JP2011089972A - 光学検査システム、光学検査装置 - Google Patents

光学検査システム、光学検査装置 Download PDF

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将義 下田
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健 鈴木
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Abstract

【課題】測定対象の2種類の材質が未知であっても、両者の反射率の差が大きくなるような波長を決定して測定できる。
【解決手段】光学検査装置1は、光ビームを発生する光源4、ビームスプリッタ2、参照鏡3、検出器8等を有する。更に、検査対象物である被検体5が取り付けられ、この被検体5を移動させる為の移動機構14、この移動機構14を駆動するステッピングモータ6を有する。そして、光源4とコリメータレンズ10との間に、波長変換素子9を設けている。この波長変換素子9からの出力光の波長が、2種類以上の材質からなる上記被検体5の各材質の反射率の差がでるような波長となるように設定しておく。
【選択図】 図1

Description

本発明は、干渉光学系による光学検査装置等に関する。
光学的検査方法としては被検体表面に光線を照射し、その反射光を光検出器にて受光し、その結果に基づいてパターン検査する方法が採用されている。
例えば以下の特許文献1〜5に記載の従来技術が知られている。
まず、特許文献1の発明は、照明光源として用いる紫外レーザ光発生装置を構成する波長変換装置の寿命延長と長期信頼性を確保し、被検査対象物に形成された微細被検査パターン上の微細な欠陥を高解像度で検出できるようにするものである。紫外レーザ光を発生する為の波長変換装置を、容器により密閉構造として内部への汚染物の侵入を防止することや内部に不活性ガスを充満させること等を行っている。
特許文献2には、参照ミラーを移動させ、試料と参照ミラーとの光路長差を変化させて干渉縞強度が強くなる位置に基づいて、試料の高さを測定する、3次元形状測定装置(白色干渉計)の構成が示されている(図1等)。また、白色干渉計に用いられる「低コヒーレンス光源」として、ハロゲンランプ、SLD(スーパールミネッセントダイオード)等が例示されている(段落0106等)。
特許文献3には、被測定物に測定光を投射し、反射した検査光を計測することによって被測定物の形状を測定するものにおいて、波長調節手段を設けて測定光の波長を任意に設定可能としておき、測定に先立って、測定光の波長を変化させた際の検査光の強度変化を検出し、その検出結果に基づいて、測定に適した測定光の波長を決定する(測定光の波長を被測定物の固有の反射波長に同調するように決定する)ことが開示されている。
特許文献4には、被測定物の材料(試料に形成された配線パターンの材料)に関する情報に基づいて、高感度な欠陥検査に有利な照明波長帯を選択することが開示されている。
特許文献5には、レーザ光を非線形光学結晶(BBO(β-Ba2B204)に入射し、非線形光学結晶の角度を変えることにより任意の波長の出力光に変換する波長変換装置が開示されている。
特開2001−296570号公報 特開2000−310518号公報 特開平10−221038号公報 特開2007−71804号公報 特開平4−84478号公報
従来、例えば上記特許文献2に記載のような「試料と参照ミラーとの光路長差を変化させて干渉縞強度が強くなる位置に基づいて、試料の高さを測定する、3次元形状測定装置」、すなわち例えばマイケルソン型等の干渉光学系による光学検査装置では、測定対象の形状は例えば特許文献2における試料7のような形状であった。
<測定対象物が多層構造である場合における第1の問題>
一方、測定対象の形状が、例えば図5に示すような、多層構造(例えば第1層と第2層がある)であり且つ第1層に開口パターン(特に規則的な開口パターン)があり、開口パターンを介して第2層からの反射光が得られるような形状である場合には、回折光による影響を受けて測定精度が悪くなるという問題があった。すなわち、光源側から試料に向けて投射される検査光が上記開口パターンをもつ第1層の上面で反射する際に、回折光が発生してしまう為、検出器に入射する干渉光がこの回折光による影響を受けたものとなり、測定精度が悪くなるという問題があった。
(測定対象の形状の一例)
ここで図5の構造について説明しておく。
図5は、上記のような測定対象(検査対象)の形状の一例を示すものである。
図5(a)、(b)に示す半導体デバイス(その1)は、図5(a)が図5(b)に示すバックプレートを上側から見る形の外観図であり、図5(a)に示すA−A’間の断面図が図5(b)である。
半導体デバイス(その1)は、図5(b)に示すように、上層(第1層)であるバックプレート(バックプレート電極)と、下層(第2層)であるメンブレン(メンブレン電極)等を有し、バックプレート−メンブレン間には空間(エアギャップ)が形成されている。また、バックプレートには、孔(図示の間隙部(バックプレート開口部))が形成されている。このバックプレート開口部は、図5(a)に示す多数の小さな円形の孔である(つまり、繰り返される規則的な開口パターンを有する)。
この様な形状の半導体デバイス(その1)に対して、例えば上記バックプレート下面とメンブレン上面との距離すなわち上記エアギャップの高さX(エアギャップ量Xという)を評価する場合、バックプレート上面の位置(z1とする)、メンブレン上面の位置(z2とする)を測定することで、バックプレート上面−メンブレン上面間の間隔d=|z1−z2|を求める。更に、バックプレートの厚さtを既知として(例えば事前または事後の断面観察等により把握)、上記エアギャップ量X=d−tが求められる。この様にして、エアギャップ量Xを推定することで、このエアギャップ量Xが予め決められている所定値であるか否かを判定することで、良品/不良品を判定する検査等が行われる。
ここで、上記各層の位置の測定は、各層からの反射光に基づいて(詳細には、この反射光と参照ミラーからの反射光(参照光)との干渉信号に基づいて)行われるが、図5のような形状では、上層(バックプレート)からの反射光に関して上記上層の開口パターンにより回折光が発生する場合がある。この為、上記干渉信号がこの回折光の影響を受けたものとなり、検査精度に影響するものとなる。
(生じる回折光の態様)
