JP2011088040A - ヘドロの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重金属類を含むヘドロを長期に亘って安全性に優れた状態で維持できるよう処理するためのヘドロの処理方法の提供を目的とした。
【解決手段】重金属類を含むヘドロは、塩基性の処理水を用いて洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程において洗浄された土壌を酸性条件下で洗浄する酸洗工程と、当該酸洗工程で洗浄されたヘドロを、前記重金属類を無害化可能な薬剤の存在下で処理する無害化工程と、当該無害化工程において処理されたヘドロを固化する固化工程とを経て処理される。固化工程で固化された処理生成物は、埋め立て用などとして再利用される。
【選択図】図2

Description

本発明は、重金属類の有害物質により汚染されたヘドロの処理方法に関する。
近年、工場跡地等の再開発に伴い、工場における排水の漏洩等により有害物質が土壌中に排出された、いわゆる土壌汚染の存在が明らかになるケースが度々報告されており、問題視されている。そこで、かかる問題に対処すべく、従来より例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されているような技術を用いて汚染土壌が処理されている。
また従来技術では、下記特許文献1や特許文献2に開示されている方法を用いて処理しても土壌として再利用しにくいヘドロについては、浄化処理をせず、石炭灰(フライアッシュ)と共にセメントに混入し、粒状に固化させて処理していた。
特開2006−35218号公報 特開2006−43660号公報
上述した重金属類を含むヘドロをセメント中に混入して固化した粒状物は、図4(a)に示すように、重金属類(図中符号M)が付着したヘドロ(図中符号S)の表面をセメント(図中符号C)によって被覆したような状態となっていた。そのため、この粒状物をすりつぶすなどすると、図4(b)に示すようにヘドロの表面に付着していた重金属類が露出することになっていた。よって、かかる処理方法で処理したヘドロは、すりつぶし試験を行うと重金属類の溶出量や含有量が所定の基準値を超えてしまう可能性が高かった。従って、ヘドロを単にセメントなどで被覆する処理を施しただけでは、埋め立て処分等された場合に長期に亘る安全性を確保できない可能性が高いものと想定され、重金属類によって汚染されたヘドロをより一層安全性に優れた状態となるよう処理可能な方法の提供が求められていた。
そこで、本発明は、重金属類を含むヘドロを長期に亘って安全性に優れた状態で維持できるよう処理するためのヘドロの処理方法の提供を目的とした。
上記した目的を達成すべく提供される本発明は、重金属類を含むヘドロの処理方法であって、重金属によって汚染されたヘドロを、塩基性の処理水を用いて洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程において洗浄された土壌を酸性条件下で洗浄する酸洗工程と、当該酸洗工程で洗浄されたヘドロを、前記重金属類を無害化可能な薬剤の存在下で処理する無害化工程と、当該無害化工程において処理されたヘドロを固化する固化工程と、を有することを特徴とするヘドロの処理方法である(請求項1)。
本発明のように、洗浄工程において塩基性の処理水中において重金属類によって汚染されたヘドロを洗浄すると、ヘドロ中に含有されていた重金属類が水相中に洗い出される。また、洗浄工程で洗浄されたヘドロを、さらに酸洗工程において酸性条件下で洗浄すると、ヘドロ中に含まれている重金属類をさらに溶出させることが可能である。本発明のヘドロの処理方法では、このようにして溶出させた重金属類が無害化工程において薬剤の存在下で無害化された状態になる。さらに、本発明のヘドロの処理方法では、重金属類を無害化した後、これを固化工程で固化することとしており、無害化された重金属類がさらに固化に用いられた材料(固化剤)によって保護された状態になる。そのため、本発明のヘドロの処理方法によって処理を行えば、重金属類が無害化された状態で固化されることになり、重金属類に対する安全対策が2重に講じられた状態になる。従って、本発明のヘドロの処理方法によれば、単に固化工程で形成された固化物が割れる等するだけでは重金属類が溶出等せず、ヘドロを長期に亘って安全性に優れた状態に維持させることが可能となる。
本発明のヘドロの処理方法は、ヘドロに含まれている重金属類の含有濃度を酸洗工程に先立って確認し、重金属類の含有濃度が所定の基準濃度よりも低い場合に、酸洗工程を省略するものであってもよい(請求項2)。
本発明のようにしてヘドロの処理を行えば、酸洗工程を実施せずとも十分無害化された状態になっている場合に酸洗工程を省略することが可能となり、ヘドロの処理に要する工程の簡略化や、処理費用の削減に資することが可能である。
