JP2011089719A - 電子レンジ調理用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】電子レンジでの加熱調理に当たって、焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみにつけることが可能な電子レンジ調理用シートの提供を課題とする。
また、電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から容易に剥離することの出来るサセプター包装体としての電子レンジ調理用シートの提供を課題とする。
【解決手段】金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、金属層がパターン状に形成されていることを特徴とする電子レンジ調理用シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子レンジ調理用シートに関し、特に調理品表面に適度な焦げ目を付けるようにした発熱体からなる電子レンジ調理用シートに関するものである。
電子レンジによる加熱は、通常、マイクロ波による食品内部の加熱であることから、食品の内部から発生する蒸気やドリップのために食感が損ねられたりすることも多く、また、そのままでは食品の表面に焦げ目を付けることができない。
このためには、電子レンジで発熱させるサセプター(発熱体)を用いる方法があり、これにより、食品にクリスピー性を付与したり、ピザや餃子などの食品の表面に焦げ目を付けたりすることが可能である。
この目的でのサセプターがマイクロ波により発熱する原理は、通常の誘電加熱による食品の加熱と異なり、金属層に発生する渦電流のジュール熱で加熱するものである。
アルミ箔のような金属箔では、マイクロ波を照射すると反射してしまうが、金属箔を薄くしていくとマイクロ波の一部を透過するようになる。このときに一部は薄い金属層で渦電流になり、この渦電流が電気抵抗を持つ薄い金属層を流れることによりジュール熱が発生し、それに接触する食品を表面から加熱する。
サセプターに利用できる金属とその酸化物は、アルミニウム、ステンレス、酸化インジウム等いろいろあるが、コストと安全性の点でアルミニウムが一般的である。
薄い金属層は、蒸着方式、スパッタリング方式、コーティング方式、練込み方式の周知の方法によって作ることができるが、コストと効果から真空蒸着方式によることが一般的である。
このようなサセプターとしては、たとえば特許文献1に提案されているように、ポリエステルフィルムにアルミニウムを真空蒸着して薄膜を形成し、蒸着面を紙と貼り合わせたシートが一般的に用いられている。
特許文献1には、食品のマイクロ波調理に使用する食品調理容器において、所望の食品を支持するように適当な形状の構造体へと形成された基材物質と、該基材物質の食品接触面に形成された保護層と、該保護層と前記基材物質との間に配置された導電性元素金属の層とを備えた食品調理容器で、前記金属層は、マイクロ波放射に曝された時に加熱されて該容器内の食品を褐色にするように少なくとも約0.4Ω/平方インチの電気抵抗率を有するような厚さに形成されている食品調理容器が提案されている。
また、焦げ目付け効果を上げるために、特許文献2に提案されているように、加熱時に発生する蒸気を逃がすためのスリットを設けてあるシートも開発されている。
特許文献2には、アルミニウムなどの金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱プラスチックフィルム層とからなる発熱体を紙などからなる基材に設けて、前記発熱体と基材が一体となったシートを形成し、前記シートに多数のスリットを破線状にしてかつ平行に隣接するスリットと交互になるように設けた電子レンジ調理用シートが提案されている。
さらに、特許文献3には、サセプターのシートの基材側にライナー紙やエンボス紙等の断熱性素材を貼り合せた構成も提案されている。
しかしながら、上記のようなサセプターを紙トレーや紙皿の底部、カートンの内面に貼り合せたり、筒状にして直接食品を包装する等の形態で、ピザ、餃子、ポップコーン、ハンバーガー、ホットドッグ、焼き魚、フライドポテト、フライドチキン等の電子レンジ加熱時の焦げ目付けに利用する場合には全面に均一に発熱層が存在するために以下のような問題が避けられなかった。
ひとつは、調理品である食品の所望の位置に焦げ目を付けたい場合に、サセプターをカットして食品の特定位置に貼り付けてから電子レンジ加熱を行う等の煩雑な作業が必要であった。
もうひとつは、食品の焦げ目部分のサセプターを加熱後に食品から剥離する場合に、全面が貼り付いていると剥がしにくくサセプターが破れて食品に残ったりあるいは逆に食品の表面がサセプターに取られて剥がされてしまうというような問題があった。