なお、図5のような周期的開口パターンを有する上層(バックプレート)を備えた被検体5であっても、検査光の照射領域の大きさによって、生じる回折光の態様は異なる。すなわち、単一の開口部だけを含む領域に検査光が照射される場合には、0次反射光(0次反射回折光)あるいは0次透過光(0次透過回折光)の光軸を中心として、検査光の波長,開口部の開口径寸法に基づく回折角で広がるような回折光となる。また、周期的に配列された複数の開口部を含む領域に検査光が照射される場合には、0次反射光(0次反射回折光)あるいは0次透過光(0次透過回折光)の光軸に対して、検査光の波長,開口部の配列ピッチ寸法に基づく特定の回折角を中心とした指向性を有する回折光となる。
(従来の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その1))
回折光の影響を受けた第1の例を図8により説明する。図8は、白色干渉計を用いた従来の光学検査装置(3次元形状測定装置)を,図5のような開口パターンを有する上層(バックプレート)と下層(メンブレン)とからなる2層構造の被検体5に適用した場合であって、検査光が被検体5の上層における単一の開口部だけを含む領域に照射される条件での干渉ピークパターン例(その1)を説明する為の図であり、干渉光の光強度が増大する干渉ピークのパターンを模式的に示している。Pbは上層(バックプレート)からの反射光による干渉ピークであって、バックプレート上面の位置(z1)に対応する正規の干渉ピークである。Pmは下層(メンブレン)からの反射光による干渉ピークであって、メンブレン上面の位置(z2)に対応する正規の干渉ピークである。そして、Pb,Pmのピーク位置間隔に基づいて、上述のように、エアギャップ量X=d−t=|z1−z2|−t(ここで、tはバックプレートの厚さ)を求めることができる。
なお、上層(バックプレート)の上方側から検査光が投射される干渉光学系における光路長としては、干渉ピークPbの方が、干渉ピークPmよりも、より短い光路長での干渉ピークとなっている。また、干渉ピークPb,Pmの大きさ(ピーク高さ)は、上層(バックプレート)における開口部面積の比率、検査光の波長領域における上層(バックプレート),下層(メンブレン)の反射率などに依存するものであり、例えば、上層(バックプレート)における開口部面積の比率が大きいほど、干渉ピークPbは小さくなるとともに干渉ピークPmは大きくなる。
次に、検査光が被検体5の上層における単一の開口部だけを含む領域に照射される照射条件では、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)の光軸を中心として広がる反射回折光により、干渉ピークPbのうち光路長の長い側(図8における右側)の裾野が広がる。また、上記照射条件では、下層(メンブレン)からの反射光が上層(バックプレート)の開口部を透過してなる0次透過光(0次透過回折光)の光軸を中心として広がる透過回折光により、干渉ピークPmのうち光路長の長い側(図8における右側)の裾野も広がる。
そして、被検体5のうち最も光源側に位置する上層(バックプレート)からの反射光による干渉ピークPbよりも光路長の短い側(図8の左側)の領域に現れる妨害成分は無いため、「最も短い光路長での干渉ピーク」という検出条件によって干渉ピークPbは確実に検出することができる。
また、図8に示されるように、干渉ピークPbのうち光路長の長い側の裾野が、下層(メンブレン)からの反射光による干渉ピークPmに重畳していない場合には、「2番目に短い光路長での干渉ピーク」という検出条件によって干渉ピークPmも確実に検出することができる。
しかしながら、検査光の波長および開口部の開口径寸法に応じた干渉ピークPbの裾野の広がりと層間寸法との関係によっては、干渉ピークPbのうち光路長の長い側の裾野が干渉ピークPmに重畳する可能性が有り、その場合、干渉ピークの重畳によって干渉ピークPmの形状が変形して、干渉ピークPmのピーク検出位置がずれることにより、下層(メンブレン)上面位置の測定精度が損なわれることになる。そして、干渉ピークPbの干渉ピークPmに対する相対的大きさが大きいほど、干渉ピークの重畳による干渉ピークPmのピーク検出位置のずれはより大きくなり、測定精度がより低下することになる。
このように、検査光が被検体5の上層における単一の開口部だけを含む領域に照射される照射条件では、上層(バックプレート)の上面位置に対応する正規の干渉ピークPbのうち光路長の長い側の裾野が、下層(メンブレン)の上面位置に対応する正規の干渉ピークPmに対する妨害成分となって、層間のエアギャップ量などの測定精度に影響する場合があり、干渉ピークPbの干渉ピークPmに対する相対的大きさが大きいほど、その影響は大きくなる。
(従来の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その2))
回折光の影響を受けた第2の例を図9により説明する。図9は、白色干渉計を用いた従来の光学検査装置(3次元形状測定装置)を,図5のような下層(メンブレン)と周期的開口パターンを有する上層(バックプレート)とからなる2層構造の被検体5に適用した場合であって、検査光が被検体5の上層における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射される条件での干渉ピークパターン例(その2)を説明する為の図であり、干渉光の光強度が増大する干渉ピークのパターンを模式的に示している。図8と同様に、Pbは上層(バックプレート)からの反射光による干渉ピークであって、バックプレート上面の位置(z1)に対応する正規の干渉ピークである。Pmは下層(メンブレン)からの反射光による干渉ピークであって、メンブレン上面の位置(z2)に対応する正規の干渉ピークである。また、図8と同様に、干渉ピークPb,Pmの大きさ(ピーク高さ)は、上層(バックプレート)における開口部面積の比率、検査光の波長領域における上層(バックプレート),下層(メンブレン)の反射率などに依存するものであり、例えば、上層(バックプレート)における開口部面積の比率が大きいほど、干渉ピークPbは小さくなるとともに干渉ピークPmは大きくなる。
次に、検査光が被検体5の上層における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射される照射条件では、干渉ピークとして、上記Pb,Pm以外に、例えば、検査光が上層(バックプレート)の上面で反射する際に発生する1次反射回折光による干渉ピークPbrd、さらには、下層(メンブレン)からの反射光が上層(バックプレート)の開口部を透過する際に発生する1次透過回折光による干渉ピークPmtdが生じる。一方、上記照射条件では、図8のような、干渉ピークPbおよびPmにおける光路長の長い側での裾野の大きな広がりはない。