また、本発明のヘドロの処理方法は、固化工程において、セメント又は石膏を主成分とする固化剤によってヘドロが固化されることを特徴とするものであってもよい(請求項3)。
本発明のように、固化工程においてセメント又は石膏を主成分とする固化剤によって固化することとすれば、洗浄工程や酸洗工程を経て処理されたヘドロを強固に固化することが可能となり、多少の衝撃が加わっても割れにくい状態とし、長期に亘って安全性に優れた状態に維持させることが可能となる。
ここで上述したように、本発明の処理方法によってヘドロを処理した場合、その処理生成物は、無害化工程において薬剤の存在下で処理され無害化された状態で固化されているため、重金属類が溶出する可能性が極めて低い。しかし、上述したような処理方法で処理したにもかかわらず、ヘドロから溶出しきれずに含有された状態で残ってしまった重金属類が存在する場合は、固化された処理生成物が振動などの衝撃を受けて割れたり、酸性雨にさらされたりすると、僅かに含まれている重金属類が溶出する可能性もある。従って、上述したような処理方法で得られた処理生成物を埋め立て用に使用する場合は、これらの可能性を考慮した上で用いられることが望ましい。
そこで、かかる知見に基づいて提供される本発明のヘドロの処理方法は、上述した処理方法でヘドロを処理して得られた処理生成物を、砂と混合して埋め立てることを特徴とするものである(請求項4)。
本発明のように、上述した処理方法によって処理して得られたヘドロの処理生成物を砂と混合して埋め立てれば、砂によって処理生成物が防護された状態になり、処理生成物が直接的に酸性雨などにさらされるのを防止できる。また、本発明のように処理生成物を砂と混合すれば、砂が処理生成物の緩衝材として機能し、衝撃を受けて処理生成物が割れるのを防止できる。よって、本発明のヘドロの処理方法によれば、処理生成物を埋め立てに使用したとしても長期に亘って安全性に優れた状態に維持させることが可能となる。
また、本発明のヘドロの処理方法は、路面をなす層よりも下層側に、請求項1〜3のいずれかに記載の方法でヘドロを処理して得られた生成物を埋め立てるものであってもよい(請求項5)。
本発明のように、路面よりも下層側に上述したようにしてヘドロを処理して得られた処理生成物を埋め立てることとすれば、路面をなす層の存在により処理生成物が酸性雨や衝撃などから保護された状態になる。そのため、本発明のヘドロの処理方法によっても、処理生成物を埋め立てに使用した場合に、安全性を長期に亘って維持させることが可能となる。
本発明によれば、重金属類を含むヘドロを長期に亘って安全性に優れた状態で維持できるよう処理可能なヘドロの処理方法を提供できる。
本発明のヘドロ処理方法を実施するためのヘドロ処理プラントの一例を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係るヘドロ処理方法を示すフローチャートである。 (a)は図2に示すヘドロ処理方法でヘドロを処理して得られる処理生成物の断面構造を模式的に示す模式図であり、(b)は(a)に示す処理生成物が割れた状態を模式的に示す模式図である。 (a)は従来技術の処理方法でヘドロを処理して得られる処理生成物の断面構造を模式的に示す模式図であり、(b)は(a)に示す処理生成物が割れた状態を模式的に示す模式図である。
続いて、本発明の一実施形態に係るヘドロの処理方法について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のヘドロの処理方法は、重金属類によって汚染された複合汚染土壌のうち、ヘドロを多く含むものを処理するためのものであり、例えば図1に示すヘドロ処理プラント10を用いて実施することができる。ヘドロ処理プラント10は、原料選別手段20や、洗浄手段30、凝集手段40、分離手段50、酸洗手段60、無害化処理手段70を備えている。
原料選別手段20は、処理対象物たる汚染土壌がヘドロを所定の割合(本実施形態では30%)以上含むものであるか否かを確認するために設けられている。具体的には、原料選別手段20では、汚染土壌に含まれているヘドロ状のもの(以下、「ヘドロ成分」とも称す)が水洗いによって分別され、ふるい分けされる。原料選別手段20では、ヘドロ成分(粒径0.1mm以下でコンクリート用再生骨材として使用できない成分)の含有率E(ふるい分け比率)の高低によって以下に示すヘドロ処理方法による処理に適したものであるか否かが判断される。
洗浄手段30は、上記した原料選別手段20で選別されたヘドロを塩基性の処理水と共に混合して洗浄するために設けられたものである。洗浄手段30において使用する処理水は、pH=9〜13の範囲のものが好ましく、pH=10〜12の範囲のものが好ましい。本実施形態では、pH=10〜12程度の処理水が、洗浄手段30において使用される。また、洗浄手段30で使用する処理水には、例えばセメント工場などにおいて発生した排水などを用いることが可能である。
