JP2011093053A - 切削工具およびその製造方法 - Google Patents

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憲志 油本
Makoto Yasuda
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Abstract

【課題】クレータ摩耗や硬質被膜の剥離による切刃の欠損、チッピングを抑制する。
【解決手段】硬質被膜14が被覆された工具本体1のすくい面2と逃げ面3との交差稜線部に、この交差稜線部に直交する断面においてすくい面2と逃げ面3とに交差する方向に直線状に延びるチャンファー面11と、チャンファー面11と逃げ面3とに滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面12とを有する複合ホーニング面13を形成し、Rホーニング面12ではその突端部12aにおいて硬質被膜14を除去して工具本体1の母材6を露出し、露出した母材6との境界部12bからRホーニング面12とチャンファー面11との連接部12cにかけては硬質被膜14が膜厚を漸次増大させるように残されて、チャンファー面11では連接部12cに連続して硬質被膜14が略一定の膜厚で被覆される。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えばcBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体のような硬質材料を切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部における母材とし、さらにその表面にTiNやTiAlN、TiCN等の硬質被膜が被覆された切削インサート等の切削工具およびその製造方法に関するものである。
このような硬質材料よりなる母材表面に硬質被膜が被覆された切削工具として、例えば特許文献1には、超硬合金よりなる母材の表面にダイヤモンドやcBNを主体とする硬質被膜を被覆した後、すくい面と逃げ面との境界部近傍にチャンファーホーニングや丸ホーニング(Rホーニング)、あるいはこれらの複合ホーニングを施すことにより、すくい面と逃げ面とで硬質被膜を不連続にして母材を露出させる不連続部分を形成した切削インサートが提案されている。また、特許文献2には、こうして形成された不連続部分にTiCやTiN、ダイヤモンドやcBN等の第2硬質膜を被覆したものが提案されている。
さらに、特許文献3においても、切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部がcBN焼結体によって形成されるとともに、工具本体の表面がTi、Cr、Zr、Vの窒化物から少なくとも1つとAl、Si、Bの窒化物から少なくとも1つまたはTiの窒化物か炭窒化物からなる硬質被膜で被覆され、上記交差稜線部においてはcBN焼結体が露出するようにチャンファーホーニングが施された切削工具(切削インサート)が提案されている。
特開平8−99201号公報 特開平8−174309号公報 米国特許出願公開第2008/0193724号明細書
ところが、このうち特許文献1、3に記載の切削工具のように、ホーニングによって形成されたホーニング面の全体において母材が露出するようにされたものでは、実質的にこのホーニング面と逃げ面との交差稜線が刃先として作用して切屑がホーニング面を擦過するように流出するため、切削時にクレータ摩耗が進行し易い。そして、このクレータ摩耗を起点にして切刃に欠損やチッピングが起こり易いという問題がある。
特に、特許文献3に記載された切削工具のように上記交差稜線部における母材がcBN焼結体である場合、cBN焼結体は超硬合金やサーメットなどに比べて硬質被膜の付着強度が低いため、切削時に最も高い負荷が作用する上記刃先部分では突発的な硬質被膜の剥離が生じて切刃欠損の原因ともなり得る。ところが、この特許文献3に記載の切削工具では、この刃先となるホーニング面と逃げ面との上記交差稜線には硬質被膜が残されたままであるため、欠損により切削工具の寿命が潰えてしまうおそれが一層高くなる。
