JP2011093129A - 長尺中空状セラミック部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長尺中空状セラミック部材の成形体の乾燥工程において、長尺中空状セラミック部材の角部は他の部分に比べ肉厚であることから、角部中央付近に亀裂が生じるという問題があった。
【解決手段】 長手方向に貫通した中空部11を有する長尺中空状セラミック部材1であって、長手方向に垂直な断面の外周が多角形状であり、断面において中空部11は外形が外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、断面の外周角部に長手方向に延びる溝12が設けられている。外周角部に長手方向に延びる溝12を設けることで角部中央付近の乾燥を促進させることができるので、角部中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 長手方向に貫通した中空部11を有する長尺中空状セラミック部材1であって、長手方向に垂直な断面の外周が多角形状であり、断面において中空部11は外形が外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、断面の外周角部に長手方向に延びる溝12が設けられている。外周角部に長手方向に延びる溝12を設けることで角部中央付近の乾燥を促進させることができるので、角部中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶または半導体の製造装置または精密測定装置に用いられる大型の長尺中空状セラミック部材に関する。
近年、液晶または半導体の製造装置または精密測定装置の大型化に伴い、これらの装置に用いるセラミックスからなる構造部品、例えば基板の支持部材も大型化されてきている。この大型化された支持部材には、長さが1mを超えるような長尺セラミック部材が用いられることがある。このような大型の長尺セラミック部材は、重いために取り扱いが困難であり、この長尺セラミック部材を組み付けた装置もその重さのために搬送や移動が困難であることから、長尺セラミック部材の中央部に長さ方向に連続した中空部を形成して中空状とすることによって軽量化が行なわれている。
従来から、1mを超える長尺中空状セラミック部材を得るための成形方法として、押出成形法が用いられている。押出成形法とは、粘土状に調製された成形原料である坏土を特定の出口形状を有する金型から押し出すことによって、特定の断面形状を有する成形体を連続的に成形する方法であり、棒状や筒状の長尺の成形体を得ることができる成形法である。この成形法で得られた成形体を乾燥した後に焼成することによって、長尺のセラミック焼結体が得られる。そして、この長尺セラミック焼結体を研削加工すれば、長尺セラミック部材を得ることができる。
このような長尺セラミック部材においては、乾燥工程における乾燥収縮の際に亀裂や曲がりを生じさせないことが必要である。
また、軽量化のために中空部を形成した長尺中空状セラミック部材の成形体では、乾燥工程において中空部内の空気が滞留してしまうので、成形体の中空部側付近(成形体の内面側)の乾燥が不十分となってしまうことから、中空部側付近に亀裂が生じるという問題があった。
ここで、図9は従来の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の一例を示す部分破断斜視図である。図9に示す長尺中空状セラミック部材6は、長手方向に垂直な断面の外周91が四角形状で、長手方向に貫通する四角形状の中空部92を有する長尺中空状セラミック部材6である。なお、図9においては、この長尺中空状セラミック部材6の4つの角部93を斜線のハッチングを施して示している。
このような長尺中空状セラミック部材6において中空部92側付近に亀裂が生じるという問題を解決するために、特許文献1には、押出成形体を連続したままで、かつ押出速度で移動中にマイクロ波と遠赤外線ヒータの雰囲気中を通過させるとともに、特に中空部においては内部にドライエアを押出方向に平行に送給し、かつ中空部の水蒸気を外部へ排気するように押出成形体の裏面に排気口を穿設して水蒸気を外部へ排出させ、加熱時に水蒸気が中空部内に滞留して悪影響を与えるのを排除し、押出成形体をより迅速に変形および亀裂が生じないように同一レベルの直線ライン上で乾燥し、焼成してセラミック板を製造する方法が開示されている。これによれば、押出成形体の中空部裏面に多数の排気口を穿設し、押出成形機の口金に内蔵された中子にドライエア等を供給して押出成形体の中空部内の水蒸気を外部へ排気しつつ乾燥させることで、亀裂のない長尺の乾燥体を得ることができるというものである。
しかしながら、近年求められている長尺セラミック部材は大型化しており、それに伴い軽量化するために中空状とした長尺中空状セラミック部材の肉厚も厚いものとなっている。とりわけ、長尺中空状セラミック部材6の角部93は他の部位に比べて対角線方向に肉厚が厚い部分であるので、特許文献1に開示されている製造方法では、角部93の乾燥が不十分であった。そのため、乾燥が進んで成形体が乾燥収縮すると、乾燥が遅い角部93の中央付近に亀裂が生じるという課題があった。
本発明はかかる従来技術の課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、長尺中空状セラミック部材の角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる長尺中空状セラミック部材を提供することにある。
本発明の長尺中空状セラミック部材は、長手方向に貫通した中空部を有する長尺中空状セラミック部材であって、長手方向に垂直な断面の外周が多角形状であり、前記断面において前記中空部は外形が前記外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、前記断面の外周角部に、長手方向に延びる溝が設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材は、上記構成において、前記溝の深さが、前記断面における前記溝が設けられた前記外周の辺と前記中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、前記溝の幅が、前記断面における前記溝が設けられた前記外周角部の他方の辺と前記中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材は、上記各構成において、前記溝の内面の算術平均粗さRaが外周面の算術平均粗さRaよりも大きいことを特徴とするものである。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材は、上記各構成において、前記溝が全ての前記外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられていることを特徴とするものである。
