜30分間抽出処理することにより得られる。
亜臨界抽出とは、臨界点(水の臨界点は22MPa、374℃)より温度・圧力の低い条件における亜臨界状態にある溶媒を利用して行う抽出のことをいう。本発明の実施形態に係る亜臨界抽出物は、水溶媒又は水とエタノールなどの親水性溶媒を混合した溶媒を亜臨界状態下におき、ヤシャブシの木材チップ・実の破砕物等の抽出対象物について、1分〜24時間、好ましくは1分〜60分間、より好ましくは3分〜10分間抽出処理することにより得られる。亜臨界条件としては圧力0.2MPa〜15MPa、温度100℃〜200℃が好ましい。
ヤシャブシの抽出物にはケンフェロール、カテキン、ケルセチン等のフラボノイド類物質が少なくとも1種以上含まれ得る。フラボノイド類物質には抗酸化作用があることが知られているが、本発明のヤシャブシ抽出物中に含まれるフラボノイド類物質は、抗ウイルス活性又は抗菌活性を有するか、これらの活性を助長するような作用を有すると考えられる。
抗ウイルス剤とは、ウイルスを死滅させる等ウイルスを不活化して、ウイルスの増殖を抑制したり、感染を防いだりすることができるもののことをいう。本発明の抗ウイルス剤は、特にインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス作用を有する。インフルエンザウイルスには、たとえば、A型ヒトインフルエンザウイルス、B型ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス等が挙げられる。
抗菌剤とは、細菌を死滅させる等細菌を不活化して、細菌の増殖を抑制したり、感染を防いだりすることができるもののことをいう。本発明の抗菌剤の対象となる細菌としては、特に限定されないが、好ましくは歯周病菌である。歯周病菌としては、たとえばP.g(Porphyromonas gingivalis)菌、A.a(Actinobacillus actinomycetemcomitans)菌、P.i(Prevotella intermedia)菌、B.f(Bacteroides forsythus)菌、T.d(Treponema denticola)菌が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤または抗菌剤は、ヤシャブシの抽出物をそのまま又は1〜100倍程度に希釈して液体で使用することができる。さらに、ヤシャブシの抽出物を乾燥・凍結乾燥処理を施して粉末で使用することもできる。
本発明の抗ウイルス剤または抗菌剤は、抗ウイルス機能または抗菌機能が求められる種々の製品に混合、添加、塗布、噴霧等されて使用され得る。
本発明の抗ウイルス剤または抗菌剤は、抗ウイルス機能または抗菌機能が求められる種々の製品に混合、添加、塗布、噴霧等されて使用され得る。
次に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
ヤシャブシ抽出物の抽出方法
ヤシャブシの枝を乾燥させた木材チップと、ヤシャブシの実を乾燥させた破砕物について、温熱水抽出及び亜臨界抽出を行った。
温熱抽出は、木材チップ18gについては、溶媒として水300mlを用い、温度60℃で10分間抽出、実の破砕物18gについては、溶媒として水300mlを用い、100℃で10分間抽出を行った。
亜臨界抽出は、木材チップ5gについては、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。実の破砕物5gについては、溶媒として水7:エタノール3(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。
得られた抽出物を凍結乾燥して保存した。
ヤシャブシの枝を乾燥させた木材チップと、ヤシャブシの実を乾燥させた破砕物について、温熱水抽出及び亜臨界抽出を行った。
温熱抽出は、木材チップ18gについては、溶媒として水300mlを用い、温度60℃で10分間抽出、実の破砕物18gについては、溶媒として水300mlを用い、100℃で10分間抽出を行った。
亜臨界抽出は、木材チップ5gについては、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。実の破砕物5gについては、溶媒として水7:エタノール3(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。
得られた抽出物を凍結乾燥して保存した。
ヤシャブシ抽出液中に含まれるフラボノイド類の分析
実施例1で得た各ヤシャブシ抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ60mg/mLになるように脱イオン水で溶解した後、0.2μmのフィルターで不純物をろ過した。質量分析装置を用いて、各ヤシャブシ抽出物中に含まれるフラボノイド類を分析した(表1)。