一方、特許文献2に記載された切削工具では、元々母材表面に被覆された硬質被膜と、上記不連続部分に被覆された第2硬質膜との間に段差が生じることが避けられず、この段差から第2硬質膜が剥離し、その際に硬質被膜と第2硬質膜との付着性が高いと硬質被膜も同時に剥離してしまって、この剥離部分から切刃に欠損が生じるおそれがある。一方、硬質被膜と第2硬質膜との付着性が低い場合には、第2硬質膜自体が容易に剥離して母材が露出することにより、特許文献1に記載された切削工具と同様の構造となってしまうため、やはりクレータ摩耗やこれを起点にした切刃の欠損、チッピングを避けることができない。
本発明は、このような背景の下になされたもので、特にcBN焼結体のような硬質材料よりなる母材の表面に硬質被膜が被覆された切削工具にあって、クレータ摩耗や硬質被膜の剥離による切刃の欠損、チッピングを抑制することにより、長期に亙って安定した切削加工が可能な寿命の長い切削工具を提供し、またそのような切削工具の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の切削工具は、硬質被膜が被覆された工具本体の切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部に、該交差稜線部に直交する断面において上記すくい面と逃げ面とに交差する方向に直線状に延びるチャンファー面と、上記断面において上記チャンファー面と上記逃げ面とに滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面とを有する複合ホーニング面が形成され、この複合ホーニング面のうち、上記Rホーニング面においては、その突端部において上記硬質被膜が除去されて上記交差稜線部における上記工具本体の母材が露出させられるとともに、この突端部において露出した上記母材との境界部から該Rホーニング面と上記チャンファー面との連接部にかけては上記硬質被膜が膜厚を漸次増大させるように残されていて、上記チャンファー面においては上記連接部に連続して上記硬質被膜が略一定の膜厚で被覆されていることを特徴とする。
また、このような切削工具を製造する本発明の切削工具の製造方法は、上記工具本体の切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部に、該交差稜線部に直交する断面において上記すくい面と逃げ面とに交差して直線状に延びるチャンファー面を形成し、次いでこのチャンファー面を含めた少なくとも上記交差稜線部の周辺の上記すくい面と逃げ面とに上記硬質被膜を略一定の膜厚で被覆した後、上記チャンファー面と上記逃げ面との交差部に、上記断面において上記チャンファー面と上記逃げ面との上記硬質被膜の表面に滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面を、その突端部において上記硬質被膜が除去されて上記交差稜線部における上記工具本体の母材が露出させられるように形成することにより、このRホーニング面と上記チャンファー面とによって複合ホーニング面を形成することを特徴とする。
従って、例えばこのようにして製造される上記切削工具においては、すくい面と逃げ面との交差稜線部に形成されたチャンファー面とRホーニング面とからなる複合ホーニング面のうち、Rホーニング面においてはその突端部に硬質被膜が被覆されずに母材が露出した状態とされているので、切削時に実質的に刃先として作用するために大きな負荷が生じるこのRホーニング面の突端部において硬質被膜が突発的に剥離したりすることもなく、このような硬質被膜の剥離に伴う切刃の欠損を防ぐことができる。
その一方で、このRホーニング面に連なるチャンファー面では硬質被膜が略一定の膜厚で被覆されたままとされているので、上述のように刃先として作用するRホーニング面の突端部により生成された切屑がこのチャンファー面を擦過して流出しても、クレータ摩耗が進行するのを抑制して切刃の欠損やチッピングを防止することができる。
そして、さらにこの複合ホーニング面においては、上記Rホーニング面においてその突端部に露出した母材と硬質被膜との境界部から、断面凸円弧状をなすRホーニング面と直線状をなすチャンファー面との連接部にかけては、上記硬質被膜がその膜厚を漸次増大させるようにして残されているので、この複合ホーニング面において硬質被膜に段差が生じたりすることもなく、かかる段差から硬質被膜が剥離することにより切刃に欠損が生じ易くなってしまうこともない。
このため、上記構成の切削工具によれば、特に上記交差稜線部における工具本体の母材がcBN焼結体のように硬質被膜の付着強度が低いものであっても、この硬質被膜の剥離による切刃の欠損やチッピング、あるいはクレータ摩耗の進行による切刃の欠損などを防止して、長寿命で安定した切削加工を行うことが可能となり、また上記構成の製造方法によれば、そのような切削工具を確実に製造することが可能となる。
