JP2011092911A - 自動車用複合塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂成形品11上に形成された艶消しベースコート層12と、該艶消しベースコート層12上に形成された金属薄膜層13と、該金属薄膜層13上に形成されたクリアトップコート層14とを備えた自動車用複合塗膜10において、前記艶消しベースコート層12は、ベースコート用樹脂と、艶消し剤としてポリカーボネート粒子とを含有することを特徴とする自動車用複合塗膜10。
【選択図】図1
Description
例えば特許文献1には、合成樹脂成形品本体の上に、無機系艶消し剤としてシリカ等を混合したベースコート層を設け、該ベースコート層上にメタル層を設け、該メタル層上にトップコート層を設けた合成樹脂成形品が開示されている。該合成樹脂成形品によれば、ベースコート層に無機系艶消し剤を混合することで、防眩効果を得ている。
また、艶消し剤としては、上述したシリカ等の無機系艶消し剤の他にも、ポリエチレン粒子、尿素樹脂粒子、ポリ4フッ化エチレン粒子、アクリル樹脂等の有機系艶消し剤が用いられている。
ポリエチレン粒子、尿素樹脂粒子、ポリ4フッ化エチレン粒子は柔らかいため、衝撃が加わると変形し、クラックが発生しやすかった。
アクリル樹脂は上述した有機系艶消し剤に比べて硬いものの、靭性に劣るため、耐衝撃性が低下しやすかった。
また、前記ポリカーボネート粒子は、平均粒子径が2〜10μmであり、前記ベースコート用樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましい。
この例の複合塗膜10は、合成樹脂成形品11上に形成された艶消しベースコート層12と、該艶消しベースコート層12上に形成された金属薄膜層13と、該金属薄膜層13上に形成されたクリアトップコート層14とを備えて構成される。
なお、図1においては、説明の便宜上、寸法比は実際のものと異なったものである。
艶消しベースコート層12は、ベースコート用樹脂と、艶消し剤としてポリカーボネート粒子(以下、「PC粒子」という。)とを含有する。
ベースコート用樹脂としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でもウレタン樹脂が好ましい。
これら硬化性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
主剤としては、例えばDIC株式会社製の「アクリディックA−817」、「アクリディックA−1650」、「アクリディックCL−408」等のアクリルポリオールが好適である。
一方、硬化剤としてはジフェニルメタンジイソシアネート化合物、トリレンジイソシアネート化合物、キシレンジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物等が挙げられる。市販品としては、例えばDIC株式会社製の「バーノックDN−981」;住化バイエルウレタン株式会社製の「スミジュールHT」、「スミジュールN3400」等が好適である。
まず、溶剤中でポリカーボネート樹脂を加熱して溶解させる。ついで、攪拌しながら冷却することで微細粒を析出させる。さらに、所望の粒子径になるようにろ過フィルターを用いて粒子径を揃え、PC粒子を得る。得られたPC粒子は、ろ過フィルターで粒子径を揃えた後に、必要に応じて溶剤をエバポレーターで濃縮したり、溶剤を添加したりして固形分を調整し、溶剤に分散した状態で用いてもよい。
一方、PC粒子に添加して固形分の調整に用いる溶剤としては、PC粒子が溶解しにくい溶剤であれば特に制限されないが、例えばトルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
ここで「平均粒子径」とはメジアン径のことであり、具体的にはレーザー回折・散乱法により、例えば日機装株式会社製の「マイクロトラックHRA」を用いて測定された「平均粒子径」である。
その他添加剤としては、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
金属薄膜層13の材質としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銅、銀、亜鉛、スズ、インジウム、マグネシウム、これらの酸化物、およびこれらの合金などが挙げられる。中でもスズ、インジウムが好ましい。
金属薄膜層13が連続膜の場合、複合塗膜10全体としての付着性は主に金属薄膜層13とクリアトップコート層14との付着性に依存する。
一方、金属薄膜層13が不連続膜の場合、クリアトップコート層14は金属薄膜層13のみならず、艶消しベースコート層12とも接することになる。従って、複合塗膜10全体としての付着性は、金属薄膜層13とクリアトップコート層14との付着性、および艶消しベースコート層12とクリアトップコート層14との付着性の両方に依存する。よって、金属薄膜層13が不連続膜であれば、複合塗膜10の付着性がより向上し、耐衝撃性の向上にもつながる。