そして、上層(バックプレート)および下層(メンブレン)の各上面の全体形状が図5(b)に示されるように検査光の光軸に対し垂直な平面状に形成されている場合、上層(バックプレート)からの1次反射回折光は、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)よりも光量が小さいため、上記1次反射回折光による干渉ピークPbrdは、上記0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbよりも小さい。また、下層(メンブレン)からの反射光のうち、上層(バックプレート)の開口部を透過する際に発生する1次透過回折光は、上層(バックプレート)の開口部を透過する0次透過光(0次透過回折光)よりも光量が小さいため、上記1次透過回折光による干渉ピークPmtdは、上記0次透過光(0次透過回折光)による干渉ピークPmよりも小さい。
なお、白色干渉計では広帯域低コヒーレンス光源からの検査光が用いられることにより、上記1次反射回折光および1次透過回折光は、いずれも、検査光の帯域幅の範囲で連続スペクトルに分解されたものとなっており、その回折角は、帯域幅の下限側波長λ1に対応する回折角θ1(=sin−1(λ1/d))から、上限側波長λ2に対応する回折角θ2(=sin−1(λ2/d))までの範囲で広がったものとなっている。ここで、dは、上層(バックプレート)の周期的な開口パターンにおける開口部の配列ピッチ寸法である。
1次透過回折光による干渉ピークPmtdは、上述のように、0次透過光(0次透過回折光)による干渉ピークPmよりも小さいため、干渉ピークPmとPmtdとのピーク高さの違いに合わせてピーク高さの閾値を適切に設定することにより、妨害成分である干渉ピークPmtdは検出しないで、目的成分である干渉ピークPmだけを検出することができる。さらに、1次透過回折光による干渉ピークPmtdは、図9に示すように、0次透過光(0次透過回折光)による干渉ピークPmよりも光路長の長い側の領域に現れるため、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbに対する妨害成分となることもない。
また、上層(バックプレート)からの1次反射回折光による干渉ピークPbrdは、上述のように、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbよりも小さいため、干渉ピークPbとPbrdとのピーク高さの違いに合わせてピーク高さの閾値を適切に設定することにより、妨害成分である干渉ピークPbrdは検出しないで、目的成分である干渉ピークPbだけを検出することができる。
さらに、上層(バックプレート)からの1次反射回折光による干渉ピークPbrdは、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbよりも光路長の長い側の領域に現れるものであり、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbよりも光路長の短い側の領域に現れる妨害成分は無い。このため、「最も短い光路長での干渉ピーク」という検出条件によって干渉ピークPbを確実に検出することができる。
一方、上層(バックプレート)からの1次反射回折光による干渉ピークPbrdは、上述のように、上層(バックプレート)からの0次反射光(0次反射回折光)による干渉ピークPbよりも光路長の長い側の領域に現れる。そして、干渉ピークPbrdのピーク位置は、検査光の波長および開口部の配列ピッチ寸法に依存する回折光の回折角などの条件によっては、図9に示すように、干渉ピークPmの近傍に現れる場合が有る。このような場合、妨害成分である干渉ピークPbrdの大きさが、目的成分である干渉ピークPmの大きさと同程度以上であるときには、PmおよびPbrdのいずれが下層(メンブレン)の上面位置に対応する正規の干渉ピーク(本来のPm)であるかを特定できなくなり、測定精度が損なわれることになる。
このように、図5のような形状では、検査光が周期的開口パターンを有する上層(バックプレート)の上面で反射する際に発生する1次反射回折光による干渉ピークPbrdが、下層(メンブレン)の上面位置に対応する正規の干渉ピークPmに対する妨害成分となって、層間のエアギャップ量などの測定精度に影響する場合がある。
以上、図8および図9で説明したように、開口パターンを有する上層(バックプレート)を備えた被検体5における上層(バックプレート)上面および下層(メンブレン)上面についての白色干渉計による各位置測定のうち、特に下層(メンブレン)上面の位置測定は、より光源側に位置する上層(バックプレート)での反射回折光の影響により、その測定精度が損なわれる可能性が有る。
<測定対象物が多層構造である場合における第2の問題>
また、図5のような上層(バックプレート)と下層(メンブレン)とからなる多層構造の被検体5の形状を例えば白色干渉計などの干渉光学系により測定する場合において、上層(第1層)であるバックプレートの材質と、下層(第2層)であるメンブレンの材質とが異なる場合、バックプレートおよびメンブレンの材質が既知の場合では、両者の反射率の差がでるような波長の光源を選択することで、反射光強度の違い、または反射光量の違いから、両者を判別することができるので、干渉ピークパターンにおける上層および下層にそれぞれ対応する正規の干渉ピークをより確実に識別した上で、より確実な測定、検査を行うことができる。
しかしながら、バックプレートおよびメンブレンの材質が未知の場合においては、反射率の差がでるような波長の光源を選択することができず、反射光強度の違い、または反射光量の違いが生じず、両者を判別することが困難となる。
本発明の課題は、測定対象が多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる場合において、これらの材質が未知であっても、両者の反射率の差が大きくなるような波長を決定して干渉光学系による測定を行うことができる光学検査システム、光学検査装置を提供することである。
