JP5887859B2 - 切削インサート - Google Patents

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Description

本発明は、特に高硬度材の旋削加工においてクレータ摩耗による被削材の仕上げ面粗度の劣化を抑制することが可能な切削インサートに関するものである。
例えば合金鋼や焼き入れ鋼等の高硬度材を旋削加工する際に、高硬度のcBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体よりなる切刃チップ上に切刃を形成した切削インサートを用いる場合において、このような切削インサートにおけるすくい面のクレータ摩耗や逃げ面摩耗、あるいは被削材と切刃との境界に生じる境界摩耗を抑制するために、特許文献1には、すくい面を構成する焼結体層と逃げ面を主に構成する焼結体層とのcBN体積含有率を異なるものとすることが提案されている。また、特許文献2には、cBN焼結体の表面に、窒化チタンやチタンアルミニウム窒化物等からなる複数層の被覆層を形成することが提案されている。
特許第2861486号公報 特開平10−245287号公報
しかしながら、これら特許文献1、2のような切削インサートをもってしても、上述のような高硬度材の切屑がすくい面を擦過して流出する以上、すくい面のクレータ摩耗を十分に抑制することはできず、このようなクレータ摩耗が、被削材に切刃が切り込まれる側の境界である切込み境界から、切刃が被削材の仕上げ面を形成する側の境界である送り境界にまで及んでチッピングや欠損を生じ、仕上げ面粗度の劣化を招いてしまうとともに、逃げ面にも異常摩耗を生じてしまう。
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のような高硬度材を旋削加工する場合においても、すくい面のクレータ摩耗による被削材の仕上げ面粗度の劣化を十分に抑制することが可能な切削インサートを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、インサート本体の多角形状をなすすくい面の辺稜部に、該すくい面の角部に円弧状のコーナ刃を有する切刃が形成されており、上記すくい面には、上記コーナ刃の突端から該すくい面の内側に向かう途中ですくい面が低くなる段差部が、上記コーナ刃に交差するように形成されていて、上記切刃は、上記コーナ刃の両端において該コーナ刃にそれぞれ接する一対の直線刃を備え、これらの直線刃がなす交差角が80°とされるとともに、上記コーナ刃にはホーニングが形成され、このホーニングと上記コーナ刃の逃げ面との境界である該コーナ刃の刃先エッジ稜線と上記段差部との交点が、上記すくい面に対向する方向からみて上記交点が位置する側の上記直線刃に対して上記コーナ刃側で該すくい面の外側に5°の角度で交差する方向に延びる直線と上記コーナ刃との接点よりも上記コーナ刃の突端側に位置して、これら交点と接点との間の距離が、上記直線に沿った方向において0.01mm〜0.1mmの範囲とされるとともに、上記段差部によって低められたすくい面と上記逃げ面との交差稜線と上記交点との間の段差量が、上記すくい面に対向する方向において0mm〜0.05mmの範囲とされていることを特徴とする。
このように構成された切削インサートにおいては、インサート本体のすくい面に、被削材に切り込まれる円弧状のコーナ刃の突端からすくい面の内側に向かう途中で、このすくい面の高さが一段低くなるような段差部が形成されており、この段差部がコーナ刃に交差するように形成されているので、これらコーナ刃と段差部との交点を被削材の仕上げ面側に向けることにより、切刃が被削材に切り込まれる側で生成された切屑は、段差部を越えたところで一段低くされたすくい面には擦過され難くなる。
従って、このコーナ刃と段差部との交点を、切刃が被削材の仕上げ面を形成する側の境界である送り境界よりもコーナ刃の突端側(送り方向側)に位置させれば、この仕上げ面を形成する切刃のすくい面を切屑が擦過するのを避けることができ、クレータ摩耗によるチッピングや欠損によって仕上げ面粗度の劣化を招いたり、逃げ面の異常摩耗を生じたりするのを十分に抑制することができる。