ここで、上記断面において上記境界部における上記Rホーニング面の接線と上記チャンファー面がなす直線との交差角は15°〜40°の範囲内とされるのが望ましく、この範囲よりも上記交差角が小さいと、Rホーニング面の突端部に露出した母材との境界部側において硬質被膜の膜厚が薄くなりすぎてクレータ摩耗を確実に抑制することができなくなるおそれがある一方、この範囲よりも上記交差角が大きいと、同じく上記境界部側において硬質被膜の膜厚が急激に厚くなるようにして上記連接部に向かうことになるため、突発的な硬質被膜の剥離が生じ易くなる。
また、同じく上記断面において上記境界部から上記連接部までの上記チャンファー面がなす直線に沿った方向の幅は0.005mm〜0.015mmの範囲内とされるのが望ましく、この範囲よりも上記幅が小さいと、やはり上記境界部側において硬質被膜の膜厚が急激に厚くなることになり、逆にこの範囲よりも上記幅が大きいと、上記境界部側での硬質被膜の膜厚が薄くなりすぎるおそれがあって、切刃の欠損やチッピングを確実に防止することができなくなるおそれが生じる。
さらに、上記断面において上記Rホーニング面がなす凸円弧の半径は0.01mm〜0.03mmの範囲内とされるのが望ましく、この範囲よりも上記半径が小さいと、Rホーニング面の突端部において硬質被膜が除去されて母材が露出する部分も小さくなり、硬質被膜の剥離に起因する切刃の欠損やチッピングが生じやすくなるおそれがある一方、この範囲よりも上記半径が大きいと、切削抵抗が増大して加工精度にばらつきが生じるおそれがある。
以上説明したように、本発明によれば、クレータ摩耗や硬質被膜の突発的な剥離による切刃の欠損やチッピングを防いで、長期に亙って安定した切削が可能な長寿命の切削工具およびその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態を示す平面図である。 図1に示す実施形態のZZ断面図である。 図2におけるコーナ部Cの拡大断面図である。 図3における矢線A部分の拡大断面図である。
図1ないし図4は、本発明の切削工具の一実施形態を示すものであって、刃先交換式バイト等のホルダに着脱可能に取り付けられる切削インサートに本発明を適用した場合を示している。本実施形態において工具本体1は、平面視に略正三角形の平板状をなすポジティブインサートであって、その正三角形状をなす上面がすくい面2とされるとともに、側面が逃げ面3とされ、これらすくい面2と逃げ面3との交差稜線部に切刃4が形成される。また、すくい面2がなす正三角形の中央部からは、工具本体1を上記ホルダに取り付けるための取付穴5が、工具本体1をその厚さ方向に貫通するように形成されている。
さらに、すくい面2がなす正三角形の3つの角部は、上面視に凸円弧状をなすように形成されており、このうちの1つは切削加工に使用されるコーナ部Cとされて、このコーナ部Cにおいて工具本体1の母材は、cBNを主成分として20vol%〜80vol%含み、周期律表4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物およびこれらの固溶体からなる群から選択される少なくとも一種と、アルミニウムの窒化物、硼化物、酸化物およびこれらの固溶体からなる群から選択される少なくとも一種とからなる結合材を含有するcBN焼結体6とされている。
なお、このコーナ部C以外の部分における工具本体1は超硬合金母材からなり、図2に示すようにこのような超硬合金母材よりなる正三角形平板状の基体7の該コーナ部Cに形成された切欠部8に、上記cBN焼結体6と超硬合金よりなる接合部9とを層状に一体焼結した層状焼結体10を、cBN焼結体6がコーナ部Cに向くようにしてろう付け等によって接合することにより、このコーナ部Cの母材がcBN焼結体6とされた工具本体1が形成される。
また、少なくともこのコーナ部Cにおいては、切刃4とされるすくい面2と逃げ面3との上記交差稜線部に直交する断面において、図3に示すように上記すくい面2と逃げ面3とに交差する方向に直線状に延びるチャンファー面11と、同じく上記断面においてこのチャンファー面11と上記逃げ面3とに滑らかに連接する凸円弧状をなすRホーニング面12とを有する複合ホーニング面13が形成されている。