また、本発明の他の課題は、検査対象物が多層構造で開口部パターンを有するものである為に開口部パターンにおいて回折光が発生する場合であっても、この回折光の影響を簡易的な手法で抑制し、検査精度を向上させることができる光学検査装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の光学検査システムは、多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を干渉光学系により測定するシステムであって、該干渉光学系に入射させる光の波長を可変にする波長可変光出力部を有し、前記各材質の波長−反射率特性を測定する反射率測定装置を備え、前記波長可変光出力部から出力される光の波長が、該測定された波長−反射率特性に基づいて決定された、前記各材質の反射率の差が大きくなる波長に設定される構成とする(請求項1の発明)。
上記請求項1の発明によれば、測定対象物の各材質が未知の場合でも、両者の反射率の差が大きくなるような波長を決定して干渉光学系による測定を行うことができる。
また、上記請求項1に記載の光学検査システムにおいて、例えば、前記波長可変光出力部は、光源と、該光源からの光の波長を任意の波長へと変換する波長変換素子とから成る構成とすることができる(請求項2の発明)。
次に、本発明の光学検査装置は、多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を測定する、干渉光学系による光学検査装置であって、前記干渉光学系に入射させる光の波長を可変にする波長可変光出力部を有し、前記波長可変光出力部から出力される光の波長が、予め測定された各材質毎の波長−反射率特性に基づいて決定された、前記各材質の反射率の差が大きくなる波長に設定される構成とする(請求項3の発明)。
上記請求項3の発明によれば、例えば白色干渉計などの干渉光学系による干渉ピークパターンにおける各層にそれぞれ対応する干渉ピークをより確実に識別した上で、より確実な測定、検査を行うことができる。
また、本発明の光学検査装置は、多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を測定する、干渉光学系による光学検査装置であって、前記干渉光学系を用いた干渉計として、コヒーレンスの低い光からなる検査光を測定対象物に照射した状態で測定対象物の各層面と参照面との光路長差を変化させ,測定対象物の各層面からの反射光と参照面からの反射光との干渉強度が強くなる位置に基づいて,測定対象物の各層面の位置を検出する白色干渉計を備えるとともに、前記干渉光学系に入射させる検査光の波長を可変にする波長可変光出力部を有してなる構成とすることができる(請求項4の発明)。
上記請求項4の発明によれば、波長可変光出力部から出力される検査光の波長を、各層の材質の反射率の差が大きくなる波長に設定することにより、白色干渉計による干渉ピークパターンにおける各層にそれぞれ対応する干渉ピークをより確実に識別した上で、より確実な測定、検査を行うことができるようになる。
また、波長可変光出力部から出力される検査光の波長を、下層の材質の反射率が表層の材質の反射率に比べて相対的に大きくなる波長に設定することにより、より光源側に位置する表層での反射回折光による影響を小さくして、白色干渉計による下層面の位置検出精度を向上させることができるようになる。
上記請求項4に記載の光学検査装置において、前記波長可変光出力部から出力される検査光の波長が,表層面からの反射光量が抑制されて測定対象物の表層面に対応する正規の干渉ピークが少なくとも測定対象物の下層面に対応する正規の干渉ピークよりも小さくなる波長に設定される構成とすることができる(請求項5の発明)。
上記請求項5の発明によれば、波長可変光出力部での波長の設定によって、表層面からの反射光量が抑制されて測定対象物の表層面に対応する正規の干渉ピークが少なくとも測定対象物の下層面に対応する正規の干渉ピークよりも小さくなるようにすることにより、測定対象物の表層における開口パターンによって発生する回折光の影響を十分に抑制した状態で、測定対象物における層間のエアギャップ量などの測定および検査を精度良く行うことができるようになる。
また、上記請求項4または5に記載の光学検査装置において、前記検査光は、測定対象物の表層における単一の開口部だけを含む領域に照射されるものである構成とすることができる(請求項6の発明)。
また、上記請求項4または5に記載の光学検査装置において、前記検査光は、測定対象物の表層における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射されるものである構成とすることができる(請求項7の発明)。
本発明の光学検査システム、光学検査装置によれば、測定対象が多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる場合において、これらの材質が未知であっても、両者の反射率の差が大きくなるような波長を決定して干渉光学系による測定を行うことができる。
また、本発明の光学検査装置によれば、検査対象物が多層構造で開口部パターンを有するものである為に開口部パターンにおいて回折光が発生する場合であっても、この回折光の影響を簡易的な手法で抑制し、検査精度を向上させることができる。
本例の光学検査装置の構成例である。 干渉光学系の光学検査装置の測定原理を説明する為の図である。 波長と反射率の関係の一例を示す図である。 反射率測定システムの一例の概略構成を示す図である。 従来の課題を説明する為の、測定対象物の構造の一例を示す図である。 本例の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その1)を説明する為の図である。 本例の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その2)を説明する為の図である。 従来の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その1)を説明する為の図である。 従来の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その2)を説明する為の図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<本例の光学検査装置の構成例および測定原理>
図1に、本例の光学検査装置の構成例を示す。
これは、例えばマイケルソン型等の干渉光学系による光学検査装置である。
図2は、この様な干渉光学系の光学検査装置の測定原理を説明する為の図である。
尚、図1の構成において、光源4と波長変換素子9及び検出器8以外の構成を、干渉光学系と呼ぶ場合もある。また、光源4及び波長変換素子9から成る構成を波長可変光出力部と呼ぶ場合もある。この定義では、波長可変光出力部は、干渉光学系に入射させる光の波長を可変にする構成である。また、干渉光学系から出力される光(干渉光)が検出器8に入力されることになる。