本発明の長尺中空状セラミック部材によれば、長手方向に貫通した中空部を有する長尺中空状セラミック部材であって、長手方向に垂直な断面の外周が多角形状であり、断面において中空部は外形が外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、断面の外周角部に、長手方向に延びる溝が設けられていることから、断面の外周角部における乾燥が溝によって促進されるので、乾燥収縮の差によって角部中央付近にかかる歪みを小さくすることができ、また、その溝から角部中央付近の乾燥が促進されるので、角部中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材によれば、溝の深さが、断面において、溝が設けられた外周の辺と中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、溝の幅が、断面における溝が設けられた外周角部の他方の辺と中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であるときには、角部中央付近の乾燥をより効率よく促進させることができる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材によれば、溝の内面の算術平均粗さRaが外周面の算術平均粗さRaよりも大きいときには、溝の内面の表面積がより大きくなることから、角部中央付近の乾燥を効率的に促進することができ、角部中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材によれば、溝が全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられているときには、各外周面の強度が均一化されるので、外周面によって強度の偏りがなく、全体としての強度を向上させることができる。
以下、本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の例について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の一例を示す、(a)は部分破断斜視図であり、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図である。
図1(a)および(b)に示す例の長尺中空状セラミック部材1は、長手方向に垂直な断面(以下、単に断面ともいう)の外周が四角形状であり、外形がその四角形状の各辺に平行な辺を有する四角形状の中空部11が形成されている。また、この長尺中空状セラミック部材1の4つの外周角部には、それぞれ長手方向に延びる溝12が設けられている。この溝12の断面形状は四角形状であり、深さDおよび幅Wについては後述する。
本発明の長尺中空状セラミック部材は、長手方向に貫通した中空部11を有する長尺中空状セラミック部材1であって、断面の外周が多角形状であり、その断面において中空部11は外形が長尺中空状セラミック部材1の外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、断面の外周角部に、長手方向に延びる溝12が設けられていることが重要である。
長尺中空状セラミック部材1の断面の外周が多角形状であり、その断面において中空部11が、外形が外周に平行な辺を有する多角形状であれば、長尺中空状セラミック部材1の中空部11と外周との間の肉厚を各辺において同じにできるから、乾燥の際に、長尺中空状セラミック部材1の成形体全体の乾燥収縮を各辺において同じにすることができ、乾燥が不十分となりがちな外周角部の中央付近にかかる歪みを小さくすることができる。その結果、外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑えることができる。さらに、外周角部に長手方向に延びる溝12が設けてあるから、その溝12から外周角部の中央付近の成形体内部の水分などの溶媒成分が蒸発しやすくなり、乾燥時に外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。また、焼成時にも、溝12から外周角部の全体に熱が伝わりやすいから、焼成工程でも外周角部に亀裂が生じるのを抑制することができる。
次に、図2〜4に本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の他の例を示す。なお、図1に示した例と共通の部位を表す場合は同じ参照符号を用いて示す。
図2は本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の他の例を示す、(a)は部分破断斜視図であり、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図である。
図2に示す例の長尺中空状セラミック部材2は、断面の外周が三角形状であり、外形がその三角形状の各辺に平行な辺を有する三角形状の中空部11が形成されている。そして、この長尺中空状セラミック部材2の3つの外周角部には、長手方向に延びる溝12がそれぞれ設けられている。
図3は本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の他の例を示す、(a)は部分破断斜視図であり、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図である。
図3に示す例の長尺中空状セラミック部材3は、断面の外周が五角形状であり、外形がその五角形状の各辺に平行な辺を有する五角形状の中空部11が形成されている。そして、この長尺中空状セラミック部材3の5つの外周角部には、長手方向に延びる溝12がそれぞれ設けられている。
図4は本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の他の例を示す、(a)は部分破断斜視図であり、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図である。
図4に示す例の長尺中空状セラミック部材4は、断面の外周が四角形状であり、外形が円形状である中空部11が形成されている。そして、この長尺中空状セラミック部材4の4つの外周角部には、長手方向に延びる溝12がそれぞれ設けてある。