クリアトップコート層14は、トップコート用樹脂と必要に応じて添加剤とを含有する。
トップコート用樹脂としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、艶消しベースコート層の説明において先に例示した硬化性樹脂が挙げられる。
本発明の複合塗膜は、合成樹脂成形品11上に艶消しベースコート層12、金属薄膜層13、クリアトップコート層14を順次形成することで得られる。
合成樹脂成形品11としては、自動車のラジエータグリル、ホイールキャップ、サイドモール等の自動車外装部品などが挙げられる。
また、合成樹脂成形品11の材料としては、自動車外装部品に用いられる樹脂であれば特に制限されないが、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ナイロン樹脂等が挙げられる。
まず、合成樹脂成形品11上に艶消しベースコート層12を形成する。艶消しベースコート層12は、上述したベースコート用樹脂と、PC粒子と、必要に応じてその他添加剤とを混合してベースコート用塗料を調製し、該ベースコート用塗料を合成樹脂成形品11上に塗布し、乾燥することで形成できる。
ベースコート用塗料は、必要に応じて溶剤によって濃度を調整して用いてもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤が挙げられる。これら溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、乾燥方法としては、ベースコート用樹脂の種類により、加熱法、光照射法などを適宜選択して用いることができるが、加熱法が特に適している。加熱法の場合、60〜100℃で、30〜360分間加熱するのが好ましい。
ついで、金属薄膜層13上にクリアトップコート層14を形成し、複合塗膜10を得る。クリアトップコート層14は、上述したトップコート用樹脂と、必要に応じて添加剤とを混合してトップコート用塗料を調製し、該トップコート用塗料を金属薄膜層13上に塗布し、乾燥することで形成できる。
トップコート用塗料は、必要に応じて溶剤によって濃度を調整して用いてもよい。溶剤としては、ベースコート用塗料の説明において先に例示した溶剤が挙げられる。
また、トップコート用塗料の塗布方法、および乾燥方法としては、ベースコート用塗料の塗布方法および乾燥方法と同様である。
温度計、ジムロートコンデンサー、およびスリーワンモータに連結した撹拌棒および撹拌羽を、2Lのセパラフラスコにセットした。
ジムロートコンデンサーには、8℃以下の冷却水(氷水)を流した。さらに、加温用にマントルヒーターとスライダックを、ラボジャッキを用いてセットした。
2Lのセパラフラスコに、シクロヘキサノン460gと、キシレン460gを入れ、撹拌を開始した。撹拌下にてポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、「パンライトL−1225L」、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)による質量平均分子量:15000)のペレットを80g添加した。その後、スライダックで出力調整を行い、マントルヒーターで加熱し、液温を140〜145℃に保持するように制御した。ポリカーボネート樹脂を20〜90分間加熱し、完全に溶解した時点で加温を止めた。
ついで、マントルヒーターを外し、撹拌を続けながら室温(約20℃)まで徐々に冷却して、ポリカーボネートの微細粒を析出させた。
得られた微細粒を、粒子径が2μmになるようにろ過フィルターを用いて粒子径を揃えた。さらに、エバポレーターで濃縮した後、固形分濃度が5質量%になるようにトルエンを加えて、PC粒子分散液(P−1)を調製した。
PC粒子の平均粒子径を、粒径測定器(日機装株式会社製、「マイクロトラックHRA」)により測定したところ、2μmであった。
ポリカーボネートの微細粒を、粒子径が10μmになるようにろ過フィルターを用いて粒子径を揃えた以外は、PC粒子分散液(P−1)と同様にして、PC粒子がトルエンに分散したPC粒子分散液(P−2)を調製した。PC粒子の平均粒子径は、10μmであった。
ポリカーボネートの微細粒を、粒子径が20μmになるようにろ過フィルターを用いて粒子径を揃えた以外は、PC粒子分散液(P−1)と同様にして、PC粒子がトルエンに分散したPC粒子分散液(P−3)を調製した。PC粒子の平均粒子径は、20μmであった。
トップコート用樹脂としてアクリル樹脂(DIC株式会社製、「アクリディックA−860」、固形分濃度:50質量%)を固形分換算で80質量部、およびポリイソシアネート(DIC株式会社製、「バーノックDN−981」、固形分濃度:75質量%)を固形分換算で20質量部と、添加剤としてレベリング剤(ビックケミージャパン株式会社製、「BYK−330」)3質量部と、溶剤として酢酸ブチル80質量部を混合し、トップコート用塗料を調製した。