さらに、本発明は、上記切刃が、上記コーナ刃の両端において該コーナ刃にそれぞれ接する一対の直線刃を備え、これらの直線刃がなす交差角が80°とされるとともに、上記コーナ刃にはホーニングが形成された切削インサートであって、このホーニングと上記コーナ刃の逃げ面との境界である該コーナ刃の刃先エッジ稜線と上記段差部との交点をコーナ刃と段差部との上記交点として、この交点が、上記すくい面に対向する方向からみて上記交点が位置する側の上記直線刃に対して上記コーナ刃側で該すくい面の外側に5°の角度で交差する方向に延びる直線と上記コーナ刃との接点よりも上記コーナ刃の突端側に位置して、これら交点と接点との間の距離が、上記直線に沿った方向において0.01mm〜0.1mmの範囲とされるとともに、上記段差部によって低められたすくい面と上記逃げ面との交差稜線と上記交点との間の段差量は、上記すくい面に対向する方向において0mm〜0.05mmの範囲とされている
すなわち、上記接点は、このような一対の直線刃がなす交差角が80°の切削インサートにおいて、被削材の仕上げ面を形成する側の直線刃を送り方向後方側に向かうに従い被削材の仕上げ面に対して5°の角度で離間するように配設したときの切刃と被削材との接点、つまり上記送り境界であり、上述のようにこの送り境界よりもコーナ刃と段差部との交点をコーナ刃の突端側に位置させても、これら交点と接点との間の距離が上記範囲よりも小さかったり、あるいは段差部によって低くされたすくい面の段差量が上記範囲よりも小さかったりすると、こうして低くされたすくい面においても切屑の擦過を十分に防ぐことができなくなってクレータ摩耗を抑制することができなくなるおそれがある。
その一方で、逆に上記交点と接点との間の距離が上記範囲よりも大きかったり、あるいは上記段差量が上記範囲よりも大きかったりすると、上記送り境界側で被削材の仕上げ面を形成する切刃が切り込み境界側で形成された加工面から離れてしまって確実に仕上げ加工することができずに必要な仕上げ面粗度を得ることができなくなったり、切屑の噛み込みなどによって仕上げ面粗度にバラツキが発生したりするおそれがある。
また、上述のような高硬度材を旋削加工する切削インサートとしては、上記コーナ刃と、上記直線刃のうち少なくとも上記コーナ刃に接する部分と、上記段差部のうち少なくとも上記コーナ刃に交差する部分とが、上記すくい面に配設された立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる切刃チップ上に形成された切削インサートであることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、切屑の擦過によるすくい面のクレータ摩耗が切刃の送り境界にまで及んでチッピングや欠損、逃げ面の異常摩耗などを生じるのを防ぐことができ、合金鋼や焼き入れ鋼等の高硬度材を旋削加工する場合においても、被削材の仕上げ面粗度の劣化を十分に抑制することができる。
本発明の切削インサートの一実施形態を示す平面図である。 図1におけるZZ断面図である。 図1に示す実施形態におけるコーナ刃周辺の拡大平面図である。 図1に示す実施形態におけるコーナ刃周辺の拡大側面図である。 図1に示す実施形態をホルダに取り付けて旋削加工を行う場合の平面図である。 本発明の実施例を示す図である。
図1ないし図4は本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において、インサート本体1鋭角角部の角度が80°とされた菱形平板状をなし、この菱形をなす両側面のうち一方がすくい面2とされるとともに、他方は後述するホルダのインサート取付座への着座面3とされ、これらすくい面2と着座面3との周りに配される4つの周面は逃げ面4とされる。
また、すくい面2の中央部には、インサート本体1を上記インサート取付座に固定するためのクランプネジが挿通される取付穴5が、インサート本体1の厚さ方向に貫通して着座面3の中央部に開口するように形成されている。なお、本実施形態の切削インサートは、後述するホーニングおよび段差面を除くすくい面2と着座面3とが取付穴5の中心線であるインサート中心線Oに垂直とされるとともに、上記逃げ面4がこのインサート中心線Oに平行に延びるネガティブインサートとされ、このインサート中心線O回りに180°回転対称に形成されている。