このように、図2および図3に示す例の長尺中空状セラミック部材2および3の場合には、図1に示す長尺中空状セラミック部材1について説明したように、長尺中空状セラミック部材2,3の外周と中空部11の外形とが同じ多角形状であることから、長尺中空状セラミック部材2,3の中空部11と外周との間の肉厚を各辺において同じにできるから、成形体の乾燥の際に、長尺中空状セラミック部材2,3の成形体全体の乾燥収縮を各辺において同じにすることができ、乾燥が不十分となりがちな外周角部の中央付近にかかる歪みを小さくすることができるので、外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑えることができる。
また、図4に示す例の長尺中空状セラミック部材4の場合には、断面の外周が四角形状の長尺中空状セラミック部材4の円形状の中空部11が、断面の外形が外周の各辺に平行な四角形に内接するように形成されており、長尺中空状セラミック部材4の中空部11と外周との間の肉厚のばらつきを小さくすることができる。
加えて、それぞれの長尺中空状セラミック部材2〜4の外周角部には長手方向に延びる溝12が設けてあることから、その溝12から外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分が蒸発しやすくなり、乾燥時に外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。また、焼成時にも、溝12から外周角部の全体に熱が伝わりやすいから、焼成工程でも外周角部に亀裂が生じるのを抑制することができる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材においては、溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であることが好ましい。
本発明者は、長尺中空状セラミック部材1〜4の成形体から外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分を効率よく蒸発させるためには、溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であればよいことを見出した。
溝12の深さDが上記の1/4以上1/2以下の範囲であり、溝12の幅Wが上記の1/4以上1/2以下の範囲であれば、長尺中空状セラミック部材1〜4の成形体からの外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分の蒸発速度を最適化して、外周角部において亀裂が生じるのをより効果的に抑制することができて好ましい。
本例の長尺中空状セラミック部材1〜4の外周角部に設けられた溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4未満であると、溝12は相対的に浅くなり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4未満であると、溝12は相対的に狭くなるので、溝12から蒸発する外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分が相対的に少なくなって、亀裂が生じるのを抑制する効果が減少する傾向がある。
また、本例の長尺中空状セラミック部材1〜4の外周角部に設けられた溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/2より大きくなると、溝12は相対的に深くなり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/2より大きくなると、溝12は相対的に広くなるので、溝12から蒸発する外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分が相対的に多くなって、外周角部の中央付近の乾燥が早く進むようになり、他の部位の乾燥収縮と差が生じて亀裂が生じる可能性があり、外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制する効果が減少する傾向がある。
なお、図4に示す例の長尺中空状セラミック部材4のように、断面において、外周が多角形状であり、中空部11の外形がその外周の辺と平行な多角形に内接するような円形状に形成された長尺中空状セラミック部材の場合は、溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と、その外周の辺と平行な辺を持つ中空部11の外形の外接多角形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と、その外周の辺と平行な辺をもつ中空部11の外形の外接多角形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であればよい。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材においては、溝12の内面の表面粗さである算術平均粗さRaが、外周面の表面粗さである算術平均粗さRaよりも大きいことが好ましい。
図1〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材1〜4の成形体では、溝12の内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を大きくすれば、溝12の内面の表面積はより大きくなり、この大きくなった表面積の表面から水分などの溶媒成分が蒸発するので、外周角部の中央付近の乾燥をより効果的に促進することができる。
なお、溝12の表面積を変えるのは、溝12の表面粗さを変えることの他にも、長尺中空状セラミック部材1〜4の長手方向に垂直な断面における溝12の断面形状を変えることでも可能である。以上の例では溝12の断面形状は四角形状のものを示したが、例えば、図5(a)〜(c)にそれぞれ本発明の長尺中空状セラミック部材の長手方向に垂直な断面における溝の断面形状の例を要部断面図で示すように、図5(a)に示す例のU字状、図5(b)に示す例のV字状または図5(c)に示す例のV字状に底面を設けた形状などを適宜選択して採用することもできる。なお、図5(a)〜(c)は要部断面図であるが、それぞれ断面に施すハッチングは省略している。
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材について、複数の中空部を設けた場合の例を説明する。