特公昭60−15548号公報 実公平4−42117号公報 特開2001−19062号公報 特開平2−161218号公報
そこで、本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、電子レンジでの加熱調理に当たって、焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみにつけることが可能な電子レンジ調理用シートの提供を課題とする。
また、電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から容易に剥離することの出来る電子レンジ調理用シートの提供を課題とする。
上記課題に対して本発明者は、あらかじめ食材の焦げ目をつけたい領域に相当する部分のみにパターン状に発熱体を配置するか、焦げ目をつけたくない領域に相当する部分のみにパターン状に断熱性材料を設けることによって、簡便に焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみにつけることが可能な電子レンジ調理用シートと出来ることを見出し、本発明に到達した。
また、焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみにつけることによって電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から電子レンジ調理用シートを容易に剥離することが出来るという効果も同時に実現することも可能になる。
すなわち、本発明の請求項1の発明は、金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、
金属層がパターン状に形成されていることを特徴とする電子レンジ調理用シートである。
本発明の請求項2の発明は、金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、
耐熱性プラスチックフィルムの上からパターン状に断熱性シートがラミネートされていることを特徴とする電子レンジ調理用シートである。
本発明の請求項3の発明は、金属層をパターン状に形成する方法として、パスター加工もしくはシーライト加工によることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用シートである。
パターン状の蒸着金属層を形成する方法としては、蒸着時に非蒸着領域のマスキングを行う方法もあるが複雑である。このため、蒸着自体は全面におこない蒸着後に必要パターン領域以外の蒸着金属層を除去する方法として代表的には以下のパスター加工とシーライト加工とよばれる加工法がよく用いられる。
パスター加工とは、蒸着金属層の上から必要パターン領域のみを非溶解性の被膜で覆い金属層を腐食溶解させてパターン状の蒸着金属層を得る方法であり、シーライト加工とは蒸着前に蒸着基材の必要パターン領域以外のみに溶解性の被膜を設け、蒸着後に不要領域の溶解性被膜とともに不要領域の蒸着金属層を洗浄除去することによってパターン状の蒸着金属層を得るいずれも周知の方法である。
本発明の請求項4の発明は、断熱性シートが厚さ0.5mmから1.5mmの範囲の紙もしくはフィルムであることを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ調理用シートである。
本発明の請求項5の発明は、耐熱性プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであり、基材が坪量30g/mから80g/mの範囲の中性紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ調理用シートである。
本発明の電子レンジ調理用シートに用いる耐熱性プラスチックフィルムは、加工性と食品への接触に対する安全性からポリエチレンテレフタレートフィルムが一般的であり、坪量30g/mから80g/mの中性紙基材と貼り合せて用いられる。
本発明の請求項1に係る発明は、金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、発熱する金属層がパターン状に形成されていることによって、あらかじめ食材の焦げ目をつけたい領域に相当する部分のみにパターン状に発熱体が配置されているので、焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみに簡便につけることが可能となった。