ここで、このインサート本体1は、超硬合金により形成された基体1Aの上記すくい面2における上記鋭角角部に、上記すくい面2に垂直に対向する方向(上記厚さ方向またはインサート中心線O方向)からみて略二等辺三角形状に、また逃げ面4側からみてL字状に切り欠き部1Bが形成され、この切り欠き部1Bに切刃チップ6が取り付けられて構成されている。この切刃チップ6は、立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる上層6Aと超硬合金よりなる下層6Bとを一体に焼結した層状焼結体であり、上層6Aをすくい面2側に向けて切り欠き部1Bにロウ付けされることにより接合されて取り付けられている。
こうして切刃チップ6が取り付けられることにより、該切刃チップ6の上記立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる上層6A上に配設されることになるすくい面2がなす菱形の鋭角角部には、この鋭角角部に交差する一対の上記逃げ面4の交差稜線部が円筒面状に形成されることによって円弧状をなすコーナ刃7Aが形成されている。さらに、このコーナ刃7Aの両端からは、すくい面2に対向する方向からみて該両端においてコーナ刃7Aに接する接線方向に延びる一対の直線刃7B、7Cが、すくい面2と逃げ面4の交差稜線部に沿って形成されており、これらコーナ刃7Aと直線刃7B、7Cにより本実施形態の切削インサートの切刃7が構成されている。従って、これらの直線刃7B、7Cがなす交差角θは80°とされる。
また、一対の直線刃7B、7Cのうち、一方の直線刃7Bからコーナ刃7Aにかけて、このコーナ刃7Aの突端Pを超えた範囲には、切刃7にホーニング8が形成されている。このホーニング8は、本実施形態ではチャンファホーニングであって、逃げ面4と鈍角をなして交差させられており、こうして交差したホーニング8と逃げ面4との境界である交差稜線が、一方の直線刃7Bからコーナ刃7Aにかけて実質的に切削に関与する切刃7の刃先エッジ稜線Lとされる。
一方、上記一対の直線刃7B、7Cのうち、他方の直線刃7Cに連なるすくい面2は、一方の直線刃7Bおよびコーナ刃7Aに連なるすくい面2に対して一段低くされた段差面2Aとされていて、すくい面2には、該すくい面2に対向する方向からみてコーナ刃7Aと一対の直線刃7B、7Cの二等分線との交点、すなわちコーナ刃7Aの突端Pからすくい面2の内側に向かう途中で、この段差面2Aに至るところですくい面高さが不連続に低くなる段差部2Bが形成されている。そして、この段差部2Bは、上記他方の直線刃7Cとコーナ刃7Aとの接点Qよりもコーナ刃7Aの突端P側に位置する交点Rで該コーナ刃7Aの刃先エッジ稜線Lに交差するようにされている。
ここで、この段差面2Aは、上述のようにすくい面2にコーナ刃7Aに交差する段差部2Bが形成されるものであれば、コーナ刃7Aの突端Pに連なるすくい面2と平行に一段低くなる平坦面であってもよく、また他方の直線刃7C側で切刃7が一段低くなり、この低くなった切刃7から段差部2Bに沿って離間するに従いすくい面2の高さが漸次高くなる傾斜面であってもよく、さらにこうして傾斜した傾斜面がすくい面2の途中で切れ上がったものでもよい。
本実施形態では、図2に示すように、上記交点Rから他方の直線刃7Cに沿って一定の幅を有する上記インサート中心線O方向に偏平した断面コ字状の凹溝が上記一方の直線刃7Bに斜交する方向に延びて、この凹溝の底面が上記段差面2Aとされるとともに、この底面からすくい面2の内側を向いて立ち上がる壁面が上記段差部2Bとされ、この段差部2Bはコーナ刃7Aの突端Pに連なるすくい面2に直交するように形成されている。