図6は、長手方向に貫通する複数の中空部が設けられた本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の例における外周および中空部の形状を示す、(a)はそれぞれ外周が四角形状の場合の3つの例の断面図であり、(b)は断面の外周の形状が三角形状の場合の例の断面図であり、(c)はそれぞれ断面の外周の形状が五角形状の場合の2つの例の断面図である。
図6(a)は、断面の外周の形状が四角形状の場合に、複数の中空部11が設けられた例の長尺中空状セラミック部材A1〜A3を示す断面図である。これらの中空部11は、全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ四角形状の外形62の各辺が外周の各辺と平行になるような配置で形成されている。
図6(a)に示す第1の例の長尺中空状セラミック部材A1の場合は、外周が四角形状であり、四角形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する四角形状の外形62に内包されるように2つ設けられている。
また、図6(a)に示す第2の例の長尺中空状セラミック部材A2の場合は、外周が四角形状であり、楕円形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する四角形状の外形62に内包されるように2つ設けられている。
また、図6(a)に示す第3の例の長尺中空状セラミック部材A3の場合は、外周が四角形状であり、三角形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する四角形状の外形62に内包されるように4つ設けられている。
次に、図6(b)に示す例は、断面の外周の形状が三角形状の場合に、複数の中空部11が設けられた例の長尺中空状セラミック部材Bを示す断面図である。この中空部11は、全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ三角形状の外形62の各辺が外周の各辺と平行になるような配置で形成されている。
図6(b)に示す例の長尺中空状セラミック部材Bの場合は、外周が三角形状であり、三角形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する三角形状の外形62に内包されるように2つ設けられている。
次に、図6(c)に示す例は、断面の外周の形状が五角形状の場合に、複数の中空部11が設けられた例の長尺中空状セラミック部材C1,C2を示す断面図である。これらの中空部11は、全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ五角形状の外形62の各辺が外周の各辺と平行になるような配置で形成されている。
図6(c)に示す第1の例の長尺中空状セラミック部材C1の場合は、外周が五角形状であり、五角形状の外形62の一部にならった形状の四角形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する五角形状の外形62に内包されるように2つ設けられている。
また、図6(c)に示す第2の例の長尺中空状セラミック部材C2の場合は、外周が五角形状であり、円形状の外形の中空部11が、外周の各辺と平行な各辺を有する五角形状の外形62に内包されるように、外形62の各角部に1つずつと中心部に1つとの計6つ設けられている。
これらの例のように、長尺中空状セラミック部材に、多角形状の外周の各辺に平行な各辺を有する多角形状の外形62に内包されるような配置で長手方向に貫通する複数の中空部11を設けることによって、それら中空部11と中空部11との間のセラミックス部分が補強部61となり、長さ方向の曲げ強度を強化した長尺中空状セラミック部材A1〜A3,B,C1およびC2を得ることができる。
このように複数の中空部11を設けた本例の長尺中空状セラミック部材A1〜A3,B,C1およびC2では、断面において全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ多角形状の外形62の各辺が外周の各辺と平行になるように配置してそれらの中空部11を形成して、外周角部に長手方向に延びる溝12を設けている。このように中空部11を形成すれば、長尺中空状セラミック部材の中空部11と外周との間の肉厚のばらつきを小さくできるので、成形体の乾燥収縮のときに外周角部の中央付近にかかる歪みを小さくすることができ、また、溝12から外周角部の中央付近の水分などの溶媒成分が蒸発しやすいので、成形体の乾燥時に外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制することができる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材は、溝12が全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられていることが好ましい。
図7は本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の他の例を示す、(a)は部分破断斜視図であり、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図である。
図7に示す例の長尺中空状セラミック部材5は、断面の外周が四角形状であり、外形がその四角形状の各辺に平行な辺を有する四角形状の中空部11が形成されている。そして、この長尺中空状セラミック部材5の4つの外周角部には、長手方向に延びる溝12が全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けてある。すなわち、図7(a)に示す端面において図示しているように、四角形状の端面の左下の外周角部では左側の外周面に、右下の外周角部では下側の外周面に、右上の外周角部では右側の外周面に、左上の外周角部では上側の外周面に、それぞれ1つずつの溝12を設けてある。
従って、本例の長尺中空状セラミック部材5によれば、溝12が全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられているので、例えば1つの外周面に溝12が複数設けられることがないので強度的に弱い部分が無くなることから、各外周面の強度は均一化されて、全体として長尺中空状セラミック部材5の強度が向上する。
なお、外周角部においてそれぞれの外周面に溝12を複数ずつ設ける場合でも、できる限り均等な配置となるように設けることが、各外周面の強度を均一化して全体としての強度を向上させることができる点で好ましい。