また、洗浄手段30は、洗浄効果を高めるべく、ヘドロを処理水中において撹拌可能な撹拌手段を設けたものであることが好ましい。具体的には、洗浄手段30は、別途設けられた動力源から動力を受けて作動する撹拌翼や、処理水中に空気などの気体を吹き込むことで撹拌可能なものなどを撹拌手段として備えていることが好ましい。
凝集手段40は、洗浄手段30で処理された処理水とヘドロとの混合物中に凝集剤を投入して処理するためのものである。凝集手段40は、処理水とヘドロの混合物を貯留するための槽や、次工程に送るための流路系統などに凝集剤を投入するための薬剤投入手段を備えたものとすることができる。
分離手段50は、凝集手段40において凝集させたヘドロ相と、水相とを分離するものである。具体的には、分離手段50は、シックナーなどによって構成することが可能である。
酸洗手段60は、分離手段50で分離されたヘドロ相中に重金属類が高濃度で含まれている場合に、このヘドロ相を酸性条件下にさらす(酸洗工程)ために設けられたものである。酸洗手段60は、酸が投入されるものであるため、酸にさらされる部分が防錆特性に優れた材質で形成されていることが好ましい。また、酸洗工程の効果を十分発揮させるべく、酸洗手段60は、上述した洗浄手段30と同様に砂相やヘドロ相を撹拌可能な撹拌手段設けたものであることが好ましい。具体的には、酸洗手段60は、撹拌翼を設けたり、気体の吹き込み可能な構成とすることにより、砂相やヘドロ相を撹拌可能とすることが好ましい。
無害化処理手段70は、一次分離手段50aで得られた砂相や、二次分離手段50bで得られたヘドロ相、酸洗手段60で酸洗された砂相、ヘドロ相などに対して薬剤を投入し、これらに含まれている重金属類を無害化するためのものである。
続いて、本実施形態のヘドロ処理方法について、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。本実施形態のヘドロ処理方法では、先ず原料選別手段20において選別された処理対象のヘドロが、ステップ1の洗浄工程において洗浄手段30に準備された塩基性の処理水中に投入され、洗浄される。これにより、汚染土壌に含有されている重金属類が、処理水中に溶出する。洗浄工程において汚染土壌が所定時間にわたって洗浄されたものは、凝集手段40に移送される。
その後、処理フローがステップ2の凝集剤投入工程に進み、酸性の凝集剤が凝集手段40内に投入される。これにより、凝集手段40内において、水相中に浮遊している土壌の微粒子が凝集して沈降する。またこの際、土壌の沈降とともに、水相中に洗い出されている重金属類についても水酸化物(金属塩)となって沈降する。具体的には、水相中に洗い出されて浮遊している重金属類は、中和へと向かうpH=8〜9の領域において化学反応を起こし、水酸化物となって沈降する。ここで、ステップ2で投入される凝集剤は、pH=3〜8の範囲内のものであることが好ましく、pH=3〜4の範囲内のものであることがより一層好ましい。
ステップ2において凝集剤が投入された後、しばらく静置すると、処理フローがステップ3のヘドロ相分離工程に進む。ステップ3では、ステップ2で処理されたものが分離手段50によって土壌や重金属類の水酸化物(金属塩)などからなるヘドロ相と、水相とに分離される。ステップ3において分離された水相には、重金属類がほとんど含まれていない。そのため、この水相については、別途再利用される。
一方、ステップ3において分離されたヘドロ相は、酸洗手段60において酸洗される(ステップ7)。これにより、ヘドロ相に含有されている重金属類を溶出させ、重金属類の含有濃度を容易に基準値内に抑制することができる。すなわち、後に実施される無害化工程における処理対象を水中に溶出した重金属類とすることができ、ヘドロ相に含有された状態の重金属類を無害化する場合よりも容易に無害化することができるといった効果が得られる。ステップ4の酸洗工程が終了すると、ステップ5の無害化工程に進む。
無害化工程では、ステップ4の酸洗工程を終えたヘドロ相を、重金属類を無害化するための薬剤とともに無害化処理手段70に投入することにより実施される。無害化工程は、ステップ6において重金属類の濃度が基準値以下であることが確認されるまで実施される。ステップ6において、重金属類の濃度が基準値以下になったことが確認されると、処理フローがステップ7に進み、セメントや石膏を主成分とする固化剤で固化され処理生成物となる。これにより、図3(a)に示すように、ヘドロ(図中符号S)や、無害化処理により重金属類(図中符号M)の表面が被覆層(図中符号N)によって覆われ無害化された無害化物(図中符号Q)が、セメントや石膏を主成分とする固化剤(図中符号C)によって固化された状態になる。そのため、図3(b)に示すように、処理生成物が割れるなどして無害化物Qが表面に露出したり、無害化物Qが単体の状態となって処理生成物から離脱したりしても、無害化物Qの表層をなす被覆層Nによって重金属類Mが被覆され保護された状態で維持され、環境に悪影響を与えることにはならない。