さらに、本実施形態では、コーナ刃7Aの上記刃先エッジ稜線Lと段差部2Bとの交点Rは、図3に示すようにすくい面2に垂直に対向する方向からみて、該交点Rが位置する側の上記他方の直線刃7Cに対して上記コーナ刃7A側ですくい面2の外側に5°の角度αで交差する方向に延びる直線Mとコーナ刃7Aとの接点Sよりもコーナ刃7Aの突端P側に位置していて、これら交点Rと接点Sとの間の距離Aが、上記直線Mに沿った方向において0.01mm〜0.1mmの範囲とされている。
また、本実施形態では、上記段差部2Bによって低められたすくい面2の段差面2Aと逃げ面4との交差稜線Nと上記交点Rとの間の段差量Bは、図4に示すように上記すくい面2に対向する方向(図4における上下方向)において0mm〜0.05mmの範囲とされている。すなわち、この段差面2Aと逃げ面4とが交差する上記交差稜線N上に形成されることになる切刃7の他方の直線刃7Cとコーナ刃7Aのうち他方の直線刃7Cとの接点Q側の部分とは、コーナ刃7Aの突端P側の上記刃先エッジ稜線Lの延長線上か、これよりも低い着座面3側に延びるように形成されており、図4においては、上記交差稜線Nが刃先エッジ稜線Lよりも低い位置に該刃先エッジ稜線Lと平行に延びるように形成されている。
ただし、こうしてコーナ刃7Aの突端Pに連なるすくい面2に対して一段低められた段差面2Aは、切刃チップ6の立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる上層6A上に位置するようにされていて、すなわち上記段差量Bがこの上層6Aの厚さを上回るようなことはない。さらに、コーナ刃7Aは勿論、一対の直線刃7B、7Cもそのコーナ刃7Aとの接点からある程度の長さは上層6A上に延びるように形成されている。
また、本実施形態において段差面2Aおよび段差部2Bを形成する上記凹溝は、図1および図2に示すように他方の直線刃7C側でインサート本体1の基体1Aと切刃チップ6との境界に跨り、すくい面2がなす菱形の鈍角角部に達するようにされている。さらに、上記段差部Bは、すくい面2に対向する方向からみて上記直線Mに垂直に延びて、基体1Aと切刃チップ6との上記境界に交差した後に上記一方の直線刃7Bに斜交するようにされている。
このように構成された切削インサートは、そのインサート本体1が図5に示すように刃先交換式バイトのホルダ10の先端部に形成されたインサート取付座11に、すくい面2がなす菱形の一方の鋭角角部を突出させるようにして着座させられ、上記取付穴5に挿通されたクランプネジ12によって固定されて着脱可能に取り付けられる。
また、こうしてホルダ10に取り付けられた切削インサートは、合金鋼や焼き入れ鋼等よりなる被削材Wの外径旋削に用いられる場合、図3に示したように上記一方の鋭角角部に交差する一対の直線刃7B、7Cのうち、一方の直線刃7Bが、被削材Wの回転軸線に平行な送り方向Fの前方側(図5において左側)に向けられるとともに、コーナ刃7Aに段差部2Bが交差させられた側の他方の直線刃7Cが被削材Wの外周面Hに向けられて保持される。
さらに、このとき、本実施形態のように上記一対の直線刃7B、7Cがなす交差角θが80°の切削インサートでは、すくい面2に対向する方向からみて図3に示すように、この他方の直線刃7Cは、通常は被削材Wの回転軸線に対して5°の角度(前切れ刃角)αが与えられて、送り方向Fの後方側(図5において右側)に向かうに従い外周面Hから離間するように配設される。従って、上記直線Mは、こうして配設された切削インサートをすくい面2に対向する方向からみたときに、被削材Wの回転軸線と平行に延びることになる。
このように配設された切削インサートは、図3に示したように上記一方の鋭角角部に形成されたコーナ刃7Aを上記回転軸線回りに回転させられる被削材Wの外周面Hに切り込ませて送り方向F前方側に送り出されることにより、この外周面Hを旋削してゆく。従って、コーナ刃7Aのうち送り方向F前方側に位置して被削材Wに切り込まれる部分が切り込み境界となるとともに、送り方向F後方側に位置して被削材Wの外周面Hを所定の外径に仕上げる部分が送り境界となって、この送り境界は上記直線Mに接する上記接点Sの位置となり、段差部2Bとコーナ刃7Aとの交点Rは、この送り境界となる接点Sよりも送り方向F側に位置させられる。