ここまで、本発明の長尺中空状セラミック部材の実施の形態の例を図1〜7に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、例えば断面における外周の形状が六角形状,七角形状または八角形状であったり、外周角部の角を取るいわゆる面取りを行なうなどの変更や改良を加えたりすることができることは言うまでもない。
また、図4には、断面の外周が四角形状であり、かつ中空部11の外形が円形状で、外周角部には長手方向に延びる溝12が設けてある長尺中空状セラミック部材4を示したが、本発明の長尺中空状セラミック部材は、円形状の中空部11を形成する場合の外周の形状はこの例に限定されるものではなく、外周の形状がその他の多角形状例えば、三角形状、五角形状、六角形状、七角形状または八角形状等であってもよい。外周の形状が多角形状であって、中空部11の外形が円形状の場合は、中空部11の外形を、外周の多角形状の各辺と平行な各辺を有する多角形に内接する円形状に形成し、あるいはその多角形に内包されるように配置して形成し、外周角部には長手方向に延びる溝12を設ければよい。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材において、溝12の深さ方向は、溝12を設ける外周面に対して垂直でなくてもよい。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材において、外周角部に設ける溝12は必ずしも全ての外周角部に設ける必要はなく、外周角部における亀裂の発生状況に応じて、外周角部の1つ以上に設ければよく、また1つの外周角部に1つ以上設ければよい。
本発明の長尺中空状セラミック部材の外周角部とは一般的な外周角部のことであるが、外周角部は、断面において、その外周の角をなす2つの直線と、その2つの直線の垂線で中空部11の外形の角の頂点を通る2つの直線とで囲まれる部分として、中空部11と外周面の肉厚が同じところ以外を外周角部とすれば、他の部分に比べて肉厚が厚い部分を外周角部として特定できる。この外周角部の外周部に溝12を設ける。
なお、本発明の長尺中空状セラミック部材は、構造部品の大型化に求められる、長尺で強度が高く、かつ軽量であることに応えるために、図1〜4および図7に示す長さLが0.5m以上であり、中空部11を有して強度を保つための厚みtが10mm以上40mm以下であるものに好適に適用できる。
また、本発明の長尺中空状セラミック部材に用いるセラミックスとしては、アルミナ,ジルコニアなどの酸化物セラミックス、または窒化珪素,炭化珪素などの非酸化物セラミックスを適用することが可能である。その中でも特に、液晶および半導体の製造工程や精密測定で用いられる薬品や腐食性ガスに対して良好な耐食性を有し、かつ適度な機械的強度を有するとともに他のセラミック材料と比較して安価であるアルミナセラミックスを用いるのが好ましい。
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材の製造方法について説明する。
図8は、本発明の長尺中空状セラミック部材を得るための押出成形機の例を示す概略断面図である。
図8に示すスクリュー式の押出成形機80は、坏土投入口82および坏土を混練するパッグスクリュー83を有するパッグミル部81と、真空引きして坏土中の気泡を排出する真空室84と、坏土を押し出すオーガスクリュー86を有するオーガ部85と、坏土を分断する複数の整流はねを放射状に備えた坏土整流部88および坏土剪断部89を備えて坏土を特定形状に成形する押し出し金型部87とから構成されている。
また、図示していないが、パッグスクリュー83およびオーガスクリュー86は、それぞれ片方を軸受けに接続固定されて、動力源に接続されている。さらに、真空室84にはその内部を真空引きするための真空ポンプ(図示せず)が接続されている。
この押出成形機80を用いる本発明の長尺中空状セラミック部材の製造方法では、アルミナ原料を主としたセラミック材料、バインダおよび溶媒を混合して坏土とし、この坏土を、複数の整流はねを放射状に備えた坏土整流部88と、長尺中空状成形体を得るための坏土剪断部89とを有するスクリュー式の押出成形機80を用いて押し出し成形し、得られた長尺中空状成形体を焼成する。
ここで、本発明の長尺中空状セラミック部材の製造方法の詳細について説明する。
まず、アルミナ原料は、工業製品として多く利用されている市販のα−アルミナ原料で純度が99.5%以上,平均粒子径が1μm以上3μm以下のものが好ましく、さらにソーダ成分(Na2O)が0.1質量%以下のものであれば、焼成した際にソーダ成分(Na2O)が飛散して焼成炉内を汚染する心配が少なくて、なお好ましい。なお、このアルミナ原料の平均粒子径とは、レーザ回折式粒度分布測定法により測定された50%粒子径D50を表す。また、焼結助剤としては例えばマグネシア(MgO),シリカ(SiO2),カルシア(CaO)などを用いる。その添加総量は、アルミナ質焼結体のアルミナの純度が95質量%以上になるように焼結助剤の総量を5質量%以下にするのが、焼結体の剛性を高める上でよい。なお、予めアルミナ原料と焼結助剤とは水などの溶媒と混合してスラリー状にし、それを噴霧乾燥法(スプレードライ)により顆粒に造粒したものを用いても何ら差し支えない。
バインダとしては、一般に押し出し成形用の坏土に用いられるメチルセルロース(MC),カルボキシメチルセルロース(CMC),ヒドロキシプロピルセルロ−ス(HPC),ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルブチラール(PVB)などを用いる。バインダの添加総量は、アルミナ原料と焼結助剤とを含むセラミック材料100質量部に対して固形分で2質量部以上8質量部以下を添加すれば、押し出し成形時の流動性や成形体の保形性が高くてよい。さらに、潤滑剤として、ワックス,グリセリン,ステアリン酸などを固形分で1質量部以上8質量部以下の量で適宜添加してもよい。また、溶媒としては水が好適であり、特にイオン交換水が不純物の量が少ないため好ましい。そして、アルミナ原料を主とした焼結助剤を含むセラミック材料,バインダおよび溶媒を秤量して混合して、万能混合機や3本ロールなどを用いて混練する。この混練により、アルミナ原料および焼結助剤からなるセラミック材料の表面をバインダや溶媒が均一に包み込んで、可塑性を持った坏土となる。
次いで、この坏土を押出成形機80の坏土投入口82より投入する。投入された坏土は、パッグスクリュー83の回転によって混練され、パッグスクリュー83とパッグミル部81の内壁との隙間を通って、真空室84へと押し出される。真空室84へと押し出された成形原料は、真空室84に接続された真空ポンプによって内部の気泡が排出される。その後、オーガスクリュー86の回転により、オーガスクリュー86とオーガ部85との隙間を通って押し出し金型部87の方向へと押し出される。
