JP2011092974A - ダイカスト鋳造型および鋳抜きピン着脱構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋳抜きピン1の雌ねじ部6を造形部4内部まで延長させたので、鋳抜きピン1が基部3と造形部4の境界で折損した場合、入子2(型部材)に残存した鋳抜きピン1の破断面7に雌ねじ部6が露呈し、該露呈した雌ねじ部6に接続した除去用ボルト9を緩め方向へ回転させる。これにより、鋳抜きピン1を固定用ボルト5から乖離して残存した鋳抜きピン1を入子2から除去することができる。そして、鋳抜きピン冷却装置により造形部4の内部空間10に対して冷却水の給排を行い造形部4を冷却するので、造形部4の過熱を防止して鋳造品の品質を確保することができる。
【選択図】図1
Description
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)−(6)項の各々が、請求項1−6の各々に相当する。
本項に記載のダイカスト鋳造型によれば、鋳抜きピンの雌ねじ部の他端を造形部内部まで延長させたので、鋳抜きピンが造形部と基部との境界で折損した場合、型部材(例えば、入子)に残存した鋳抜きピンの破断面に雌ねじ部の他端が露呈される。この露呈した雌ねじ部に、ナットが螺合された除去用ボルトの先端を螺合させた後、スパナ等の工具によりナットを締め付け方向へ回転させて除去用ボルトを残存した鋳抜きピンに固定する。次に、スパナ等の工具により除去用ボルトの頭部を緩め方向へ回転させて型部材に残存した鋳抜きピンを除去用ボルトと一体で回転させる。回り止め手段により固定用ボルトの軸回りの回転が阻止されることから、残存した鋳抜きピンを固定用ボルトから乖離させて型部材に残存した鋳抜きピンを型部材から除去することができる。
また、型部材に残存した鋳抜きピンを除去した後、新規の鋳抜きピンの基部を型部材の嵌合穴に挿入し、該嵌合穴の中央に突出した固定用ボルトの先端に、当該鋳抜きピンの雌ねじ部を螺合させる。この状態で、例えば、造形部に形成した六角凹形状の工具接続部に六角レンチ等の工具を接続し、該工具で鋳抜きピンを締め付け方向へ回転させることにより、新規の鋳抜きピンを型部材に装着することができる。なお、固定用ボルトは回り止め手段により軸回りの回転が阻止されている。
したがって、本項に記載のダイカスト鋳造型によれば、鋳抜きピンが造形部と基部との境界で折損した場合、型部材を主型から取り外すことなく、型部材に残存した鋳抜きピンを新規の鋳抜きピンに交換することができる。これにより、鋳抜きピンの交換を迅速に行うことが可能となり、鋳抜きピンを交換する間の生産が停止している時間が最小限に止められ、生産性を確保することができる。
本項の態様において、工具接続部は、使用する工具(レンチ等)、要求される鋳抜き穴形状等の条件に対応して、凹形状あるいは凸形状とすることができる。
本項の態様において、回り止め手段は、例えば、固定用ボルトの頭部を直方体に形成するとともに、型部材のキャビティ側とは反対側の面に、固定用ボルトの頭部を収容する四角凹形状の凹部を形成し、該凹部の4つの側面(壁面)で固定用ボルトの頭部の回転を阻止することで構成することができる。
また、本項の態様では、鋳抜きピンに雄ねじを設けていないので、雄ねじに応力が集中することに起因して鋳抜きピンが破断するのを防止することができる。
本項に記載のダイカスト鋳造型によれば、鋳抜きピンの造形部の過熱を防止することができ、鋳造品の品質を確保することができる。また、鋳抜きピン冷却手段は、鋳抜きピンの折損時に除去用ボルトを接続するために他端を延長させた雌ねじ部の内側の空間をウォータジャケットとして利用するので、鋳抜きピンの構造がシンプルであることから、鋳抜きピンの加工のための工数ひいては設備コストが増加することを防ぐことができる。
本項の態様において、鋳抜きピン冷却手段により造形部の内部空間に給排される冷却水は、ダイカスト鋳造装置本体の冷却水配管を分岐させて当該鋳抜きピン冷却手段に引き込むように構成してもよいし、当該鋳抜きピン冷却手段専用に冷却水流通回路を構成することもできる。ここで、鋳抜きピン冷却手段専用に冷却水流通回路を構成する場合、水道水を掛流しにして利用することができるし、閉じた流通経路を構成して冷却水をポンプで循環させるように構成することもできる。