実施例1で得た各ヤシャブシ抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ60mg/mLになるように脱イオン水で溶解した後、0.2μmのフィルターで不純物をろ過した。質量分析装置を用いて、各ヤシャブシ抽出物中に含まれるフラボノイド類を分析した(表1)。
表1より、ヤシャブシ抽出物中には、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンをはじめとするフラボノイド類が多く含まれていることが確認された。中でも、ケルセチンの含有量が他のフラボノイド類と比較して多いことが示された。
3−1.実験材料及び実験方法
インフルエンザウイルス株は、ヒトインフルエンザウイルスA型 A/PR/8/34株(H1N1)を用いた。
インフルエンザウイルス株は、ヒトインフルエンザウイルスA型 A/PR/8/34株(H1N1)を用いた。
3−2.インフルエンザウイルスの精製
赤血球凝集活性(HAU)が2−3〜−4となるように、インフルエンザウイルス懸濁液を滅菌PBSで希釈し、PSG(ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン)(インビトロジェン製)を1000倍希釈で加えた。これを11日齢発育鶏卵のしょう尿腔に卵1個あたり0.2mL植種し、34℃で48時間培養した。この卵を4℃で一晩静置させた後、しょう尿液を回収し、4℃、3000rpmで10分間遠心して(日立製SCR20B、RPR9ローター)赤血球等の混在する夾雑物を除去した。さらにこの上清を4℃、8000rpmで3時間遠心し、得られたペレットをPBS1mLで懸濁して濃縮ウイルス液を得た。
赤血球凝集活性(HAU)が2−3〜−4となるように、インフルエンザウイルス懸濁液を滅菌PBSで希釈し、PSG(ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン)(インビトロジェン製)を1000倍希釈で加えた。これを11日齢発育鶏卵のしょう尿腔に卵1個あたり0.2mL植種し、34℃で48時間培養した。この卵を4℃で一晩静置させた後、しょう尿液を回収し、4℃、3000rpmで10分間遠心して(日立製SCR20B、RPR9ローター)赤血球等の混在する夾雑物を除去した。さらにこの上清を4℃、8000rpmで3時間遠心し、得られたペレットをPBS1mLで懸濁して濃縮ウイルス液を得た。
50%(w/v)グリセロール含有PBS溶液5mLに上記濃縮ウイルス液5mLを重層し、4℃、38000rpmで2時間遠心した(日立製CP65β、P40STローター)。得られたペレットにPBS1mLを加え、22G、続いて25Gの針を装着したシリンジでペレットを懸濁した後、さらに4℃、15000rpmで1時間遠心した。遠心後得られたペレットを再びPBS1mLで懸濁し、40%(w/v)スクロース含有PBS17mLに10%(w/v)スクロース含有PBS溶液17mLを滴下して作製した密度勾配溶液の上にウイルス懸濁液を重層して、4℃、20000rpmで90分間10−40%スクロース連続密度勾配遠心を行った(日立製CP65β、P28Sローター)。遠心チューブ中央付近にできたウイルスの白濁バンドを回収し、PBSを加えて4℃、8000rpmで3時間遠心して(日立製SCR20B、RPR18ローター)ペレットを得た。このペレットをPBS100μLで懸濁して分注し、精製ウイルスとして−80℃で保存した。
3−3.インフルエンザウイルスの赤血球凝集活性(HAU)測定
マイクロプレート(ファルコン製U底96ウェル・フレキシブルプレート、製品番号353911)上にて0.01%(w/v)ゼラチン含有PBS溶液で精製したインフルエンザウイルスを段階的に倍々希釈し、50μLとした。この各ウェルに0.6%(v/v)モルモット赤血球含有PBS溶液50μLを加えて4℃で2時間静置した後、凝集層を観察した。この時、赤血球の凝集に必要なウイルスの最高希釈倍数をウイルスタイター(HAU)として表した。
マイクロプレート(ファルコン製U底96ウェル・フレキシブルプレート、製品番号353911)上にて0.01%(w/v)ゼラチン含有PBS溶液で精製したインフルエンザウイルスを段階的に倍々希釈し、50μLとした。この各ウェルに0.6%(v/v)モルモット赤血球含有PBS溶液50μLを加えて4℃で2時間静置した後、凝集層を観察した。この時、赤血球の凝集に必要なウイルスの最高希釈倍数をウイルスタイター(HAU)として表した。
3−4.MDCK細胞におけるインフルエンザウイルス感染実験
感染阻害実験に用いたインフルエンザウイルスのウイルスタイター(HAU)について、メイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK細胞)に対する感染実験を予め行い、至適感染HAUを決定した。