押し出し金型部87には、本発明の長尺中空状セラミック部材における外周角部と対応する位置に、溝の開口部の形状に対応した凸部が設けられている。この押し出し金型部に設けられた凸部により、中空状成形体の外周角部に長手方向に延びる溝を設けることができる。
また、その凸部の表面粗さを、本発明の長尺中空状セラミック部材の外周面に対応する押し出し金型部87の表面粗さより大きくすれば、溝の内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)をその外周面の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きくすることができる。なお、押し出し成形後に、小型のサンドブラスト装置を用いて溝の内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を調整してもよい。
次に、押し出し成形により得られた長尺中空状セラミック部材の成形体を乾燥機に入れ、大気雰囲気にて室温付近の20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥させる。その後、アルミナ原料の純度や焼結助剤の種類に応じて、大気雰囲気の焼成炉を用いて1550℃以上1650℃以下の焼成温度で焼成を行なう。
最後に、得られた焼結体に所望の寸法となるように仕上げ加工を施すことにより、長尺中空状セラミック部材を得る。
また、仕上げ加工において、長尺中空状セラミック部材に設けられた溝の形状に対応した形状の金属板やセラミック板を溝に嵌めて接着剤で接着して長尺中空状セラミック部材を補強したり、溝に光硬化性樹脂を充填して硬化させることによって長尺中空状セラミック部材を補強してもよい。
以上のような製造方法により、長尺中空状セラミック部材1〜5の外周角部に、長手方向に延びる溝12を設け、好ましくは溝12の深さDを、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下とし、溝12の幅Wを、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下とすることで、長尺中空状セラミック部材の成形体の乾燥工程において外周角部に設置された溝12から水分などの溶媒成分が蒸発し、外周角部の中央付近の乾燥が速まり、乾燥の際の長尺中空状セラミック部材の成形体の乾燥収縮による外周角部の中央付近での亀裂の発生を抑制することができる長尺中空状セラミック部材1〜5を得ることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の長尺中空状セラミック部材と従来の長尺中空状セラミック部材とを同様の製造工程を用いて製造し、長尺中空状セラミック部材の外周角部の中央付近の乾燥収縮に起因する亀裂が生じるかどうか確認する試験を実施した。また、長尺中空状セラミック部材の中空部11と外周との間の肉厚のばらつきが、外周角部の中央付近に生じる亀裂に対して影響するかどうか確認する試験を実施した。以下、試験の詳細および結果について説明する。
まず、アルミナ原料の純度が99.8%、ソーダ成分(Na2O)が0.05質量%の低ソーダのα−アルミナ原料を96質量%と、マグネシア,カルシア,シリカを含む焼結助剤の総量が4質量%とを混合して100質量%として、この混合したセラミック材料100質量部に対し、バインダにはメチルセルロースを4質量部とポリビニルアルコールを2質量部と、潤滑剤にはワックスを2質量部と、そしてイオン交換水を14質量部とを秤量して混合し、さらに3本ロールミルにて混練して、押し出し成形用の坏土とした。
(実施例1)
作製した坏土を用いて図8に示す押出成形機80によって押し出し成形を行ない、図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状で、厚みtが10mm,長さLが1m,幅が65mm,高さが65mmの外形寸法で、溝12の深さDが5mmで幅Wが3mmとなる実施例の成形体Xを30本作製した。それから、その成形体Xを20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥させ、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体Xの本数を確認した。また、長尺中空状セラミック部材1と同様の外形寸法で、溝12の無い従来の長尺中空状セラミック部材となる比較例の成形体Yを30本作製し、同条件で乾燥させた。それから、作製した成形体XおよびYの中から無作為にそれぞれ20本選択し、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体の本数を確認した。確認には、それぞれの成形体XおよびYを長さ方向に垂直に複数箇所切断して、外周角部の中央付近の亀裂の有無を目視で調べた。
作製した坏土を用いて図8に示す押出成形機80によって押し出し成形を行ない、図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状で、厚みtが10mm,長さLが1m,幅が65mm,高さが65mmの外形寸法で、溝12の深さDが5mmで幅Wが3mmとなる実施例の成形体Xを30本作製した。それから、その成形体Xを20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥させ、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体Xの本数を確認した。また、長尺中空状セラミック部材1と同様の外形寸法で、溝12の無い従来の長尺中空状セラミック部材となる比較例の成形体Yを30本作製し、同条件で乾燥させた。それから、作製した成形体XおよびYの中から無作為にそれぞれ20本選択し、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体の本数を確認した。確認には、それぞれの成形体XおよびYを長さ方向に垂直に複数箇所切断して、外周角部の中央付近の亀裂の有無を目視で調べた。
その結果、本発明の実施例の成形体Xは、同じ寸法の比較例の成形体Yよりも、角部に亀裂が生じなかった成形体の本数が多かった。
さらに、作製した残りの乾燥した成形体Xおよび成形体Yを、大気雰囲気の焼成炉を用いて1600℃の温度で焼成して焼結体を作製し、成形体XおよびYと同様に長さ方向に垂直に複数箇所切断して、外周角部の中央付近の亀裂の有無を目視で確認した。