また、焦げ目を被加熱物の全面ではなく部分的につけることによって電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から電子レンジ調理用シートを容易に剥離することが出来るという効果も同時に得られる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、耐熱性プラスチックフィルムの上から焦げ目をつけたくない領域に相当するパターン状の断熱性シートがラミネートされていることによって、この部分のみの被加熱物表面が金属層の発熱から隔離されて、焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみに簡便につけることが可能となった。
また、焦げ目をつけない部分をパターン状の断熱性シートによって被加熱物から部分的に遮断することによって電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から電子レンジ調理用シートを容易に剥離することが出来るという効果も同時に得られる。
本発明の請求項3に係る発明によれば、金属層をパターン状に形成する方法として、パスター加工もしくはシーライト加工によることによって、複雑な蒸着時のマスキングによ
ることなく、蒸着自体は全面におこない、印刷等の簡便な方法でパターン状の金属蒸着層を形成することが出来る。
これらによって、要求される様々なパターン状の蒸着金属層を簡便に形成することが出来るので対象となる食品についてもより広い範囲の需要に応じることが出来るようになった。
本発明の請求項4に係る発明は、断熱性シートが厚さ0.5mmから1.5mmの範囲の紙もしくはフィルムであることによって、パターン状の断熱性シートの領域に接触している食品部分のみを焦げ目がつかない状態で残すことが出来る。紙もしくは発泡材を含むフィルム等の断熱性シートの厚さが0.5mm未満であるとその部分に焦げ目が付いてしまう場合があり、1.5mmを超えると断熱性シートのパターン以外の食品部分にも焦げ目のつかない部分が出来てくることがある。
本発明の請求項5に係る発明は、耐熱性プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであり、基材が坪量30g/mから80g/mの範囲の中性紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ調理用シートである。
本発明の電子レンジ調理用シートに用いる耐熱性プラスチックフィルムは、加工性と食品への接触に対する安全性からポリエチレンテレフタレートフィルムが一般的であり、坪量30g/mから80g/mの中性紙基材と貼り合せて用いられる。
このように本発明の電子レンジ調理用シートによれば、調理時に上述のような固形状の食材をサセプターを使用して電子レンジ加熱する場合、従来の全面に設けられた金属蒸着層の接触により食材表面を加熱するサセプターでは食材表面の希望する領域のみならず、表面全体に焦げ目を付けてしまうということが防止できる。
また、通常は焦げ目を付けたい食材としては形状が平面的な加工食品(たとえば豆腐やチーズのような)ものよりも、魚やピザ、餃子、ポップコーン、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、フライドチキン等のような外形が凹凸のある食材が多い。
これらの、表面が平滑でない食材の所望の表面領域に自然な焦げ目をつけるためには、サセプターを必要な大きさにカットしたり食材の希望の位置に貼り付けたりすることでも不可能ではないが煩雑な労力を必要とするので簡便を旨とする電子レンジでの調理にはそぐわない。
このような場合に、あらかじめ焦げ目をつけたい食材の表面位置付近にのみ発熱する金属蒸着層を設けた本発明の電子レンジ調理用シートを使用することによって、食材の希望の位置に簡便に自然な焦げ目をつけることが可能になる。
同様の効果は、サセプターに金属蒸着層のない部分を作る代わりにサセプター表面と食材の間の希望する領域に断熱性シート層を介在させることでも得られる。
また、焦げ目をつけない部分をパターン状に形成する、または断熱性シートによって被加熱物から部分的に遮断することによって電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から電子レンジ調理用シートを容易に剥離することが出来るという効果も同時に得られる。
この離型効果は焦げがない部分が表面の30%から80%程度である場合に顕著に実感できる。