本項に記載のダイカスト鋳造型によれば、冷却水は、給水側経路から固定用ボルト内部に形成された給水路を流通して造形部の内部空間へ供給され、造形部の冷却に利用された後、固定用ボルト内部に形成された排水路を流通して排水側経路へ排出される。給水ポート、排水ポートは、それぞれが、例えば固定用ボルトの頭部端面に設けられ、それぞれに、給水側経路を構成する配管、排水側経路を構成する配管が接続される。
ダイカスト鋳造法において、鋳抜きピンが折損した場合、当然、排水側の流量(排水側経路を流通する冷却水流量)が著しく低下し、給水側の流量(給水側経路を流通する冷却水流量)と排水側の流量(排水側経路を流通する冷却水流量)との差が、正常時(鋳抜きピンが折損していない時)と比較して拡大する。そこで、本項に記載のダイカスト鋳造型では、折損検出手段が給水側の流量と排水側の流量との差を常時監視し、この流量差が設定値を超えた場合に、鋳抜きピンが折損したと判定するように構成した。
本項の態様において、折損検出手段は、給水側の流量を測定する給水側流量センサと、排水側の流量を測定する排水側流量センサと、マイクロコンピュータにより構成されて給水側流量センサおよび排水側流量センサの測定結果に基づき鋳抜きピンが折損したか否かを判定する演算処理装置と、を含む。
なお、折損検出手段は、給水側経路を流通する冷却水の給水側圧力と排水側経路を流通する冷却水の排水側圧力との差に基づき鋳抜きピンが折損したか否かを判定するように構成することもできる。
本項に記載の鋳抜きピン着脱構造によれば、鋳抜きピンの雌ねじ部の他端を造形部内部まで延長させたので、鋳抜きピンが造形部と基部との境界で折損した場合、型部材(例えば、入子)に残存した鋳抜きピンの破断面に雌ねじ部の他端が露呈される。この露呈した雌ねじ部に、ナットが螺合された除去用ボルトの先端を螺合させた後、スパナ等の工具によりナットを締め付け方向へ回転させて除去用ボルトを残存した鋳抜きピンに固定する。次に、スパナ等の工具により除去用ボルトの頭部を緩め方向へ回転させて型部材に残存した鋳抜きピンを除去用ボルトと一体で回転させる。回り止め手段により固定用ボルトの軸回りの回転が阻止されることから、残存した鋳抜きピンを固定用ボルトから乖離させて型部材に残存した鋳抜きピンを型部材から除去することができる。
また、型部材に残存した鋳抜きピンを除去した後、新規の鋳抜きピンの基部を型部材の嵌合穴に挿入し、該嵌合穴の中央に突出した固定用ボルトの先端に、当該鋳抜きピンの雌ねじ部を螺合させる。この状態で、例えば、造形部に形成した六角凹形状の工具接続部に六角レンチ等の工具を接続し、該工具で鋳抜きピンを締め付け方向へ回転させることにより、新規の鋳抜きピンを型部材に装着することができる。なお、固定用ボルトは回り止め手段により軸回りの回転が阻止されている。
したがって、本項に記載の鋳抜きピン着脱構造によれば、鋳抜きピンが造形部と基部との境界で折損した場合、型部材を主型から取り外すことなく、型部材に残存した鋳抜きピンを新規の鋳抜きピンに交換することができる。これにより、鋳抜きピンの交換を迅速に行うことが可能となり、鋳抜きピンを交換する間の生産が停止している時間が最小限に止められ、生産性を確保することができる。
本項の態様において、工具接続部は、使用する工具(レンチ等)、要求される鋳抜き穴形状等の条件に対応して、凹形状あるいは凸形状とすることができる。
本項の態様において、回り止め手段は、例えば、固定用ボルトの頭部を直方体に形成するとともに、型部材のキャビティ側とは反対側の面に、固定用ボルトの頭部を収容する四角凹形状の凹部を形成し、該凹部の4つの側面(壁面)で固定用ボルトの頭部の回転を阻止することで構成することができる。
また、本項の態様では、鋳抜きピンに雄ねじを設けていないので、雄ねじに応力が集中することに起因して鋳抜きピンが破断するのを防止することができる。
本項に記載の鋳抜きピン着脱構造によれば、固定用ボルトが型部材から脱落することを防止することができる。
本項の態様において、落下防止機構は、ボルト等で型部材(入子)に固定された落下防止板を固定用ボルトの頭部に当接させることで構成することができる。