そして、上記構成の切削インサートでは、このコーナ刃7Aが形成されたインサート本体1のすくい面2に、コーナ刃7Aの突端Pからホーニング8を介してすくい面2の内側に向かう途中で、このすくい面2の高さを一段低くする段差部2Bが上述のようにコーナ刃7Aと交点Rで交差するように形成されている。このため、コーナ刃7Aの上記切り込み境界側で生成された切屑は、この段差部2Bを越えたところで該段差部2Bよりも内側のすくい面2の段差面2Aとは間隔をあけるようにして送り方向F後方側に流れ出ることになり、この段差面2Aには擦過され難くなる。
従って、上記構成の切削インサートによれば、このような切屑の擦過によるクレータ摩耗が、すくい面2の切り込み境界側から段差部2Bを越えて送り境界である上記接点Sの位置まで達するのを抑えることができる。このため、被削材Wの外周面Hを所定の外径に仕上げるこの送り境界にクレータ摩耗によるチッピングや欠損が生じるのを防ぐことができ、これにより合金鋼や焼き入れ鋼等の高硬度材の旋削加工においても仕上げ面粗度の向上を図ることができるとともに、逃げ面4に異常摩耗が発生したりするのも抑制することができる。
ただし、こうしてコーナ刃7Aの突端Pに連なるすくい面2から段差面2Aにかけてすくい面2の高さが一段低くなる段差部2Bと送り境界となる上記接点Sとの送り方向Fの距離Aが短すぎたり、あるいは実質的に切削に関与するコーナ刃7Aの逃げ面4とホーニング8との交差稜線である切刃エッジ稜線Lと段差面2Aとの間の段差量Bが小さすぎたりすると、切り込み境界側におけるクレータ摩耗が送り境界側に及ぶのを確実に防止することができなくなって仕上げ面粗度の劣化を招くおそれがある。
また、その一方で、上記距離Aが長すぎて段差部2Bと送り境界となる上記接点Sとが送り方向Fにおいて離れすぎていたり、あるいは上記段差量Bが大きすぎて、送り境界において切削に関与する段差面2Aと逃げ面4との交差稜線Nとコーナ刃7Aの刃先エッジ稜線Lとがすくい面2に対向する方向において離れすぎていると、上記切り込み境界側の切刃7によって被削材Wに形成される加工面に対して、送り境界側でこの加工面を仕上げる切刃7が離れすぎてしまい、確実に所望の仕上げ面粗度に仕上げ加工することができなくなったり、切屑の噛み込みなどによって仕上げ面粗度にバラツキが生じたりするおそれがある。
ここで、本実施形態のように、インサート本体1のすくい面2における鋭角角部の一対の直線刃7B、7Cがなす交差角θが80°である切削インサートでは、上述のように被削材Wの外周面Hに向けられる他方の直線刃7Cが、被削材Wの回転軸線に対して通常は5°の角度αで送り方向Fの後方側に向かうに従い離間するように傾斜させられて、該他方の直線刃7Cに逃げが与えられる。従って、コーナ刃7Aが送り方向Fの後方側で被削材Wと接する送り境界は、他方の直線刃7Cに対して5°の角度αで傾斜してコーナ刃7Aに接する上記直線Mと該コーナ刃7Aとの上記接点Sとなる。
そして、この接点Sから送り方向F前方側すなわち上記直線Mに沿ってコーナ刃7Aの突端P側に、本実施形態のように接点Sとの距離Aが0.01mm〜0.1mmの範囲となるように段差部2Bとコーナ刃7Aの刃先エッジ稜線Lとの交点Rを位置させれば、後述する実施例で実証するように、送り境界におけるクレータ摩耗を確実に抑制することができるとともに、仕上げ面粗度の劣化やバラツキも防止することが可能となる。また、上記段差量Bについても同様に、本実施形態のようにすくい面2に対向する方向において0mm〜0.05mmの範囲とすることにより、送り境界のクレータ摩耗や仕上げ面精度の劣化、バラツキを防ぐことができる。
なお、合金鋼や焼き入れ鋼等の高硬度材を旋削加工する本実施形態のような切削インサートとしては、クレータ摩耗による仕上げ面粗度の劣化や逃げ面4の異常摩耗を一層確実に防ぐために、切刃7のうちコーナ刃7Aと、一対の直線刃7B、7Cの少なくともコーナ刃7Aに接する部分と、さらに段差部2Bのうち少なくともコーナ刃7Aに交差する部分とは、すくい面2に配設された切刃チップ6の硬質な立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる上層6A上に形成されることが望ましい。