ここで、この複合ホーニング面13のチャンファー面11が上記断面においてすくい面2に対してなすホーニング角αは15°〜45°の範囲とされるとともに、同断面におけるチャンファー面11とすくい面2との交点からRホーニング面12と逃げ面3との接点までのすくい面2に沿った方向のホーニング幅Wは0.05mm〜0.2mmの範囲とされている。、また、同断面においてRホーニング面12がなす凸円弧の半径Rは0.01mm〜0.03mmの範囲内とされている。
さらに、この工具本体1の表面には、少なくとも上記コーナ部Cにおいて、周期律表4a、5a、6a族元素およびAlの中から選択される一種以上の元素と、C、NおよびOの中から選択される一種以上の元素とからなる1層以上の化合物層を含む硬質被膜14が被覆されている。例えば、この硬質被膜14は、TiN、TiAlN、TiNとTiAlNの多層膜、TiCNなどであり、本実施形態では工具本体1の全面にこのような硬質被膜14が被覆されている。
ただし、この硬質被膜14は、上記複合ホーニング面13のうちRホーニング面12においては、上記断面においてこのRホーニング面12がなす凸円弧の突端部12aでは除去されて被覆されてはおらず、従ってこの突端部12aではコーナ部Cの母材であるcBN焼結体6が露出させられた状態とされている。さらに、硬質被膜14は、こうしてこの突端部12aにおいて露出したcBN焼結体6の母材との境界部12bから、Rホーニング面12と上記チャンファー面11とが接する連接部12cにかけては、その膜厚が漸次増大するようにされていて、このチャンファー面11においては上記連接部12cに連続して略一定の膜厚ですくい面2にかけて被覆されるようになされている。
ここで、上記断面において複合ホーニング面13のチャンファー面11がなす直線やRホーニング面12がなす凸円弧は、硬質被膜14が被覆された部分では、この硬質被膜14の表面の形状とされている。従って、上記境界部12bから連接部12cにかけて硬質被膜14は、その表面が図4に示すように突端部12aにおいて露出したcBN焼結体6母材上に形成される円弧に連続する円弧をなして、チャンファー面11における硬質被膜14表面と平行な直線状をなすcBN焼結体6母材の表面に対する膜厚が漸次増大するようにされ、この膜厚が増大する割合は連接部12cに向けて漸次減少することになる。
また、上記断面において、こうして円弧をなすRホーニング面12の上記境界部12bにおける接線Lと同断面において上記チャンファー面11がなす直線との交差角βは15°〜40°の範囲内とされている。さらに、同じく上記断面において、上記境界部12bから上記連接部12cまでのチャンファー面11がなす直線に沿った方向の幅Xは、0.005mm〜0.015mmの範囲内とされている。
なお、Rホーニング面12において硬質被膜14が除去される突端部12aは、断面凸円弧状をなすRホーニング面12と断面直線状をなすチャンファー面11との接点である上記連接部12cと、逃げ面3との接点である連接部12dとの間の、Rホーニング面12がなす円弧の中央部分(連接部12c、12dとRホーニング面12がなす円弧の中心とを結ぶ扇角の二等分線上部分)であり、この突端部12aは、逃げ面3側に残された硬質被膜14の表面とも境界部12eを介して連続した断面凸円弧状に形成される。
従って、硬質被膜14を除いたcBN焼結体6の母材の表面は、上記断面において突端部12aでは凸円弧状をなす一方、Rホーニング面12においても上記境界部12b、12eよりチャンファー面11側および逃げ面3側では、これら境界部12b、12eにおいて上記凸円弧に角度をもって交差する直線状とされ、これらの直線が、チャンファー面11および逃げ面3に被覆された硬質被膜14表面がなす直線と平行とされる。
また、この境界部12eから逃げ面3に被覆された硬質被膜14の膜厚も略一定とされている。そして、この略一定とされた逃げ面3における硬質被膜14の膜厚と、やはり略一定とされた上記連接部12cからチャンファー面11およびすくい面2にかけての硬質被膜14の膜厚は、本実施形態では互いに等しくされていて、0.5μm〜5μmの範囲内とされている。
このような切削工具は、例えば以下のような製造方法によって製造することができる。すなわち、まず上述のように超硬合金母材よりなる基体7の上記切欠部8に層状焼結体10を接合して、その少なくともコーナ部Cにおけるすくい面2と逃げ面3との交差稜線部に、該交差稜線部に直交する断面においてすくい面2と逃げ面3とに交差して直線状に延びるチャンファー面11のみを形成し、次いでこのチャンファー面11を含めた少なくともコーナ部Cの上記交差稜線部の周辺のすくい面2と逃げ面3とに上記硬質被膜14を公知の方法によって上述のような略一定の膜厚で被覆する。