ベースコート用樹脂としてアクリル樹脂(DIC株式会社製、「アクリディックA−817」、固形分濃度:50質量%)を固形分換算で80質量部、およびポリイソシアネート(DIC株式会社製、「バーノックDN−981」、固形分濃度:75質量%)を固形分換算で20質量部と、艶消し剤として、PC粒子(艶消し剤)の含有量が固形分換算で0.5質量部になる量(すなわち、10質量部)のPC粒子分散液(P−1)と、その他添加剤としてレベリング剤(ビックケミージャパン株式会社製、「BYK−330」)3質量部と、溶剤として酢酸ブチル80質量部を混合し、ベースコート用塗料を調製した。
ついで、真空蒸着装置(株式会社アルバック製、「EX−200」)を用い、艶消しベースコート層上にインジウムの金属材料を真空蒸着することにより、金属薄膜層(インジウム薄膜層)を形成した。インジウム薄膜層の厚さは60nmであった。
ついで、インジウム薄膜層上に、先に調製したトップコート用塗料を、硬化後の厚さが25μmになるように、スプレーガンでスプレー塗装し、80℃で60分間乾燥して溶剤を除去すると共に硬化させ、クリアトップコート層を形成し、複合塗膜を得た。
(初期付着性の評価)
複合塗膜のクリアトップコート層上に、1mm幅で5×5の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープを使用した。結果を表1に示す。
○:碁盤目の残存数が25個。
△:碁盤目の残存数が10〜24個。
×:碁盤目の残存数が9個以下。
複合塗膜の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
○:艶消し感および透明感を有し、ざらつき感が感じられない。
△:艶消し感はあるが、透明感にやや劣る、またはざらつき感が感じられる。
×:艶消し感がない。
JIS K 5600に準じ、デュポン式衝撃試験機を用いて複合塗膜におもりを衝突させ、その衝突面を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
○:クラックが発生していない。
△:わずかにクラックが発生した。
×:クラックが発生した。
耐衝撃性試験後の複合塗膜のクリアトップコート層上に、1mm幅で5×5の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分にテープを貼着し剥がす操作を実施し、以下の評価基準にて評価した。なお、テープとしては、セロハンテープを使用した。結果を表1に示す。
○:碁盤目の残存数が25個。
△:碁盤目の残存数が10〜24個。
×:碁盤目の残存数が9個以下。
PC粒子分散液の種類を表1、2に示すものに変更し、かつ該PC粒子分散液の配合量をPC粒子(艶消し剤)の含有量が固形分換算で表1に示す値になるように調整した以外は、実施例1と同様にしてベースコート用塗料を調製し、複合塗膜を製造した。各評価結果を表1、2に示す。
艶消し剤としてPC粒子の代わりに、表2に示す種類と配合量(固形分量)の艶消し剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてベースコート用塗料を調製し、複合塗膜を製造した。各評価結果を表2に示す。
・シリカ粒子:水澤化学株式会社製の「ミズカシルP603」。
・ウレタン粒子:根上工業株式会社製の「アートパールC800」。
・アクリル粒子:根上工業株式会社製の「アートパールG800」。
・ポリエチレン粒子:チバジャパン株式会社製の「EFKA−6903」。
なお、PC粒子の含有量が、ベースコート用樹脂100質量部に対して固形分換算で0.25質量部になるようにPC粒子分散液を配合した実施例2は、複合塗膜の外観が透明性にやや劣っていた。また、ベースコート用樹脂100質量部に対して固形分換算で6.0質量部になるようにPC粒子分散液を配合した実施例5、10は、初期付着性および耐衝撃性試験後の付着性にやや劣っていた。さらに、平均粒子径が20μmのPC粒子を用いた実施例11は、複合塗膜の外観にざらつき感が感じられた。
Claims (2)
- 合成樹脂成形品上に形成された艶消しベースコート層と、該艶消しベースコート層上に形成された金属薄膜層と、該金属薄膜層上に形成されたクリアトップコート層とを備えた自動車用複合塗膜において、
前記艶消しベースコート層は、ベースコート用樹脂と、艶消し剤としてポリカーボネート粒子とを含有することを特徴とする自動車用複合塗膜。 - 前記ポリカーボネート粒子は、平均粒子径が2〜10μmであり、前記ベースコート用樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用複合塗膜。
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WO2023123537A1 (zh) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | 宁波信泰机械有限公司 | 一种透白光复合膜层及其制备方法和应用 |
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