また、本実施形態では上述のように被削材Wの外径旋削を行う場合について説明したが、被削材Wに形成された下穴の内径旋削に用いることも可能であるし、被削材Wの端面旋削に上記構成の切削インサートを用いることも勿論可能である。端面旋削の場合には、段差部2Bとコーナ刃7Aとの交点Rが位置する側の他方の直線刃7Cは、被削材Wの回転軸線に垂直な平面に対して上記角度αで送り方向Fの後方側に向かうに従い離間するように配設され、切削インサートがこの回転軸線に垂直な平面に沿った送り方向Fに送り出されて端面旋削が行われる。
さらに、本実施形態では、このように一対の直線刃7B、7Cのうち被削材Wの加工面側に向けられる直線刃が他方の直線刃7Cとされた、いわゆる勝手付きの切削インサートについて説明したが、一対の直線刃7B、7Cの双方を被削材の加工面に向けて使用可能な、いわゆる勝手無しの切削インサートに本発明を適用することも可能である。この場合には、上記実施形態における段差部2Bを一対の直線刃7B、7Cの二等分線に関して対称に形成してコーナ刃7Aの両端側に交差させればよい。
さらにまた、本実施形態では、段差部2Bが、コーナ刃7Aの突端Pにホーニング8を介して連なるすくい面2に対して垂直とされているが、このすくい面2から段差面2Aに向かうに従いすくい面2の内側に傾斜する傾斜面とされていてもよく、またコーナ刃7Aの切刃エッジ稜線Lとの交点Rから離れた位置では、段差面2Aに滑らかに連なる凹曲面状とされていたりしてもよい。
以下、本発明の実施例を挙げて、上記実施形態における上記距離Aと段差量Bの数値限定による効果を説明する。本実施例では、上記実施形態に基づき、これらの距離Aと段差量Bとを上記範囲内で種々に変えた3種の切削インサートを製造した。これらを実施例1〜3として、距離A(mm)と段差量B(mm)とを表1に示す。
なお、これら実施例1〜3の切削インサートは、基本形状、寸法がCNGA120408GAタイプのものであり、ホーニング8のホーニング幅は0.13mm、ホーニング角度は25°で、逃げ面4との境界である刃先エッジ稜線Lには半径0.03mmの丸みがつけられている。また、すくい面2の鋭角角部には、一対の直線刃7B、7Cのコーナ刃7A側への延長線の交点からそれぞれ2.5mm離れた該直線刃7B、7C上の点同士を結ぶ範囲内に立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる上層6Aが配設されるように切刃チップ6を接合した。
一方、これら実施例1〜3に対する比較例として、基本形状、寸法や切刃チップ6の接合範囲は実施例1〜3と同じとされて、距離Aと段差量Bの少なくとも一方が上記範囲外となる3種の切削インサートを製造した。これらを比較例1〜3として、その距離A(mm)と段差量B(mm)とを表1に併せて示す。さらに、比較例4として、同じく基本形状、寸法や切刃チップ6の接合範囲は実施例1〜3と同じで、段差部が形成されていない通常の立方晶窒化ホウ素焼結体付きCNGA120408GAタイプの切削インサートも用意した。
Figure 0005887859
そして、これら実施例1〜3と比較例1〜4の切削インサートによって合金鋼よりなる被削材Wに外径旋削加工を行い、その際の加工時間毎の仕上げ面粗度の推移、すなわち一定の送り速度で切削インサートが送り出されることにより仕上げ加工される被削材Wの外周面の回転軸線方向における仕上げ面粗度(JIS B 0601 2001における粗さ曲線の最大高さ:Rz)の変化について測定した。この結果を、図6に示す。なお、被削材Wは直径100mm、回転軸線方向の長さ300mmのSCM415材(硬さ60HRC)であり、森精機株式会社製CNC旋盤NL2500を用いて、切削条件として切削速度200m/min、送り速度0.20mm/rev、切り込み量0.15mmの乾式切削で旋削加工を行った。
この図6に示す結果より、理論面粗さが6.2μmとなるのに対し、本発明の上記実施形態に係わる実施例1〜3の切削インサートでは、いずれも仕上げ面粗度がこれを下回っており、また旋削加工開始から270秒後の旋削加工終了時の切刃7を確認したところでも、クレータ摩耗は切り込み境界から段差部2Bまでで抑制されていて、送り境界には及んでいなかった。