図1の構成に関して、まず、波長変換素子9以外の基本構成について説明しておく。
上記干渉光学系は、被検体5の位置を移動させることで被検体5の高さ情報を位相情報として含む干渉信号を発生する干渉光学系である。尚、この例に限らず、被検体5ではなく参照鏡3の位置を移動させることで上記干渉信号を発生する干渉光学系であってもよい。
図1に示す光学検査装置1は、光ビームを発生する光源4、ビームスプリッタ2、参照鏡3、検出器8等を有する。更に、検査対象物である被検体5が取り付けられ、この被検体5を図示の矢印方向(z方向)に移動させる為の移動機構14、この移動機構14を駆動するステッピングモータ6を有する。更に、図示の各レンズ10,11,12,13を有する。尚、レンズ10はコリメータレンズ、レンズ12は対物レンズ、レンズ11,13は集光レンズ等である。また、尚、移動機構14の具体的構成は特に示さない。ステッピングモータ6による回転駆動に応じて対象物(ここでは被検体5)を図示の矢印方向に移動させるような構成は、一般的によく知られているものであり、特に説明しない。尚、図示の矢印方向に移動させることによって、ビームスプリッタ2と被検体5との距離が変わるものである。
光源4から出た光は、レンズ10により平行光となってビームスプリッタ2に入射し、ビームスプリッタ2によって2方向に分けられる。すなわち、そのまま直進する方向(z方向)と垂直方向(x方向)に分けられる。垂直方向へ進む光は、レンズ11を介して参照鏡3に入射して反射され、再びレンズ11を介してビームスプリッタ2に戻る。
一方、そのまま直進する光は、レンズ12を介して被検体5に入射して反射され、再びレンズ12を介してビームスプリッタ2に戻る。
上記のようにビームスプリッタ2に戻る2つの光、すなわち参照鏡3からの反射光(以下、参照光と呼ぶ)と被検体5からの反射光(以下、物体光と呼ぶ)は、ビームスプリッタ2によって両方とも図示の検出器8の方向(x方向)へと進み、レンズ13、ピンホール7を介して検出器8に入射する。つまり、検出器8に入射する光は、上記物体光と上記参照光とが重ね合わされた光であり、干渉が生じる(よって、これを干渉光と呼ぶ)。
ここで、ビームスプリッタ2から参照鏡3までの距離L1と、ビームスプリッタ2から被検体5(その反射面;表面等)までの距離L2とが、等しくなったときに(すなわち、光路差ゼロとなったとき)、上記2方向からの反射光が干渉によって強め合い、その結果、上記干渉光の光強度が大きくなる。その様子を図2に示す。
図2には、被検体5が図示の第1層から第4層まである構成である場合を例にして示している。尚、上記従来(課題)で説明した例えば図5に示す構成の被検体は、第1層と第2層から成る被検体であり、パックプレート表面が第1層、メンブレン表面が第2層に相当する。図5(b)に示すように、バックプレートには孔が開いている箇所(開口部)があり、この箇所では入射光はメンブレン表面に届く。これは、図2の例の第3層や第4層に関しても同様である。尚、図5に関して説明したように、特に図5のように開口部が規則的に連続して設けられている(所定の開口パターンを有する)、多層構造の被検体を検査する際には、従来では回折光の影響等があり、たとえ各層の材質が異なるものであっても、干渉光学系に入射する光の波長を適切なものとできないと、測定精度が悪くなる問題があった。
図1の構成では上記参照鏡3までの距離L1は固定であり、上記被検体5までの距離L2は可変である。但し、この例に限らず、L2を固定でL1を可変としてもよい。この場合の構成は特に図示しないが、ステッピングモータ6及び移動機構14から成る構成を、被検体5ではなく参照鏡3に適用して、参照鏡3の位置が図上の矢印と直行する方向(x方向)に移動するような構成とする。
図1の構成では上記ステッピングモータ6によって駆動することで被検体5の位置を動かすことで、上記距離L2が変化することになる。ここで、ビームスプリッタ2から被検体5の第1層までの距離を距離L2−1、第2層までの距離を距離L2−2(以下、同様にL2−3,L2−4)と表記するものとすると、被検体5の位置を動かして「距離L1=距離L2−1」となったときには(光路差ゼロとなったとき)、図2の図上下側に示すように上記干渉光の光強度が増大する。他の各層についても同様であり、「距離L1=距離L2−2」、または「距離L1=距離L2−3」あるいは「距離L1=距離L2−4」になったときに、図2の図上下側に示すように上記干渉光の光強度が増大する(ピークが出現する)。
よって、被検体5の位置を動かしながら上記の各ピークを検出することで、各層の位置(相対的な位置等)を特定できる。
ここで、上記構成の光学検査装置では、被検体5に入射する光は、レンズ12によって集光されても、ある程度の範囲に広がって入射される(球面波)。よって、例えば、メンブレンの位置を測定する場合でも、上記バックプレートの孔の部分にのみピンポイントで入射されるわけではなく、従って、被検体5からの反射光は、メンブレンからの反射光だけでなく、バックプレートからの反射光も含まれることになる。また、更に、上記バックプレートの孔の部分等によって生じる回折光も含まれる。
なお、上述のように、図5のような周期的開口パターンを有する上層(バックプレート)を備えた被検体5であっても、検査光の照射領域の大きさによって、生じる回折光の態様は異なる。すなわち、単一の開口部だけを含む領域に検査光が照射される場合には、0次反射光(0次反射回折光)あるいは0次透過光(0次透過回折光)の光軸を中心として、検査光の波長,開口部の開口径寸法に基づく回折角で広がるような回折光となる。また、周期的に配列された複数の開口部を含む領域に検査光が照射される場合には、0次反射光(0次反射回折光)あるいは0次透過光(0次透過回折光)の光軸に対して、検査光の波長,開口部の配列ピッチ寸法に基づく特定の回折角を中心とした指向性を有する回折光となる。
そして、従来例(図8、図9)の説明で述べたように、上層(バックプレート)上面および下層(メンブレン)上面の各位置測定のうち、特に下層(メンブレン)上面の位置測定は、より光源側に位置する上層(バックプレート)での反射回折光の影響により、その測定精度が損なわれる可能性が有る。
本手法では、後述するように、各層の材質の違いに応じて被検体5に入射させる光の波長を決定・変更することで、上記問題を解決する。詳しくは後述する。