そして、こうして硬質被膜14が被覆された後、この硬質被膜14が被覆されたチャンファー面11と逃げ面3との交差部に、上記断面においてチャンファー面11と逃げ面3との硬質被膜14表面に滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面12を、例えばダイヤモンド等の硬質粒子を分散固着したブラシなどでホーニングすることにより形成する。その際に、このRホーニング面12においては、その突端部12aにおいて上述のように硬質被膜14が除去されて上記交差稜線部における工具本体1の母材(cBN焼結体6母材)が露出し、さらに上記境界部12b、12eから連接部12c、12dにかけての硬質被膜14表面がなす円弧と連続する円弧をなすように面取りすることにより、このRホーニング面12とチャンファー面11とによって複合ホーニング面13を形成して、上記構成の切削工具が製造される。
従って、例えばこのような製造方法によって製造される上記構成の切削工具では、切刃4とされるすくい面2と逃げ面3との交差稜線部に形成された複合ホーニング面13において、上記交差稜線部のうちでも実質的に切刃4の刃先として作用するRホーニング面12の突端部12aには硬質被膜14が被覆されてはおらずに除去されていて、工具本体1の母材が露出させられているので、切削時の負荷によって硬質被膜14に突発的な剥離が生じたりすることがない。このため、このような硬質被膜14の剥離に伴って切刃4までもが欠損を生じたり、あるいは切刃4にチッピングが生じたりすることもない。
特に、本実施形態では、この切刃4とされるすくい面2と逃げ面3との交差稜線部における工具本体1の母材がcBN焼結体6とされており、かかるcBN焼結体6は、超硬合金などに比べては高硬度である一方で、上述のような硬質被膜14の付着性は低いが、切削時に最も大きな負荷が作用する刃先となる上記突端部12aにおいて硬質被膜14が除去されていることにより、本実施形態によれば、切刃4としては靱性の向上を図って欠損やチッピングを発生を一層確実に防止することができる。
また、上述のようにチャンファー面11と逃げ面3とが上記交差部において角度をもって交差したままであると、その表面に硬質被膜14を被覆しただけでは、この角となる部分で膜厚が厚くなって硬質被膜14の付着力がさらに低下することにより欠損の起点となるおそれもあるが、この部分の硬質被膜14をRホーニング面12によって除去することにより、このような膜厚の偏りによる切刃4の欠損が生じるのも防止することが可能となる。
一方、これに対して、複合ホーニング面13のうちのチャンファー面11には、Rホーニング面12における上記境界部12bから連接部12cにかけての部分に連続して、膜厚が一定とされた硬質被膜14が被覆されているので、切刃4の刃先とされる上記突端部12aにより生成された切屑がこのチャンファー面11を擦過するようにして流出してもクレータ摩耗が進行するのは抑制することができ、このようなクレータ摩耗を起点として切刃4に欠損が生じたりするのも避けることができる。
そして、これら硬質被膜14が除去されたRホーニング面12の突端部12aから、一定膜厚の硬質被膜14が被覆されたチャンファー面11までの、上記境界部12bから連接部12cの間のRホーニング面12においては、硬質被膜14がその膜厚を漸次厚くするようにして被覆されているので、Rホーニング面12からチャンファー面11にかけての上記交差稜線部の表面に段差が生じることがない。特に、本実施形態では、この境界部12bから連接部12cの間のRホーニング面12の硬質被膜14表面が、突端部12aの断面がなす凸円弧と連続した凸円弧をなすようにされているので、突端部12aから連接部12cにかけての表面形状をより滑らかにすることができる。
従って、上記構成の切削工具によれば、このような段差から硬質被膜14に突発的な剥離が生じて切刃4に欠損やチッピングを生じることもなく、このような欠損やチッピングによって工具寿命が潰えてしまうのを防いで、長期に亙って安定した切削性能を維持することが可能となる。また、上記構成の切削工具の製造方法によれば、硬質被膜14を被覆した後にRホーニング面12を形成することにより、このような切削工具を確実かつ比較的容易に製造することができる。