その結果、本発明の実施例の長尺中空状セラミック部材1は、同じ寸法の比較例の長尺中空状セラミック部材よりも、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった焼結体の本数が多かった。
また、同様の試験を図2〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材2〜4の形状でも行なったところ、結果は同じで、乾燥工程および焼成工程ともに本発明の実施例の長尺中空状セラミック部材の方が比較例よりも外周角部の中央付近に亀裂が生じた本数が少なかった。
次に、同様の製造工程により、図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状で、長さLが1m,幅が65mm,高さが65mmの外形寸法で、溝12の深さDが5mm,幅Wが3mmとなり、断面において外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の公差が±4mmで厚みtの平均値が10mmとなるように中空部11を設けた長尺中空状セラミック部材となる実施例の成形体Zを20本作製し、成形体X,Yと同条件で乾燥させて、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体Zの本数を確認した。
その結果、外周角部の中央付近に亀裂の生じなかった実施例の成形体Zの数は、亀裂の生じなかった比較例の成形体Yの本数より多かったが、亀裂の生じなかった実施例の成形体Xより少なかった。
また、同様の試験を図2〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材2〜4の形状でも行なったところ、同様の結果が得られた。
この結果から、本発明の長尺中空状セラミック部材は、従来の長尺中空状セラミック部材に比べて、外周角部の中央付近に亀裂が生じるのを抑制できることが分かった。
(実施例2)
次に、実施例1と同様の製造工程を用いて、本発明の長尺中空状セラミック部材の溝の深さと幅の大きさとが、外周角部の中央付近に生じる亀裂に対して影響するのかどうか確認する試験を実施した。
次に、実施例1と同様の製造工程を用いて、本発明の長尺中空状セラミック部材の溝の深さと幅の大きさとが、外周角部の中央付近に生じる亀裂に対して影響するのかどうか確認する試験を実施した。
図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状で、厚みtが10mm,長さLが1m,幅が65mm,高さが65mmの外形寸法で、表1に示す深さDおよび幅Wの溝12が外周角部に設けられた、成形体No.1〜25をそれぞれ20本作製した。また、同じ外形寸法で溝12が無い従来の長尺中空状セラミック部材となる成形体No.26を20本作製した。そして、作製した成形体No.1〜26を20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥し、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体の本数を確認した。また、同様の試験を図2〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材2〜4の形状でも行なった。その結果を表1に示す。なお、表1中のDtは、断面における溝が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離を、Wtは断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離を示す。
表1に示す結果から分かるように、図1〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材1〜4の形状のいずれの場合でも、成形体No.1〜25は、溝12のない成形体No.26に比べ角部中央付近に亀裂が生じなかった本数は多かった。
また、図1〜4に示す本発明長尺中空状セラミック部材1〜4の形状いずれの場合でも、成形体No.7〜9,No.12〜14およびNo.17〜19のような、溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離Dtの1/4以上1/2以下であり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離Wtの1/4以上1/2以下の成形体では、作製した20本の成形体のうち8割以上の成形体で外周角部の中央付近に亀裂が生じていなかった。この範囲以外の深さD,幅Wの溝12を設けた成形体では、亀裂が生じなかった成形体の本数が作製した20本の成形体の8割以上となるものはなかった。
この結果、本発明の長尺中空状セラミック部材では、溝12の深さDが、断面における溝12が設けられた外周の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、溝12の幅Wが、断面における溝12が設けられた外周角部の他方の辺と中空部11の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であることが好適であることが分かった。
(実施例3)
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材の溝の内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を変更した試料を製造し、その効果を確認する試験を実施した。
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材の溝の内面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を変更した試料を製造し、その効果を確認する試験を実施した。
実施例2と同じ製造方法により、図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状の成形体No.9を、焼結体の外周面の表面粗さ(算術平均粗さRa、以下、表面粗さRaともいう)が3μmであり、溝12の内面の表面粗さRaが表2の値となるように変更した成形体No.27〜37をそれぞれ20本作製した。なお、押出成形機80の押し出し金型部87の成形体の外周面と溝12の内面にそれぞれ対応する部分の面粗さを調整することによって、成形体No.27〜37の表面粗さRaを変更した。そして、実施例2の試験と同様に、表面粗さRaを調整した成形体No.27〜37を、20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥させて、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体の本数を確認した。また、同様の試験を図2〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材2〜4の形状でも行ない、その結果を表2に示す。