ただし、段差量Bが0mmで、すなわち送り境界の切刃7となる上記交差稜線Nがコーナ刃7Aの切刃エッジ稜線Lの延長線上に延びる実施例2、3では、図6に示した以上に旋削加工を続行すると、実施例1と比べてクレータ摩耗が送り境界側に進行しやすくなることが認められた。このため、段差量Bについては上記範囲内でも0mmよりは大きく、0.005mm〜0.045mm程度の範囲が望ましいと考えられる。
一方、これら実施例1〜3に対して、距離Aと段差量Bとがともに上記範囲を僅かに上回る比較例1では、旋削加工終了間際で仕上げ面粗度が急に不安定となり、あまり好ましくない結果となった。また、距離Aが0.1mm以下であっても段差量Bが0.05mmより大幅に大きい比較例2では、段差面2Aと逃げ面4との交差稜線Nがコーナ刃7Aの刃先エッジ稜線Lに対して下がりすぎて実質的に送り境界となるポイントが定まらず、旋削加工の初期の段階から所望の仕上げ面粗度を得ることができなかった。
また、段差量Bが0.05mm以下であっても距離Aが0.1mmより大きい比較例3では、送り境界となる上記接点Sまでの間にクレータ摩耗が生じて刃先にチッピングが発生し、仕上げ面粗度の劣化とバラツキを招く結果となった。さらに、段差部2Bが形成されていないISO規格の通常の切削インサートである比較例4では、ホーニング8が連続しているため、クレータ摩耗が延伸して旋削加工終了時に欠損を生じてしまった。
1 インサート本体
2 すくい面
2A 段差面
2B 段差部
3 着座面
4 逃げ面
5 取付穴
6 切刃チップ
6A 上層
6B 下層
7 切刃
7A コーナ刃
7B、7C 直線刃
8 ホーニング
O インサート中心線
P コーナ刃7Aの突端
Q コーナ刃7Aと他方の直線刃7Cとの接点
L コーナ刃7Aの切刃エッジ稜線
R 切刃エッジ稜線Lと段差部2Bとの交点
M すくい面2に対向する方向からみて他方の直線刃7Cに対してコーナ刃7A側ですくい面2の外側に5°の角度αで交差する方向に延びる直線
S 直線Mとコーナ刃7Aとの接点
A 交点Rと接点Sとの直線M方向の距離
B 段差部2Bの段差量
α すくい面2に対向する方向からみたときの直線Mに対して他方の直線刃7Cがなす角度(5°)
θ 一対の直線刃7B、7Cの公差角(80°)
W 被削材
H 被削材Wの外周面

Claims (2)

  1. インサート本体の多角形状をなすすくい面の辺稜部に、該すくい面の角部に円弧状のコーナ刃を有する切刃が形成されており、上記すくい面には、上記コーナ刃の突端から該すくい面の内側に向かう途中ですくい面が低くなる段差部が、上記コーナ刃に交差するように形成されていて、
    上記切刃は、上記コーナ刃の両端において該コーナ刃にそれぞれ接する一対の直線刃を備え、これらの直線刃がなす交差角が80°とされるとともに、上記コーナ刃にはホーニングが形成され、このホーニングと上記コーナ刃の逃げ面との境界である該コーナ刃の刃先エッジ稜線と上記段差部との交点が、上記すくい面に対向する方向からみて上記交点が位置する側の上記直線刃に対して上記コーナ刃側で該すくい面の外側に5°の角度で交差する方向に延びる直線と上記コーナ刃との接点よりも上記コーナ刃の突端側に位置して、これら交点と接点との間の距離が、上記直線に沿った方向において0.01mm〜0.1mmの範囲とされるとともに、上記段差部によって低められたすくい面と上記逃げ面との交差稜線と上記交点との間の段差量が、上記すくい面に対向する方向において0mm〜0.05mmの範囲とされていることを特徴とする切削インサート。
  2. 上記コーナ刃と、上記直線刃のうち少なくとも上記コーナ刃に接する部分と、上記段差部のうち少なくとも上記コーナ刃に交差する部分とは、上記すくい面に配設された立方晶窒化ホウ素焼結体よりなる切刃チップ上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
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