ステップ7で形成された処理生成物は、ステップ8において埋め立て用などに再利用される。ステップ8における再利用に当たり、処理生成物は、砂と混合したり、路面をなす層よりも下層側に埋め立てたりして使用される。
本実施形態で示した処理方法のように、洗浄工程において塩基性の処理水中において重金属類によって汚染されたヘドロを洗浄すると、ヘドロ中に含有されていた重金属類を水相中に洗い出し、重金属類の処理を容易なものとすることが可能である。また、洗浄工程で洗浄されたヘドロを、さらに酸洗手段60において酸性条件下で洗浄することにより、ヘドロ中に含まれている重金属類をさらに溶出させ、より一層重金属類の処理を容易なものとすることが可能である。よって、上述した処理方法によれば、ヘドロ中に含まれている重金属類を容易に無害化することが可能である。
また、本実施形態のヘドロの処理方法では、重金属類を無害化した後、これをステップ7の固化工程で固化することとにより、土壌粒子がセメントによって保護された状態になる。そのため、本実施形態のヘドロの処理方法によって処理を行えば、重金属類が表面から剥離され無害化された状態で固化されることになり、重金属類に対する安全対策が2重に講じられた状態になる。従って、本実施形態のヘドロの処理方法によれば、単に固化工程で形成された固化物が割れる等するだけでは重金属類が溶出等せず、ヘドロを長期に亘って安全性に優れた状態に維持させることが可能となる。
上記実施形態では、ヘドロに含まれている重金属類の含有濃度によらず酸洗工程を実施する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸洗工程に先立って前記含有濃度を確認し、含有濃度が所定の基準濃度よりも低い場合に、酸洗工程を省略することとしてもよい。このような処理を行うことにより、酸洗工程を省略することが可能となり、ヘドロの処理に要する工程の簡略化や、処理費用の削減に資することが可能である。
上記実施形態では、ステップ7の固化工程で固化して形成された処理生成物を砂と混合したり、路面をなす層よりも下層側に埋め立てたりして再使用する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、処理生成物単体で埋め立てなどの用途に使用されたり、路面をなす層に使用されたりしてもよい。
10 ヘドロ処理プラント
20 原料選別部
30 洗浄部
40 凝集手段
50 分離手段
60 酸洗手段
70 無害化処理手段

Claims (5)

  1. 重金属類を含むヘドロの処理方法であって、
    重金属によって汚染されたヘドロ酸性土壌を、塩基性の処理水を用いて洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程において洗浄された土壌を酸性条件下で洗浄する酸洗工程と、
    当該酸洗工程で洗浄されたヘドロを、前記重金属類を無害化可能な薬剤の存在下で処理する無害化工程と、
    当該無害化工程において処理されたヘドロを固化する固化工程と、を有することを特徴とするヘドロの処理方法。
  2. ヘドロに含まれている重金属類の含有濃度が酸洗工程に先立って確認され、
    重金属類の含有濃度が所定の基準濃度よりも低い場合は、酸洗工程が省略されることを特徴とする請求項1に記載のヘドロの処理方法。
  3. 固化工程において、ヘドロがセメントによって固化されることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘドロの処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法でヘドロを処理して得られた処理生成物を、砂と混合して埋め立てることを特徴とするヘドロの処理方法。
  5. 路面をなす層よりも下層側に、請求項1〜3のいずれかに記載の方法でヘドロを処理して得られた生成物を埋め立てることを特徴とするヘドロの処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015229135A (ja) * 2014-06-04 2015-12-21 鹿島建設株式会社 凝集汚泥の不溶化処理システム及び不溶化処理方法

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