表2に示す結果から分かるように、図1〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材1〜4の形状のいずれの場合でも、溝12の内周面の表面粗さRaが外周面の表面粗さRaよりも大きければ、外周角部の中央付近に亀裂が生じなかった成形体の本数が多かった。
この結果、本発明の長尺中空状セラミック部材では、溝12の内面の表面粗さRaが外周面の表面粗さRaよりも大きいと、亀裂が生じるのをより抑制できることが分かった。
(実施例4)
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材について、外周角部に設ける溝の位置を種々変更した試料を実施例1と同様の製造方法により製造し、その効果を確認する試験を実施した。
次に、本発明の長尺中空状セラミック部材について、外周角部に設ける溝の位置を種々変更した試料を実施例1と同様の製造方法により製造し、その効果を確認する試験を実施した。
図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状で、厚みtが10mm,長さLが1m,幅が65mm,高さが65mmの外形寸法で、溝12の深さDが5mm,幅Wが3mmとなる成形体を20本作製した。このとき、溝12は図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1と同様の位置に設けた。
同様にして、外形寸法と溝12の深さDと幅Wとが同じで、溝12を全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けた、図7に示す例の長尺中空状セラミック部材5の形状の成形体を20本作製した。それから、作製した成形体を20℃から徐々に80℃付近まで昇温して乾燥させ、大気雰囲気の焼成炉を用いて1600℃の温度で焼成して焼結体を作製した。
そして、大型の曲げ試験機(株式会社鷺宮製作所製 BMH203)を用いて、作製した長尺中空状セラミック部材1または5の試料を外周面に対して垂直な荷重がかかるように固定し、試料のそれぞれの外周面に対する3点曲げ強度(以下、強度という)を測定した。なお、強度測定は、各外周面に対して5回ずつ測定し、これらの平均値を各外周面の強度とした。なお、強度を測定する面は、押出成形機80から押し出し成形された状態を基準として各面が特定できるようにしておいてから測定した。
その結果、図1に示す例の長尺中空状セラミック部材1の形状の試料では、外周面のうち溝12を設けた外周面すなわち上面および下面に対する強度を測定した値は、溝12を設けていない外周面すなわち左面および右面に対する強度に比べて小さかった。
また、溝12を全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けた図7に示す例の長尺中空状セラミック部材5の形状の試料では、各外周面に設けられた溝12の数は全ての外周面で同じであることから、各外周面に対する強度はあまり差が無かった。さらに、それらの外周面すなわち1つの溝が設けられた外周面の強度は、長尺中空状セラミック部材1の形状の試料の上面および下面、すなわち2つの溝12が設けられた外周面に比べて強度が大きかった。
次に、同様の試験を図2〜4に示す例の長尺中空状セラミック部材2〜4についても、各外周面に対して強度測定を5回ずつ行なうために、外周面の数×5本(4(面)×5(本)=20(本))の試料をそれぞれ作製して、強度測定を行なったところ、同様の結果が得られた。
以上の結果から、本発明の長尺中空状セラミック部材では、溝12が全ての外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられていれば、各外周面の強度が均一化されて、全体として長尺中空状セラミック部材の強度が向上することが分かった。
1〜5:長尺中空状セラミック部材
11:中空部
12:溝
61:補強部
62:全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ多角形状の外形
D:溝の深さ
W:溝の幅
L:長尺中空状セラミック部材の長さ
t:肉厚
11:中空部
12:溝
61:補強部
62:全ての中空部11を内包し、かつ最小の面積を持つ多角形状の外形
D:溝の深さ
W:溝の幅
L:長尺中空状セラミック部材の長さ
t:肉厚
Claims (4)
- 長手方向に貫通した中空部を有する長尺中空状セラミック部材であって、長手方向に垂直な断面の外周が多角形状であり、前記断面において前記中空部は外形が前記外周に平行な辺を有する多角形状または円形状に形成されており、前記断面の外周角部に、長手方向に延びる溝が設けられていることを特徴とする長尺中空状セラミック部材。
- 前記溝の深さが、前記断面における前記溝が設けられた前記外周の辺と前記中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であり、前記溝の幅が、前記断面における前記溝が設けられた前記外周角部の他方の辺と前記中空部の外形の辺との間の距離の1/4以上1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の長尺中空状セラミック部材。
- 前記溝の内面の算術平均粗さRaが外周面の算術平均粗さRaよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の長尺中空状セラミック部材。
- 前記溝が全ての前記外周角部に1つずつ、それぞれ異なる外周面に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長尺中空状セラミック部材。
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2009
- 2009-10-28 JP JP2009247269A patent/JP2011093129A/ja active Pending
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130205 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130611 |