感染阻害実験に用いたインフルエンザウイルスのウイルスタイター(HAU)について、メイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK細胞)に対する感染実験を予め行い、至適感染HAUを決定した。
96ウェル培養用マイクロプレート(ヌンク製、製品番号167008)にMDCK細胞を1.4×104細胞/ウェルでまきこみ、10%(v/v)FBS含有MEM培地(ニッスイ製、製品番号05900)100μL中で37℃、5%CO2存在下で15〜18時間培養した。コンフルエントな単層となった細胞を無血清MEM培地100μL/ウェルで3回洗浄し、無血清MEM培地で段階希釈したインフルエンザウイルス懸濁液を50μL/ウェル加えて、34.5℃、5%CO2存在下で30分間感染させた。なお、対照にはウイルスを含まない無血清MEM培地を同様に段階希釈して用いた。感染後ウイルス懸濁液を除去し、無血清MEM培地100μL/ウェルで3回洗浄した後、0.5%(w/v)トラガカントゴム(和光純薬製)及び0.2%(w/v)BSA含有MEM培地を50μL/ウェル加え、34.5℃、5%CO2存在下で20〜24時間培養した。その後培地を取り除き、メタノールを100μL/ウェル加えて室温で10分間静置し、細胞を固定した。PBS溶液100μL/ウェルで3回洗浄した後、1%(w/v)BSA含有PBS溶液で希釈した抗ヌクレオプロテイン抗体(モノクローナル抗体、ATCC番号H16L−10−4R5)溶液を50μL/ウェル加えて、室温で1時間反応させた。PBS溶液100μL/ウェルで3回洗浄後、1%(w/v)BSA含有PBS溶液で希釈したペルオキシダーゼ結合F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)(ジャクソン・イムノリサーチ製)溶液を50μL/ウェル加えて、室温で1時間反応させた。PBS溶液100μL/ウェルで3回洗浄し、発色基質溶液(コニカ製、コニカイムノステインHRP−1000、製品番号6101−12)を50μL/ウェル添加して発色させた後、PBS溶液で洗浄し最後にPBS溶液を50μL/ウェルとなるように加えた。
なお実験は3系列で行い、光学顕微鏡下でウイルス感染細胞(染色された細胞)を計数して平均100〜150個/ウェルとなるHAUを以後の感染阻害実験における各インフルエンザウイルス株の至適ウイルスタイターとして使用した。
なお実験は3系列で行い、光学顕微鏡下でウイルス感染細胞(染色された細胞)を計数して平均100〜150個/ウェルとなるHAUを以後の感染阻害実験における各インフルエンザウイルス株の至適ウイルスタイターとして使用した。
4−1.センダン抽出物の抽出方法
センダンの枝を乾燥させた木材チップとセンダンの葉を乾燥させた破砕物について、温熱水抽出及び亜臨界抽出を行った。
温熱抽出は、木材チップ18gについては、溶媒として水300mlを用い、温度60℃で10分間抽出、葉の破砕物18gについても溶媒に水300mlを用い、60℃で10分間抽出を行った。
亜臨界抽出は、木材チップ5gについては、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。葉の破砕物5gについても同様に、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。
得られた抽出物を凍結乾燥して保存した。
センダンの枝を乾燥させた木材チップとセンダンの葉を乾燥させた破砕物について、温熱水抽出及び亜臨界抽出を行った。
温熱抽出は、木材チップ18gについては、溶媒として水300mlを用い、温度60℃で10分間抽出、葉の破砕物18gについても溶媒に水300mlを用い、60℃で10分間抽出を行った。
亜臨界抽出は、木材チップ5gについては、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。葉の破砕物5gについても同様に、溶媒として水1:エタノール1(体積割合)で混合したものを200ml用い、温度100℃、圧力6MPaで5分間抽出を行った。
得られた抽出物を凍結乾燥して保存した。
4−2.センダン抽出物溶液の調整
凍結乾燥したセンダン抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ100mg/mLになるようにジメチルスルホキシドで溶解し、遠心操作で不要物を沈澱させた。上清を分注して、使用するまで−30℃の冷凍庫で保存した。
凍結乾燥したセンダン抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ100mg/mLになるようにジメチルスルホキシドで溶解し、遠心操作で不要物を沈澱させた。上清を分注して、使用するまで−30℃の冷凍庫で保存した。
5−1.ヤシャブシ抽出物によるインフルエンザウイルスin vitro感染阻害実験