本発明の電子レンジ調理用シートの一例の概略図。(A)は外観模式図を(B)はそのX−X’での断面模式図を示す。 本発明の電子レンジ調理用シートの他の一例の概略図。(A)は外観模式図を(B)はそのX−X’での断面模式図を示す。 従来の電子レンジ調理用シートの一例の概略図。(A)は外観模式図を(B)はそのX−X’での断面模式図を示す。 電子レンジ調理用シートの使用例を示す概略図。(A)は従来のシートの場合の一例(B)は本発明のシートの場合の一例(C)は本発明のシートの場合の他の一例を示す。 本発明の電子レンジ調理用シートの使用例を示す概略図。(A)は片面焦げ目付けの場合を(B)は両面焦げ目付けの場合を示す。
次に、図面を参照して本発明の実施形態の一例を説明する。
図1には本発明の請求項1に係る電子レンジ調理用シートの一例の概略図を、図2には請求項2に係る電子レンジ調理用シートの一例の概略図を示した。
図3は参考に示した従来の電子レンジ調理用シートの一例の概略図である。
本発明の電子レンジ調理用シートはたとえば図1に示すように、アルミニウムなどの金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱するパターン状の金属層(4)と、この金属層(4)を覆うたとえばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような耐熱性プラスチックフィルム(3)とからなる発熱体を、紙などからなる基材(2)上に設けて、前記発熱体と基材が一体となった電子レンジ調理用シート(1)である。
マイクロ波吸収により発熱する金属層(4)を耐熱性プラスチックフィルム(3)表面にパターン状に設ける方法としては、蒸着時に部分的に蒸着する方法でも可能であるが、蒸着自体は全面におこない蒸着後に必要なパターンの領域以外の蒸着金属層を除去する方法であるパスター加工またはシーライト加工によるのが簡便で確実である。
パスター加工によるパターン形成の場合は、上記金属層(4)を耐熱性プラスチックフィルム(3)表面の全面に蒸着し、蒸着された金属層(4)の上から、必要パターン領域をたとえば耐酸性のインキで印刷し、非印刷部のみの金属層を腐食溶解させて印刷パターンに対応する領域の蒸着金属層(4)を得ることが出来る。
必要に応じて、その後に上記インキを溶剤等で溶解除去する工程を設けてもよい。
シーライト加工によるパターン形成の場合は、金属の蒸着前に耐熱性プラスチックフィルムに必要なパターン以外の領域のみをたとえば水溶性のインキで印刷した被膜を設け、その上から全面に金属蒸着後に水溶性のインキの被膜とともに不要領域の蒸着金属層を洗浄除去することによって水溶性のインキの印刷された領域以外が残留するパターン状の蒸着金属層(4)を得ることが出来る。
また、本発明の電子レンジ調理用シートはたとえば図2に示すように、アルミニウムなどの金属を全面に蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層(4)と、この金属層(4)を覆うたとえばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような耐熱性プラスチックフィルム(3)とからなる発熱体を、紙などからなる基材(2)上に設けて、前記発熱体と基材が一体となったシート(1)の耐熱性プラスチックフィルム上に、さらにパターン状に紙などの断熱性シート(5)をラミネートした電子レンジ調理用シート(1’)である。
耐熱性プラスチックフィルム上にパターン状に紙などの断熱性シートをラミネートする方法としては周知の方法たとえば打ち抜きとドライラミネート等の通常のパターンラミネ
ートの方法を利用することができる。
図5には、本発明の電子レンジ調理用シートの使用例を示す概略図を示した。
(A)は電子レンジ調理用シート(1)を耐熱性プラスチックフィルム(3)を上面にして被加熱食材(F)の下にしいて片面に焦げ目をつける場合を示し、(B)は電子レンジ調理用シート(1)を耐熱性プラスチックフィルム(3)が被加熱食材(F)に接するように上面と下面からはさみ、被加熱食材(F)の両面に焦げ目をつける場合を示している。
被加熱食材の片面に焦げ目をつける場合は図5(A)に示したように電子レンジ調理用シート(1)を耐熱性プラスチックフィルム(3)を上面にして被加熱食材(F)の下にしいて加熱することにより、電子レンジ調理用シート(1)のアルミニウム蒸着部(4)の領域に接した被加熱食材(F)の下面(6)の部分のみに焦げ目がついてそれ以外の部分には焦げ目がつかないことによって所望のパターンで焦げ目をつけることが可能になる。
図5(A)では電子レンジ調理用シート(1)を耐熱性プラスチックフィルム(3)を上面にして被加熱食材(F)の下にしいた場合を図示したが、被加熱食材(F)の上面に焦げ目をつけたい場合には、もちろん電子レンジ調理用シート(1)を耐熱性プラスチックフィルム(3)を下面にして被加熱食材(F)の上に被せても構わない。