尚、被検体5の位置の検出は、例えばステッピングモータ6の駆動量に基づいて算出してもよいし、被検体5の位置を検出する為の不図示のセンサを設けても良いし、他の方法であってもよい。何れにしても既存の一般的な技術により実現できるので、ここでは特に詳細には説明しない。
尚、上記本光学系によって得られる干渉光スペクトルは、以下の式(1)および式(2)のように表せる。式(2)を逆フーリエ変換すると、式(1)になる。式(2)のcos項中のzは被検体の高さ情報を含んでおり、被検体5の高さ情報を位相情報として含む干渉ビームと言うこともできる。各変位量x毎に被検体5の各境界面で反射/散乱されてくる物体光と参照光との干渉信号を走査することで、境界面の位置情報を特定化できる。
I(ν)=S(ν)|aS exp(i 2πν・2r) + aSexp[i 2πν・2(r + z )] |2 ・・・(1)
I(x)=S(x) [ 1 + 2aS cos( 4πxz)+ aS 2] ・・・(2)
(但し、aS;振幅、ν;波数(波長)、S(x)、S(ν);光学系によって定まる係数、r 、 z;点光源からの距離)
尚、上述した測定原理、及び上記式(1)、(2)は、従来より知られている上記マイケルソン型等の干渉光学系における一般的な技術事項であるので、ここではこれ以上詳細には説明しない。
(本例の光学検査装置における光源)
尚、本手法では、光源4として低コヒーレンス光源(特に広帯域低コヒーレンス光源)を用いることを提案する。本光学系は干渉を用いた計測法であるため、光源としては例えば、広帯域低コヒーレンス光源(白色光等)を用いることが望ましい。低コヒーレンス光源を用いていることで、上記参照光と物体光の2光波の干渉信号が、図2で示したように光路差ゼロの点をピークとしてその周辺のみに存在するものとなり(つまり、図示のコヒーレンス長が短くなり;光路差ゼロになる点で干渉光強度が最大となり、この点から少しでもズレると急激に干渉光強度が小さくなる)、光路差ゼロ点の位置を特定化することが容易となるためである。また、広帯域な光ほど時間的コヒーレンス(干渉する長さ;図示のコヒーレンス長)が短くなり、その分だけ分解能が向上する。なお、上記の広帯域低コヒーレンス光源としては、例えば中心波長1450nm、スペクトル半値幅250nm等の仕様のスーパールミネッセントダイオード(SLD)を用いることができるが、スーパールミネッセントダイオードに限定されるものではない。
(本例の光学検査装置におけるコリメータレンズ及び対物レンズ)
また、図1に示すように、広帯域低コヒーレンス光源としての光源4から発生する光ビームを、コリメータレンズ10で平行光とし、対物レンズ12により試料面(被検体5)に集光する構成では、コリメータレンズ10及び対物レンズ12の開口数(N.A.)を調整または設定することで、回折パターンにおける光の分散(広がり)を抑えることが可能となる。
(本例の光学検査装置における波長変換素子)
ここで、測定対象が図2に示す被検体の第1層と第2層とから成る構成である場合、すなわち例えば上述した図5に示す構成である場合、第1層の材質と第2層の材質が異なる場合、被検体5に入射する光の波長によっては、各層からの反射光強度または反射光量が大きく異なる場合もあれば、ほぼ同じである場合もある。上述した課題を解決する為には、各層の材質が分からなくても、干渉光学系(特に被検体5)に入射する光の波長が適切な値となるように設定できるようにする必要がある。ここで、適切な値とは、各層からの反射光強度または反射光量が大きく異なるようにする値(各層の反射率が大きく異なるような波長)である。
上述した構成の干渉光学系による光学検査装置において、本手法では、光源4とコリメータレンズ10との間に、波長変換素子9を設けている。この波長変換素子9は、入力する任意の波長の光を、当該波長変換素子9が変換し得る波長帯内の所定の波長(予め調整する)に変換してなる光を出力する。つまり、光源4からの任意の波長の光を、所定の波長の光に変換して出力する。但し、この例に限るものではなく、例えば光源4自体に自己が出力する光の波長を可変にする機能が備えられた構成であってもよい(この場合は光源4自体が上記波長可変光出力部に相当することになり、波長変換素子9は必要ない)。
光源4からの光として例えば高輝度電源から発したYAGレーザ光は、波長変換素子9を通過した後、干渉光学系ヘ入る。波長変換素子9により、例えば、波長300nmから460nmまでの波長変化が可能である(尚、この例に限るものではなく、後述する説明においては波長200mm〜500mmの範囲で波長変化が可能であるものとする)。
なお、波長変換素子9としては、例えば非線形光学結晶(ex. β-BaB2O4)を備え、この非線形光学結晶の回転角度を変えることで、任意の波長に変換する素子などを用いることができる。非線形光学結晶を備えた上記素子の場合、例えば波長範囲200nmから2100nmまでの任意の波長への変換が可能である。
また、光源4からの光として例えばスーパールミネッセントダイオード(SLD)などからの広帯域光を波長変換素子9に入力し、この広帯域光の中心波長を変化させて、干渉光学系へ出力させるようにすることもできる。
(測定対象物の材質が未知である場合の対応例)
本手法では、測定対象物(被検体5)が2種類以上の材質からなる場合であって、これらの材質が未知であっても、これらの各材質について予め例えば図3に示すような波長と反射率の関係を求めておくことで、上記各材質の反射率の差がでるような波長を決定して、波長変換素子9からの出力光の波長が当該決定した波長となるように調整しておくことで、この波長の光によって測定を行うことで、反射光強度/反射光量の違いから両者を判別することができる。
ここで、波長と反射率の関係の一例を図3に示す。図3の関係は例えば後に図4を参照して説明するように、予め測定しておくことができる。
図3に示すグラフは、縦軸が反射率(%)、横軸が波長(nm)となっており、材質Aに関しては図示の実線、材質Bに関しては図示の点線で示す。尚、材質A,Bが具体的に何であるかは述べないし、本手法では分からなくても問題ない。
図3の上記実線、点線を見ての通り、例えば、波長500nmにおいて、材質Aの反射率は材質Bに比べて、2倍以上大きい。また、例えば、波長270mmにおいて、材質Bの反射率は材質Aに比べて、4倍以上大きい。