しかも、本実施形態では、上記交差稜線部に直交する断面において、上記Rホーニング面12の境界部12bにおける接線Lと上記チャンファー面11がなす直線との交差角βが15°〜40°の範囲内とされ、また上記境界部12bから上記連接部12cまでのチャンファー面11がなす直線に沿った方向の幅Xが0.005mm〜0.015mmの範囲内とされ、さらにRホーニング面12がなす凸円弧の半径Rが0.01mm〜0.03mmの範囲内とされているので、上述のような効果を一層確実に奏することができる。
すなわち、上記交差角βが15°よりも小さかったり、上記幅Xが0.015mmよりも大きかったりすると、上記境界部12b側における硬質被膜14の膜厚が薄くなりすぎるおそれがあって、クレータ摩耗の進行を確実に抑制することができなくなるおそれがある一方、逆に交差角βが40°よりも大きかったり、幅Xが0.005mmよりも小さかったりすると、境界部12b側で硬質被膜14の表面が急勾配で立ち上がることになって段差状となり、剥離を生じやすくなってしまうおそれがある。
また、Rホーニング面12がなす凸円弧の半径Rが0.01mmより小さいと、このRホーニング面12の突端部12aにおいて露出させられる母材部分の幅も小さくなり、切削時に硬質被膜14部分にも大きな負荷が作用することになってその剥離による切刃4の欠損やチッピングが生じ易くなる。その一方で、この半径Rが0.03mmよりも大きいと、実質的に刃先として機能する突端部12aにおける切削抵抗が増大して、より大きな負荷が作用することによって直接的に切刃4の欠損やチッピングが生じ易くなるほか、当該切削工具による加工精度にばらつきを生じるおそれもある。
このため、上記交差角β、幅X、および半径Rは、それぞれ本実施形態のように設定されるのが望ましく、より望ましくは、交差角βは30°〜40°の範囲に、幅Xは0.005mm〜0.008mmの範囲に、半径Rは0.01mm〜0.015mmの範囲にそれぞれ設定される。さらに、ホーニング角αやホーニング幅W、硬質被膜14の膜厚も本実施形態の範囲内に設定されるのが望ましく、これらが上記範囲よりも小さすぎると、ホーニングや硬質被膜14の被覆による効果を得ることができなくなるおそれがある一方、ホーニング角αやホーニング幅Wが上記範囲よりも大きすぎると切削抵抗の増大を招くおそれがあり、また硬質被膜14の膜厚が上記範囲よりも大きすぎると、付着力の低下を招いて剥離を生じやすくなるおそれがある。
さらに、本実施形態では本発明を刃先交換式バイト等のホルダに着脱可能に取り付けられる切削インサートに適用した場合について説明したが、刃先交換式バイト以外の刃先交換式工具の切削インサートに適用したり、切刃が形成されたチップを工具本体にろう付けしたろう付け工具や、工具本体に直接切刃が形成されるソリッド工具に適用することも勿論可能である。
次に、実施例を挙げて本発明の効果について実証する。本実施例では、上記実施形態に基づく切削工具において、硬質被膜14の組成、複合ホーニング面13のホーニング幅Wおよびホーニング角α、Rホーニング面12がなす凸円弧の半径R、上記幅Xおよび交差角βを表1に示すように種々に代えた15種の切削工具(切削インサート)を製造して、これらによりSCM415よりなる丸棒状被削材の外周切削を行った。その際の評価を表1に併せて示す。ここで、上記交差稜線部における母材となるcBN焼結体のcBN含有量は50vol%、結合材はTiNであり、切削条件は切削速度150m/min、送り0.1mm/rev、切り込み0.15mmで、乾式切削であった。
Figure 2011093053
なお、この表1の評価において、三角印とされているのは総切削長が3000mまでに切刃に欠損やチッピングが生じなかったものであり、同様に丸印とされているのは3750mまで、二重丸とされているのは4500mまでに切刃に欠損やチッピングが生じなかったものである。また、これらの実施例に対する比較例として、硬質被膜の組成やホーニング幅、ホーニング角は実施例とそれぞれ同じで、ただしチャンファー面全体の硬質被膜を除去した特許文献1、3に記載の切削工具と同様の構成のものと、さらに特許文献2に記載の第2硬質膜を被覆したものとでも、同様の切削条件で切削を行った。