実施例1で得た凍結乾燥したヤシャブシ抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ100mg/mLになるようにジメチルスルホキシドで溶解し、遠心操作で不要物を沈澱させた。上清を分注して、使用するまで−30℃の冷凍庫で保存した。このヤシャブシ抽出物を用いて、インフルエンザウイルスin vitro感染阻害実験を行った。
96ウェル丸底マイクロプレート(コスター製、製品番号3799)上の無血清MEM培地で希釈したインフルエンザウイルス懸濁液50μL/ウェルに対して、段階希釈したヤシャブシ各抽出物溶液を等量加え、4℃で1時間プレインキュベーションした。また対照としてウイルスを含まない無血清MEM培地を使用した。コンフルエントな単層となったMDCK細胞を無血清MEM培地100μL/ウェルで3回洗浄し、プレインキュベーションしたウイルス/ヤシャブシ抽出物混合溶液をそれぞれ50μL/ウェル加え、34.5℃、5%CO2存在下で30分間感染させた。以後実施例3の3−4.の方法に準じて実験を行った。
光学顕微鏡下で各ウェルの染色細胞数を計数した。ヤシャブシ抽出物を含まないウイルスのみを感染させたウェルの染色細胞数を100%とし、各ヤシャブシ抽出物存在下における染色細胞数の相対的な割合を感染率(%)とした。さらに、50%の感染率を示すヤシャブシ抽出物濃度を50%阻害濃度(IC50)として算出した(表2)。なお実験は3系列で行った。
実施例1で得た凍結乾燥したヤシャブシ抽出物を秤量し、濃度がそれぞれ100mg/mLになるようにジメチルスルホキシドで溶解し、遠心操作で不要物を沈澱させた。上清を分注して、使用するまで−30℃の冷凍庫で保存した。このヤシャブシ抽出物を用いて、インフルエンザウイルスin vitro感染阻害実験を行った。
96ウェル丸底マイクロプレート(コスター製、製品番号3799)上の無血清MEM培地で希釈したインフルエンザウイルス懸濁液50μL/ウェルに対して、段階希釈したヤシャブシ各抽出物溶液を等量加え、4℃で1時間プレインキュベーションした。また対照としてウイルスを含まない無血清MEM培地を使用した。コンフルエントな単層となったMDCK細胞を無血清MEM培地100μL/ウェルで3回洗浄し、プレインキュベーションしたウイルス/ヤシャブシ抽出物混合溶液をそれぞれ50μL/ウェル加え、34.5℃、5%CO2存在下で30分間感染させた。以後実施例3の3−4.の方法に準じて実験を行った。
光学顕微鏡下で各ウェルの染色細胞数を計数した。ヤシャブシ抽出物を含まないウイルスのみを感染させたウェルの染色細胞数を100%とし、各ヤシャブシ抽出物存在下における染色細胞数の相対的な割合を感染率(%)とした。さらに、50%の感染率を示すヤシャブシ抽出物濃度を50%阻害濃度(IC50)として算出した(表2)。なお実験は3系列で行った。
5−2.センダン抽出物によるインフルエンザウイルスin vitro感染阻害実験(比較試験)
実施例4で得たセンダン抽出物について、ヤシャブシ抽出物と同様の方法(実施例5−1)に基づき、インフルエンザウイルスのin vitro感染阻害実験を行った(表3)。
実施例4で得たセンダン抽出物について、ヤシャブシ抽出物と同様の方法(実施例5−1)に基づき、インフルエンザウイルスのin vitro感染阻害実験を行った(表3)。
表2及び表3の結果より、本発明のヤシャブシ抽出物とインフルエンザウイルスの予防効果を有するセンダンの抽出物(特許文献1)を比較した。その結果、ヤシャブシ抽出物はセンダン抽出物よりも、亜臨界抽出物では5.5〜9.5倍、温熱水抽出物では126〜1100倍高いインフルエンザウイルスの阻害効果を示した。このことより、ヤシャブシ抽出物はインフルエンザウイルスの増殖を効果的に阻害できることがわかった。
Claims (8)
- ヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物を含有することを特徴とする抗ウイルス剤。
- 前記抽出物が温熱水抽出または亜臨界抽出により得られる請求項1記載の抗ウイルス剤。
- 前記抽出物が、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含む請求項1又は2記載の抗ウイルス剤。
- インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の抗ウイルス剤。
- ヤシャブシ(Alnus firma)の抽出物を含有することを特徴とする抗菌剤。
- 前記抽出物が温熱水抽出または亜臨界抽出により得られる請求項5記載の抗菌剤。
- 前記抽出物が、ケンフェロール、カテキン、ケルセチンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含む請求項5又は6記載の抗菌剤。
- 歯周病菌に対する抗菌活性を有することを特徴とする請求項5、6又は7記載の抗菌剤。
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