この様に、予め後述する図4の反射率測定システムによって例えば図3のような波長と反射率の関係を求めておくことで、材質Aの反射率と材質Bの反射率との差が大きくなるような波長(上記の例では例えば波長500nmと270mm)を決定することができる(例えば人間が判断する)。よって、この例の場合、波長変換素子9から出力される光の波長が、材質Aに関して位置測定する際には波長500mm、材質Bに関して位置測定する際には波長270mmとなるように、波長変換素子9を設定すればよいことになる。尚、この例に限らず、波長500nmと270mmのどちらか一方のみを用いてもよい。
例えば上述した図5に示す例において、例えばバックプレートの材質が材質Aであり、メンブレンの材質が材質Bであるものとすると、波長変換素子9から干渉光学系に入射する光の波長が,両材質の反射率の差が出るような波長(例えば500nmあるいは270mm)になるように波長変換素子9を設定することで、反射光強度または反射光量の違いより、バックプレートとメンブレンを明確に判別でき、これにより、例えば白色干渉計などの干渉光学系による干渉ピークパターンにおけるバックプレートおよびメンブレンにそれぞれ対応する正規の干渉ピークをより確実に識別した上で、より確実な測定、検査を行うことができるようになる。
また、従来例(図8、図9)の説明で述べたような、上層(バックプレート)上面および下層(メンブレン)上面の各位置測定のうち、特に下層(メンブレン)上面の位置測定精度が上層(バックプレート)での反射回折光の影響により損なわれる問題への対策として、メンブレンの材質(材質B)の反射率がバックプレートの材質(材質A)の反射率に比べて相対的に大きくなる波長(例えば270mm)の検査光が出力されるように波長変換素子9を設定することにより、反射回折光の影響を小さくして、下層(メンブレン)上面の位置測定精度を向上させることができる。なお、上層(バックプレート)上面の位置測定における検査光の波長は、下層(メンブレン)上面の位置測定用における検査光と同じ波長(例えば270mm)としてもよく、また、バックプレートの材質(材質A)の反射率がメンブレンの材質(材質B)の反射率に比べて特に大きくなる波長(例えば500mm)としてもよい。
上記のように、波長変換素子9によって各材質の波長と反射率の関係に基づき適切に設定された波長の検査光を用いて、バックプレート、メンブレンの位置を測定することで、例えばバックプレートとメンブレン間のエアギャップ量等を精度良く,かつ,確実に評価することが可能となる。
なお、上記の通り、図3に示すような関係は、予め図4に示す反射率測定システムによって求める。
<反射率測定システムの一例>
図4は、反射率測定システムの一例の概略構成を示す図である。
尚、反射率測定システムは既存の装置であり、詳細な構成・動作は図示/説明せずに、概略的な説明のみを行うものとする。
図4に示す反射率測定システム20は、光源・マルチチャンネル分光器21、分光反射率解析装置22、光ファイバーケーブル23、レンズ24、ステージ25等より成る。尚、光ファイバーケーブル23は図示の拡大図に示すように複数のケーブルから成り、光源からの入射光を通過させるケーブルとサンプルからの反射光を通過させるケーブルとがある。
ステージ25上には、上記材質A、材質B等の測定対象の任意の材質のサンプルを置く。
光源・マルチチャンネル分光器21は、光源とマルチチャンネル分光器とから成り、光源からの光は光ファイバーケーブル23を通ってレンズ24を介してサンプルに入射する。サンプルからの反射光は、レンズ24、光ファイバーケーブル23を通ってマルチチャンネル分光器に入る。
マルチチャンネル分光器は、例えば可視光システムでは400nm〜1000nmの波長で分光し、あるいは例えば紫外光システムでは200nm〜850nmの波長で分光する。分光反射率解析装置22においてこれらの分光反射率を解析することで、波長に依存する光学定数(屈折率、消衰係数)が測定できる。
反射率の測定原理(反射率分光法)を以下に記す。空気中にある物質から反射される光の反射率Rは、屈折率n、消衰係数kとして次式のように表せる。
R={(n−1)2+k2} / {(n+1)2+k2} ・・・(3)
<本例の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その1)>
次に、白色干渉計を用いた本発明の光学検査装置(3次元形状測定装置)を,図5のような周期的開口パターンを有する上層(表層)(バックプレート)と下層(メンブレン)とからなる2層構造であって各層の材質が異なる被検体5に適用した場合であって、検査光が被検体5の上層における単一の開口部だけを含む領域に照射される条件での干渉ピークパターン例(その1)を、図6により説明する。図6は、従来例の説明で用いた図8と同様に、干渉光の光強度が増大する干渉ピークのパターンを模式的に示すものであり、図8と対応する要素は、同一の符号を付して示しており、図8と異なっている事項のみを説明する。
本例の光学検査装置では、各材質毎の波長−反射率特性に基づく波長変換素子9での検査光波長(広帯域光の中心波長)の設定により、図6のように、被検体5の上層(バックプレート)からの反射光量が抑制されて被検体5の上層(バックプレート)上面に対応する正規の干渉ピークPbが下層(メンブレン)上面に対応する正規の干渉ピークPmよりも十分に小さくなる波長の検査光を用いる構成とすることができる。ここで、上記構成例では、上層(バックプレート)上面および下層(メンブレン)上面の各位置測定に、共通の波長の検査光が用いられるものとする。
これによって、干渉ピークPbのうち光路長の長い側の裾野の大きさも干渉ピークPmの大きさに対して十分に小さくなることにより、検査光の波長および開口部の開口径寸法に応じた干渉ピークPbの裾野の広がりと層間寸法との関係によって干渉ピークPbの裾野が干渉ピークPmに重畳するような場合でも、干渉ピークの重畳による干渉ピークPmの形状の変形度は小さくなるので、干渉ピークPmのピーク検出位置のずれは小さくなり、これにより、下層(メンブレン)上面位置の測定精度の低下を抑制することができる。
したがって、白色干渉計を用いた本発明の光学検査装置(3次元形状測定装置)では、検査光が被検体(測定対象物)5の上層(バックプレート)における単一の開口部だけを含む領域に照射される条件でも、回折光の影響を十分に抑制した状態で、被検体5における層間のエアギャップ量などの測定および検査を精度良く行うことができる。
<本例の光学検査装置における干渉ピークパターン例(その2)>