被加熱食材(F)の両面に焦げ目をつけたい場合には、図5(B)に示したように上下から電子レンジ調理用シート(1)ではさむことによって、被加熱食材(F)の両面の(6)の部分に一度の加熱で焦げ目をつけることが出来る。
このように、同じ形状の食材であっても焦げ目をつける位置や数が異なる場合には、連続した電子レンジ調理用シートから所望の位置でカットすることが出来るようにミシン目等を入れておくと便利である。使い勝手を良くするために、必要に応じて」本発明の電子レンジ調理用シートにおいてミシン目、罫線、エンボス等の加工を施しておくことは一向に構わない。
本発明の電子レンジ調理用シートを構成する材料について説明する。
本発明の電子レンジ調理用シートに用いる耐熱性プラスチックフィルムとしては、金属蒸着加工適性を有していれば、特に種類を限定する必要はなく、金属蒸着層の発熱温度に応じて選択すればよいが、代表的な例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン2・6ナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、6ナイロン、12ナイロンなどのポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどや、これらの重合体と他の有機重合体との共重合体などから成るフィルムやシートが挙げられる。これらのフィルムの融点は通常250℃以上であることが望ましい。
前記重合体、共重合体には各種添加剤、例えば帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤などが添加されていても問題ない。これら耐熱性プラスチックフィルムの厚みは特に限定されないが、蒸着加工等機械加工適性を考慮した場合6〜100μmが望ましい。
本発明の電子レンジ調理用シートに用いるマイクロ波吸収により発熱する金属層としては、アルミニウム、錫、亜鉛、鉄、銅、などの蒸着薄膜およびアルミニウムと酸化アルミニウム混合層が考えられるが、発熱量及び加熱時スパークの問題からアルミニウムの使用が望ましい。金属蒸着層の厚さは、発熱量および加熱時スパークが発生しないように適宜設定される。
本発明の電子レンジ調理用シートに用いる紙などからなる基材としては、特に加工適性の面から、坪量30〜80g/m程度で、比較的耐熱性を有する、例えば、未晒中性紙の使用が望ましい。
上記の紙基材を支持体として、上記の耐熱性プラスチックフィルムの金属蒸着面にドライラミネーション等の周知の方法で貼合するが、これには通常接着剤を用いる。接着剤としては、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の食品包材用途として、一般的に用いられるものであれば、特に制限はないが、耐熱性を考慮した場合はウレタン樹脂またはポリエステル・ポリウレタン樹脂の使用が望ましい。
次に、本発明の電子レンジ調理用シートの作成方法の一例について説明する。
耐熱性プラスチックフィルム(3)として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、連続式真空蒸着機を用いて金属蒸着層(4)としてアルミニウム蒸着層を設けて薄膜アルミニウム蒸着を施したフィルムを作成し、この蒸着面にシリコン系接着剤を介して、紙基材として中性紙を貼合して電子レンジ調理用シート(1)または(1’)を作成する。
また、図1に示すようなシートを作成するためには、アルミニウム蒸着層の蒸着後に、蒸着面に所定パターンのニス印刷を行い印刷部以外の蒸着層をエッチング加工で溶解して非蒸着部分を形成するパスター加工法によっても非蒸着部を有するシート(1)に用いる薄膜アルミニウム蒸着を施したフィルムを作成することが出来る。
または、蒸着前に水溶性ニスで非蒸着部分のパターンを二軸延伸PETフィルムの片面に印刷してその上から全面にアルミニウム蒸着層を蒸着した後に水洗して非蒸着部分を形成するシーライト加工法によっても、図1に示すようなシート(1)に用いる薄膜アルミニウム蒸着を施したフィルムを作成することが出来る。
このようにして作成した薄膜アルミニウム蒸着を施した二軸延伸PETフィルムに紙基材として中性紙(30〜80g/m)をドライラミネートすることによって図1に示すような本発明の電子レンジ調理用シートを作成することが出来る。
また、図2に示すようなシートを作成するためには、アルミニウム蒸着層の蒸着後に、蒸着面に所定パターンに打ち抜いた発泡ポリエチレン等のパターンラミネーションを行うことによって断熱パターン部(5)を有する、本発明の電子レンジ調理用シートに用いる薄膜アルミニウム蒸着を施したシート(1’)を作成することが出来る。