ポンプ25により圧送される冷却水は、給水側経路21、給水路19を経由して鋳抜きピン1の造形部4の内部空間10へ供給され、造形部4の冷却に利用された後、排水路22を流通して排水側経路24へ排出される。なお、給水側流量および排水側流量は、折損検出装置(折損検出手段)の給水側流量センサ26および排水側流量センサ27により監視される。また、造形部4の冷却に利用された冷却水を、排水側経路24を流通する過程でラジエータ等により冷却するように構成することができる。
本実施形態によれば、鋳抜きピン1の雌ねじ部6の他端を造形部4内部まで延長させたので、鋳抜きピン1が基部3と造形部4の境界で折損した場合、入子2(型部材)に残存した鋳抜きピン1の破断面7には雌ねじ部6が露呈される。この露呈した雌ねじ部6に、ナット8が螺合された除去用ボルト9を螺合させた後、ナット8を締め付け方向へ回転させて、除去用ボルト9と残存した鋳抜きピン1とを固定する。次に、除去用ボルト9を緩め方向へ回転させて入子2に残存した鋳抜きピン1を除去用ボルト9と一体で回転させる。これにより、固定用ボルト5が回り止め手段により軸回りの回転が阻止されていることから、残存した鋳抜きピン1を固定用ボルト5から乖離させて残存した鋳抜きピン1を入子2から除去することができる。そして、入子2に残存した鋳抜きピン1を除去した後、新規の鋳抜きピン1の基部3を入子2の嵌合穴11に嵌合させ、該嵌合穴11の中央に突出した固定用ボルト5に、当該鋳抜きピン1の雌ねじ部6を螺合させる。この状態で、新規の鋳抜きピン1先端の六角穴12(工具接続部)に、六角レンチを接続し、該六角レンチで鋳抜きピン1を締め付け方向へ回転させる。これにより、回り止め手段により固定用ボルト5の軸回りの回転が阻止されていることから、新規の鋳抜きピン1を入子2に装着することができる。
したがって、本実施形態では、鋳抜きピン1が基部3と造形部4との境界で折損した場合、入子2(型部材)を主型から取り外すことなく、残存した鋳抜きピン1を新規の鋳抜きピン1に交換することができる。これにより、鋳抜きピン1の交換を迅速に行うことが可能となり、鋳抜きピン1を交換する間の生産が停止している時間を最小限に止めることで生産性を確保することができる。
また、本実施形態は、雌ねじ部6の他端を延長して形成した造形部4の内部空間10に対して冷却水の給排を行う鋳抜きピン冷却装置(鋳抜きピン冷却手段)により、造形部4の過熱を防止したので、鋳造欠陥を防止して鋳造品の品質を確保することができる。また、従来、基部3にのみ形成されていた雌ねじ部6を延長するだけで造形部4に内部空間10が形成されるので、鋳抜きピン1の加工が簡単に済むことから、鋳抜きピン1の製造コストの増加を抑制することができる。
また、本実施形態は、折損検出装置(折損検出手段)により、鋳抜きピン冷却装置(鋳抜きピン冷却手段)の給水側流量と排水側流量との流量差に基づき鋳抜きピン1の折損を検出することができるので、鋳抜きピン1が折損したままの状態で鋳造を行うことによる鋳造不良の発生を抑止することができる。さらに、折損により破断面7に露呈した雌ねじ部6に溶湯が流入して凝固することで、入子2(型部材)に残存した鋳抜きピン1を除去することが困難になる事態を防ぐことができる。
鋳抜きピン冷却装置(鋳抜きピン冷却手段)は、ダイカスト鋳造装置本体の冷却水配管を分岐させて冷却水を得るように構成してもよいし、水道水を掛流しにすることで冷却水を得てもよい。
折損検出装置(折損検出手段)は、給水側経路21を流通する冷却水の給水側圧力と排水側経路24を流通する冷却水の排水側圧力との差に基づき鋳抜きピン1の折損を検出するように構成することもできる。この場合、給水側経路21の圧力を給水側圧力センサにより測定するとともに排水側経路24の圧力を排水側圧力センサにより測定し、さらに給水側圧力センサの測定結果と排水側圧力センサの測定結果から給水側圧力と排水側圧力との圧力差を算出する。そして、該算出結果(圧力差)と予め決められた設定値とを比較し、圧力差が設定値を超えた時点で、鋳抜きピン1が折損したことを検出する。
鋳抜きピン1の造形部4に形成される六角穴12は、工具として六角レンチを使用することに対応させたものであり、使用される工具に応じて、例えば、四角穴等であってもよい。これは回り止め機構においても同様であり、固定用ボルト5の頭部13が六角形である場合、これに対応させて凹部16も六角形に形成する。