その結果、これら比較例では、いずれも実施例の評価が三角印とされているものの切削長に達する前に、クレータ摩耗が進行したり硬質被膜に剥離が生じたりして、これに起因する切刃の欠損やチッピングにより切削が不可能となってしまった。これに対して、実施例の切削工具では、これら比較例よりも工具寿命の延長が図られており、特に硬質被膜の組成やホーニング幅、ホーニング角度に関わらず、交差角βが15°〜40°の範囲、幅Xが0.005mm〜0.015mmの範囲、半径Rが0.01mm〜0.03mmの範囲とされた実施例1〜10で良好な評価が得られ、さらには交差角βが30°〜40°の範囲、幅Xが0.005mm〜0.008mmの範囲、半径Rが0.01mm〜0.015mmの範囲にそれぞれ設定された実施例1、4、7、9で一層良好な評価が得られている。
1 工具本体
2 すくい面
3 逃げ面
4 切刃
6 cBN焼結体
11 チャンファー面
12 Rホーニング面
12a Rホーニング面12の突端部
12b 突端部12aにおいて露出したcBN焼結体6の母材とチャンファー面11側の硬質被膜14との境界部
12c チャンファー面11とRホーニング面12との連接部
12d 逃げ面3とRホーニング面12との連接部
12e 突端部12aにおいて露出したcBN焼結体6の母材と逃げ面3側の硬質被膜14との境界部
13 複合ホーニング面
14 硬質被膜
C コーナ部
W ホーニング幅
α ホーニング角
β 境界部12bにおけるRホーニング面12の接線Lとチャンファー面11がなす直線との交差角
X 境界部12bから連接部12cまでのチャンファー面11がなす直線に沿った方向の幅
R Rホーニング面12がなす凸円弧の半径

Claims (5)

  1. 硬質被膜が被覆された工具本体の切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部に、該交差稜線部に直交する断面において上記すくい面と逃げ面とに交差する方向に直線状に延びるチャンファー面と、上記断面において上記チャンファー面と上記逃げ面とに滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面とを有する複合ホーニング面が形成され、この複合ホーニング面のうち、上記Rホーニング面においては、その突端部において上記硬質被膜が除去されて上記交差稜線部における上記工具本体の母材が露出させられるとともに、この突端部において露出した上記母材との境界部から該Rホーニング面と上記チャンファー面との連接部にかけては上記硬質被膜が膜厚を漸次増大させるように残されていて、上記チャンファー面においては上記連接部に連続して上記硬質被膜が略一定の膜厚で被覆されていることを特徴とする切削工具。
  2. 上記断面において上記境界部における上記Rホーニング面の接線と上記チャンファー面がなす直線との交差角が15°〜40°の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 上記断面において上記境界部から上記連接部までの上記チャンファー面がなす直線に沿った方向の幅が0.005mm〜0.015mmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削工具。
  4. 上記断面において上記Rホーニング面がなす凸円弧の半径が0.01mm〜0.03mmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の切削工具。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の切削工具の製造方法であって、上記工具本体の切刃が形成されるすくい面と逃げ面との交差稜線部に、該交差稜線部に直交する断面において上記すくい面と逃げ面とに交差して直線状に延びるチャンファー面を形成し、次いでこのチャンファー面を含めた少なくとも上記交差稜線部の周辺の上記すくい面と逃げ面とに上記硬質被膜を略一定の膜厚で被覆した後、上記チャンファー面と上記逃げ面との交差部に、上記断面において上記チャンファー面と上記逃げ面との上記硬質被膜の表面に滑らかに連接する凸円弧状のRホーニング面を、その突端部において上記硬質被膜が除去されて上記交差稜線部における上記工具本体の母材が露出させられるように形成することにより、このRホーニング面と上記チャンファー面とによって複合ホーニング面を形成することを特徴とする切削工具の製造方法。
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