また、作成した薄膜アルミニウム蒸着を施したフィルムに紙基材を貼り合わせた後に、貼り合せたシートの全面あるいは両端部に位置する部分に細かいミシン目加工等のキズ加工を施して、任意の位置で横方向に容易にカットできる機能を付与することも出来る。
また、作成した薄膜アルミニウム蒸着を施したフィルムに紙基材を貼り合わせた後に、貼り合せたシートの全面に横方向のデッドホールド性(形状保持性)を付与するための連続的な細かい凹凸加工をエンボスによって与えることも出来る。
連続的な波状の凹凸エンボス加工を施すことにより、電子レンジ調理用シートを加熱対象物に巻き付けた時にシートの変形状態を保持することによって簡単には外れにくくなるという効果を奏する。
以下に、本発明の電子レンジ調理用シートの実施形態の一例を説明する。
<実施例1>
連続巻き取り式真空蒸着機を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(E5100:東洋紡)の片面にアルミニウムの薄膜(膜厚60Å)蒸着を行った。
つぎにフィルムのアルミニウム蒸着面にグラビア印刷で透明ニスをパターン状に印刷して酸性溶液でエッチングを行い、印刷部分のみを残したパターン状の蒸着部を形成して本発明の電子レンジ調理用シートに用いる蒸着フィルムを作成した。
ドライラミネーターを用いて、上記の蒸着フィルムを第一給紙から、坪量50g/m2の中性紙(M中性紙:天満特殊製紙)を第二給紙から繰り出して接着剤としてウレタン系接着剤(A525:武田薬品工業)を用いて乾燥および加圧を経てドライラミネートを行い本発明の電子レンジ調理用シートを作成した。
<実施例2>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(E5100:東洋紡)の片面にグラビア印刷で水溶性ニスをパターン状に印刷し、連続巻き取り式真空蒸着機を用いて、印刷面の上から全面にアルミニウムの薄膜(膜厚60Å)蒸着を行った。
つぎにフィルムの水溶性ニスを水で溶解して、非印刷部分のみを残したパターン状の蒸着部を形成して本発明の電子レンジ調理用シートに用いる蒸着フィルムを作成した。
ドライラミネーターを用いて、上記の蒸着フィルムを第一給紙から、坪量50g/m2の中性紙(M中性紙:天満特殊製紙)を第二給紙から繰り出して接着剤としてウレタン系接着剤(A525:武田薬品工業)を用いて乾燥および加圧を経てドライラミネートを行い本発明の電子レンジ調理用シートを作成した。
<実施例3>
連続巻き取り式真空蒸着機を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(E5100:東洋紡)の片面にアルミニウムの薄膜(膜厚60Å)蒸着を行った。
つぎにドライラミネーターを用いて、上記の蒸着フィルムを第一給紙から、坪量50g/m2の中性紙(M中性紙:天満特殊製紙)を第二給紙から繰り出して接着剤としてウレタン系接着剤(A525:武田薬品工業)を用いて乾燥および加圧を経てドライラミネートを行い本発明の電子レンジ調理用シートに用いるシートを作成した。
さらにドライラミネーターを用いて、上記のシートを第一給紙から、厚み0.7mmの発泡ポリスチレンシートをパターン状に打ち抜いたシートを第二給紙から繰り出して接着剤としてウレタン系接着剤(A525:武田薬品工業)を用いて乾燥および加圧を経てドライラミネートを行い本発明の電子レンジ調理用シートを作成した。
<比較例1>
連続巻き取り式真空蒸着機を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(E5100:東洋紡)の片面にアルミニウムの薄膜(膜厚60Å)蒸着を行った。
つぎにドライラミネーターを用いて、上記の蒸着フィルムを第一給紙から、坪量50g/m2の中性紙(M中性紙:天満特殊製紙)を第二給紙から繰り出して接着剤としてウレタン系接着剤(A525:武田薬品工業)を用いて乾燥および加圧を経てドライラミネートを行い電子レンジ調理用シートに用いるシートを作成した。
<使用試験>
実施例1から実施例3および比較例1で作成した電子レンジ調理用シートを用いて、被加熱食品として切り餅を電子レンジで加熱した場合の外観とシートの食品からの剥がし易さを比較した。
電子レンジの加熱条件は600Wで3分間とし、加熱時の電子レンジ調理用シートと被加熱食品との接触面の最高温度をアルミニウム蒸着層の有無および発泡ポリスチレン層の有無に対応する領域でそれぞれ測定した。