Claims (6)
- 型部材に鋳抜きピンが着脱可能に装着されるダイカスト鋳造型であって、
前記鋳抜きピンは、前記ダイカスト鋳造型のキャビティ内部に露出される造形部と、前記型部材の内部に収容される円筒形状の基部と、一端が前記基部の端面に開口するとともに他端が前記造形部内部まで延びる雌ねじ部と、前記造形部の先端に設けられて前記鋳抜きピンを軸回りに回転させるための工具が接続される工具接続部と、を有し、
前記ダイカスト鋳造型は、前記型部材のキャビティ側の面に設けられて前記基部が嵌合される嵌合穴と、該嵌合穴に対して同軸上に設けられて一端が前記型部材のキャビティ側とは反対側の面に開口するとともに他端が前記嵌合穴の底面に開口する通し穴と、前記通し穴の一端から挿入されて先端が前記雌ねじ部に螺合される固定用ボルトと、該固定用ボルトの軸回りの回転を阻止する回り止め手段と、を有し、
前記鋳抜きピンが前記造形部と前記基部との境界で折損した場合、ナットが螺合された除去用ボルトの先端を、前記型部材に残留した前記鋳抜きピンの破断面に露呈した前記雌ねじ部に螺合させた後、前記ナットを締め付けて前記除去用ボルトを前記残留した前記鋳抜きピンに固定し、該除去用ボルトを工具で回転させて前記鋳抜きピンを前記型部材に対して緩め方向へ回転させることにより、前記残留した前記鋳抜きピンを前記型部材から除去することを特徴とするダイカスト鋳造型。 - 前記雌ねじ部の他端を延長することにより形成される前記造形部の内部空間に対して冷却水の給排を行う鋳抜きピン冷却手段を有することを特徴とする請求項1に記載のダイカスト鋳造型。
- 前記鋳抜きピン冷却手段は、前記固定用ボルトに設けられて前記造形部の内部空間へ供給される冷却水が流通する給水路と、該給水路の給水ポートに接続される給水側経路と、前記固定用ボルトに設けられて前記造形部の内部空間から排出される冷却水が流通する排水路と、該排水路の排水ポートに接続される排水側経路と、前記給水側経路から前記給水路、前記造形部の内部空間および前記排水路を経由して前記排水側経路へ冷却水を流通させる冷却水流通手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載のダイカスト鋳造型。
- 前記給水側経路を流通する冷却水と前記排水側経路を流通する冷却水との間の流量差または圧力差に基づき前記鋳抜きピンの折損を検出する折損検出手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載のダイカスト鋳造型。
- ダイカスト鋳造型を構成する型部材に対して鋳抜きピンを着脱する構造であって、
前記ダイカスト鋳造型のキャビティ内部に露出される造形部と前記型部材の内部に収容される円筒形状の基部とからなる前記鋳抜きピンと、一端が前記基部の端面に開口するとともに他端が前記造形部内部まで延びる雌ねじ部と、前記型部材のキャビティ側の面に設けられて前記基部が嵌合される嵌合穴と、該嵌合穴に対して同軸上に設けられて一端が前記型部材のキャビティ側とは反対側の面に開口するとともに他端が前記嵌合穴の底面に開口する通し穴と、前記通し穴の一端から挿入されて先端が前記雌ねじ部に螺合される固定用ボルトと、前記造形部の先端に設けられて前記鋳抜きピンを軸回りに回転させるための工具が接続される工具接続部と、該固定用ボルトの軸回りの回転を阻止する回り止め手段と、を有し、
前記鋳抜きピンが前記造形部と前記基部との境界で折損した場合、ナットが螺合された除去用ボルトの先端を、前記型部材に残留した前記鋳抜きピンの破断面に露呈した前記雌ねじ部に螺合させた後、前記ナットを締め付けて前記除去用ボルトを前記残留した前記鋳抜きピンに固定し、該除去用ボルトを工具で回転させて前記鋳抜きピンを前記型部材に対して緩め方向へ回転させることにより、前記残留した前記鋳抜きピンを前記型部材から除去することを特徴とする鋳抜きピン着脱構造。 - 前記固定用ボルトが前記型部材から脱落することを防止する脱落防止手段を有することを特徴とする請求項5に記載の鋳抜きピン着脱構造。
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