次に、白色干渉計を用いた本発明の光学検査装置(3次元形状測定装置)を,図5のような周期的開口パターンを有する上層(表層)(バックプレート)と下層(メンブレン)とからなる2層構造であって各層の材質が異なる被検体5に適用した場合であって、検査光が被検体5の上層における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射される条件での干渉ピークパターン例(その2)を、図7により説明する。図7は、従来例の説明で用いた図9と同様に、干渉光の光強度が増大する干渉ピークのパターンを模式的に示すものであり、図9と対応する要素は、同一の符号を付して示しており、図9と異なっている事項のみを説明する。
本例の光学検査装置では、各材質毎の波長−反射率特性に基づく波長変換素子9での検査光波長(広帯域光の中心波長)の設定により、図7のように、被検体5の上層(バックプレート)からの反射光量が抑制されて被検体5の上層(バックプレート)上面に対応する正規の干渉ピークPbが下層(メンブレン)上面に対応する正規の干渉ピークPmよりも十分に小さくなる波長の検査光を用いる構成とすることができる。ここで、上記構成例では、上層(バックプレート)上面および下層(メンブレン)上面の各位置測定に、共通の波長の検査光が用いられるものとする。
これにより、周期的開口パターンを有する上層(メンブレン)からの1次反射回折光による干渉ピークPbrdのピーク高さは、下層(メンブレン)上面に対応する正規の干渉ピークPmよりも十分に低く抑制されたものとなる。このため、図7のように干渉ピークPbrdが干渉ピークPmに近接して位置する場合でも、ピーク高さの閾値を適切に設定することにより、干渉ピークPmと干渉ピークPbrdとを確実に識別することができる。
また、被検体4における層間のエアギャップ量によっては、干渉ピークPbrdが干渉ピークPmに重複することも有り得るが、このような場合でも、干渉ピークPbrdが十分に低く抑制されていることにより、干渉ピークPmのピーク形状への影響は小さく、下層(メンブレン)上面に対応する正規の干渉ピークPmのピーク位置ずれ量は小さく抑えることができ、被検体4における下層(メンブレン)上面の位置測定精度が大きく損なわれることはない。
なお、図7において、下層(メンブレン)からの反射光が上層(バックプレート)の開口部を透過する際に発生する1次透過回折光による干渉ピークPmtdは、(従来例の図9と同様に)下層(メンブレン)上面に対応する正規の干渉ピークPmよりも光路長の長い側の領域に形成されるとともに、0次透過光(0次透過回折光)による干渉ピークPmよりも小さいため、妨害成分にはならない。
したがって、白色干渉計を用いた本発明の光学検査装置(3次元形状測定装置)では、検査光が被検体(測定対象物)5の上層(バックプレート)における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射される条件でも、回折光の影響を十分に抑制した状態で、被検体5における層間のエアギャップ量などの測定および検査を精度良く行うことができる。
以上、図6および図7で説明したように、白色干渉計を用いた本発明の光学検査装置(3次元形状測定装置)では、被検体(測定対象物)5の上層(表層)(バックプレートなど)における開口パターンによって発生する回折光の影響を十分に抑制した状態で、被検体5における層間のエアギャップ量などの測定および検査を精度良く行うことができる。
上記のように、本発明では、干渉光学系による光学検査装置において、特に、半導体デバイス製造に用いられるマスクパターンや半導体チップ上の回路パターン等の開口部パターンにおいて発生する回折光の影響を簡易的な手法で抑制し、検査精度を向上させることができる。
1 光学検査装置
2 ビームスプリッタ
3 参照鏡
4 光源
5 被検体
6 ステッピングモータ
7 ピンホール
8 検出器
9 波長変換素子
10,11,12,13 レンズ
14 移動機構
20 反射率測定システム
21 光源・マルチチャンネル分光器
22 分光反射率解析装置
23 光ファイバーケーブル
24 レンズ
25 ステージ

Claims (7)

  1. 多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を干渉光学系により測定するシステムであって、
    該干渉光学系に入射させる光の波長を可変にする波長可変光出力部を有し、
    前記各材質の波長−反射率特性を測定する反射率測定装置を備え、
    前記波長可変光出力部から出力される光の波長が、該測定された波長−反射率特性に基づいて決定された、前記各材質の反射率の差が大きくなる波長に設定されることを特徴とする光学検査システム。
  2. 前記波長可変光出力部は、光源と、該光源からの光の波長を任意の波長へと変換する波長変換素子とから成ることを特徴とする請求項1記載の光学検査システム。
  3. 多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を測定する、干渉光学系による光学検査装置であって、
    前記干渉光学系に入射させる光の波長を可変にする波長可変光出力部を有し、
    前記波長可変光出力部から出力される光の波長が、予め測定された各材質毎の波長−反射率特性に基づいて決定された、前記各材質の反射率の差が大きくなる波長に設定されることを特徴とする光学検査装置。
  4. 多層構造であって且つ所定の開口パターンを有する構造であって各層の材質が異なる測定対象物の形状を測定する、干渉光学系による光学検査装置であって、
    前記干渉光学系を用いた干渉計として、コヒーレンスの低い光からなる検査光を測定対象物に照射した状態で測定対象物の各層面と参照面との光路長差を変化させ,測定対象物の各層面からの反射光と参照面からの反射光との干渉強度が強くなる位置に基づいて,測定対象物の各層面の位置を検出する白色干渉計を備えるとともに、
    前記干渉光学系に入射させる検査光の波長を可変にする波長可変光出力部を有してなることを特徴とする光学検査装置。
  5. 前記波長可変光出力部から出力される検査光の波長が,表層面からの反射光量が抑制されて測定対象物の表層面に対応する正規の干渉ピークが少なくとも測定対象物の下層面に対応する正規の干渉ピークよりも小さくなる波長に設定されることを特徴とする請求項4に記載の光学検査装置。
  6. 前記検査光は、測定対象物の表層における単一の開口部だけを含む領域に照射されるものであることを特徴とする請求項4または5に記載の光学検査装置。
  7. 前記検査光は、測定対象物の表層における周期的に配設された複数の開口部を含む領域に照射されるものであることを特徴とする請求項4または5に記載の光学検査装置。
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