図4には上記使用例の断面概略図を模式的に示した。図4(A)は従来の電子レンジ調理用シートの使用例(比較例1)、図4(B)は本発明の電子レンジ調理用シート(実施例1、2)、図4(C)は本発明の電子レンジ調理用シート(実施例3)をそれぞれ示している。
比較例1の電子レンジ調理用シートを用いた場合には、図4(A)に示すように被加熱食材(F)(切り餅)の片面全面に焦げ目(6)が付き、電子レンジ調理用シートを切り餅から剥がす時に焦げた部分の表層がシート表面に貼りついて部分的に剥がれてしまった。この場合の焦げ目部分の最高温度は170℃であった。
実施例1および実施例2の本発明の電子レンジ調理用シートを用いた場合には、図4(B)に示すように被加熱食材(F)(切り餅)の片面の電子レンジ調理用シートのアルミニウム蒸着部(4)に対応するパターン部分のみに焦げ目(6)が付き、その他の部分は焦げ目が付かず、まるで持ち焼き網で焼いたような自然な外観の焼き餅となった。
また、切り餅から剥がす時に焦げていない部分があるために、焦げた部分の表層がシート表面に貼りつくことがなく全体に美麗な外観となった。この場合の焦げ目部分の最高温度は170℃であったが焦げていない部分の最高温度は80℃であった。
実施例3の本発明の電子レンジ調理用シートを用いた場合には、図4(C)に示すように被加熱食材(F)(切り餅)の片面の電子レンジ調理用シートの断熱性シート(5)に対応するパターン部分のみに焦げ目(6)が付かず、その他の部分に焦げ目が付き、まるで持ち焼き網で焼いたような自然な外観の焼き餅となった。
また、切り餅から剥がす時に部分的に断熱性シートが介在して焦げていない部分があるために、焦げた部分の表層がシート表面に貼りつくことがなく全体に美麗な外観となった。この場合の焦げ目部分の最高温度は170℃であったが焦げていない部分の最高温度は80℃であった。
このように本発明の電子レンジ調理用シートを用いて電子レンジで加熱することによって焦げ目を被加熱物の全面ではなく所望の部分のみにつけることが可能で、電子レンジ加熱後に焦げ目部分の食材から容易に剥離することの出来る電子レンジ調理用シートが実現した。
本発明の電子レンジ調理用シートが適する調理の対象は表面に凹凸のあるものも含めて多岐に渡る。
たとえば、から揚げ、焼き鳥等の肉系食品、フライドポテト、野菜(レンコン、にんじん、たまねぎ等)等の穀類、おにぎり等の米飯類、太刀魚、うなぎ、あなご、めざし、ししゃも等の魚類、その他ホットサンドイッチ、玉子焼き等が挙げられる。
1…電子レンジ調理用シート
1’…電子レンジ調理用シート
2…基材(紙)
3…耐熱性プラスチックフィルム(PETフィルム)
4…金属蒸着層(アルミ蒸着部)
5…断熱性シート
6…焦げ目部分
F…被加熱食材

Claims (5)

  1. 金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、金属層がパターン状に形成されていることを特徴とする電子レンジ調理用シート。
  2. 金属を蒸着してなりマイクロ波吸収により発熱する金属層と、この金属層を覆う耐熱性プラスチックフィルムとからなる発熱体を、紙基材に設けた、前記発熱体と基材が一体となったシートであって、耐熱性プラスチックフィルムの上からパターン状に断熱性シートがラミネートされていることを特徴とする電子レンジ調理用シート。
  3. 金属層をパターン状に形成する方法として、パスター加工もしくはシーライト加工によることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用シート。
  4. 断熱性シートが厚さ0.5mmから1.5mmの範囲の紙もしくはフィルムであることを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ調理用シート。
  5. 耐熱性プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであり、基材が坪量30g/mから80g/mの範囲の中性紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ調理用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014068666A (ja) * 2012-09-27 2014-04-21 Toppan Printing Co Ltd 電子レンジ用発熱シートと電子レンジ用発熱シート付き紙容器
KR20220013680A (ko) * 2020-07-27 2022-02-04 주식회사 린택 전자레인지용 발열 라면용기

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